JP2001313225A - 磁器コンデンサ - Google Patents

磁器コンデンサ

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JP2001313225A JP2000169768A JP2000169768A JP2001313225A JP 2001313225 A JP2001313225 A JP 2001313225A JP 2000169768 A JP2000169768 A JP 2000169768A JP 2000169768 A JP2000169768 A JP 2000169768A JP 2001313225 A JP2001313225 A JP 2001313225A
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Noriyuki Kozu
典之 神津
Yoichi Mizuno
洋一 水野
Koichi Chazono
広一 茶園
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐電圧の高い磁器コンデンサを提供する。 【解決手段】 誘電体磁器組成物からなる誘電体層
(3)と、誘電体層(3)を挟むように形成された内部
電極(5)と、を備え、誘電体磁器組成物は、誘電体セ
ラミック粒子からなり、このセラミック粒子はコア部
(53)と、コア部(53)の外殻部を構成し、かつ、
当該コア部の比誘雷率よりも低い比誘電率の誘電体から
なるシェル部(55)と、から構成されたセラミック焼
結体を含む、磁器コンデンサ(1)において、コア部
(53)がシェル部(55)から部分的に露出している
ことを特徴とする。コア部(53)が部分的に露出する
粒子を有することで、静電容量を減少させることなくセ
ラミックの厚みを厚く保つことができる。この結果、磁
器コンデンサの耐電圧を高く保つことができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、いわゆるコア・
シェル構造を有するセラミック粒子からなる誘電体層を
用いた磁器コンデンサに関する。
【0002】
【従来の技術】磁器コンデンサに用いられる誘電体磁器
は、高い誘電率と良好な温度特性を確保するために、誘
電体セラミック粒子からなり、図4に示すように、この
セラミック粒子101がコア部103と、コア部103
の外殻部を構成するシェル部105と、を含む、いわゆ
るコア・シェル構造を持たせることが行われている。そ
の一方で、近年における電子回路の高密度化に伴い、磁
器コンデンサは、できるだけ薄く小型にし、かつ、でき
るだけ容量を大きくする傾向、すなわち、薄層大容量化
の傾向にある。積層コンデンサの静電容量は、電極の面
積に比例し、電極間の距離に反比例して増加するので、
同じ面積の電極であれば、両者間にあるセラミックを薄
くすれば薄くするほど静電容量を大きくとることができ
る。このため、セラミックを薄くするための技術開発が
盛んに行われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、セラミ
ックを薄くれば薄くするだけ、磁器コンデンサに対する
信頼性と寿命に悪影響を与えかねない。すなわち、誘電
体層を形成するセラミックの厚みを、たとえば、10μ
mとし、これに10ボルトの電圧をかけたとすると、1
cmに換算すると1万ボルトかかったことになる。10
μmより薄くすれば、さらに高い電圧が誘電体層にかか
ることになる。この例から理解されるように、高い信頼
性とできるだけ長い寿命を確保するためには、セラミッ
クの厚みはできるだけ厚くして、耐電圧をできるだけ高
く保つことが好ましい。上述したように、薄層大容量化
の要請と、信頼性と寿命の確保の要請という相反する要
請を満たすためには、静電容量を減少させることなくセ
ラミックの厚みをできるだけ厚くする必要がある。これ
が、本発明が解決しようとする課題である。
【0004】上述した課題を解決するために試行錯誤を
繰返した発明者は、セラミックの誘電率を高めることに
よって、この要請を満足させることに成功した。具体的
には、上述したコア・シェル構造を構成するコア部とシ
ェル部との構成比を制御する手法を採用した。詳細な構
成は、項を改めて説明する。なお、何れかの請求項に係
る発明の説明において行った用語の定義等は、その性質
上可能な範囲において他の請求項に係る発明にも適用さ
れるものとする。
【0005】請求項1に記載した発明の構成 請求項1に記載した発明に係る磁器コンデンサ(以下、
「請求項1のコンデンサ」という)は、誘電体磁器組成
物からなる誘電体層と、当該誘電体層を挟むように形成
された内部電極と、を備え、前記誘電体磁器組成物は、
誘電体セラミック粒子からなり、前記セラミック粒子は
コア部と、当該コア部の外殻部を構成し、かつ、当該コ
ア部の比誘電率よりも低い比誘電率の誘電体からなるシ
ェル部と、から構成されたセラミック焼結体を含むコン
デンサである。請求項1のコンデンサの特徴は、前記コ
ア部が前記シェル部から部分的に露出している、すなわ
ち、シェル部が部分的に欠けていることにある。
【0006】請求項1に記載した発明の作用効果 請求項1のコンデンサによれば、シェル部が欠けている
分だけ欠けていない場合に比べてシェル部全体の容積が
小さくなる。換言すると、シェル部が欠けている分だけ
全体に占めるシェル部、すなわち、比誘電率の低い部分
の占有割合(構成比率)が小さくなる。占有割合を小さ
くすると、セラミック焼結体全体の比誘電率が高くな
り、比誘電率が高くなれば、静電容量を減少させること
なくセラミックの厚みを厚くすることができる。以上の
通り、シェル部が欠けていることによって、薄層大容量
化の要請と、信頼性と寿命の確保の要請という相反する
磁器コンデンサに対する要請を満たすことができる。
【0007】請求項2に記載した発明の構成 請求項2に記載した発明に係る磁器コンデンサ(以下、
「請求項2のコンデンサ」という)は、請求項1のコン
デンサの構成に限定が加わり、前記コア部が、Mn(マ
ンガン),V(バナジューム),Fe(鉄),Co(コ
バルト),Ni(ニッケル)及びCr(クロム)から選
択された1種又は2種以上の元素(遷移金属)の酸化物
を固溶したBaTiO3(チタン酸バリウム)であるこ
とを特徴とする。「一種又は2種以上」とは、固溶させ
る遷移金属は上記に列挙したものを一種だけ固溶させて
もよいし、適当に組み合わせた複数種を固溶させてもよ
い、ということであり、そのような場合として、たとえ
ば、Mnの酸化物だけを固溶させた場合、Mnの酸化物
とFeの酸化物とを固溶させた場合、Niと上記に列挙
したもの以外の遷移金属とを固溶させた(この場合は、
Niだけを固溶させた場合に該当する)場合、がある。
【0008】請求項2に記載した発明の作用効果 請求項2の磁器コンデンサは、請求項1の磁器コンデン
サの作用効果に加え、前述した遷移金属を固溶させたB
aTiO3によってコア部を構成することにより、固溶
させない場合に比べて焼成時における耐還元性が向上す
る、という作用効果が生じる。耐還元性が向上した結
果、磁器コンデンサの信頼性と寿命の確保が実現する。
【0009】
【発明の実施の形態】次に、各図を参照しながら、本発
明の実施の形態(以下、「本実施形態」という)につい
て説明する。図1は本実施形態に係る磁器コンデンサの
分解斜視図であり、図2は本発明に係るコア・シェル構
造を示す断面図である。図3は、加速寿命を比較するた
めの図表である。なお、図2では、理解を容易にするた
めにシェル部分にのみハッチングを行った。
【0010】磁器コンデンサの全体構造 図1に示すように、磁器コンデンサ1は、誘電体3と内
部電極5とを交互に積層させて構成した積層体7と、積
層体7の両端部において内部電極5に一層おきに接続さ
れた一対の外部電極9,9とから構成されている。各部
材の構成は、次に説明する通りである。
【0011】誘電体層の構成 誘電体3を構成する各誘電体の原材料は、主にBaTi
O3(チタン酸バリウム)である。本実施形態では、こ
のBaTiO3に、SiO3(酸化ケイ素)、B2O3
(酸化ホウ素)、LiO3(酸化リチウム)等を主成分
とするガラス成分を、このBaTiO3に適量添加して
焼成温度の低下を図っている。焼成温度を低下させるの
は、内部電極5が融解するのを防ぐためである。また、
耐還元性や温度特性等の度合いを調整するために、Y
(イットリウム)、La(ランタン)、Ce(セリウ
ム)、Pr(プラセオジム)、Nd(ネオジム)、Pm
(プロメチウム)、Sm(サマリウム)、Eu(ユウロ
ビウム)、Gd(ガドリニウム)、Tb(テルビウ
ム)、Dy(ジスプロシウム)、Ho(ホルミウム)、
Er(エルビウム)、Tm(ツリウム)、Yb(イッテ
ルビウム)、Lu(ルテチウム)等の希土類元素を含む
酸化物や、Sc(スカンジウム)、Ti(チタン)、V
(バナジウム)、Cr(クロム)、Mn(マンガン)、
Fe(鉄)、Co(コバルト)、Ni(ニッケル)等の
遷移金属を含む酸化物を添加するのが好ましい。
【0012】誘電体材料の製造 次に、上述した原料粉末から誘電体を製造する方法例に
ついて説明する。まず、出発原料を所定量ずつ秤量して
配合し、ボールミル等により湿式混合する。次に、この
湿式混合した原料を、スプレードライヤー(噴霧乾燥
機)等により乾燥させ、乾燥後に仮焼して誘電体酸化物
を製造する。仮焼は、通常600〜1200℃の温度
で、2〜10時間程度行う。仮焼した材料を、ジェット
ミルやボールミル等により所定粒径となるまで粉砕して
誘電体材料を製造する。
【0013】スラリーの作製 次に、スラリー(泥奨)を作製する。スラリーは、上述
した誘電体材料に、バインダー及び溶剤を加えて作製す
る。可塑性を高めるために可塑材等を添加したり、材料
の均一化を図るために分散剤等を必要に応じて添加して
もよい。誘電体材料の全体に対する割合は30〜80重
量%とし、同じくバインダーはその種類に応じて2〜5
重量%とし、同じく溶剤もその種類に応じて20〜70
重量%とするのが好ましい。また、可塑剤或いは分散剤
を添加する場合は、それぞれその種類に応じて0.1〜
5重量%とすると好結果が得られる。誘電体材料とバイ
ンダー及び溶剤等の混合は、バスケットミル、ボールミ
ル、ビーズミル等を用いて行うとよい。
【0014】バインダーの例として、アビチエン酸レジ
ン、ポリビニルブチラール、エチルセルロース、アクリ
ル樹脂が挙げられる。溶剤の例として、エタノール、テ
ルピネオール、ブチルカルビトール、トルエン、ケロシ
ンが挙げられる。可塑剤の例として、アビエチン酸誘導
体、ジエチル蓚酸、ポリエチレングリコール、フタール
酸エステル、フタール酸ジブチルが挙げられる。分散剤
の例として、グリセリン、オクタデシルアミン、トリク
ロロ酢酸、オレイン酸、オクタジエン、オレイン酸エチ
ル、モノオレイン酸グリセリン、オリオレイン酸グリセ
リン、トリステアリン酸グリセリン、メンセーデン油が
挙げられる。
【0015】グリーンシートの作製 次に、グリーンシートを作製する。グリーンシートの作
製は、ポリエステルフィルム等のキャリアフィルム上
に、スラリーを所定の厚み(1〜20μm程度)に延ば
し、乾燥させることにより行う。スラリーの延ばしは、
リップコーター法、ダイコーター法、リバースコーター
法等をも用いて行うことができるが、本実施形態では、
ナイフ状の厚さ調節冶具(ドクターブレード)を用いて
キャリアフィルム上にスラリーを一定の厚さに塗布する
ドクターブレード法を用いて行っている。こうして作製
したグリーンシートは、これを加工しやすくするために
適当な寸法に裁断する。以下の説明においてグリーンシ
ートとは、この裁断後のグリーンシートのことをいうも
のとする。
【0016】内部電極パターンの形成 次に、内部電極パターンを形成する。内部電極パターン
は、上述したグリーンシートの表面に導電性ペーストを
印刷することにより形成する。導電ペーストに混合する
導電材料としては、Ni(ニッケル)やCu(銅)等の
卑金属材料もしくはこれらの合金、さらには、これらの
混合物を用いるとよい。これらの導電材料を、有機ビヒ
クルに混合して攪拌すると、導電ペーストが得られる。
導電材料の形状に特に制限はなく、そのような形状とし
て、たとえば、球状やリン片状やこれらの混在した形状
が挙げられる。また、導電材料の平均粒子径は、0.1
〜10μm程度がよく、好ましくは、0.1〜1μm程
度にするとよい。有機ビヒクルは、バインダーと溶剤を
含有している。導電性ペーストの印刷は、スクリーン印
刷による印刷法、金属板の上に形成したパターンを転写
する転写法等を用いて行うとよい。
【0017】有機ビヒクルに含有されるバインダーに
は、たとえば、エチルセルロース,アクリル樹脂、ブチ
ラール樹脂等があるが、これら以外のものをバインダー
として使用することもできる。バインダーの含有量は、
1〜10重量%程度が好ましい。溶剤には、たとえば、
テルピネオール、ブチルカルビトール、ケロシン等があ
るが、これら以外のものを溶剤として使用することもで
きる。溶剤の含有量は、20〜55重量%が好ましい。
これらのバインダーと溶剤の他に、ソルビタン脂肪酸エ
ステル、グリセリン脂肪酸エステル等の分散剤や、ジオ
クチルフタレート、ジブチルフタレート、ブチルフタリ
ルグリコール酸ブチル等の可塑剤や、デラミ防止と焼結
抑制等を目的として誘電体(絶縁体)等の各種セラミッ
ク粉体等を添加することもできる。有機金属レジネート
を添加することもできる。
【0018】積層体の作製 次は、グリーンシートの積層を行う。内部電極パターン
を印刷したグリーンシートを、図1に示すように交互に
積み重ね、さらにその上下を内部電極パターンの印刷さ
れていないグリーンシート(いわゆるダミーシート)で
挟み、これらを圧着して積層体7を作製する。なお、こ
の積層方法の他に、グリーンシートと導電ペーストとを
所定の順序で順次印刷して積み重ねていく、いわゆるス
ラリービルト法によっても積層体を作製することができ
る。次に、作製した積層体を、格子状に適当な寸法に裁
断し、チップ状のセラミック積層体を多数作製する。
【0019】積層体の焼成 次に、積層体を焼成する。積層体を雰囲気焼成できる炉
に入れ、大気中で300〜600℃程度まで加熱して有
機バインダーを燃焼させる。その後、炉の雰囲気を還元
雰囲気とし、1100〜1400℃まで温度を上昇さ
せ、この温度を0.5〜3時間程度保持する。その後、
焼成温度を室温まで下げることにより、焼成した積層体
が得られる。
【0020】外部電極の形成 次に、外部電極の形成を行う。切断積層体7の側面に
は、切断によって内部電極が露出しているので、この側
面に銀や銅からなる金属粉とガラスフリットとビヒクル
からなる導電性ペーストを塗布して乾燥させ、これを大
気中で800℃の温度で15分間焼き付けて下地電極層
を形成する。さらに、この下地電極層の表面に銅を無電
解メッキで施し、さらに、半田濡れ性をよくするために
半田メッキを施しておく。これで、一対の外部電極9,
9を備える積層コンデンサ1が完成する。
【0021】
【実施例】実施例1 次に、本発明の実施例1について説明する。積層コンデ
ンサの誘電体磁器を得るために本実施例では、まず、水
熱合成法によって作成した平均粒径0.5μmのBaT
iO3を100重量%、MgO+Ho2O3を1.8重
量%、Si2O31.5重量%、MnOを0.1重量%
を、それぞれ秤量し、これらをアルミナボール及び水
2.5リットルとともにポットミルに入れ、15時間攪
拌混合して混合物を得た。
【0022】次に、この混合物をステンレスポットに入
れ、熱風式乾燥器を用いて150℃で約4時間乾燥し基
本成分となる第1成分の粉末を得た。
【0023】次に、この第1成分の粉末98モル部及び
CaZrO3(基本成分の第2成分)の粉末2モル部を
各々秤量し、これらの基本成分100重量部に対して添
加成分の第1成分(0.20Li2O−0.60SiO
2−0.04Sr0−0.10OMgO−0.06Zn
O)2重量部を添加し、ブチラール系の樹脂からなる有
機バインダを基本成分と添加成分の合計重量に対して1
5重量%添加し、更に、50重量%のエタノールを加
え、これらをボールミルで粉砕混合してスラリーを作成
した。
【0024】次に、このスラリーをリバースロールコー
タに入れて薄膜成形物を形成し、これを長尺なポリエス
テルフィルム上に連続して受け取らせ、この薄膜成形物
を同フィルム上で100℃に加熱して乾燥させ、厚さ約
10μmの未焼成セラミックシートを得た。この未焼成
セラミックシートは長尺なものであるが、これを10c
m各の正方形に裁断して使用する。
【0025】一方、内部電極用の導電性ペーストは、粒
径約1.0μmのニッケル粉末10gと、エチルセルロ
ース0.9gとを、ブチルカルビトール9.1gに溶解
させたものを攪拌機に入れ、10時間攪拌することによ
り得た。そして、この導電性ペーストをパターンを有す
るスクリーンを介して上記未焼成セラミックシートの片
側に印刷した後、これを乾燥させた。
【0026】次に、上記印刷面を上にして未焼成セラミ
ックシートを10枚積層した。この際、隣接する上下の
シートにおいて、その印刷面がパターンの長手方向に約
半分ほどずれるように配置した。さらに、この積層物の
上下両面にそれぞれ導電性ペーストを印刷していない未
焼成セラミックシートを複数枚積層し、約50℃の温度
で厚さ方向に約40トンの過重を加えて圧着させ、その
後、この積層物を完成品が3216形状(長さ3.2m
m、幅1.6mmの形状)の大きさになるよう格子状に
裁断して未焼成セラミック積層体(積層体チップ)を得
た。
【0027】次に、この積層体チップを脱バインダーが
できる炉に入れ、N2(窒素)雰囲気中において毎時6
0℃の割合で400℃まで昇温させ積層体チップに含ま
れる有機バインダを燃焼させた。
【0028】有機バインダーを燃焼除去した後、H2
(2体積%)+N2(98体積%)となるように還元性
雰囲気とした状態を保って室温から焼結温度の1200
℃まで、毎時100℃の割合で昇温して1200℃(最
高温度)を1.0時間保持した後、毎時100℃の割合
で降温し、雰囲気を大気雰囲気(酸化性雰囲気)におき
かえて、600℃を0.5時間保持して酸化処理を行
い、その後、室温まで冷却して積層焼結体チップを得
た。
【0029】最後に、電極が露出する積層焼結体チップ
の側面に銅とガラスフリット(glass frit)
とビヒクル(vehicle)とからなる導電性ペース
トを塗布して乾燥し、これを大気中において650℃の
温度で15分間焼付け、銅電極層を形成し、更にこの上
に電解メッキ法でニッケル層を形成し、更にこの上に電
気メッキ法でPb−Sn半田層を設けて、一対の外部電
極を形成した。これにより、磁器コンデンサ1が得られ
た。
【0030】ここで、完成した磁器コンデンサの比誘電
率を求めた。そのために、まず、完成した磁器コンデン
サからランダムに50個抜き取り、抜き取った磁器コン
デンサの静電容量を測定した。次いで、この測定結果を
基に計算し比誘電率εを求めた。なお、静電容量の測定
に用いた測定器は、HP(HEWLETT PACKA
RD)社製4284Aであり、測定時の条件は、温度2
0℃、周波数1KHz、電圧(実効値)1.0Vであっ
た。また、加速寿命については、JIS(日本工業規
格)に準拠した加速寿命試験にて、100個測定したと
きの不良発生数で表した(図3参照)。
【0031】また、焼成した積層体7を部分的に研磨
し、その研磨面をTEM(透過型電子顕微鏡)で観察し
たところ、図2に示すように、セラミック粒子51のコ
ア部53がシェル部55から部分的に露出していること
が確認できた。この観察を、次に述べる実施例2及び3
においても行ったところ、実施例1と同様に部分的に露
出するコア部を観察することができた。
【0032】実施例2 実施例2は、実施例1と基本的に同じでものあって、両
者が異なるのは、BaTiO3原料粒の作成方法であ
る。すなわち、実施例2は固相法によってBaTiO3
原料粒を作成する点で、水熱法によって作成する実施例
1と異なっている。焼成温度は、実施例1と同じく12
00℃を最高温度とした。実施例2における比誘電率や
加速寿命等は、図3に示すとおりであって、これらは、
実施例1において用いた方法と同じ方法を用いて求めた
ものである。
【0033】実施例3 実施例3は、実施例2と基本的に同じでものあって、焼
成の最高温度を1250℃にした点が実施例2と異なっ
ている。この結果、コア部にMnの固溶が見られた。比
誘電率や加速寿命等は、図3に示す通りであり、これら
も、実施例1において用いた方法と同じ方法を用いて求
めたものである。
【0034】比較例1 また、実施例1、2又は3と比較するために、コア部の
露出していないセラミック粒子からなる積層コンデンサ
を作成した。比較例1の作成方法は、基本的に実施例1
で用いた方法と同じであるが、実施例1では最高温度1
200℃で焼成した点で、最高温度1300℃で焼成し
た比較例1と異なっている。
【0035】データの比較 図3に基づいて、実施例1、実施例2、実施例3及び比
較例1の四者の比較結果を説明する。まず、コア部の露
出の有無であるが、実施例1、2及び3におけるセラミ
ック粒子はコア部が部分的に露出しているが、比較例1
におけるセラミック粒子は上記したようにコア部が露出
せずにシェル部に完全に覆われている。ここで、比誘電
率εを比較すると、目標とする比誘電率を3000とす
ると、この目標値を満足するのは実施例1乃至3におけ
る原料粒だけである。以上の比較結果から明らかなよう
に、コア部が露出しているセラミック粒子を有している
ことによって、有していないより比誘電率を高くするこ
とができる。
【0036】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、コ
ア部が部分的に露出する粒子を有することで、静電容量
を減少させることなくセラミックの厚みを厚く保つこと
ができる。この結果、磁器コンデンサの耐電圧を高く保
つことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本実施形態に係る磁器コンデンサの分解斜
視図である。
【図2】 本発明に係るコア・シェル構造を示す断面
図である。
【図3】 加速寿命を比較するための図表である。
【図4】 従来のコア・シェル構造を示す断面図であ
る。
【符号の説明】
1 磁気コンデンサ 3 誘電体 5 内部電極 7 積層体 9 外部電極 51 セラミック粒子 53 コア部 55 シェル部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 水野 洋一 東京都台東区上野6丁目16番20号 太陽誘 電株式会社内 (72)発明者 茶園 広一 東京都台東区上野6丁目16番20号 太陽誘 電株式会社内 Fターム(参考) 4G031 AA01 AA03 AA05 AA06 AA07 AA11 AA13 AA16 AA19 AA21 AA22 AA23 AA26 BA09 CA08 GA01 5E001 AB01 AB03 AE02 AE03 AE04

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 誘電体磁器組成物からなる誘電体層と、
    当該誘電体層を挟むように形成された内部電極と、を備
    え、 前記誘電体磁器組成物は、誘電体セラミック粒子からな
    り、 前記セラミック粒子はコア部と、当該コア部の外殻部を
    構成し、かつ、当該コア部の比誘電率よりも低い比誘電
    率の誘電体からなるシェル部と、から構成されたセラミ
    ック焼結体を含む、磁器コンデンサにおいて、 前記コア部が前記シェル部から部分的に露出しているこ
    とを特徴とする磁器コンデンサ。
  2. 【請求項2】 前記コア部が、Mn,V,Fe,Co,
    NI及びCrから選択された1種又は2種以上の元素の
    酸化物を固溶したBaTiO3であることを特徴とする
    請求項1に記載した磁器コンデンサ。
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