JP4056083B2 - 金属構造物を製造するための方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、曲げられ、編み合わせられ、または少なくともそのうちいくつかがある特定の構造を有する多層シートメタル層から、金属構造物、詳細には、特に触媒コンバータ用のハニカム体を製造する方法に関し、触媒コンバータは好ましくは内燃機関の排気ガス用のものである。
【0002】
【従来の技術】
平坦で、ある一定の構造を有するシートメタル層を含む金属構造物、特にハニカム体がドイツ特許出願第DE 29 24 592 A1およびドイツ特許第DE 36 34 235 C2から知られている。平坦な金属シートと波形の金属シートとが交互に多層に積重ねられる。
【0003】
個々のシートメタル層の少なくともいくつかは互いにはんだ付されている。DE 29 24 592には、1つの平坦な金属片と1つの波形金属片とを相互に巻付けて複数の層を構成することによりハニカム体を製作する方法が開示されており、相互に巻付けられたこれら層の間に、ローラを備えるアプリケータではんだ材料を、平坦な金属片上にストリップ状にかつ連続的に塗布するかまたは波形金属片の最も外側の突起部分に塗布した後、炉に入れて溶融させる。
【0004】
ハニカム体用の他のはんだ塗布方法については国際特許出願番号第WO 89/11938号にいくつか詳細に記述があるが、この先行技術文献におけるはんだ塗布方法はすべてはんだ付用炉におけるはんだ付処理が後に続く。このはんだ付処理は典型的には真空内で行なわれるが、今日まで、真空状態の発生および加熱に要する時間(たとえば6時間程度)のため、非常に長い製造サイクルを要し、その処理能力は非常に低い。
【0005】
ドイツ特許出願第DE 29 47 694 A1号は、金属構造物、特に内燃機関の排気ガスを清浄化するための、触媒コンバータのハニカム体を製造する方法を開示し、該ハニカム体は曲げられた金属片を含み、波形金属片が、焼結によって平坦な金属片に接触するその表面と、ときにはこれら2つの金属片を囲む囲み部分にも結合されてある特定の構造を有するユニットを構成する。この焼結は単一の方法ステップにおいて行なわれ、同ステップにおいては加熱処理が行なわれ、その温度は金属構造物を構成する材料の融点よりも低い。追加の方法ステップにおいて電圧のバーンオフ等の熱後処理を行なうことは不要である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は金属構造物、特にハニカム体を結合する場合の処理能力が増大する方法を提供することである。さらに、この方法は従来知られる種類の方法に比べてエネルギの観点からより好ましいはずである。さらに、構造物の表面特性はセラミックウォッシュコートや触媒的に活性な材料で後に行なわれるコーティングに合わせて好ましく変える必要がある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この目的は請求項1に規定される方法によって達成される。本発明のその他の有利な特徴が従属項の主題となっている。
【0008】
本発明の方法は、構造物がまず清浄化チャンバにおいて真空中で清浄化される点が特徴である。表面上の汚染物質の多くは負圧のみで除去することができるので、後の工程で実際の処理チャンバを汚染したり結合処理を妨げるようなことはない。清浄化が完了すると、構造物は処理チャンバへ移され、同チャンバ内で結合処理を行なう。結合処理が完了すると、構造物は冷却チャンバへ移され、そこで予め定められた温度まで冷却される。この予め定められた冷却温度に達すると、構造物は冷却チャンバから取除かれてその後の処理の工程に向かう。なお、この時点で、構造物という語とを使用する場合には、当然個々の処理ステップを複数の構造物で同時に行なうことができることに留意されたい。
【0009】
構造物の清浄化は真空中で行なわれる。この種の工程には、清浄化チャンバ内の圧力を下げることによって、処理チャンバに付着する汚染物質のうちいくらかが素早く蒸発してそれら汚染物質とともに、存在する可能性のある他の汚染物質が離れて、表面が後の結合処理に都合のよい状態になるという利点がある。
【0010】
真空中で構造物を清浄化するやり方には、処理チャンバが直接的または間接的にゲートを介して清浄化チャンバと連通するので、1回分の構造物が処理チャンバ内に導入されるたびに、清浄化チャンバに隣接する処理チャンバを再度完全に真空状態にする必要がないという利点がある。処理チャンバには、冷却チャンバが隣接しており、同冷却チャンバ内で構造物は予め定められた温度まで冷却される。このようなさまざまな方法ステップを連続して行ない、1回分を処理チャンバ内で処理している間に先行する1回分の構造物を冷却チャンバで処理し、かつ次の1回分を清浄化チャンバ内で処理することができるので、この種のやり方では処理能力が増大する。また、処理チャンバが周囲の雰囲気と接触することがないので、処理チャンバを繰返し真空状態にする必要がない。また、汚染物質が処理チャンバ内に入ることもない。
【0011】
構造物は好ましくは清浄化チャンバ内で加熱される。このため、清浄化チャンバはたとえばおよそ200℃の温度まで加熱される。この方法では構造物を周囲温度から結合温度に加熱する必要はなく、より高い温度から結合温度まで加熱するので、清浄化処理の速度が向上する一方で、構造物が処理チャンバ内にある時間を短縮できるという利点がある。
【0012】
清浄化チャンバを不活性ガスで洗い流してもよい。この不活性ガスは技術的に純粋なアルゴンでよい。
【0013】
清浄化チャンバの清浄は加熱した不活性ガスを吹付けることによって行なわれる。これは、清浄化チャンバの壁に配置したヒータよりも、構造物を通過する不活性ガスの方が構造物をより均一に加熱することができるという利点がある。
【0014】
清浄化チャンバは10 2 から10 -1 Pa(10-3から10-6 バール)の範囲および好ましくはおよそ1Pa(10-5バール)の負圧下で作動させることが有利である点が証明されている。
【0015】
シートメタル層の金属接合または金属結合には添加剤を加えてもよいし加えなくてもよい。個々のシートメタル層の接合はんだ付または焼結により行なうことが有利である。
【0016】
処理チャンバにおけるはんだ付または焼結動作は材料に適した温度で行なわれる。処理チャンバ内の温度はまず第1の保持温度まで上げられかつ一定の期間その温度に保たれる。結果として、1回分の材料または各構造物内の温度の分布が均一になる。次に、処理チャンバ内の温度は第2の保持温度まで上げられる。一定期間処理チャンバを第2の保持温度に保った後、1200℃を超える接合温度まで上げ、一定期間その温度に保つ。
【0017】
処理チャンバ内の温度は接合動作の後下げられる。温度は冷却チャンバおよび/または清浄化チャンバに向かう広い面積にわたって処理チャンバを開放することによって下げられる。この場合、冷却および/または清浄化チャンバに対し熱が放射されることで処理チャンバの熱が冷める。これによって冷却処理を約15分短縮することができる。この温度で、1回分の構造物を処理チャンバから冷却チャンバへ移す。冷却チャンバ内に不活性ガスを供給することによって構造物を冷却する。不活性ガスが供給されるのと同時に酸化膜が構造物上に形成される。構造物は冷却チャンバ内でおよそ150℃の温度まで冷却され、その後冷却チャンバから取出される。
【0018】
時間に関する判定処理ステップが処理チャンバ内で行なわれる。控えのチャンバまたは冷却チャンバ内に構造物を置く時間を処理チャンバ内に置く時間より短くできるので、搭載したり降ろしたりするのにかかる時間で動作全体のサイクル時間が長くなることはない。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明による方法の他の利点および特徴については好ましい実施例において説明するが、本発明はこの実施例に限定されない。
【0020】
図において、図1は発明の方法を行なうための装置の模式図である。
図2は真空はんだ付炉における時間をおっての温度経過を示す図である。
【0021】
触媒コンバータのハニカム体を製造するための方法を実行する装置は、清浄化チャンバ2、処理チャンバ3、および冷却チャンバ4を含む。清浄化チャンバ2は二重壁のジャケット形状の円筒状チャンバハウジングを有する。二重壁ジャケット間に存在する環状室内へ導入ライン5を介して媒質を導入し、導出ライン6を介して除去することができる。媒質は水でよい。この媒質によって清浄化チャンバを冷却したり加熱したりすることが可能である。
【0022】
清浄化チャンバ2は真空密封状態で清浄化チャンバ2を閉鎖する充填ドア7を有する。
【0023】
清浄化チャンバ2は中間ドアハウジング8を介して処理チャンバ3と連通する。詳細に図示されていないが、ドアを中間ドアハウジング8に配設して清浄化チャンバ2を処理チャンバ3から分離する。ドアはスライドの形で実現してもよい。ドアは周囲への真空の損失を防ぐことができるような状態で封鎖される。
【0024】
内部搬送装置を清浄化チャンバ2内部に設けて、キャリア上に配設した1回分のハニカム体1を清浄化チャンバ2から処理チャンバ3内へ搬送することができる。搬送装置はたとえば3アームの搭載フォークでもよく、これは無限可変流体駆動装置によって水平移動する。キャリアはセラミックコーティングを施したグラファイト製のものである。
個々のハニカム体は、これもセラミックコーティングしたグラファイトから製作される成形した部品上に配置したキャリア上に配設される。このキャリアは寸法的に安定でかつ耐温度性のものである。さらに、セラミックコーティングを施しているため、グラファイトが摩耗することはない。
【0025】
清浄化チャンバ2と処理チャンバ3との間のドアは流体作用によって上下させることができる。密封状態を確実にする接触圧機構を、控えのチャンバに向けて配設する。
【0026】
処理チャンバ3は、好ましくは複数のゾーンに配置する取換可能な電気加熱素子を有する。処理チャンバ3は処理チャンバ3のハウジングによって囲まれる内部チャンバを有する。処理チャンバの内部チャンバとハウジングとの間に、流入ライン9および流出ライン10を介して冷却剤を導入し、処理チャンバ3を冷却することができる。
【0027】
冷却チャンバ4は処理チャンバ3に隣接し、間に中間ドアハウジング11が配設される。冷却チャンバ4は二重壁で実現されかつ媒質によって冷却または加熱される円筒状ハウジングを有する。冷却チャンバ4は移動ドア12により周囲の環境から密封することができる。閉鎖を行なうため、移動ドア12は電気モータ駆動装置で横方向に移動させる。
【0028】
中間ドアハウジング11内には詳細に図示していないが中間ドアが存在し、これを流体駆動装置等で上下させることができる。
【0029】
各チャンバは真空状態を発生させるための装置を1つ有する。この装置はバルブ13、拡散ポンプ14およびポンプセット15を含み、ポンプセット15はフォアポンプ15aとルーツポンプ15bを含む。
【0030】
図示される実施例では、清浄化チャンバ2、処理チャンバ3および冷却チャンバ4がポンプライン16を介して真空ポンプセット17と連通する。各ライン16a、16bおよび16cにはバルブ18が1つ配設される。ポンプセット17は、1回分を加熱する際に大量のガスを吸引によって除去する場合に行なわれるのと同様、チャンバを特定の高真空ポンプセットの開始圧力のポイントまで素早くチャンバを予め空にする役割を果たす。
【0031】
真空状態をモニタする測定装置については図示していない。
たとえば、吊り上げ搭載装置を用いて装置の積み下ろしを行なうことができる。このために、充填ドア7を開放し、1回分のハニカム体1を清浄化チャンバ2内に導入する。次に、充填ドア7を閉める。清浄化チャンバと処理チャンバとの間および処理チャンバ3と冷却チャンバとの間のドアを閉じる。バルブ13を閉じる。バルブ17を開放し、ポンプセット18を用いてチャンバ2、3および4内に真空状態を作り出す。チャンバ内が予備真空状態になると、バルブ17を閉じ、かつ真空ライン19内の清浄化チャンバ2へのバルブ13を開放する。拡散ポンプ2とポンプセット15とを介して控えチャンバ2内に高真空状態が発生する。
【0032】
処理する1回分のハニカム体1は、清浄化処理が終了するまで清浄化チャンバ内に留まる。真空状態になる前に、清浄化チャンバ2に不活性ガスを吹付けることができる。
【0033】
清浄化処理が完了すると、中間ドアハウジング8内のドアを開放し、1回分の構造物が内部搬送装置によって清浄化チャンバ2から処理チャンバ3へ運ばれる。中間ハウジング8内のドアを閉じる。真空ライン19内のバルブを閉じる。ここで清浄化チャンバ2を再び充填することができる。
【0034】
処理チャンバ3内の温度は温度調節に従って変化する。時間をおっての温度経過については図2に示す。
【0035】
処理チャンバ3が接合温度TVに達しかつこの温度が時間HVにわたって維持された後、中間ハウジング11内のドアが開放されかつ内部搬送装置を介して1回分が冷却チャンバ4内へ運び込まれる。冷却チャンバ4内には負圧が発生しており、これは処理チャンバ内の負圧に本質的に等しい。処理チャンバから充填物が除去されると、中間ドアハウジング11内のドアが閉じられる。冷却剤流入および流出ライン20および21それぞれを介して、冷却剤を冷却チャンバ4の二重壁のハウジング内へ供給し、1回分のハニカム体1を冷却する。
【0036】
導出温度TAになると、冷却チャンバ4の移動ドア12が開放され、構造物はチャンバ4から取出される。一方、はんだ付炉の温度は導入温度TEまで下げられている。構造物を取除いた後、冷却チャンバ4を閉じ再び排気して真空状態にする。
【0037】
図2は処理チャンバおよび冷却チャンバにおける時間をおっての温度経過を例示する。処理チャンバは温度TEまで加熱される。この温度で、控えのチャンバから1回分が処理チャンバ内に運び込まれる。処理チャンバ内の温度を第1の保持温度T1まで上昇させる。この温度になるまでの速度は処理チャンバの加熱力に依存する。処理チャンバは期間H1の間この温度T1で維持される。この間に、処理チャンバ内の温度は均一になる。次に、処理チャンバ内の温度を第2の保持温度T2まで上昇させ、期間H2の間この温度に維持する。最後に、処理チャンバ内の温度をたとえばおそらく約1200℃を超える接合温度まで上昇させる。この温度TVで、処理チャンバを期間HVの間作動させる。時間HVが経過すると、処理チャンバの加熱をオフにし、冷却室との連通路を開放する。処理チャンバ内の温度は温度T3まで急速に低下する。図2は冷却チャンバ内の温度経過を点線で示す。冷却チャンバ内の温度経過は制御されていない。これは、ファンを使って冷却チャンバ内に保護ガスを導入し循環させているためである。
【0038】
冷却チャンバ内の温度がおよそ150℃になると、構造物を取出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】発明の方法を行なうための装置の模式図である。
【図2】真空はんだ付炉における時間をおっての温度経過を示す図である。
【符号の説明】
1 構造物
2 清浄化チャンバ
3 処理チャンバ
4 冷却チャンバ
5 導入ライン
6 導出ライン
7 充填ドア
8 中間ドアハウジング
9 流入ライン
10 流出ライン
11 中間ドアハウジング
12 移動ドア
13 バルブ
14 拡散ポンプ
15 ポンプセット
15a フォアポンプ
15b ルーツポンプ
16 ポンプライン
16a,b,c ライン
17 ポンプセット
Claims (10)
- 曲げられ、編み合わせられ、または少なくともそのうちのいくつかがある特定の構造を有する多層シートメタル層から触媒コンバータ用のハニカム体を製造する方法であって、
清浄化チャンバ(2)の真空中で前記構造物(1)を清浄化するステップと、
処理チャンバ(3)へ前記構造物(1)を搬送するステップと、
102から10-1Pa(10-3から10-6バール)の真空中で1200℃を超える接合温度で前記シート金属層の金属接合のためのはんだ付処理を実行するステップと、
冷却チャンバ(4)へ前記構造物(1)を搬送するステップと、
前記冷却チャンバ(4)内の真空中で前記構造物(1)を予め定められた温度まで冷却するステップとを含み、
前記処理チャンバ(3)は外気に接することがなく、前記処理チャンバ(3)内の前記温度(T)は予め定められた温度経過に合うようになっており、前記温度経過は、前記処理チャンバ(3)内の前記温度(T)を最初、第1の保持温度(T1)にし、その温度である期間(H1)維持し、その後温度を第2の保持温度(T2)にしかつある一定期間(H2)その温度で維持し、次に前記温度(T)を接合温度(TV)まで上昇させてある期間(HV)その温度で維持し、かつその後温度(TA)を下げるというものであり、前記接合動作の後、前記処理チャンバ(3)内の前記温度(T)を、前記処理チャンバ(3)と前記冷却チャンバ(4)とを部分的に結合させることによって下げる、方法。 - 前記構造物(1)が前記清浄化チャンバ(2)内で加熱される、請求項1に記載の方法。
- 前記清浄化チャンバ(2)に不活性ガスを吹付ける、請求項1または2に記載の方法。
- 前記清浄化チャンバ(2)に加熱した不活性ガスを吹付ける、請求項3に記載の方法。
- 102から10-1Pa(10-3から10-6バール)の範囲の負の圧力を前記清浄化チャンバ(2)内に発生させる、請求項1に記載の方法。
- 1Pa(10-5バール)の負の圧力を前記清浄化チャンバ(2)内に発生させる、請求項1に記載の方法。
- 前記清浄化チャンバをおよそ200℃の温度まで加熱する、請求項2に記載の方法。
- 前記構造物(1)を前記冷却チャンバ(4)内でおよそ150℃の温度まで冷却する、請求項1から7のいずれかに記載の方法。
- 不活性ガスを前記冷却チャンバ(4)に導入しかつ前記冷却チャンバから取除く、請求項1から8のいずれかに記載の方法。
- 前記金属の結合がはんだ付によって行なわれる、請求項1から9のいずれかに記載の方法。
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