JP4063735B2 - 積層型光電変換装置を含む薄膜光電変換モジュール - Google Patents

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本発明は、薄膜光電変換モジュールの変換効率の改善に関し、特に光電変換ユニットが複数積層された薄膜光電変換装置を含む薄膜光電変換モジュールの光電変換効率の改善に関するものである。
なお、本願明細書における「結晶質」、「微結晶」との用語は、部分的に非晶質を含んでいるものも含んでいるものとする。また、本願明細書における「pin接合」の用語は、基板上への積層順がp型層、i型層、n型層の順番のものと、n型層、i型層、p型層の順番のものいずれも含んでいるものとする。また、本願明細書における「pin接合」の用語は、i型層に対して光入射側に近い層がp型層のものと、光入射側に近い層がn型層のものいずれも含んでいるものとする。
近年、光電変換装置の低コスト化、高効率化を両立するために資源面での問題もほとんど無い薄膜光電変換装置が注目され、開発が精力的に行われている。薄膜光電変換装置は、太陽電池、光センサ、ディスプレイなど、さまざまな用途への応用が期待されている。薄膜光電変換装置の一つである非晶質シリコン光電変換装置は、低温で大面積のガラス基板やステンレス基板上に形成できることから、低コスト化が期待できる。
薄膜光電変換装置は、一般に表面が絶縁性の基板上に順に積層された第一電極、1以上の半導体薄膜光電変換ユニット、及び第二電極とを含んでいる。そして1つの薄膜光電変換ユニットはp型層とn型層でサンドイッチされたi型層からなる。
薄膜光電変換ユニットの厚さの大部分は、実質的に真性の半導体層であるi型層によって占められ、光電変換作用は主としてこのi型層内で生じる。従って、光電変換層であるi型層の膜厚は光吸収のためには厚いほうが好ましいが、必要以上に厚くすると、その堆積にコストと時間がかかることになる。
他方、p型やn型の導電型層は光電変換ユニット内に拡散電位を生じさせる役目を果たし、この拡散電位の大きさによって薄膜光電変換装置の重要な特性の1つである開放端電圧の値が左右される。しかし、これらの導電型層は光電変換には寄与しない不活性な層であり、導電型層にドープされた不純物によって吸収される光は発電に寄与せず損失となる。したがって、p型とn型の導電型層の膜厚は、十分な拡散電位を生じさせる範囲内で可能な限り薄くすることが好ましい。
ここで、光電変換ユニットまたは薄膜太陽電池は、それに含まれるp型とn型の導電型層が非晶質か結晶質かにかかわらず、その主要部を占めるi型の光電変換層が非晶質のものは非晶質光電変換ユニットまたは非晶質薄膜太陽電池と称され、i型層が結晶質のものは結晶質光電変換ユニットまたは結晶質薄膜太陽電池と称される。
一般に光電変換層に用いられている半導体は、波長が長くなるに従い光吸収係数が小さくなる。特に、光電変換材料が薄膜である場合は、吸収係数の小さな波長領域において十分な光吸収が生じないために、光電変換量が光電変換層の膜厚によって制限されることになる。そこで、光電変換装置内に入射した光が外部に逃げにくい光散乱構造を形成することによって、実質的な光路長を長くし、十分な吸収を得、大きな光電流を発生させ得る工夫がなされている。例えば、光が基板側から入射する場合、光入射側電極として表面型状が凹凸であるテクスチャ透明導電膜が用いられている。
また、薄膜光電変換装置の変換効率を向上させる方法として、2つ以上の光電変換ユニットを積層した積層型光電変換装置にする方法が知られている。この方法においては、光電変換装置の光入射側に大きなバンドギャップを有する光電変換層を含む前方光電変換ユニット(本願では、相対的に光入射側に配置された光電変換ユニットを前方光電変換ユニット、相対的に光入射側から遠い側に配置された光電変換ユニットを後方光電変換ユニットと呼ぶ。)を配置し、その後ろに順に小さなバンドギャップを有する(例えばSi−Ge合金の)光電変換層を含む後方光電変換ユニットを配置することにより、入射光の広い波長範囲にわたって光電変換を可能にし、これによって装置全体としての変換効率の向上が図られている。積層型薄膜光電変換装置の中でも、非晶質光電変換ユニットと結晶質光電変換ユニットを積層したものはハイブリッド型光電変換装置と称される。ハイブリッド型光電変換装置においては、非晶質シリコンが光電変換し得る光の波長は長波長側において800nm程度であるが、結晶質シリコンはそれより長い約1100nm程度までの光を光電変換することが可能であるため、入射光のより広い範囲を有効に光電変換することが可能になる。
ところで、積層型光電変換装置では、各光電変換ユニットが直列に接続されているため、光電変換装置としての短絡電流密度(Jsc)は各光電変換ユニットで発生する電流値のうち最も小さな値で律速される。従って、各光電変換ユニットの電流値は均等であるほど好ましく、さらに電流の絶対値が大きいほど変換効率の向上が期待できる。積層型の薄膜光電変換装置では、積層された複数の薄膜光電変換ユニットの間に光透過性及び光反射性の双方を有し且つ導電性の中間反射層を介在させることがある。この場合、中間反射層に到達した光の一部が反射し、中間反射層よりも光入射側に位置する光電変換ユニット内での光吸収量が増加し、その光電変換ユニットで発生する電流値を増大させることができる。すなわち、見かけ上中間反射層よりも光入射側に位置する光電変換ユニットの実効的な膜厚が増加したことになる。例えば、非晶質シリコン光電変換ユニットと結晶質シリコン光電変換ユニットからなるハイブリッド型光電変換装置に中間反射層を挿入した場合、非晶質シリコン層の膜厚を増やすことなく非晶質シリコン光電変換ユニットによって発生する電流を増加させることができる。もしくは、同一の電流値を得るために必要な非晶質シリコン層の膜厚を薄くできることから、非晶質シリコン層の膜厚増加に応じて顕著となる光劣化による非晶質シリコン光電変換ユニットの特性低下を押さえることが可能となる。
中間反射層は、多結晶のITO、ZnOのような透明導電性金属酸化物層、特にZnOで構成されることが多い。しかしながら、ZnOはスパッタ、スプレーなどの手法で形成されるため、プラズマCVD法等で一般的に形成される半導体薄膜とは別設備を用いる必要があり、設備コストがかかり、生産タクトも長くなるという問題が発生する。さらに、特にZnOの形成にスパッタ法を用いる場合、下地半導体薄膜へのスパッタダメージによる性能低下を引き起こす可能性がある、という問題も発生する。
また、太陽電池の直列抵抗に与える影響を抑制するために、透明導電性金属酸化物層と半導体薄膜と界面で良好なオーミックコンタクトを取る必要がある。このために透明導電性金属酸化物層の暗導電率は、不純物をドープすることや酸化度を変化させることなどによって1.0×102S/cm〜1.0×103S/cmの高い値に調節する必要がある。
特にZnOは、非晶質シリコンまたは結晶質シリコンとの界面でオーミックコンタクトを取ることが困難であることが一般に知られている。暗導電率がこの範囲よりも低いと、中間反射層と前方光電変換ユニット、および中間反射層と後方光電変換ユニットとの良好なオーミックコンタクトが取れなくなり、接触抵抗が増加してセルの曲線因子(FF)を低下させ、光電変換装置の特性が悪くなる。逆に、暗導電率がこの範囲より高いと透明導電性金属酸化物層の透過率が低下して短絡電流密度(Jsc)を低下させ、光電変換装置の特性が悪くなる。
ところで、大面積の薄膜光電変換装置は、通常、集積型薄膜光電変換モジュールとして形成される。集積型薄膜光電変換モジュールは、小面積に区切られた光電変換装置である光電変換セルを、複数個、ガラス基板上で相互に直列接続した構造を有している。それぞれの光電変換セルは、一般的には、ガラス基板上への透明電極層、1つ以上の薄膜半導体光電変換ユニット、及び裏面電極層の製膜とパターニングとを順次行うことにより形成されている。
図19は、積層型光電変換装置を複数直列接続した中間反射層のない従来の集積型薄膜光電変換モジュールの例を概略的に示す断面図である。図19に示す集積型薄膜光電変換モジュール101は、ガラス基板102上に、透明電極層103、非晶質シリコン光電ユニットである前方光電変換ユニット104a、結晶質シリコン光電変換ユニットである後方光電変換ユニット104b、及び裏面電極層106を順次積層した構造を有している。
図19に示すように、集積型薄膜光電変換モジュール101には、上記薄膜を分割する第1、第2の分離溝121、122と接続溝123とが設けられている。これら第1、第2の分離溝121、122及び接続溝123は、互いに平行であって、紙面に対して垂直な方向に延在している。なお、隣り合う光電変換セル110間の境界は、第1及び第2の分離溝121,122によって規定されている。
第1の分離溝121は、透明電極層103をそれぞれの光電変換セル110に対応して分割しており、透明電極層103と非晶質シリコン光電変換ユニット104aとの界面に開口を有し且つ透明基板102の表面を底面としている。この第1の分離溝121は、非晶質シリコン光電変換ユニット104aを構成する非晶質によって埋め込まれており、隣り合う透明電極膜103同士を電気的に絶縁している。
第2の分離溝122は、第1の分離溝121から離れた位置に設けられている。第2の分離溝122は、前方光電変換ユニット104a、後方光電変換ユニット104b、及び裏面電極層106をそれぞれの光電変換セル110に対応して分割しており、裏面電極層106の上面に開口を有し且つ透明電極層103と前方光電変換ユニットの界面を底面としている。この第2の分離溝122は、隣り合う光電変換セル110間で裏面電極層106同士を電気的に絶縁している。
接続溝123は、第1の分離溝121と第2の分離溝122との間に設けられている。接続溝123は、前方光電変換ユニット104a、後方光電変換ユニット104bを分割しており、後方光電変換ユニット104bと裏面電極層106との界面に開口を有し且つ透明電極層103と前方光電変換ユニット104aの界面を底面としている。この接続溝123は、裏面電極層106を構成する金属材料で埋め込まれており、隣り合う光電変換セル110の一方の裏面電極層106と他方の透明電極層103とを電気的に接続している。すなわち、接続溝123及びそれを埋め込む金属材料は、ガラス基板102上に並置された光電変換セル110同士を直列接続する役割を担っている。
図20に示すように、単純に、図19の構造に中間反射層として透明導電性金属酸化層を、前方光電変換ユニットと後方光電変換ユニットの間に挿入すると、以下に説明するようにリーク電流の問題が発生し、集積型薄膜光電変換モジュールの特性が著しく低下する。
図20のように、中間反射層105を設けると、接続溝123は、前方光電変換ユニット104a、中間反射層105、後方光電変換ユニット104bを貫通し、この接続溝123に裏面電極層106を構成する材料が埋め込まれる。すなわち、接続溝123に埋め込む金属と中間反射層105とは接触することとなる。
この中間反射層を透明導電性金属酸化層で形成した場合、前述のように1.0×102S/cm〜1.0×103S/cmの高い暗導電率を有しており、中間反射層の中で基板と平行な方向にも容易に電流が流れて、電極層の役割も果たしてしまう。すなわち、中間反射層105、接続溝123、裏面電極層106の電流経路で、後方光電変換ユニット104bが短絡してしまい、大きなリーク電流が流れる。そのため、図20の構造では、後方光電変換ユニットで生じた電力をほとんど取り出すことができない。
(先行例1)
このようなリーク電流の問題は、図21に示す本出願人による特許文献1に記載された新たに第3の分離溝を設けた構造を採用することにより解決され得るものと考えられる。特許文献1において、集積型薄膜光電変換モジュール101には、上記薄膜を分割する第1〜第3の分離溝121,122,124と接続溝123とが設けられている。
第3の分離溝124は、第1の分離溝121と接続溝123との間に設けられている。第3の分離溝124は、前方光電変換ユニット104a及び中間反射層105を分割しており、中間反射層105と後方光電変換ユニット104bとの界面に開口を有し且つ透明電極層103の表面を底面としている。この第3の分離溝124は、薄膜光電変換ユニット104bを構成する結晶質で埋め込まれており、中間反射層105のセル110内に位置する部分を接続溝123を埋め込む金属などの導電性材料から電気的に絶縁している。なお、第3の分離溝124は、第1の分離溝121が第3の分離溝124と接続溝123との間に位置するように設けられてもよい。但し、図21に示すように、第3の分離溝を第1の分離溝121と接続溝123との間に設けたほうが、発電に有効な面積を広くすることが容易である。
以上説明した図21のモジュール101では、分離溝124が設けられているため、中間反射層105のセル110内に位置する部分と接続溝123を埋め込む金属との間にリーク電流が発生するのを防止することができる。
しかしながら、図21の特許文献1の構造は、図19の構造に比べて分離溝が1本増えている。第1から第3の分離溝、あるいは接続溝は、一般にYAGレーザーなどによるパターニングによって行われる。すなわち、特許文献1の構造はパターニングの工程が1回増えることになり、YAGレーザーの台数の増加、またはパターニングのタクト時間が増加し、集積型薄膜光電変換モジュールの装置コスト、製造コストが増大する問題が発生する。
また、図19の構造を作製する場合、前方光電変換ユニット104aと後方光電変換ユニット104bをプラズマCVDで、連続して真空装置中で作製することが可能である。
しかし、特許文献1の構造の場合、前方光電変換ユニット104aをプラズマCVDで、中間反射層105をスパッタなどで作製した後、いったん真空装置から取り出して、YAGレーザーでパターニングを行う必要がある。その後、もう1回真空装置に基板を入れて後方光電変換ユニット104bをプラズマCVDで作製する必要がある。したがって、図21の構造の場合、真空装置への搬入、基板の加熱、真空装置からの搬出が1回ずつ増えるので、集積型薄膜光電変換モジュールの製造時間が増加して、製造コストが増加することになる。
また、中間反射層105を作成後に1回大気中に基板を取り出すので、中間反射層105と後方光電変換ユニット104bの界面に大気中不純物が吸着し、集積型薄膜光電変換モジュールの特性の低下、剥離しやすいなど信頼性の低下の問題が発生する場合がある。
さらに、第3の分離溝124を設けたことにより、薄膜光電変換セルの面積ロスが増加するので、中間反射層有りの集積型薄膜光電変換モジュールの特性を十分発揮するに至らない問題がある。
以上から中間反射層を有する集積型薄膜光電変換モジュールのリーク電流の抑制のためには、第3の分離溝が必要とする。しかし、第3の分離溝を必要とするために、パターニングが1回増える、前方光電変換ユニット、中間反射層および後方光電変換ユニットを連続して形成できないので装置コストとタクト時間が増加する、中間反射層と後方光電変換ユニットの界面が大気暴露によって汚染される、面積ロスが増えるなど複数の問題点が有り、モジュールコストの増加と特性低下が起こり、中間反射層の特性を十分発揮できない。
(先行例2)
ところで、積層型光電変換装置の半導体層の材料に非晶質酸化シリコンを使う例が特許文献2に開示されている。この例では、ガラス基板上に、SnO2などの透明電極、非晶質炭化シリコンの第一p型層、非晶質シリコン第一i型層、非晶質酸化シリコンの第一n型層、非晶質炭化シリコンの第二p型層、非晶質シリコンの第二n型層、非晶質シリコンの第二i型層、非晶質シリコンの第二n型層、Agなどの金属電極を形成した構造を有している。通常は第一n型層に非晶質シリコンまたは微結晶シリコンが用いられるが、特許文献2ではバンドギャプの広い非晶質酸化シリコンを用いることによって、光の吸収ロスを低減できると報告している。その結果、第一n型層を透過して第二i型層に到達する光が増加して、短絡電流密度(Jsc)が増加して積層型光電変換装置の特性が改善すると示している。
非晶質酸化シリコンは膜中の酸素濃度を任意に調整することが可能で、膜中酸素濃度が高いほどバンドギャップが広くなり、透過率が高くなる。一方、非晶質酸化シリコンの膜中酸素濃度が高くなるほど導電率が低下する。特許文献2では、第一n型層に適用するためには光を照射したときの導電率である光導電率が1X10−6S/cm以上必要とし、そのためには、一般式a−Si1-xxで表したときにxが0.2未満であることが必須であると報告している。
特許文献2では、後方光電変換ユニットの光電変換活性層である第二i型層に到達する光が増えて、後方光電変換ユニットの発電電流の増加によってJscが増加して、積層型薄膜光電変換装置の変換効率が改善するとしている。しかしながら、前方光電変換ユニットの特性の向上については何ら言及されていない。また、非晶質シリコンの第一i型層と非晶質酸化シリコンの第一n型層の界面で、光が反射して中間反射層としてはたらく可能性については何ら言及されていない。さらに非晶質酸化シリコンの屈折率について何ら言及されていない。特許文献2では非晶質酸化シリコンの膜中酸素濃度が20%未満に限定されているので、第5図に示すように、波長600nmの光に対する屈折率が3前後といえる。その場合、非晶質酸化シリコンと非晶質シリコンの屈折率の差が小さいため、界面での反射効果による電流の増加が期待できないのは明らかである。中間反射層として機能させるためには非晶質酸化シリコンの膜中酸素濃度を増加させて屈折率を減少させる必要があるが、その場合は光導電率が減少してFFが減少するために変換効率が低下してしまう。したがって、特許文献2の構成では非晶質酸化シリコンを中間反射層として用いることはできない。
(先行例3)
ところで、SiH4、CO2、H2を含み、CO2/SiH4の流量比を1.5以下限定してガスを分解することによって、シリコン微結晶相を含む非晶質酸化シリコン膜を作製し非晶質シリコン光電変換装置の窓層に適用する方法が特許文献3に開示されている。特許文献3では、窓層に適用可能な最低限の光導電率10−6S/cmの非晶質酸化シリコンに比べて、同じ光導電率のシリコン微結晶相を含む非晶質酸化シリコンは、吸収係数が小さくなるので、光電変換装置の窓層に適用した場合に光吸収損失が低減されると開示している。しかしながら、窓層以外に光電変換装置への適用例は何ら開示されてなく、積層型光電変換装置の中間反射層に適用する手法については何ら開示されていない。また、シリコン微結晶相を含む非晶質酸化シリコンの屈折率については何ら開示されていない。後述する本発明の重要な効果であるシリコン微結晶相を含む非晶質酸化シリコン膜とシリコン膜の屈折率の差を利用して中間反射層としての応用する基本概念、および構成に関して特許文献3では何ら開示されていない。
特開2002−261308号公報 特開平5−95126号公報 特許第3047666号公報
積層型光電変換装置において、中間反射層にZnOなどの透明導電性金属酸化物層を用いる場合、光電変換ユニットと作製方法が異なるため、装置または製膜室を別に設ける必要があり、装置コストの増加が避けられない問題がある。具体的には光電変換ユニットがプラズマCVDで作製されるのに対して、透明導電性金属酸化物層の中間反射層はスパッタ、スプレー法など光電変換ユニットとは異なる製膜方法で作製される。
また、中間反射層にZnOなどの透明導電性金属酸化物層を用いて集積型薄膜光電変換モジュールを作成する場合、第1の分離溝、第2の分離溝および接続溝を有する構造にすると、リーク電流が発生して集積型薄膜光電変換モジュールの特性が低下する問題がある。
このリーク電流の問題は、特許文献1に示すように、第3の分離溝を設けることによって解決できるが、以下に示すような新たな問題が発生する。すなわち、パターニングが1回増えるのでパターニングの装置コストとタクト時間が増加する問題が発生する。また、、前方光電変換ユニット、中間反射層および後方光電変換ユニットを連続して形成できないので基板を真空装置に搬入、加熱、搬出する作業が一回増えて、タクト時間が増加する問題が発生するとともに、中間反射層と後方光電変換ユニットの界面が大気暴露によって汚染される問題が発生する。さらに、面積ロスが増える問題が発生する。
さらに、非晶質シリコンを前方光電変換ユニットおよび後方光電変換ユニットのi型層に用いた積層型光電変換装置において、膜中酸素濃度20%未満の非晶質酸化シリコンを前方光電変換ユニットの第一n型層に用いた場合、屈折率が十分に下がらないので、第一i型層の非晶質シリコンと第一n型層の界面で反射効果が現れず、中間反射層として機能しない問題がある。また、非晶質酸化シリコンの膜中酸素濃度を20%以上に増加して屈折率を下げると、光導電率が低下して積層型光電変換装置のFFが減少して変換効率が低下する問題がある。
本発明によると、pin接合からなる光電変換ユニットを複数含む積層型光電変換装置、光入射側に近い側から第一の光電変換ユニット、一導電型のシリコン複合層、および第二の光電変換ユニットより順次構成された部分を少なくとも一つ以上含み、そのシリコン複合層はシリコンと酸素の非晶質合金母相中に分散されたシリコン結晶相を含む。一導電型のシリコン複合層を用いることによって、膜中酸素濃度を高くして、低い屈折率を実現して界面での高い反射効果を得ることが可能となる。また、一導電型のシリコン複合層は膜中酸素濃度が高いにもかかわらず、シリコン結晶相を含むことによって、高い暗導電率を実現することが可能となる。その結果、シリコン複合層を用いることによって、高い反射効果と、高い暗導電率の両立が可能となり、第一の光電変換ユニットの発電電流が増加して積層型光電変換装置の特性が改善される。
また、本発明によると、光入射側に近い側から第一の光電変換ユニットおよび第二の光電変換ユニットより順次構成された部分を少なくとも一つ以上含み、かつ第一の光電変換ユニットのi型層の光入射側から遠い側にn型層を備えた積層型光電変換装置においてそのn型層の少なくとも一部がn型のシリコン複合層であって、シリコン複合層は、シリコンと酸素の非晶質合金母相中に分散されたシリコン結晶相を含む。シリコン複合層が第一の光電変換ユニットのn型層の一部を兼用することによって、反射効果によって第一の光電変換ユニットの発電電流を増大すると同時に、光吸収損失を低減して第二の光電変換ユニットの発電電流をも増大させることが可能になる。
上記の場合、第一の光電変換ユニットのn型層は、n型の非晶質シリコンまたは微結晶シリコンである第一n型層、n型のシリコン複合層である第二n型層、n型の非晶質シリコンまたは微結晶シリコンである第三n型層より順次構成されたことが好ましい、あるいは、第一の光電変換ユニットのn型層は、n型のシリコン複合層である第一n型層、n型の非晶質シリコンまたは微結晶シリコンである第二n型層を積層した構造であることが好ましい。あるいは、第一の光電変換ユニットのn型層は、n型のシリコン複合層であることが好ましい。
上記のシリコン複合層は、反射効果を十分得るために、600nmの波長の光に対する屈折率が、1.7以上2.1以下であ、1.8以上2.1以下であることがさらに好ましい。また、シリコン複合層は、低い屈折率を実現するために、膜中酸素濃度が、40原子%以上60原子%以下であ、40原子%以上55原子%以下であることがさらに好ましい。
また、シリコン複合層は、暗導電率が、10-8S/cm以上10-1S/cm以下であることが好ましい。暗導電率が低すぎると光電変換装置の曲線因子(FF)が低下して変換効率が低下する。逆に、暗導電率が高すぎると集積型薄膜光電変換モジュールにしたときにリーク電流の発生の原因となる。
シリコン複合層は、最適な暗導電率を実現するために、ラマン散乱で測定した非晶質シリコン成分のTOモードピークに対する結晶シリコン成分のTOモードピークのピーク強度比が0.5以上10以下であることが好ましい。
また、シリコン複合層は、最適な反射効果を確実に得るために、膜厚が20nmより大きくて130nmより小さく、50nm以上100nm以下であることがさらに好ましい。
第一の光電変換ユニットの実質的に真性なi型層が非晶質シリコンであることが好ましい。また、第二の光電変換ユニットの実質的に真性なi型層が微結晶シリコンまたは薄膜多結晶シリコンであることが好ましい。あるいは、第二の光電変換ユニットの実質的に真性なi型層が非晶質シリコンゲルマニウムであることが好ましい。
本発明によると、積層型光電変換装置において、光電変換ユニットを3つ以上備え、少なくともいずれかの光電変換ユニットと光電変換ユニットの間に、一導電型のシリコン複合層をもつことを特徴とすることによって課題を解決する。
あるいは、本発明によると、積層型光電変換装置において、光電変換ユニットを3つ以上備え、最も光入射側から遠い光電変換ユニットを除く少なくとも一つ以上の光電変換ユニットについて、前記光電変換ユニットのi型層の光入射側から遠い側にn型層を備え、前記n型層の少なくとも一部が、n型のシリコン複合層であることを特徴とすることによって課題を解決する。
さらに、本発明によると、透明基板と前記透明基板の一方の主面上に並置され且つ互いに直列接続された複数の積層型光電変換セルとを具備し、これら複数の積層型光電変換セルの各々は、記透明基板の一方の主面上に順次積層された透明電極層、pin接合の第一の光電変換ユニットと、一導電型のシリコン複合層と、pin接合の第二の光電変換ユニットとを含む光電変換半導体層、及び裏面電極層で構成され、前記複数の積層型光電変換セルのそれぞれの隣り合う2つの間で、前記透明電極層は第1の分離溝によって分割され、この第1の分離溝は前記光電変換半導体層を構成する材料で埋め込まれ、前記第1の分離溝から離れた位置に、前記裏面電極層の上面に開口を有し且つ底面が前記透明電極層と前記光電変換半導体層との界面で構成された第2の分離溝が設けられ、前記第1の分離溝と前記第2の分離溝との間に、前記光電変換半導体層と前記裏面電極層との界面に開口を有し且つ底面が前記透明電極層と前記光電変換半導体層との界面で構成された接続溝が設けられ、この接続溝は前記裏面電極層を構成する材料で埋め込まれることによって前記隣り合う2つの積層型光電変換セルの一方の裏面電極層と他方の透明電極層とを電気的に接続する薄膜光電変換モジュールであって、前記シリコン複合層はシリコンと酸素の非晶質合金母相中に分散されたシリコン結晶相を含
あるいは、本発明によると、集積型薄膜光電変換モジュールにおいて、透明基板と前記透明基板の一方の主面上に並置され且つ互いに直列接続された複数の積層型光電変換セルとを具備し、前記複数の積層型光電変換セルの各々は、前記透明基板の一方の主面上に順次積層された透明電極層、pin接合の第一の光電変換ユニットと、pin接合の第二の光電変換ユニットとを含む光電変換半導体層、及び裏面電極層で構成され、前記複数の積層型光電変換セルのそれぞれの隣り合う2つの間で、前記透明電極層は第1の分離溝によって分割され、この第1の分離溝は前記光電変換半導体層を構成する材料で埋め込まれ、前記第1の分離溝から離れた位置に、前記裏面電極層の上面に開口を有し且つ底面が前記透明電極層と前記光電変換半導体層との界面で構成された第2の分離溝が設けられ、前記第1の分離溝と前記第2の分離溝との間に、前記光電変換半導体層と前記裏面電極層との界面に開口を有し且つ底面が前記透明電極層と前記光電変換半導体層との界面で構成された接続溝が設けられ、この接続溝は前記裏面電極層を構成する材料で埋め込まれることによって前記隣り合う2つの積層型光電変換セルの一方の裏面電極層と他方の透明電極層とを電気的に接続する薄膜光電変換モジュールであって、前記第一の光電変換ユニットのi型層の光入射側から遠い側にn型層を備え、前記n型層の少なくとも一部がn型のシリコン複合層であり、前記シリコン複合層はシリコンと酸素の非晶質合金母相中に分散されたシリコン結晶相を含
一導電型のシリコン複合層は、膜中のPの濃度が5X1019cm-3以上2X1022cm-3以下であること、あるいはBの濃度が5X1019cm-3以上2X1021cm-3以下であることが好ましい。
積層型光電変換装置の基板が透明基板で有る場合は、透明基板を通して入射した光の反射スペクトルが、波長500nmから800nmの範囲に反射率の極大値と極小値をそれぞれ少なくとも一つ以上持ち、前記極大値と前記極小値の反射率の差が1%以上あることが好ましい。
本発明によれば、光入射側に近い側から第一の光電変換ユニット、一導電型のシリコン複合層、第二の光電変換ユニットより順次構成された部分を含む構造の積層型光電変換装置にすることによって、シリコン複合層の前後の界面で光が一部反射され、第一の光電変換ユニットの発電電流を増大すること、あるいは第一の光電変換ユニットのi形層の膜厚を薄くして同等の発電電流を発生させることができる。
また、一導電型のシリコン複合層は、光電変換ユニットと同様にプラズマCVDで作製可能であるので、同様の装置で第一の光電変換ユニット、一導電型シリコン複合層、第二の光電変換ユニットを作製可能となる。したがって、従来の導電性酸化金属層の中間反射層で必要だった製膜のための別方式の設備が不要となり、装置コストを低減できる。あるいは、タクトタイムの短縮によって製造コストが低減できる。
さらに、シリコン複合層が第一の光電変換ユニットのn型層の一部を兼用することによって、反射効果によって第一の光電変換ユニットの発電電流を増大すると同時に、光吸収損失を低減して第二の光電変換ユニットの発電電流をも増大することが可能なり、積層型光電変換装置の変換効率が向上する。
集積型薄膜光電変換モジュールにおいては、一導電型シリコン複合層を用いることによって、第3の分離溝が不要となり、パターニングが1回減ってパターニングの装置コスト、あるいはタクト時間を短縮できる。また、前方光電変換ユニット、一導電型シリコン複合層および後方光電変換ユニットを連続して形成できるので、基板を真空装置に搬入、加熱、搬出する作業が一回で済み、タクト時間が短縮する。さらに、一導電型シリコン複合層と後方光電変換ユニットの界面が大気にさらされることなく、汚染の影響がなくなる。また、第3の分離溝がないので、面積ロスを減らすことが可能となって集積型薄膜光電変換モジュールの変換効率が向上する。
本発明者らは、低い屈折率と高い導電性を兼ね備える材料を見出すべく、高周波プラズマCVD法によるシリコンと酸素の合金形成法を鋭意検討した。その結果、シリコンと酸素の非晶質合金母相中に分散されたシリコン結晶相が含まれている構造(本発明ではシリコン複合層と呼ぶ)が、低い屈折率と高い導電性を兼ね備えることを見出した。図1に、シリコン複合層をガラス基板上に製膜して測定した屈折率に対する暗導電率を示す。ここで屈折率は、分光エリプソメトリを用いて、600nmの光に対して測定した。これは、積層型光電変換装置の一つであるハイブリッド型光電変換装置において、前方光電変換ユニットの分光感度電流の立下りと、後方光電変換ユニットの分光感度電流の立ち上りが600nm付近の波長で交錯するためである。600nm付近の光を良く反射する膜、すなわち、600nmの光に対する屈折率が小さい膜が、前方光電変換ユニットの発電電流を増加するのに好適であると言える。暗導電率は、コプラナー型の電極をシリコン複合層につけて、基板と平行な方向に流れる電流で測定した。図1からわかるように、本発明者らは詳細な実験の結果、シリコン複合層において、1.7〜2.5の低い屈折率と、10-8〜10-1S/cm高い暗導電率を同時に実現できることを見出した。600nmの波長に対する非晶質シリコンあるいは結晶質シリコンの屈折率は約4なので、シリコン複合層との屈折率の差は大きく、十分な反射効果が得られる。本発明者らが知る限り、プラズマCVD法によるシリコンと酸素の合金系の膜について、このような低い屈折率と十分な導電性を兼ね備えた膜の公知文献はない。
図2は、シリコン複合層をガラス基板上に製膜し、膜面に垂直な方向から撮影した透過型電子顕微鏡(TEM)の暗視野像である。暗視野像は、特定の角度で回折された電子線の結像なので、非晶質の部分では回折は起こらず、特定の角度を向いた結晶だけが回折を起こす。従って、暗視野像で明るく結像したところは必ず結晶相である。すなわち、図2は非晶質中に結晶相が含まれていることを表している。図3は、図2と同じシリコン複合層を膜面に垂直な方向から撮影した高解像度TEMの明視野像である。規則的な結晶格子が並んだ部分が確認でき、膜中に結晶相が含まれていることが明らかである。
図4は、図2と同じシリコン複合層の、ラマン散乱スペクトルである。520cm−1付近の結晶シリコンのTOモードの鋭いピークが現れている。すなわち、結晶相はシリコンの結晶であることがわかる。このとき、480cm−1付近の非晶質シリコン成分のTOモードピークに対する結晶シリコン成分のTOモードピークのピーク強度比は2.5である。
このような低い屈折率と高い暗導電率を両立するシリコン複合層は、反応ガスとして、SiH4、CO2、H2、PH3(またはB26)を用い、H2/SiH4比が大きいいわゆる微結晶作製条件でかつ、CO2/SiH4比が2〜10程度の範囲を用いてプラズマCVDで作製できることが実験によりわかった。このとき、プラズマの条件は、容量結合型の平行平板電極を用いて、電源周波数10〜100MHz、パワー密度50〜500mW/cm2、圧力50〜1000Pa、基板温度150〜250℃である。CO2/SiH4比を増加させると膜中酸素濃度が単調に増加する。しかし、膜中炭素濃度はCO2/SiH4比を0〜4の範囲で変化させても1原子%以下であり、酸素に比べてほとんど膜に入らないことが実験によりわかった。
図5は、シリコン複合層の膜中酸素濃度に対するシリコン複合層の波長600nmの光に対する屈折率である。後述する図16で説明するように積層型光電変換装置にシリコン複合層を用いて反射効果によって電流の増加が十分見こめる屈折率2.5以下にするためには、膜中酸素濃度を25原子%以上にすれば良く、反射効果により10%の以上電流増加が見こめる屈折率2.1以下にするためには膜中酸素濃度を40原子%以上にすれば良いことがわかる。
シリコン複合層の暗導電率は、膜中酸素濃度、膜中のドーピング不純物(PまたはB)の濃度、および膜中に含まれるシリコン結晶相の割合によって決まる。シリコン複合層の暗導電率を10-8〜10-1S/cmでかつ屈折率を1.7〜2.5に調整するためには、膜中酸素濃度は25〜60原子%が好ましい。膜中酸素濃度の増加とともに屈折率が減少するが、暗導電率が低下するので膜中酸素濃度に上記の好ましい上限が有る。
また、n型のシリコン複合層の場合はドーピング不純物として膜中P濃度を5X1019cm-3以上2X1022cm-3以下にすることが好ましい。あるいは、p型のシリコン複合層の場合はドーピング不純物として膜中B濃度を5X1019cm-3以上2X1021cm-3以下にすることが好ましい。膜中P濃度あるいは膜中B濃度の増加とともに暗導電率が増加するが、過剰に入ると結晶相の割合が減少するために逆に暗導電率が減少する。このため、膜中P濃度あるいは膜中B濃度は上記の範囲に調整することが好ましい。
さらに、シリコン複合層のシリコン結晶相の割合の指標として、ラマン散乱で測定した非晶質シリコン成分のTOモードピークに対する結晶シリコン成分のTOモードピークのピーク強度比が0.5以上10以下であることが好ましい。ピーク強度比の増加にともなって暗導電率が増加するが、ピーク強度比が大きくなりすぎるとシリコン複合層中の非晶質酸化シリコンの割合が減少して屈折率が増加する。このため、ラマン散乱のピーク強度比は上記の範囲に調整することが好ましい。
図1において、同じ屈折率でも暗導導電率のばらつきが大きいのは、膜中酸素濃度、膜中不純物濃度、シリコン結晶相の割合の作製条件を変化させているためである。
本発明によるシリコン複合層においては、シリコン結晶相が電子の輸送経路を支配していると考えられるため、膜中酸素濃度を多くして屈折率を2.5以下に下げてもシリコン複合層の暗導電率を高く保つことができる。このため、このシリコン複合層を光電変換装置の前方光電変換ユニットと後方光電変換ユニットの間に配置しても、光電変換装置の直列抵抗に与える影響は小さい。従って、光閉じ込めに最適な厚さと屈折率に設計できる。しかもシリコン複合層の屈折率はCO2/SiH4ガス比を変えて膜中酸素濃度を調整するだけで容易に制御できるため、屈折率を膜厚方向で周期的に変化させるなど、より精緻な光学設計による光閉じ込め効果の増大も期待できる。
光電変換装置の直列抵抗に与える影響を抑制するために、ZnOのような透明導電性酸化金属層の中間反射層の暗導電率は102〜103S/cmの高い値が必要であった。一般に、ZnOと非晶質シリコンまたは結晶質シリコンとの界面でオーミックコンタクトを取ることは困難であることが知られている。特にZnOとp型非晶質シリコンあるいはp型結晶質シリコンとの界面はオーミックコンタクトが取りにくい。しかし、シリコン複合層は10-8〜10-1S/cmの暗導電率があれば、良好なオーミックコンタクトを非晶質シリコンおよび結晶質シリコンの光電変換ユニットとの間で実現できることが詳細な検討により明らかになった。この理由の一つとして、シリコン複合層が非晶質シリコンおよび結晶質シリコンと同様にシリコンを主体にした半導体薄膜であることが挙げられる。
さらに、以下に述べるようにシリコン複合層の断面方向にシリコン結晶相を介した電流経路があると考えられることが、良好なオーミックコンタクトが取れる理由として挙げられる。図1の暗導電率は膜と平行な方向に流れる電流から求めた値であるが、光電変換装置の場合は膜の断面方向に電流が流れる。図2のTEMの暗視野像において、明るく見える結晶相がところどころ見えるので、シリコン複合層の膜厚を貫通するシリコン結晶相が、平面状に分散した構造であるといえる。つまり、積層型光電変換装置に適用したシリコン複合層は、膜の断面方向にはシリコン結晶相で所々つながっていると考えられる。したがって、シリコン複合層は、たとえ膜面と平行な方向の暗導電率が低くても、シリコン結晶相を主に介して断面方向に電流が流れて、光電変換装置の直列抵抗の増加を抑制できる考えられる。
シリコン複合層の暗導電率が透明導電性酸化金属よりも数桁から10桁低くても良好なオーミックコンタクトを取れることから、集積型薄膜光電変換モジュールの構造の単純化が可能になり、装置コストの低減、モジュールの変換効率の向上を図ることができる。詳細な説明は後述するが、集積型薄膜光電変換モジュールにおいて、図18に示すような第3の分離溝がない構造でも、リーク電流の問題が発生しない。従って、集積型薄膜光電変換モジュールにおいて、パターニングが1回減ってパターニングの装置コストとタクト時間を短縮できる。また、前方光電変換ユニット、一導電型シリコン複合層および後方光電変換ユニットを連続して形成できるので、基板を真空装置に搬入、加熱、搬出する作業が一回で済み、タクト時間が短縮するとともに、一導電型シリコン複合層と後方光電変換ユニットの界面が大気にさらされることなく、汚染の影響がなくなる。また、第3の分離溝がないので、面積ロスが減って集積型薄膜光電変換モジュールの変換効率が向上する。
図6に、本発明の実施形態による集積型薄膜光電変換モジュールに好ましく組み入れられ得る積層型光電変換装置の断面図を示す。以下、図6を用いて本発明を詳細に説明する。透明基板であるガラス基板1上に、透明電極層2、第一の光電変換ユニット3として非晶質シリコン光電変換ユニット、一導電型のシリコン複合層層4、第二の光電変換ユニット5として結晶質シリコン光電変換ユニット、および裏面電極層6を形成している。
本発明において使用される透明基板には、図6のガラス以外にも透明樹脂フィルム等が用いられるが、光電変換層へより多くの太陽光を透過し吸収させるために、できるだけ透明であることが好ましい。同様の意図から、太陽光が入射する基板表面での光反射ロスを低減させるために、無反射コーティングを行うと、高効率化が図れる。
光入射側の電極である透明電極層2としては、透明導電性酸化物(TCO)が用いられ、そのTCOを構成する材料としては、酸化錫(SnO2)、インジウム錫酸化物(ITO)、酸化亜鉛(ZnO)などが使用できるが、特にSnO2が好ましい。また、透明電極層2の光電変換ユニット側の界面に200〜900nmのピッチを有する凹凸が形成されていることが好ましく、この為に構成材料が200〜900nmの粒径で透明電極層2を形成していることが好ましい(但し、ここで言う“ピッチを有する”とは、特定の値のピッチで規則正しく繰り返していることだけを示すのでなく、値を変えながらランダムに変化しているものを含むものとする。)。
光電変換ユニットは図示した様に2つでもよいが、3つ以上積層してもよい。また、3つ以上の光電変換ユニットを積層した場合、一導電型のシリコン複合層4は各光電変換ユニット間に形成してもよいが、1層でもよい(1層以上であれば、任意の数が可能である)。
光電変換ユニットとしては、一導電型層、実質的に真性な光電変換層であるi型層および逆導電型層から構成したものが使用できる。一導電型層はp型層でもn型層でもよく、これに対応して逆導電型層はn型層またはp型層になる。ただし、光電変換装置では通常は光の入射側にp型層が配置されるので、図1の構造では一般的に一導電型層31、51はp型層、逆導電型層33、53はn型層である。p型層やn型層の導電型層は光電変換ユニット内に拡散電位を生じさせる役割を果たし、この拡散電位の大きさによって薄膜光電変換装置の特性の一つである開放端電圧(Voc)が左右される。しかし、これらの導電型層は光電変換には寄与しない不活性な層であり、導電型層にドープされた不純物によって吸収される光は発電に寄与しない。従って、p型層やn型層の導電型層の膜厚は、十分な拡散電位を生じさせる範囲内で可能な限り薄くすることが好ましい。i型層32、52は光を吸収し光電変換する役割を担うため、組合せる複数の光電変換ユニットは、真性光電変換層のバンドギャップが異なる組合せ、すなわち光の吸収波長領域の異なる材料の組合せであることが好ましく、全体として太陽光の主波長域(400〜1200nm)に吸収を有するものが好ましい。例えば、非晶質シリコン薄膜と非晶質シリコンゲルマニウム薄膜の組合せ、非晶質シリコン薄膜と結晶質シリコン薄膜の組合せ等が挙げられる。
図6の前方光電変換ユニット、すなわち第一の光電変換ユニット3として非晶質シリコン薄膜光電変換ユニットが形成される場合は、nipの順に積層することも可能であるが、図6のようにpinの順にプラズマCVD法により各半導体層を積層して形成されていることが変換効率がより高くなるので好ましい。この場合、例えば導電型決定不純物原子であるボロンが0.01原子%以上ドープされたp型非晶質炭化シリコン層31、光電変換層となるi型非晶質シリコン層32、および導電型決定不純物原子であるリンが0.01原子%以上ドープされたn型微結晶シリコン層33をこの順に堆積すればよい。しかし、これら各層は上記に限定されず、例えばp型層は非晶質シリコン、微結晶シリコン、非晶質シリコンナイトライドを用いても良い。また、n型層に非晶質シリコンを用いても良い。なお、導電型(p型、n型)層の膜厚は3nm以上100nm以下が好ましく、5nm以上50nm以下がさらに好ましい。
本発明の特徴となる一導電型のシリコン複合層4は、シリコン複合層4に到達した光の一部をシリコン複合層4よりも光入射側に位置する前方光電変換ユニット3へ反射させ、残りの光を後方光電変換ユニット5へ透過させる。光電変換層にシリコン系の材料を用いる場合は、光電変換層の600nmの光に対する屈折率が約4であるため、シリコン複合層4の屈折率は1.7以上2.5以下の範囲が好ましい。また、シリコン複合層4を介して電流が流れるため、シリコン複合層4は暗導電率が10-8S/cm以上10-1S/cm以下であることが好ましい。
図7にシリコン複合層4の膜厚を変化させた場合の、シリコン複合層4の前後の界面の干渉を考慮した600nmの光の反射率を示す。このとき、シリコン複合層の600nmの光に対する屈折率は2である。図7から、前方光電変換ユニット3の側に反射される光を確実に10%以上にするためには、シリコン複合層4の膜厚を20nmより大きく130nmより小さくすることが好ましいことがわかる。さらに、前方光電変換ユニット3の側に反射される光を30%以上にするためには、シリコン複合層4の膜厚が50nm以上100nm以下にすることが好ましいことがわかる。
前方光電変換ユニット3、シリコン複合層4は、後方光電変換ユニット5は、大気中に取り出すことなく、連続して形成することが好ましい。ここで、大気中に取り出すことなくとは、表面の汚染が防止できる環境に維持することを意味し、これが達成できるのであれば各種方法が可能である。
このような積層型光電変換装置に適用したシリコン複合層4の膜厚や形状は、断面透過型電子顕微鏡(断面TEM)で測定することができる。図8は、ガラス基板/非晶質光電変換ユニット/シリコン複合層/結晶質光電変換ユニット/裏面電極層の構造の積層型光電変換装置において、シリコン複合層の前後の界面付近を撮影した断面TEMの明視野像である。図8の明視野像では、シリコン複合層がその前後の非晶質シリコンおよび結晶質シリコンより密度が低いことを反映して、シリコン複合層の部分が白っぽく写っている。図9は、図8の明視野像と同じ場所を撮影した暗視野像である。シリコン複合層中に部分的に明るい所があり、シリコン複合層中に結晶相が含まれていることがわかる。
また、積層型光電変換装置のシリコン複合層中の酸素濃度、P濃度あるいはB濃度は既知の分析方法で検知可能である。例えば、ウェットエッチング、プラズマエッチング、イオンスパッタリングなどで検知する深さを変化させながら、SIMS、ESCA、EPMA、オージェ電子分光法などで組成を分析可能である。
さらに、積層型光電変換装置のシリコン複合層の屈折率は、裏面電極層をHClなどの酸で除去し、ウェットエッチング、プラズマエッチング、イオンスパッタリングなどでシリコン複合層を露出させて、エリプソメトリを測定することによって検知可能である。また、シリコン複合層の有無の判定は、ガラス基板から入射した光の反射率の差異でも簡便に検知することが可能である。図10は、ガラス基板/非晶質光電変換ユニット/シリコン複合層/結晶質光電変換ユニット/裏面電極層の構造の積層型光電変換装置Aと、ガラス基板/非晶質光電変換ユニット/結晶質光電変換ユニット/裏面電極層の構造の積層型光電変換装置と、シリコン複合層がない積層型光電変換装置に、ガラス基板から入射した反射スペクトルである。シリコン複合層がある場合は、非晶質光電変換ユニット中で光が往復反射して干渉が起こり、反射率の差が1%以上ある極大値と極小値が波長500nm〜800nmに現れる。これに対してシリコン複合層のない場合は、この波長領域に明確な極大値、極小値が現れない。
シリコン複合層4の上に第二の光電変換ユニット5として、例えば結晶質シリコン光電変換ユニットが形成される場合も、pin型の順にプラズマCVD法によって下地温度400℃以下の低温で形成することが好ましい。真性光電変換層52である結晶質シリコン系光電変換層は低温で形成することにより、結晶粒界や粒内における欠陥を終端させて不活性化させる水素原子を多く含ませることが好ましい。具体的には、光電変換層52の水素含有量は1〜30原子%の範囲内にあるのが好ましい。また、この層は、導電型決定不純物原子の密度が1×1018cm-3以下である実質的に真性半導体である薄膜として形成されることが好ましい。さらに、真性結晶質シリコン層に含まれる結晶粒の多くは、前面電極側から柱状に延びて成長しており、その膜面に平行に(110)の優先配向面を有することが好ましい。なぜなら、このような結晶配向を有する結晶質シリコン薄膜は、透明電極2の表面が実質的に平坦である場合でも、その上に堆積される光電変換ユニットの表面は微細な凹凸を含む表面テクスチャ構造を示す。従って、透明電極2の表面が凹凸を含む表面テクスチャ構造を有する場合、光電変換ユニットの表面は、透明電極2の表面に比べて凹凸の粒径の小さなテクスチャ構造が生じるため、広範囲の波長領域の光を反射させるのに適した光閉じ込め効果の大きな構造となるからである。また、真性結晶質シリコン層の膜厚は0.1μm以上10μm以下が好ましい。ただし、薄膜光電変換ユニットとしては、太陽光の主波長域(400〜1200nm)に吸収を有するものが好ましいため、真性結晶質シリコン層に代えて、合金材料である非晶質シリコンゲルマニウム層(例えば30原子%以下のゲルマニウムを含有する非晶質シリコンからなる非晶質シリコンゲルマニウム層)あるいは結晶質シリコンゲルマニウムを形成してもよい。
ところで、結晶質シリコン光電変換ユニットのp型結晶質シリコンの膜厚は3nmから25nmの範囲あることが好ましい。p型結晶質シリコンの膜厚が3nmよりも小さい場合は、p層としての働き、すなわち光照射により結晶質i型シリコン光電変換層内部で発生したキャリアを外部に取り出すために十分な内部電界を発生させることができない。また25nmよりも大きい場合は、p層自体の光吸収ロスが大きくなる。n型結晶質シリコンの膜厚は、p型結晶質シリコンの場合と同様に3nmから20nmの範囲にあることが好ましい。
裏面電極層6としては、Al、Ag、Au、Cu、PtおよびCrから選ばれる少なくとも一つの材料からなる少なくとも一層の金属層をスパッタ法または蒸着法により形成することが好ましい。また、光電変換ユニットと金属電極との間に、ITO、SnO2、ZnO等の導電性酸化物からなる層を形成しても構わない(図示せず)。
例えば、裏面電極6は、10nmから150nmの厚みのZnOと、30nmから500nmの厚みの銀膜とを、この順に形成した複層膜とすることが好ましい。ZnOが10nmより薄い場合には結晶質シリコン光電変換ユニットと銀膜の密着性が悪くなり、逆に150nmより厚い場合はZnO自体の光吸収が大きくなり、光電変換装置特性を下げる要因となる。銀膜は、結晶質シリコン光電変換ユニットで吸収しにくい長波長側の光を反射し、再び結晶質シリコン光電変換ユニットに入射させる働きがある。銀膜の膜厚が30nm以下の場合には反射層としての効果が激減し、また500nm以上の場合には製造コストの増加に繋がる。
図6の例では透明基板を用いる実施形態を示したが、不透明基板上に、裏面電極層、後方光電変換ユニット、シリコン複合層、前方光電変換ユニット、透明電極層を順次積層した構成の積層型光電変換装置でも同様に前方光電変換ユニットの発電電流を増加させて変換効率を向上することができる。ただし、この場合は、後方光電変換ユニット、前方光電変換ユニットともにnip型層の順で積層することが好ましい。
以下、本発明による実施例と、従来技術による比較例に基づいて詳細に説明する。各図において同様の部材には同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。また、本発明はその趣旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
まず、本発明による集積型薄膜光電変換モジュールに好ましく組み入れられ得る2段の積層型光電変換装置について、従来技術による比較例1、2、および、本発明による実施例1〜4について比較しながら説明する。なお、比較例1、2、および、実施例1〜4の積層型光電変換装置の特性を表1にまとめて示す。このとき、分光感度測定装置で測定した前方光電変換ユニットと後方光電変換ユニットの発電電流を、比較例1の前方光電変換ユニットと後方光電変換ユニットのそれぞれの値で規格化した値も記載した。また、前方光電変換ユニットと後方光電変換ユニットの出力電流を合計した全体の出力電流についても、比較例1の値で規格化して記載した。
Figure 0004063735
(比較例1)
比較例1として、図11に示すような積層型光電変換装置を作製した。厚み1.1mm、127mm角のガラス基板1上に、透明電極層2として厚さ800nmのピラミッド状SnO2膜を熱CVD法にて形成した。得られた透明電極層2のシート抵抗は約9Ω/□であった。またC光源で測定したヘイズ率は12%であり、凹凸深さdは約100nmであった。この透明電極層2の上に、プラズマCVDを用いて、厚さ15nmのp型非晶質炭化シリコン層31、厚さ0.3μmのi型非晶質シリコン層32、及び厚さ30nmのn型微結晶シリコン層33からなる前方光電変換ユニット3を形成し、続けて厚さ15nmのp型微結晶シリコン層51、厚さ2.5μmのi型結晶質シリコン層52、及び厚さ15nmのn型微結晶シリコン層53からなる後方光電変換ユニット5を順次形成した。その後、裏面電極層6として厚さ90nmのAlドープされたZnOと厚さ300nmのAgをスパッタ法にて順次形成した。
以上のようにして得られた積層型光電変換装置(受光面積1cm2)にAM1.5の光を100mW/cm2の光量で照射して25℃で出力特性を測定したところ、開放電圧(Voc)が1.353V、短絡電流密度(Jsc)が11.61mA/cm2、曲線因子(FF)が0.734、そして変換効率(Eff)が11.53%であった。
(比較例2)
比較例2として、図12に示すような積層型光電変換装置を作製した。これは、比較例1のn型微結晶シリコン層33を、厚さ30nmのn型の非晶質酸化シリコン39で置き換えた構造になっている。これは、後方光電変換ユニットが結晶質光電変換ユニットになっていることを除き、先行例2に類似した構造になっている。n型の非晶質酸化シリコン39製膜時のガスの流量はSiH 4 /CO 2 /PH 3 /H 2 =5/2.5/0.1/100sccmである。電源周波数は13.56MHz、パワー密度20mW/cm 2 、圧力100Pa、基板温度200℃で製膜した。このとき非晶質酸化シリコン39は、膜中酸素濃度が18原子%、600nmの光に対する屈折率は3.0、ラマン散乱で測定した非晶質シリコン成分のTOモードピークに対する結晶シリコン成分のTOモードピークのピーク強度比は0で結晶相がなく、暗導電率は1.2X10-6S/cmであった。それ以外は、比較例1と同様の作製方法で形成した。
以上のようにして得られた積層型光電変換装置(受光面積1cm2)にAM1.5の光を100mW/cm2の光量で照射して25℃で出力特性を測定したところ、Vocが1.354V、Jscが11.64mA/cm2、FFが0.730、そしてEffが11.51%であった。分光感度電流を測定したところ、比較例1に比べて前方光電変換ユニットは0.99、後方光電変換ユニットは1.01、全体1.00であった。
比較例2は、比較例1とほぼ同じ特性を示し、Jscの増加あるいは前方光電変換ユニットの分光感度電流に有意な変化は見られなかった。すなわち、n型の非晶質酸化シリコン39では、前方光電変換ユニット側に光を反射する効果がないといえる。n型の非晶質酸化シリコン39は、屈折率が3.0と高いので、非晶質シリコンあるいは結晶質シリコンと屈折率の差が小さいので、反射効果がほとんど得られないといえる。非晶質酸化シリコンの屈折率を減少させるためには、膜中酸素濃度を比較例2よりも増加する必要があるが、その場合は非晶質酸化シリコンの暗導電率が低下してFFの減少によるEffの低下が避けられないので、屈折率を下げることができない。
(実施例1)
実施例1として、図6に示すような積層型光電変換装置を作製した。比較例1と異なるのは、前方光電変換ユニット3と後方光電変換ユニット5の間に、厚さ30nmのn型シリコン複合層4を設けたことである。それ以外は、比較例1と同様に作製した。
n型シリコン複合層4を製膜時のガスの流量はSiH 4 /CO 2 /PH 3 /H 2 =5/10/0.1/1000sccmである。電源周波数は13.56MHz、パワー密度100mW/cm 2 、圧力100Pa、基板温度200℃で製膜した。このときn型シリコン複合層4は、膜中酸素濃度が42原子%、600nmの光に対する屈折率は2.0、ラマン散乱で測定した非晶質シリコン成分のTOモードピークに対する結晶シリコン成分のTOモードピークのピーク強度比は2.0、暗導電率は5X10-6S/cmであった。
以上のようにして得られた積層型光電変換装置(受光面積1cm2)にAM1.5の光を100mW/cm2の光量で照射して25℃で出力特性を測定したところVocが1.338V、Jscが12.71mA/cm2、FFが0.701、そしてEffが11.92%であった。分光感度電流を測定したところ、比較例1に比べて前方光電変換ユニットは1.09、後方光電変換ユニットは1.06、全体1.08であった。
実施例1は、比較例1に比べてややFFが低下しているが、Jscが1mA/cm2以上増加してEffが向上している。また、前方光電変換ユニットの分光感度電流9%増加しており、シリコン複合層4が前方光電変換ユニット側に効果的に入射光を反射していることがわかる。また、後方光電変換ユニットの分光感度電流も6%増加しており、シリコン複合層で光の散乱が起こって、後方光電変換ユニットの光路長も伸びていると考えられる。
(実施例2)
実施例2として、図13に示すような積層型光電変換装置を作製した。実施例1と異なるのは、前方光電変換ユニット3のn型層に、厚さ30nmのn型シリコン複合層4を用いて、中間反射層とn型層を兼用したことである。それ以外は、実施例1と同様の作製方法であり、またシリコン複合層4の膜特性も同じものを用いた。
以上のようにして得られた積層型光電変換装置(受光面積1cm2)にAM1.5の光を100mW/cm2の光量で照射して25℃で出力特性を測定したところ、Vocが1.340V、Jscが13.29mA/cm2、FFが0.692、そしてEffが12.32%であった。分光感度電流を測定したところ、比較例1に比べて前方光電変換ユニットは1.14、後方光電変換ユニットは1.15、全体1.14であった。
実施例2は、実施例1よりもさらにJscが増加してEffが向上している。また、実施例に比べて、分光感度電流は前方光電変換ユニット、後方光電変換ユニットともに増加している。これは、前方光電変換ユニットのn型層をシリコン複合層4が兼用することによって、前方光電変換ユニット側に反射される光と、後方変換ユニット側に透過する光ともに、厚さ30nm分のn型微結晶シリコンを通過する必要がなくなり、その分吸収ロスが減ったためといえる。ただし、比較例1、実施例1に比べて、FFが低下しており、i型非晶質シリコン層32/シリコン複合層4の界面において、接触抵抗が増加していると考えれる。
(実施例3)
実施例3として、図14に示すような積層型光電変換装置を作製した。実施例1と異なるのは、前方光電変換ユニット3のn型層が、第一n型層である厚さ30nmのn型シリコン複合層34と、第二n型層である厚さ5nmのn型微結晶シリコン層35を積層して形成したことである。それ以外は、実施例1と同様の作製方法であり、また、シリコン複合層の膜特性も同じものを用いた。
以上のようにして得られた積層型光電変換装置(受光面積1cm2)にAM1.5の光を100mW/cm2の光量で照射して25℃で出力特性を測定したところ、Vocが1.346V、Jscが13.04mA/cm2、FFが0.721、そしてEffが12.65%であった。分光感度電流を測定したところ、比較例1に比べて前方光電変換ユニットは1.12、後方光電変換ユニットは1.08、全体1.12であった。
実施例3は、実施例2よりややJscが減少しているが、FFが向上してEffが向上している。前方光電変換ユニットの分光感度電流は実施例2よりやや低いが、比較例1、実施例1よりも高くなっている。n型シリコン複合層34とp型微結晶シリコン51の間に、n型微結晶シリコン層35を挿入したことにより、n/p界面の接触抵抗が減少してFFが改善したと考えられる。挿入したn型微結晶シリコン層35の厚さが5nmと薄いことから、実施例2に比べてJscの低下はあまり大きくない。
(実施例4)
実施例4として、図15に示すような積層型光電変換装置を作製した。実施例1と異なるのは、前方光電変換ユニット3のn型層が、第一n型層である厚さ10nmのn型微結晶シリコン層36と、第二n型層である厚さ60nmのn型シリコン複合層37と、第三n型層である厚さ5nmのn型微結晶シリコン層38を積層して形成したことである。それ以外は、実施例1と同様の作製方法であり、また、シリコン複合層の膜特性も同じものを用いた。
以上のようにして得られた積層型光電変換装置(受光面積1cm2)にAM1.5の光を100mW/cm2の光量で照射して25℃で出力特性を測定したところ、Vocが1.350V、Jscが12.96mA/cm2、FFが0.732、そしてEffが12.80%であった。分光感度電流を測定したところ、比較例1に比べて前方光電変換ユニットは1.07、後方光電変換ユニットは1.11、全体1.10であった。
実施例4は、実施例3よりややJscが減少しているが、FFが実施例3よりさらに向上してEffが向上している。i型非晶質シリコン32とn型シリコン複合層37の間に、n型微結晶シリコン層36を挿入したことにより、i/n界面の接触抵抗も減少してFFが実施例3よりもさらに改善したと考えられる。前方光電変換ユニットのn型微結晶シリコンは第一n型層と第三n型層を合計して厚さ15nmで、実施例1の30nmより薄いので吸収損失を低減されて、Jscが実施例1より増加している。
(実施例5)
図16に、本発明の実施例5として、実施例2の構造の積層型光電変換装置において、シリコン複合層の屈折率を変化させた場合の分光感度電流の相対値を示す。シリコン複合層は、CO 2 /SiH 4 の比を1〜15で変化させた以外は、実施例1と同様に作製した。図16の横軸は波長600nmの光に対するシリコン複合層の屈折率、縦軸はシリコン複合層がない比較例1の構造の積層型太陽電池の分光感度電流に対する相対値である。前方光電変換ユニットの分光感度電流は、屈折率の減少にともなって増加し、屈折率が約1.8より小さくなると減少する。屈折率の減少とともに、前方光電変換ユニット側に反射される光が増加して分光感度電流が増加するが、屈折率が約1.8より小さくなるとシリコン複合層の暗導電率の減少によって、シリコン複合層の抵抗および界面の接触抵抗の増加の影響が無視できなくなって電流が減少すると考えられる。
後方光電変換ユニットの分光感度電流は、屈折率の減少にともなって増加し、屈折率が約2より小さくなると減少する。屈折率の減少とともに、シリコン複合層の透過率が増加するので後方光電変換ユニットへ到達する光が増えて電流が増加する。屈折率が約2より小さくなると前方光電変換ユニット側に反射する光が多くなって後方光電変換ユニットに到達する光が減少する影響が無視できなくなって電流が減少する。
前方光電変換ユニットと後方光電変換ユニットを合計した全体の分光感度電流も、屈折率に対して最大値を持つ特性になる。屈折率が1.7以上2.5未満で比較例1より全体の分光感度電流が増加する。また、比較例1より10%以上全体の分光感度電流を増加するためには屈折率を1.8以上2.1以下にする必要がある。
(実施例6)
図17に、本発明の実施例6の3段の積層型光電変換装置を示す。図17の光電変換装置はガラス基板1側から2段目の光電変換ユニット5aまでは、i型層の膜厚が異なる以外は、図6の実施例1のガラス基板1から後方光電変換ユニット5までと同じ方法で作製された。1段目の光電変換ユニットのi型層である非晶質シリコンの厚さは100nm、2段目の光電変換ユニットのi型層である結晶質シリコンの厚さは1.2μmである。2段目の光電変換ユニット5aの上に、厚さ30nmの第二のシリコン複合層7、厚さ15nmのp型微結晶シリコン層81、厚さ2.0μmのi型結晶質シリコン層82、及び厚さ15nmのn型微結晶シリコン層83からなる3段目の光電変換ユニット8を順次作製した。その後、裏面電極6として厚さ90nmのAlドープされたZnOと厚さ300nmのAgをスパッタ法にて順次形成した。第一のシリコン複合層4aおよび第二のシリコン複合層7は、実施例1のシリコン複合層4と同じ膜特性のものを用いた。
以上のようにして得られた3段の積層型光電変換装置(受光面積1cm2)にAM1.5の光を100mW/cm2の光量で照射して25℃で出力特性を測定したところ、Vocが1.905V、Jscが10.07mA/cm2、FFが0.745、そしてEffが14.29%であった。
比較例3として、第一のシリコン複合層4および第二のシリコン複合層7がない以外は実施例6と同じ構造の3段積層型光電変換装置を作製した。比較例3の出力特性を測定したところ、Vocが1.910V、Jscが9.50mA/cm2、FFが0.749、そしてEffが13.59%であった。
3段の積層型光電変換装置においても、シリコン複合層による反射効果によってJscが増加し、Effが向上した。
(実施例7)
図18に、本発明の実施例7の集積型薄膜光電変換モジュールを示す。図18の構造は、リーク電流の問題が発生した図20のZnOの中間反射層105を、シリコン複合層107に代えた以外は、図20と同じ構造をしている。各層の膜厚、作製方法は実施例1と同様に作製した。モジュールの大きさは910mmX455mmであり、パターニングによって分割することにより、光電変換セルを100段直列接続した。シリコン複合層107は、実施例1のシリコン複合層4と同じ膜特性のものを用いた。
比較例4として、図19に示す中間反射層のない集積型薄膜光電変換モジュールを作製した。比較例5とし、図20に示すてスパッタで作製した厚さ30nmのZnOを中間反射層に用いて、第3の分離溝がない構造を作製した。比較例6として、図21に示す同様にZnOを中間反射層に用いて、かつ第3の分離溝を設けた構造の集積型薄膜光電変換モジュールを作製した。
表2に、実施例7および比較例4〜6の集積型薄膜光電変換モジュールにAM1.5の光を100mW/cm2の光量で照射して25℃で測定した出力特性をまとめる。中間反射層がない比較例4に比べて、ZnOの中間反射層を挿入した比較例5は、Voc、FFが大幅に低下して著しく最大電力(Pmax)、変換効率(Eff)が減少している。これはZnOの中間反射層105、接続溝123、裏面電極層106の電流経路でリーク電流が発生したためである。
第3の分離溝を設けた比較例6は、リーク電流が抑制されて短絡電流(Isc)が増加してPmaxが約3W向上している。
シリコン複合層を用いた実施例7は、比較例6に比べてさらにJscが増加して、Pmaxが比較例4に比べて約10W向上している。これは、第3の分離溝が不要になった分の面積ロスがなくなったことからIscが向上したと考えられる。また、前方光電変換ユニット104a、シリコン複合層107、後方光電変換ユニット104bをプラズマCVDで連続して作製できるので、シリコン複合層107と後方光電変換ユニット104bの界面で大気汚染の影響がないので、FFが向上したと考えられる。
さらに、比較例6に比べて、実施例7は、第3の分離溝が不要になったため、パターニング回数が減ってYAGレーザーを1台減らすことができ、装置コストを削減できた。また、CO 2 のガスラインを追加しただけでプラズマCVDを用いて光電変換ユニットと同じ装置で作製できるので、ZnOで必要だったスパッタなどの中間反射層専用の製膜設備が不要となり、ここでも装置コストを大幅に削減できた。また、比較例6に比べて実施例7は、真空装置であるプラズマCVD装置へ基板を搬入、加熱、搬出する作業が1回ずつ減り、また、パターニングの時間も1回分減ったので、生産タクト時間が大幅に減って、製造コストを低減することができた。
Figure 0004063735
シリコン複合層の波長600nmの光に対する屈折率と暗導電率の特性。 シリコン複合層の透過型電子顕微鏡の暗視野像。 シリコン複合層の透過型電子顕微鏡の高解像度明視野像。 シリコン複合層のラマン散乱スペクトル。 シリコン複合層の膜中酸素濃度と、波長600nmの光に対する屈折率の特性。 本発明の集積型薄膜光電変換モジュールに組み入れられ得る実施例1の積層型光電変換装置。 シリコン複合層の膜厚を変化させた場合の干渉を考慮した界面の反射率。 本発明における積層型光電変換装置の断面の透過型電子顕微鏡の明視野像。 本発明における積層型光電変換装置の断面の透過型電子顕微鏡の暗視野像。 本発明における積層型光電変換装置のガラス基板から光入射した光の反射率。 従来技術の比較例1の積層型光電変換装置。 従来技術の比較例2の積層型光電変換装置。 本発明の実施例2における積層型光電変換装置。 本発明の実施例3における積層型光電変換装置。 本発明の実施例4における積層型光電変換装置。 本発明の実施例5における積層型光電変換装置の分光感度電流の相対値。 本発明の実施例6における積層型光電変換装置。 本発明の実施例7の集積型薄膜光電変換モジュール。 従来技術の比較例4の集積型薄膜光電変換モジュール。 従来技術の比較例5の集積型薄膜光電変換モジュール。 従来技術の比較例6の集積型薄膜光電変換モジュール。
符号の説明
1 ガラス基板
2 透明電極層
3 前方光電変換ユニット
3a 第一光電変換ユニット
31 p型非晶質炭化シリコン層
32 i型非晶質シリコン層
33 n型微結晶シリコン層
34 第一n型層であるn型の、シリコン結晶相を含む非晶質酸化シリコン合金層
35 第二n型層であるn型微結晶シリコン層
36 第一n型層であるn型微結晶シリコン層
37 第二n型層であるn型の、シリコン結晶相を含む非晶質酸化シリコン合金層
38 第三n型層であるn型微結晶シリコン層
39 n型非晶質酸化シリコン層
4 n型の、シリコン結晶相を含む非晶質酸化シリコン合金層
5 後方光電変換ユニット
5a 第二光電変換ユニット
51 p型微結晶シリコン層
52 i型結晶質シリコン層
53 n型微結晶シリコン層
6 裏面電極層
7 第二の、n型の、シリコン結晶相を含む非晶質酸化シリコン合金層
8 第三光電変換ユニット
81 p型微結晶シリコン層
82 i型結晶質シリコン層
83 n型微結晶シリコン層
101 集積型薄膜光電変換モジュール
102 ガラス基板
103 透明電極層
104a 前方光電変換ユニット
104b 後方光電変換ユニット
105 ZnOの中間反射層
106 裏面電極層
107 一導電型の、シリコン結晶相を含む非晶質酸化シリコン合金層
121 第一の分離溝
122 第二の分離溝
123 接続溝
124 第三の分離溝

Claims (5)

  1. 透明基板と前記透明基板の一方の主面上に並置され且つ互いに直列接続された複数の積層型光電変換セルとを具備し、前記複数の積層型光電変換セルの各々は、前記透明基板の一方の主面上に順次積層された透明電極層、pin接合の第一の光電変換ユニットと、一導電型のシリコン複合層と、pin接合の第二の光電変換ユニットとを含む光電変換半導体層、及び裏面電極層で構成され、前記複数の積層型光電変換セルのそれぞれの隣り合う2つの間で、前記透明電極層は第1の分離溝によって分割され、この第1の分離溝は前記光電変換半導体層を構成する材料で埋め込まれ、前記第1の分離溝から離れた位置に、前記裏面電極層の上面に開口を有し且つ底面が前記透明電極層と前記光電変換半導体層との界面で構成された第2の分離溝が設けられ、前記第1の分離溝と前記第2の分離溝との間に、前記光電変換半導体層と前記裏面電極層との界面に開口を有し且つ底面が前記透明電極層と前記光電変換半導体層との界面で構成された接続溝が設けられ、この接続溝は前記裏面電極層を構成する材料で埋め込まれることによって前記隣り合う2つの積層型光電変換セルの一方の裏面電極層と他方の透明電極層とを電気的に接続する薄膜光電変換モジュールであって、前記シリコン複合層は、シリコンと酸素の非晶質合金母相中に分散したシリコン結晶相を含み、40原子%以上60原子%以下の膜中酸素濃度を含んでいて600nmの波長の光に対して1.7以上2.1以下の屈折率を有するとともに、20nmより大きく130nmより小さい厚さを有することを特徴とする薄膜光電変換モジュール。
  2. 透明基板と前記透明基板の一方の主面上に並置され且つ互いに直列接続された複数の積層型光電変換セルとを具備し、前記複数の積層型光電変換セルの各々は、前記透明基板の一方の主面上に順次積層された透明電極層、pin接合の第一の光電変換ユニットと、pin接合の第二の光電変換ユニットとを含む光電変換半導体層、及び裏面電極層で構成され、前記複数の積層型光電変換セルのそれぞれの隣り合う2つの間で、前記透明電極層は第1の分離溝によって分割され、この第1の分離溝は前記光電変換半導体層を構成する材料で埋め込まれ、前記第1の分離溝から離れた位置に、前記裏面電極層の上面に開口を有し且つ底面が前記透明電極層と前記光電変換半導体層との界面で構成された第2の分離溝が設けられ、前記第1の分離溝と前記第2の分離溝との間に、前記光電変換半導体層と前記裏面電極層との界面に開口を有し且つ底面が前記透明電極層と前記光電変換半導体層との界面で構成された接続溝が設けられ、この接続溝は前記裏面電極層を構成する材料で埋め込まれることによって前記隣り合う2つの積層型光電変換セルの一方の裏面電極層と他方の透明電極層とを電気的に接続する薄膜光電変換モジュールであって、前記第一の光電変換ユニットのi型層の光入射側から遠い側にn型層を備え、前記n型層の少なくとも一部がn型のシリコン複合層であって、前記シリコン複合層はシリコンと酸素の非晶質合金母相中に分散したシリコン結晶相を含み、40原子%以上60原子%以下の膜中酸素濃度を含んでいて600nmの波長の光に対して1.7以上2.1以下の屈折率を有するとともに、20nmより大きく130nmより小さい厚さを有することを特徴とする薄膜光電変換モジュール。
  3. 前記シリコン複合層の暗導電率が、10-8S/cm以上10-1S/cm以下であることを特徴とする請求項1ないし2のいずれかに記載の薄膜光電変換モジュール
  4. 前記シリコン複合層において、ラマン散乱で測定した前記非晶質に由来するピークに対する結晶シリコン成分のTOモードピークのピーク強度比が0.5以上10以下であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の薄膜光電変換モジュール
  5. 記透明基板を通して入射した光の反射スペクトルが、波長500nmから800nmの範囲に反射率の極大値と極小値をそれぞれ少なくとも一つ以上持ち、前記極大値と前記極小値の反射率の差が1%以上あることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の薄膜光電変換モジュール
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