JP2002261305A - 薄膜多結晶シリコン太陽電池及びその製造方法 - Google Patents

薄膜多結晶シリコン太陽電池及びその製造方法

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JP2002261305A
JP2002261305A JP2001055130A JP2001055130A JP2002261305A JP 2002261305 A JP2002261305 A JP 2002261305A JP 2001055130 A JP2001055130 A JP 2001055130A JP 2001055130 A JP2001055130 A JP 2001055130A JP 2002261305 A JP2002261305 A JP 2002261305A
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Tadashi Ito
忠 伊藤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れた光電変換特性を有する薄膜多結晶シリ
コン太陽電池の提供及びその薄膜多結晶シリコン太陽電
池を効率よくかつ容易に得ることが可能な製造方法の提
供。 【解決手段】 薄膜多結晶シリコン太陽電池10のp型
多結晶シリコン層3は、正極2上に順次配置される第一
の層32と、第二の層34とからなる。第一の層及び第
二の層中のシリコン結晶粒の平均粒径は10μm以上で
ある。第一の層中のp型ドーパント濃度は1×1018
/cm3〜大気圧かつ第一の層を形成するときの熱処理
温度における固溶限界濃度である。第ニの層中のp型ド
ーパント濃度は、第一の層に接する界面近傍からn型多
結晶シリコン層4に接するpn接合面近傍にかけて単調
に減少し、かつ、界面近傍では大気圧かつ第一の層を形
成するときの熱処理温度における固溶限界濃度であり、
pn接合面近傍では1×10 15〜5×1017個/cm3
である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、薄膜多結晶シリコ
ン太陽電池及びその製造方法に関し、より詳しくは、p
型多結晶シリコン層上にn型多結晶シリコン層が形成さ
れており、光をn型多結晶シリコン層の側から受光する
構成を有する薄膜多結晶シリコン太陽電池及びその製造
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、地球温暖化やエネルギー問題に対
する関心が高まり、建築物の屋根や壁に敷設することの
できる太陽電池の開発が望まれ、様々な開発が進められ
ている。このようなオンサイト発電のできる太陽電池と
しては、省資源、高効率、低コスト、及び安全性の観点
から、薄膜多結晶シリコン太陽電池が最も有望である。
【0003】薄膜多結晶シリコン太陽電池の製造方法と
しては、基板上に所定の不純物を含有する多結晶シリコ
ン層を形成して、更に所定の不純物のドーピングを行っ
て光電変換素子として機能する部位、すなわちpn接合
或いはpin接合を形成せしめた後、その多結晶シリコ
ン層の表面に、光閉じ込めのための反射防止膜やテキス
チャ構造、更には所定の電極を形成する方法が一般的で
ある。
【0004】このような薄膜多結晶シリコン太陽電池の
製造工程のうち、基板上に多結晶シリコン層を形成する
工程は一般にプラズマ気相成長が採用されている。しか
し、プラズマ気相成長法により形成されたシリコン薄膜
は結晶粒径が小さいため、これを太陽電池に用いた場合
に十分な光電変換効率が得られないという問題があっ
た。また、プラズマ気相成長法ではモノシランガス等の
半導体特殊材料ガスを用いるため、設備費の高騰を招
き、太陽電池のコストを増大させるという欠点があっ
た。そこで、半導体特殊材料ガスを可能な限り用いず
に、物理蒸着法を利用して太陽電池用シリコン薄膜を形
成するための様々な検討がなされている。
【0005】その試みの一つとして、例えば、特開平9-
181344号公報にはアルミニウムの結晶核成長効果を利用
した方法により製造されるシリコン薄膜太陽電池が開示
されている。この電池は、以下の手順により製造されて
いる。すなわち、先ず基板上にアルミニウムを含む導電
層を形成する。次いで導電層上にアモルファスシリコン
層又は微結晶シリコン層を形成する。次いでこれらのシ
リコン層のいずれかの上に絶縁体膜からなるキャップ層
を形成する。そして、ランプアニール等の処理を行な
い、導電層とシリコン層を加熱溶融させて導電層からシ
リコン層にアルミニウムを拡散させることにより、アル
ミニウムを含有するp型多結晶シリコン層を形成する。
次に、p型多結晶シリコン層上のキャップ層をエッチン
グ等により除去する。次に、熱CVD法、或いはプラズ
マ気相成長法を用いてホモエピタキシャル成長させるこ
とにより、pn接合を有する多結晶シリコン層、或い
は、pin接合を有する多結晶シリコン層を形成し、太
陽電池を構成する。
【0006】また、特開2000-232231号公報には、大結
晶粒の多結晶シリコン薄膜の製造方法とそれを用いた薄
膜多結晶シリコン太陽電池の製造方法が開示されてい
る。この電池は、アルミニウムの代わりにニッケルなど
の触媒金属を用いて以下の手順により製造されている。
すなわち、先ず、基板上にシリコン層等の半導体層を形
成する。このとき、該半導体層にはp型ドーパントとな
るホウ素を0.001〜0.1%原子%含有させておく。次に、
半導体層の結晶化を促進する触媒となるニッケル等の金
属を含む層を前記半導体層に隣接して形成する。次に、
550℃、4〜8時間加熱処理を行い、触媒となる金属を
含む層から前記金属触媒元素を半導体層内に拡散させ
る。このとき、半導体層中のシリコンは金属触媒の作用
によって結晶化される。次に、触媒となる金属を含む層
を除去後、結晶化したシリコン結晶粒を含有する半導体
層の上に燐ガラス層を形成する。次に、550℃で1〜4
時間熱処理し、半導体層中に拡散した触媒金属元素を燐
ガラス層中にゲッタリングさせて、半導体層の触媒とな
る金属元素濃度を5×1018cm-3以下に減少させ、上
記半導体層を高純度化させる。その後、燐ガラス層を除
去して半導体層を露出させ、該半導体層上にn型結晶シ
リコン層を形成し、pn接合を形成して太陽電池を構成す
る。
【0007】更に、Applied Physics Letters vol. 7
3、 No. 22 (1998) pp. 3214-3216には、シリコン層の
多結晶化に寄与する金属としてアルミニウム等のシリコ
ンと共晶反応する金属を用いて以下の手順により多結晶
シリコン薄膜を製造する方法が提案されている。すなわ
ち、先ず、基板上に、シリコンと共晶反応するアルミニ
ウム等の金属からなる金属層を形成する。次いで、金属
層上にアモルファスシリコン層を形成する。次いで、シ
リコンと金属とが共晶反応するときの共晶温度よりも低
い温度で熱処理することにより、上記アモルファスシリ
コン層を形成するシリコン原子を金属層中に拡散させる
と同時に粒径10μm以上のシリコン結晶粒を金属層と基
板との界面に析出させる。そして、金属層と基板との間
にシリコンと共晶反応する金属をほぼ固溶限界濃度(〜
1019cm-3)含有する多結晶シリコン薄膜を形成す
る。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開平
9-181344号公報に記載のシリコン薄膜太陽電池及びその
製造方法においては、次の3つの問題点があった。すな
わち、第1の問題点は、この方法は、シリコン結晶粒の
粒径を十分に大きくする観点から、アルミニウムを含む
導電層とシリコン層との積層体を加熱溶融させた後の冷
却工程における冷却速度を厳密に制御する必要があり製
造工程が複雑になることである。
【0009】また、第2の問題点は、得られる多結晶シ
リコン層のアルミニウムの含有量は、上記の積層体の溶
融条件と冷却条件とにより決るので、導電層の組成、導
電層の膜厚に対するシリコン層の膜厚を精密に制御しな
いと多結晶シリコン層の上面にアルミニウム層が残って
しまうということである。アルミニウム層が残留してし
まうと、これを十分に取り除くためにエッチングを行な
う必要が生じる。そして、残留したアルミニウム層を十
分に取り除かない状態のままpn接合を有するシリコン
層或いはpin接合を有するシリコン層を積層した場
合、十分にホモエピタキシャル成長させることができ
ず、十分な粒径を有するシリコン結晶粒からなる多結晶
シリコン層を形成させることができなくなる。ここで、
例えば、残留したアルミニウム層を取り除かずにこの上
にキャップ層を形成し、その後、エッチングによりキャ
ップ層と残留したアルミニウム層とを同時に除去する手
法も考えられるが、キャップ層のエッチングに使用する
エッチング液やエッチングガス(反応性イオンエッチン
グ法でエッチングする場合)は、通常はアルミニウム層
のエッチングに適した種類や組成を有していないので、
必ずしも完全に取り除けるとは限らない。
【0010】第3の問題点は、上記pn接合又はpin
接合を有する多結晶シリコン層を形成する際に、ホモエ
ピタキシャル成長の手段として気相成長法を利用してお
り、モノシラン、ジシラン等の半導体特殊ガスを用いて
おりのでややコスト高となってしまうということであ
る。
【0011】これに対して、上述の特開2000-232231号
公報に記載の薄膜多結晶シリコン太陽電池の製造方法
は、はじめに基板上に形成するシリコン層中のシリコン
を結晶化させる際に該シリコン層を溶融させないので、
冷却速度を厳しく制御することがなく、形成された大結
晶粒の多結晶シリコン層をそのまま太陽電池の能動層と
して使用できる。また、n型結晶シリコン層の形成にイ
オン注入法を利用することにすれば半導体特殊材料ガス
を用いることがないという利点を有している。しかしな
がら、特開2000-232231号公報に記載の製造方法により
製造された薄膜多結晶シリコン太陽電池においては、能
動層となるべき多結晶シリコン層中に、5×1018cm
-3ものドーパント元素以外の触媒金属が含有されてお
り、これが光によって発生したキャリアのいわゆるキラ
ー(殺し手)となって該キャリアを消滅させてしまうた
め、光電変換効率が設計値どおりに向上しないという問
題点があった。
【0012】更に、Applied Physics Letters vol. 7
3、 No. 22 (1998) pp. 3214-3216に記載の方法により
形成されたp型多結晶シリコン薄膜は、シリコンと共晶
反応する金属としてp型ドーパントとなりうる金属を用
いているので、これを薄膜多結晶シリコン太陽電池に適
用すれば上記の特開2000-232231号公報における発電中
のキャリアの消滅の問題を回避できる可能性がある。ま
た、この方法は、上記の金属とシリコンとの共晶反応の
温度よりも低い温度で金属層とシリコン層とを熱処理す
るので、金属層とシリコン層とを溶融させることなく該
シリコン層中のシリコンを結晶化させることができる。
そのため、特開平9-181344号公報の方法のように冷却速
度を厳密に制御する必要がなくなるという利点を有して
いる。しかしながら、このp型多結晶シリコン薄膜はそ
のドーパント濃度が上記のように高すぎるため薄膜多結
晶シリコン太陽電池の能動層として用いることはできな
かった。
【0013】本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑
みてなされたものであり、優れた光電変換特性を有する
薄膜多結晶シリコン太陽電池を提供すること、及びその
薄膜多結晶シリコン太陽電池を効率よくかつ容易に得る
ことが可能な製造方法を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、p型多結
晶シリコン層上にn型多結晶シリコン層が形成されてお
り、光をn型多結晶シリコン層の側から受光する構成を
有する薄膜多結晶シリコン太陽電池について上記目的を
達成すべく鋭意研究を重ねた結果、p型多結晶シリコン
層をn型多結晶シリコン層に接しない第一の層と、n型
多結晶シリコン層に接する第二の層とからなる二層の構
造とし、第一の層にはシリコンと共晶反応することが可
能なp型ドーパントをほぼ固溶限界の濃度で含有させ、
第二の層には上記のp型ドーパントをその濃度が第一の
層に接する界面近傍からn型多結晶シリコン層に接する
界面近傍に向けて単調に減少するように含有させること
が、電池の光電変換効率の向上を図る上で極めて有効で
あることを見出した。
【0015】更に、本発明者らは、上記の構造を有する
p型多結晶シリコン層を形成する際に、先ず第一の層上
にアモルファスシリコン、微結晶シリコン、又は、アモ
ルファスシリコンと微結晶シリコンとの混合物から構成
されたシリコン層を形成し、これに熱処理又は光照射処
理を行なうことにより、上記のp型ドーパント原子の濃
度分布を有する第二の層を容易かつ効率よく形成できる
ことを見出し、本発明に到達した。
【0016】すなわち、本発明は、基板と、基板上に形
成される正極と、正極上に形成されるp型多結晶シリコ
ン層と、p型多結晶シリコン層上に形成されるn型多結
晶シリコン層と、n型多結晶シリコン層上に形成される
負極とを有する薄膜多結晶シリコン太陽電池であって、
p型多結晶シリコン層は、正極に隣接して配置される第
一の層と、当該第一の層とn型多結晶シリコン層との間
に配置される第二の層とから構成されており、第一の層
及び第二の層を構成するシリコン結晶粒の平均粒径が1
0μm以上であり、第一の層中のp型ドーパント原子の
濃度が1×1018個/cm3〜大気圧かつ第一の層を形
成するときの熱処理温度における固溶限界濃度であり、
第ニの層中のp型ドーパント原子の濃度が第一の層に接
する界面近傍からn型多結晶シリコン層に接するpn接
合面近傍にかけて単調に減少しており、かつ、当該濃度
が界面近傍においては大気圧かつ第一の層を形成すると
きの熱処理温度における固溶限界濃度であり、pn接合
面近傍においては1×1015〜5×10 17個/cm3
あること、を特徴とする薄膜多結晶シリコン太陽電池を
提供する。
【0017】このように、p型多結晶シリコン層を上記
の条件を満たす第一の層と第二の層とからなる二層構造
とし、第二の層中のp型ドーパント原子の濃度を上記の
条件を満たすように傾斜分布させることにより、第二の
層中に電位勾配を形成することができる。このため、p
n接合領域において発生した電子の正極への移動を十分
に抑制しつつ負極への移動を十分に促進させることが可
能となる。また、pn接合領域において発生した正孔
(ホール)の負極への移動を十分に抑制しつつ正極への
移動を十分に促進させることも可能となる。従って、本
発明の薄膜多結晶シリコン太陽電池は、高い光電変換効
率のもとでの発電を行うことが可能となる。
【0018】なお、本明細書においては、第二の層中に
含有されているp型ドーパントについて、p型ドーパン
ト原子の濃度が第一の層に接する界面近傍からn型多結
晶シリコン層に接する界面近傍にかけて「単調に減少し
ている」状態をp型ドーパント原子の濃度が第一の層に
接する界面近傍からn型多結晶シリコン層に接する界面
近傍にかけて「傾斜分布を有している」として説明す
る。
【0019】ここで、第一の層及び第二の層を構成する
多結晶シリコン結晶粒の粒径が10μm未満であると、
シリコン膜中に結晶粒界が過大に存在することになり、
キャリアの移動が阻害される。そして、上記の観点か
ら、第一の層及び第二の層を構成する多結晶シリコン結
晶粒の粒径は10μm以上であることが好ましい。
【0020】また、第一の層中のp型ドーパント原子の
濃度が1×1018個/cm3未満であると、第二の層の
キャリア濃度の傾斜がゆるやかすぎて、正負のキャリア
の分散効果が現象する。
【0021】なお、本明細書において、「第一の層を形
成するときの熱処理温度」とは、以下に示す熱処理温度
を示す。すなわち、基板等の所定の面上にシリコンと共
晶反応しかつシリコンに対してp型ドーパントとなるこ
とが可能な元素からなる金属層を形成し、更にこの金属
層上にアモルファスシリコン層を形成した場合に、アモ
ルファスシリコン層を構成するシリコン原子を金属層中
に拡散させるために、当該金属層とアモルファスシリコ
ン層とに施される熱処理の温度を示す。そしてこの熱処
理により、金属層とアモルファスシリコン層とから第一
の層が製造される。なお、第一の層を形成するときの熱
処理温度は、共晶温度よりも20〜100℃低い温度で
あることが好ましく、共晶温度よりも約50℃低い温度
であることがより好ましい。「共晶温度」とは、一定の
圧力条件のもとでシリコンとp型ドーパントとの共晶反
応を進行せせることが可能な温度の最小値を示す。
【0022】そして、上記の観点から、例えば、第一の
層のp型ドーパントがホウ素の場合には、その濃度は1
×1018個/cm3〜大気圧かつ第一の層を形成すると
きの熱処理温度における固溶限界濃度であり、好ましく
は1×1019個/cm3〜大気圧かつ第一の層を形成す
るときの熱処理温度における固溶限界濃度である。ま
た、第一の層のp型ドーパントがアルミニウムの場合に
は、その濃度は1×10 18個/cm3〜大気圧かつ第一
の層を形成するときの熱処理温度における固溶限界濃度
であり、好ましくは2×1018個/cm3〜大気圧かつ
第一の層を形成するときの熱処理温度における固溶限界
濃度であり、より好ましくは4×1018個/cm3〜大
気圧かつ第一の層を形成するときの熱処理温度における
固溶限界濃度である。
【0023】更に、第一の層のp型ドーパントがガリウ
ムの場合には、その濃度は1×10 18個/cm3〜大気
圧かつ共晶温度よりも50℃低い温度における固溶限界
濃度であり、好ましくは2×1018個/cm3〜大気圧
かつ第一の層を形成するときの熱処理温度における固溶
限界濃度であり、より好ましくは3×1018個/cm 3
〜大気圧かつ第一の層を形成するときの熱処理温度にお
ける固溶限界濃度である。また、第一の層のp型ドーパ
ントがインジウムの場合には、その濃度は1×1018
/cm3〜大気圧かつ第一の層を形成するときの熱処理
温度における固溶限界濃度であり、好ましくは2×10
18個/cm3〜大気圧かつ第一の層を形成するときの熱
処理温度における固溶限界濃度であり、より好ましくは
3×10 18個/cm3〜大気圧かつ第一の層を形成する
ときの熱処理温度における固溶限界濃度である。
【0024】また、第二の層中の第一の層に接する界面
近傍領域のp型ドーパント原子の濃度が1×1018個/
cm3未満であると、第二の層中のp型ドーパント原子
の濃度勾配が過小なり、電子の正極への移動の抑制、正
孔の負極への移動の抑制が不十分となり、高効率化の実
現可能性が低下する。そして、上記の観点から、第二の
層中の第一の層に接する界面近傍領域のp型ドーパント
原子の濃度は2×10 18〜5×1019個/cm3である
ことがより好ましい。
【0025】更に、第二の層中のpn接合面近傍領域の
p型ドーパント原子の濃度が1×1015個/cm3未満
であると、変換効率が低下することがシミュレーション
の結果から明らかになった。一方、この濃度が5×10
17個/cm3を超えても、変換効率が低下することがシ
ミュレーションの結果から明らかになった。そして、上
記の観点から、第二の層中のpn接合面近傍領域のp型
ドーパント原子の濃度は1×1015〜5×1017個/c
3であることが好ましく、5×1015〜5×1016
/cm3であることがより好ましい。
【0026】また、本発明は、基板と、基板上に形成さ
れるp型多結晶シリコン層と、p型多結晶シリコン層上
に形成されるn型多結晶シリコン層と、n型多結晶シリ
コン層に接触しないようにp型多結晶シリコン層上に形
成される正極と、n型多結晶シリコン層上に形成される
負極とを有する薄膜多結晶シリコン太陽電池であって、
p型多結晶シリコン層は、基板に隣接して配置される第
一の層と、当該第一の層とn型多結晶シリコン層との間
に配置される第二の層とから構成されており、第一の層
及び第二の層を構成するシリコン結晶粒の平均粒径が1
0μm以上であり、第一の層のp型ドーパント原子の濃
度が1×1018個/cm3〜大気圧かつ第一の層を形成
するときの熱処理温度における固溶限界濃度であり、第
ニの層中のp型ドーパント原子の濃度が第一の層に接す
る界面近傍からn型多結晶シリコン層に接するpn接合
面近傍にかけて単調に減少しており、かつ、当該濃度が
界面近傍においては大気圧かつ第一の層を形成するとき
の熱処理温度における固溶限界濃度であり、pn接合面
近傍においては1×1015〜5×10 17個/cm3であ
ること、を特徴とする薄膜多結晶シリコン太陽電池を提
供する。
【0027】上記の条件を満たす第一の層は、p型ドー
パント原子の濃度が高く電気電導性が高い。従って、こ
のような第一の層を備えることにより、p型多結晶シリ
コン層のn型多結晶シリコン層の形成されていない外部
に露出した部分に当該n型多結晶シリコン層に接触しな
いように正極を形成した構成の薄膜多結晶シリコン太陽
電池であっても、pn接合領域において発生したキャリ
ア(正孔)を第一の層を介して最小限のジュール損で負
極へ移動させることが可能となる。従って、先に述べた
ような基板とp型多結晶シリコン層との間に正極をいわ
ゆる下部電極として配置した構成の薄膜多結晶シリコン
太陽電池と同様に、高い光電変換効率のもとでの発電を
行うことが可能となる。
【0028】なお、この場合、正極は第二の層の形成さ
れていない第一の層の露出面上に形成されていることが
好ましい。電気電導性が高い第一の層上に正極を形成す
ることにより、第一の層の電気抵抗に基因するジュール
損を低減することができる。
【0029】また、本発明は、基板上に形成した正極上
に、シリコンと共晶反応しかつシリコンに対してp型ド
ーパントとなることが可能な元素からなる金属層を形成
し、次いで金属層上にアモルファスシリコン層を形成す
る工程と、金属層とアモルファスシリコン層に熱処理を
行うことにより、平均粒径が10μm以上のシリコン結
晶粒から構成されており、p型ドーパント原子の濃度が
1×1018個/cm3〜大気圧かつ熱処理の温度におけ
る固溶限界濃度である第一の層を形成する第一の層形成
工程と、第一の層上に、アモルファスシリコン、微結晶
シリコン、又は、アモルファスシリコンと微結晶シリコ
ンとの混合物から構成される第三の層を形成する第三の
層形成工程と、熱処理又は光照射処理を行い、第三の層
を構成するシリコンを結晶化させて平均粒径が10μm
以上のシリコン結晶粒とし、かつ同時に、第一の層中の
p型ドーパントの一部を第三の層中に拡散させることに
より、p型ドーパントを含有する第二の層を形成する第
二の層形成工程と、第二の層上にn型多結晶シリコン層
を形成するpn接合形成工程と、を含んでおり、かつ、
第二の層形成工程において、得られる第二の層中のp型
ドーパント原子の濃度を第一の層に接する界面近傍から
n型多結晶シリコン層に接するpn接合面近傍にかけて
単調に減少させるとともに、当該濃度を界面近傍におい
ては大気圧かつ第一の層を形成するときの熱処理温度に
おける固溶限界濃度とし、pn接合近傍においては1×
1015〜5×1017個/cm3とすること、を特徴とす
る薄膜多結晶シリコン太陽電池の製造方法を提供する。
【0030】この製造方法によれば、先に述べた2つの
異なる構成を有する本発明の薄膜多結晶シリコン太陽電
池のうち、基板とp型多結晶シリコン層との間に正極を
配置した構成を有する電池を製造することができる。こ
の製造方法は、従来の製造方法のように、基板上に形成
されるシリコン層及び該シリコン層の結晶化を促進する
ために形成する金属層を溶融させる必要がなく、シリコ
ン層及び金属層を溶融させた後の冷却工程における冷却
速度を厳密に制御する必要がなく、金属層の組成や厚さ
も厳密に制御する必要がない。すなわち、大きなシリコ
ン結晶粒を有する第一の層を種結晶層としてその上に積
層されたシリコン層を結晶化させ、かつ同時に、第一の
層中のp型ドーパントを該シリコン層中に拡散させるこ
とによってドーピングするため、シリコン層の厚さに応
じて拡散時間を制御し、該シリコン層表面のp型ドーパ
ント原子の濃度を任意に制御できる。然も、第二の層に
なる前のシリコン層の多結晶化を促進するために第一の
層から供給される元素はシリコンのp型ドーパントであ
るためキャリアのキラーとならず、発電中のキャリアの
消滅の問題を回避できる。従って、本発明の製造方法は
効率よくかつ容易にシリコン層を多結晶化でき、従来の
製造方法よりも生産性を向上させることができる。
【0031】また、本発明の製造方法は、太陽電池の能
動層となる多結晶シリコン層の形成をすべて半導体特殊
材料ガスを用いない物理蒸着法で行うことができるの
で、製造コストを抑制することもできる。更に、本発明
の製造方法により得られる薄膜多結晶シリコン太陽電池
は、上述のように2層構造を有するp型多結晶シリコン
層の第二の層中におけるp型ドーパント原子の濃度が傾
斜分布を有しており、高い光電変換効率の発電を行うこ
とが可能となる。
【0032】ここで、本発明において、熱処理及び光り
照射処理とは、シリコンを結晶化するとともに、得られ
るシリコン結晶粒の平均粒径を10μm以上に成長させ
ることが可能な熱処理、ランプアニール、レーザーアニ
ール等を示す。
【0033】また、本発明は、基板上に形成した正極上
に、シリコンと共晶反応しかつシリコンに対してp型ド
ーパントとなることが可能な元素からなる金属層を形成
し、次いで金属層上にアモルファスシリコン層を形成す
る工程と、金属層とアモルファスシリコン層に熱処理を
行うことにより、平均粒径が10μm以上のシリコン結
晶粒から構成されており、p型ドーパント原子の濃度が
1×1018個/cm3〜大気圧かつ熱処理の温度におけ
る固溶限界濃度である第一の層を形成する第一の層形成
工程と、第一の層上に、アモルファスシリコン、微結晶
シリコン、又は、アモルファスシリコンと微結晶シリコ
ンとの混合物から構成される第三の層を形成する第三の
層形成工程と、第三の層上に、アモルファスシリコン、
微結晶シリコン、又は、アモルファスシリコンと微結晶
シリコンとの混合物から構成されており、n型ドーパン
トを含有するn型シリコン層を形成するn型シリコン層
形成工程と、熱処理又は光照射処理を行い、第三の層及
びn型シリコン層を構成するシリコンを結晶化させて平
均粒径が10μm以上のシリコン結晶粒とし、かつ同時
に、第一の層中のp型ドーパントの一部を第三の層中に
拡散させることにより、p型ドーパントを含有する第二
の層を形成する第二の層形成工程と、を含んでおり、か
つ、第二の層形成工程において、得られる第二の層中の
p型ドーパント原子の濃度を第一の層に接する界面近傍
からn型多結晶シリコン層に接するpn接合面近傍にか
けて単調に減少させるとともに、当該濃度を界面近傍に
おいては大気圧かつ第一の層を形成するときの熱処理温
度における固溶限界濃度とし、pn接合近傍においては
1×1015〜5×1017個/cm3とすること、を特徴
とする薄膜多結晶シリコン太陽電池の製造方法を提供す
る。
【0034】この製造方法によっても、先に述べた2つ
の異なる構成を有する本発明の薄膜多結晶シリコン太陽
電池のうち、基板とp型多結晶シリコン層との間に正極
を配置した構成を有する電池を製造することができる。
すなわち、熱処理又は光照射処理を行って第一の層上に
第二の層を形成する際に、n型多結晶シリコン層も同時
に第二の層上に形成することができる。この場合にも、
先に述べた製造方法と同様に、高い光電変換効率の発電
を行うことが可能な薄膜多結晶シリコン太陽電池を効率
よくかつ容易に得ることができる。
【0035】更に、本発明は、基板上に、シリコンと共
晶反応しかつシリコンに対してp型ドーパントとなるこ
とが可能な元素からなる金属層を形成し、次いで金属層
上にアモルファスシリコン層を形成する工程と、金属層
とアモルファスシリコン層に熱処理を行うことにより、
平均粒径が10μm以上のシリコン結晶粒から構成され
ており、p型ドーパント原子の濃度が1×1018個/c
3〜大気圧かつ熱処理の温度における固溶限界濃度で
ある第一の層を形成する第一の層形成工程と、第一の層
上に、アモルファスシリコン、微結晶シリコン、又は、
アモルファスシリコンと微結晶シリコンとの混合物から
構成される第三の層を形成する第三の層形成工程と、熱
処理又は光照射処理を行い、第三の層を構成するシリコ
ンを結晶化させて平均粒径が10μm以上のシリコン結
晶粒とし、かつ同時に、第一の層中のp型ドーパントの
一部を第三の層中に拡散させることにより、p型ドーパ
ントを含有する第二の層を形成する第二の層形成工程
と、第二の層上にn型多結晶シリコン層を形成するpn
接合形成工程と、第一の層の一部に外部に露出した露出
面を形成する露出面形成工程と、露出面上に正極を形成
するとともにn型多結晶シリコン層上に負極を形成する
電極形成工程と、を含んでおり、かつ、第二の層形成工
程において、得られる第二の層中のp型ドーパント原子
の濃度を第一の層に接する界面近傍からn型多結晶シリ
コン層に接するpn接合面近傍にかけて単調に減少させ
るとともに、当該濃度を界面近傍においては大気圧かつ
第一の層を形成するときの熱処理温度における固溶限界
濃度とし、pn接合近傍においては1×1015〜5×1
17個/cm3とすること、を特徴とする薄膜多結晶シ
リコン太陽電池の製造方法を提供する。
【0036】この製造方法によれば、先に述べた2つの
異なる構成を有する本発明の薄膜多結晶シリコン太陽電
池のうち、p型多結晶シリコン層のn型多結晶シリコン
層の形成されていない外部に露出した露出面上に当該n
型多結晶シリコン層に接触しないように正極を形成した
構成の薄膜多結晶シリコン太陽電池を製造することがで
きる。この場合にも、先に述べた2つの製造方法と同様
に、高い光電変換効率の発電を行うことが可能な薄膜多
結晶シリコン太陽電池を効率よくかつ容易に得ることが
できる。
【0037】なお、本発明において、「第一の層の一部
に外部に露出した露出面」とは、「第一の層上に形成さ
れる第二の層、n型多結晶シリコン層等が除去されてお
り、負極とは電気的に独立した正極を形成することの可
能な面」を示す。この場合、先に述べたように、第二の
層の電気抵抗に基因するジュール損によって効率が低下
するのを防止する観点から、正極は第二の層の形成され
ていない第一の層の露出面上に形成する。
【0038】また、本発明は、基板上に、シリコンと共
晶反応しかつシリコンに対してp型ドーパントとなるこ
とが可能な元素からなる金属層を形成し、次いで金属層
上にアモルファスシリコン層を形成する工程と、金属層
とアモルファスシリコン層に熱処理を行うことにより、
平均粒径が10μm以上のシリコン結晶粒から構成され
ており、p型ドーパント原子の濃度が1×1018個/c
3〜大気圧かつ熱処理の温度における固溶限界濃度で
ある第一の層を形成する第一の層形成工程と、第一の層
上に、アモルファスシリコン、微結晶シリコン、又は、
アモルファスシリコンと微結晶シリコンとの混合物から
構成される第三の層を形成する第三の層形成工程と、第
三の層上に、アモルファスシリコン、微結晶シリコン、
又は、アモルファスシリコンと微結晶シリコンとの混合
物から構成されており、n型ドーパントを含有するn型
シリコン層を形成するn型シリコン層形成工程と、熱処
理又は光照射処理を行い、第三の層及びn型シリコン層
を構成するシリコンを結晶化させて平均粒径が10μm
以上のシリコン結晶粒とし、かつ同時に、第一の層中の
p型ドーパントの一部を第三の層中に拡散させることに
より、p型ドーパントを含有する第二の層を形成する第
二の層形成工程と、第一の層の一部に外部に露出した露
出面を形成する露出面形成工程と、露出面上に正極を形
成するとともにn型多結晶シリコン層上に負極を形成す
る電極形成工程と、を含んでおり、かつ、第二の層形成
工程において、得られる第二の層中のp型ドーパント原
子の濃度を第一の層に接する界面近傍からn型多結晶シ
リコン層に接するpn接合面近傍にかけて単調に減少さ
せるとともに、当該濃度を界面近傍においては大気圧か
つ第一の層を形成するときの熱処理温度における固溶限
界濃度とし、pn接合近傍においては1×1015〜5×
1017個/cm3とすること、を特徴とする薄膜多結晶
シリコン太陽電池の製造方法を提供する。
【0039】この製造方法によっても、先に述べた2つ
の異なる構成を有する本発明の薄膜多結晶シリコン太陽
電池のうち、p型多結晶シリコン層上にn型多結晶シリ
コン層に対して電気的独立に正極を形成した構成の薄膜
多結晶シリコン太陽電池を製造することができる。この
場合にも、先に述べた3つの製造方法と同様に、高い光
電変換効率の発電を行うことが可能な薄膜多結晶シリコ
ン太陽電池を効率よくかつ容易に得ることができる。更
に、この場合にも、先に述べたように、第二の層の電気
抵抗に基因するジュール損を低減する観点から、正極は
第二の層の形成されていない第一の層の露出面上に形成
する。
【0040】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながら本発明
の薄膜多結晶シリコン太陽電池及び薄膜多結晶シリコン
太陽電池の製造方法の好適な実施形態について詳細に説
明する。なお、以下の説明では、同一または相当部分に
は同一符号を付し、重複する説明は省略する。 [第一実施形態]図1は、本発明の薄膜多結晶シリコン
太陽電池の第一実施形態を示す模式断面図である。ま
た、図2(a)〜(c)、図3(a)〜(d)及び図4
(a)〜(d)は、それぞれ図1の薄膜多結晶シリコン
太陽電池の製造方法の一連の工程を示す工程図である。
【0041】図1に示すように、本実施形態の薄膜多結
晶シリコン太陽電池10は、主として基板1と、正極
(下部電極)2と、p型多結晶シリコン層3と、n型多
結晶シリコン層4と、負極(上部電極)5とから構成さ
れている。
【0042】基板1は当該基板1上に積層される正極
2、p型多結晶シリコン層3、n型多結晶シリコン層
4、負極5等を支え、かつ薄膜多結晶シリコン太陽電池
10の全製造工程中に加わる熱に耐え得る構成材料から
形成されていればよく、特に限定されるものではない。
例えば、単結晶シリコン基板、多結晶シリコン基板等の
シリコン基板;ステンレス鋼基板等の金属基板;アルミ
ナ、タイル等の耐熱性セラミックス基板;耐熱性ガラス
基板等の既知の基板を使用することができる。
【0043】また、基板1上に形成される正極2の剥離
を防止するための酸化亜鉛膜等の応力緩和膜(図示せ
ず)の被覆処理が予め施してある基板を使用してもよ
く、基板1から当該基板1上に形成される正極2への不
純物の拡散又は正極2上に形成されるp型多結晶シリコ
ン層3中への不純物の拡散を防止するための不純物拡散
防止膜(バリア膜,図示せず)等の被覆処理が予め施し
てある基板を使用してもよく、上記の応力緩和膜とバリ
ア膜の両方が被覆されている基板を使用してもよい。更
に、シリコン単結晶基板、シリコン単結晶基板上に熱酸
化二酸化ケイ素膜を形成した基板等、半導体基板あるい
は該半導体基板に適切な被覆処理がなされた基板を使用
してもよい。
【0044】上記の基板1上に形成する正極2として
は、銀電極、アルミニウム電極、チタン電極等の公知の
金属電極;アルミニウム、チタン、銀等の金属薄膜の中
から選ばれる同種又は異種の金属薄膜を積層した多層構
造の金属電極、透明ガラス電極等の公知の電極を使用す
ることができる。ここで、正極2には、前述した基板1
と同様に当該正極2上に形成されるp型多結晶シリコン
層3との界面における応力を緩和して正極2からのp型
多結晶シリコン層3の剥離を防止するための酸化亜鉛被
膜等の応力緩和膜(図示せず)の被覆処理が予め施して
あってもよい。また、正極2上に形成されるp型多結晶
シリコン層3中への不純物の拡散を防止するための不純
物拡散防止膜(バリア膜)等の被覆処理が予め施してあ
ってもよい。更に、酸化スズ又はインジウム添加酸化ス
ズ等の公知の透明電極を正極2として用いてもよい。
【0045】また、正極2上に形成するp型多結晶シリ
コン層3は、正極2側に配置された第一の層32と、n
型多結晶シリコン層4側に配置された第二の層34とか
ら構成されている。先にも述べたように、これらの第一
の層32及び第二の層34を構成するシリコン結晶粒の
平均粒径は10μm以上である。
【0046】第一の層32には、p型ドーパント原子が
1×1018個/cm3〜大気圧かつ第一の層を形成する
ときの熱処理温度における固溶限界濃度の範囲の濃度で
含有されている。そしてこのp型ドーパントはシリコン
と共晶反応することが可能な元素である。例えば、p型
ドーパントがアルミニウムの場合、アルミニウムの濃度
は1×1018個/cm3以上である。
【0047】一方、第二の層34は、先に述べたように
p型ドーパント原子の濃度が第一の層に接する界面近傍
からn型多結晶シリコン層に接する界面近傍にかけて傾
斜分布を有している。すなわち、当該濃度が界面近傍に
おいては上記の大気圧かつ第一の層を形成するときの熱
処理温度における固溶限界濃度であり、pn接合面近傍
においては1×1015〜5×1017個/cm3となって
いる。なお、第二の層34のp型ドーパントは、第一の
層32に含有されているp型ドーパントと同一である。
【0048】n型多結晶シリコン層4には、n型ドーパ
ントが含有されている。n型多結晶シリコン層4のn型
ドーパント原子の濃度は、5×1018〜1×1020個/
cm 3であることが好ましく、1×1019〜5×1019
個/cm3であることがより好ましい。n型多結晶シリ
コン層4のn型ドーパント原子の濃度をこのようにすれ
ば、変換効率を最大にすることができることがシミュレ
ーションの結果により確かめられている。n型ドーパン
トとしては、例えば、リン、ヒ素、アンチモン等のV族
元素が使用される。
【0049】また、電気伝導性の確保、キャリアの長寿
命化の観点から、n型多結晶シリコン層4を構成するシ
リコン結晶粒の平均粒径は10μm以上であることが好
ましい。そして、第二の層34とn型多結晶シリコン層
4との界面にはpn接合面F10が形成されている。
【0050】n型多結晶シリコン層4上に形成される負
極5としては、例えば、アルミニウム、銀、チタン等の
金属電極が用いられ、負極5の形態としては櫛形とする
のが光電変換効率を高める観点から望ましい。また、負
極5としては、透明ガラス電極等の電極を用いてもよ
い。更に、負極5には、光電変換効率を向上させる観点
から、反射防止膜等(図示せず)を被覆させてもよい。
【0051】以下、図2(a)〜(c)、図3(a)〜
(d)及び図4(a)〜(d)を参照しながら、図1に
示した薄膜多結晶シリコン太陽電池10の製造方法の好
適な2つの例について説明する。
【0052】図1に示した薄膜多結晶シリコン太陽電池
10の第一の製造方法は、先に述べたように、主とし
て、基板上1に形成した正極2上に、シリコンと共晶反
応しかつシリコンに対してp型ドーパントとなることが
可能な元素からなる金属層60を形成し、次いで金属層
60上にアモルファスシリコン層70を形成する工程
と、金属層60とアモルファスシリコン層70に熱処理
を行うことにより、基板1上に形成した正極2上に第一
の層32を形成する第一の層形成工程と、第一の層32
上に第三の層80を形成する第三の層形成工程と、熱処
理又は光照射処理を行い第二の層34を形成する第二の
層形成工程と、第二の層34上にn型多結晶シリコン層
4を形成するpn接合形成工程とから構成されている。
【0053】先ず、基板1上に形成した正極2上に第一
の層32を形成する方法は特に限定されないが、例え
ば、図2(a)〜(c)に示す手順により第一の層32
を形成することができる。図2(a)に示すように、第
一の層形成工程においては、先ず、基板1上に既知の方
法により正極(下部電極)2を形成する。次に、正極2
上に金属層60を形成する。次に、アモルファスシリコ
ン層70を形成する。
【0054】ここで、金属層60は、シリコンと共晶反
応し、かつ、シリコン中ではp型ドーパントとなること
が可能な元素により構成されている。このような元素と
してはホウ素、アルミニウム、ガリウム、インジウム等
が挙げられるが、アルミニウムが最も好適である。な
お、本明細書においては、金属層60を構成する元素が
非金属元素であるホウ素の場合も「金属層60」として
説明する。正極2上に金属層60を形成す方法として
は、真空蒸着法、スパッタ法等の物理蒸着法、気相成長
法等公知の方法が挙げられが、製造コストを抑制する観
点から物理蒸着法が好適である。また、金属層60の厚
みは500nm〜1μmであることが好ましく、300
〜500nmであることがより好ましい。
【0055】また、金属層60上にアモルファスシリコ
ン層70を形成する方法としては、真空蒸着法、スパッ
タ法等の物理蒸着法、気相成長法等公知の方法が挙げら
れが、製造コストを抑制する観点から物理蒸着法が好適
である。また、アモルファスシリコン層70を形成する
前に金属層60を酸素を含む雰囲気にさらし、アセト
ン、アルコール等を用いた有機洗浄、純水洗浄等の洗浄
工程を経た後、アモルファスシリコン層70を形成する
ことが好ましい。このようにすれば、後述する熱処理に
より第一の層32を形成する際に、当該第一の層32を
構成するシリコン結晶粒の平均粒径をより確実に10μ
m以上にすることができる。更に、アモルファスシリコ
ン層70の厚みは500nm〜1μmであることが好ま
しく、300〜500nmであることがより好ましい。
なお、アモルファスシリコン層70の厚みは金属層60
の厚みとほぼ同程度にすることが好ましい。
【0056】次に、第一の層形成工程において、先に述
べたように、金属層60とアモルファスシリコン層70
とをシリコンの共晶温度以下の温度、好ましくはシリコ
ンの共晶温度よりも20〜100℃低い温度、より好ま
しくは共晶温度よりも約50℃低い温度で熱処理する。
この熱処理により、図2(b)に示すように、アモルフ
ァスシリコン層70を構成するシリコン原子を金属層6
0中に拡散させることにより、p型ドーパント原子の濃
度が1×1018個/cm3〜大気圧かつ第一の層を形成
するときの熱処理温度における固溶限界濃度の範囲の濃
度であり、平均粒径が10μm以上のシリコン結晶粒か
らなる第一の層32を正極2上と金属層60との界面上
に形成する。このとき、第一の層32の上面には金属層
60に由来する残余金属層62が残る。
【0057】この熱処理は、上記の温度条件のもと、窒
素、アルゴン等の不活性気体中、又は、不活性気体と水
素との混合ガス中で30分〜24時間行われる。例えば、金
属層60がアルミニウムの場合には、熱処理の温度は4
00〜570℃であることが好ましく、500〜550
℃であることがより好ましい。またこの場合、熱処理時
間は30分〜5時間が好ましい。特にこの場合、熱処理の
温度が500〜550℃のときの熱処理時間は1〜2時
間が好ましい。或いは、共晶温度より約50低い温度で
30分〜5時間熱処理してもよい。
【0058】次に、図2(c)に示すように、第一の層
32上に残留した残余金属層62を除去し、第一の層3
2の表面を露出させる。残余金属層62の除去は公知の
エッチング法により行うことができる。例えば、残余金
属層62がアルミニウムから構成されている場合、リン
酸系エッチング液を用いた化学エッチング、塩素系ガス
を用いた反応性イオンエッチング等の公知のエッチング
方法を用いることができる。
【0059】次に、第三の層形成工程は、図3(a)に
示すように、アモルファスシリコン層、微結晶シリコン
層、又はこれらの混合物から構成されるシリコン層のい
ずれかを第三の層80として第一の層32上に形成する
工程である。なお、第三の層80が微結晶シリコン層の
場合、当該微結晶シリコン層を構成するシリコン結晶粒
の平均粒径は10nm以下であることが好ましい。第三
の層80の形成方法としては、真空蒸着法、スパッタ
法、イオンプレーティング法等の公知の物理蒸着法を用
いることができる。プラズマ気相成長法等の気相成長法
を用いることもできるが、製造コストを低減する観点か
ら物理蒸着法を用いることが好ましい。第三の層80の
厚さは、第三の層80をもとにして形成される第二の層
34及びn型多結晶シリコン層4を考慮し最終的に得ら
れる太陽電池のが十分に太陽光を吸収できるようにする
観点から、1〜50μmであることが好ましく、1.5
〜10μmであることがより好ましい。
【0060】次に、第二の層形成工程は図3(b)に示
すように、熱処理又は光照射処理を行いp型ドーパント
を含有する第二の層34を形成する工程である。具体的
には、熱処理又はレーザ等の光照射処理により、第一の
層32を種結晶層として第三の層80を構成するシリコ
ンを結晶化させて平均粒径が10μm以上のシリコン結
晶粒とする。そして、この結晶化と同時に、第一の層3
2中のp型ドーパントの一部を第三の層80中に拡散さ
せることにより、p型ドーパント原子の濃度が先に述べ
た条件を満たす傾斜分布を有する第二の層34を形成す
る。
【0061】一般に、ドーパントの拡散源となる層(こ
こでは第一の層32)からある層(ここでは第三の層8
0)にドーパントが拡散するとき、拡散距離が長くなる
ほどドーパントの濃度は小さくなるので、得られる第二
の層34中のp型ドーパント原子の濃度を先に述べた条
件を満たす傾斜分布とすることができる。更に、ドーパ
ントの拡散時間が短いほどドーパントの濃度の傾斜分布
の勾配は急峻となる。そのため、第三の層80の厚さに
応じて拡散温度及び/又は拡散時間を調節すれば、後述
するn型多結晶シリコン層4が形成される第二の層34
の表面でのp型ドーパント濃度を1×1015〜5×10
17個/cm3とすることができる。なお、第二の層34
を形成する際にp型ドーパントが第一の層32から第三
の層80へ拡散するため、第二の層34が形成された後
の第一の層32の厚みは第二の層34が形成される前に
比較して減少する。従って、図3(a)に示す第一の層
32と第三の層80との界面F38は、p型ドーパント
が第一の層32から第三の層80へ拡散するとともに徐
々に基板1の側にずれ、第二の層34が形成された後に
は図3(b)に示す第一の層32と第二の層34との界
面F3となる。
【0062】第三の層80を結晶化させるための熱処理
又は光照射処理としては、熱アニール法の他、ランプア
ニール法、レーザーアニール法等の急速アニール法を用
いることができる。
【0063】pn接合形成工程は、第二の層上にn型多
結晶シリコン層を形成する工程である。具体的には、図
3(c)に示すように、第二の層34の界面F3に対し
て反対側の上部領域にn型ドーパントをドープすること
によって該上部領域をn型多結晶シリコン層4とする。
これにより、図3(c)に示すように、pn接合面F1
0が形成される。第二の層34の上面層にn型ドーパン
トをドープする方法としては、拡散法、イオン注入法等
公知のドーピング方法を用いることができる。また、n
型多結晶シリコン層4の厚さは特に限定されず、公知の
薄膜多結晶シリコン太陽電池で用いられるn型多結晶シ
リコン層の厚さでよい。
【0064】n型多結晶シリコン層4を形成した後に
は、図3(d)に示すように、n型多結晶シリコン層4
上に負極(上部電極)5を形成し、薄膜多結晶シリコン
太陽電池10の基本構成を完成させる。具体的には、負
極5は、例えば、n型多結晶シリコン層4上にアルミニ
ウム等の金属材料を真空蒸着して櫛状にパターニングす
ることにより形成される。
【0065】次に、図4(a)〜(d)を参照しなが
ら、図1に示した薄膜多結晶シリコン太陽電池10の第
二の製造方法について説明する。この第二の製造方法
は、先に述べたように、主として、基板1上に形成した
正極2上に、シリコンと共晶反応しかつシリコンに対し
てp型ドーパントとなることが可能な元素からなる金属
層60を形成し、次いで金属層60上にアモルファスシ
リコン層70を形成する工程と、金属層60とアモルフ
ァスシリコン層70に熱処理を行うことにより、基板1
上に形成した正極2上に第一の層32を形成する第一の
層形成工程と、第一の層32上に第三の層80を形成す
る第三の層形成工程と、第三の層80上にn型シリコン
層90を形成するn型シリコン層形成工程と、熱処理又
は光照射処理を行い第二の層34を形成する第二の層形
成工程とから構成されている。
【0066】第二の製造方法における第一の層形成工程
においても、基板1上に形成した正極2上に第一の層3
2を形成する方法は特に限定されない。この場合も、例
えば、図2(a)〜(c)示す手順により第一の層32
を形成することができる。
【0067】次に、図4(a)に示すように、第三の層
形成工程は先に述べた第一の製造方法における第三の層
形成工程と同様にして第一の層32上に第三の層80を
形成する。
【0068】n型シリコン層形成工程は、図4(b)に
示すように、アモルファスシリコン層、微結晶シリコン
層、又はこれらの混合物から構成されており、かつ、n
型ドーパントを含むシリコン層のいずれかをn型シリコ
ン層90として第三の層80上に形成する工程である。
なお、n型シリコン層90が微結晶シリコン層の場合、
当該微結晶シリコン層を構成するシリコン結晶粒の平均
粒径は10nm以下であることが好ましい。n型シリコ
ン層90の形成方法としては、リン、砒素、アンチモン
等のn型ドーパントを含むシリコンを蒸発源に用いた真
空蒸着法、イオンプレーティング、n型ドーパントを含
むシリコンターゲットを用いたスパッタ法等の物理蒸着
法を用いることができる。ホスフィン等のn型ドーパン
ト原子を含むドーピングガスとモノシランガス等シリコ
ンの原料ガスを用いた気相成長法を用いることもできる
が、製造コストを低減する観点から物理蒸着法を用いる
ことが好ましい。
【0069】また、n型シリコン層90中のn型ドーパ
ント原子の濃度は、後述する第二の層形成工程において
形成される第二の層34のpn接面近傍のp型ドーパン
ト原子の濃度より10倍以上大きいことが好ましい。こ
れにより、厚さの薄いn型シリコン層90へ空乏層が広
がることが防止され変換効率が向上する。
【0070】第二の層形成工程は、図4(c)に示すよ
うに、熱処理又は光照射処理を行ことにより、第二の層
34及びn型多結晶シリコン層4を形成する工程であ
る。具体的には、熱処理又は光照射処理により、第一の
層32を種結晶層として第三の層80及びn型シリコン
層90を構成するシリコンの結晶化を進行させて平均粒
径が10μm以上のシリコン結晶粒とする。そして、こ
の結晶化と同時に、第一の層32からp型ドーパントを
拡散させることにより、p型ドーパント原子の濃度が先
に述べた条件を満たす傾斜分布を有する第二の層34を
形成するとともにn型多結晶シリコン層4を形成する。
このとき、第一の層32から第三の層80の内部に向け
て拡散するp型ドーパントは、その拡散距離を熱処理又
は光照射処理後に得られるn型多結晶シリコン層4の厚
さが表面側から測って0.2〜0.5μmになるように
調節される。このようなp型ドーパントの拡散距離を調
節する方法としては、例えば、拡散温度及び/又は拡散
時間を調節する方法が挙げられる。
【0071】なお、第二の層34及びn型多結晶シリコ
ン層4を形成する際にp型ドーパントが第一の層32か
ら第三の層80へ拡散するため、第二の層34が形成さ
れた後の第一の層32の厚みは第二の層34が形成され
る前に比較して減少する。従って、図4(b)に示す第
一の層32と第三の層80との界面F38は、p型ドー
パントが第一の層32から第三の層80へ拡散するとと
もに徐々に基板1の側にずれ、第二の層34が形成され
た後には図4(c)に示す第一の層32と第二の層34
との界面F3となる。同様に、図4(b)に示す第三の
層80とn型シリコン層90との界面であるpn接合面
F89は、p型ドーパント原子が第一の層32及びn型
シリコン層90に侵入する形で拡散するため、はじめ形
成したpn接合面F89が、徐々に基板1に対して反対
側(上方)にずれ、第二の層34及びn型多結晶シリコ
ン層4が形成された後には図4(c)に示す第二の層3
4とn型多結晶シリコン層4との界面であるpn接合面
F10となる。また、熱処理又は光照射処理としては、
先に述べた第一の製造方法と同様の方法を用いることが
できる。
【0072】n型多結晶シリコン層4を形成した後に
は、図4(d)に示すように、先に述べた第一の製造方
法と同様の方法を用いてn型多結晶シリコン層4上に負
極(上部電極)5を形成し、薄膜多結晶シリコン太陽電
池10の基本構成を完成させる。 [第二実施形態]図5は、本発明の薄膜多結晶シリコン
太陽電池の第二実施形態を示す模式断面図である。ま
た、図6(a)〜(c)、図7(a)〜(e)及び図8
(a)〜(e)は、それぞれ図5の薄膜多結晶シリコン
太陽電池の製造方法の一連の工程を示す工程図である。
なお、上述した第一実施形態に関して説明した要素と同
一の要素については同一の符号を付し、重複する説明は
省略する。
【0073】図5に示すように、本実施形態の薄膜多結
晶シリコン太陽電池11は、主として基板1と、正極2
と、p型多結晶シリコン層3と、n型多結晶シリコン層
4と、負極5とから構成されている。この薄膜多結晶シ
リコン太陽電池11は、n型多結晶シリコン層4上に接
触しないようにp型多結晶シリコン層3上に正極2を形
成した以外は図1に示した薄膜多結晶シリコン太陽電池
10と同様の構成を有している。また、この薄膜多結晶
シリコン太陽電池11の各構成要素もこれらに対応する
薄膜多結晶シリコン太陽電池10の各構成要素と同様の
ものが同様の条件で使用できる。
【0074】以下、図6(a)〜(c)、図7(a)〜
(d)及び図8(a)〜(d)を参照しながら、薄膜多
結晶シリコン太陽電池11の製造方法の好適な2つの例
について説明する。
【0075】薄膜多結晶シリコン太陽電池11の第一の
製造方法は、先に述べたように、主として、基板1上に
金属層60とアモルファスシリコン層70とを形成する
工程と、金属層60とアモルファスシリコン層70に熱
処理を行うことにより、基板1上に第一の層32を形成
する第一の層形成工程と、第一の層32上に第三の層8
0を形成する第三の層形成工程と、熱処理又は光照射処
理を行い第二の層34を形成する第二の層形成工程と、
第二の層34上にn型多結晶シリコン層4を形成するp
n接合形成工程と、第一の層32の一部に外部に露出し
た露出面F33を形成する露出面形成工程と、露出面F
33上に正極2を形成するとともにn型多結晶シリコン
層4上に負極5を形成する電極形成工程とから構成され
ている。
【0076】先ず、基板1上に第一の層32を形成する
方法は特に限定されないが、例えば、図6(a)〜
(c)示す手順により第一の層32を形成することがで
きる。ここで、図6(a)〜(c)示す第一の層形成工
程を含む手順は、基板1上に既知の方法により正極2を
形成する工程がなく、基板1上に金属層60を直接形成
する以外は図2(a)〜(c)に示した手順と同様であ
る。すなわち、先ず、基板1上に既知の方法によりを形
成する。次に、前述の図2(a)を用いて説明した方法
と同様の方法により、基板1上に金属層60及びアモル
ファスシリコン層70を順次形成する。次に、第一の層
形成工程において、前述の図2(b)を用いて説明した
方法と同様の熱処理を行って第一の層32を形成する。
次に、前述の図2(c)を用いて説明した方法と同様の
方法により、第一の層32上に残存する残余金属層62
を除去する。
【0077】次に、第三の層形成工程は、図7(a)に
示すように、アモルファスシリコン層、微結晶シリコン
層、又はこれらの混合物から構成されるシリコン層のい
ずれかを第三の層80として第一の層32上に形成する
工程である。なお、第三の層80が微結晶シリコン層の
場合、当該微結晶シリコン層を構成するシリコン結晶粒
の平均粒径は10nm以下であることが好ましい。ま
た、第三の層80の形成方法は前述の図3(a)を用い
て説明した方法と同様である。
【0078】次に、第二の層形成工程は、図7(b)に
示すように、前述の図3(b)を用いて説明した熱処理
又は光照射処理と同様の熱処理又は光照射処理を行い第
二の層34を形成する工程である。これによりp型ドー
パント原子の濃度が先に述べた条件を満たす傾斜分布を
有する第二の層34が形成される。なお、このとき、図
7(a)に示す第一の層32と第三の層80との界面F
38は、p型ドーパントが第一の層32から第三の層8
0へ拡散するとともに徐々に基板1の側にずれ、第二の
層34が形成された後には図7(b)に示す第一の層3
2と第二の層34との界面F3となる。
【0079】pn接合形成工程は、図7(c)に示すよ
うに、前述の図3(c)を用いて説明した方法と同様の
方法により、第二の層34の界面F3に対して反対側の
上部領域にn型ドーパントをドープすることによって該
上部領域をn型多結晶シリコン層4とする。これによ
り、図7(c)に示すように、pn接合面F11が形成
される。
【0080】露出面形成工程は、図7(d)に示すよう
に、第一の層32の一部に外部に露出した露出面F33
を形成する工程である。なお、図7(d)は、n型多結
晶シリコン層4と第二の層34とを除去し、第一の層3
2の表面を外部に露出した場合を示している。このよう
に、露出面F33を形成する方法としては、例えば、n
型多結晶シリコン層4の表面の一部をフォトレジスト等
でマスキングし、n型多結晶シリコン層4の表面のマス
キングしなかった部分を化学エッチング、反応性イオン
エッチング等の公知のエッチング方法により所望の層の
表面を露出させる方法が挙げられる。
【0081】電極形成工程は、図7(e)に示すよう
に、先に述べた薄膜多結晶シリコン太陽電池10の第一
の製造方法において説明した方法と同様の方法を用いて
正極2をn型多結晶シリコン層4上に形成し、負極5を
露出面F33上に形成する。これにより、薄膜多結晶シ
リコン太陽電池11の基本構成が完成する。ここで正極
2と負極5とは発電中に互いに電気的に絶縁した状態と
なるように形成されている。正極2及び負極5として
は、アルミニウム、銀等通常の金属櫛形電極、透明ガラ
ス電極等の電極を用いることができる。
【0082】次に、図8(a)〜(e)を参照しなが
ら、図5に示した薄膜多結晶シリコン太陽電池11の第
二の製造方法について説明する。この第二の製造方法
は、先に述べたように、主として、基板1上に金属層6
0とアモルファスシリコン層70とを形成する工程と、
金属層60とアモルファスシリコン層70に熱処理を行
うことにより、基板1上に第一の層32を形成する第一
の層形成工程と、第一の層32上に第三の層80を形成
する第三の層形成工程と、第三の層80上にn型シリコ
ン層90を形成するn型シリコン層形成工程と、熱処理
又は光照射処理を行い第二の層34を形成する第二の層
形成工程と、第一の層32の一部に外部に露出した露出
面F33を形成する露出面形成工程と、露出面F33上
に正極2を形成するとともにn型多結晶シリコン層4上
に負極5を形成する電極形成工程とから構成されてい
る。
【0083】薄膜多結晶シリコン太陽電池11の第二の
製造方法においても、基板1上に形成した正極2上に第
一の層32を形成する方法は特に限定されない。この場
合も、例えば、図6(a)〜(c)示す第一の層形成工
程を含む手順により第一の層32を形成することができ
る。
【0084】次に、図8(a)に示すように、第三の層
形成工程は先に述べた薄膜多結晶シリコン太陽電池11
の第一の製造方法における第三の層形成工程と同様にし
て第一の層32上に第三の層80を形成する。
【0085】n型シリコン層形成工程は、図8(b)に
示すように、アモルファスシリコン層、微結晶シリコン
層、又はこれらの混合物から構成されており、かつ、n
型ドーパントを含むシリコン層のいずれかをn型シリコ
ン層90として第三の層80上に形成する工程である。
なお、n型シリコン層90が微結晶シリコン層の場合、
当該微結晶シリコン層を構成するシリコン結晶粒の平均
粒径は10nm以下であることが好ましい。n型シリコ
ン層90の形成方法は、薄膜多結晶シリコン太陽電池1
0の第二の製造方法のn型シリコン層形成工程において
説明した同様の方法を用いることができる。
【0086】また、先に薄膜多結晶シリコン太陽電池1
0の第二の製造方法のn型シリコン層形成工程において
述べた同様の観点からn型シリコン層90中のn型ドー
パント原子の濃度は後述する第二の層形成工程において
形成される第二の層34のpn接面近傍のp型ドーパン
ト原子の濃度より10倍以上大きいことが好ましい。
【0087】第二の層形成工程は、図8(c)に示すよ
うに、図4(c)を用いて説明した同様の熱処理又は光
照射処理を行ことにより、第二の層34及びn型多結晶
シリコン層4を形成する工程である。これにより、p型
ドーパント原子の濃度が先に述べた条件を満たす傾斜分
布を有する第二の層34を形成するとともにn型多結晶
シリコン層4を形成する。
【0088】なお、この場合にも、第二の層34及びn
型多結晶シリコン層4を形成する際にp型ドーパントが
第一の層32から第三の層80へ拡散するため、図8
(b)に示す第一の層32と第三の層80との界面F3
8は、p型ドーパントが第一の層32から第三の層80
へ拡散するとともに徐々に基板1の側にずれ、第二の層
34が形成された後には図8(c)に示す第一の層32
と第二の層34との界面F3となる。同様に、図4
(b)に示す第三の層80とn型シリコン層90との界
面であるpn接合面F89は、徐々に基板1に対して反
対側にずれ、第二の層34及びn型多結晶シリコン層4
が形成された後には図4(c)に示す第二の層34とn
型多結晶シリコン層4との界面であるpn接合面F10
となる。
【0089】露出面形成工程は、図8(d)に示すよう
に、第一の層32の一部に外部に露出した露出面F33
を形成する工程である。なお、図8(d)は、n型多結
晶シリコン層4と第二の層34とを除去し、第一の層3
2の表面を外部に露出した場合を示している。このよう
に露出面F33を形成する方法としては、前述の薄膜多
結晶シリコン太陽電池11の第一の製造方法における露
出面形成工程において説明した同様の方法を用いること
ができる。
【0090】電極形成工程は、図8(e)に示すよう
に、先に述べた薄膜多結晶シリコン太陽電池10の第一
の製造方法において説明した方法と同様の方法を用いて
正極2をn型多結晶シリコン層4上に形成し、負極5を
露出面F33上に形成する。これにより、薄膜多結晶シ
リコン太陽電池11の基本構成が完成する。ここで正極
2はn型多結晶シリコン層4に接触しないように形成さ
れている。正極2及び負極5としては、アルミニウム、
銀等通常の金属櫛形電極、透明ガラス電極等の電極を用
いることができる。
【0091】以上、本発明の好適な実施形態について詳
細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるも
のではない。
【0092】
【実施例】以下、実施例及び比較例を挙げて本発明の薄
膜多結晶シリコン太陽電池及び薄膜多結晶シリコン太陽
電池の製造方法について更に詳しく説明するが、本発明
はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。な
お、以下の実施例及び比較例の薄膜多結晶シリコン太陽
電池の構成要素について、前述の実施形態と同一または
相当する部分には同一符号を付して説明する。 (実施例1)図1に示した第一実施形態と同様の構成を
有する薄膜多結晶シリコン太陽電池を以下に説明するよ
うにして作製した。
【0093】先ず、基板1としてステンレス鋼基板を用
い、更に正極2として銀とアルミニウムドープ酸化亜鉛
との積層体を用い、これを基板1上に形成した。次に、
真空蒸着装置を用いて、正極2上に、シリコンと共晶反
応しかつシリコン中ではp型ドーパントとなるアルミニ
ウムからなる金属層60(厚み;500nm)を真空蒸着
法により形成した。次に、真空蒸着装置内の真空を一旦
破り、金属層60の表面を空気に2時間曝露した後、純
水で洗浄し、再び真空蒸着装置内を真空にし、金属層6
0上にアモルファスシリコン層70(厚み;500nm)
形成した。次に、金属層60とアモルファスシリコン層
70の積層体を、アルミニウムとシリコンとの共晶温度
(572℃)より約50℃低い525℃で1時間、水素を10
%含む窒素ガス中で熱処理した。この熱処理によってア
モルファスシリコン層70からシリコン原子が金属層6
0中に拡散し、金属層60と正極2との界面に第一の層
32となるp型多結晶シリコン層(厚み;500nm,シ
リコン結晶粒の平均粒径;200μm,p型ドーパントで
あるアルミニウム原子の濃度;1×1019個/cm3)が
析出した。次に、第一の層32の上面に残留した残余金
属層62をリン酸系のエッチング液でエッチング除去
し、第一の層32の表面を露出させた。
【0094】次に、第一の層32上に第三の層80とし
てアモルファスシリコン層(厚み;1.5μm)をスパッ
タ法により形成した。次に、900℃、3分の条件のもと
でランプアニール処理を行って、第一の層32を種結晶
として第三の層80を再結晶化した。このとき、第一の
層32からp型ドーパントが拡散して第二の層34とな
った。第二の層34中のp型ドーパント原子の濃度は先
に述べた傾斜分布を有しており、第二の層34の表面付
近のp型ドーパント濃度は1×1016個/cm3、第一の
層32と第二の層34との界面近傍でのp型ドーパント
濃度は4×1018個/cm3となった。
【0095】次に、第二の層34の上部領域にゾルゲル
法によりリンガラス層(厚み;0.2μm)を形成し、次
いで、900℃、3分の条件のもとでランプアニール法に
よる処理を行ってn型多結晶シリコン層4(厚み;0.3μ
m)を形成した。次に、n型多結晶シリコン層4上に負
極5としてアルミニウム櫛形電極を形成した。次に、n
型多結晶シリコン層4及び負極5上に反射防止膜として
一酸化珪素層(厚み;70nm)を形成して薄膜多結晶シ
リコン太陽電池を完成した。 (実施例2)図5に示した第ニ実施形態と同様の構成を
有する薄膜多結晶シリコン太陽電池を以下に説明するよ
うにして作製した。
【0096】基板1として耐熱性アルミナ基板を用い、
基板1から不純物が拡散しない様にバリア層として窒化
アルミニウム層(厚み;0.1μm)をスパッタ法により
形成した。次に、真空蒸着装置を用いて、窒化アルミニ
ウム層上に、シリコンと共晶反応し、かつシリコン中で
はp型ドーパントとなるアルミニウムからなる金属層6
0(厚み;500nm)を真空蒸着法により形成した。次
に、真空蒸着装置内の真空を一旦破り、金属層60の表
面を空気に2時間曝露した後、純水で洗浄し、再び真空
蒸着装置内を真空にし、金属層60上にアモルファスシ
リコン層70(厚み;500nm)を形成した。次に、金
属層60とアモルファスシリコン層70の積層体を、ア
ルミニウムとシリコンとの共晶温度(572℃)より約5
0℃低い525℃で1時間、水素を10%含む窒素ガス中
で熱処理した。この熱処理によってアモルファスシリコ
ン層70からシリコン原子が金属層60中に拡散し、金
属層60と上記の窒化アルミニウム層との界面に第一の
層32となるp型多結晶シリコン層(厚み;500nm,
シリコン結晶粒の平均粒径;200μm,p型ドーパント
であるアルミニウム原子の濃度;1×1019個/cm3
が析出した。次に、第一の層32の上面に残留した残余
金属層62をリン酸系のエッチング液でエッチング除去
し、第一の層32の表面をが露出させた。
【0097】次に、第一の層32上に第三の層80とし
てアモルファスシリコン層(厚み;2μm)をスパッタ
法により形成した。次に、窒素ガス雰囲気中、1000℃、
60分の熱処理を行って、第一の層32を種結晶として第
三の層80を再結晶化した。このとき、第一の層32か
らp型ドーパントが拡散して第二の層34となった。第
二の層34中のp型ドーパント原子の濃度は先に述べた
傾斜分布を有しており、第二の層34の表面付近のp型
ドーパント濃度は5×1015個/cm3、第一の層32と第
二の層34との界面でのp型ドーパント濃度は4×1018
個/cm3となった。
【0098】次に、第二の層34の上部領域にゾルゲル
法によりリンガラス層(厚み;0.2μm)をで形成
し、次いで、900℃、20分の条件のもとでプレデポジシ
ョン処理を行ない、更に、1000℃、10分の条件のもと
でドライブイン処理を行ってn型多結晶シリコン層4
(厚み;0.5μm)を形成した。次に、n型多結晶シリ
コン層4の上面の一部をフォトレジストでマスキングし
た。次に、反応性イオンエッチング法でn型多結晶シリ
コン層4の上面のマスキングしていない部分を第一の層
32の表面(露出面F33)が露出するまでエッチング
した。次に、マスキング材であるフォトレジストを除去
し、第一の層32の露出面F33に正極2としてアルミ
ニウム電極を形成し、n型多結晶シリコン層4のエッチ
ングされていない上面に負極5としてアルミニウム櫛形
電極を形成した。次に、n型多結晶シリコン層4の上面
及び負極5の上面に反射防止膜として一酸化珪素層(厚
み;70nm)を形成して薄膜多結晶シリコン太陽電池を
完成した。 (比較例1)実施例2に対して、第一の層32と第二の
層34とを形成してあるが第二の層34の内部にp型ド
ーパントの傾斜分布がない構成を有する薄膜多結晶シリ
コン太陽電池を以下に説明するようにして作製した。第
三の層80に第一の層32内のp型ドーパントを拡散さ
せる際に、拡散時間を24時間とし、第一の層32のp
型ドーパント原子の濃度と第二の層34p型ドーパント
原子の濃度とを均一(8×1017個/cm3)となるよ
うに作製した以外は、実施例2と同様の手順で上記の構
成を有する薄膜多結晶シリコン太陽電池を作製した。 [電池特性試験]実施例1、実施例2及び比較例1の薄
膜多結晶シリコン太陽電池の光電変換効率を測定した。
その結果、実施例1の薄膜多結晶シリコン太陽電池の光
電変換効率は14.2%であり、実施例2の薄膜多結晶
シリコン太陽電池の光電変換効率は15.0%であっ
た。一方、比較例1の薄膜多結晶シリコン太陽電池の光
電変換効率は12.8%であった。
【0099】また、上記の実施例1及び実施例2の薄膜
多結晶シリコン太陽電池の製造過程では、一切の半導体
特殊材料ガスを用いないので、設備コストが大幅に低減
され、太陽電池を本発明の製造方法で年産10MWの規模で
生産すると仮定した製造コストは170円/Wと広く一般
に行われているプラズマ気相成長法で形成する場合の生
産コストである350円/Wの約半分と見積もられた。
【0100】これらの結果から明らかな通り、基板側に
p型多結晶シリコン層が配置され、そのp型多結晶シリ
コン層上にn型多結晶シリコン層が配置される構成の薄
膜多結晶シリコン太陽電池においては、p型多結晶シリ
コン層を、p型ドーパント原子の濃度の高い第一の層
と、p型ドーパント原子の濃度が傾斜分布を有する第二
の層34からなる二層構造とすることが、太陽電池の光
電変換効率の向上を図る上で極めて有効であることが確
認された。
【0101】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、薄
膜多結晶シリコン太陽電池の光電変換効率を向上させる
ことができる。また、優れた光電変換特性を有する薄膜
多結晶シリコン太陽電池を効率よくかつ容易に得ること
が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の薄膜多結晶シリコン太陽電池の第一実
施形態を示す模式断面図である。
【図2】(a)〜(c)は、図1に示す薄膜多結晶シリ
コン太陽電池の第一の層を形成する工程を示す工程図で
ある。
【図3】(a)〜(d)は、図1に示す薄膜多結晶シリ
コン太陽電池の第一の製造方法の一連の製造工程を示す
工程図である。
【図4】(a)〜(d)は、図1に示す薄膜多結晶シリ
コン太陽電池の第二の製造方法の一連の製造工程を示す
工程図である。
【図5】本発明の薄膜多結晶シリコン太陽電池の第二実
施形態を示す模式断面図である。
【図6】(a)〜(c)は、図5に示す薄膜多結晶シリ
コン太陽電池の第一の層を形成する工程を示す工程図で
ある。
【図7】(a)〜(e)は、図5に示す薄膜多結晶シリ
コン太陽電池の第一の製造方法の一連の製造工程を示す
工程図である。
【図8】(a)〜(e)は、図5に示す薄膜多結晶シリ
コン太陽電池の第二の製造方法の一連の製造工程を示す
工程図である。
【符号の説明】
1…基板、2…正極、3…p型多結晶シリコン層、4…
n型多結晶シリコン層、5…負極、10…薄膜多結晶シ
リコン太陽電池、11…薄膜多結晶シリコン太陽電池、
32…第一の層、34…第二の層、60…金属層、62
…残余金属層、70…アモルファスシリコン層、80…
第三の層、90…n型シリコン層、F10,F11…p
n接合面、F3…界面、F33…露出面、F38…界
面、F89…pn接合面。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板と、前記基板上に形成される正極
    と、前記正極上に形成されるp型多結晶シリコン層と、
    前記p型多結晶シリコン層上に形成されるn型多結晶シ
    リコン層と、前記n型多結晶シリコン層上に形成される
    負極とを有する薄膜多結晶シリコン太陽電池であって、 前記p型多結晶シリコン層は、前記正極に隣接して配置
    される第一の層と、当該第一の層と前記n型多結晶シリ
    コン層との間に配置される第二の層とから構成されてお
    り、 前記第一の層及び第二の層を構成するシリコン結晶粒の
    平均粒径が10μm以上であり、 前記第一の層中の前記p型ドーパント原子の濃度が1×
    1018個/cm3〜大気圧かつ前記第一の層を形成する
    ときの熱処理温度における固溶限界濃度であり、 前記第ニの層中の前記p型ドーパント原子の濃度が前記
    第一の層に接する界面近傍から前記n型多結晶シリコン
    層に接するpn接合面近傍にかけて単調に減少してお
    り、かつ、当該濃度が前記界面近傍においては1×10
    18個/cm3〜大気圧かつ前記第一の層を形成するとき
    の熱処理温度における固溶限界濃度であり、前記pn接
    合面近傍においては1×1015〜5×1017個/cm3
    であること、を特徴とする薄膜多結晶シリコン太陽電
    池。
  2. 【請求項2】 基板と、前記基板上に形成されるp型多
    結晶シリコン層と、前記p型多結晶シリコン層上に形成
    されるn型多結晶シリコン層と、前記n型多結晶シリコ
    ン層に接触しないように前記p型多結晶シリコン層上に
    形成される正極と、前記n型多結晶シリコン層上に形成
    される負極とを有する薄膜多結晶シリコン太陽電池であ
    って、 前記p型多結晶シリコン層は、前記基板に隣接して配置
    される第一の層と、当該第一の層と前記n型多結晶シリ
    コン層との間に配置される第二の層とから構成されてお
    り、 前記第一の層及び第二の層を構成するシリコン結晶粒の
    平均粒径が10μm以上であり、 前記第一の層のp型ドーパント原子の濃度が1×1018
    個/cm3〜大気圧かつ前記第一の層を形成するときの
    熱処理温度における固溶限界濃度であり、 前記第ニの層中の前記p型ドーパント原子の濃度が前記
    第一の層に接する界面近傍から前記n型多結晶シリコン
    層に接するpn接合面近傍にかけて単調に減少してお
    り、かつ、当該濃度が前記界面近傍においては1×10
    18個/cm3〜大気圧かつ前記第一の層を形成するとき
    の熱処理温度における固溶限界濃度であり、前記pn接
    合面近傍においては1×1015〜5×1017個/cm3
    であること、を特徴とする薄膜多結晶シリコン太陽電
    池。
  3. 【請求項3】 前記正極が、前記第二の層の形成されて
    いない前記第一の層の露出面上に形成されていることを
    特徴とする請求項2に記載の薄膜多結晶シリコン太陽電
    池。
  4. 【請求項4】 基板上に形成した正極上に、シリコンと
    共晶反応しかつシリコンに対してp型ドーパントとなる
    ことが可能な元素からなる金属層を形成し、次いで前記
    金属層上にアモルファスシリコン層を形成する工程と、 前記金属層とアモルファスシリコン層に熱処理を行うこ
    とにより、平均粒径が10μm以上のシリコン結晶粒か
    ら構成されており、p型ドーパント原子の濃度が1×1
    18個/cm3〜大気圧かつ前記熱処理の温度における
    固溶限界濃度である第一の層を形成する第一の層形成工
    程と、 前記第一の層上に、アモルファスシリコン、微結晶シリ
    コン、又は、前記アモルファスシリコンと前記微結晶シ
    リコンとの混合物から構成される第三の層を形成する第
    三の層形成工程と、 熱処理又は光照射処理を行い、前記第三の層を構成する
    シリコンを結晶化させて平均粒径が10μm以上のシリ
    コン結晶粒とし、かつ同時に、前記第一の層中の前記p
    型ドーパントの一部を前記第三の層中に拡散させること
    により、前記p型ドーパントを含有する第二の層を形成
    する第二の層形成工程と、 前記第二の層上にn型多結晶シリコン層を形成するpn
    接合形成工程と、を含んでおり、かつ、 前記第二の層形成工程において、得られる第二の層中の
    前記p型ドーパント原子の濃度を前記第一の層に接する
    界面近傍から前記n型多結晶シリコン層に接するpn接
    合面近傍にかけて単調に減少させるとともに、当該濃度
    を前記界面近傍においては大気圧かつ前記第一の層を形
    成するときの熱処理温度における固溶限界濃度とし、前
    記pn接合近傍においては1×1015〜5×1017個/
    cm3とすること、を特徴とする薄膜多結晶シリコン太
    陽電池の製造方法。
  5. 【請求項5】 基板上に形成した正極上に、シリコンと
    共晶反応しかつシリコンに対してp型ドーパントとなる
    ことが可能な元素からなる金属層を形成し、次いで前記
    金属層上にアモルファスシリコン層を形成する工程と、 前記金属層とアモルファスシリコン層に熱処理を行うこ
    とにより、平均粒径が10μm以上のシリコン結晶粒か
    ら構成されており、p型ドーパント原子の濃度が1×1
    18個/cm3〜大気圧かつ前記熱処理の温度における
    固溶限界濃度である第一の層を形成する第一の層形成工
    程と、 前記第一の層上に、アモルファスシリコン、微結晶シリ
    コン、又は、前記アモルファスシリコンと前記微結晶シ
    リコンとの混合物から構成される第三の層を形成する第
    三の層形成工程と、 前記第三の層上に、アモルファスシリコン、微結晶シリ
    コン、又は、前記アモルファスシリコンと前記微結晶シ
    リコンとの混合物から構成されており、n型ドーパント
    を含有するn型シリコン層を形成するn型シリコン層形
    成工程と、 熱処理又は光照射処理を行い、前記第三の層及びn型シ
    リコン層を構成するシリコンを結晶化させて平均粒径が
    10μm以上のシリコン結晶粒とし、かつ同時に、前記
    第一の層中の前記p型ドーパントの一部を前記第三の層
    中に拡散させることにより、前記p型ドーパントを含有
    する第二の層を形成する第二の層形成工程と、を含んで
    おり、かつ、 前記第二の層形成工程において、得られる第二の層中の
    前記p型ドーパント原子の濃度を前記第一の層に接する
    界面近傍から前記n型多結晶シリコン層に接するpn接
    合面近傍にかけて単調に減少させるとともに、当該濃度
    を前記界面近傍においては大気圧かつ前記第一の層を形
    成するときの熱処理温度における固溶限界濃度とし、前
    記pn接合近傍においては1×1015〜5×1017個/
    cm3とすること、を特徴とする薄膜多結晶シリコン太
    陽電池の製造方法。
  6. 【請求項6】 基板上に、シリコンと共晶反応しかつシ
    リコンに対してp型ドーパントとなることが可能な元素
    からなる金属層を形成し、次いで前記金属層上にアモル
    ファスシリコン層を形成する工程と、 前記金属層とアモルファスシリコン層に熱処理を行うこ
    とにより、平均粒径が10μm以上のシリコン結晶粒か
    ら構成されており、p型ドーパント原子の濃度が1×1
    18個/cm3〜大気圧かつ前記熱処理の温度における
    固溶限界濃度である第一の層を形成する第一の層形成工
    程と、 前記第一の層上に、アモルファスシリコン、微結晶シリ
    コン、又は、前記アモルファスシリコンと前記微結晶シ
    リコンとの混合物から構成される第三の層を形成する第
    三の層形成工程と、 熱処理又は光照射処理を行い、前記第三の層を構成する
    シリコンを結晶化させて平均粒径が10μm以上のシリ
    コン結晶粒とし、かつ同時に、前記第一の層中の前記p
    型ドーパントの一部を前記第三の層中に拡散させること
    により、前記p型ドーパントを含有する第二の層を形成
    する第二の層形成工程と、 前記第二の層上にn型多結晶シリコン層を形成するpn
    接合形成工程と、 前記第一の層の一部に外部に露出した露出面を形成する
    露出面形成工程と、 前記露出面上に正極を形成するとともに前記n型多結晶
    シリコン層上に負極を形成する電極形成工程と、を含ん
    でおり、かつ、 前記第二の層形成工程において、得られる第二の層中の
    前記p型ドーパント原子の濃度を前記第一の層に接する
    界面近傍から前記n型多結晶シリコン層に接するpn接
    合面近傍にかけて単調に減少させるとともに、当該濃度
    を前記界面近傍においては大気圧かつ前記第一の層を形
    成するときの熱処理温度における固溶限界濃度とし、前
    記pn接合近傍においては1×1015〜5×1017個/
    cm3とすること、 を特徴とする薄膜多結晶シリコン太陽電池の製造方法。
  7. 【請求項7】 基板上に、シリコンと共晶反応しかつシ
    リコンに対してp型ドーパントとなることが可能な元素
    からなる金属層を形成し、次いで前記金属層上にアモル
    ファスシリコン層を形成する工程と、 前記金属層とアモルファスシリコン層に熱処理を行うこ
    とにより、平均粒径が10μm以上のシリコン結晶粒か
    ら構成されており、p型ドーパント原子の濃度が1×1
    18個/cm3〜大気圧かつ前記熱処理の温度における
    固溶限界濃度である第一の層を形成する第一の層形成工
    程と、 前記第一の層上に、アモルファスシリコン、微結晶シリ
    コン、又は、前記アモルファスシリコンと前記微結晶シ
    リコンとの混合物から構成される第三の層を形成する第
    三の層形成工程と、 前記第三の層上に、アモルファスシリコン、微結晶シリ
    コン、又は、前記アモルファスシリコンと前記微結晶シ
    リコンとの混合物から構成されており、n型ドーパント
    を含有するn型シリコン層を形成するn型シリコン層形
    成工程と、 熱処理又は光照射処理を行い、前記第三の層及びn型シ
    リコン層を構成するシリコンを結晶化させて平均粒径が
    10μm以上のシリコン結晶粒とし、かつ同時に、前記
    第一の層中の前記p型ドーパントの一部を前記第三の層
    中に拡散させることにより、前記p型ドーパントを含有
    する第二の層を形成する第二の層形成工程と、 前記第一の層の一部に外部に露出した露出面を形成する
    露出面形成工程と、 前記露出面上に正極を形成するとともに前記n型多結晶
    シリコン層上に負極を形成する電極形成工程と、を含ん
    でおり、かつ、 前記第二の層形成工程において、得られる第二の層中の
    前記p型ドーパント原子の濃度を前記第一の層に接する
    界面近傍から前記n型多結晶シリコン層に接するpn接
    合面近傍にかけて単調に減少させるとともに、当該濃度
    を前記界面近傍においては大気圧かつ前記第一の層を形
    成するときの熱処理温度における固溶限界濃度とし、前
    記pn接合近傍においては1×1015〜5×1017個/
    cm3とすること、を特徴とする薄膜多結晶シリコン太
    陽電池の製造方法。
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