JP3623642B2 - 光電変換装置の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する分野】
本発明は、薄膜太陽電池や光センサ等として非常に好適な光電変換装置の製造方法に関する。
【0002】
【従来技術とその課題】
光電変換装置の一つである太陽電池の分野において、結晶シリコンウエハーを用いた結晶シリコン太陽電池が既に実用化されているが、大量の結晶シリコンウエハーを用いる必要があるため、原料不足の問題や原料コストの問題等が、最近になって現実化してきている。このため、これらの問題を解決できる低コストでしかも高変換効率な薄膜結晶シリコン太陽電池の開発、実用化が大いに期待されている。
【0003】
一般に、薄膜太陽電池を低コストで製造するためには、以下の要件を満足しなければならない。
▲1▼基板に代表される原材料が安価であること。
▲2▼製造プロセスに長時間を要しないこと。
▲3▼製造プロセスに高温度を要しないこと(省エネルギーであること)。
▲4▼素子の変換効率が高いこと。
【0004】
以下に、各種従来技術の問題点について上記要件に基づき詳細に説明する。
【0005】
方式1:
ガラス基板を用いた薄膜結晶シリコン太陽電池としては、ガラス基板上にレーザーアニール法によって形成された薄膜多結晶シリコン下地層上へ、p−CVD法によって薄膜多結晶シリコン光活性層を製膜する方式が知られている(例えば、Proc.1st.WCPEC(1994)p.1575−1578 、特開平6−163957号公報、特開平7−94766 号公報等を参照)。
【0006】
この方式の特長は、基板として安価なガラス基板を用いていること、また、レーザーアニールによって下地結晶シリコンを比較的大粒径化できること、さらに、薄膜多結晶シリコン形成を比較的低温下で行えること、さらにまた、この方式による薄膜多結晶シリコンの表面が自生的なライトトラッピング構造(低反射率構造)となるので、比較的高い変換効率を得られることである。
【0007】
しかしながら、レーザーアニール工程に長時間を要すること、p−CVD法を用いているため、充分な変換効率を得るための膜品質および膜厚を確保するには、化学アニーリング法などを併用して比較的長い製膜時間を要することなどの問題がある。すなわち、少なくとも上記要件▲2▼を満足しない。
【0008】
方式2:
また、SUS基板を用いた薄膜結晶シリコン太陽電池としては、SUS基板上にp−CVD法で形成されたアモルファスシリコンを、SPC(固相結晶化)法を用いて多結晶化する方式が知られている(例えば、Proc.1st.WCPEC(1994)p.1315−1318 、特開平2−28315 号公報、特開平6−204539号公報、特開平7−135332号公報、特開平7−335660号公報等を参照)。
【0009】
この方式の特長は、基板として安価なSUS基板を用いていること、また、SPC工程が600℃程度の比較的低温プロセスであることである。
【0010】
しかしながら、p−CVD法を用いているためにアモルファスシリコン自体の形成に長時間を要し、またSPC工程にも10時間程度を要し、得られる結晶についても充分大粒径化するのが難しいという問題がある。すなわち、少なくとも上記要件▲2▼及び▲4▼を満足しない。
【0011】
方式3:
また、カーボン基板を用いた薄膜結晶シリコン太陽電池としては、カーボン基板上に、プラズマ溶射法によりSi粒を溶融、射出して多結晶Si層を形成する方式が知られている(例えば、特開平5−315258号公報、特開平5−315259号公報、特開平5−315260号公報、特開平5−326414号公報、特開平6−208960号公報、特開平6−208961号公報等を参照)。
【0012】
この方式の特長は、基板として安価を見込めるカーボン基板を用いていること、多結晶シリコン製膜を非常に高速に行え、また、多結晶シリコン粒を大粒径化できることである。
【0013】
しかしながら、製膜温度をシリコンの融点近傍の高温度とする必要があること、また、数μm〜数十μmオーダーでの膜厚制御が困難であるなどの問題がある。すなわち、少なくとも上記要件▲3▼を満足しない。
【0014】
方式4:
日本国外においては、LPE法を用いて液相から薄膜多結晶シリコンをガラス基板上に成長させる方式が報告されている(例えば、Proc.1st.WCPEC(1994)p.1579−1582 、Solid State Phenomena 37−38(1994)p.459−464、Journal of Material Science:Materials in Electronics .5 (1994)p.305−309 、J.Electrochem.Soc.Vol.140,No.11(1993)p.3290−3293等を参照)。
【0015】
この方式の特長は、基板として安価なガラス基板を用いていること、また、製膜速度も比較的速くすることができ、比較的低温プロセスで作製できることである。
【0016】
しかしながら、現状では、装置の生産性が低く、また、膜中の不純物濃度や、素子化にあたっての基板側の電極構造等に問題がある。すなわち、少なくとも上記要件▲2▼及び▲4▼を満足しない。
【0017】
以上詳述したように、上記各方式はそれぞれに問題点があり、先に挙げた4つの低コスト化要件を同時に満足する薄膜結晶シリコン太陽電池は、現在までのところ知られていない。
【0018】
そこで、従来方式の諸問題を解消し、上記4つの低コスト化要件を同時に満足する、特に薄膜結晶シリコン太陽電池に非常に好適な光電変換装置の製造方法を提供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】
上記課題を達成するために、本発明の光電変換装置の製造方法は、基板上に、アルミニウムと結晶シリコン粒とを含有し且つ上面に結晶シリコン粒が露出している裏面電極層、半導体層、及び反射防止層を順次積層して成り、光照射により前記半導体層に生じた起電力を前記裏面電極層及び前記半導体層または前記反射防止層の上面から取り出すようにした光電変換装置を製造するための方法であって、前記基板上にアルミニウムを含んだ金属層とアモルファスシリコン層とを積層した積層体を形成し、熱処理することによって、前記裏面電極層を得ることを特徴とする。
【0020】
ここで、半導体層は具体的には結晶シリコン粒と接するシリコン光活性層を含む複数の層から成る。
【0021】
裏面電極層中にシリコンと共融系を成すアルミニウム(Al)の単体もしくは混合物等を含有する。このようなアルミニウムはシリコンに対してp型ドーピング元素として作用する。
【0022】
このように、裏面電極層には、シリコンと共融関係にあるアルミニウムが含まれているために、裏面電極層中に含まれる結晶シリコン粒を短時間で成長拡大させることができる。そして、このようにして得られた結晶シリコン粒は、光活性層の結晶シリコン層の形成のためのseedとして機能させることができ、光活性層の結晶シリコンの粒径拡大や、結晶品質向上に寄与させることができる。
【0023】
また、基板としては、ガラス、ステンレス、カーボンのいずれか安価で安定な材料の選択が可能である。
【0024】
また、基板と裏面電極層との間に酸化物や窒化物等のバッファ層を介在させることによって、基板と裏面電極層中の金属成分との反応や、基板側から裏面電極層への不純物拡散を極力防止することができる。なお、例えば酸化物層として酸化アルミニウム、酸化マグネシウム及び酸化カルシウム等の高融点を有する材料を使用でき、熱的・化学的な安定性に優れているので好適である。なお、基板としてステンレスまたはカーボンを用いる場合は、基板と裏面電極との反応を防止する前記バッファ層が不要となる。
【0025】
また、裏面電極層中の結晶シリコン粒中のドーピング不純物濃度が1018/cm3〜1021/cm3であることを特徴とする。ドーピング不純物濃度をこの範囲にすることによって、シリコン−電極間で良好なオーミック特性を得ることができ、また、シリコン−電極界面でのキャリアの再結合を低く抑えることができる。
【0026】
また、結晶シリコン粒は、その露出面の最大長さが1μm以上のものを含んでいることを特徴とする。
【0027】
次に、シリコン光活性層を結晶シリコン粒と接する状態で製膜する。このとき、シリコン光活性層の導電型は前記結晶シリコン粒と同一とし、ドーピング不純物濃度はより低くして膜品質を高める。
【0028】
このとき、シリコン光活性層の製膜を少なくとも300℃以上の適当な温度条件で行えば、裏面電極層中に含まれるアルミニウムが、光活性層の裏面電極層に接する部分に適度に拡散することによって、光活性層の結晶化を促進することができ、さらに、光活性層中にキャリアの再結合を抑制する内部電界を形成させることもできる。
【0029】
このとき、場合によっては、光活性層を製膜した後に、300℃以上の熱処理条件等の適当な熱処理を追加して、さらに上記の効果を促進することができる。なお、これらの光活性層に対する裏面電極層の効果を、光活性層の裏面電極層側のごく一部に限定し、光活性層のその他の領域には影響させないようにするときは、光活性層の製膜を2段階に分け、第1段階の製膜を前記した少なくとも300℃以上の適当な温度で行い、その後、第2段階の製膜を第1段階の製膜よりも低い温度で行えばよい。なお、第2段階の製膜温度は第1段階の製膜温度よりも低ければよいのであって、300℃以上であっても問題はない。
【0030】
また、裏面電極層の形成条件を適当に選ぶことによって、光活性層に含まれる結晶シリコン粒において、基板面に平行な方向に対して少なくとも1μm以上の結晶粒径を持ったものを含ませることができ、これにより前述したseedとしての働きをさらに促進させることができる。
【0031】
なお、シリコン光活性層の形成にあたっては、p−CVD法に代表される従来の真空製膜法を用いることができるが、特に触媒CVD法と呼ばれる製法(例えば、松村、応用物理 第61巻 第10号(1992)p.1013を参照)によれば、比較的低温下で高品質かつ高速で多結晶シリコン層を形成させうるので、製造プロセスをより短時間にすることができる。
【0032】
次に、シリコン光活性層上に該光活性層とは導電型を異にするシリコン半導体層を積層してpn接合を形成する。このとき、pn接合部でのキャリアの再結合が無視できない程度である場合は、光活性層とその上の層の間に、欠陥準位密度を少なくできる真性型の非単結晶シリコン層を介在させることによって、接合品質を向上させることができる。なお、接合形成を水素を含んだ雰囲気下で行うようにすると、接合部各層の界面及びその近傍の欠陥準位を水素で終端、不活性化することができ、より品質の高い接合が得られる。
【0033】
さらに、光利用効率を高めて素子変換効率を向上させるために、素子表面上に反射防止層を形成し、光の干渉効果を利用して表面反射率を低減する方法を行うことができる。また、素子表面を適当な凹凸形状にしてライトトラッピング構造を形成し、表面反射率を低減する方法も行うことができる。
【0034】
前者の方法は、窒化シリコン膜や酸化シリコン膜等の絶縁性膜や、ITOやSnO2 等に代表される導電性膜などを、数百Å程度の適当な膜厚で形成する。
【0035】
後者の方法は、結晶シリコンをKOH等の特定の薬液でウエットエッチングし、その際、結晶面でエッチング速度が異なることを利用してピラミッド状の凹凸形状を形成するTexture 構造としてもよいが、ドライエッチング技術であるRIE(Reactive Ion Etching) 法を用いれば、結晶シリコン表面をシリコンの結晶方位に依存しないランダムかつ微細な凹凸形状とすることで、前記ウエットエッチング法に比べて格段に優れた低反射率特性を実現できる。
【0036】
すなわち、pn接合を形成する前に、光活性層の表面をRIE法を用いてシリコンの結晶方位に依存しないランダムかつ微細な凹凸形状(粗面状)とし、続いて光活性層とは導電型を異にするシリコン層を形成することで、該シリコン層の表面反射率を、少なくとも光波長400nm〜900nmの範囲で20%以下に抑えることができる。これによって光利用効率が格段に向上したライトラッピング構造を実現することができ、素子変換効率を飛躍的に向上させることができる。とくに反射防止層を設けた光電変換装置においては、上記光波長の範囲において表面反射率を10%以下の非常に優れた光利用効率が実現される。また、この場合は、シリコン表面の表面欠陥準位を不活性化することによってキャリアの表面再結合を低減させる効果も得ることができる。
【0037】
このように、光利用効率が上述のように格段に向上することによって、光活性層の膜厚をより薄くすることができるので、膜形成時間をより短時間とすることができ、光電変換装置のいっそうの低コスト化を図ることも可能となる。
【0038】
以上によって、非常に低コストで高変換効率な薄膜結晶シリコン太陽電池等の光電変換装置を得ることができる。
【0039】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施形態について図1〜図3に基づき詳細に説明する。なお、基板には、ガラス基板を用いた例について説明する。なお、以下のガラス基板を、SUS基板、あるいはカーボン基板に置き換えてもよい。
【0040】
図1に示す光電変換装置S1は、基板1上に、シリコンと共融系を成す1種以上の金属元素と結晶シリコン粒2aとを含有し上面に結晶シリコン粒2aが露出している裏面電極層2、結晶シリコン粒2aと接するシリコン光活性層(第1の半導体層)3を含む複数層の半導体層10(第1の半導体層3,第2の半導体層4)、及び受光面電極層を兼ねた導電性反射防止膜である反射防止層6を順次積層して成る。図中7は反射防止層6の上面に接続された表取り出し電極、8は裏面電極層2の上面に接続された裏取り出し電極であり、半導体層10に生じた起電力を表取り出し電極7,裏取り出し電極8からそれぞれ取り出すようにしている。
【0041】
図2に示す光電変換装置S2は、基板1上に、バッファ層9、光電変換装置S1と同様な裏面電極層2、結晶シリコン粒2aと接するシリコン光活性層(第1の半導体層)3を含む複数層の半導体層10(第1の半導体層3,第2の半導体層4,第1の半導体層3と第2の半導体層4との間に設けられた第3の半導体層5)、及び受光面電極層を兼ねた導電性反射防止膜である反射防止層6を順次積層して成る。
【0042】
本光電変換装置の製造にあたっては、まず、ガラス基板である基板1上に、アルミニウムを含んだ金属層とアモルファスシリコン層とを順次積層する。この場合の積層順は上記の場合と逆でもよく、またその積層数は3層以上でもよい。
【0043】
次に、この積層体を500℃〜700℃程度の温度範囲で、数分〜数十分程度の時間で熱処理する。この比較的低温かつ短時間の熱処理プロセスによって、アモルファスシリコンとアルミニウムを含んだ金属層とが反応して、アルミニウムを含んだ金属層中に結晶シリコン粒が混在する厚さ1μm 〜数μm 前後の裏面電極層2が得られる。このとき、裏面電極層2中の結晶シリコン粒は、アルミニウム原子が1018/cm3 〜1021/cm3 程度ドーピングされたp型となっており、このような結晶シリコン粒が島状に存在している。
【0044】
ここで、熱処理温度をより高くするか、あるいは熱処理時間をより長くすることにより、裏面電極層2に含まれる結晶シリコン粒に、基板1の水平な方向(基板面に平行な方向)に対して少なくとも1μm以上の結晶粒径を持ったもの(露出面の最大長さが1μm 以上のもの)を含ませることができ、その平均粒径を数μm 〜数十μm 程度とさせることもできる。
【0045】
なお、結晶シリコン粒が裏面電極層2中に埋もれてしまっている場合は、公知のドライエッチング技術等を用いて、結晶シリコン粒が裏面電極層2の表面に露出するようにする。
【0046】
また、前記熱処理において基板1とアルミニウムを含んだ金属層との反応が無視できない場合は、図2に示すように基板1と裏面電極層2との間に、例えば厚さ数十Å〜数千Å程度の酸化アルミニウム膜などのバッファ層9を介在させる。このバッファ層9の製膜方法としては、蒸着法、スパッタ法、CVD法等の公知の製膜技術を使用することができる。
【0047】
次に、裏面電極層2上に、裏面電極層2中の結晶シリコン粒に接する形でp型の多結晶あるいは微結晶シリコン層(以下、第1の半導体層、もしくは(シリコン)光活性層という)3を厚さ数μm 〜数十μm 程度に形成する。このとき、裏面電極層2中に含まれている結晶シリコン粒が光活性層3を形成するためのseedとして機能し、光活性層3の結晶シリコンの結晶粒径の拡大、結晶品質の向上を促進する。なお、光活性層3の形成方法としては、p−CVD法や触媒CVD法等の公知の真空製膜方法を用いることができ、特に後者においては製膜時間の短縮をはかることができる。
【0048】
また、この光活性層3の製膜温度を少なくとも300℃程度以上の適当な温度とすると、裏面電極層2中に含まれるアルミニウムが、光活性層3の裏面電極層2に接する部分に適度に拡散することによって、光活性層3の結晶化を促進することができ、また、光活性層3中にキャリアの再結合を抑制するのに好適な内蔵電界を形成させることができる。このとき、光活性層3の形成を2段階に分け、第1段階で形成される膜についてのみ、上記の効果をもたらすようにしてもよい。
【0049】
次に、光活性層3上にn型の例えば非晶質,多結晶質もしくは微結晶を含む非単結晶シリコン層(第2の半導体層)4を厚さ数千Å以下に形成する。このときの製膜方法としては、光活性層3の形成のところで述べた製法を利用することができる。
【0050】
ここで、第1の半導体層である光活性層3と第2の半導体層4とで成すpn接合の品質によっては、図2に示すように、光活性層3と第2の半導体層4の間に、真性型(i型)の非単結晶シリコン層(第3の半導体層)5を介在させてもよい。特に第3の半導体層5を水素化アモルファスシリコンで形成する場合は、その膜厚を20Å〜400Å程度にする。第3の半導体層5を結晶質シリコンで形成する場合には1μm 以下とする。さらに、第2の半導体層4及び第3の半導体層5の形成を、特に水素を含んだ雰囲気下で行うようにすると、各層の界面及びその近傍の欠陥準位を水素で終端、不活性化することができ、より品質の高いpn接合またはpin接合を得ることができる。
【0051】
ところで、RIE法を用いて、素子表面に結晶シリコンの結晶方位に依存しないランダムかつ微細な凹凸形状を形成し、光利用効率を高めて素子変換効率を向上させる場合は、pn接合を形成する前に、光活性層3に対してRIE法を適用し、その後第2の半導体層4を形成する。
【0052】
これにより、pn接合形成後の第2の半導体層4の表面反射率、すなわち反射防止層がない場合の表面反射率は図3のごとくに、少なくとも発電に寄与する光波長400nm〜900nmの範囲で20%以下に抑えることができる。
【0053】
さらに低い表面反射率とする場合は、第2の半導体層4上に、窒化シリコン膜や酸化シリコン膜等の反射防止層となる絶縁性反射防止膜、あるいは、ITO等の導電性反射防止膜を、p−CVD法やスパッタ法等の公知の真空製膜法を用いて数百Å程度の膜厚で製膜する。このとき、少なくとも発電に寄与する光波長400nm〜900nmの範囲で表面反射率を10%以下にすることが可能である。なお、図1及び図2においては、ITOやSnO2 等の導電性反射防止膜を用いた場合について示している。
【0054】
次に、反射防止層6上に表取り出し電極7を、真空成膜技術、プリント及び焼成技術、さらにメッキ技術等の公知の技術で形成する。なお、絶縁性の反射防止膜を第2の半導体層4上にコートしている場合は、表取り出し電極7を形成させる領域をバッファードフッ酸等の適当な薬液によるエッチング技術等により除去して第2の半導体層4のシリコン面を露出させ、ここに表取り出し電極7を接続するように形成すればよい。
【0055】
また、裏取り出し電極8については、裏面電極層2に真空成膜技術、プリント及び焼成技術、さらにメッキ技術等の公知の技術で接続形成すればよい。
【0056】
以上によって、低コストでしかも高変換効率な薄膜結晶シリコン太陽電池である光電変換装置S1,S2を得ることができる。
【0057】
なお、基板、バッファ層、裏面電極層、複数層の半導体層、及び反射防止層等の材質については、上述のものに限定されるものではない。特に、半導体層はシリコン以外のゲルマニウムやガリウム等の半導体材料や、各種の結晶質層、非晶質層のものを含ませることができ、また、4層以上であってもよい。また、周知の方法で直列接続させり並列接続させたりしてもよい。また、光電変換装置として太陽電池を例にとり説明したが、これに限定されるものではなく、例えば位置検出センサ,輝度センサ,カラーセンサ等の光センサ等にも適用が可能であり、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更し実施が可能である。
【0058】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明の光電変換装置の製造方法によれば、安価な基板を用いることができ、光活性層を比較的低温下において短時間で形成することができる。しかも、シリコンと共融系を成すアルミニウム等を含んだ金属層中に含まれた結晶シリコン粒のseed効果、アルミニウム等の不純物ドーピング効果、及び結晶化促進効果、さらには、RIE法を用いての表面反射率低減効果によって、素子変換効率を大幅に向上させることができる優れた低コスト薄膜太陽電池等の光電変換装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光電変換装置の製造方法に係る光電変換装置を説明するための概略断面図である。
【図2】本発明の光電変換装置の製造方法に係る他の光電変換装置を説明するための概略断面図である。
【図3】本発明の光電変換装置の製造方法に係る光電変換装置の表面反射率を説明するためのグラフである。
【符号の説明】
1:基板
9:バッファ層
2:裏面電極層
2a:結晶シリコン粒
3:光活性層(第1のシリコン層)
4:第2のシリコン層
5:第3のシリコン層
10:半導体層
6:反射防止層
7:表取り出し電極
8:裏取り出し電極
S1:光電変換装置
S2:光電変換装置
Claims (5)
- 基板上に、アルミニウムと結晶シリコン粒とを含有し且つ上面に結晶シリコン粒が露出している裏面電極層、半導体層、及び反射防止層を順次積層して成り、光照射により前記半導体層に生じた起電力を前記裏面電極層及び前記半導体層または前記反射防止層の上面から取り出すようにした光電変換装置を製造するための方法であって、前記基板上にアルミニウムを含んだ金属層とアモルファスシリコン層とを積層した積層体を形成し、熱処理することによって、前記裏面電極層を得ることを特徴とする光電変換装置の製造方法。
- 前記基板と前記裏面電極層との間にバッファ層を設けたことを特徴とする請求項1に記載の光電変換装置の製造方法。
- 前記結晶シリコン粒はそのドーピング不純物濃度が1018/cm3〜1021/cm3であることを特徴とする請求項1に記載の光電変換装置の製造方法。
- 前記結晶シリコン粒は、その露出面の最大長さが1μm以上のものを含んでいることを特徴とする請求項1に記載の光電変換装置の製造方法。
- RIE法によるドライエッチングで前記半導体層の表面に、結晶方位に依存しないランダムかつ微細な凹凸形状を形成し、反射率を少なくとも光波長400nm〜900nmで20%以下としたことを特徴とする請求項1に記載の光電変換装置の製造方法。
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