JP3806580B2 - 磁器コンデンサ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、いわゆるコア・シェル構造を有するセラミック粒子からなる誘電体層を用いた磁器コンデンサに関する。
【0002】
【従来の技術】
磁器コンデンサに用いられる誘電体磁器は、高い誘電率と良好な温度特性を確保するために、誘電体セラミック粒子からなり、図4に示すように、このセラミック粒子101がコア部103と、コア部103の外殻部を構成するシェル部105と、を含む、いわゆるコア・シェル構造を持たせることが行われている。その一方で、近年における電子回路の高密度化に伴い、磁器コンデンサは、できるだけ薄く小型にし、かつ、できるだけ容量を大きくする傾向、すなわち、薄層大容量化の傾向にある。積層コンデンサの静電容量は、電極の面積に比例し、電極間の距離に反比例して増加するので、同じ面積の電極であれば、両者間にあるセラミックを薄くすれば薄くするほど静電容量を大きくとることができる。このため、セラミックを薄くするための技術開発が盛んに行われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、セラミックを薄くれば薄くするだけ、磁器コンデンサに対する信頼性と寿命に悪影響を与えかねない。すなわち、誘電体層を形成するセラミックの厚みを、たとえば、10μmとし、これに10ボルトの電圧をかけたとすると、1cmに換算すると1万ボルトかかったことになる。10μmより薄くすれば、さらに高い電圧が誘電体層にかかることになる。この例から理解されるように、高い信頼性とできるだけ長い寿命を確保するためには、セラミックの厚みはできるだけ厚くして、耐電圧をできるだけ高く保つことが好ましい。上述したように、薄層大容量化の要請と、信頼性と寿命の確保の要請という相反する要請を満たすためには、静電容量を減少させることなくセラミックの厚みをできるだけ厚くする必要がある。これが、本発明が解決しようとする課題である。
【0004】
上述した課題を解決するために試行錯誤を繰返した発明者は、セラミックの誘電率を高めることによって、この要請を満足させることに成功した。具体的には、上述したコア・シェル構造を構成するコア部とシェル部との構成比を制御する手法を採用した。詳細な構成は、項を改めて説明する。なお、何れかの請求項に係る発明の説明において行った用語の定義等は、その性質上可能な範囲において他の請求項に係る発明にも適用されるものとする。
【0005】
請求項1に記載した発明の構成
請求項1に記載した発明に係る磁器コンデンサ(以下、「請求項1のコンデンサ」という)は、主にBaTiO 3 誘電体磁器組成物からなる誘電体層と、当該誘電体層を挟むように形成された内部電極と、を備え、前記誘電体磁器組成物は、誘電体セラミック粒子からなり、前記セラミック粒子はコア部と、当該コア部の外殻部を構成し、かつ、当該コア部の比誘電率よりも低い比誘電率の誘電体からなるシェル部と、から構成されたセラミック焼結体を含むコンデンサである。請求項1のコンデンサの特徴は、前記コア部が前記シェル部から部分的に露出している、すなわち、シェル部が部分的に欠けていることにある。さらに、温度20℃、周波数1kHz、実効値電圧1.0Vであった時の比誘電率が3000以上である、ことを併せて特徴とする。
【0006】
請求項1に記載した発明の作用効果
請求項1のコンデンサによれば、シェル部が欠けている分だけ欠けていない場合に比べてシェル部全体の容積が小さくなる。換言すると、シェル部が欠けている分だけ全体に占めるシェル部、すなわち、比誘電率の低い部分の占有割合(構成比率)が小さくなる。占有割合を小さくすると、セラミック焼結体全体の比誘電率が高くなり、比誘電率が高くなれば、静電容量を減少させることなくセラミックの厚みを厚くすることができる。以上の通り、シェル部が欠けていることによって、薄層大容量化の要請と、信頼性と寿命の確保の要請という相反する磁器コンデンサに対する要請を満たすことができる。
【0007】
請求項2に記載した発明の構成
請求項2に記載した発明に係る磁器コンデンサ(以下、「請求項2のコンデンサ」という)は、請求項1のコンデンサの構成に限定が加わり、前記コア部が、Mn(マンガン),V(バナジューム),Fe(鉄),Co(コバルト),Ni(ニッケル)及びCr(クロム)から選択された1種又は2種以上の元素(遷移金属)の酸化物を固溶したBaTiO3(チタン酸バリウム)であることを特徴とする。「一種又は2種以上」とは、固溶させる遷移金属は上記に列挙したものを一種だけ固溶させてもよいし、適当に組み合わせた複数種を固溶させてもよい、ということであり、そのような場合として、たとえば、Mnの酸化物だけを固溶させた場合、Mnの酸化物とFeの酸化物とを固溶させた場合、Niと上記に列挙したもの以外の遷移金属とを固溶させた(この場合は、Niだけを固溶させた場合に該当する)場合、がある。
【0008】
請求項2に記載した発明の作用効果
請求項2の磁器コンデンサは、請求項1の磁器コンデンサの作用効果に加え、前述した遷移金属を固溶させたBaTiO3によってコア部を構成することにより、固溶させない場合に比べて焼成時における耐還元性が向上する、という作用効果が生じる。耐還元性が向上した結果、磁器コンデンサの信頼性と寿命の確保が実現する。
【0009】
【発明の実施の形態】
次に、各図を参照しながら、本発明の実施の形態(以下、「本実施形態」という)について説明する。図1は本実施形態に係る磁器コンデンサの分解斜視図であり、図2は本発明に係るコア・シェル構造を示す断面図である。図3は、加速寿命を比較するための図表である。なお、図2では、理解を容易にするためにシェル部分にのみハッチングを行った。
【0010】
磁器コンデンサの全体構造
図1に示すように、磁器コンデンサ1は、誘電体3と内部電極5とを交互に積層させて構成した積層体7と、積層体7の両端部において内部電極5に一層おきに接続された一対の外部電極9,9とから構成されている。各部材の構成は、次に説明する通りである。
【0011】
誘電体層の構成
誘電体3を構成する各誘電体の原材料は、主にBaTiO3(チタン酸バリウム)である。本実施形態では、このBaTiO3に、SiO3(酸化ケイ素)、B2O3(酸化ホウ素)、LiO3(酸化リチウム)等を主成分とするガラス成分を、このBaTiO3に適量添加して焼成温度の低下を図っている。焼成温度を低下させるのは、内部電極5が融解するのを防ぐためである。また、耐還元性や温度特性等の度合いを調整するために、Y(イットリウム)、La(ランタン)、Ce(セリウム)、Pr(プラセオジム)、Nd(ネオジム)、Pm(プロメチウム)、Sm(サマリウム)、Eu(ユウロビウム)、Gd(ガドリニウム)、Tb(テルビウム)、Dy(ジスプロシウム)、Ho(ホルミウム)、Er(エルビウム)、Tm(ツリウム)、Yb(イッテルビウム)、Lu(ルテチウム)等の希土類元素を含む酸化物や、Sc(スカンジウム)、Ti(チタン)、V(バナジウム)、Cr(クロム)、Mn(マンガン)、Fe(鉄)、Co(コバルト)、Ni(ニッケル)等の遷移金属を含む酸化物を添加するのが好ましい。
【0012】
誘電体材料の製造
次に、上述した原料粉末から誘電体を製造する方法例について説明する。まず、出発原料を所定量ずつ秤量して配合し、ボールミル等により湿式混合する。次に、この湿式混合した原料を、スプレードライヤー(噴霧乾燥機)等により乾燥させ、乾燥後に仮焼して誘電体酸化物を製造する。仮焼は、通常600〜1200℃の温度で、2〜10時間程度行う。仮焼した材料を、ジェットミルやボールミル等により所定粒径となるまで粉砕して誘電体材料を製造する。
【0013】
スラリーの作製
次に、スラリー(泥奨)を作製する。スラリーは、上述した誘電体材料に、バインダー及び溶剤を加えて作製する。可塑性を高めるために可塑材等を添加したり、材料の均一化を図るために分散剤等を必要に応じて添加してもよい。誘電体材料の全体に対する割合は30〜80重量%とし、同じくバインダーはその種類に応じて2〜5重量%とし、同じく溶剤もその種類に応じて20〜70重量%とするのが好ましい。また、可塑剤或いは分散剤を添加する場合は、それぞれその種類に応じて0.1〜5重量%とすると好結果が得られる。誘電体材料とバインダー及び溶剤等の混合は、バスケットミル、ボールミル、ビーズミル等を用いて行うとよい。
【0014】
バインダーの例として、アビチエン酸レジン、ポリビニルブチラール、エチルセルロース、アクリル樹脂が挙げられる。溶剤の例として、エタノール、テルピネオール、ブチルカルビトール、トルエン、ケロシンが挙げられる。可塑剤の例として、アビエチン酸誘導体、ジエチル蓚酸、ポリエチレングリコール、フタール酸エステル、フタール酸ジブチルが挙げられる。分散剤の例として、グリセリン、オクタデシルアミン、トリクロロ酢酸、オレイン酸、オクタジエン、オレイン酸エチル、モノオレイン酸グリセリン、オリオレイン酸グリセリン、トリステアリン酸グリセリン、メンセーデン油が挙げられる。
【0015】
グリーンシートの作製
次に、グリーンシートを作製する。グリーンシートの作製は、ポリエステルフィルム等のキャリアフィルム上に、スラリーを所定の厚み(1〜20μm程度)に延ばし、乾燥させることにより行う。スラリーの延ばしは、リップコーター法、ダイコーター法、リバースコーター法等をも用いて行うことができるが、本実施形態では、ナイフ状の厚さ調節冶具(ドクターブレード)を用いてキャリアフィルム上にスラリーを一定の厚さに塗布するドクターブレード法を用いて行っている。こうして作製したグリーンシートは、これを加工しやすくするために適当な寸法に裁断する。以下の説明においてグリーンシートとは、この裁断後のグリーンシートのことをいうものとする。
【0016】
内部電極パターンの形成
次に、内部電極パターンを形成する。内部電極パターンは、上述したグリーンシートの表面に導電性ペーストを印刷することにより形成する。導電ペーストに混合する導電材料としては、Ni(ニッケル)やCu(銅)等の卑金属材料もしくはこれらの合金、さらには、これらの混合物を用いるとよい。これらの導電材料を、有機ビヒクルに混合して攪拌すると、導電ペーストが得られる。導電材料の形状に特に制限はなく、そのような形状として、たとえば、球状やリン片状やこれらの混在した形状が挙げられる。また、導電材料の平均粒子径は、0.1〜10μm程度がよく、好ましくは、0.1〜1μm程度にするとよい。有機ビヒクルは、バインダーと溶剤を含有している。導電性ペーストの印刷は、スクリーン印刷による印刷法、金属板の上に形成したパターンを転写する転写法等を用いて行うとよい。
【0017】
有機ビヒクルに含有されるバインダーには、たとえば、エチルセルロース,アクリル樹脂、ブチラール樹脂等があるが、これら以外のものをバインダーとして使用することもできる。バインダーの含有量は、1〜10重量%程度が好ましい。溶剤には、たとえば、テルピネオール、ブチルカルビトール、ケロシン等があるが、これら以外のものを溶剤として使用することもできる。溶剤の含有量は、20〜55重量%が好ましい。これらのバインダーと溶剤の他に、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル等の分散剤や、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ブチルフタリルグリコール酸ブチル等の可塑剤や、デラミ防止と焼結抑制等を目的として誘電体(絶縁体)等の各種セラミック粉体等を添加することもできる。有機金属レジネートを添加することもできる。
【0018】
積層体の作製
次は、グリーンシートの積層を行う。内部電極パターンを印刷したグリーンシートを、図1に示すように交互に積み重ね、さらにその上下を内部電極パターンの印刷されていないグリーンシート(いわゆるダミーシート)で挟み、これらを圧着して積層体7を作製する。なお、この積層方法の他に、グリーンシートと導電ペーストとを所定の順序で順次印刷して積み重ねていく、いわゆるスラリービルト法によっても積層体を作製することができる。次に、作製した積層体を、格子状に適当な寸法に裁断し、チップ状のセラミック積層体を多数作製する。
【0019】
積層体の焼成
次に、積層体を焼成する。積層体を雰囲気焼成できる炉に入れ、大気中で300〜600℃程度まで加熱して有機バインダーを燃焼させる。その後、炉の雰囲気を還元雰囲気とし、1100〜1400℃まで温度を上昇させ、この温度を0.5〜3時間程度保持する。その後、焼成温度を室温まで下げることにより、焼成した積層体が得られる。
【0020】
外部電極の形成
次に、外部電極の形成を行う。切断積層体7の側面には、切断によって内部電極が露出しているので、この側面に銀や銅からなる金属粉とガラスフリットとビヒクルからなる導電性ペーストを塗布して乾燥させ、これを大気中で800℃の温度で15分間焼き付けて下地電極層を形成する。さらに、この下地電極層の表面に銅を無電解メッキで施し、さらに、半田濡れ性をよくするために半田メッキを施しておく。これで、一対の外部電極9,9を備える積層コンデンサ1が完成する。
【0021】
【実施例】
実施例1
次に、本発明の実施例1について説明する。積層コンデンサの誘電体磁器を得るために本実施例では、まず、水熱合成法によって作成した平均粒径0.5μmのBaTiO3を100重量%、MgO+Ho2O3を1.8重量%、Si2O31.5重量%、MnOを0.1重量%を、それぞれ秤量し、これらをアルミナボール及び水2.5リットルとともにポットミルに入れ、15時間攪拌混合して混合物を得た。
【0022】
次に、この混合物をステンレスポットに入れ、熱風式乾燥器を用いて150℃で約4時間乾燥し基本成分となる第1成分の粉末を得た。
【0023】
次に、この第1成分の粉末98モル部及びCaZrO3(基本成分の第2成分)の粉末2モル部を各々秤量し、これらの基本成分100重量部に対して添加成分の第1成分(0.20Li2O−0.60SiO2−0.04Sr0−0.10OMgO−0.06ZnO)2重量部を添加し、ブチラール系の樹脂からなる有機バインダを基本成分と添加成分の合計重量に対して15重量%添加し、更に、50重量%のエタノールを加え、これらをボールミルで粉砕混合してスラリーを作成した。
【0024】
次に、このスラリーをリバースロールコータに入れて薄膜成形物を形成し、これを長尺なポリエステルフィルム上に連続して受け取らせ、この薄膜成形物を同フィルム上で100℃に加熱して乾燥させ、厚さ約10μmの未焼成セラミックシートを得た。この未焼成セラミックシートは長尺なものであるが、これを10cm各の正方形に裁断して使用する。
【0025】
一方、内部電極用の導電性ペーストは、粒径約1.0μmのニッケル粉末10gと、エチルセルロース0.9gとを、ブチルカルビトール9.1gに溶解させたものを攪拌機に入れ、10時間攪拌することにより得た。そして、この導電性ペーストをパターンを有するスクリーンを介して上記未焼成セラミックシートの片側に印刷した後、これを乾燥させた。
【0026】
次に、上記印刷面を上にして未焼成セラミックシートを10枚積層した。この際、隣接する上下のシートにおいて、その印刷面がパターンの長手方向に約半分ほどずれるように配置した。さらに、この積層物の上下両面にそれぞれ導電性ペーストを印刷していない未焼成セラミックシートを複数枚積層し、約50℃の温度で厚さ方向に約40トンの過重を加えて圧着させ、その後、この積層物を完成品が3216形状(長さ3.2mm、幅1.6mmの形状)の大きさになるよう格子状に裁断して未焼成セラミック積層体(積層体チップ)を得た。
【0027】
次に、この積層体チップを脱バインダーができる炉に入れ、N2(窒素)雰囲気中において毎時60℃の割合で400℃まで昇温させ積層体チップに含まれる有機バインダを燃焼させた。
【0028】
有機バインダーを燃焼除去した後、H2(2体積%)+N2(98体積%)となるように還元性雰囲気とした状態を保って室温から焼結温度の1200℃まで、毎時100℃の割合で昇温して1200℃(最高温度)を1.0時間保持した後、毎時100℃の割合で降温し、雰囲気を大気雰囲気(酸化性雰囲気)におきかえて、600℃を0.5時間保持して酸化処理を行い、その後、室温まで冷却して積層焼結体チップを得た。
【0029】
最後に、電極が露出する積層焼結体チップの側面に銅とガラスフリット(glass frit)とビヒクル(vehicle)とからなる導電性ペーストを塗布して乾燥し、これを大気中において650℃の温度で15分間焼付け、銅電極層を形成し、更にこの上に電解メッキ法でニッケル層を形成し、更にこの上に電気メッキ法でPb−Sn半田層を設けて、一対の外部電極を形成した。これにより、磁器コンデンサ1が得られた。
【0030】
ここで、完成した磁器コンデンサの比誘電率を求めた。そのために、まず、完成した磁器コンデンサからランダムに50個抜き取り、抜き取った磁器コンデンサの静電容量を測定した。次いで、この測定結果を基に計算し比誘電率εを求めた。なお、静電容量の測定に用いた測定器は、HP(HEWLETT PACKARD)社製4284Aであり、測定時の条件は、温度20℃、周波数1KHz、電圧(実効値)1.0Vであった。また、加速寿命については、JIS(日本工業規格)に準拠した加速寿命試験にて、100個測定したときの不良発生数で表した(図3参照)。
【0031】
また、焼成した積層体7を部分的に研磨し、その研磨面をTEM(透過型電子顕微鏡)で観察したところ、図2に示すように、セラミック粒子51のコア部53がシェル部55から部分的に露出していることが確認できた。この観察を、次に述べる実施例2及び3においても行ったところ、実施例1と同様に部分的に露出するコア部を観察することができた。
【0032】
実施例2
実施例2は、実施例1と基本的に同じでものあって、両者が異なるのは、BaTiO3原料粒の作成方法である。すなわち、実施例2は固相法によってBaTiO3原料粒を作成する点で、水熱法によって作成する実施例1と異なっている。焼成温度は、実施例1と同じく1200℃を最高温度とした。実施例2における比誘電率や加速寿命等は、図3に示すとおりであって、これらは、実施例1において用いた方法と同じ方法を用いて求めたものである。
【0033】
実施例3
実施例3は、実施例2と基本的に同じでものあって、焼成の最高温度を1250℃にした点が実施例2と異なっている。この結果、コア部にMnの固溶が見られた。比誘電率や加速寿命等は、図3に示す通りであり、これらも、実施例1において用いた方法と同じ方法を用いて求めたものである。
【0034】
比較例1
また、実施例1、2又は3と比較するために、コア部の露出していないセラミック粒子からなる積層コンデンサを作成した。比較例1の作成方法は、基本的に実施例1で用いた方法と同じであるが、実施例1では最高温度1200℃で焼成した点で、最高温度1300℃で焼成した比較例1と異なっている。
【0035】
データの比較
図3に基づいて、実施例1、実施例2、実施例3及び比較例1の四者の比較結果を説明する。まず、コア部の露出の有無であるが、実施例1、2及び3におけるセラミック粒子はコア部が部分的に露出しているが、比較例1におけるセラミック粒子は上記したようにコア部が露出せずにシェル部に完全に覆われている。ここで、比誘電率εを比較すると、目標とする比誘電率を3000とすると、この目標値を満足するのは実施例1乃至3における原料粒だけである。以上の比較結果から明らかなように、コア部が露出しているセラミック粒子を有していることによって、有していないより比誘電率を高くすることができる。
【0036】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、コア部が部分的に露出する粒子を有することで、静電容量を減少させることなくセラミックの厚みを厚く保つことができる。この結果、磁器コンデンサの耐電圧を高く保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本実施形態に係る磁器コンデンサの分解斜視図である。
【図2】 本発明に係るコア・シェル構造を示す断面図である。
【図3】 加速寿命を比較するための図表である。
【図4】 従来のコア・シェル構造を示す断面図である。
【符号の説明】
1 磁気コンデンサ
3 誘電体
5 内部電極
7 積層体
9 外部電極
51 セラミック粒子
53 コア部
55 シェル部

Claims (2)

  1. 主にBaTiO 3 誘電体磁器組成物からなる誘電体層と、当該誘電体層を挟むように形成された内部電極と、を備え、
    前記誘電体磁器組成物は、誘電体セラミック粒子からなり、
    前記セラミック粒子はコア部と、当該コア部の外殻部を構成し、かつ、当該コア部の比誘電率よりも低い比誘電率の誘電体からなるシェル部と、から構成されたセラミック焼結体を含む、磁器コンデンサにおいて、
    前記コア部が前記シェル部から部分的に露出しているとともに、
    温度20℃、周波数1kHz、実効値電圧1.0Vであった時の比誘電率が3000以上であることを特徴とする磁器コンデンサ。
  2. 前記コア部、Mn,V,Fe,Co,N及びCrから選択された1種又は2種以上の元素の酸化物固溶していることを特徴とする請求項1に記載した磁器コンデンサ。
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