JP3652055B2 - 光電変換装置の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、薄膜多結晶シリコン太陽電池や光センサ等の光電変換装置の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、光電変換装置の一つである太陽電池の分野においては、結晶シリコンウエハーを用いた結晶シリコン太陽電池が実用化されているが、大量の結晶シリコンウエハーを用いる必要があるため、原料不足の問題、原料コストの問題等があり、これらの問題を解決できる薄膜多結晶シリコンを用いた低コストかつ高効率な薄膜多結晶シリコン太陽電池の開発、実用化が期待されている。
【0003】
一般に薄膜太陽電池を低コストで製造するための第1の要件は、使用する基板が低コストであることである。この要求に見合う基板としては、ガラス基板やSUS基板等があり、低温プロセスであることを特徴とするアモルファスシリコン太陽電池においては、既に実用化がなされている。薄膜多結晶シリコン太陽電池においても、素子プロセスを比較的低温とすることで、ガラス基板、SUS基板等の低コスト基板を使えることが望まれる。
【0004】
この方向で進められている研究例を挙げると、日本国内では、ガラス基板上に形成されたレーザーアニール法による薄膜多結晶シリコン下地層上へp−CVD法による薄膜多結晶シリコン光活性層を製膜する方式 1 (Proc.1st.WCPEC(1994)1575-1578 、特開平6-163957、特開平7-94766 参照)、また、SUS基板上にp−CVD法で形成されたアモルファスシリコンをSPC(固相結晶化)法を用いて多結晶化する方式 2 (Proc.1st.WCPEC(1994)1315-1318 、特開平2-28315 、特開平6-204539、特開平7-135332、特開平7-335660参照)などがある。
【0005】
また、日本国外においては、LPE法を用いて液相から薄膜多結晶シリコンをガラス基板上に成長させる方式 3 (Proc.1st.WCPEC(1994)1579-1582 、Solid State Phenomena 37-38(1994)459-464、Journal of Material Science:Materials in Electronics .5 (1994)305-309 、J.Electrochem.Soc. Vol.140,No.11(1993)3290-3293 参照)が研究されている。
【0006】
次に、薄膜太陽電池を低コストで製造するための第2の要件は、素子の変換効率がより高いことである。これは、変換効率がより高いほどワット当たりの製造コストが下がるためである。この変換効率を向上させる対策のひとつとして、光入射面側に存在する金属電極面積をできるだけ減らすことで反射損失光をできるだけ少なくする方法がある。これに関して、単結晶あるいは多結晶結晶シリコン基板を用いた素子においては、光入射側金属電極をファインパターンとして金属電極面積を減らして金属面で反射する光の量を少なくし、より多くの入射光を結晶シリコン内部へ導入しようとする試みが検討されている(第3回高効率太陽電池ワークショップ(富山、1992)28参照)。また、高品質の基板を用い、pn接合、プラス極電極、及びマイナス極電極をともに光入射面とは反対側に配置して、金属電極による光反射損失を無くした素子構造についても研究がなされている(R.A.Sinton et al, Electron Device Letters,vol.EDL-7(1986)567, R.R.King et al, 20th IEEE Photovoltaic Specialists Conf.,Las Vegas(1988)538 参照)。一方、アモルファスシリコン太陽電池においては、透明導電膜を用い、光入射側に高反射率の金属電極を配置しなくてもよい構造としており、少なくとも入射光が金属電極で遮られてしまうことは回避できている。
【0007】
また、前記以外の高効率化対策のひとつとして、電極部以外の面での入射光の反射率を下げる方法についても検討が進められている。この方法においては、窒化シリコン膜や酸化シリコン膜などの反射防止膜を成膜して表面反射率を低減する方法が従来より広く実施されているが、近年は、より表面反射率を下げることができ、かつ、一度シリコン内部に入射した光が再度シリコン表面から離脱する確率を低減することができるライトトラッピング構造(光閉じ込め構造)の研究が進められてきている。このライトトラッピング構造として代表的な例は、シリコンを特定の液でウエットエッチングする際に結晶面方位でエッチング速度が異なることを利用して形成するTexture 構造(J.Haynos et al, Int. Conference on Photovoltaic Power Generation(Hamburg,1974)487参照)や、ドライエッチング技術であるRIE法を用いて形成されるランダムかつ微細な表面構造(K.Fukui et al, Technical Digest of the International PVSEC-9(1996)93-96 、同109-110 参照)などが知られている。
【0008】
以上、薄膜多結晶シリコン太陽電池を低コストで製造可能とするには、ガラス基板等の安価な基板を使うことができることが望ましい。また変換効率をより高くするためには光入射側金属電極面積ができるだけ小さいことが望ましく、さらには光入射側への金属電極の配置を回避できればよりいっそう望ましい。また、ライトトラッピング構造についても導入できることが望ましい。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
薄膜多結晶シリコン太陽電池の製造にあたって、低コスト材料を用い、かつ高効率化する際の上記方式の問題点を挙げると下記のごとくである。
【0010】
方式 1 では、ガラス基板を用いることで低コスト材料化を図っているが、この上に薄膜多結晶シリコン層を形成するにあたって使用するレーザーアニール法での大面積再結晶化速度が遅いため低コスト量産化に適していない。また、再結晶化した結晶粒径が最大で約1μm程度と充分大きくできず、結晶粒界の存在度が高くなるため、そこでの再結合の影響が大きくなり、高効率化に適していない。さらに、p−CVD法による光活性層形成において、その膜質を光活性層レベルの品質として充分な膜厚とするには数時間を要するため、低コスト化に不向きな問題がある。また、光入射面側の電極層として、透明導電膜であるITO膜を使用しているが、その取り出し電極部分には、何らかの金属電極端子が形成されるため、この部分に入射する光が反射損失してしまう問題がある。また、素子裏面側電極の取り出し部分も光入射面側に形成されることになるので、この部分の面積に相当する入射光が利用できないという問題がある。加えて太陽電池素子裏面側に金属電極が形成されていないので、素子裏面に到達した光のうち、少なからぬ量の光がそのまま透過してしまい、入射光の利用効率が低いという問題がある。
【0011】
方式 2 では、SUS基板を用いて低コスト材料化を図っているが、SPC法を適用するアモルファスシリコン層の形成に数時間を要し、さらにその固相結晶化に10時間程度を要し、低コスト量産化に問題がある。また、再結晶化した結晶粒径が最大約1μm程度で充分大きくできず、結晶粒界の存在度が高くなるために、そこでの再結合量が多くなってしまい高効率化に適していない。
【0012】
また、光入射面側の電極層として、透明導電膜であるITO膜を使用しているが、その取り出し電極部分には、何らかの金属電極端子が形成されるため、この部分に入射する光が反射損失してしまう問題がある。
【0013】
方式 3 では、ガラス基板を用いて低コスト材料化を図っているが、現状のLPE法では太陽電池級の大面積素子に適した装置開発に難点があり、膜形成速度も充分ではないため低コスト量産化に問題がある。また、膜品質も充分なものとなっていないため、現状では素子化研究に関する報告はなされておらず、表電極、裏面電極の形成方法に関する研究例も知られていない。
【0014】
そこで、本発明では、上述の諸問題を解消し、低コストで高効率な光電変換装置の製造方法を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記課題を達成するために、本発明の光電変換装置の製造方法は、一主面が受光面を成す透光性基板の他主面上に、酸化アルミニウムの結晶酸化物層と、pn接合を有する複数層のシリコン半導体層とが順次積層されて成り、前記シリコン半導体層のp層及びn層から出力を導出するようにした光電変換装置の製造方法であって、前記酸化アルミニウムの結晶酸化物層上に、シリコンとアルミニウムを含んだ金属との共融現象によって形成された液相を介して前記シリコン半導体層中の下部層を結晶成長させたことを特徴とする。
【0016】
これにより、比較的低温な素子プロセスとすることによって低コスト材料としてのガラス基板を用いることができる。
【0017】
すなわち、本発明の光電変換装置の製造方法に係る太陽電池は、ガラス基板上に、酸化アルミニウムの結晶酸化物層が形成されており、さらにこの上に不純物濃度に関して複数の多結晶シリコン薄膜層が形成されている薄膜多結晶シリコン太陽電池であって、pn接合、正電極及び負電極が、それぞれ前記薄膜多結晶シリコン層上に形成されており、入射光はガラス面側から取り入れる。これによって、光入射側における金属電極による光反射損失を無くすことができ、入射光の利用効率を高めることができる。
【0018】
また、シリコン半導体層中の結晶酸化物層に接する下部層が多結晶状態であり且つその平均粒径が透光性基板の他主面に平行な方向に3μm以上であることを特徴とする。また、シリコン半導体層中の結晶酸化物層に接する下部層が多結晶状態であり且つその結晶方位が透光性基板の他主面に垂直な方向へ主に<111>方位が選択配向していることを特徴とする。
【0019】
すなわち、液相を介した結晶成長であることを利用して、前記複数のシリコン半導体層のうち、少なくとも結晶酸化物層に接する下部層中の結晶シリコン粒に関して、その粒径が基板に水平な方向(基板面方向)に対して平均粒径が3μm 以上とする。特に好適には約10μm程度以上の比較的大粒径であるものが主に存在し、また、その結晶方位が、基板に垂直な方向に対して主に<111>方位に配向するようにする。これにより、特に薄膜多結晶シリコン太陽電池において高効率とすることができる。
【0020】
また、薄膜多結晶シリコン中のキャリアのライフタイムが最低0.1μsec程度以上、より好適には約1μsec程度以上であることが望ましいが、そのためには、結晶シリコン粒径が、結晶粒界のパッシベーションの程度にもよるが、約10〜30μm程度以上であることが望ましい(糀谷他:第5回高効率太陽電池ワークショップ(1995)長野pp.19-22参照)。本発明の薄膜多結晶シリコンは、この条件に沿うものであり、高効率化に好適である。また、結晶方位が、基板に垂直な方向に対して主に<111>方位に配向していることにより、結晶シリコンが多結晶であっても、その表面をほぼ平坦にすることができ、後述の結晶シリコン層の表面のランダムかつ微細な凹凸構造の形成の際に、その構造を基板全域に渡ってほぼ均一に、しかも容易に形成することを可能としている。
【0021】
また、シリコン半導体層中の結晶酸化物層に接する下部層が多結晶状態であり且つそのドーピング不純物濃度が1016〜1022/cm3であることを特徴とする。このドーピング不純物濃度における下限値を逸脱すると、素子の光入射面側における再結合が大きくなり、太陽電池特性における開放電圧の低下などの特性低下を生じる。
【0022】
また、前記複数の多結晶シリコン層の総厚は1〜50μmとすることが望ましい。多結晶シリコン層の厚さが薄すぎると入射光の充分な利用ができなくなるため短絡電流が減り、一方、逆に厚すぎると膜質にもよるが一般に暗電流が増加して開放電圧が低下し、また、光生成キャリアの電極までの拡散による移動距離も長くなるため拡散移動中での再結合確率が増して短絡電流にも悪影響が出ることがある。
【0023】
また、シリコン半導体層の正電極又は負電極に接する層が粗面状で且つその反射率が波長400〜1000nmの光に対し5%以下であることを特徴とする。すなわち、半導体層のうち正及び負電極に接する薄膜多結晶シリコン層について、その接触面がランダムかつ微細な凹凸構造となっており、
その接触面を表面とした場合の反射率が波長400〜1000nmの光に対し5%以下であることを特徴とする。太陽電池の場合、特性向上のためにはライトトラッピング構造を導入することが重要となるが、本発明においては、電極に接する薄膜多結晶シリコン層の表面をRIE法によるドライエッチング技術を用いて、微細かつランダムな凹凸構造とし、素子裏面での光散乱の効果を高めて太陽電池の高効率化に優れて好適なライトトラッピング構造を実現しているため、従来の薄膜素子よりも格段に高効率な太陽電池の作製を可能としている。
【0024】
【発明の実施形態】
以下に、本発明の実施の形態について図面に基づいて詳細に説明する。図1に示すように、本発明の製造方法に係る光電変換装置P1は、一主面1aが入射光を受光する受光面を成す透光性基板の一つであるガラス基板1の他主面1b上に、酸化アルミニウムの結晶酸化物層2、及びpn接合を有する複数層から成るシリコン半導体層S1が順次積層されて成るとともに、シリコン半導体層S1中の下部層である第1のシリコン層3は、シリコンとアルミニウムを含んだ金属との共融現象によって形成された液相を介して酸化アルミニウムの結晶酸化物層2上に結晶成長されて成り、シリコン半導体層S1のp層及びn層から出力を導出するように、正電極及び負電極が並設されていることを特徴とする。
【0025】
なお、ガラス基板1としては、コーニング社の7059基板、1737基板、及び各ガラスメーカーによって最も一般的に商品化がなされているソーダガラス基板を用いる。以下ガラス基板による差が問題となる場合を除いて、7059基板を用いた例に基づき説明するが、これに限定されるものではない。また、結晶酸化物層としては、酸化アルミニウムを用いる例について説明する。
【0026】
まず、ガラス基板1上に、結晶酸化物層である酸化アルミニウム層2を、10nm〜5000nm程度の膜厚で形成する。この層の形成にあたっては、蒸着法、CVD法、スパッタ法等の公知の真空成膜技術を用いることができる。
【0027】
次に上記酸化アルミニウム層2上に薄膜多結晶である第1のシリコン層3を、0.1〜5μm程度の膜厚で形成する。ただし、後に述べる第2のシリコン層4を形成しない場合は、この第1のシリコン層は、1〜50μm程度の膜厚とする。この第一の薄膜多結晶シリコン層の形成にあたっては、比較的低温下での液相を介した結晶成長とし、比較的大粒径な結晶粒成長を行わせる。
【0028】
すなわち、Siと、これと共融系をなす金属元素との共融現象によって、比較的低温下で液相を形成し、また、液相を介した結晶成長であることを利用して、比較的大粒径な結晶成長を行わせる。
【0029】
このとき、Siと共融金属の供給及び反応方法としては、Siと共融金属の粉末からなる混合物をガラス基板1上へ供給して熱処理する方式や、共融金属及びSiを気相状態で同時に成膜、あるいは共融金属層を成膜した後にSi層を成膜し、成膜中あるいは、成膜後に熱処理する方式などがある。ここで、Siと共融系を成す金属元素としては、アルミニウム(Al)、錫(Sn)、インジウム(In)、アンチモン(Sb)、ビスマス(Bi)、ガリウム(Ga)等、及びこれらの混合物があるが、本発明ではSiとAlを用いる。
【0030】
液相の形成は、Siと共融金属元素の共融点温度以上とすることで実現する。本発明ではSiとAlの共融点温度である577℃以上の温度で熱処理する。雰囲気としては、アルゴン(Ar)ガスや、窒素(N2)ガスなどの不活性ガス雰囲気、あるいは還元性のある水素(H2)ガスと不活性ガスとを適当な比で混合したガス雰囲気とする。また、圧力は、真空等、減圧条件が望ましいが、常圧であってもよい。熱処理時間は昇温、降温時間を除いて正味5分から60分程度とする。
【0031】
共融金属としてAlを含んだ金属を用いるので、Alをドーピング元素としても利用可能であり、素子化するにあたって、この第1のシリコン層3をp++層として機能させることができる。p++層の存在は、後に述べる第2のシリコン層4の光入射面側に内蔵電界を形成し、光入射面側での光生成キャリアの再結合を減らす働きを持つため、高効率化に好適なものとなる。このとき、第1のシリコン層3(シリコン半導体層S1の下部層)中のドーピング不純物濃度は、好適には1018〜1022/cm3程度であるが、ドーピング不純物濃度が1016〜1018/cm3程度である場合も、前述した効果は少なくなるものの、太陽電池としての利用を妨げるものではない。また、このとき得られる結晶粒径は、基板に水平な方向(基板面方向)に対して平均粒径が3μm以上であり、約10μm程度以上の比較的大粒径であるものが主体であった。これにより結晶粒界の存在度が減り、結晶粒界でのキャリア再結合が低減されるため、太陽電池の高効率化により好適となる。また、酸化アルミニウム層2は、多結晶シリコン成長のための下地層として好適であり、前述の液相がガラス基板と反応することを防止する働きも有している。さらに、この酸化アルミニウム層2の存在によって多結晶シリコン層の結晶方位に配向性を与えることもできる。本発明においては、酸化アルミニウム層2上に成長した薄膜多結晶シリコンは、基板に垂直な方向に対して主に<111>方位に選択配向したものとなる。
【0032】
次に、第1のシリコン層3上へ、CVD法やスパッタ法などの真空成膜技術を用いて薄膜多結晶である第2のシリコン層4を、第1のシリコン層3と合わせて1〜50μmの総膜厚となるように積層する。ここで、第2のシリコン層4のドーピング濃度は、光活性層として好適に機能するように約1014〜3×1018/cm3 とする。なお、第2のシリコン層4を比較的低温下で高速に成膜する方法としては、特にcat-CVD法がある。また、第2のシリコン層4は、第1のシリコン層3を形成する際に用いた前述の手法によって形成してもよい。ただし、用いる共融金属としては、おもにSnやIn等の本来ドーピングに関与しない元素を主体とし、Al(p型ドーピング元素)やSb(n型ドーピング元素)は、必要な量だけ調節して導入するようにして、先に述べたドーピング濃度条件を逸脱しないようにして光活性層としての品質を損なわないようにする。なお、第2のシリコン層4を形成しない場合は、第1のシリコン層3の膜厚を1〜50μmとし、ドーピング不純物濃度を、1016〜3×1018/cm3 程度とする。
【0033】
次に、前述の第2のシリコン層4の表面(素子としては裏面側になる)を、RIE(Reactive Ion Etching)法によるドライエッチング技術を用いてランダムかつ微細な凹凸構造とする。
【0034】
このRIE法による表面構造は、優れたライトトラッピング効果をもたらし、特に薄膜多結晶シリコン太陽電池など薄膜状態で入射光の利用効率を高めたい要求がある場合には、非常に効果的である。
【0035】
なお、ここで、RIE法によるランダムかつ微細な凹凸構造の形成は、第1のシリコン層3が形成された時点で、この第1のシリコン層3の表面に対して行っておいてもよい。その場合、上に述べた第2のシリコン層3が、第1のシリコン層3の表面に形成されたランダムかつ微細な凹凸構造にならって積層されるため、第2のシリコン層4の表面へRIE法を適用する場合と同様のライトトラッピング構造の形成が可能である。もちろん、第1のシリコン層3の表面及び第2のシリコン層4の表面の両方にRIE法によるランダムかつ微細な凹凸構造を形成してもよい。
【0036】
このようにして、シリコン半導体層7の後記する正電極又は負電極に接する層が粗面状で、且つその反射率が波長400〜1000nmの光に対し5%以下となり、高効率の太陽電池を実現させることが可能となる。
【0037】
次に、光活性層である第2のシリコン層4上の所定の領域に、第2のシリコン層4の導電型とは逆の導電型を有する第3のシリコン層5を成膜し、pn接合を形成する。第3のシリコン層5の形成については、CVD法、スパッタ法等、公知の真空薄膜形成技術を用いることができる。ここで、第3のシリコン層5は、結晶シリコン膜であっても、アモルファスシリコン膜であってもよい。結晶シリコン膜である場合は、100〜2000nm程度の膜厚で形成し、アモルファスシリコン膜である場合は、5〜1000nm程度の膜厚で形成する。後者の場合、いわゆるヘテロ接合となるが、第2のシリコン層4と第3のシリコン層(アモルファスシリコン層)5の間に、真性型のアモルファスシリコン層を厚さ2〜40nmで挿入すると特性向上により好適である。
【0038】
次に、光活性層である第2のシリコン層4上の第3のシリコン層5を形成した領域とは別の特定の領域に、第2のシリコン層4の導電型と同一の導電型で、よりドーピング濃度の高い第4のシリコン層6を成膜する。第4のシリコン層6の形成については、CVD法、スパッタ法等、公知の真空薄膜形成技術を用いることができる。ここで、第4のシリコン層6は、結晶シリコン膜であっても、アモルファスシリコン膜であってもよい。結晶シリコン膜である場合は、100〜2000nm程度の膜厚で形成し、アモルファスシリコン膜である場合は、5〜1000nm程度の膜厚で形成する。後者の場合、いわゆるヘテロ接合となるが、第2のシリコン層4と第4シリコン層(アモルファスシリコン層)6の間に、真性型のアモルファスシリコン層を厚さ2〜40nmで挿入すると特性向上により好適である。なお、第4のシリコン層6を形成しなくとも、pn接合を有する素子の形成を妨げるものではない。
【0039】
次に、前述の第3及び第4のシリコン層5,6上へ、第1及び第2の取り出し電極となる第1及び第2金属電極7,8を、真空成膜技術、プリント及び焼成技術、さらにメッキ技術等の公知の技術を組み合わせて形成し、薄膜多結晶シリコン太陽電池を形成する。
【0040】
ここで、光生成キャリアをより効果的に取り出すには、図1に示す第3及び第4のシリコン層5,6の横幅をより狭くし、図2に示す光電変換装置P2のように第3及び第4のシリコン層25,26の配列をより細密にすればよい。なお、図2は図3(a)の上面図及びその断面斜視図である図3(b)のA視図である。図2において27は櫛歯状の第1金属電極、28は第1金属電極と極性の異なる櫛歯状の第2金属電極である。シリコン半導体層S2は第1のシリコン層3、第2のシリコン層4、第3のシリコン層25、及び第4のシリコン層26から構成される。また、他の構成については図1と同様なものは図1と同一符号を付し説明を省略する。
【0041】
また、第3及び第4のシリコン層の配列の細密化に限界があったり、第2のシリコン層4の品質改善に限界があって、それらだけでは高効率化することができない場合は、図4に示す光電変換装置P3のように、第3のシリコン層35が成膜されている領域を、第4のシリコン層36が成膜されている領域よりも充分広くとるようにし、第1のシリコン層3と第4のシリコン層36を直接接触させるようにすればよい。なお、図4において37は第1金属電極、38は第1金属電極と極性の異なる第2金属電極である。シリコン半導体層S3は第1のシリコン層3、第2のシリコン層4、第3のシリコン層35、及び第4のシリコン層36から構成される。また、他の構成については図1と同様なものは図1と同一符号を付し説明を省略する。
【0042】
また、第4のシリコン層を形成しない場合においても、第3のシリコン層と第2の取り出し電極の配列の細密化に限界があったり、第2のシリコン層の品質改善に限界があって、それらだけでは高効率化することができない場合は、図5に示す光電変換装置P4のように、第3のシリコン層45が成膜されている領域を、第3のシリコン層45が成膜されていないの領域よりも充分広くとるようにし、第2の取り出し電極をとなる第2の金属電極48を第1のシリコン層3に直接接触させるようにすればよい。なお、図5において47は第1金属電極、48は第1金属電極と極性の異なる第2金属電極である。シリコン半導体層S4は第1のシリコン層3、第2のシリコン層4、第3のシリコン層45から構成される。また、他の構成については図1と同様なものは図1と同一符号を付し説明を省略する。
【0043】
以上によって、ガラス基板を用いた低コストかつ高効率な薄膜多結晶シリコン太陽電池に非常に好適な光電変換装置の製造方法を提供することができる。
【0044】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明の光電変換装置の製造方法に係る光電変換装置によれば、正電極及び負電極が共に光受光面とは反対側の面に配置されているため、入射光の金属電極による表面反射を皆無にすることができ、高効率太陽電池等に好適な入射光の利用効率が非常に高い光電変換装置を得ることができる。
【0045】
また、基板上に結晶酸化物層を介して結晶シリコン層を形成する構造となっているため、結晶シリコンを基板との反応を防止しつつ液相を介した結晶成長法で形成することができる。このため、基板として安価なガラス基板を用いることができ、また液相を介した結晶成長法であることにより、シリコン結晶粒径の充分な拡大が容易となり、さらにまた、結晶酸化物の存在により、この上に成長する結晶シリコン層の結晶方位を特定の方位に選択配向させることができる。
【0046】
また、結晶酸化物層に接する結晶シリコン層の不純物ドーピング濃度を特定の範囲とすることによって太陽電池等の光電変換装置の高効率化に好適な機能を持たせることができる。
【0047】
さらに、RIE法による優れたライトトラッピング構造の導入によって、入射光の利用効率を高めることができ、高効率な光電変換装置を形成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造方法に係る光電変換装置を説明するための断面図。
【図2】本発明の製造方法に係る他の光電変換装置を説明するための断面図。
【図3】本発明の製造方法に係る他の光電変換装置を説明するための図であって、(a)は上面図、(b)は一部断面斜視図。
【図4】本発明の製造方法に係る他の光電変換装置を説明するための断面図。
【図5】本発明の製造方法に係る他の光電変換装置を説明するための断面図。
【符号の説明】
1:ガラス基板(透光性基板)
2:酸化アルミニウム層(結晶酸化物層)
3:第1のシリコン層
4:第2のシリコン層
5,25,35,45:第3のシリコン層
6,26,36:第4のシリコン層
S1〜S4:シリコン半導体層
P1〜P4:光電変換装置
Claims (5)
- 一主面が受光面を成す透光性基板の他主面上に、酸化アルミニウムの結晶酸化物層と、pn接合を有する複数層のシリコン半導体層とが順次積層されて成り、前記シリコン半導体層のp層及びn層から出力を導出するようにした光電変換装置の製造方法であって、前記酸化アルミニウムの結晶酸化物層上に、シリコンとアルミニウムを含んだ金属との共融現象によって形成された液相を介して前記シリコン半導体層中の下部層を結晶成長させたことを特徴とする光電変換装置の製造方法。
- 前記シリコン半導体層中の下部層が多結晶状態であり、且つその平均粒径が透光性基板の主面方向に3μm以上であることを特徴とする請求項1に記載の光電変換装置の製造方法。
- 前記シリコン半導体層中の下部層が多結晶状態であり、且つその結晶方位が透光性基板の主面に垂直な方向へ主に<111>方位に選択配向していることを特徴とする請求項1に記載の光電変換装置の製造方法。
- 前記シリコン半導体層中の下部層が多結晶状態であり、且つそのドーピング不純物濃度が1016〜1022/cm3であることを特徴とする請求項1に記載の光電変換装置の製造方法。
- 前記正電極又は負電極に接するシリコン半導体層が粗面状で、且つその反射率が波長400〜1000nmの光に対し5%以下であることを特徴とする請求項1に記載の光電変換装置の製造方法。
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