JP2010251424A - 光電変換装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】基板1上に、光入射側から順に、p層41と結晶質シリコンゲルマニウムi層42とn層43とが積層された光電変換層3を備える光電変換装置100であって、前記結晶質シリコンゲルマニウムi層42中のゲルマニウム濃度が、前記p層41側から前記n層43側に向かって段階状に減少するように変化していることを特徴とする光電変換装置100。
【選択図】図1
Description
本発明では、ゲルマニウム濃度が、p層側からn層側に向かって段階状に減少する結晶質シリコンゲルマニウムi層とする。これにより、i層のバンドが相対的にn層側に移動するようにpin構造のバンドプロファイルが改善されて、p層/i層界面付近の電界が向上する。その結果、短波長側での分光感度低下を抑制するとともに、ゲルマニウム濃度が高く均一な結晶質シリコンゲルマニウムi層を備える光電変換装置よりも長波長領域での分光感度を向上させることができる。これにより、i層内部で発生したキャリアを取り出すことができるために短絡電流が向上して、高い変換効率を示す光電変換装置とすることができる。
また、n層との界面部分に、ゲルマニウム濃度が1原子%以上20原子%以下の結晶質シリコンゲルマニウムi層を設けることにより、i層/n層界面付近の電界を相対的に低下させることができる。n層との界面部分において、結晶質シリコンゲルマニウムi層のゲルマニウム濃度が20原子%を超えると、結晶質シリコンゲルマニウムi層がp型化する。このため、i層/n層界面付近に強い電界がかかる一方、p層/i層界面付近の電界が弱まるために、i層バンドプロファイリングの改善が望めない。
図1は、第1実施形態の光電変換装置の構成を示す概略図である。光電変換装置100は、シングル型シリコン系太陽電池であり、基板1、透明電極層2、光電変換層3、及び裏面電極層4を備える。なお、本実施形態において、シリコン系とはシリコン(Si)やシリコンカーバイト(SiC)やシリコンゲルマニウム(SiGe)を含む総称である。また、結晶質シリコン系とは、非晶質シリコン系以外のシリコン系を意味するものであり、微結晶シリコンや多結晶シリコンも含まれる。
基板1として面積が1m2以上、或いは1辺が1m以上の大型のソーダフロートガラス基板(例えば1.4m×1.1m×板厚:3.5mm〜4.5mm)を使用する。基板端面は熱応力や衝撃などによる破損防止にコーナー面取りやR面取り加工されていることが望ましい。
透明電極層2として、酸化錫(SnO2)を主成分とする膜厚約500nm以上800nm以下の透明導電膜を、熱CVD装置にて約500℃で製膜する。この際、透明電極膜の表面には、適当な凹凸のあるテクスチャーが形成される。透明電極層2として、透明電極膜に加えて、基板1と透明電極膜との間にアルカリバリア膜(図示されず)を形成しても良い。アルカリバリア膜は、酸化シリコン膜(SiO2)を50nm〜150nm、熱CVD装置にて約500℃で製膜処理する。
その後、基板1をX−Yテーブルに設置して、YAGレーザーの第1高調波(1064nm)を、図の矢印に示すように、透明電極膜の膜面側から照射する。加工速度に適切となるようにレーザーパワーを調整して、透明電極膜を発電セルの直列接続方向に対して垂直な方向へ、基板1とレーザー光を相対移動して、溝10を形成するように幅約6mmから15mmの所定幅の短冊状にレーザーエッチングする。
透明電極層2上に、プラズマCVD装置により、光電変換層3としての結晶質シリコンp層41、結晶質シリコンゲルマニウムi層42、及び、結晶質シリコンn層43を順次製膜する。結晶質シリコンp層41はBドープした微結晶シリコンを主とし、膜厚10nm以上50nm以下である。結晶質シリコンゲルマニウムi層42は微結晶シリコンゲルマニウムを主とし、膜厚は0.5μm以上2.0μm以下である。n層は非晶質シリコン、結晶質シリコン、もしくはその2種を組み合わせた積層構造とし、n層全体の膜厚は20nm以上100nm以下である。
基板1をX−Yテーブルに設置して、レーザーダイオード励起YAGレーザーの第2高調波(532nm)を、図の矢印に示すように、光電変換層3の膜面側から照射する。パルス発振:10kHzから20kHzとして、加工速度に適切となるようにレーザーパワーを調整して、透明電極層2のレーザーエッチングラインの約100μmから150μmの横側を、溝11を形成するようにレーザーエッチングする。またこのレーザーは基板1側から照射しても良く、この場合は光電変換層3の非晶質シリコン系の第1セル層で吸収されたエネルギーで発生する高い蒸気圧を利用して光電変換層3をエッチングできるので、更に安定したレーザーエッチング加工を行うことが可能となる。レーザーエッチングラインの位置は前工程でのエッチングラインと交差しないように位置決め公差を考慮して選定する。
裏面電極層4としてAg膜/Ti膜を、スパッタリング装置により、減圧雰囲気、製膜温度:150℃から200℃にて製膜する。本実施形態では、Ag膜:150nm以上500nm以下、これを保護するものとして防食効果の高いTi膜:10nm以上20nm以下を、この順に積層する。あるいは、裏面電極層4を、25nmから100nmの膜厚を有するAg膜と、15nmから500nmの膜厚を有するAl膜との積層構造としても良い。結晶質シリコンn層43と裏面電極層4との接触抵抗低減と光反射向上を目的に、光電変換層3と裏面電極層4との間に、スパッタリング装置により、膜厚:50nm以上100nm以下のGZO(GaドープZnO)膜を製膜して設けても良い。
基板1をX−Yテーブルに設置して、レーザーダイオード励起YAGレーザーの第2高調波(532nm)を、図の矢印に示すように、基板1側から照射する。レーザー光が光電変換層3で吸収され、このとき発生する高いガス蒸気圧を利用して裏面電極層4が爆裂して除去される。パルス発振:1kHz以上10kHz以下として加工速度に適切となるようにレーザーパワーを調整して、透明電極層2のレーザーエッチングラインの250μmから400μmの横側を、溝12を形成するようにレーザーエッチングする。
基板端部におけるレーザーエッチング加工部の短絡を防止するため、周囲膜除去処理を行う。基板1をX−Yテーブルに設置して、レーザーダイオード励起YAGレーザーの第2高調波(532nm)を、基板1側から照射する。レーザー光が透明電極層2と光電変換層3で吸収され、このとき発生する高いガス蒸気圧を利用して裏面電極層4が爆裂して、裏面電極層4/光電変換層3/透明電極層2が除去される。パルス発振:1kHz以上10kHz以下として加工速度に適切となるようにレーザーパワーを調整して、基板1の端部から5mmから20mmの位置を、図3(c)に示すように、X方向絶縁溝15を形成するようにレーザーエッチングする。なお、図3(c)では、光電変換層3が直列に接続された方向に切断したX方向断面図となっているため、本来であれば絶縁溝15位置には裏面電極層4/光電変換層3/透明電極層2の膜研磨除去をした周囲膜除去領域14がある状態(図4(a)参照)が表れるべきであるが、基板1の端部への加工の説明の便宜上、この位置にY方向断面を表して形成された絶縁溝をX方向絶縁溝15として説明する。このとき、Y方向絶縁溝は後工程で基板1周囲膜除去領域の膜面研磨除去処理を行うので、設ける必要がない。
後工程のEVA等を介したバックシート24との健全な接着・シール面を確保するために、基板1周辺(周囲膜除去領域14)の積層膜は、段差があるとともに剥離し易いため、この膜を除去して周囲膜除去領域14を形成する。基板1の端から5〜20mmで基板1の全周囲にわたり膜を除去するにあたり、X方向は前述の図3(c)工程で設けた絶縁溝15よりも基板端側において、Y方向は基板端側部付近の溝10よりも基板端側において、裏面電極層4/光電変換層3/透明電極層2を、砥石研磨やブラスト研磨などを用いて除去を行う。
研磨屑や砥粒は基板1を洗浄処理して除去した。
端子箱23の取付け部分はバックシート24に開口貫通窓を設けて集電板を取出す。この開口貫通窓部分には絶縁材を複数層で設置して外部からの湿分などの浸入を抑制する。
直列に並んだ一方端の太陽電池発電セルと、他方端部の太陽電池発電セルとから銅箔を用いて集電して太陽電池パネル裏側の端子箱23の部分から電力が取出せるように処理する。銅箔は各部との短絡を防止するために銅箔幅より広い絶縁シートを配置する。
集電用銅箔などが所定位置に配置された後に、太陽電池モジュール6の全体を覆い、基板1からはみ出さないようにEVA(エチレン酢酸ビニル共重合体)等による接着充填材シートを配置する。
EVAの上に、防水効果の高いバックシート24を設置する。バックシート24は本実施形態では防水防湿効果が高いようにPETシート/Al箔/PETシートの3層構造よりなる。
バックシート24までを所定位置に配置したものを、ラミネータにより減圧雰囲気で内部の脱気を行い約150〜160℃でプレスしながら、EVAを架橋させて密着させる。
太陽電池モジュール6の裏側に端子箱23を接着剤で取付ける。
(12)図5(b)
銅箔と端子箱23の出力ケーブルとをハンダ等で接続し、端子箱23の内部を封止剤(ポッティング剤)で充填して密閉する。これで太陽電池パネル50が完成する。
(13)図5(c)
図5(b)までの工程で形成された太陽電池パネル50について発電検査ならびに、所定の性能試験を行う。発電検査は、AM1.5、全天日射基準太陽光(1000W/m2)のソーラシミュレータを用いて行う。
(14)図5(d)
発電検査(図5(c))に前後して、外観検査をはじめ所定の性能検査を行う。
図6は、本発明の光電変換装置の構成を示す概略図である。光電変換装置100は、タンデム型シリコン系太陽電池であり、基板1、透明電極層2、光電変換層3としての第1セル層91(非晶質シリコン系)及び第2セル層92(結晶質シリコン系)、中間コンタクト層5、及び裏面電極層4を備える。
第1実施形態と同様にして製膜されレーザーエッチングされた透明電極層2上に、光電変換層3の第1セル層91として、非晶質シリコン薄膜からなるp層、i層及びn層を、プラズマCVD装置により製膜する。SiH4ガス及びH2ガスを主原料にして、減圧雰囲気:30Pa以上1000Pa以下、基板温度:約200℃にて、透明電極層2上に太陽光の入射する側から非晶質シリコンp層31、非晶質シリコンi層32、非晶質シリコンn層33の順で製膜する。非晶質シリコンp層31は非晶質のBドープシリコンを主とし、膜厚10nm以上30nm以下である。非晶質シリコンi層32は、膜厚150nm以上500nm以下である。非晶質シリコンn層33は、非晶質シリコンに微結晶シリコンを含有するPドープシリコンを主とし、膜厚30nm以上100nm以下である。非晶質シリコンp層31と非晶質シリコンi層32の間には、界面特性の向上のためにバッファー層を設けても良い。
その後、第1実施形態と同様にして、光電変換層3上に裏面電極4を製膜する。
第3実施形態に係る光電変換装置は、光電変換層として、基板側から順に第1セル層(非晶質シリコン系)、第2セル層(結晶質シリコン系)、第3セル層(結晶質シリコン系)を積層させて構成される。
まず、第2実施形態と同様にして、第1セル層として、非晶質シリコン薄膜からなるp層、i層及びn層を透明電極層上に製膜する。
その後、第1実施形態と同様にして、光電変換層上に裏面電極を形成する。
実施例1及び比較例1乃至比較例4のシングル型太陽電池セルについて、結晶質シリコンゲルマニウムi層中のゲルマニウム濃度プロファイルを、図7示す。同図における縦軸はゲルマニウム濃度を示す。横軸は層構成を表す。
実施例1の結晶質シリコンゲルマニウムi層は、ゲルマニウム濃度がp層側30原子%、n層側20原子%の2層構造とした。比較例1の結晶質シリコンゲルマニウムi層は、ゲルマニウム濃度が20原子%の単層構造とした。比較例2の結晶質シリコンゲルマニウムi層は、ゲルマニウム濃度がp層側20原子%、n層側30原子%の2層構造とした。比較例3の結晶質シリコンゲルマニウムi層は、ゲルマニウム濃度がp層側から順に20原子%、30原子%、20原子%の3層構造とした。比較例4の結晶質シリコンゲルマニウムi層は、ゲルマニウム濃度がp層側から順に30原子%、20原子%、30原子%の3層構造とした。
実施例及び比較例のシングル型太陽電池セルでは、結晶質シリコンゲルマニウムi層の合計膜厚を1μmとした。結晶質シリコンp層の膜厚を40nmとした。n層は、膜厚30nmの非晶質シリコンn層と膜厚30nmの結晶質シリコンn層との2層構造とした。p層/i層界面及びi層/n層界面に、バッファー層として膜厚50nmの結晶質シリコン膜を形成した。
結晶質シリコンでは、結晶シリコンの信号が519cm-1〜520cm-1付近に現れる。結晶質シリコンゲルマニウムでは、ゲルマニウムが含まれることによって、結晶シリコンの信号の現れる波数が結晶質シリコンの場合よりも低波数側にシフトする。結晶質シリコンゲルマニウムi層中のゲルマニウム濃度は、ラマンスペクトルにおける結晶シリコンの信号が表れる波数から、以下の式1を用いて算出した。
Ge濃度(原子%)=[519−ピーク波数(cm-1)]/60 …[式1]
実施例1では、比較例1よりも長波長感度が向上した。しかし、実施例1はi層の一部にGe濃度30%の製膜条件を用いているために比較例1に比べてi層中にGeが多く含まれており、それに起因すると思われる短波長感度の低下が見られたため、全体としての短絡電流は比較例1より低下したものと考えられる。同様の理由から形状因子の低下も見られ、短波長感度低下と形状因子低下とにより、実施例1の変換効率は比較例1よりも低下した。しかしながら、Ge濃度が高くなると短波長感度の低下がおこるため、Ge濃度25原子%の単層構造では比較例1に比べて短絡電流(Jsc)が相対的に低下し、形状因子も低下した。また、Ge濃度25原子%の単層構造の変換効率は比較例1に比べ低下するものと考えられる。よって、同量(同原子%)のGeを含む組成が均一なi層を用いた場合と比較すれば、本発明の実施例のようにGe濃度プロファイルを用いることによって、太陽電池セルの特性(変換効率、短絡電流、形状因子)を改善することができる。
実施例2及び比較例5として、第2セル層の結晶質シリコンゲルマニウムi層が、それぞれ実施例1及び比較例1と同じタンデム型太陽電池を作製した。なお、実施例2及び比較例5では、第1セル層として、非晶質シリコンp層:膜厚15nm、非晶質シリコンi層:膜厚500nm、結晶質シリコンn層:膜厚60nmを形成した。第2セル層の結晶質シリコンp層の膜厚を40nmとした。n層は、膜厚30nmの非晶質シリコンn層と膜厚30nmの結晶質シリコンn層との2層構造とした。p層/i層界面及びi層/n層界面に、バッファー層として膜厚50nmの結晶質シリコン膜を形成した。
2 透明電極層
3 光電変換層
4 裏面電極層
5 中間コンタクト層
6 太陽電池モジュール
31 非晶質シリコンp層
32 非晶質シリコンi層
33 非晶質シリコンn層
41 結晶質シリコンp層
42 結晶質シリコンゲルマニウムi層
43 結晶質シリコンn層
91 第1セル層
92 第2セル層
100 光電変換装置
Claims (3)
- 基板上に、光入射側から順に、p層と結晶質シリコンゲルマニウムi層とn層とが積層された光電変換層を備える光電変換装置であって、
前記結晶質シリコンゲルマニウムi層中のゲルマニウム濃度が、前記p層側から前記n層側に向かって段階状に減少するように変化していることを特徴とする光電変換装置。 - 一つの段階において変化する前記ゲルマニウム濃度の変化量が、10原子%以上であることを特徴とする請求項1に記載の光電変換装置。
- 前記p層との界面部分における前記結晶質シリコンゲルマニウムi層中のゲルマニウム濃度が30原子%以上50原子%以下であり、
前記n層との界面部分における前記結晶質シリコンゲルマニウムi層中のゲルマニウム濃度が1原子%以上20原子%以下であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の光電変換装置。
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JP2012134440A (ja) * | 2010-12-21 | 2012-07-12 | Lg Electronics Inc | 薄膜太陽電池 |
Citations (2)
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JPH05234918A (ja) * | 1992-02-21 | 1993-09-10 | Canon Inc | マイクロ波プラズマcvd法及びロール・ツー・ロール法を用いた堆積膜形成方法 |
JPH11233803A (ja) * | 1998-02-17 | 1999-08-27 | Canon Inc | 光起電力素子及びその製造方法 |
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2009
- 2009-04-13 JP JP2009097263A patent/JP2010251424A/ja active Pending
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