JP2009135220A - 光電変換装置の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】積層された少なくとも2層の電池層と、該2層の電池層の間に介在し、該2層の電池層を電気的及び光学的に接続する中間コンタクト層とを備えた光電変換装置の製造方法であって、前記中間コンタクト層が、膜厚40nm以上80nm以下、抵抗率1Ω・cm以上5Ω・cm以下となるように、前記中間コンタクト層を30℃以上50℃以下の温度で形成する光電変換装置の製造方法。
【選択図】なし
Description
図1は、本発明の光電変換装置の製造方法により製造される光電変換装置の構成を示す概略図である。光電変換装置100は、シリコン系太陽電池であり、基板1、透明電極層2、光電変換層3としての第1電池層101(アモルファスシリコン系)及び第2電池層102(結晶質シリコン系)、第1電池層101と第2電池層102との間の中間コンタクト層5、及び、裏面電極層4を備える。なお、ここで、シリコン系とはシリコン(Si)やシリコンカーバイト(SiC)やシリコンゲルマニウム(SiGe)を含む総称である。また、結晶質シリコン系とは、アモルファスシリコン系すなわち非晶質シリコン系以外のシリコン系を意味するものであり、微結晶シリコンや多結晶シリコン系も含まれる。
基板1としてソーダフロートガラス基板(例えば、1.4m×1.1m×板厚:3〜6mmの一辺が1mを超える大面積基板)を使用する。基板端面は熱応力や衝撃などによる破損防止にコーナー面取りやR面取り加工されていることが望ましい。
透明電極層2として酸化錫(SnO2)を主成分とする膜厚約500nm以上800nm以下の透明電極膜を、熱CVD装置にて約500℃で製膜する。この際、透明電極膜の表面には、適当な凹凸のあるテクスチャーが形成される。透明電極層2として、透明電極膜に加えて、基板1と透明電極膜との間にアルカリバリア膜(図示されず)を形成しても良い。アルカリバリア膜は、膜厚50nm以上150nm以下の酸化シリコン膜(SiO2)を熱CVD装置にて約500℃で製膜する。
その後、基板1をX−Yテーブルに設置して、YAGレーザーの第1高調波(1064nm)を、図の矢印に示すように、透明電極層の層面側から入射する。加工速度が適切となるようにレーザーパワーを調整して、透明電極膜を発電セルの直列接続方向に対して垂直な方向へ、基板1とレーザー光を相対移動して、溝10を形成するように幅約6mmから15mmの所定幅の短冊状にレーザーエッチングする。
第1電池層101として、アモルファスシリコン薄膜からなるp層膜/i層膜/n層膜を、プラズマCVD装置により製膜する。SiH4ガスとH2ガスとを主原料にして、減圧雰囲気:30Pa以上1000Pa以下、基板温度:約200℃にて、透明電極層2上に太陽光の入射する側からp層、i層、n層の順で製膜する。p層はアモルファスのBドープSi膜であり、膜厚10nm以上30nm以下である。i層はアモルファスのSi膜であり、膜厚200nm以上350nm以下である。n層はpドープ微結晶Si膜であり、膜厚30nm以上50nm以下である。p層膜とi層膜の間には界面特性の向上のためにバッファー層を設けても良い。
なお、上記の加熱処理を、後工程の第2電池層のp層形成のためのロードロックチャンバで行えば、工程に要する時間を短縮させることが出来るため有利である。
基板1をX−Yテーブルに設置して、レーザーダイオード励起YAGレーザーの第2高調波(532nm)を、図の矢印に示すように、光電変換層3の膜面側から入射する。パルス発振:10kHz以上20kHz以下として加工速度に適切となるようにレーザーパワーを調整して、透明電極層2のレーザーエッチングラインの約100μmから150μmの横側を、溝11を形成するようにレーザーエッチングする。またこのレーザーは基板1側から入射しても良い。この場合は光電変換層3の第1電池層101で吸収されたエネルギーで発生する高い蒸気圧を利用できるので、更に安定したレーザーエッチング加工を行うことが可能となる。レーザーエッチングラインの位置は前工程でのエッチングラインと交差しないように位置決め交差を考慮して選定する。
裏面電極層4としてAg膜/Ti膜をスパッタリング装置により減圧雰囲気、約150℃にて順次製膜する。本実施形態では、裏面電極層4はAg膜:200nm以上500nm以下、これを保護するものとして防食効果の高いTi膜:10nm以上20nm以下をこの順に積層させたものとされる。第2電池層102のn層と裏面電極層4との接触抵抗低減と光反射向上を目的に、光電変換層3と裏面電極層4との間にGZO(GaドープZnO)膜を膜厚:50nm以上100nm以下、スパッタリング装置により製膜して設けても良い。また、Ti膜に変えてAl膜:250nm以上350nm以下としてもよい。TiをAlとすることで、防食効果を保持しつつ、材料コストを低減することが可能となる。
基板1をX−Yテーブルに設置して、レーザーダイオード励起YAGレーザーの第2高調波(532nm)を、図の矢印に示すように、基板1側から入射する。レーザー光が光電変換層3で吸収され、このとき発生する高いガス蒸気圧を利用して裏面電極層4が爆裂して除去される。パルス発振:1kHz以上10kHz以下として加工速度に適切となるようにレーザーパワーを調整して、透明電極層2のレーザーエッチングラインの約250μmから400μmの横側を、溝12を形成するようにレーザーエッチングする。
発電領域を区分して、基板端周辺の膜端部においてレーザーエッチングによる直列接続部分が短絡し易い影響を除去する。基板1をX−Yテーブルに設置して、レーザーダイオード励起YAGレーザーの第2高調波(532nm)を、基板1側から入射する。レーザー光が透明電極層2と光電変換層3とで吸収され、このとき発生する高いガス蒸気圧を利用して裏面電極層4が爆裂して、裏面電極層4/光電変換層3/透明電極層2が除去される。パルス発振:1kHz以上10kHz以下として加工速度に適切となるようにレーザーパワーを調整して、基板1の端部から5mmから20mmの位置を、図3(c)に示すように、X方向絶縁溝15を形成するようにレーザーエッチングする。このとき、Y方向絶縁溝は後工程で基板1周囲領域の膜面研磨除去処理を行うので、設ける必要がない。
後工程のEVA等を介したバックシート24との健在な接着・シール面を確保するために、基板1周辺(周囲領域14)の積層膜は、段差があるとともに剥離し易いため、積層膜を除去する。基板1の端から5mmから20mmで基板1の全周囲にわたり、X方向は前述の図3(c)工程で設けた絶縁溝15よりも基板端側において、Y方向は基板端側部付近の溝10よりも基板端側において、裏面電極層4/光電変換層3/透明電極層2を、砥石研磨やブラスト研磨などを用いて除去を行う。研磨屑や砥粒は基板1を洗浄処理して除去する。
端子箱取付け部分はバックシート24に開口貫通窓を設けて集電板を取出す。この開口貫通窓部分には絶縁材を複数層を設置して外部からの湿分などの浸入を抑制する。
太陽電池モジュール6の裏側に端子箱23を接着剤で取付ける。
銅箔と端子箱23の出力ケーブルとをハンダ等で接続し、端子箱内部を封止剤(ポッティング剤)で充填して密閉する。これで太陽電池パネル50が完成する。
図5(b)までの工程で形成された太陽電池パネル50について発電検査ならびに、所定の性能試験を行う。発電検査は、AM1.5、全天日射基準太陽光(1000W/m2)のソーラシミュレータを用いて行う。
発電検査(図5(c))に前後して、外観検査をはじめ所定の性能検査を行う。
〔実施例〕
DCスパッタリング装置にて、ターゲット:GaドープZnO焼結体を用い、減圧雰囲気:0.5Pa、スパッタガス:アルゴン(Ar)、酸素(O2)量:0.5体積%の条件で、GZOからなる中間コンタクト層を、製膜温度を変えて形成した。中間コンタクト層の抵抗率を、4端子抵抗測定器にて測定したシート抵抗と膜厚より求めた。
図7に示すように、酸素を添加することによって抵抗率が上昇した。特に、0.5体積%以上5体積%以下の酸素添加量で、抵抗率が1Ω・cm以上5Ω・cm以下となった。
図8に示すように、酸素添加量が0.5体積%以上5体積%以下の場合、長波長領域での透過率を高くすることができ、波長450nmから800nmの領域で透過率95%以上が得られた。一方、酸素添加量が0体積%から0.4体積%の場合は、波長が長くなるほど透過率が減少し、波長600nm以上で透過率が95%以下となった。このように、中間コンタクト層形成時の酸素添加量を0.5体積%以上5体積%以下とすることで、長波長領域での透過率を高くすることができた。
2 透明電極層
3 光電変換層
4 裏面電極層
5 中間コンタクト層
6 太陽電池モジュール
100 光電変換装置
101 第1電池層
102 第2電池層
Claims (9)
- 積層された少なくとも2層の電池層と、該2層の電池層の間に介在し、該2層の電池層を電気的及び光学的に接続する中間コンタクト層とを備えた光電変換装置の製造方法であって、前記中間コンタクト層が、膜厚40nm以上80nm以下、抵抗率1Ω・cm以上5Ω・cm以下となるように、前記中間コンタクト層を30℃以上50℃以下の温度で形成する光電変換装置の製造方法。
- 前記中間コンタクト層が、ガリウムを添加した酸化亜鉛からなる請求項1に記載の光電変換装置の製造方法。
- 前記中間コンタクト層が、酸素を添加した希ガスをスパッタガスとして用いたスパッタリング法で形成される請求項1または請求項2に記載の光電変換装置の製造方法。
- 前記スパッタガス中の前記酸素の添加量が、前記酸素及び前記希ガスの体積の合計に対して0.5体積%以上5体積%以下とされる請求項3に記載の光電変換装置の製造方法。
- 前記中間コンタクト層を形成した後に、前記中間コンタクト層が真空中で加熱される請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の光電変換装置の製造方法。
- 前記中間コンタクト層が、1×10−4Pa以上5×10−4Pa以下の減圧雰囲気で加熱される請求項5に記載の光電変換装置の製造方法。
- 前記中間コンタクト層が、140℃以上200℃以下の温度で加熱される請求項5または請求項6に記載の光電変換装置の製造方法。
- 請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の光電変換装置の製造方法を用いて製造された光電変換装置。
- 絶縁基板上に、透明電極層と、積層された少なくとも2層の電池層と、該2層の電池層との間に介在する中間コンタクト層と、裏面電極層とを備えた光電変換装置であって、前記中間コンタクト層が、膜厚40nm以上80nm以下、かつ、抵抗率1Ω・cm以上5Ω・cm以下である光電変換装置。
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