JP2010135637A - 光電変換装置 - Google Patents

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信樹 山下
Tadashi Mori
匡史 森
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Abstract

【課題】高い発電効率を有する光電変換装置、及びその製造方法を提供する。
【解決手段】基板1上に、複数の発電ユニット8を有し、少なくとも1つの発電ユニット8が、前記基板1上に、該基板1側から順に透明電極層2と、光電変換層3と、裏面電極層とを備え、該裏面電極層が隣接する他の発電ユニット8の透明電極層2と電気的に接触する接続部9を有する光電変換装置100であって、前記裏面電極層が、銀薄膜4を含み、前記光電変換層3上の前記基板1に対して平行な位置4aにおける前記銀薄膜4の膜厚に対する、前記接続部9の側壁部4bにおける前記銀薄膜4の膜厚の比が、0.5以上であることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は光電変換装置に関し、特に発電層を製膜で作製する薄膜系太陽電池に関する。
光を受光して電力に変換する光電変換装置として、例えば発電層(光電変換層)に薄膜シリコン系の層を積層させた薄膜系太陽電池が知られている。薄膜系太陽電池は、一般に、基板上に、透明電極層、シリコン系半導体層(光電変換層)、金属電極膜を備える裏面電極層を順次積層して構成される。
透明電極層は、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO)、酸化インジウム錫(ITO)などの金属酸化物が主成分とされる。透明電極層を低抵抗とするために、上記金属酸化物に酸化ガリウムや酸化アルミニウム、フッ素などが添加される。しかし、透明電極層は金属電極と比較して高抵抗であるため、光電変換層で発生した電流が透明電極層を流れる間に電力損失が生じる。そこで、特許文献1に記載のように、外部へ取り出せる電力を増加させるために、損失を小さくする集積構造が知られている。集積構造とは、発電ユニットを1枚の基板上に複数個形成し、それぞれを直列接続したものである。分離溝や接続溝は、直列接続方向に垂直方向にレーザスクライブにより形成される。
特開2005−322707号公報
集積型太陽電池の発電性能を向上させることを目的として、各層の構成及び物性の最適化が行われる。裏面電極層に関して、層構成や金属電極膜の製膜条件の最適化によって、裏面電極の低抵抗化及び高反射率化の検討がなされてきた。しかし、更なる発電性能向上のためには、金属電極膜の物性面だけでなく、形状面からの改善が必要と考えられた。
本発明は、金属電極膜の形状に着目して、高い発電効率を有する光電変換装置、及びその製造方法を提供する。
上記課題を解決するために、本発明は、基板上に、複数の発電ユニットを有し、少なくとも1つの発電ユニットが、前記基板上に、該基板側から順に透明電極層と、光電変換層と、裏面電極層とを備え、該裏面電極層が隣接する他の発電ユニットの透明電極層と電気的に接触する接続部を有する光電変換装置であって、前記裏面電極層が、銀薄膜を含み、前記光電変換層上の前記基板に対して平行な位置における前記銀薄膜の膜厚に対する、前記接続部の側壁部における前記銀薄膜の膜厚の比が、0.5以上であることを特徴とする光電変換装置を提供する。
上述の集積構造とされた光電変換装置では、基板上に透明電極層及び光電変換層を形成して、接続部において光電変換層のみを除去した後に、裏面電極層が形成される。そのため、集積構造における裏面電極層を構成する銀薄膜には光電変換層上に形成された基板に対して平行な頂部平坦部と、透明電極層上に形成された基板に対して平行な接続部底部と、頂部平坦部と接続部底部とを繋ぐ接続部の側壁部とが存在する。
裏面電極層の製膜時に、頂部平坦部と接続部底部には、銀が堆積しやすいが、側壁部は傾斜があるために銀が堆積しにくい傾向がある。側壁部での銀薄膜膜厚が薄いと、接触抵抗が増大する。接触抵抗の増大は、光電変換装置の発電効率低下の原因である。
本発明では、頂部平坦部での銀薄膜の膜厚に対する側壁部での銀薄膜の膜厚が0.5以上として、側壁部での銀の充填率を高くすることにより、銀薄膜と光電変換層との接触抵抗を低減できる。そのため、高い発電効率を示す光電変換装置とすることができる。
上記発明において、波長600nm以上1200nm以下の光に対する前記銀薄膜の前記基板側表面での反射率が、95%以上であることが好ましい。
特に、シリコン系薄膜を備える光電変換層の場合は、波長600nm以上の長波長光が吸収されにくい。そのため、発電効率を向上させるためには、光電変換層を透過した光を、銀薄膜の基板側表面で反射させて再び光電変換層に入射させる必要がある。本発明のように、銀薄膜の基板側表面で、波長600nm以上1200nm以下の光に対する反射率が95%以上であると、発電効率を更に向上させることができるため好ましい。
本発明によれば、裏面電極層の銀薄膜が、光電変換層上の基板に対して平行な位置での膜厚に対する接続部側壁部における膜厚の比が0.5以上であることにより、接続部での接触抵抗を低減させて、高出力の光電変換装置とすることができる。
図1は、本発明の光電変換装置の構成を示す概略図である。光電変換装置100は、シリコン系太陽電池であり、基板1上に透明電極層2、光電変換層3、裏面電極層としての裏面透明電極層7及び銀薄膜4が順に積層された複数の発電ユニット8を備える。隣り合う発電ユニット8の間に、接続部9が設けられる。
なお、本実施形態において、シリコン系とはシリコン(Si)やシリコンカーバイト(SiC)やシリコンゲルマニウム(SiGe)を含む総称である。また、結晶質シリコン系とは、非晶質シリコン系以外のシリコン系を意味するものであり、微結晶シリコンや多結晶シリコンも含まれる。
接続部9において、透明電極層2が溝10により分離される。溝10の近傍に、隣接する発電ユニットから延在する透明電極層2の一部を底面とする接続溝11が形成される。接続溝11では、光電変換層が除去される。裏面透明電極層7は、接続溝11の内面に接するように延在する。銀薄膜4は、裏面透明電極層7上にその形状に倣って形成される。接続溝11底部において、裏面透明電極層7及び銀薄膜4を含む裏面電極層と、透明電極層2とが電気的に接続する。裏面電極層は、接続溝11の近傍において、溝12により隣接する発電ユニットの裏面電極層と分離される。これにより、複数の発電ユニット8が直列接続される。
<第1実施形態>
第1実施形態に係る光電変換装置の製造方法を、太陽電池パネルを製造する工程を例に挙げて説明する。第1実施形態は、光電変換層が非晶質シリコン系であるシングル型太陽電池である。図2から図5は、本実施形態の太陽電池パネルの製造方法を示す概略図である。
(1)図2(a)
基板1としてソーダフロートガラス基板(例えば面積1m以上、具体的には1.4m×1.1m×板厚:3.5mm〜4.5mm)を使用する。基板端面は熱応力や衝撃などによる破損防止にコーナー面取りやR面取り加工されていることが望ましい。
(2)図2(b)
透明電極層2として、酸化錫(SnO)を主成分とする膜厚約500nm以上800nm以下の透明導電膜を、熱CVD装置にて約500℃で製膜する。この際、透明電極膜の表面には、適当な凹凸のあるテクスチャーが形成される。透明電極層2として、透明電極膜に加えて、基板1と透明電極膜との間にアルカリバリア膜(図示されず)を形成しても良い。アルカリバリア膜は、酸化シリコン膜(SiO)を50nm〜150nm、熱CVD装置にて約500℃で製膜処理する。
(3)図2(c)
その後、基板1をX−Yテーブルに設置して、YAGレーザーの第1高調波(1064nm)を、図の矢印に示すように、透明電極膜の膜面側から照射する。加工速度に適切となるようにレーザーパワーを調整して、透明電極膜を発電セルの直列接続方向に対して垂直な方向へ、基板1とレーザー光を相対移動して、溝10を形成するように幅約6mmから15mmの所定幅の短冊状にレーザーエッチングする。
(4)図2(d)
光電変換層3として、非晶質シリコン薄膜からなるp層、i層及びn層を、プラズマCVD装置により製膜する。SiHガス及びHガスを主原料にして、減圧雰囲気:30Pa以上1000Pa以下、基板温度:約200℃にて、透明電極層2上に太陽光の入射する側から非晶質シリコンp層、非晶質シリコンi層、非晶質シリコンn層の順で製膜する。非晶質シリコンp層は非晶質のBドープシリコンを主とし、膜厚10nm以上30nm以下である。非晶質シリコンi層は、膜厚200nm以上350nm以下である。非晶質シリコンn層は、非晶質シリコンに微結晶シリコンを含有するPドープシリコンを主とし、膜厚30nm以上50nm以下である。非晶質シリコンp層と非晶質シリコンi層の間には、界面特性の向上のためにバッファー層を設けても良い。
(5)図2(e)
基板1をX−Yテーブルに設置して、レーザーダイオード励起YAGレーザーの第2高調波(532nm)を、図の矢印に示すように、光電変換層3の膜面側から照射する。パルス発振:10kHzから20kHzとして、加工速度に適切となるようにレーザーパワーを調整して、透明電極層2のレーザーエッチングラインの約100μmから150μmの横側を、溝11を形成するようにレーザーエッチングする。またこのレーザーは基板1側から照射しても良く、この場合は光電変換層3で吸収されたエネルギーで発生する高い蒸気圧を利用して光電変換層3をエッチングできるので、更に安定したレーザーエッチング加工を行うことが可能となる。レーザーエッチングラインの位置は前工程でのエッチングラインと交差しないように位置決め公差を考慮して選定する。
(6)図3(a)
裏面電極層として、基板側から順に、裏面透明電極層7としてのGZO(GaドープZnO)膜、及び、銀(Ag)薄膜4を、スパッタリング装置により、減圧雰囲気にて製膜する。
裏面透明電極層7は、光電変換層3と銀薄膜4との接触抵抗低減と、光反射向上とを目的として設けられる。裏面透明電極層7は、ターゲット:GaドープZnO、減圧雰囲気:0.4Pa、基板温度:約50℃、膜厚:50nm以上100nm以下の条件で製膜される。
本実施形態では、銀薄膜4上に、銀薄膜を保護するものとして防食効果の高いTi膜:10nm以上20nm以下を積層しても良い。Ti膜は、Al膜に代用可能である。
銀薄膜4は、頂部平坦部4aでの膜厚に対する接続溝11における側壁部4bでの膜厚の比が0.5以上とされる。また、波長600nm以上1200nm以下の光に対する銀薄膜4の基板1側表面での反射率が95%とされることが好ましい。
上述の形状及び光学特性を有する銀薄膜の形成方法の一つとして、銀箔膜の製膜全時間にわたり基板温度を制御することが挙げられる。例えば、銀薄膜4は、ターゲット:Ag、減圧雰囲気:0.5Pa、膜厚(頂部平坦部4aでの膜厚):150nm以上500nm以下の条件で製膜される。本実施形態では、プラズマからの入熱を考慮して、製膜中の基板温度が、150℃以上220℃以下、好ましくは160℃以上210)℃以下の範囲内となるように制御される。製膜全時間における基板温度が150℃未満では、銀薄膜の反射率が低下する。製膜温度150℃以上とすることにより、95%以上の高い反射率が得られるが、製膜温度が220℃を超えると、形状因子及び開放電圧が低下して、発電効率が低下する。
(7)図3(b)
基板1をX−Yテーブルに設置して、レーザーダイオード励起YAGレーザーの第2高調波(532nm)を、図の矢印に示すように、基板1側から照射する。レーザー光が光電変換層3で吸収され、このとき発生する高いガス蒸気圧を利用して裏面電極層4が爆裂して除去される。パルス発振:1kHz以上10kHz以下として加工速度に適切となるようにレーザーパワーを調整して、透明電極層2のレーザーエッチングラインの250μmから400μmの横側を、溝12を形成するようにレーザーエッチングする。
(8)図3(c)と図3(a)
発電領域を区分して、基板端周辺の膜端部においてレーザーエッチングによる直列接続部分が短絡し易い影響を除去する。基板1をX−Yテーブルに設置して、レーザーダイオード励起YAGレーザーの第2高調波(532nm)を、基板1側から照射する。レーザー光が透明電極層2と光電変換層3で吸収され、このとき発生する高いガス蒸気圧を利用して裏面電極層4が爆裂して、裏面電極層4/光電変換層3/透明電極層2が除去される。パルス発振:1kHz以上10kHz以下として加工速度に適切となるようにレーザーパワーを調整して、基板1の端部から5nmから20mmの位置を、図3(c)に示すように、X方向絶縁溝15を形成するようにレーザーエッチングする。なお、図3(c)では、光電変換層3が直列に接続された方向に切断したX方向断面図となっているため、本来であれば絶縁溝15位置には裏面電極層4/光電変換層3/透明電極層2の膜研磨除去をした周囲膜除去領域14がある状態(図3(a)参照)が表れるべきであるが、基板1の端部への加工の説明の便宜上、この位置にY方向断面を表して形成された絶縁溝をX方向絶縁溝15として説明する。このとき、Y方向絶縁溝は後工程で基板1周囲膜除去領域の膜面研磨除去処理を行うので、設ける必要がない。
絶縁溝15は基板1の端より5nmから15mmの位置にてエッチングを終了させることにより、太陽電池パネル端部からの太陽電池モジュール6内部への外部湿分浸入の抑制に、有効な効果を呈するので好ましい。
尚、以上までの工程におけるレーザー光はYAGレーザーとしているが、YVO4レーザーやファイバーレーザーなどが同様に使用できるものがある。
(9)図4(a:太陽電池膜面側から見た図、b:受光面の基板側から見た図)
後工程のEVA等を介したバックシート24との健全な接着・シール面を確保するために、基板1周辺(周囲膜除去領域14)の積層膜は、段差があるとともに剥離し易いため、この膜を除去して周囲膜除去領域14を形成する。基板1の端から5〜20mmで基板1の全周囲にわたり膜を除去するにあたり、X方向は前述の図3(c)工程で設けた絶縁溝15よりも基板端側において、Y方向は基板端側部付近の溝10よりも基板端側において、裏面電極層4/光電変換層3/透明電極層2を、砥石研磨やブラスト研磨などを用いて除去を行う。
研磨屑や砥粒は基板1を洗浄処理して除去した。
(10)図5(a)(b)
端子箱23の取付け部分はバックシート24に開口貫通窓を設けて集電板を取出す。この開口貫通窓部分には絶縁材を複数層で設置して外部からの湿分などの浸入を抑制する。
直列に並んだ一方端の太陽電池発電セルと、他方端部の太陽電池発電セルとから銅箔を用いて集電して太陽電池パネル裏側の端子箱23の部分から電力が取出せるように処理する。銅箔は各部との短絡を防止するために銅箔幅より広い絶縁シートを配置する。
集電用銅箔などが所定位置に配置された後に、太陽電池モジュール6の全体を覆い、基板1からはみ出さないようにEVA(エチレン酢酸ビニル共重合体)等による接着充填材シートを配置する。
EVAの上に、防水効果の高いバックシート24を設置する。バックシート24は本実施形態では防水防湿効果が高いようにPETシート/Al箔/PETシートの3層構造よりなる。
バックシート24までを所定位置に配置したものを、ラミネータにより減圧雰囲気で内部の脱気を行い約150〜160℃でプレスしながら、EVAを架橋させて密着させる。
(11)図5(a)
太陽電池モジュール6の裏側に端子箱23を接着剤で取付ける。
(12)図5(b)
銅箔と端子箱23の出力ケーブルとをハンダ等で接続し、端子箱23の内部を封止剤(ポッティング剤)で充填して密閉する。これで太陽電池パネル50が完成する。
(13)図5(c)
図5(b)までの工程で形成された太陽電池パネル50について発電検査ならびに、所定の性能試験を行う。発電検査は、AM1.5、全天日射基準太陽光(1000W/m)のソーラシミュレータを用いて行う。
(14)図5(d)
発電検査(図5(c))に前後して、外観検査をはじめ所定の性能検査を行う。
図6に、製膜中の基板温度を160℃または100℃で制御した銀薄膜の反射率の波長分散を示す。同図において、横軸は波長、縦軸は反射率である。図7に、銀薄膜製膜中の基板温度と、銀薄膜の反射率との関係を示す。同図において、横軸は製膜中の基板温度(製膜温度)、縦軸は波長600nmにおける反射率である。
このように、銀薄膜の反射率は製膜中の基板温度と相関があり、製膜中の基板温度150℃以上にて製膜することにより、高反射率の銀薄膜を製膜することができる。銀薄膜の反射率は、基板温度160℃以上で一定となった。
図8は、基板搬送型スパッタリング装置を用いて銀薄膜の製膜について、製膜中の基板温度変化を表すグラフである。同図において、横軸はターゲットの製膜開始位置からの距離、縦軸は基板温度である。また、図中の四角プロット点は、本実施形態の製膜条件、菱形プロット点は、製膜中の基板温度を管理しない従来の製膜条件を表す。本実施形態の製膜方法では、製膜中全時間にわたり、基板温度を200℃程度に管理された。従来の製膜方法では、プラズマによる入熱などにより、製膜開始直後と製膜終了時とで基板温度が40℃程度変化した。
このように、銀薄膜製膜時の基板温度は、製膜開始時の温度だけでなく、製膜中全時間にわたり、上記温度範囲内に維持する必要があることが示された。
図9に、(A)基板温度130℃、及び、(B)基板温度200℃で銀薄膜を製膜した太陽電池モジュールの接続溝11上部の断面顕微鏡写真を示す。基板温度200℃の方が、接続部側壁部の銀薄膜(図中Bで示された部分)が厚くなっていることが確認できる。
図10に、銀薄膜製膜中の基板温度と、頂部平坦部の銀薄膜(図中Aで示された部分)膜厚に対する接続部側壁部の銀薄膜膜厚の比B/Aとの関係を示す。同図において、横軸は製膜中の基板温度(製膜温度)、縦軸は銀薄膜膜厚の比B/A率である。銀薄膜膜厚の比B/Aは、基板温度130℃で0.45、基板温度200℃で0.55であった。図10に示すように、基板温度を150℃以上として銀薄膜を製膜することにより、膜厚比B/Aが0.5以上と、接続部側壁部における銀薄膜を厚くする(側壁部での銀の充填率を向上させる)ことができた。これにより、接続部における接触抵抗が低減され、発電電流を外部に取り出すための十分な導電パスが確保できる。
第1実施形態の太陽電池モジュールについて、銀薄膜の製膜温度とモジュールの形状因子との関係を図11に、製膜温度とモジュールの開放電圧との関係を図12示す。図11において、横軸は製膜温度、縦軸は形状因子(規格値)である。図12において、横軸は製膜温度、縦軸は開放電圧(規格値)である。図13に、銀薄膜の製膜温度と、第1実施形態の太陽電池モジュールの出力との関係を示す。同図において、横軸は製膜温度、縦軸はモジュール出力(規格値)である。なお、製膜全時間にわたり製膜温度が一定になるように、基板温度を制御した。
製膜温度200℃までは、温度上昇に伴って形状因子が向上した。これは、銀薄膜製膜時の基板温度を高くすることにより、接続部側壁部での充填率が向上した結果である。一方、製膜温度が200℃を超えると、形状因子及び開放電圧が低下した。モジュール出力は、製膜温度に対し、形状因子とほぼ同様の傾向を示した。
銀薄膜の製膜温度を150℃以上200℃以下とすることにより、頂部平坦部に対する接続部側壁部の銀薄膜の膜厚比を0.5以上にして接触抵抗を低減することができ、さらに、銀薄膜の基板側表面での反射率を95%以上とすることができた。このため、形状因子及び開放電圧を向上させて、モジュール出力を増大させることができた。
<第2実施形態>
第2実施形態は、光電変換層が結晶質シリコン系のシングル型太陽電池である。
第2実施形態に係る太陽電池は、光電変換層3以外は第1実施形態と同様にして形成される。第2実施形態に係る太陽電池の光電変換層3は、以下の条件で形成される。
透明電極層2の上に、プラズマCVD装置により、減圧雰囲気:3000Pa以下、基板温度:約200℃、プラズマ発生周波数:40MHz以上100MHz以下にて、結晶質シリコンp層、結晶質シリコンi層、及び、結晶質シリコンn層を順次製膜する。結晶質シリコンp層はBドープした微結晶シリコンを主とし、膜厚10nm以上50nm以下である。結晶質シリコンi層は微結晶シリコンを主とし、膜厚は1.2μm以上3.0μm以下である。結晶質シリコンn層はPドープした微結晶シリコンを主とし、膜厚20nm以上50nm以下である。
微結晶シリコンを主とするi層膜をプラズマCVD法で形成するにあたり、プラズマ放電電極と基板1の表面との距離dは、3mm以上10mm以下にすることが好ましい。3mmより小さい場合、大型基板に対応する製膜室内の各構成機器精度から距離dを一定に保つことが難しくなるとともに、近過ぎて放電が不安定になる恐れがある。10mmより大きい場合、十分な製膜速度(1nm/s以上)を得難くなるとともに、プラズマの均一性が低下しイオン衝撃により膜質が低下する。
第2実施形態の太陽電池モジュールについて、銀薄膜の製膜温度とモジュールの形状因子との関係を図14に、製膜温度とモジュールの開放電圧との関係を図15示す。図14において、横軸は製膜温度、縦軸は形状因子(規格値)である。図15において、横軸は製膜温度、縦軸は開放電圧(規格値)である。図16に、銀薄膜の製膜温度と、第2実施形態の太陽電池モジュールの出力との関係を示す。同図において、横軸は製膜温度、縦軸はモジュール出力(規格値)である。なお、製膜全時間にわたり製膜温度が一定になるように、基板温度を制御した。
第2実施形態の太陽電池においても、銀薄膜製膜中の製膜温度を150℃以上200℃以下とすることにより、形状因子及び開放電圧を向上させて、モジュール出力を増大させることができた。これは、頂部平坦部に対する接続部側壁部の銀薄膜の膜厚比を0.5以上にして接触抵抗を低減することができ、さらに、銀薄膜の基板側表面での反射率を95%以上とすることができたためである。
<第3実施形態>
第3実施形態は、光電変換層が、基板側から順に非晶質シリコン系第1セル層及び結晶質シリコン系第2セル層が積層されたタンデム型太陽電池である。
第3実施形態に係る太陽電池は、各層が第1実施形態及び第2実施形態と同様の方法で形成される。なお、第3実施形態では、第1セル層と第2セル層の間に、接触性を改善するとともに電流整合性を取るために半反射膜となる中間コンタクト層を設けることができる。例えば、中間コンタクト層として、膜厚:20nm以上100nm以下のGZO(GaドープZnO)膜を、ターゲット:GaドープZnO焼結体を用いてスパッタリング装置により製膜する。
第3実施形態の太陽電池モジュールについて、銀薄膜の製膜温度とモジュールの形状因子との関係を図17に、製膜温度とモジュールの開放電圧との関係を図18示す。図17において、横軸は製膜温度、縦軸は形状因子(規格値)である。図18において、横軸は製膜温度、縦軸は開放電圧(規格値)である。図19に、銀薄膜の製膜温度と、第3実施形態の太陽電池モジュールの出力との関係を示す。同図において、横軸は製膜温度、縦軸はモジュール出力(規格値)である。なお、製膜全時間にわたり製膜温度が一定になるように、基板温度を制御した。
第3実施形態のタンデム型太陽電池においても、銀薄膜製膜中の製膜温度を150℃以上200℃以下とすることにより、形状因子及び開放電圧を向上させて、モジュール出力を増大させることができた。これは、頂部平坦部に対する接続部側壁部の銀薄膜の膜厚比を0.5以上にして接触抵抗を低減することができ、さらに、銀薄膜の基板側表面での反射率を95%以上とすることができたためである。
本発明の光電変換装置の製造方法により製造される光電変換装置の構成を表す概略図である。 第1実施形態の光電変換装置の製造方法を用いて太陽電池パネルを製造する一実施形態を説明する概略図である。 第1実施形態の光電変換装置の製造方法を用いて太陽電池パネルを製造する一実施形態を説明する概略図である。 第1実施形態の光電変換装置の製造方法を用いて太陽電池パネルを製造する一実施形態を説明する概略図である。 第1実施形態の光電変換装置の製造方法を用いて太陽電池パネルを製造する一実施形態を説明する概略図である。 製膜中の基板温度を変えた場合の銀薄膜の反射率の波長分散を表すグラフである。 銀薄膜製膜中の基板温度と、波長600nmの光に対する銀薄膜の反射率との関係を示すグラフである。 銀薄膜製膜中の基板温度変化を表すグラフである。 (A)基板温度130℃、及び、(B)基板温度200℃で銀薄膜を製膜した太陽電池モジュールの接続溝11上部の断面顕微鏡写真である。 銀薄膜の製膜温度と、頂部平坦部の銀薄膜膜厚に対する接続部側壁部の銀薄膜膜厚の比B/Aとの関係を示すグラフである。 銀薄膜の製膜温度と、第1実施形態に係る太陽電池モジュールの形状因子との関係を示すグラフである。 銀薄膜の製膜温度と、第1実施形態に係る太陽電池モジュールの開放電圧との関係を示すグラフである。 銀薄膜の製膜温度と、第1実施形態に係る太陽電池モジュールの出力との関係を示すグラフである。 銀薄膜の製膜温度と、第2実施形態に係る太陽電池モジュールの形状因子との関係を示すグラフである。 銀薄膜の製膜温度と、第2実施形態に係る太陽電池モジュールの開放電圧との関係を示すグラフである。 銀薄膜の製膜温度と、第2実施形態に係る太陽電池モジュールの出力との関係を示すグラフである。 銀薄膜の製膜温度と、第3実施形態に係る太陽電池モジュールの形状因子との関係を示すグラフである。 銀薄膜の製膜温度と、第3実施形態に係る太陽電池モジュールの開放電圧との関係を示すグラフである。 銀薄膜の製膜温度と、第3実施形態に係る太陽電池モジュールの出力との関係を示すグラフである。
符号の説明
1 基板
2 透明電極層
3 光電変換層
4 銀薄膜
4a 頂部平坦部
4b 接続部側壁部
6 太陽電池モジュール
7 裏面透明電極層
8 発電ユニット
9 接続部
10,12 溝
11 接続溝
100 光電変換装置

Claims (2)

  1. 基板上に、複数の発電ユニットを有し、
    少なくとも1つの発電ユニットが、前記基板上に、該基板側から順に透明電極層と、光電変換層と、裏面電極層とを備え、
    該裏面電極層が隣接する他の発電ユニットの透明電極層と電気的に接触する接続部を有する光電変換装置であって、
    前記裏面電極層が、銀薄膜を含み、
    前記光電変換層上の前記基板に対して平行な位置における前記銀薄膜の膜厚に対する、前記接続部の側壁部における前記銀薄膜の膜厚の比が、0.5以上であることを特徴とする光電変換装置。
  2. 波長600nm以上1200nm以下の光に対する前記銀薄膜の前記基板側表面での反射率が、95%以上であることを特徴とする請求項1に記載の光電変換装置。
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