JP5308225B2 - 光電変換装置及びその製造方法 - Google Patents
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Description
窒素を含有するn型半導体層またはp型半導体層を界面層として用いた場合には、発電層として機能しないため、効率が低下する。このため、界面層の分だけi層を厚くする必要がある。本発明では、界面層として窒素を含有する真性半導体層を用いるため、界面層が発電に寄与することが出来るという利点がある。
本発明の第1参考例に係る光電変換装置の構成について説明する。
図1は、本参考例の光電変換装置の構成を示す概略図である。光電変換装置100は、シリコン系太陽電池であり、基板1、透明電極層2、光電変換層3、及び裏面電極層4を備える。光電変換層3は、太陽光の入射する側から順に、結晶質シリコン薄膜からなるp層41、i層42、n層43を積層して構成される。第1参考例において、p層41は、窒素原子を1%以上25%以下の原子濃度で含有し、結晶化率が0以上3未満である窒素含有層である。なお、ここで、シリコン系とはシリコン(Si)やシリコンカーバイト(SiC)やシリコンゲルマニウム(SiGe)を含む総称である。また、結晶質シリコン系とは、アモルファスシリコン系すなわち非晶質シリコン系以外のシリコン系を意味するものであり、微結晶シリコンや多結晶シリコン系も含まれる。
基板1としてソーダフロートガラス基板(1.4m×1.1m×板厚:4mm)を使用する。基板端面は、熱応力や衝撃などによる破損防止のため、コーナー面取りやR面取り加工されていることが望ましい。
透明電極層2として酸化錫(SnO2)を主成分とする膜厚約500nm以上800nm以下の透明電極膜を、熱CVD装置にて約500℃で製膜する。この際、透明電極膜の表面には、適当な凹凸のあるテクスチャーが形成される。透明電極層2として、透明電極膜に加えて、基板1と透明電極膜との間にアルカリバリア膜(図示されず)を形成しても良い。アルカリバリア膜は、膜厚50nm以上150nm以下の酸化シリコン膜(SiO2)を熱CVD装置にて約500℃で製膜する。
その後、基板1をX−Yテーブルに設置して、YAGレーザーの第1高調波(1064nm)を、図の矢印に示すように、透明電極層の層面側から入射する。加工速度が適切となるようにレーザーパワーを調整して、透明電極膜を発電セルの直列接続方向に対して垂直な方向へ、基板1とレーザー光を相対移動して、溝10を形成するように幅約6mmから15mmの所定幅の短冊状にレーザーエッチングする。
プラズマCVD装置により、透明電極層2上に太陽光の入射する側からp層41、i層42、n層43の順で積層して、光電変換層3を形成する。
基板1をX−Yテーブルに設置して、レーザーダイオード励起YAGレーザーの第2高調波(532nm)を、図の矢印に示すように、光電変換層3の膜面側から入射する。パルス発振:10kHz以上20kHz以下として加工速度に適切となるようにレーザーパワーを調整して、透明電極層2のレーザーエッチングラインの約100μmから150μmの横側を、溝11を形成するようにレーザーエッチングする。またこのレーザーは基板1側から入射しても良い。この場合は光電変換層3で吸収されたエネルギーで発生する高い蒸気圧を利用できるので、更に安定したレーザーエッチング加工を行うことが可能となる。レーザーエッチングラインの位置は前工程でのエッチングラインと交差しないように位置決め交差を考慮して選定する。
裏面電極層4としてAg膜/Ti膜をスパッタリング装置により減圧雰囲気、約150℃にて順次製膜する。本参考例では、裏面電極層4はAg膜:200nm以上500nm以下、これを保護するものとして防食効果の高いTi膜:10nm以上20nm以下をこの順に積層させたものとされる。n層43と裏面電極層4との接触抵抗低減と光反射向上を目的に、光電変換層3と裏面電極層4との間にGZO(GaドープZnO)膜を膜厚:50nm以上100nm以下、スパッタリング装置により製膜して設けても良い。また、Ti膜に変えてAl膜:250nm以上350nm以下としてもよい。TiをAlとすることで、防食効果を保持しつつ、材料コストを低減することが可能となる。
基板1をX−Yテーブルに設置して、レーザーダイオード励起YAGレーザーの第2高調波(532nm)を、図の矢印に示すように、基板1側から入射する。レーザー光が光電変換層3で吸収され、このとき発生する高いガス蒸気圧を利用して裏面電極層4が爆裂して除去される。パルス発振:1kHz以上10kHz以下として加工速度に適切となるようにレーザーパワーを調整して、透明電極層2のレーザーエッチングラインの約250μmから400μmの横側を、溝12を形成するようにレーザーエッチングする。
発電領域を区分して、基板端周辺の膜端部においてレーザーエッチングによる直列接続部分が短絡し易い影響を除去する。基板1をX−Yテーブルに設置して、レーザーダイオード励起YAGレーザーの第2高調波(532nm)を、基板1側から入射する。レーザー光が透明電極層2と光電変換層3とで吸収され、このとき発生する高いガス蒸気圧を利用して裏面電極層4が爆裂して、裏面電極層4/光電変換層3/透明電極層2が除去される。パルス発振:1kHz以上10kHz以下として加工速度に適切となるようにレーザーパワーを調整して、基板1の端部から5mmから20mmの位置を、図3(c)に示すように、X方向絶縁溝15を形成するようにレーザーエッチングする。このとき、Y方向絶縁溝は後工程で基板1周囲領域の膜面研磨除去処理を行うので、設ける必要がない。
後工程のEVA等を介したバックシート24との健在な接着・シール面を確保するために、基板1周辺(周囲領域14)の積層膜は、段差があるとともに剥離し易いため、積層膜を除去する。基板1の端から5mmから20mmで基板1の全周囲にわたり、X方向は前述の図3(c)工程で設けた絶縁溝15よりも基板端側において、Y方向は基板端側部付近の溝10よりも基板端側において、裏面電極層4/光電変換層3/透明電極層2を、砥石研磨やブラスト研磨などを用いて除去を行う。研磨屑や砥粒は基板1を洗浄処理して除去する。
端子箱取付け部分はバックシート24に開口貫通窓を設けて集電板を取出す。この開口貫通窓部分には絶縁材を複数層を設置して外部からの湿分などの浸入を抑制する。
太陽電池モジュール6の裏側に端子箱23を接着剤で取付ける。
銅箔と端子箱23の出力ケーブルとをハンダ等で接続し、端子箱内部を封止剤(ポッティング剤)で充填して密閉する。これで太陽電池パネル50が完成する。
図5(b)までの工程で形成された太陽電池パネル50について発電検査ならびに、所定の性能試験を行う。発電検査は、AM1.5、全天日射基準太陽光(1000W/m2)のソーラシミュレータを用いて行う。
発電検査(図5(c))に前後して、外観検査をはじめ所定の性能検査を行う。
本発明の第2参考例に係る光電変換装置は、図1において、n層43として、窒素原子を1%以上20%以下の原子濃度で含有し、結晶化率が0以上3未満である窒素含有層を形成した光電変換装置である。
本発明の第1実施形態に係る光電変換装置は、図1において、p層41とi層42との間に、窒素原子を1%以上30%以下の原子濃度で含有する真性半導体層であるp/i界面層を形成した光電変換装置である。
このように、p/i界面層の膜厚を2nm以上10nm以下とすることで、ワイドバンドギャップ化による開放電圧上昇の効果が得られた。
本発明の第3参考例に係る光電変換装置は、図1において、i層42とn層43との間に、窒素原子を1%以上20%以下の原子濃度で含有する真性半導体層であるn/i界面層を形成した光電変換装置である。
本発明の第4参考例に係る光電変換装置の構成について説明する。
図21は、第4参考例の光電変換装置の構成を示す概略図である。光電変換装置100は、タンデム型シリコン系太陽電池である。光電変換層3は、基板1側から順に第1電池層91と第2電池層92とが積層されて構成される。第1電池層91は、太陽光の入射する側から順に、アモルファスシリコン薄膜からなるp層31、i層32、n層33を積層して構成される。第2電池層92は、太陽光の入射する側から順に、p層41、i層42、n層43を積層して構成される。第4参考例において、第2電池層のp層41は、窒素原子を1%以上25%以下の原子濃度で含有し、結晶化率が0以上3未満である窒素含有層である。
タンデム型太陽電池モジュールにおいても、p層中の窒素原子濃度が1%以上25%以下で、窒素を添加しない太陽電池モジュールに比べて開放電圧が高くなった。窒素原子濃度が25%を超えると、開放電圧は低下した。
本発明の第5参考例に係る光電変換装置は、図21において、第2電池層92のn層43を、窒素原子を1%以上20%以下の原子濃度で含有し、結晶化率が0以上3未満である窒素含有層とした光電変換装置である。
タンデム型太陽電池モジュールにおいても、n層中の窒素原子濃度が1%以上20%以下で、窒素を添加しない太陽電池モジュールに比べて開放電圧が高くなった。窒素原子濃度が20%を超えると、開放電圧は低下した。
本発明の第2実施形態に係る光電変換装置は、図21において、第2電池層92のp層41とi層42との間に、窒素原子を1%以上30%以下の原子濃度で含有する真性半導体層であるp/i界面層を形成した光電変換装置である。
本発明の第6参考例に係る光電変換装置は、図21において、第2電池層92のi層42とn層43との間に、窒素原子を1%以上20%以下の原子濃度で含有する真性半導体層であるn/i界面層を形成する。
2 透明電極層
3 光電変換層
4 裏面電極層
5 中間コンタクト層
6 太陽電池モジュール
31,41 p層
32,42 i層
33,43 n層
91 第1電池層
92 第2電池層
100 光電変換装置
Claims (4)
- p層と、i層と、n層とが積層された光電変換層を備える光電変換装置であって、
前記p層、前記i層、及び前記n層がシリコンの層とされ、
前記p層と前記i層との界面に界面層が形成され、
該界面層が窒素を含有する真性半導体とされ、
該界面層が窒素原子を1%以上30%以下の原子濃度で含有し、
該界面層が2nm以上10nm以下とされ、
前記界面層の窒素原子の濃度及び膜厚が、窒素原子を含有しない前記膜厚の界面層が形成された場合と前記界面層を形成しない場合のいずれよりも開放電圧が増加する窒素原子の濃度及び膜厚とされる光電変換装置。 - 前記i層が、結晶質シリコンである請求項1に記載の光電変換装置。
- 基板上に、p層と、i層と、n層とが積層された光電変換層を形成する工程を含む光電変換装置の製造方法であって、
前記p層、前記i層、及び前記n層としてシリコンの層が形成され、
前記p層と前記i層との界面に窒素を含有する真性半導体とされる界面層が形成され、
該界面層として、窒素原子を1%以上30%以下の原子濃度であり、かつ、膜厚が2nm以上10nm以下であり、前記窒素原子の濃度及び膜厚が、窒素原子を含有しない前記膜厚の界面層が形成された場合と前記界面層を形成しない場合のいずれよりも開放電圧が増加する窒素原子の濃度及び膜厚とされる窒素含有層を形成する光電変換装置の製造方法。 - 前記窒素含有層を、30MHz以上100MHz以下の高周波周波数で、高周波プラズマC法VDによって形成する請求項3に記載の光電変換装置の製造方法。
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