JP2009164251A - 光電変換装置の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】光電変換性能を向上させるとともに、量産に適用可能なアニール処理工程を有する光電変換装置の製造方法を提供する。
【解決手段】結晶質シリコン層を含む光電変換層を有する光電変換装置に対して、大気雰囲気において150℃以上200℃以下の温度で30分以上6時間以下のアニール処理を施すアニール処理工程を含む光電変換装置の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、光電変換装置に関し、特に結晶質シリコンを含む薄膜系太陽電池に関する。
太陽光を電気エネルギーに変換する太陽電池は、クリーンな発電装置として注目されている。このような太陽電池として、光電変換層にシリコン薄膜を用いた薄膜系シリコン太陽電池が知られている。薄膜系シリコン太陽電池の光電変換層は、一般にプラズマCVD法によって形成される。
光電変換層に微結晶シリコン膜を用いた太陽電池の場合、アニール処理により光電変換性能が向上することが知られている。例えば、特許文献1には、微結晶シリコン光起電力素子に対して、133Pa以下の低酸素分圧中にて120℃から300℃で1時間から15時間のアニール処理を行い、光電変換特性を良好にすることが開示されている。このアニール処理により、p層及びn層中のドーピング元素の活性化量を増大させてp層及びn層の電気的特性が改善される。更に、p層とi層、及び、n層とi層の界面特性が改善され、その結果光電変換特性が向上すると考えられる。
特開2004−111551号公報
微結晶シリコンを含む光電変換層を有する光電変換装置にアニール処理を施すことは、光電変換性能の向上に効果的である。しかし、特許文献1のアニール処理は、酸素分圧が133Pa以下であり、特殊な雰囲気調整を必要とするので、工程が煩雑である。また、アニール処理時間が1時間以上15時間と長時間を要する。量産工程を考慮すると、特許文献1のような特殊雰囲気での長時間のアニール処理工程は、生産性が低下するので好ましくない。量産工程においては、より簡易で短時間のアニール処理により性能向上を図る必要がある。
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、光電変換性能を向上させるとともに、量産に適用可能なアニール処理工程を有する光電変換装置の製造方法を提供する。
上記課題を解決するために、本発明は、結晶質シリコン層を含む光電変換層を有する光電変換装置に対して、大気雰囲気において150℃以上200℃以下の温度で30分以上6時間以下のアニール処理を施すアニール処理工程を含む光電変換装置の製造方法を提供する。
このように、本発明は、大気雰囲気中にて従来よりも短時間のアニール処理を施すので、光電変換層の過度の酸化を引き起こすことなく光電変換性能を向上させるとともに、アニール処理工程を簡易化し処理時間を大幅に短縮できるので、有利である。
上記発明において、前記アニール処理工程が、前記光電変換装置に対して、大気雰囲気において180℃以上200℃以下の温度で30分以上1時間以下のアニール処理を施すアニール処理工程であることが好ましい。
上記条件で光電変換装置にアニール処理を施せば、光電変換層の酸化による性能劣化を確実に防止できる。また、工程に要する時間を大幅に短縮できるので、生産性を増大させることができる。
上記発明において、前記アニール処理工程の昇温速度が、2℃/分以上12℃/分以下であることが好ましい。
昇温速度が2℃/分未満であると、昇温中、すなわち、上述の温度よりも低い温度でアニール処理が進行する。処理前の出力が低い光電変換装置ほど、十分な温度で行うアニール処理によって性能上昇が大きくなる傾向がある。しかし、低い温度で処理が進行すると、アニール処理の効果が不十分となり、処理前の出力が低い光電変換装置の性能を十分に向上させることができない。このため、光電変換性能にばらつきが生じる。また、アニール処理工程のタクトタイムが長くなるので、生産性が低下する。昇温速度が12℃/分を超えると、透明電極層と基板との熱膨張差により、膜に剥離や割れが発生する。従って、昇温速度は、2℃/分以上12℃/分以下、好ましくは6℃/分以上8℃/分以下とすると良い。上記の昇温速度とすることにより、アニール処理後の光電変換性能のばらつき低減や膜の剥離や割れの防止による歩留まりの向上、生産効率の向上といった効果を得ることができる。
上記発明において、前記アニール処理工程の降温速度が、1℃/分以上6℃/分以下であるであることが好ましい。
降温速度が1℃/分未満であると、降温中にアニール処理が進行するので、光電変換性能の制御が困難となる。また、アニール処理工程のタクトタイムが長くなるので、生産性が低下する。降温速度が6℃/分を超えると、基板面内での温度分布が大きくなり、基板割れが発生しやすくなる。基板面内での温度分布が大きくなる理由は、次のとおりである。基板の端部と非端部とでは体積当りの表面積が異なるが、アニール処理において、降温の単位面積当たりの熱流速は一定である。その結果、端部と非端部とで降温速度に差が生じる。降温速度の差は、アニール処理の降温速度とほぼ比例するので、アニール処理の降温速度が大きい程、降温速度が速い端部と遅い非端部との間に温度差が発生しやすくなる。従って、降温速度は、1℃/分以上6℃/分以下、好ましくは2℃/分以上4℃/分以下とすると良い。上記の降温速度とすることにより、アニール処理後の光電変換性能のばらつき低減及び基板割れ防止による歩留まり向上、生産効率の向上といった効果が得られる。
上記発明において、前記アニール処理工程を、前記光電変換層上に裏面電極層を形成する裏面電極層形成工程の後に行うことが好ましい。
裏面電極層の表面には、水分を主とする不純物成分が吸着している。このように、裏面電極層を形成した後に光電変換装置に対して上記アニール処理を施すと、例えば太陽電池パネルの製造において、上述した電池性能向上効果の他に、吸着成分を裏面電極層表面から離脱させて、裏面電極層と銅箔との接続部における接触抵抗を低減し、裏面電極層と接着充填材との密着性を向上させる効果も発揮する。これにより、光電変換装置の長期信頼性を向上させることができる。
上記の光電変換装置の製造方法により製造された光電変換装置は、アニール処理により光電変換性能が向上する。また、裏面電極層を積層した後にアニール処理を行えば、裏面電極と銅箔との接触部の接触抵抗が低減され、裏面電極と接着充填材との密着性が向上し水分浸入が抑制され、長期信頼性に優れた光電変換装置となる。
本発明によれば、大気雰囲気中で短時間のアニール処理を行うことにより、結晶質シリコンの過度の酸化を抑制しつつ、光電変換性能を向上させることができる。更に、アニール処理工程を簡易化し処理時間を大幅に短縮でき、歩留まりを向上させることができる。例えば、太陽電池パネルを製造する場合は、裏面電極層を形成した後にアニール処理を施すことで裏面電極層表面の水分などの不純物が離脱し、裏面電極と銅箔との接触部の接触抵抗が低減され、裏面電極と接着充填材との密着性が向上し水分浸入が抑制される。これにより、太陽電池パネルの長期信頼性向上を達成することができる。
まず、本発明の光電変換装置の製造方法により製造される光電変換装置の一実施形態の構成について説明する。
図1は、本発明の光電変換装置の製造方法により製造される光電変換装置の構成を示す概略図である。光電変換装置100は、シリコン系タンデム太陽電池であり、基板1、透明電極層2、光電変換層3としての第1電池層101(アモルファスシリコン系)及び第2電池層102(結晶質シリコン系)、第1電池層101と第2電池層102との間の中間コンタクト層5、及び、裏面電極層4を備える。なお、ここで、シリコン系とはシリコン(Si)やシリコンカーバイト(SiC)やシリコンゲルマニウム(SiGe)を含む総称である。また、結晶質シリコン系とは、アモルファスシリコン系すなわち非晶質シリコン系以外のシリコン系を意味するものであり、微結晶シリコンや多結晶シリコン系も含まれる。
次に、光電変換層に微結晶シリコンを含む集積型タンデム太陽電池パネルを製造する実施形態を図2から図5を用いて説明する。
(1)図2(a):
基板1としてソーダフロートガラス基板(1辺が1m以上、例えば1.4m×1.1m×板厚:3mm〜4mm)を使用する。基板端面は熱応力や衝撃などによる破損防止にコーナー面取りやR面取り加工されていることが望ましい。
(2)図2(b):
透明電極層2として酸化錫(SnO)を主成分とする膜厚約500nm以上800nm以下の透明電極膜を、熱CVD装置にて約500℃で製膜する。この際、透明電極膜の表面には、適当な凹凸のあるテクスチャーが形成される。透明電極層2として、透明電極膜に加えて、基板1と透明電極膜との間にアルカリバリア膜(図示されず)を形成しても良い。アルカリバリア膜は、膜厚50nm以上150nm以下の酸化シリコン膜(SiO)を熱CVD装置にて約500℃で製膜する。
(3)図2(c):
その後、基板1をX−Yテーブルに設置して、YAGレーザーの第1高調波(1064nm)を、図の矢印に示すように、透明電極層の層面側から入射する。加工速度が適切となるようにレーザーパワーを調整して、透明電極膜を発電セルの直列接続方向に対して垂直な方向へ、基板1とレーザー光を相対移動して、溝10を形成するように幅約6mmから15mmの所定幅の短冊状にレーザーエッチングする。
(4)図2(d):
第1電池層101として、アモルファスシリコン薄膜からなるp層膜/i層膜/n層膜を、プラズマCVD装置により製膜する。SiHガスとHガスとを主原料にして、減圧雰囲気:30Pa以上1000Pa以下、基板温度:約200℃にて、透明電極層2上に太陽光の入射する側からp層、i層、n層の順で製膜する。p層はアモルファスのBドープSiC膜であり、膜厚10nm以上30nm以下である。i層はアモルファスのSi膜であり、膜厚200nm以上350nm以下である。n層はpドープ微結晶Si膜であり、膜厚30nm以上50nm以下である。p層膜とi層膜の間には界面特性の向上のためにバッファー層を設けても良い。
第1電池層101と第2電池層102の間に、接触性を改善するとともに電流整合性を取るために半反射膜となる、中間コンタクト層5を設ける。中間コンタクト層5として、GZO(GaドープZnO)膜をスパッタリング装置により膜厚:20nm以上100nm以下で製膜する。また、中間コンタクト層5を設けない場合もある。
次に、中間コンタクト層5の上に、プラズマCVD装置により、減圧雰囲気:3000Pa以下、基板温度:約200℃、プラズマ発生周波数:40MHz以上100MHz以下にて、第2電池層102として、微結晶シリコン薄膜からなる微結晶p層膜/微結晶i層膜/微結晶n層膜を順次製膜する。
第2電池層102は、本実施形態では、微結晶p層はBドープした微結晶Si膜であり、膜厚10nm以上50nm以下である。微結晶i層は微結晶Si膜であり、膜厚1.2μm以上3.0μm以下である。微結晶n層はpドープした微結晶Siであり、膜厚20nm以上50nm以下である。
微結晶シリコン薄膜、特に微結晶i層膜をプラズマCVD法で形成するにあたり、プラズマ放電電極と基板1の表面との距離dは、3mm以上10mm以下にすることが好ましい。3mmより小さい場合、大型基板に対応する製膜室内の各構成機器精度から距離dを一定に保つことが難しくなるとともに、近過ぎて放電が不安定になる恐れがある。10mmより大きい場合、十分な製膜速度(1nm/s以上)を得難くなるとともに、プラズマの均一性が低下しイオン衝撃により膜質が低下する。
(5)図2(e)
基板1をX−Yテーブルに設置して、レーザーダイオード励起YAGレーザーの第2高調波(532nm)を、図の矢印に示すように、光電変換層3の膜面側から入射する。パルス発振:10kHz以上20kHz以下として加工速度に適切となるようにレーザーパワーを調整して、透明電極層2のレーザーエッチングラインの約100μmから150μmの横側を、溝11を形成するようにレーザーエッチングする。またこのレーザーは基板1側から入射しても良い。この場合は光電変換層3の第1電池層101で吸収されたエネルギーで発生する高い蒸気圧を利用できるので、更に安定したレーザーエッチング加工を行うことが可能となる。レーザーエッチングラインの位置は前工程でのエッチングラインと交差しないように位置決め交差を考慮して選定する。
(6)図3(a)
裏面電極層4としてAg膜/Ti膜をスパッタリング装置により減圧雰囲気、約150℃にて順次製膜する。本実施形態では、裏面電極層4はAg膜:200nm以上500nm以下、これを保護するものとして防食効果の高いTi膜:10nm以上20nm以下をこの順に積層させたものとされる。第2電池層102のn層と裏面電極層4との接触抵抗低減と光反射向上を目的に、光電変換層3と裏面電極層4との間にGZO(GaドープZnO)膜を膜厚:50nm以上100nm以下、スパッタリング装置により製膜して設けても良い。また、Ti膜に変えてAl膜:250nm以上350nm以下としてもよい。TiをAlとすることで、防食効果を保持しつつ、材料コストを低減することが可能となる。
(7)図3(b)
基板1をX−Yテーブルに設置して、レーザーダイオード励起YAGレーザーの第2高調波(532nm)を、図の矢印に示すように、基板1側から入射する。レーザー光が光電変換層3で吸収され、このとき発生する高いガス蒸気圧を利用して裏面電極層4が爆裂して除去される。パルス発振:1kHz以上10kHz以下として加工速度に適切となるようにレーザーパワーを調整して、透明電極層2のレーザーエッチングラインの約250μmから400μmの横側を、溝12を形成するようにレーザーエッチングする。
(8)図3(c)
発電領域を区分して、基板端周辺の膜端部においてレーザーエッチングによる直列接続部分が短絡し易い影響を除去する。基板1をX−Yテーブルに設置して、レーザーダイオード励起YAGレーザーの第2高調波(532nm)を、基板1側から入射する。レーザー光が透明電極層2と光電変換層3とで吸収され、このとき発生する高いガス蒸気圧を利用して裏面電極層4が爆裂して、裏面電極層4/光電変換層3/透明電極層2が除去される。パルス発振:1kHz以上10kHz以下として加工速度に適切となるようにレーザーパワーを調整して、基板1の端部から5mmから20mmの位置を、図3(c)に示すように、X方向絶縁溝15を形成するようにレーザーエッチングする。このとき、Y方向絶縁溝は後工程で基板1周囲領域の膜面研磨除去処理を行うので、設ける必要がない。
絶縁溝15は基板1の端より5mmから10mmの位置にてエッチングを終了させることにより、太陽電池パネル端部からの太陽電池モジュール6内部への外部湿分浸入の抑制に、有効な効果を呈するので好ましい。
尚、以上までの工程におけるレーザー光はYAGレーザーとしているが、YVO4レーザーやファイバーレーザーなどが同様に使用できるものがある。
(9)図4(a)
後工程のEVA等を介したバックシート24との健在な接着・シール面を確保するために、基板1周辺(周囲領域14)の積層膜は、段差があるとともに剥離し易いため、積層膜を除去する。基板1の端から5mmから20mmで基板1の全周囲にわたり、X方向は前述の図3(c)工程で設けた絶縁溝15よりも基板端側において、Y方向は基板端側部付近の溝10よりも基板端側において、裏面電極層4/光電変換層3/透明電極層2を、砥石研磨やブラスト研磨などを用いて除去を行う。研磨屑や砥粒は基板1を洗浄処理して除去する。
ここで、太陽電池モジュールに対して大気圧及び大気雰囲気中にて、アニール処理温度:150℃以上200℃以下、アニール処理時間:30分以上6時間以下の条件でアニール処理を施す。このアニール処理により、p層及びn層中のドーピング元素の活性化量を増大させてp層及びn層の電気的特性を改善するとともに、p層とi層、及び、n層とi層の界面特性を改善する。その結果、光電変換特性を向上させる。特に、温度:180℃以上200℃以下、処理時間:30分以上1時間以下の条件であれば、光電変換層の酸化を確実に防止しながら光電変換性能の向上を図ることができ、更に処理工程に要する時間を大幅に短縮できるので好ましい。
上記のアニール処理は、裏面電極層4形成工程から後段の銅箔(バスバー)などを積層させる工程の間で行うと良い。特に、後段の積層工程の直前に実施することが好ましい。裏面電極層の表面には、製造工程の雰囲気に起因する水分を主とする不純物成分が吸着している。裏面電極層表面に不純物成分が吸着した状態で後工程の銅箔や接着充填材シートを積層すると、裏面電極層と銅箔を銀ペーストで接続する際に不純物成分により接触抵抗が増大する。また、接着充填材シートと裏面電極層とが密着不良となる。これにより、長期的に裏面電極層と接着充填材シートとの間から水分が浸入して電池性能が低下する。積層工程直前でアニール処理を行うことによって、不純物成分を裏面電極層表面から離脱するので、裏面電極層と銅箔との接触部の抵抗を低減し、裏面電極層と接着充填材シートとの密着性を向上させることができる。これにより、製造中の雰囲気の影響を受けることなく、太陽電池パネルの長期信頼性を向上させることができる。
本実施形態のアニール処理において、昇温速度:2分/℃以上12℃/分以下、好ましくは6℃/分以上8℃/分以下の条件で、室温からアニール処理温度の75%の温度まで昇温するとよい。このような条件で昇温することにより、アニール処理後の電池性能の制御が容易となり電池性能のばらつきを低減でき、透明電極層と基板との熱膨張差による膜の剥離や割れを防止できる。その結果、歩留まりが向上する。また、アニール処理工程のタクトタイムを短縮して生産性を向上させることができる。
また、本実施形態のアニール処理において、降温速度:1℃/分以上6℃/分以下、好ましくは2℃/分以上4℃/分以下の条件で、アニール処理温度から基板取出温度まで降温するとよい。基板取出温度とは、例えば基板を樹脂ローラで搬送可能となる温度である。このような条件で降温することにより、電池性能のばらつきを低減して電池性能を安定化できるとともに、基板面内での温度分布を小さくして降温中の基板割れを防止でき、歩留まりを向上させることができる。また、アニール処理工程のタクトタイムを短縮して生産性が向上する。なお、基板搬送装置のローラの材質としては、樹脂系の材質のほかに金属系やゴム系の材質が考えられるが、熱伝導率の高い部材に接触することに起因する基板の部分的降温による面内温度差の発生、電池受光面への汚れ付着、不純物の膜への拡散、接触面の傷などの観点から、樹脂系ローラが好適である。
図6は、アニール処理時の基板の温度プロファイルの一例である。同図に示すアニール処理工程では、アニール処理温度200℃とし、室温からアニール処理温度の75%の温度に達するまでの昇温速度を6℃/分、アニール処理温度から基板取出温度(100℃)までの降温速度を4℃/分とした。
上記アニール処理工程は、基板カセットに基板を複数枚収納してアニール処理炉でアニール処理を行うバッチ処理にて行うのが良い。バッチ処理は、基板の温度昇降及びアニール処理のコントロールが容易である。また、アニール処理炉に必要なスペースを低減できるので、量産処理に好適である。
(10)図4(b)
端子箱取付け部分はバックシート24に開口貫通窓を設けて集電板を取出す。この開口貫通窓部分には絶縁材を複数層を設置して外部からの湿分などの浸入を抑制する。
直列に並んだ一方端の太陽電池発電セルと、他方端部の太陽電池発電セルとから銅箔を用いて集電して太陽電池パネル裏側の端子箱部分から電力が取出せるように処理する。銅箔は各部との短絡を防止するために銅箔幅より広い絶縁シートを配置する。
集電用銅箔などが所定位置に配置された後に、太陽電池モジュール6の全体を覆い、基板1からはみ出さないようにEVA(エチレン酢酸ビニル共重合体)等による接着充填材シートを配置する。
EVAの上に、防水効果の高いバックシート24を設置する。バックシート24は本実施形態では防水防湿効果が高いようにPETシート/AL箔/PETシートの3層構造よりなる。
バックシート24までを所定位置に配置したものを、ラミネータにより減圧雰囲気で内部の脱気を行い約150℃から160℃でプレスしながら、EVAを架橋させて密着させる。
(11)図5(a)
太陽電池モジュール6の裏側に端子箱23を接着剤で取付ける。
(12)図5(b)
銅箔と端子箱23の出力ケーブルとをハンダ等で接続し、端子箱内部を封止剤(ポッティング剤)で充填して密閉する。これで太陽電池パネル50が完成する。
(13)図5(c)
図5(b)までの工程で形成された太陽電池パネル50について発電検査ならびに、所定の性能試験を行う。発電検査は、AM1.5、全天日射基準太陽光(1000W/m)のソーラシミュレータを用いて行う。
(14)図5(d)
発電検査(図5(c))に前後して、外観検査をはじめ所定の性能検査を行う。
上記実施形態では、太陽電池モジュールを例に挙げて説明したが、本発明は太陽電池セルに対しても適用可能である。
以下、本発明の実施例について説明する。
〔実施例1〕
光電変換層としてアモルファスシリコンを含む第1電池層(p層膜厚:15nm、i層膜厚:250nm、n層膜厚:35nm)、中間コンタクト層(膜厚50nm)、結晶質シリコンを含む第2電池層(p層膜厚:20nm、i層膜厚:2μm、n層膜厚:35nm)を形成し、裏面電極を形成したタンデム型太陽電池セルに対し、大気雰囲気中で図6に示す温度プロファイルのアニール処理(アニール処理温度:200℃、アニール処理時間:30分)を施した。
図7に、アニール処理前後の太陽電池セルの短絡電流密度Iscを示す。短絡電流密度とは、短絡電流を計測面積で除した値である。図8に、開放電圧Vocを示す。図9に、曲線因子F.F.を示す。図10に、変換効率を示す。図7乃至図10において、横軸はアニール処理前の値、縦軸はアニール処理後の値である。アニール処理前後で太陽電池セルの短絡電流密度は変化しなかった。開放電圧および曲線因子は、アニール処理後にそれぞれ1.1%、0.9%上昇した。アニール処理によって開放電圧及び曲線因子が上昇したため、太陽電池セルの変換効率は1.9%上昇し、光電変換性能が向上した。
〔実施例2〕
光電変換層としてアモルファスシリコンを含む第1電池層(p層膜厚:15nm、i層膜厚:250nm、n層膜厚:35nm)、中間コンタクト層(膜厚50nm)、結晶質シリコンを含む第2電池層(p層膜厚:20nm、i層膜厚:2μm、n層膜厚:35nm)を形成し、裏面電極を形成したタンデム型太陽電池モジュールに対し、大気雰囲気中で図6に示す温度プロファイルのアニール処理(アニール処理温度:200℃、アニール処理時間:30分)を施した。
図11に、アニール処理工程前後の太陽電池モジュールの短絡電流Iscを示す。図12に、開放電圧Vocを示す。図13に、曲線因子F.F.を示す。図14に、太陽電池モジュールの最大出力Pmaxを示す。図11乃至図14において、横軸はアニール処理前の値、縦軸はアニール処理後の値である。モジュールの場合も、アニール処理前後で短絡電流は変化しなかった。開放電圧および曲線因子は、アニール処理後にそれぞれ2.0%、8.0%上昇した。アニール処理によって開放電圧及び曲線因子が上昇したため、太陽電池モジュールの最大出力が上昇した。この結果、光電変換効率が10%上昇した。モジュールでは、アニール処理による開放電圧及び曲線因子の向上、及び光電変換効率の増大が、セルの場合よりも顕著であった。
以上のように、太陽電池セル及び太陽電池モジュールの両方で、アニール後に開放電圧および曲線因子が上昇し、光電変換効率または最大出力を向上させることができた。すなわち、アニール処理による電池性能向上は、モジュール構造に起因するものではないと言える。アニール処理によって、光電変換層と裏面電極層との接触状態の改善やi層の欠陥の改善などによって性能が向上したと考えられる。
図15は、アニール処理時間と太陽電池モジュールの出力との関係を表すグラフである。同図において、横軸はアニール処理時間、縦軸はモジュール出力の相対値である。アニール処理時間30分でアニール処理前より出力が増大し、アニール処理時間30分以上でほぼ一定となった。このように、30分と短時間のアニール処理でモジュール出力の向上効果が得られた。
上記実施形態及び実施例では、タンデム型太陽電池を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されない。微結晶シリコンを含む光電変換層を用いるのであれば、例えばシングル型太陽電池およびトリプル型太陽電池にも適用可能である。
本発明の光電変換装置の製造方法により製造される光電変換装置の構成を表す概略図である。 本発明の光電変換装置の製造方法を用いて太陽電池パネルを製造する一実施形態を説明する概略図である。 本発明の光電変換装置の製造方法を用いて太陽電池パネルを製造する一実施形態を説明する概略図である。 本発明の光電変換装置の製造方法を用いて太陽電池パネルを製造する一実施形態を説明する概略図である。 本発明の光電変換装置の製造方法を用いて太陽電池パネルを製造する一実施形態を説明する概略図である。 本実施形態のアニール処理工程時における基板の温度プロファイルの一例を示す。 アニール処理工程前後での太陽電池セルの短絡電流Iscを示したグラフである。 アニール処理工程前後での太陽電池セルの開放電圧Vocを示したグラフである。 アニール処理工程前後での太陽電池セルの曲線因子F.F.を示したグラフである。 アニール処理工程前後での太陽電池セルの光電変換効率を示したグラフである。 アニール処理工程前後での太陽電池モジュールの短絡電流Iscを示したグラフである。 アニール処理工程前後での太陽電池モジュールの開放電圧Vocを示したグラフである。 アニール処理工程前後での太陽電池セルの曲線因子F.F.を示したグラフである。 アニール処理工程前後での太陽電池セルの最大出力Pmaxを示したグラフである。 アニール処理時間と太陽電池モジュールの出力(相対値)との関係を表すグラフである。
符号の説明
1 基板
2 透明電極層
3 光電変換層
4 裏面電極層
5 中間コンタクト層
6 太陽電池モジュール
100 光電変換装置
101 第1電池層
102 第2電池層

Claims (6)

  1. 結晶質シリコン層を含む光電変換層を有する光電変換装置に対して、大気雰囲気において150℃以上200℃以下の温度で30分以上6時間以下のアニール処理を施すアニール処理工程を含む光電変換装置の製造方法。
  2. 前記アニール処理工程が、前記光電変換装置に対して、大気雰囲気において180℃以上200℃以下の温度で30分以上1時間以下のアニール処理を施すアニール処理工程である請求項1に記載の光電変換装置の製造方法。
  3. 前記アニール処理工程の昇温速度が、2℃/分以上12℃/分以下である請求項1または請求項2に記載の光電変換装置の製造方法。
  4. 前記アニール処理工程の降温速度が、1℃/分以上6℃/分以下である請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の光電変換装置の製造方法。
  5. 前記アニール処理工程を、前記光電変換層上に裏面電極層を形成する裏面電極層形成工程の後に行う請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の光電変換装置の製造方法。
  6. 請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の光電変換装置の製造方法により製造された光電変換装置。
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