JP3983492B2 - 結晶性シリコン膜の作製方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、基板上に形成され、結晶性シリコン膜で光電変換層が形成された薄膜太陽電池及びその作製方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
太陽電池は、各種半導体材料や有機化合物材料を用いて作製が可能であるが、工業的には半導体であるシリコンが主に用いられている。シリコンを用いた太陽電池は単結晶シリコンや多結晶シリコンのウェハ─を用いたバルク太陽電池と、基板上にシリコン膜を形成した薄膜太陽電池に分類することができる。太陽電池の普及には製造コストの削減が必要とされているが、薄膜太陽電池はバルク太陽電池と比較して、使用する原材料が少なくて済むため、低コスト化の効果が期待されている。
【0003】
薄膜太陽電池の分野では、非晶質シリコン太陽電池が実用化されているが、単結晶シリコンや多結晶シリコン太陽電池と比較して変換効率が低く、また、光劣化等の問題を有していため、用途が限定されている。そのために、その他の手段として結晶性シリコン膜を用いた薄膜太陽電池の開発も行われている。
【0004】
薄膜太陽電池において、結晶性シリコン膜を得るためには、溶融再結晶化法と固相成長法とがあった。両者とも、基板上に非晶質シリコンを形成し、これを再結晶化させて、結晶性シリコン膜を得るものである。いずれにしても基板は、結晶化温度に耐えることが要求され、使用できる材料は限定されていた。特に、溶融再結晶化の方法では、基板はシリコンの融点である1412℃に耐える材料に限定された。
【0005】
固相成長法は、基板上に非晶質のシリコン膜を形成しておき、加熱処理をすることにより結晶化させる方法である。このような、固相成長法は、一般に温度が高いほど処理時間は短くても良かった。しかし、500℃以下の温度ではほとんど結晶化しなかった。例えば、気相成長法で成膜された非晶質シリコン膜を加熱して結晶化させる場合、加熱処理温度が600℃の場合は、10時間が必要とされていた。また、550℃の加熱処理温度では、100時間以上の加熱処理時間が必要とされていた。
【0006】
このような理由で、薄膜太陽電池の基板には高い耐熱性が要求されていた。基板には、ガラス、カ─ボン、セラミックが用いられていた。しかし、太陽電池のコストを削減する観点からすると、これらの基板は必ずしも適切ではなく、もっと一般に使用され、低価格の基板上に作製されることが望ましかった。しかし、例えば、一般によく用いられるコ─ニング社の#7059ガラス基板では、歪み点が593℃であり、従来の結晶化の技術では基板が歪み大きな変形をおこしてしまうため使用できなかった。また、本質的にシリコンと異種物質である基板を用いることから、上記手段で結晶化を行っても単結晶は得られず、また大きな結晶粒をもつシリコンが得られ難く、このことが太陽電池の効率向上の制限要因となっていた。
【0007】
上記問題点を解決する方法として、非晶質シリコン膜を加熱処理によって結晶化させる方法が、特開平7─58338号公報で開示されている。この方法によれば、低温で結晶化を促進するために、触媒材料として微量の金属元素を添加することが開示されている。前記公開特許公報によれば、加熱処理温度の低温化と、処理時間の短縮が可能になることが記載されている。例えば、加熱温度を550℃とした場合、4時間の加熱処理で結晶化することが確認されている。触媒となる金属元素には、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、白金(Pt)の単体、もしくは、それらとシリコンの化合物等が適していることが記載されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、結晶化を促進するために用いた触媒材料は、いずれも結晶性シリコンにとっては本来好ましくない材料であるので、できるだけ濃度が低いことが望まれた。結晶化を促進するのに必要な触媒材料の濃度は、1×1017個/cm3 以上、1×1020個/cm3 以下の範囲であった。しかし、濃度が比較的低い場合にも、前記触媒材料は重金属元素であるので、シリコン中に取り込まれた場合、欠陥準位を形成し、作製された素子の特性を低下させる作用のあることは周知の事実である。
【0009】
ところで、シリコンを用い、PN接合を形成して作製される太陽電池の動作原理は、概略次のようなものであると考えられる。太陽電池は光を吸収し、吸収した光のエネルギ−によって電子・正孔の電荷を発生させる。発生した電荷は、接合電界によるドリフトと、拡散によって電子はN層側に、正孔はP層側に向かって移動するが、シリコン中に欠陥準位が多い場合、途中で該欠陥準位にトラップされ消滅してしまう。すなわち、光電変換特性が低下してしまう。電子・正孔が発生し、消滅するまでの時間は寿命時間、またはライフタイムと呼ばれ、太陽電池においては、この値が大きい方が望ましい。したがって、本来シリコン中には欠陥準位を生成する重金属元素は極力少なくすることが必要であった。
【0010】
本発明の目的は、上記触媒材料によるシリコンの結晶化の長所を生かすと共に、結晶化した後には、不要となった触媒材料を除去して、光電変換特性の優れた太陽電池を得ることにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本明細書で開示する薄膜太陽電池の作製方法は、基板上に形成された非晶質シリコンと、該非晶質シリコンの結晶化を促進する触媒材料となる金属元素を用い、加熱処理により得られた結晶性シリコン膜を用いて薄膜太陽電池を作製するために、該結晶性シリコン膜中に残留する前記金属元素を除去し、その濃度を低下させることを特徴とする。また、本明細書で開示する薄膜太陽電池は、結晶性シリコン中の前記金属元素の濃度が低いことを特徴とする
【0012】
シリコンの結晶化を助長する金属元素としては、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、白金(Pt)、から選ばれた一種または複数種類の元素を用いることができる。この金属元素の中で、特にニッケルを用いた場合、その効果や再現性の点で非常に有用である。上記のような触媒元素を用いて、シリコンを結晶化させた場合、その結晶構造はしばしば針状結晶となる。
【0013】
半導体技術において、シリコン中のリンによる不純物金属元素の偏析の効果はゲッタリング技術として知られているが、本発明における実験の結果、前記金属元素を、結晶性シリコンで構成した光電変換層の領域外に偏析させるには、該光電変換層を構成する領域に接して、リン(P)が添加されたシリコン膜や酸化シリコン膜を形成し、加熱処理を加えることで実現することが可能であった。このときの加熱処理温度は、前記非晶質シリコン膜が結晶化する程度の温度で可能であった。したがって、結晶化の工程において同時に行うこともできるし、結晶化後に加熱処理を行うことでも、同様な効果が得られた。
【0014】
また、リンが添加された層の形成方法には、イオン注入法やプラズマド─ピング法等で直接前記非晶質シリコンまたは結晶性シリコン中に注入し、形成することも可能であり、同様に前記金属元素を偏析させることができた。
【0015】
以下に本明細書で開示する発明の概要を示す。
本発明に係る薄膜太陽電池の構成は、
基板上に少なくとも非晶質シリコンと、該非晶質シリコンに密接して形成されたシリコンの結晶化を促進させる金属元素とが設けられ、
前記非晶質シリコンと前記金属元素とに加熱処理を加えて形成された、結晶性シリコンを用いた薄膜太陽電池において、
前記結晶性シリコンは前記触媒元素を含み、該触媒元素の濃度は、5×1018/cm3 以下であることを特徴とする。
【0016】
また、他の発明に係る薄膜太陽電池の構成は、
基板上に少なくとも実質的に真正な第1の結晶性シリコンと、一導電型の第2の結晶性シリコン膜とを有する薄膜太陽電池において、
前記第1の結晶性シリコン膜は、シリコンの結晶化を促進させる金属元素を含み、該金属元素の濃度が、5×1018/cm3 以下であることを特徴とする。
【0017】
また、他の発明に係る薄膜太陽電池の構成は、
基板上に少なくとも実質的に真正な第1の結晶性シリコン膜と、一導電型の第2の結晶性シリコン膜とを有する薄膜太陽電池において、
前記第1の結晶性シリコン膜内のシリコンの結晶化を促進させる金属元素の濃度は5×1018/cm3 以下であり、かつ前記第2の結晶性シリコン膜内の前記金属元素の濃度は前記第1の結晶性シリコン膜中の濃度より高いことを特徴とする。
【0018】
更に、本発明に係る薄膜太陽電池の作製方法の構成は、
基板上に非晶質シリコン膜を形成する工程と、
前記非晶質シリコン膜の表面に、シリコンの結晶化を促進させる金属元素を接して保持させる工程と、
前記非晶質シリコン膜に加熱処理を施し、結晶性シリコン膜を得る工程と、
前記結晶性シリコン膜に密接して、リンが添加されたシリコン膜を形成する工程と、
前記結晶性シリコン膜と、前記リンが添加されたシリコン膜とに加熱処理を施す工程と、
を有することを特徴とする薄膜太陽電池の作製方法。
【0019】
他の発明に係る薄膜太陽電池の作製方法の構成は、
基板上に非晶質シリコン膜を形成する工程と、
前記非晶質シリコン膜の表面にシリコンの結晶化を促進させる金属元素を接して保持させる工程と、
前記非晶質シリコン膜に加熱処理を施し、結晶性シリコン膜を得る工程と、
前記結晶性シリコン膜に密接して、リンが添加された、酸化シリコン膜を形成する工程と、
前記結晶性シリコン膜と、リンが添加された酸化シリコン膜とに加熱処理を施す工程と、
を有することを特徴とする。
【0020】
他の発明に係る薄膜太陽電池の作製方法の構成は、
基板上に、非晶質シリコン膜を形成する工程と、
前記非晶質シリコン膜の表面に、シリコンの結晶化を促進させる金属元素を接して保持させる工程と、
前記非晶質シリコン膜に加熱処理を施し、結晶性シリコン膜を得る工程と、
前記結晶性シリコン膜の表面とその近傍にリンを注入する工程と、
前記リンが注入された結晶性シリコン膜を加熱処理する工程と、
を有することを特徴とする薄膜太陽電池の作製方法。
【0021】
他の発明に係る薄膜太陽電池の作製方法の構成は、
基板上に、非晶質シリコン膜を形成する工程と、
前記非晶質シリコン膜の表面に、シリコンの結晶化を促進させる金属元素を接して保持させる工程と、
前記非晶質シリコン膜に加熱処理を施し、結晶性シリコン膜を得る工程と、
前記結晶性シリコン膜に密接して、少なくともリンを含有する半導体層または絶縁体層を形成する工程と、
前記結晶性シリコン膜と、少なくともリンを含有する半導体層または絶縁体層とに加熱処理を施す工程と、
前記結晶性シリコン膜の表面に化学エッチング処理を施し、凹凸化させる工程と、
を有することを特徴とする薄膜太陽電池の作製方法。
【0022】
他の発明に係る薄膜太陽電池の作製方法の構成は、
基板上にシリコンの結晶化を促進させる金属元素を形成する工程と、
前記シリコンの結晶化を促進する金属元素に密接して、非晶質シリコン膜を形成する工程と、
前記非晶質シリコン膜に加熱処理を施し、結晶性シリコン膜を得る工程と、
前記結晶性シリコン膜に密接して、少なくともリンを含有する半導体層または絶縁体層を形成する工程と、
前記結晶性シリコン膜と、少なくともリンを含有する半導体層または絶縁体層とに加熱処理を施す工程と、
を有することを特徴とする薄膜太陽電池の作製方法。
【0023】
なお、本明細書中で示す金属元素の濃度は、二次イオン質量分析法により測定された値であり、その中の最大値で定義される。
【0024】
【作用】
本発明の方法により、非晶質シリコンに触媒材料を添加し、加熱処理して得られた結晶性シリコン膜において、該結晶性シリコン膜の内部に残る前記触媒材料は、前記結晶性シリコン膜に密接して、リンを含有する半導体層または絶縁体層を設け、該リンを含有する半導体層または絶縁体層に、前記触媒材料を偏析させることにより、除去することができる。その結果、前記結晶性シリコン膜は、キャリアの寿命時間が増加し、良好な薄膜太陽電池の特性が得られる。
【0025】
【実施例】
〔実施例1〕 本実施例は、非晶質シリコン膜にシリコンの結晶化を促進する金属元素を密着し形成せしめ、加熱処理により前記非晶質シリコン膜を結晶化させ、結晶化後残存する該金属元素を該結晶性シリコン膜の外に除去して、薄膜太陽電池を作製する方法に関するものである。
【0026】
本実施例を図1を用いて説明する。ここでは、シリコンの結晶化を促進する触媒作用のある金属元素としてニッケルを用いた。まず、ガラス基板(例えばコーニング7059ガラス基板)101上に下地膜として、酸化シリコン膜102を0.3μmの厚さに成膜する。この酸化シリコン膜102は、四珪酸メチル(TEOS)を原料としたプラズマCVD法により成膜したが、他の方法としてスパッタ法でも形成可能である。次に、プラズマCVD法によって、シランガスを原料として、非晶質シリコン膜(アモルファスシリコン膜)103の成膜を行う。
【0027】
非晶質シリコン膜103の形成は、プラズマCVD法の他にも、減圧熱CVD法、スパッタ法、真空蒸着法を用いても良い。前記非晶質シリコン膜103は実質的に真正な非晶質シリコン膜でも良いし、ボロン(B)が0.001〜0.1原子%添加された非晶質シリコン膜であっても良い。また、非晶質シリコン膜103の厚さは、10μmとした。勿論この厚さは、必要とする厚さとすればよい。(図1(A))
【0028】
次に過水アンモニアに基板を浸し、70℃に5分間保つことにより、非晶質シリコン膜103の表面に酸化膜(図示せず)を形成する。この酸化膜は、後のニッケル酢酸塩溶液の塗布工程において、その濡れ性を改善させるために形成される。さらにニッケル酢酸塩溶液をスピンコート法により非晶質シリコン膜103の表面に塗布する。ニッケル元素は、非晶質シリコン膜103が結晶化する際に結晶化を助長する元素として機能する。
【0029】
次に窒素雰囲気中において、450℃の温度で1時間保持することにより、非晶質シリコン膜103中の水素を離脱させる。これは、非晶質シリコン膜103中に不対結合手を意図的に形成することにより、後の結晶化に際してのしきい値エネルギーを下げるためである。そして窒素雰囲気中において、550℃、4〜8時間の加熱処理を施すことにより、非晶質シリコン膜103を結晶化させて、結晶性シリコン膜104を形成する。この結晶化の際の温度を550℃とすることができたのは、ニッケル元素の作用によるものである。またこの結晶化された結晶性シリコン膜104中には、水素が0.001原子%〜5原子%の割合で含まれている。上記加熱処理中、ニッケル元素はあ非晶質シリコン膜103中を移動しながら、該シリコン膜103の結晶化を促進する。
【0030】
こうして、ガラス基板101上に結晶性シリコン膜104が形成された。次に、結晶性シリコン膜103上にリン・シリケ─ト・ガラス(PSG)105を形成した。PSG105は、常圧CVD法で、シラン、フォスフィン、酸素の混合ガスを用い、450℃の温度で形成した。PSG105のリン濃度は1〜30重量%、好ましくは7重量%とする。
【0031】
PSG105は、結晶性シリコン膜104中に残存するニッケルを、ゲッタリングするためのものであるが、450℃で前記PSG105を形成するだけでも、その効果があった。より効果的には、PSG105を形成した後に熱処理温度500〜800℃、好ましくは550℃で1〜4時間、窒素雰囲気中で加熱処理を加えると良い。この結果、結晶性シリコン膜104内のニッケル元素の濃度を5×1018/cm3 以下とすることができる。また、他の方法として、PSG105の替わりに、リンを0.1〜10wt%添加したシリコン膜を用いることも可能であり、同様な効果を得ることができる。(図1(B))
【0032】
その後、PSG105をフッ化水素水溶液を用いてエッチングして、除去した。これによって、基板101の主表面上に結晶性シリコン膜104の表面が露呈される。この表面にN型結晶性シリコン膜106を形成する。N型結晶性シリコン膜106はプラズマCVD法を用いて形成しても良いし、減圧熱CVD法を用いて形成しても良い。該N型結晶性シリコン膜106は0.02〜0.2μmの厚さで形成すると良いが、本実施例では、0.1μmの厚さに形成する。
次いで、N型結晶性シリコン膜106上に、透明電極107を形成した。透明電極106は、スパッタ法を用いて、酸化インジウム・スズ合金(ITO)を0.08μmの厚さに形成する。(図1(C))
【0033】
次に、取り出し電極108、109を設ける工程を行う。取り出し電極108、109を設けるに当たっては、図1(E)に示すように、透明電極106、N型結晶性シリコン105、結晶性シリコン103の一部を除去する。そしてスパッタ法や真空蒸着法によりアルミニウムや銀等の金属膜を形成して、パターニングして、結晶性シリコン膜104上にプラス側の電極108を設け、透明電極106上にマイナス側の電極109を形成する、なお、取り出し電極108、109はアルミニウムや銀、または、銀ペ─スト等を用いて形成することが可能である。
【0034】
さらに、取り出し電極108、109を設けた後、150℃〜300℃で数分間熱処理すると、結晶性シリコン膜104と下地膜の酸化シリコン膜102との密着性が良くなり、良好な電気的特性が得られる。本実施例では、オ─ブンを用い、窒素雰囲気中で200℃、30分間の熱処理を行った。
以上の工程により、薄膜太陽電池を完成することができた。
【0035】
〔実施例2〕 本実施例の薄膜太陽電池の作製方法では、シリコンの結晶化を促進する金属元素を結晶化後除去する工程において、結晶性シリコン膜の表面に、リンをプラズマド─プ法で注入する方法を採用する。
【0036】
本実施例を図2を用いて説明する。ここでは、シリコンの結晶化を促進する触媒作用のある金属元素としてニッケルを用いた。まず、ガラス基板(例えばコーニング7059ガラス基板)201上に下地膜として、酸化シリコン膜202を0.3μmの厚さに成膜する。この酸化シリコン膜は、四珪酸メチル(TEOS)を原料としたプラズマCVD法により成膜したが、他の方法としてスパッタ法でも形成可能である。次に、プラズマCVD法によって、シランガスを原料として、非晶質シリコン膜203の成膜を行う。非晶質シリコン膜203の形成は、プラズマCVD法の他にも、減圧熱CVD法、スパッタ法、真空蒸着法を用いても良い。非晶質シリコン膜203は、実質的に真正な非晶質シリコン膜でも良いし、ボロン(B)が0.001〜0.1原子%添加された非晶質シリコン膜203であっても良い。また、非晶質シリコン膜203の厚さは、20μmとした。勿論この厚さは、必要とする厚さとすればよい。(図2(A))
【0037】
次に過水アンモニアに基板を浸し、70℃に5分間保つことにより、非晶質シリコン膜203の表面に酸化膜(図示せず)を形成する。この酸化膜は、後のニッケル酢酸塩溶液の塗布工程において、その濡れ性を改善させるために形成される。ニッケル酢酸塩溶液をスピンコート法により非晶質シリコン膜203の表面に塗布する。ニッケル元素は、非晶質シリコン膜203が結晶化する際に結晶化を助長する元素として機能する。
【0038】
次に窒素雰囲気中において、450℃の温度で1時間保持することにより、非晶質シリコン膜203中の水素を離脱させる。これは、非晶質シリコン膜203中に不対結合手を意図的に形成することにより、後の結晶化に際してのしきい値エネルギーを下げるためである。そして窒素雰囲気中において、550℃、4〜8時間の加熱処理を施すことにより、非晶質シリコン膜203を結晶化させて、結晶性シリコン膜204を得る。
【0039】
この結晶化の際の温度を550℃とすることができたのは、ニッケル元素の作用によるものである。また結晶性シリコン膜204中には、素が0.001原子%〜5原子%の割合で含まれている。上記加熱処理中、ニッケル元素はシリコン膜中を移動しながら、非晶質シリコン膜203の結晶化を促進する。こうして、ガラス基板201上に結晶性シリコン膜204を得ることができる。
【0040】
この状態において、プラズマド─ピング法により、リン(P)イオンを注入する。ド─ズ量は1×1014〜1×1017個/cm2 で良いが、ここでは、1×1016個/cm2 とする。加速電圧は、20keVとした。このド─ピング処理によって、結晶性シリコン膜204の表面から深さ0.1〜0.2μmの領域205にリンが高濃度に含まれる層が形成される。(図2(B))
【0041】
その後、結晶性シリコン膜204中に残存するニッケルをゲッタリングするために、熱処理を行った。熱処理温度500〜800℃、好ましくは550℃で1〜4時間、窒素雰囲気中で加熱処理を加えた。リンが注入された領域505は結晶が破壊されるので、イオン注入直後は実質的には非晶質構造となっているため、結晶性シリコン膜204内のニッケル元素がリンが注入された領域205に拡散されて、結晶性シリコン膜204内のニッケル元素の濃度を5×1018/cm3 以下とすることができる。また、リンが注入された領域205はニッケルをゲッタリングするための熱処理により結晶化されるため、N型の結晶性シリコン膜206に変成される。従ってこのN型の結晶性シリコン膜206を太陽電池のN型層として使用することができる。この状態では、N型の結晶性シリコン膜206はニッケル元素を比較的高濃度に含有しているが、太陽電池のN型層とする場合にはニッケル元素の影響は問題にならない。そして、N型の結晶性シリコン膜206の表面に、透明電極207としてITO膜を形成する。(図2(C))
【0042】
そして、取り出し電極208、209を形成するために、図2(D)に示すように、透明電極206、N型結晶性シリコン膜205、真性の結晶性シリコン204の一部を除去して、結晶性シリコン膜204の表面を部分的に露出させる。そしてスパッタ法や真空蒸着法によりアルミニウムや銀等の金属膜を形成して、パターニングして、結晶性シリコン膜204上にプラス側の電極208を設け、透明電極206上にマイナス側の電極208を形成する、
【0043】
さらに、取り出し電極208、209を設けた後、150℃〜300℃で数分間熱処理すると、結晶性シリコン膜204と下地膜の酸化シリコン膜202との密着性が良くなり、良好な電気的特性が得られる。本実施例では、オ─ブンを用い、窒素雰囲気中で200℃、30分間の熱処理を行った。以上の工程により、薄膜太陽電池を完成することができた。
【0044】
〔実施例3〕 本実施例の薄膜太陽電池の作製方法では、シリコンの結晶化を促進する金属元素を結晶化後除去する工程において、結晶性シリコン膜の表面に、リンをプラズマド─プ法で注入する方法を採用する。
【0045】
本実施例を図5を用いて説明する。実施例2と同様な条件で、ガラス基板201上に0.3μmの厚さの酸化シリコン膜502、ニッケル元素の触媒作用を利用して結晶化された結晶性シリコン膜503を順次に形成し、結晶性シリコン膜503にプラズマド─ピング法により、リン(P)イオンを注入して、結晶性シリコン膜503の表面から深さ0.1〜0.2μmの領域504にリンが注入されて、リンが高濃度に含まれる層が形成される。(図5(A))
【0046】
結晶性シリコン膜503中に残存するニッケルをゲッタリングするために、熱処理を行った。熱処理温度500〜800℃、好ましくは550℃で1〜4時間、窒素雰囲気中で加熱処理を加えた。結晶性シリコン膜503内のニッケル元素はリンが注入された領域に拡散されて、結晶性シリコン膜503内のニッケル元素の濃度を5×1018/cm3 以下とすることができる。また、リンが注入された領域はニッケルをゲッタリングするための熱処理により結晶化されるため、N型の結晶性シリコン膜505に変成される。(図5(A))
【0047】
実施例2のようにN型の結晶性シリコン膜504は太陽電池のN型層として使用することは可能だが、N型の結晶性シリコン膜505にはニッケルが偏析しているので、除去することがより望ましい。従って、本実施例では、N型の結晶性シリコン膜505を除去して、改めて太陽電池のN型層を形成する。
【0048】
N型の結晶性シリコン膜505を除去する方法としては、表面に薄く形成された、自然酸化膜をフッ化水素水溶液を用いてエッチングした後、ドライエッチング法により、六フッ化硫黄、三フッ化窒素を用いて除去した。これによって、基板201の主表面上に結晶性シリコン膜503の表面が露呈した。この表面に、N型結晶性シリコン膜506を形成した。N型結晶性シリコン膜506は、プラズマCVD法を用いて形成しても良いし、減圧熱CVD法を用いて形成しても良い。該N型結晶性シリコン膜506は、0.02〜0.2μmの厚さで形成すると良いが、本実施例では、0.1μmの厚さに形成し、次いで、N型結晶性シリコン膜506上に、透明電極507として、スパッタ法を用いて、酸化インジウム・スズ合金(ITO)を0.08μmの厚さに形成する。(図5(B))
【0049】
取り出し電極508、509を設ける工程を行う。取り出し電極508、509を設けるに当たっては、図5(C)に示すように、透明電極507、N型結晶性シリコン506、結晶性シリコン503の一部を除去する。そしてスパッタ法や真空蒸着法によりアルミニウムや銀等の金属膜を形成して、パターニングして、結晶性シリコン膜503上にプラス側の電極508を設け、透明電極506上にマイナス側の電極509を形成する、なお、取り出し電極508、509はアルミニウムや銀、または、銀ペ─スト等を用いて形成することが可能である。
【0050】
さらに、取り出し電極508、509を設けた後、150℃〜300℃で数分間熱処理すると、結晶性シリコン膜503と下地膜の酸化シリコン膜502との密着性が良くなり、良好な電気的特性が得られる。本実施例では、オ─ブンを用い、窒素雰囲気中で200℃、30分間の熱処理を行った。
以上の工程により、薄膜太陽電池を完成することができた。
【0051】
〔実施例4〕
本実施例では、実施例1又は実施例3で示した薄膜太陽電池の工程において、結晶性シリコン膜の表面を異方性エッチング処理し、図3に示すような、太陽電池のI層の表面を凹凸化させた例を示す。表面を凹凸化させ、太陽電池の表面反射を少なくする技術はテクスチャ─処理と呼ばれている。
【0052】
ガラス基板(例えばコーニング7959ガラス基板)301上に下地膜302として、酸化シリコン膜を0.3μmの厚さに形成した。この酸化シリコン膜は、四珪酸メチル(TEOS)を原料としたプラズマCVD法により成膜したが、他の方法としてスパッタ法でも形成可能である。次に、プラズマCVD法によって、非晶質シリコン膜の成膜を行った。非晶質シリコン膜の形成は、プラズマCVD法の他にも、減圧熱CVD法、スパッタ法、真空蒸着法を用いても良い。前記非晶質シリコン膜は、実質的に真正な非晶質シリコン膜でも良いし、ボロン(B)が0.001〜0.1%添加された非晶質シリコン膜であっても良い。また、非晶質シリコン膜の厚さは、20μmとした。勿論この厚さは、必要とする厚さとすればよい。
【0053】
次に過水アンモニアに基板を浸し、70℃に5分間保つことにより、非晶質シリコン膜の表面に酸化膜を形成する。この酸化膜は、後のニッケル酢酸塩溶液の塗布工程において、その濡れ性を改善させるために形成される。さらにニッケル酢酸塩溶液をスピンコート法により非晶質シリコン膜の表面に塗布する。ニッケル元素は、非晶質シリコン膜が結晶化する際に結晶化を助長する元素として機能する。
【0054】
次に窒素雰囲気中において、450℃の温度で1時間保持することにより、非晶質シリコン膜中の水素を離脱させる。これは、非晶質シリコン膜中に不対結合手を意図的に形成することにより、後の結晶化に際してのしきい値エネルギーを下げるためである。そして窒素雰囲気中において、550℃、4〜8時間の加熱処理を施すことにより、非晶質シリコン膜を結晶化させて、結晶性シリコン膜303を得る。この結晶化の際の温度を550℃とすることができたのは、Ni元素の作用によるものである。またこの結晶化された結晶性シリコン膜303中には、水素が0.001原子%〜5原子%の割合で含まれている。上記加熱処理中、ニッケル元素はシリコン膜中を移動しながら、シリコン膜の結晶化を促進する。
【0055】
こうして、ガラス基板301上に結晶性シリコン膜303を得ることができた。次に、該結晶性シリコン膜303中に残存するニッケルを除去するための、ゲッタリング処理をおこなった。ゲッタリング処理を行う方法としては、結晶性シリコン膜303上にリン・シリケ─ト・ガラス(PSG)を形成する方法でも良いし、または、結晶性シリコン膜303の表面にリンをイオン注入して行う方法でも良い。
【0056】
リン・シリケ─ト・ガラス(PSG)を形成する方法では、該リン・シリケ─ト・ガラス膜を常圧CVD法で、シラン、フォスフィン、酸素の混合ガスを用い、450℃の温度で形成した。ゲッタリング処理は、550℃で1〜4時間、窒素雰囲気中で加熱処理を加えて行った。その後、前記リン・シリケ─ト・ガラスは、フッ化水素水溶液を用いてエッチングし、除去することが望ましい。
結晶性シリコン膜303の表面にリンをイオン注入する方法では、リンの注入をプラズマド─ピング法により行うことができる。ド─ズ量は、1×1014〜1×1017個/cm2 で良いが、ここでは、1×1016個/cm2 とした。加速電圧は、20keVとした。この処理によって、結晶性シリコン膜の表面から深さ方向に対して、0.1〜0.2μmの領域に、リンが高濃度に含まれる層が形成された。その後、結晶性シリコン膜中に残存するニッケルをゲッタリングするために、熱処理を行った。熱処理温度は500〜800℃、好ましくは550℃で1〜4時間、窒素雰囲気中で加熱処理を加えた。
【0057】
ゲッタリング処理終了後、ニッケルをゲッタリングした膜(PSG、リンが注入されたシリコン膜)を除去して、結晶性シリコン膜303の表面にテクスチャ─処理を加えた。テクスチャ─処理は、ヒドラジン、もしくは水酸化ナトリウムの水溶液を用いて行うことができる。以下には水酸化ナトリウムを用いた場合について示す。
【0058】
テススチャ─処理は、水酸化ナトリウム濃度が2%の水溶液を80℃に加熱して行った。この条件で、本実施例で用いた結晶性シリコン膜303のエッチング速度は約1μm/分が得られた。エッチングは5分間行い、その後反応を瞬時に止めるために沸騰水に浸漬し、さらに流水で十分洗浄した。このテクスチャ─処理後の結晶性シリコン膜303の表面を電子顕微鏡で観察すると、ランダムではあるが0.1〜5μm程度の凹凸観察された。
【0059】
この表面に、N型結晶性シリコン膜304を形成した。N型結晶性シリコン膜304は、プラズマCVD法を用いて形成しても良いし、減圧熱CVD法を用いて形成しても良い。該N型結晶性シリコン膜304は、0.02〜0.2μmの厚さで形成すると良いが、本実施例では、0.1μmの厚さに形成した。
【0060】
次いで、前記N型結晶性シリコン膜304上に透明電極305を形成した。透明電極305は、スパッタ法を用いて、酸化インジウム・スズ合金(ITO)を0.08μmの厚さに形成した。最後に、取り出し電極を設ける工程を行った。取り出し電極を設けるに当たっては、図3に示す構造となるように、透明電極、N型結晶性シリコン、結晶性シリコンの一部を除去し後に、透明電極304上にマイナス側の電極306と、結晶性シリコン膜303上にプラス側の電極306を設けた。取り出し電極306は、スパッタ法や真空蒸着法で形成される、アルミニウムや銀、または、銀ペ─スト等を用いて形成可能である。さらに、電極306を設けた後、150℃〜300℃で数分間熱処理すると、結晶性シリコン膜303と下地膜302との密着性が良くなり、良好な電気的特性が得られる。本実施例では、オ─ブンを用い、窒素雰囲気中で200℃、30分間の熱処理を行った。
以上の工程により、表面にテクスチャ−構造を有する、薄膜太陽電池が得られた。
【0061】
〔実施例5〕
本実施例では、図4に示すような、シリコンの結晶化を促進する金属元素による被膜を基板上に形成し、該金属元素による被膜上に非晶質シリコン膜を密着して形成し、加熱処理により前記非晶質シリコン膜を結晶化させ、結晶化後、該結晶性シリコン膜中に拡散した前記金属元素を除去して薄膜太陽電池を作製する技術を示す。
【0062】
まず、基板上にシリコンの結晶化を促進する金属元素の被膜の形成を行った。該金属元素としてニッケルを用いた。まず、ガラス基板(例えばコーニング7059ガラス基板)401上に下地膜402として、酸化シリコン膜を0.3μmの厚さに成膜する。この酸化シリコン膜は、四珪酸メチル(TEOS)を原料としたプラズマCVD法により成膜したが、他の方法としてスパッタ法でも形成可能である。次に、該基板上に、ニッケル膜407を形成した。ニッケル膜は、純ニッケルのタブレットを用い、電子ビ─ム真空蒸着法により、0.1μmの厚さに形成した。次に、プラズマCVD法によって、非晶質シリコン膜(アモルファスシリコン膜)の成膜を行う。非晶質シリコン膜の形成は、プラズマCVD法の他にも、減圧熱CVD法、スパッタ法、真空蒸着法を用いても良い。前記非晶質シリコン膜は、実質的に真正な非晶質シリコン膜でも良いし、ボロン(B)が0.001〜0.1原子%添加された非晶質シリコン膜であっても良い。また、非晶質シリコン膜の厚さは、10μmとした。勿論この厚さは、必要とする厚さとすればよい。
【0063】
次に窒素雰囲気中において、450℃の温度で1時間保持することにより、非晶質シリコン膜中の水素を離脱させる。これは、非晶質シリコン膜中に不対結合手を意図的に形成することにより、後の結晶化に際してのしきい値エネルギーを下げるためである。そして窒素雰囲気中において、550℃、4〜8時間の加熱処理を施すことにより、非晶質シリコン膜を結晶化させて、結晶性シリコン膜403を得る。この結晶化の際の温度を550℃とすることができたのは、ニッケル元素の作用によるものである。またこの結晶化された結晶性シリコン膜403中には、水素が0.001原子%〜5原子%の割合で含まれている。上記加熱処理中、前記非晶質シリコン膜の下に設けたニッケル膜から、微量のニッケル元素はシリコン膜中に拡散し、シリコン膜中を移動しながら、該結晶性シリコン膜の結晶化を促進する。
【0064】
こうして、ガラス基板上に結晶性シリコン膜403を形成した。次に、該結晶性シリコン膜403上にリン・シリケ─ト・ガラス(PSG)を形成した。リン・シリケ─ト・ガラス(PSG)は、常圧CVD法で、シラン、フォスフィン、酸素の混合ガスを用い、450℃の温度で形成した。リン・シリケ─ト・ガラスのリン濃度は1〜30wt%、好ましくは7wt%とした。リン・シリケ─ト・ガラスは、結晶性シリコン膜403中に残存するニッケルを、ゲッタリングするためのものであるが、450℃で前記リン・シリケ─ト・ガラスを形成するだけでも、その効果があった。さらに、効果的には、熱処理温度500〜800℃、好ましくは550℃で1〜4時間、窒素雰囲気中で加熱処理を加えると良い。また、他の方法として、リン・シリケ─ト・ガラスの替わりに、リンを0.1〜10wt%添加したシリコン膜を用いることも可能であり、同様な効果を得ることができる。
【0065】
その後、リン・シリケ─ト・ガラスは、フッ化水素水溶液を用いてエッチングし、除去した。これによって、基板401の主表面上に結晶性シリコン膜403の表面が露呈した。この表面に、N型結晶性シリコン膜404を形成した。N型結晶性シリコン膜404は、プラズマCVD法を用いて形成しても良いし、減圧熱CVD法を用いて形成しても良い。該N型結晶性シリコン膜404は0.02〜0.2μmの厚さで形成すると良いが、本実施例では、0.1μmの厚さに形成した。
【0066】
次いで、前記N型結晶性シリコン膜404上に透明電極405を形成した。透明電極405は、スパッタ法を用いて、酸化インジウム・スズ合金(ITO)を0.08μmの厚さに形成した。最後に、取り出し電極406を設ける工程を行った。取り出し電極406を設けるに当たっては、透明電極405上にマイナス側の電極と、透明電極405、N型結晶性シリコン404、結晶性シリコン403を除去して、ニッケル膜407を露呈させ、プラス側の電極を設けた。取り出し電極406は、スパッタ法や真空蒸着法で形成される、アルミニウムや銀、または、銀ペ─スト等を用いて形成可能である。さらに、電極406を設けた後、150℃〜300℃で数分間熱処理すると、下地膜との密着性が良くなり、良好な電気的特性が得られる。本実施例では、オ─ブンを用い、窒素雰囲気中で200℃、30分間の熱処理を行った。
以上の工程により、薄膜太陽電池が完成することができた。
【0067】
【発明の効果】
本発明による薄膜太陽電池の作製方法は、非晶質シリコン膜を加熱処理して結晶化させる工程において、ニッケル等の触媒材料を用いる事により、従来よりも低い加熱処理温度で結晶性シリコン膜を得ることができる。さらに加えて、得られた結晶性シリコン膜中に残留した、前記触媒材料の濃度を低くすることを可能にした。その結果、安価なガラス基板を用いて、しかも光電変換特性の優れた薄膜太陽電池を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1の薄膜太陽電池の作製方法の概略図である。
【図2】 実施例2の薄膜太陽電池の作製方法の概略図である。
【図3】 実施例4の薄膜太陽電池の断面構造の一例を示す図
【図4】 実施例5の薄膜太陽電池の断面構造の一例を示す図
【図5】 実施例3の薄膜太陽電池の作製方法の概略図である。
【符号の説明】
101 ・・・・・・ 基板
102 ・・・・・・ 酸化シリコン膜
103 ・・・・・・ 非晶質シリコン膜
104 ・・・・・・ 結晶性シリコン膜
105 ・・・・・・ リン・シリケ─ト・ガラス
106 ・・・・・・ N型シリコン膜
107 ・・・・・・ 透明電極
108、109・・・ 取り出し電極
Claims (11)
- ガラス基板上に非晶質シリコン膜を形成し、
前記非晶質シリコン膜にシリコンの結晶化を促進させる元素を保持させ、
前記非晶質シリコン膜を加熱して結晶性シリコン膜を形成し、
前記結晶性シリコン膜の一部にリンを注入し、
前記結晶性シリコン膜を加熱し、
前記結晶性シリコン膜中に存在する前記シリコンの結晶化を促進する物質を前記リンを注入した部分へ移動させ、
前記シリコンの結晶化を促進する物質を移動させた後、前記リンを注入した部分を除去することを特徴とする結晶性シリコン膜の作製方法。 - ガラス基板上に非晶質シリコン膜を形成し、
前記非晶質シリコン膜にシリコンの結晶化を促進させる元素を保持させ、
前記非晶質シリコン膜を加熱して結晶性シリコン膜を形成し、
前記結晶性シリコン膜の一部にリンを注入し、
前記結晶性シリコン膜を加熱し、
前記結晶性シリコン膜中に存在する前記シリコンの結晶化を促進する物質を前記リンを注入した部分へ移動させ、
前記結晶性シリコン膜は太陽電池に用いられることを特徴とする結晶性シリコン膜の作製方法。 - ガラス基板上に非晶質シリコン膜を形成し、
前記非晶質シリコン膜にシリコンの結晶化を促進させる元素を保持させ、
前記非晶質シリコン膜を加熱して結晶性シリコン膜を形成し、
前記結晶性シリコン膜の表面とその近傍にリンを注入し、
前記結晶性シリコン膜を加熱し、前記結晶性シリコン膜中に存在する前記シリコンの結晶化を促進する物質をゲッタリングし、
前記シリコンの結晶化を促進する物質をゲッタリングした後、前記リンを注入した部分を除去することを特徴とする結晶性シリコン膜の作製方法。 - ガラス基板上に非晶質シリコン膜を形成し、
前記非晶質シリコン膜にシリコンの結晶化を促進させる元素を保持させ、
前記非晶質シリコン膜を加熱して結晶性シリコン膜を形成し、
前記結晶性シリコン膜の表面とその近傍にリンを注入し、
前記結晶性シリコン膜を加熱し、前記結晶性シリコン膜中に存在する前記シリコンの結晶化を促進する物質をゲッタリングし、
前記結晶性シリコン膜は太陽電池に用いられることを特徴とする結晶性シリコン膜の作製方法。 - 前記リンを注入していない部分の前記結晶性シリコン膜中の前記シリコンの結晶化を促進する元素の濃度は、前記結晶性シリコン膜を加熱した後は、5×1018/cm3以下であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一に記載の結晶性シリコン膜の作製方法。
- 前記シリコンの結晶化を促進する元素はFe、Co、NiまたはPtであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一に記載の結晶性シリコン膜の作製方法。
- 前記非晶質シリコン膜の加熱は、550℃、4〜8時間の条件で行うことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一に記載の結晶性シリコン膜の作製方法。
- 前記結晶性シリコン膜の加熱は、500℃〜800℃で行うことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一に記載の結晶性シリコン膜の作製方法。
- 前記非晶質シリコン膜にはボロンが0.001〜0.1%の濃度で含まれていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一に記載の結晶性シリコン膜の作製方法。
- 前記リンの注入はドーズ量を1×1014〜1×1017cm−2、加速電圧を20keVにして行うことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一に記載の結晶性シリコン膜の作製方法。
- 前記リンの注入は、プラズマド─ピング法により行うことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一に記載の結晶性シリコン膜の作製方法。
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