JP4063228B2 - マイクロリレー - Google Patents

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Description

本発明は、マイクロリレーに関するものである。
従来から、静電駆動型のマイクロリレーに比べて駆動力を大きくできるマイクロリレーとして、電磁石装置の電磁力を利用してアマチュアを駆動し接点を開閉するようにしたマイクロリレーが知られている(例えば、特許文献1参照)。
ここにおいて、上記特許文献1に開示されたマイクロリレーは、厚み方向の一表面側において長手方向の両端部に各一対の固定接点が設けられ且つ2つの電磁石装置が挿入される2つの挿入孔が長手方向に離間して形成された矩形板状のセラミック基板からなるベース基板と、矩形枠状のフレーム部およびフレーム部の内側に配置されて一対の枢支部を介してフレーム部に揺動自在に支持され各電磁石装置に対向する部位それぞれに永久磁石が設けられたアマチュアおよびアマチュアの両端部に固着された可動接点を有するアマチュアブロックと、ベース基板の周部とアマチュアブロックのフレーム部との間に介在する矩形枠状のスペーサとを備えている。なお、上記特許文献1に開示されたマイクロリレーでは、静電駆動型のマイクロリレーに比べて駆動力を大きくできるので、接点圧を大きくできて耐衝撃性および信頼性を高めることができるという利点や、アマチュアの駆動ストロークを大きくできて接点開成時の可動接点と固定接点との間の距離を大きくすることができて高周波特性(アイソレーション特性)の向上を図れるという利点や、低電圧駆動が可能となるという利点などがある。
ところで、上記特許文献1に開示されたマイクロリレーでは、アマチュアにおいて各電磁石装置との対向面に2つの永久磁石を設けてあり、ベース基板の周部とアマチュアブロックのフレーム部との間に厚み寸法の比較的大きなスペーサを介在させる必要があるので、リレー全体としての厚み寸法が大きくなってしまうという問題があった。
そのような問題を解決するためにリレー全体の薄型化が可能な図10(a)(b)に示すような電磁石装置2が提案されている。
この電磁石装置2のヨーク20は電磁軟鉄などの鉄板を曲げ加工、鋳造加工、プレス加工等により加工してU字型としたものであって、中央片の両端側をそれぞれコイル巻回部20aとして、その長手方向の両端部にそれぞれコイル22,22を直接巻回するとともに、両コイル22,22間に矩形板状の磁気保持用の永久磁石21を配置し、長手方向の両端の脚片20b、20bの先端はアマチュアに近づく向きに延設され、その先端をコイル22,22への励磁電流に応じて互いの異極に励磁される磁極面としてある。また永久磁石21との対向面とは反対側には中央片の長手方向と直交するように配置したプリント基板23を固着している。永久磁石21は、コイル巻回部20aとの重ね方向(厚み方向)の両面それぞれの磁極面21a,21bが異極に着磁されており、一方の磁極面21bがヨーク20の中央片の一面に当接し、他方の磁極面21aがヨーク20の両脚片20b,20bの先端面と同一平面上に位置するように厚み寸法を設定してある。
特開平5−114347号公報(段落番号〔0033〕−〔0036〕、図11−図13参照)
上記図10(a)(b)に示す電磁石装置2はヨーク20の脚片20b,20b間に永久磁石21を配置する構成とすることで、上述の問題を解決してリレー全体の薄型化を可能とするものの、全体が微小な構成であるため、組み込み工程等においてヨーク20の脚片20bを介してコイル22,22が脱落しほどけてしまうという課題があった。
本発明は、上記の課題に鑑みて為されたもので、その目的とするところはリレー全体の薄型化が可能な電磁石装置を用いるマイクロリレーにおいて、電磁石装置のヨークに巻回するコイルが組み込み工程等でヨークから脱落するのを防げるマイクロリレーを提供することにある。
上記の目的を達成するために、請求項1の発明では、ヨークに巻回されたコイルへの励磁電流に応じて磁束を発生する電磁石装置を設けるとともに厚み方向の一表面側に固定接点を設けたベース基板と、半導体基板を半導体微細加工プロセスにより加工することによって形成するアマチュアブロックであって、ベース基板の前記一表面側に固着されるフレーム部およびフレーム部の内側に配置されてフレーム部に揺動自在に支持され電磁石装置により駆動されるアマチュアおよびアマチュアに接圧ばね部を介して支持され可動接点が設けられた可動接点基台部を有するアマチュアブロックとからなり、前記ヨークは、前記コイルが巻回されるコイル巻回部と、コイル巻回部の両端部それぞれから前記アマチュアに近づく向きに延設され前記コイルへの励磁電流に応じて互いの先端の磁極面が異極に励磁される一対の脚片とを備えるとともに、前記ヨークにおける前記アマチュア側とは反対側の面の四隅それぞれから突出形成され、前記コイルの脱落規制および組み込み工程における前記電磁石装置の搬送時やパーツフィーダでの移送時の位置決めに用いられる凸部を備えていることを特徴とする。
請求項1の発明によればヨークのコイル巻回部の巻回されているコイルが組み込み時などにおいて脚片側へ移動するのをコイル脱落規制用の凸部で規制し、コイルがヨークから脱落してほどけるのを防止することができる。
凸部をコイル脱落の規制の他に、組み込み工程において電磁石装置を搬送する際やパーツフィーダからの移送時の位置決め用として用いることができる。
請求項の発明では、請求項1の発明において、前記ヨークと前記アマチュアとにより形成される磁路中に設けられる磁気保持用の永久磁石を収納配置する凹部を前記アマチュア側の前記ヨーク表面に形成していることを特徴とする。
請求項の発明によれば、永久磁石の配置スペースを限られたスペースの中で大きくとれ、そのため大型で吸引力の大きな永久磁石の使用を可能とし、しかも永久磁石の配置位置の位置決めが行える。
請求項の発明では、請求項の発明において、前記ヨークに配置された永久磁石及びヨークの露出表面を樹脂コーティングして前記永久磁石の両側の前記ヨークの部位を前記コイル巻回部としたことを特徴とする。
請求項の発明によれば、ヨーク及び永久磁石の絶縁が図れるとともに、ヨーク及び永久磁石の錆発生を防ぐことができ、さらにヨークや永久磁石の縁部に発生したばりによるコイルの巻線切れを防ぐこともでき、またヨークの脚片と永久磁石の端面とがコイルボビンの鍔部として機能するためコイルボビンを用いなくても巻回が容易に行え、しかもコイルボビンが不要であるため、電磁石装置の小型化が可能となる。
請求項の発明では、請求項の発明において、前記ヨークの脚片の磁極面及び永久磁石の磁極面部位の前記樹脂コーティングを研磨除去して外部に臨ませるとともに、高さ位置を同一高さとしていることを特徴とする。
請求項の発明によれば、ヨークの磁極面と永久磁石の磁極面の高さ位置のずれをなくしてアマチュアとのギャップの増加を防ぐことができる。
請求項の発明では、請求項乃至の何れかの発明において、前記永久磁石が矩形板状であって、表面側の四隅の角部を曲面としていることを特徴とする。
請求項の発明によれば、コイルの巻回時に巻線が角部に引っかかって断線するのを防ぐことができる。
請求項の発明では、請求項1乃至の何れかの発明において、前記ヨークの各角部を曲面としたことを特徴とする
請求項の発明によれば、コイルの巻回時に、巻線がヨークの角部やそれに生じたばりに引っかかって断線するのを防ぐことができる。
請求項の発明では、請求項1乃至の何れかの発明において、前記ヨークの脚片の磁路断面積を、両脚片間の部位の磁路断面積よりも大きくしていることを特徴とする。
請求項の発明によれば、ヨークの製作時に生じる磁極面部位のだれ等の影響を排除して必要な磁路断面積を確保することができ、その結果磁束が飽和することなく所定の吸引力を得ることができる。
請求項の発明では、請求項1乃至の何れかの発明において、前記ヨークの両端外面に、前記両脚片の外側面より外方向に突出した突部を形成していることを特徴とする。
請求項の発明によれば、突部をコイルを巻回する際のつかみ部として用いることができ、またヨークをプレス加工する場合のつなぎ部として使用することができる。
本発明は、電磁石装置の構造が、リレー全体としての厚み寸法を小さくして薄型化を可能するものであって、しかも電磁石装置のヨークのコイル巻回部の巻回されているコイルが組み込み時などにおいて脚片側へ移動するのをコイル脱落規制用の凸部で規制し、コイルがヨークから脱落してほどけるのを防止し、不良品発生を少なくすることができるという効果がある。また、凸部をコイル脱落の規制の他に、組み込み工程において電磁石装置を搬送する際やパーツフィーダからの移送時の位置決め用として用いることができるという効果がある。
基本形態
以下、本基本形態のマイクロリレーについて図1〜図を参照しながら説明する。
基本形態のマイクロリレーは、図2に示すようにヨーク20に巻回されたコイル22,22への励磁電流に応じて磁束を発生する電磁石装置2と、矩形板状のガラス基板からなり厚み方向の一面側において長手方向の両端部それぞれに各一対の固定接点14が設けられたベース基板1と、ベース基板1の上記一表面側に固着される枠状(矩形枠状)のフレーム部31およびフレーム部31の内側に配置されて4本の支持ばね部32を介してフレーム部31に揺動自在に支持され電磁石装置2により駆動されるアマチュア30およびアマチュア30にそれぞれ2本の接圧ばね部35を介して支持されそれぞれ可動接点39が設けられた2つの可動接点基台部34を有するアマチュアブロック3と、アマチュアブロック3におけるベース基板1とは反対側で周部がフレーム部31に固着された矩形板状のガラス基板からなるカバー4とを備えている。
基本形態の電磁石装置2に用いるヨーク20は電磁軟鉄などの鉄板を略U字型に曲げ加工、鋳造加工、プレス加工等で加工することにより形成されており、先端面が磁極面となる両脚片20b,20bの断面を矩形状に形成している。そして図1(b)に示すようにアマチュア30と対向する中央片の中央部表面には矩形板状の永久磁石21を収納配置して接着等により固定する凹部20cを形成し、この凹部20cの両側をコイル22がそれぞれ直接巻回されるコイル巻回部20aとし、さらに長手方向の両端部の脚片20b、20bの基部に対応するヨーク20の両側側面には側方にコイル脱落規制用の凸部20dをそれぞれ形成してある。ここで上記凹部20cに図1(b)に示すように収納配置して接着等により固定する永久磁石21は、厚み方向の両面の磁極面21a,21bが異極に着磁されており、一方の磁極面21bがヨーク20の凹部20cの底面に当接し、他方の磁極面21aがヨーク20の両脚片20b,20bの先端面と同一高さ位置にとなるように厚み寸法を設定してある。なお、図1(b)中の矢印Aは永久磁石21の磁化方向を示している。また上記凹部20cとは反対側のヨーク20の中央片下面には中央片と直交するようにプリント基板23を固着している。
ここで永久磁石21のアマチュア30側に対向する上面、つまり磁極面21aの高さ位置を図10の場合と同じとした場合、凹部20cの凹み部分だけ厚い大型な永久磁石を使用することができ、吸引力の増大化を図ることができるのである。また凸部20dにより巻回しているコイル22が脚片20bへ移動するのを規制することができ、そのため組み込み工程等においてコイル22がヨーク20から脱落してほどけて不良品となるのを防ぐことができる。
ところでヨーク20のコイル巻回部20aは、永久磁石21をヨーク20に固着後、ヨーク20及び永久磁石21を樹脂コーティング(例えばポリイミド、フッ素樹脂、ポリアミドイミド、ポリパラキシリレン、更にはこれら樹脂の混合樹脂によるコーティング)し、このコーティングによって絶縁を図った後の、各脚片20bと永久磁石21との間で構成され、このとき脚片20bと永久磁石21の側面とがコイルボビンの鍔部として機能することになる。また樹脂コーティングによってヨーク20及び永久磁石21の錆を防ぐこともできる。またヨーク20や永久磁石の表面にできるばりを被覆することで、コイル22の巻回時に巻線が引っかかって断線するのを防止している。勿論予め永久磁石21の上面側の四隅の角部やヨーク20の角部をR面(曲面)に仕上げることで、コイル20の巻線の引っかかりによる断線防止効果を向上させることができる。尚ヨーク20の角部をR面とする場合にはケミカルエッチング等を用いる。
また永久磁石21の磁極面21aと脚片20bの先端の磁極面との高さ位置が図1(b)に示すように同じとなるようにそれぞれの部位の樹脂コーティングを研磨剥離しており、蓋体17とのギャップ、更にはアマチュア30とのギャップの増加を防いでいる。
更にヨーク20の中央片と脚片20bの短手方向の幅寸法は同じであるが、図1(b)に示すように中央片の板厚aよりも、脚片20bの板厚bを厚くして中央片の磁路断面積よりも脚片20bの磁路断面積を大きくし、ヨーク20の加工によって脚片20bにだれが生じても所定の磁路断面積を確保して、磁束が飽和することなく所定の吸引力を確保できるようにしている。
さてプリント基板23は、絶縁基板23aの一表面における長手方向の両端部に導体パターン23bが形成されており、各導体パターン23bにおいて円形状に形成された部位が外部接続用電極を構成し、矩形状に形成された部位がコイル接続部を構成している。ここにおいて、コイル接続部には、コイル22,22の端末が接続されるが、コイル22,22は、外部接続用電極間に電源を接続してコイル22,22へ励磁電流を流したときにヨーク20の両脚片20b,20bの先端面が互いに異なる磁極となるように接続されている。なお、各導体パターン23bにおける外部接続用電極には、導電性材料(例えば、Au,Ag,Cu,半田など)からなるバンプ24が適宜固着されるが、バンプ24を固着する代わりに、ボンディングワイヤをボンディングしてもよい。
ベース基板1は、パイレックス(R)のような耐熱ガラスにより形成されており、外周形状が矩形状であって、中央部には厚み方向に貫通し電磁石装置2を収納する収納孔16が貫設され、四隅の各近傍には厚み方向に貫通するスルーホール10が貫設されている。また、ベース基板1の厚み方向の両面であって各スルーホール10それぞれの周縁にはランド12が形成されている。ここに、ベース基板1の厚み方向において重なるランド12同士はスルーホール10の内周面に被着された導電性材料(例えば、Cu,Cr,Ti,Pt,Co,Ni,Au,あるいはこれらの合金など)からなる導体層(図示せず)により電気的に接続されている。また、ベース基板1の厚み方向の他表面側の各ランド12にはバンプ13が適宜固着されており、バンプ13をランド12に固着することによって、ベース基板1の上記他表面側ではスルーホール10の開口面がバンプ13により覆われる。スルーホール10の開口面は円形状であって、ベース基板1の上記一表面には、それぞれスルーホール10の開口面およびランド12を覆う4枚のシリコン薄膜からなる蓋体19が固着されている。
また、上述の各一対の固定接点14は、ベース基板1の長手方向の両端部においてベース基板1の短手方向に離間して形成された2つのスルーホール10の間で上記短手方向に並設されており、上記短手方向において隣り合うスルーホール10の周縁に形成されたランド12と導電パターン18を介して電気的に接続されている。ここに、固定接点14および導電パターン18およびランド12の材料としては、例えば、Cr,Ti,Pt,Co,Cu,Ni,Au,あるいはこれらの合金などの導電性材料を採用すればよく、バンプ13の材料としては、例えば、Au,Ag,Cu,半田などの導電性材料を採用すればよい。なお、上述のスルーホール10および収納孔16は、例えば、サンドブラスト法やエッチング法などによって形成すればよく、上述の導体層は、例えば、めっき法、蒸着法、スパッタ法などによって形成すればよい。なお、本基本形態では、蓋体19がスルーホール10の開口面を閉塞する閉塞手段を構成し、ベース基板1の上記他表面側におけるランド12が接続用電極を構成している。
また、収納孔16の開口面は十字状であって、ベース基板1の上記一表面側には、収納孔16を閉塞するシリコン薄膜からなる蓋体17が固着されている。すなわち、電磁石装置2は、ヨーク20の両脚片20b,20cの各先端面が蓋体17と対向する形で収納孔16に挿入される。なお、本基本形態では、収納孔16の内周面と蓋体17とで囲まれる空間が電磁石装置2を収納する収納部を構成しており、電磁石装置20は、永久磁石21がベース基板1の厚み寸法内でアマチュア30とヨーク20とにより形成される磁路中に設けられ、プリント基板23における絶縁基板23aの表面がベース基板1の上記他表面と略面一となっている。なお、蓋体17,19は、シリコン基板をエッチングや研磨などで薄膜化することにより形成したシリコン薄膜により構成されており、厚み寸法を20μmに設定してある。ここに、蓋体17の厚み寸法は20μmに限定するものではなく、例えば、5μm〜50μm程度の範囲内で適宜設定すればよい。また、蓋体17,19は、シリコン薄膜に限らず、ガラス基板をエッチングや研磨などで薄膜化することにより形成したガラス薄膜により構成してもよい。
収納孔16は、ベース基板1の上記一表面から上記他表面に近づくにつれて徐々に開口面積が大きくなるテーパ形状となっており、ベース基板1の上記他表面側から電磁石装置2を挿入しやすく、且つ、ベース基板1の上記一表面における収納孔16の開口面積を比較的小さくすることができる。
アマチュアブロック3は、シリコン基板からなる半導体基板を半導体微細加工プロセスにより加工することによって、上述の矩形枠状のフレーム部31と、上述の4本の支持ばね32と、フレーム部31の内側に配置されアマチュア30の一部を構成する矩形板状の可動基台部30aと、上述の4本の接圧ばね35と、上述の2つの可動接点基台部34とを形成してあり、可動基台部30aと、可動基台部30aにおけるベース基板1との対向面に固着された磁性体(例えば、軟鉄、電磁ステンレス、パーマロイなど)からなる矩形板状の磁性体部30bとでアマチュア30を構成している。したがって、アマチュア30が4本の支持ばね部32を介してフレーム部31に揺動自在に支持されている。なお、可動基台部30aはフレーム部31よりも薄肉であり、アマチュア30の厚み寸法は、アマチュアブロック3とベース基板1とを固着した状態においてアマチュア30の磁性体部30bと蓋体17との間に所定のギャップが形成されるように設定されている。
上述の支持ばね部32は、可動基台部30aの短手方向の両側面側で可動基台部30aの長手方向に離間して2箇所に形成されている。各支持ばね部32は、一端部がフレーム部31に連続一体に連結され他端部が可動基台部30aに連続一体に連結されている。なお、各支持ばね部32は、平面形状において上記一端部と上記他端部との間の部位を同一面内で蛇行した形状に形成することにより長さ寸法を長くしてあり、アマチュア30が揺動する際に各支持ばね部32にかかる応力を分散させることができ、各支持ばね部32が破損するのを防止することができる。
また、可動基台部30aは、短手方向の両側縁の中央部から矩形状の突片36が連続一体に延設され、フレーム部31の内周面において突片36に対応する部位からも矩形状の突片37が連続一体に延設されている。すなわち、可動基台部30aから延設された突片36とフレーム部31から延設された突片37とは互いの先端面同士が対向している。ここに、可動基台部30aから延設された各突片36の先端面には凸部36aが形成されており、フレーム部31から延設された各突片37の先端面には、凸部36aが入り込む凹部37aが形成されている。したがって、凸部36aが凹部37aの内周面に当接することでフレーム部31の厚み方向に直交する面内におけるアマチュア30の移動が規制される。なお、アマチュア30の同一の側縁側に配設される2つの支持ばね部32は、突片36の両側に位置している。
また、アマチュアブロック3は、アマチュア30の長手方向においてアマチュア30の両端部とフレーム部31との間にそれぞれ可動接点基台部34が配置されており、各可動接点基台部34におけるベース基板1との対向面に導電性材料からなる可動接点39が固着されている。ここに、可動接点基台部34は上述の2本の接圧ばね部35を介して可動基台部30aに支持されている。なお、可動基台部30aは上述のように矩形板状に形成されており、磁性体部30bの変位量を制限するストッパ部33が四隅それぞれから連続一体に延設されており、接圧ばね部35の平面形状は、ストッパ部33の外周縁の3辺に沿ったコ字状に形成されている。このストッパ部33は、ベース基板1の上記一表面と接触することにより磁性体部30bの変位量を制限する。
なお、アマチュアブロック3は、上述の説明から分かるように、フレーム部31、可動基台部30a、支持ばね部32、可動接点保持部34、接圧ばね部35が上述の半導体基板の一部により構成されている。半導体基板としては、例えば厚み寸法が200μm程度のシリコン基板を用いればよいが、当該厚み寸法は特に限定するものではなく、例えば、50μm〜300μm程度の範囲で適宜設定すればよい。
また、可動接点基台部34の厚み寸法と可動接点39の厚み寸法との合計寸法についても、接点開成状態において可動接点39と固定接点14との間の距離が所定距離となるように設定されている。
カバー4は、パイレックス(R)のような耐熱ガラスにより構成されており、アマチュアブロック3との対向面にアマチュア30の揺動空間を確保する凹所4aが形成されている。
ところで、上述のアマチュアブロック3のフレーム部31におけるベース基板1との対向面の周部には全周に亙って接合用金属薄膜38bが形成され、カバー4との対向面の周部には全周に亙って接合用金属薄膜38aが形成されている。また、ベース基板1におけるアマチュアブロック3との対向面の周部にも全周に亙って接合用金属薄膜15が形成され、カバー4におけるアマチュアブロック3との対向面の周部にも全周に亙って接合用金属薄膜42が形成されている。したがって、アマチュアブロック3とベース基板1およびカバー4とを圧接または陽極接合により気密的に接合することができ、ベース基板1とカバー4とフレーム部31とで囲まれる空間の気密性を向上できる。
その結果、本基本形態のマイクロリレーは、ベース基板1と、カバー4と、ベース基板1とカバー4との間に介在するフレーム部31とで囲まれる気密空間内に、アマチュア30、可動接点33、固定接点14が収納される。なお、上述の接合用金属薄膜15,38a,38b,42の材料としては、例えば、Au,Al−Siなどを採用すればよい。
以上説明した本基本形態のマイクロリレーをプリント基板のような実装基板に実装する際には、例えばベース基板1の上記他表面側において露出した2個のバンプ24および4個のバンプ13それぞれを上記実装基板の一表面側に形成された導体パターンに接続すればよい。
なお、本基本形態では、ベース基板1およびカバー4それぞれがガラス基板を加工することにより形成されているが、ベース基板1とカバー4との一方あるいは両方を、シリコン基板を加工することにより形成してもよい。また、ベース基板1およびカバー4をそれぞれガラス基板に限定し、アマチュアブロック3の元となる半導体基板をシリコン基板に限定すれば、上記接合用金属薄膜15,38a,38b,42を設けなくてもアマチュアブロック3とベース基板1およびカバー4とを陽極接合によって気密的に接合することも可能である。なお、上述のアマチュアブロック3を多数形成したウェハと、上述のベース基板1を多数形成したウェハおよび上述のカバー4を多数形成したウェハとを圧接または陽極接合により固着してからダイシング工程などによって個々のマイクロリレーに分割してもよいことは勿論である。
以下、本基本形態のマイクロリレーの動作について説明する。
基本形態のマイクロリレーでは、コイル22,22への通電が行われると、磁化の向きに応じて磁性体部30bの長手方向の一端部がヨーク20の一方の脚片20bに吸引されてアマチュア30が揺動しアマチュア30の一端側の可動接点基台部34に固着された可動接点39が対向する一対の固定接点14,14に所定の接点圧で接触する。この状態で通電を停止しても、永久磁石21の発生する磁束により、吸引力が維持され、そのままの状態が保持される。
また、コイル22,22への通電方向を逆向きにすると、アマチュア30の磁性体部30bがヨーク20の他方の脚片20bに吸引されてアマチュア30が揺動しアマチュア30の他端側の可動接点基台部34に保持された可動接点39が対向する一対の固定接点14,14に所定の接点圧で接触する。この状態で通電を停止しても、永久磁石21の発生する磁束により、吸引力が維持され、そのままの状態が保持される。
なお、本基本形態のマイクロリレーは、永久磁石21による磁性体部30bの吸引力が支持ばね32による復帰力よりも強くなるように支持ばね32のばね定数を設定してあるが、永久磁石21による磁性体部30bの吸引力が支持ばね32による復帰力よりも弱くなるように支持ばね32のばね定数を設定してもよい。
以上説明した本基本形態のマイクロリレーによれば、アマチュアブロック3におけるベース基板1とは反対側で周部がフレーム部31に固着されたカバー4を備えていることにより、アマチュア3および固定接点14および可動接点39が密閉空間内に配置され、電磁石装置2は、ベース基板1の厚み寸法内でアマチュア30とヨーク20とにより形成される磁路中に永久磁石21を設けてあるので、従来のようにアマチュアブロックとベース基板との間にスペーサを介在させる必要がなく、リレー全体の薄型化が可能となる。すなわち、リレー全体の厚み寸法をベース基板1の厚み寸法とアマチュアブロック3のフレーム部31の厚み寸法とカバー4の厚み寸法との合計寸法によって規定することができ、ベース基板1とカバー4とフレーム部31とで構成される器体の薄型化が可能となる。
また、本基本形態のマイクロリレーでは、永久磁石21がコイル巻回部20aの長手方向の中央部におけるアマチュア30側に重ねて配置され重ね方向の両面が異極に着磁されているので、アマチュア30の長手方向の中心部を中心としてアマチュア30が揺動可能となり、耐衝撃性が向上する。また、アマチュア30の可動基台部30aから延設した各突片36におけるベース基板1との対向面から支点突起36bを突設してあるので、このような一対の支点突起36bを設けることでアマチュア30の揺動動作をより安定させることができる。
(実施形態)
上記基本態に用いる電磁石装置2のヨーク20は正面から見て略U字型に形成したものを用いたが図8及び図9に示すように正面からみて略H型に形成したヨークを用いても良く、この場合、脚片20b、20bの反対側のヨーク20の下面の四隅にコイル脱落規制用の凸部20d’を突出させている。この凸部20d’は上記の凸部20dと同様にコイル22の脱落規制の機能の他に、組み込み工程における電磁石装置2の搬送時やパーツフィーダでの移送時の位置決め用の凸部として機能するものである。
また、本実施形態では、ヨーク20の長手方向の両端面より外方向に、コイル22を巻回する際に巻線機のつかみ部として用い、またヨーク20をプレス加工する場合に、つなぎとして用いる突部20eを突出形成している。
尚本実施形態でも、ヨーク20のコイル巻回部20aは、永久磁石21をヨーク20に固着後、ヨーク20及び永久磁石21を樹脂コーティングし、このコーティングによって絶縁を図った後の、各脚片20bと永久磁石21との間で構成され、このとき脚片20bと永久磁石21の側面とがコイルボビンの鍔部として機能するようになっている。また樹脂コーティングによってヨーク20及び永久磁石21の錆を防ぐ点とヨーク20や永久磁石の表面にできるばりを被覆することで、コイル22の巻回時に巻線が引っかかって断線するのを防止する点で基本態と同じである。勿論予め永久磁石21の上面側の四隅の角部やヨーク20の角部をR面(曲面)に仕上げることで、コイル20の巻線の引っかかりによる断線防止効果を向上させている。更に基本態と同様に永久磁石21の磁極面21aと脚片20bの先端の磁極面との高さ位置が同じとなるようにそれぞれの部位の樹脂コーティングを研磨剥離し、アマチュア30とのギャップの増加を防いでいる。
更に基本態と同様にヨーク20の中央片の板厚aよりも、脚片20bの板厚bを厚くして中央片の磁路断面積よりも脚片20の磁路断面積を大きくし、ヨーク20の加工によって脚片20bにだれが生じても所定の磁路断面積を確保して、磁束が飽和することなく所定の吸引力を確保できるようにしている。
尚電磁石装置2、特にヨーク20の構成以外は基本態と同じであるので、その他の構成の説明と図示は省略する。また上記突部20eは基本態のヨーク20に形成しても勿論良い。
(a)は基本態に用いる電磁石装置のヨークの斜視図、(b)は同上に用いる電磁石装置の正面図である。 同上を示す分解斜視図である。 同上を示す斜視図である。 同上の要部分解斜視図である。 同上におけるアマチュアブロックを示し、(a)は平面図、(b)は下面図である。 同上におけるアマチュアブロックの分解斜視図である。 同上に用いるカバーの斜視図である。 実施形態に用いる電磁石装置のヨークの斜視図である。 同上の電磁石装置の斜視図である。 (a)は従来例に用いる電磁石装置の斜視図、(b)は同上に用いる電磁石装置の正面図である。
符号の説明
2 電磁石装置
17 蓋体
20 ヨーク
20a コイル巻回部
20b 脚片
20c 凹部
20d 凸部
21 永久磁石
22 コイル
23 プリント基板

Claims (8)

  1. ヨークに巻回されたコイルへの励磁電流に応じて磁束を発生する電磁石装置を設けるとともに厚み方向の一表面側に固定接点を設けたベース基板と、
    半導体基板を半導体微細加工プロセスにより加工することによって形成するアマチュアブロックであって、ベース基板の前記一表面側に固着されるフレーム部およびフレーム部の内側に配置されてフレーム部に揺動自在に支持され電磁石装置により駆動されるアマチュアおよびアマチュアに接圧ばね部を介して支持され可動接点が設けられた可動接点基台部を有するアマチュアブロックとからなり、
    前記ヨークは、前記コイルが巻回されるコイル巻回部と、コイル巻回部の両端部それぞれから前記アマチュアに近づく向きに延設され前記コイルへの励磁電流に応じて互いの先端の磁極面が異極に励磁される一対の脚片とを備えるとともに、
    前記ヨークにおける前記アマチュア側とは反対側の面の四隅それぞれから突出形成され、前記コイルの脱落規制および組み込み工程における前記電磁石装置の搬送時やパーツフィーダでの移送時の位置決めに用いられる凸部を備えていることを特徴とするマイクロリレー。
  2. 前記ヨークと前記アマチュアとにより形成される磁路中に設けられる磁気保持用の永久磁石を収納配置する凹部を前記アマチュア側の前記ヨーク表面に形成していることを特徴とする請求項1記載のマイクロリレー。
  3. 前記ヨークに配置された永久磁石及びヨークの露出表面を樹脂コーティングして前記永久磁石の両側の前記ヨークの部位を前記コイル巻回部としたことを特徴とする請求項記載のマイクロリレー。
  4. 前記ヨークの脚片の磁極面及び永久磁石の磁極面部位の前記樹脂コーティングを研磨除去して外部に臨ませるとともに、高さ位置を同一高さとしていることを特徴とする請求項記載のマイクロリレー。
  5. 前記永久磁石が矩形板状であって、表面側の四隅の角部を曲面としたことを特徴とする請求項2乃至4の何れか記載のマイクロリレー。
  6. 前記ヨークの各角部を曲面としたことを特徴とする請求項乃至5の何れか記載のマイクロリレー。
  7. 前記ヨークの脚片の磁路断面積を、前記両脚片間の部位の磁路断面積よりも大きくしていることを特徴とする請求項1乃至6の何れか記載のマイクロリレー。
  8. 前記ヨークの両端外面に、前記両脚片の外側面より外方向に突出した突部を形成していることを特徴とする請求項1乃至7の何れか記載のマイクロリレー
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