JP4875566B2 - 光電変換装置の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、光電変換装置の製造方法に関し、特に、発電層としてシリコンを用いる太陽電池に関する。
光を受光して電力に変換する光電変換装置が知られている。このような光電変換装置として、太陽電池が知られている。太陽電池の中でも、発電層(光電変換層)として薄膜シリコン系の層を用いる薄膜系太陽電池は、発電層の厚みが薄いのでシリコンの材料費を抑えることができる、大面積基板に対して製膜を行うことができるので大面積の製品を得ることができる、等の点から注目を集めている。
こうした薄膜系太陽電池として、発電層にアモルファスシリコン系(非晶質シリコン系)の層を用いた薄膜系太陽電池が挙げられる。図1は、こうした薄膜系太陽電池の一例を示す概略断面図である。この薄膜系太陽電池太陽電池は、基板101と、透明電極層102と、光電変換層103と、裏面電極層104とを備えている。光電変換層103は、p型アモルファスシリコン層、i型アモルファスシリコン層、及びn型アモルファスシリコン層を備えており、透明電極層102側からこの順で積層された構造となっている。
図1に示した薄膜系太陽電池を製造する場合、まず、基板101上に、透明電極層102を製膜する。続いて、透明電極層102上に、光電変換層103として、p型アモルファスシリコン層、i型アモルファスシリコン層、及びn型アモルファスシリコン層を順次製膜する。そして、n型アモルファスシリコン層上に、裏面電極層104を製膜する。光電変換層103は、プラズマCVD法などの気相成長法により、製膜される。
ところで、太陽電池では、発電出力が製品コスト、製品売価に直結するため、更なる電池性能の向上が求められている。電池性能を向上させるために、光を電力に変換する層である光電変換層103を工夫することが考えられる。
光電変換層の工夫を行った技術として、特許文献1の技術が挙げられる。特許文献1には、透明電極上に形成されたp型層、i型層、及びn型層を有するpin型のアモルファスSi太陽電池において、透明電極側の層を3層構造とすることが記載されている。また、その3層構造のうちの中央層を、a−Si:H層、他の2つの層をそれぞれa−SiC:H層及びa−SiN:H層とすることが記載されている。また、その2つの層の膜厚は、その中央層の膜厚に対してi型層側にある層の方が他方より薄いことが記載されている。特許文献1によれば、上述のような構成とすることで、不純物拡散が抑えられ、セル特性が向上するとある。
また、特許文献2には、n型シリコン系半導体層上にi型微結晶半導体層を設ける場合に、n型シリコン系半導体層を、n型非晶質半導体層とn型微結晶半導体層との積層構造とすることが記載されている。n型シリコン系半導体層を2層構造とすることで、その上に積層されるi型微結晶半導体層の結晶化率を簡単に制御できるとある。
特開平5−71195号 公報 特許第3710312号 公報
ところで、図1で示したような、光電変換層としてアモルファスシリコン層を用いた薄膜系太陽電池においては、電池性能を向上させるために、n型アモルファスシリコン層に微結晶シリコンを混在させる事が考えられる。すなわち、n型アモルファスシリコン層の結晶化率を高めると、短絡電流が向上し、電池性能が向上する。尚、以下の記載では、微結晶シリコンがアモルファスシリコン層中に一部存在する層であっても、主としてアモルファス状態を示す膜特性である範囲であれば、アモルファスシリコン層と記載する。
n型アモルファスシリコン層の結晶化率は、下地材料の状態によって左右される。例えば、ガラス基板を下地とした場合と、図1で示したようにi型アモルファスシリコン層を下地とした場合とでは、結晶化率が異なる。なお、ガラス基板を下地とした場合が、i型アモルファスシリコン層を下地とした場合に比べて結晶化しにくい。また、結晶化率は、製膜条件によっても左右される。プラズマCVD法によって製膜を行う場合には、材料ガスの希釈率や、電極基板間の距離を変更することによって、結晶化率を制御することができる。しかしながら、結晶化率が高くなるような製膜条件を選ぶと、製膜速度が著しく低下して生産性を低下させたり、膜厚分布が悪化して逆に性能低下を招く傾向がある。
既述の特許文献1に記載された技術は、不純物拡散を抑えることによってセル特性を向上させる技術である。i型アモルファスシリコン層を下地とした場合には、ガラス基板を下地とした場合よりも結晶化率を高めやすくなるものの、十分ではない。特許文献1には、i型アモルファスシリコン層上にn層を製膜する場合に、n層の結晶化率と製膜速度とを両立することについては記載されていない。
また、既述の特許文献2には、n層上にi層を製膜する場合について記載されているが、i型アモルファスシリコン層上にn層を製膜する場合に、n層の結晶化率と製膜速度とを両立させることについては記載されていない。
従って、n層の製膜は、結晶化率を高めづらいi型アモルファスシリコン層を下地とした場合には、製膜速度を下げず、膜厚分布を悪化させずに、n型アモルファスシリコン層の結晶化率を所望のものとすることは、困難であった。
すなわち、本発明の目的は、i型アモルファスシリコン層上にn型アモルファスシリコン層を設ける場合に、製膜時間を大きく延長させることなく、所望の結晶化率を得る事のできる、光電変換装置の製造方法を提供することにある。
以下に、[発明を実施するための最良の形態]で使用される番号・符号を用いて、[課題を解決するための手段]を説明する。これらの番号・符号は、[特許請求の範囲]の記載と[発明を実施するための最良の形態]との対応関係を明らかにするために括弧付きで付加されたものである。ただし、それらの番号・符号を、[特許請求の範囲]に記載されている発明の技術的範囲の解釈に用いてはならない。
本発明の光電変換装置の製造方法は、p型アモルファスシリコン層(3P)を製膜するp層形成工程(ステップS21)と、p型アモルファスシリコン層(3P)上に、i型アモルファスシリコン層(3I)を製膜するi層形成工程(ステップS22)と、i型アモルファスシリコン層(3I)上に、n型アモルファスシリコン層(3N)を製膜するn層形成工程(ステップS23)と、を備える。n層形成工程(S23)は、i型アモルファスシリコン層(3I)上に、第1n層(3N−1)を製膜する第1n層形成工程(ステップS23−1)と、第1n層(3N−1)上に、第2n層(3N−2)を製膜する第2n層形成工程(ステップS23−2)と、を備える。第1n層形成工程(S23−1)の製膜条件は、第2n層形成工程(S23−2)における製膜条件よりも、同じ下地基板上に製膜した場合に結晶化率が高くなるような条件である。
上述の方法によれば、n層が、2層の積層構造となる。i層上に製膜を行う場合、既述のように、結晶化率を高める事が難しい。しかしながら、結晶化率が高くなるような条件で作製された第1n層を下地とした場合、結晶化率を高め易くすることができる。これにより、第2n層の製膜速度を落とす事無く、所望の結晶化率で第2n層を得ることができる。すなわち、第1n層を、第2n層を製膜するための下地とすることで、高い製膜速度においても、高結晶化率の第2n層を得ることができる。ここで、n層形成工程(S23)は、材料ガスを供給してプラズマを発生させて製膜を行う高周波プラズマCVD法によって実施されることが好ましい。
また、第1n層形成工程(S23−1)の製膜速度は、第2n層形成工程の製膜速度よりも遅いことが好ましい。第1n層を低速にて製膜を行うと、プラズマ中のイオンの密度や、膜形成表面に入射するエネルギーが小さくなるので、製膜成長する膜形成部分に対するダメージを抑えることができる。こため第2n層は良好な下地層である第1n層の影響で、高い製膜速度においても、高結晶化率の第2n層を得ることができる。第1n層を高結晶化率となり易い条件で製膜することが好適である。
また、n層形成工程(S23)において、その材料ガスが、シラン含有ガス及び不純物元素含有ガスを含む原料ガスを含んでいるとき、第2n層形成工程(S23−2)におけるシラン含有ガスに対する不純物元素含有ガスのドーピング率が、第1n層形成工程(S23−1)における不純物元素含有ガスのドーピング率よりも、少ないことが好ましい。ドーピング率を高めると、製膜される膜のn型化が促進される。n型化が促進されると、高い結晶化率を得やすくなる。しかし、ドーピング率を高めると、光透過性が低下し逆に太陽電池の性能を低下させるので、第2n層におけるドーピング率を、第1n層におけるドーピング率よりも少なくする(第1n層のドーピング率を高める)ことによって、n層全体の光透過性を維持して結晶化率を高めることが好適である。すなわち、第1n層を、第2n層よりも高結晶化率となり易い条件で製膜することが好適である。
また、n層形成工程において、材料ガスが、更に、原料ガスを希釈するための希釈ガスを含んでいるとき、第2n層形成工程における希釈ガスによる希釈率は、第1n層形成工程における希釈率よりも、少ないことが好ましい。希釈ガスとして例えばHを用いることが望ましい。希釈ガスとして例えばHを用いた場合、希釈率が高いければ、膜中に取り込まれるHの量が増えることになる。膜中へ取り込まれるHの量が多いと、膜の成長が緻密化して膜が結晶化しやすい。第2n層形成工程における希釈率は、第1n層形成工程よりも少なくする(第1n層形成工程の希釈率を高くする)ことにおいても、第2n層は良好な下地層である第1n層の影響で、高結晶化率の第2n層を得ることができる。すなわち、第1n層を、第2n層よりも高結晶化率となり易い条件で製膜することが好適である。
また、第2n層形成工程において、第1n層形成工程よりも低い圧力下で、製膜を行うことが好ましい。第1n層を高い圧力下で製膜を行うと、プラズマ中のHの衝突が促進され、膜中にHが取り込まれやすくなる。そのため、高圧力下で製膜を行った場合には、結晶化が促進される。しかし圧力が高いと膜分布が悪化し易く逆に太陽電池の性能を低下させることがある。すなわち、第2n層形成工程を第1n層形成工程よりも低圧力下で行う(第1n層形成工程を第2n層形成工程よりも高圧力下で行う)ことで、下地層である第1n層の影響で、高結晶化率の第2n層を得ることができる。第1n層を、第2n層よりも高結晶化率となり易い条件で製膜することが好適である。
また、第2n層形成工程において、前記材料ガスを分解する高周波電力は、第1n層形成工程よりも高い高周波電力(RFパワー)でプラズマを発生させ、製膜を行うことが好ましい。第1n層を低RFパワーで製膜を行うと、膜へのダメージが低下し、結晶化が促進される。しかし一方では製膜速度が低下する。すなわち、第2n層形成工程を第1n層形成工程よりも高RFパワーで行う(第1n層形成工程を低RFパワーにする)ことにより、第2n層は良好な下地層である第1n層の影響で、高い製膜速度においても高結晶化率の第2n層を得ることができる。第1n層を、第2n層よりも高結晶化率となり易い条件で製膜することが好適である。
また、第2n層形成工程において製膜される膜の厚みは、前記第1n層形成工程において製膜される膜の厚みよりも、厚いことが好ましい。これにより、結晶化率を高くする製膜条件のために製膜速度の遅くなる第1n層の膜厚は薄いので、第1n層を形成するのに要する時間を短縮することができ、第2n層は良好な下地層である第1n層の影響で、高い製膜速度においても高結晶化率の第2n層を得ることができる。n層全体を製膜するのに要する時間を大幅に延長して生産性を低下することがなく、好適である。
また、n層形成工程(S23)は、更に、第1n層形成工程(S23−1)の前に実施され、i型アモルファスシリコン層の表面を、プラズマを発生させずに、材料ガスに曝すガス曝露工程、を備えることが好ましい。ガス曝露工程を実施する事で、製膜室内の材料ガスの濃度を安定させる事ができる。これにより、後の製膜工程(S23−1、23−2)において、均一に製膜を行うことができる。また、材料ガスに曝すことによって、基板温度が製膜温度に安定化させるとともに、i型アモルファスシリコン層の表面をプラズマ発生時のイオン衝撃などで損傷させることなく、表面に吸着した不純物を除去し、更に高結晶化率の膜を製膜するのに適した条件にすることができる。これにより、n型アモルファスシリコン層の結晶化率を全体的に高める事ができる。
本発明によれば、i型アモルファスシリコン層上にn型アモルファスシリコン層を設ける場合に、製膜速度を大きく低下させて製膜時間を延長させることなく所望の結晶化率を得る事のできる、光電変換装置の製造方法が提供される。
(第1の実施形態)
図面を参照しつつ、本発明の第1の実施形態について説明する。図2は、本実施形態の薄膜太陽電池(光電変換装置)の製造方法によって製造される、薄膜太陽電池モジュールの構成を示す概略断面図である。この薄膜太陽電池モジュールは、シリコン系太陽電池であり、基板1と、透明電極層2と、光電変換層3と、裏面電極層4と、を備えている。透明電極層2、光電変換層3、及び裏面電極層4は、この順で基板1の裏面(光受光面の反対側の面)上に積層されている。なお、ここで、シリコン系とはシリコン(Si)やシリコンカーバイト(SiC)やシリコンゲルマニウム(SiGe)を含む総称である。また、以下の説明において、太陽電池モジュールにバックシート、端子箱等を取りつけたものを、太陽電池パネルとして記載する。
基板1は、太陽電池膜(透明電極層2、光電変換層3、及び裏面電極層4)を支持するためのものである。本実施形態では、基板1として、透光性のものを用いるものとする。基板1としては、例えば、ガラス基板を用いることができる。
透明電極層2は、高透明な導電体である。透明電極層2として、例えば、ZnO、SnOなどの酸化物を用いる事ができる。
裏面電極層4としては、光電変換層で吸収しきれなかった光を反射して再び光電変換層3に入射させる様にするため、光を反射する材料を用いる事が好ましい。裏面電極層4として、例えば、Ag膜等を用いる事ができる。
光電変換層3は、光を電力に変換する層である。光電変換層3は、アモルファスシリコンを含む半導体層である。光電変換層3は、透明電極層2側から、p型アモルファスシリコン層3P(以下、p層3P)、i型アモルファスシリコン層3I(以下、i層3I)、及びn型アモルファスシリコン層3N(以下、n層3N)がこの順で積層した構造となっている。光電変換層にpin型のアモルファスシリコン層が含まれるものであれば、この例に限定されない。例えば、アモルファスシリコン太陽電池と結晶質シリコン太陽電池やシリコンゲルマニウム太陽電池とを各1〜複数層に積層させた多接合型(タンデム型)太陽電池でも良い。
p層3Pは、例えば、アモルファスシリコンに、ボロンなどの不純物原子がドーピングされた層である。また、i層3Iは、例えば、真性アモルファスシリコン層である。
n層3Nは、アモルファスと微結晶とが混在した層である。n層3Nには、リンなどの不純物原子がドーピングされている。n層3Nは、i層3Iに接する第1n層3N−1と、第1n層3N−1上に設けられた第2層3N−2との、2層構造となっている。第1n層と第2n層とは、後述するように、異なる製膜条件で製膜された層である。第2n層3N−2の膜厚は、第1n層3N−1の膜厚よりも、厚くなっている。
続いて、本実施形態の薄膜太陽電池の製造方法について説明する。図3は、薄膜太陽電池の製造方法の全体の流れを示すフローチャートである。図3に示されるように、まず、基板1上に透明電極層2が製膜される(ステップS10)。続いて、透明電極層2上に、光電変換層3を形成する(ステップS20)。この際、まず、p層3Pが製膜され(ステップS21)、次にi層3Iが製膜され(ステップS22)、更にn層3Nが製膜される(ステップS23)。光電変換層3が製膜された後に、光電変換層3上に裏面電極層4が製膜される(ステップS30)。
ここで、光電変換層を形成する工程(ステップS20)における各ステップ(S21〜23)では、プラズマCVD法により、製膜が行われる。具体的には、一対の電極を有する製膜室内に、基板1を配置する。そして、材料ガスを製膜室内に導入しながら、一対の電極間に高周波電力を供給する。これにより、製膜室内にプラズマ放電が起こり、材料ガスが励起されて、基板が製膜される。
ステップS21では、材料ガスとして、SiH(シラン含有ガス)とB(不純物元素含有ガス)からなる原料ガスをH(希釈ガス)で希釈したものを用いて、p層3Pを製膜する。なお、本ステップにおけるシラン含有ガス、不純物元素含有ガス、及び希釈ガスについては、上述の材料に限定されず、他のガスを使用することも可能である。
ステップS22では、材料ガスとして、SiH(原料ガス)をH(希釈ガス)で希釈したものを用いて、i層3Iを製膜する。なお、本ステップにおける原料ガス及び希釈ガスについては、上述の材料に限定されず、同様な効果を発揮できる他のガスを使用することも可能である。
ステップS23では、材料ガスとして、SiH(シラン含有ガス)とPH(不純物元素含有ガス)からなる原料ガスをH(希釈ガス)で希釈したものを用いて、n層3Nを製膜する。この際、まず、第1n層3N−1を製膜し(ステップS23−1)、続いて、第2n層3N−2を製膜する(ステップS23−2)。なお、本ステップにおけるシラン含有ガス、不純物元素含有ガス、及び希釈ガスについては、上述の材料に限定されず、同様な効果を発揮できる他のガスを使用することも可能である。
本実施形態では、ステップS23における動作が工夫されている。すなわち、S23−1における製膜条件を、S23−2における製膜条件よりも、下地が同じである場合に結晶化率が高くなるような条件とする。また、既述のように、第2n層3N−2の膜厚が、第1n層3N−2の膜厚よりも厚くなる様に、製膜を行う。尚、ステップS23−1の製膜条件からステップS23−2の製膜条件の変更は、連続的に行われる。すなわち、製膜室内への材料ガスの導入や、プラズマの発生を停止したりすること無い。これにより、第1n層3N−1と第2n層3N−2の間の界面が連続的になり、電気的や光学的な特性が損なわれることを抑制できる。
以下に、第1n層3N−1の結晶化率が高くなるような製膜条件について、説明する。本実施形態では、下地が同じである場合、製膜される膜の結晶化率は、製膜速度が遅い方が、高くなり易いことを利用している。従って、S23−1における製膜速度を、S23−2における製膜速度より遅くすることで、S23−1における製膜条件を、同じ下地で比較した時に、より結晶化率が高くなるような条件とすることができる。より結晶化率が高くなるような条件とは、ガラス基板上に堆積した膜のラマン比4以上となることが好ましい。
ここで「ラマン比」とはラマン分光評価で520cm−1の結晶Siの強度と480cm−1のアモルファスシリコン(非晶質Si)の強度の比(結晶Siの強度/非晶質Siの強度)をいう。ラマン比の測定方法としては、光電変換装置の裏面電極を過酸化水素水等の溶剤で溶除去して供試体とする。まず、ガラス基板に製膜したn層膜の膜面側から測定用光を照射する。測定用光としては、レーザー単色が用いられ、例えば、YAGレーザー光の2倍波(波長532nm)が好適に用いられる。n層膜の膜面側から測定用光を入射すると、ラマン散乱が観測されるが、測定用光、及び散乱光の一部はn層膜中で吸収される。したがって、例えば、YAGレーザー光の2倍波を測定用光として用いた場合は、入射面から約0.1μmの深さまでの情報を得ることができる。なお、n層膜とガラス基板との間にi層、p層、透明電極層を形成している場合は、別途計測した値をバックグランドとして差し引くことで、n層膜の状況を推定することも出来る。
また、ラマン比は製膜において製膜装置構造などによりガラス基板に製膜した膜上で分布が発生する。例えば製膜時に基板の表面上での原料ガス組成変化による局所的なラマン比分布や、プラズマや温度分布による全体的なラマン比分布がある。このため、評価する基板の上で極力全体的な平均値として評価する。例えば、1m角以上の基板サイズであれば、均等に区分けした少なくとも10箇所以上の領域で計測し、この平均値で評価することが好ましい。
S23−1、23−2において上述のような条件で製膜を行うと、結晶化が第1n層3N−1を下地とするので、この上に製膜される膜(第2n層3N−2)の結晶化率を高めることができる。下地層である第1n層3N−1の結晶粒をもとにして、第2n層3N−2の結晶が成長するためである。第1n層3N−1を、結晶化率の高くなりやすい製膜条件で製膜することで、比較的大きい結晶粒が生成する。第2層3N−2の製膜時には、下地が比較的大きな結晶粒を有する膜となっているので、製膜速度を落とさなくても結晶化率を高めることができる。すなわち、第1n層3N−1を、高い結晶化率を得るための下地膜とすることができる。これにより、第2n層3N−2の結晶化率を、同じ条件でi層3I上に直接製膜する場合と比較して、高くすることができる。その結果、n層3N全体としても結晶化率を高くすることができ、電池性能を向上させることができる。
続いて、膜厚について説明する。第1n層3N−1の膜厚は、結晶化率の高い下地膜としての機能を果たす事ができればよいので、厚くする必要は無く、第2n層3N−2よりも薄くすることができる。従って、第1n層3N−1を製膜するのに要する時間は、製膜速度が遅い製膜条件としているにも関わらず、大きく延長されない。一方、第2n層3N−2を結晶化率を高く維持した状態で高速で製膜することができるので、n層3N全体として製膜するのに要する時間は、同等もしくは短くすることができる。
図4は、第1n層3N−1と第2n層3N−2との膜厚比と、生産量(製膜速度)、及び性能(発電効率)との関係を示したグラフである。図中、白抜きの四角のプロットは性能を示しており、黒い菱形のプロットは生産量を示している。また、性能及び生産量のそれぞれは、目標値を1以上とした場合の相対値として示している。図4に示されるように、第1n層3N−1の膜厚の比率を高めていくと、n層膜の結晶化率も向上するので性能が向上していくが、生産量が低下していく。第1n層3N−1の膜厚比(第1n層/(第1n層+第2n層))が、0より大きく、0.5より小さい範囲であれば、性能と生産量の何れも、目標値を満足する。従って、第2n層3N−2の膜厚を、第1n層3N−1の膜厚よりも厚くすることで、高い生産量を維持したままで、高性能な薄膜太陽電池を得ることができる。
以上説明した様に、本実施形態によれば、製膜速度を遅くすることなく、n層3の結晶化率を高める事ができ、電池性能を向上させることが可能である。
次に、本実施形態の製造方法をより詳細に説明する。ここでは、本実施形態の薄膜太陽電池モジュールをパネル化した薄膜太陽電池パネルについて、その製造方法を説明する。また、基板1としてのガラス基板上に太陽電池光電変換層3として単層アモルファスシリコン薄膜太陽電池を用いた例について説明する。図5A〜Dは、本発明の太陽電池パネルの製造方法の実施の形態を示す概略図である。
(1)図5A(a):
基板1としてソーダフロートガラス基板(1.4m×1.1m×板厚:4mm)を使用する。基板端面は破損防止にコーナー面取りやR面取り加工されていることが望ましい。
(2)図5A(b):
透明電極層2として酸化錫膜(SnO)を主成分とする透明電極膜を約500nm〜800nm、熱CVD装置にて約500℃で製膜処理する。この際、透明電極膜の表面は適当な凹凸のあるテクスチャーが形成される。透明電極層2として、透明電極膜に加えて、基板1と透明電極膜との間にアルカリバリア膜(図示されず)を形成しても良い。アルカリバリア膜は、酸化シリコン膜(SiO)を50nm〜150nm、熱CVD装置にて約500℃で製膜処理する。
(3)図5A(c):
その後、基板1をX−Yテーブルに設置して、YAGレーザーの第1高調波(1064nm)を、図の矢印に示すように、透明電極膜の膜面側から入射する。加工速度に適切となるようにレーザーパワーを調整して、透明電極膜を太陽電池セル9の直列接続方向に対して垂直な方向へ、基板1とレーザー光を相対移動して、溝5を形成するように幅約6mm〜15mmの短冊状にレーザーエッチングする。
(4)図5A(d):
プラズマCVD装置により、減圧雰囲気:30〜1000Pa、基板温度:約200℃にて光電変換層3としてのアモルファスシリコン薄膜からなるp層膜/i層膜/n層膜を順次製膜する。光電変換層3は、SiHガスとHガスとを主原料に、透明導電層2の上に製膜される。太陽光の入射する側からp層、i層、n層がこの順で積層される。光電変換層3は本実施形態では、p層:BドープしたアモルファスSiCを主とし膜厚10nm〜30nm、i層:アモルファスSiを主とし膜厚200nm〜350nm、n層:Pドープした微結晶Siを主とし膜厚30nm〜50nmである。またp層膜とi層膜の間には界面特性の向上のためにバッファー層を設けても良い。既述のように、n層は、第1n層と、第2n層とで製膜条件を変更して、製膜される。
(5)図5A(e):
基板1をX−Yテーブルに設置して、レーザーダイオード励起YAGレーザーの第2高調波(532nm)を、図の矢印に示すように、光電変換層3の膜面側から入射する。パルス発振:10〜20kHzとして加工速度に適切となるようにレーザーパワーを調整して、透明電極層のレーザーエッチングラインの約100〜150μmの横側を、溝6を形成するようにレーザーエッチングする。レーザーエッチングラインの位置は前工程でのエッチングラインと交差しないように位置決め交差を考慮して選定する。
(6)図5B(a):
裏面電極層4としてAg膜/Ti膜をスパッタリング装置により減圧雰囲気、約150℃にて順次製膜する。裏面電極層4は本実施形態では、Ag膜:200〜500nm、これを保護するものとして防食効果の高いTi膜:10〜20nmをこの順に積層する。n層と裏面電極層4との接触抵抗低減と光反射向上を目的に、光電変換層3と裏面電極層4との間にGZO(GaドープZnO)膜を膜厚:50〜100nm、スパッタリング装置により製膜して設けても良い。
(7)図5B(b):
基板1をX−Yテーブルに設置して、レーザーダイオード励起YAGレーザーの第2高調波(532nm)を、図の矢印に示すように、基板1側から入射する。レーザー光が光電変換層3で吸収され、このとき発生する高いガス蒸気圧を利用して裏面電極層4が爆裂して除去される。パルス発振:1〜10kHzとして加工速度に適切となるようにレーザーパワーを調整して、透明電極層2のレーザーエッチングラインの約250〜400μmの横側を、溝7を形成するようにレーザーエッチングする。
(8)図5B(c)と図5C(a):
発電領域を区分して、基板端周辺の膜端部においてレーザーエッチングによる直列接続部分が短絡し易い影響を除去する。基板1をX−Yテーブルに設置して、レーザーダイオード励起YAGレーザーの第2高調波(532nm)を、基板1側から入射する。レーザー光が透明電極層2と光電変換層3で吸収され、このとき発生する高いガス蒸気圧を利用して裏面電極層4が爆裂して、裏面電極層4/光電変換層3/透明電極層2が除去される。パルス発振:1〜10kHzとして加工速度に適切となるようにレーザーパワーを調整して、基板1の端部から5〜20mmの位置を、図5C(a)に示すように、X方向絶縁溝8を形成するようにレーザーエッチングする。このとき、Y方向絶縁溝は後工程で基板1周囲領域の膜面研磨除去処理を行うので、設ける必要がない。
絶縁溝8は基板1の端より5〜10mmの位置にてエッチングを終了させることにより、太陽電池パネル端部からの太陽電池モジュール内部への外部湿分浸入の抑制に、有効な効果を呈するので好ましい。
尚、以上までの工程におけるレーザー光はYAGレーザーとしているが、YVO4レーザーやファイバーレーザーなどが同様に使用できるものがある。
(9)図5C(a:太陽電池膜面側から見た図、b:受光面の基板側から見た図):
後工程のEVA等を介したバックシート11との健在な接着・シール面を確保するために、基板1周辺(周囲領域10)の積層膜は、段差があるとともに剥離し易いため、この膜を除去する。基板1の端から5〜20mmで基板1の全周囲にわたり膜を除去するにあたり、X方向は前述の図5C(a)工程で設けた絶縁溝8よりも基板端側において、Y方向は基板端側部付近の溝5よりも基板端側において、裏面電極層4/光電変換層3/透明電極層2を、砥石研磨やブラスト研磨などを用いて除去を行う。
研磨屑や砥粒は基板1を洗浄処理して除去した。
(10)図5D(a、b):
端子箱取付け部分はバックシート11に開口貫通窓を設けて集電板12を取出す。この開口貫通窓部分には絶縁材を複数層を設置して外部からの湿分などの浸入を抑制する。
直列に並んだ一方端の太陽電池発電セル9と、他方端部の太陽電池発電セル9とから銅箔12を用いて集電して太陽電池パネル裏側の端子箱13部分から電力が取出せるように処理する。銅箔は各部との短絡を防止するために銅箔幅より広い絶縁シートを配置する。
集電用銅箔などが所定位置に配置された後に、太陽電池モジュールの全体を覆い、基板1からはみ出さないようにEVA(エチレン酢酸ビニル共重合体)等による接着充填材シートを配置する。
EVAの上に、防水効果の高いバックシート11を設置する。バックシート11は本実施形態では防水防湿効果が高いようにPETシート/AL箔/PETシートの3層構造よりなる。
バックシート11までを所定位置に配置したものを、ラミネータにより減圧雰囲気で内部の脱気を行い約150〜160℃でプレスしながら、EVAを架橋させて密着させる。
(11)図5D(b):
太陽電池モジュールの裏側に端子箱13を接着剤で取付ける。
銅箔と端子箱13の出力ケーブルとをハンダ等で接続し、端子箱内部を封止剤(ポッティング剤)で充填して密閉する。これで太陽電池パネル20が完成する。
(12)図5D(c):
図5D(b)までの工程で形成された太陽電池パネル20について発電検査ならびに、所定の性能試験を行う。発電検査は、AM1.5、全天日射基準太陽光(1000W/m)のソーラシミュレータを用いて行う。
(13)図5D(d):
発電検査(図5D(c))に前後して、外観検査をはじめ所定の性能検査を行う。
上記実施の形態では太陽電池として、単層アモルファスシリコン太陽電池を用いたものについて説明したが、光電変換層にpin型のアモルファスシリコン層が含まれるものであれば、この例に限定されない。例えば、アモルファスシリコン太陽電池と結晶質シリコン太陽電池やシリコンゲルマニウム太陽電池とを各1〜複数層に積層させた多接合型(タンデム型)太陽電池のような他の種類の薄膜太陽電池にも同様に適用可能である。更に本発明は、金属基板などのような非透光性基板上に製造された、基板とは反対の側から光が入射するタイプの太陽電池にも同様に適用可能である。
(第2の実施形態)
続いて、第2の実施形態について説明する。本実施形態では、第1の実施形態と比較して、n層を形成する工程(ステップS23)における製膜条件が更に工夫されている。これ以外の点については、第1の実施形態と同様とすることができるので、詳細な説明は省略する。
本実施形態では、第1n層3N−1を製膜する際(S23−1)の不純物元素のドーピング率を、第2n層3N−2を製膜する際(S23−2)のそれよりも、高くする。尚、ドーピング率は、シラン含有ガスに対する不純物元素含有ガスの体積比で表される。すなわち、シラン含有ガスとしてSiHを、不純物元素含有ガスとしてPHを用いた場合、ドーピング率は、体積比でPH/SiHとして表される。
具体例を挙げると、第1n層3N−1の製膜時に製膜室内に導入されるガスのうち、SiHの流量を500(sccm)とし、PHの流量を6(sccm)とする。尚、PHは、実際にはHで1000倍に希釈されたものが製膜室内に導入される。また、第2n層3N−1の製膜時に製膜室内に導入されるガスのうち、SiHの流量を400(sccm)とし、PHの流量を4(sccm)とする。このとき、第1n層3N−1の製膜時におけるドーピング率は、6/500=1.2(%)であり、第2n層3N−2の製膜時におけるドーピング率は、4/400=1.0(%)である。
図6は、n層を単一の製膜条件で製膜した場合における、ドーピング率と、製膜速度、及び製膜される膜の導電率の関係を示したグラフである。図中、白抜きの四角のプロットは導電率を示しており、黒い菱形のプロットは製膜速度を示している。また、導電率及び製膜速度は、目標値を1以上とした場合の相対値として示してある。また、図7は、n層の導電率と曲性因子(F.F)との関係を示したグラフである。図7に示されるように、効果は少ないながらも、n層の導電率が高いと、電池の内部抵抗が低下するとともに、結晶化率が向上しているために光の透過率も向上して、F.Fが向上し、電池性能が向上することが示されている。図6に示されるように、ドーピング率を高めると、製膜速度が遅くなっていくが、導電率は向上していく。導電率が向上するのは、結晶化率が高くなるからであると考えられる。従って、図6、7のグラフから、ドーピング率を上げると導電率が向上し、電池性能が向上することが示される。
しかしながら、図6のグラフにおいて、導電率と製膜速度の双方について目標値を満足するようなドーピング率は存在しない。すなわち、n層を単一の製膜条件で製膜した場合、ドーピング率を変更しても、性能(導電率)と生産性(製膜速度)の双方について目標値を満足することは難しい。
これに対して、本実施形態によれば、n層を2層構造とし、一層目の第1n層3N−1製膜時におけるドーピング率を高くすることによって、一層目の結晶化率を高めることができる。これにより、2層目である第2n層3N−2の結晶化率を、i層上に直接製膜する場合と比較して、高く維持することができる。すなわち、第1n層3N−1を、高い結晶化率を得るための下地膜とすることができる。その結果、第2n層3N−2は良好な下地層の第1n層3N−1の影響で、ドーピング率を低めて製膜速度を向上させた状態でも高い結晶化率を維持できるので、n層3全体として、生産量を落とすことなく、導電率を高めることができ、製膜速度と導電率との双方の目標値を満足させ易くなる。
(第3の実施形態)
続いて、第3の実施形態について説明する。本実施形態では、既述の実施形態と比較して、n層を形成する工程(ステップS23)における製膜条件が更に工夫されている。これ以外の点については、第1の実施形態と同様とすることができるので、詳細な説明は省略する。
本実施形態では、第1n層3N−1を製膜する際(S23−1)に材料ガスの希釈率を、第2n層3N−2を製膜する際(S23−2)のそれよりも、高くする。尚、希釈率は、シラン含有ガス(SiH)に対する希釈ガス(H)の体積比(H/SiH)で表される。
具体例を挙げると、第1n層3N−1の製膜時に製膜室内に導入されるガスのうち、SiHの流量を500(sccm)とし、Hの流量を37.5×10(sccm)とする。また、第2n層3N−1の製膜時に製膜室内に導入されるガスのうち、SiHの流量を400(sccm)とし、Hの流量を20×10(sccm)とする。このとき、第1n層3N−1の製膜時における希釈率は、37.5×10/500=75であり、第2n層3N−2の製膜時における希釈率は、20×10/400=50である。
図8は、n層を単一の製膜条件で製膜した場合における、希釈率と、製膜速度、及び製膜される膜の導電率の関係を示したグラフである。図中、白抜きの四角のプロットは導電率を示しており、黒い菱形のプロットは製膜速度を示している。また、希釈率及び製膜速度は、目標値を1以上とした場合の相対値として示してある。このグラフに示されるように、希釈率を高めると、製膜速度が遅くなっていくが、導電率は向上していく。第2の実施形態にて説明した様に、導電率が高いと、曲性因子が向上し、電池性能が向上する。すなわち、図8のグラフからは、希釈率を上げると、電池性能が向上することがわかる。希釈率を高めると導電率が向上するのは、結晶化率の高い膜が得られるからであると考えられる。このことから、図8の結果より、希釈率を高める事で、製膜速度が遅くなるものの、結晶化率が高い膜を得られる事がわかる。
しかしながら、図8のグラフにおいて、導電率と製膜速度の双方について目標値を満足するような希釈率は存在しない。すなわち、n層を単一の製膜条件で製膜した場合、希釈率を変更しても、性能(導電率)と生産性(製膜速度)の双方について目標値を満足することは難しい。
これに対して、本実施形態によれば、n層を2層構造とし、一層目の第1n層3N−1製膜時における希釈率を高くすることによって、一層目の結晶化率を高めることができる。これにより、2層目である第2n層3N−2の結晶化率を、i層上に直接製膜する場合と比較して、高めやすくすることができる。そのため、第2n層3N−2を、製膜速度を落とすことなく、高い結晶率で製膜することができる。その結果、n層3全体として、生産量を同等、もしくはほとんど低下すことなく、導電率を高めることができ、製膜速度と導電率との双方の目標値を満足させ易くなる。
(第4の実施形態)
続いて、第4の実施形態について説明する。本実施形態では、既述の実施形態と比較して、n層を形成する工程(ステップS23)における製膜条件が更に工夫されている。これ以外の点については、第1の実施形態と同様とすることができるので、詳細な説明は省略する。
本実施形態では、第1n層3N−1を製膜する際(S23−1)に、第2n層3N−2を製膜する際(S23−2)よりも、高い圧力下で、製膜を行う。具体例を挙げると、第1n層3N−1の製膜時において、製膜室内の圧力を175(Pa)とし、第2n層3N−2の製膜時において、製膜室内の圧力を125(Pa)とする。
第1n層を高圧力下で製膜を行うことで、プラズマ中のHの衝突が促進され、膜中にH2が取り込まれやすくなる。そのため、高圧力下で製膜を行った場合には、結晶化が促進される。しかし圧力が高いと結晶化率が高い膜を得られるが、膜分布が悪化し易く逆に太陽電池の性能を低下させることがある。従って、第1n層3N−1において、第2n層3N−2よりも高圧力下で製膜することによって、第1n層3N−1の製膜条件を、結晶化率がより高くなるような条件とすることができる。その結果、第1の実施形態で述べたのと同様に、下地層である第1n層の影響で、製膜速度を落とす事無く、第2n層3N−2の結晶化率を高める事ができる。
(第5の実施形態)
続いて、第5の実施形態について説明する。本実施形態では、既述の実施形態と比較して、n層を形成する工程(ステップS23)における製膜条件が更に工夫されている。これ以外の点については、第1の実施形態と同様とすることができるので、詳細な説明は省略する。
本実施形態では、前記材料ガスを分解する高周波電力は、第1n層3N−1を製膜する際(S23−1)に、第2n層3N−2を製膜する際(S23−2)より低い高周波電力(RFパワー)を用いて製膜室内にプラズマを発生させ、製膜を行う。具体例を挙げると、第1n層3N−1の製膜時におけるRFパワーを2(kW)とし、第2n層3N−2の製膜時におけるRFパワーを3(kW)とする。第1n層形成工程よりも高いRFパワーでプラズマを発生させ、製膜を行うことが好ましい。第1n層を低RFパワーで製膜を行うと、膜へのダメージが低下し、結晶化が促進される。しかし一方では製膜速度が低下する。すなわち、第2n層形成工程を第1n層形成工程よりも高RFパワーで行う(第1n層形成工程を低RFパワーにする)ことにより、高い製膜速度においても高結晶化率の第2n層を得ることができる。
低RFパワーの高周波電力を用いて製膜を行うことで、製膜速度が遅くなるものの、結晶化率が高い膜を得られる。従って、第1n層3N−1において、第2n層3N−2よりも低RFパワー下で製膜することによって、第1n層3N−1の製膜条件を、結晶化率がより高くなるような条件とすることができる。第2n層3N−2を製膜するにあたっては、高RFパワーで製膜が行われるので、高速で製膜を行うことができる。また、第2n層は製膜条件の観点からは微結晶化しにくいものの、第1n層3N−1が良好な下地層であるために、結晶化率が低くなることもない。その結果、第1の実施形態で述べたのと同様に、製膜速度を落とす事無く、第2n層3N−2の結晶化率を高める事ができる。
(第6の実施形態)
続いて、第6の実施形態について説明する。本実施形態では、既述の実施形態と比較して、n層を形成する工程(ステップS23)における製膜条件が更に工夫されている。これ以外の点については、第1の実施形態と同様とすることができるので、詳細な説明は省略する。
本実施形態では、第1n層3N−1を製膜する際(S23−1)、及び、第2n層3N−2を製膜する際(S23−2)において、標準条件よりも周波数の高い高周波電力を印加して、製膜を行う。高周波周波数は、高い製膜速度と膜厚分布を良好にたもつことから略60MHzから略100MHzが好ましい。周波数の高い高周波電力を用いて製膜を行うことで、製膜速度を速めることができる上、高い結晶化率の膜を得ることができる。
(第7の実施形態)
続いて、第7の実施形態について説明する。本実施形態では、既述の実施形態と比較して、n層を形成する工程(ステップS23)における製膜条件が更に工夫されている。これ以外の点については、第1の実施形態と同様とすることができるので、詳細な説明は省略する。
本実施形態では、n層を形成する工程において、第1n層3N−1を製膜する工程(S23−1)の前に、ガス曝露工程が実施される。
ガス曝露工程では、基板の配置された製膜室内に、S23−1、S23−2で用いられる材料ガスが導入され、高圧力下(例えば、150Pa)とされる。すなわち、シラン含有ガス(SiH)、希釈ガス(H)、及び不純物含有ガス(PH)を導入する。また、このガス曝露工程では、製膜室内にプラズマを発生させない。ガス曝露工程は、例えば、15秒間、実施される。
このように、ガス曝露工程を実施する事で、製膜室内の材料ガスの濃度を安定させる事ができる。これにより、後の製膜工程(S23−1、23−2)において、均一に製膜を行うことができる。また、材料ガスに曝すことによって、基板温度を製膜温度に安定化し、i型アモルファスシリコン層3Iの表面をプラズマ発生時のようなイオン衝撃で損傷させることなく、表面に吸着した不純物を除去でき、高結晶化率の膜を製膜するのに適した条件にすることができる。これにより、n型アモルファスシリコン層3Nの結晶化率を高める事ができる。
(実施例)
以上の第1〜7の実施形態は必要に応じて組み合わせて用いることも可能である。例えば、以下に述べるような製膜条件で、第1n層及び第2n層を製膜することもできる。
第1n層製膜時(ステップS23−1);
製膜室内に導入されるSiH(シラン含有ガス)流量を、500(sccm)とする。
製膜室内に導入されるH(希釈ガス)流量を、37.5×10(sccm)とする。
製膜室内に導入されるPH(不純物元素含有ガス)流量を、6(sccm)とする。
製膜室内の圧力を175(Pa)とする。
製膜時に印加される高周波電力のパワーを2(kW)とする。
尚、このとき、ドーピング率は、PH/SiH=6/500=1.2%である。
また、希釈率は、H/SiH=37.5×10/500=75倍である。
第2n層製膜時(ステップS23−2);
製膜室内に導入されるSiH(シラン含有ガス)流量を、400(sccm)とする。
製膜室内に導入されるH(希釈ガス)流量を、20×10(sccm)とする。
製膜室内に導入されるPH(不純物元素含有ガス)流量を、4(sccm)とする。
製膜室内の圧力を125(Pa)とする。
製膜時に印加される高周波電力のパワーを3(kW)とする。
尚、このとき、ドーピング率は、PH/SiH=4/400=1.0%である。
また、希釈率は、H/SiH=20×10/400=50倍である。
以上のような条件で製膜を行った場合、第2n層製膜時において、第1n層製膜時よりも、低いドーピング率で製膜を行うことになる。また、第2n層製膜時のほうが、より低い希釈率で製膜されることになる。また、第2n層製膜時のほうが低い圧力下で製膜されることになる。また、第2n層製膜時のほうが、高いパワーでプラズマを発生させて製膜されることになる。
このように、第1n層製膜時と第2n層製膜時において、ドーピング率、希釈率、圧力、パワーの各パラメータを変更することでも、第1n層3N−1を高い結晶化率を得るための下時膜とすることができる。それにより、n層3N全体の結晶化率を、生産性を落とすことなく、高めることができる。
薄膜系太陽電池の概略断面図である。 第1の実施形態の薄膜太陽電池の概略断面図である。 第1の実施形態の薄膜太陽電池の製造方法を示すフローチャートである。 膜厚比、導電率、及び生産量との関係を示すグラフである。 薄膜系太陽電池パネルの製造方法を示す説明図である。 薄膜系太陽電池パネルの製造方法を示す説明図である。 薄膜系太陽電池パネルの製造方法を示す説明図である。 薄膜系太陽電池パネルの製造方法を示す説明図である。 ドーピング率、製膜速度、及び導電率の関係を示すグラフである。 導電率と曲性因子(F.F)との関係を示すグラフである。 希釈率、製膜速度、及び導電率の関係を示すグラフである。
符号の説明
1 基板
2 透明電極層
3 光電変換層
4 裏面電極層
5 溝
6 溝
7 溝
8 絶縁溝
9 太陽電池セル
10 周囲領域
11 バックシート
12 導電箔
13 端子箱
20 太陽電池パネル

Claims (8)

  1. p型アモルファスシリコン層を製膜するp層形成工程と、
    前記p型アモルファスシリコン層上に、i型アモルファスシリコン層を製膜するi層形成工程と、
    前記i型アモルファスシリコン層上に、n型アモルファスシリコン層を製膜するn層形成工程と、を備え、
    前記n層形成工程は、
    前記i型アモルファスシリコン層上に、第1n層を製膜する第1n層形成工程と、
    前記第1n層上に、第2n層を製膜する第2n層形成工程と、を備え、
    前記第1n層形成工程の製膜条件は、前記第2n層形成工程における製膜条件よりも、同じ下地基板上に製膜した場合に結晶化率が高くなるような条件である
    光電変換装置の製造方法。
  2. 請求項1に記載された光電変換装置の製造方法であって、
    前記第1n層形成工程の製膜速度は、前記第2n層形成工程の製膜速度よりも遅い
    光電変換装置の製造方法。
  3. 請求項1又は2に記載された光電変換装置の製造方法であって、
    前記n層形成工程において、前記材料ガスは、シラン含有ガス及び不純物元素含有ガスを含む原料ガスを含んでおり、
    前記第2n層形成工程において、前記シラン含有ガスに対する前記不純物元素含有ガスの含有率を示すドーピング率は、前記第1n層形成工程における前記不純物元素含有ガスのドーピング率よりも、少ない
    光電変換装置の製造方法。
  4. 請求項1乃至3のいずれかに記載された光電変換装置の製造方法であって、
    前記n層形成工程において、前記材料ガスは、更に、前記原料ガスを希釈するための水素ガスを含んでおり、
    前記第2n層形成工程における前記水素ガスによる希釈率は、前記第1n層形成工程における希釈率よりも、少ない
    光電変換装置の製造方法。
  5. 請求項1乃至4のいずれかに記載された光電変換装置の製造方法であって、
    前記第2n層形成工程において、前記第1n層形成工程よりも低い圧力下で、製膜を行う
    光電変換装置の製造方法。
  6. 請求項1乃至5のいずれかに記載された光電変換装置の製造方法であって、
    前記第2n層形成工程において、前記材料ガスを分解する高周波電力は、前記第1n層形成工程よりも高い高周波電力でプラズマを発生させ、製膜を行う
    光電変換装置の製造方法。
  7. 請求項1乃至6のいずれかに記載された光電変換装置の製造方法であって、
    前記第2n層形成工程において製膜される膜の厚みは、前記第1n層形成工程において製膜される膜の厚みよりも、厚い
    光電変換装置の製造方法。
  8. 請求項1乃至7のいずれかに記載された光電変換装置の製造方法であって、
    前記n層形成工程は、更に、前記第1n層形成工程の前に実施され、前記i型アモルファスシリコン層の表面を、プラズマを発生させずに、前記材料ガスに曝すガス曝露工程、を備える
    光電変換装置の製造方法。
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