JP4044792B2 - 半導体装置のテスト用電極装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガルウイング形状あるいはJベンド形状のリードを有する半導体装置の電気的特性を測定するICソケット等の電極構造に関するものであり、特に小型の半導体装置のリードとの接触性を向上させた半導体装置のテスト用電極の構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ほぼ直角の第1の曲げ部と、更に逆方向にほぼ直角の曲げ部を有するいわゆるガルウイング形状のリードを有する半導体装置には、リードが半導体装置のパッケージの2側面から突出したSOPタイプのものや、4側面から突出したFLATタイプのICパッケージなどがあり、また、上記第2の曲げ部を第1の曲げ部と同方向に曲げ部を有するいわゆるJベンド形状のICパッケージがあり、実装基板への実装性が容易であることや信頼性に優れていることから、これらのICパッケージが多用されている。またリード間ピッチの微小化などの小型化によってその用途を拡大しつつある。
これらのガルウイング形状のリードやJベンド形状のリードを有するICパッケージである半導体装置の電気的特性をテストするには、図5に示す様な構造のテスト用電極31を組み込んだICソケット(図示せず)を使用し、図4に示す状態で半導体装置1のICリード2を接触させて測定していた。
テスト用電極31の先端部31aは、ICリード2の先端部との接触を確実に行うために、各リード毎に対応して、一定の寸法の平坦な面を有する構造となっており、また、梁状延長部31bを介して接続している回転支点部3cと水平方向でほぼ同一線状に位置している。
測定時にICリード2とテスト用電極3とを、例えばICリード2側からの押さえ治具により加圧固定して接触させるようにしていた。半導体装置1の上下方向の動作に対し、テスト用電極31も同様にICリード2と接触を保ちながら、上下方向に移動する。このように従来技術では、テスト用電極3の先端部31aの上下方向移動に伴う横方向への移動は、回転支点部3cと先端部3aが水平方向で同じ位置にあり、回転支点部3cを中心に円弧動作を行うために、従来例ではほぼゼロである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来技術のテスト用電極31でICリード2との電気的接触を安定的に行うには、リード形状のバラツキやテスト電極31の先端部3aの平坦面の高さのバラツキによる接触不良を防止するために、接触時の圧力を高くした方が安定した測定結果を得られるが、一方、ICリード2に施したSnやSn−Niなどのリードメッキが、テスト時の加圧で、テスト用電極31の先端部3aの平坦面に転写などで不均一に付着し、測定時の加圧によりICリード2が変形して実装基板への実装に支障を来す場合や、電気的接触不良を起こし、良品を不良品と判定する場合があった。このため、ICソケット全体を定期的に掃除したり、交換したりする維持管理工数が無視できないという問題点があった。
【0004】
本発明は、テスト用電極31の先端部31aへのICリード2に施したリードメッキの転写の影響を減少させ、均一で安定した機械的および電気的接触を行って測定歩留まりを向上させるとともに、テスト用電極31の維持管理工数を削減させることを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明は、半導体装置本体の側面部から突出し、該側面部から所定距離離間した位置で、上記半導体装置本体の側面部側に所定の曲げアールを有しつつほぼ直角に曲げられた第1の屈曲部と、該第1の屈曲部から所定距離離間した位置で、上記第1の屈曲部の曲げ方向とは逆方向あるいは同じ方向に、所定の曲げアールを有しつつほぼ直角に曲げられた第2の屈曲部と、先端部に実装基板との接合面となる略平坦なリード平坦部とを備えたリードを有する半導体装置の電気的特性測定に使用し、上記リードの対応する位置に、それぞれ上記リードに接触する電極構造を備えた半導体装置のテスト用電極装置において、上記電極構造は、先端部に円弧状部分を有する凸状先端部と、該凸状先端部に連続した片持ち梁状の梁状延長部と、該梁状延長部の回転中心となる回転支点部と、該回転支点部を介して上記梁状延長部および上記凸状先端部を支持する電極構造本体部とを備え、上記凸状先端部は、上記リード平坦部による加圧によって、上記リード平坦部から上記第2の屈曲部に沿って摺動することを特徴とするものである。
【0008】
【作用】
テスト用電極をICリードに接触させてリード押さえ部により、ICリードとテスト用電極を加圧して更にテスト用電極の梁状延長部が有する弾性復帰力により所定の接触圧力を確保しながら、凸状先端部が梁状延長部の回転支点部を中心に円弧状運動をすることにより、テスト用電極の円弧状の凸状先端部がICリードの第2の屈曲部の丸み部に沿って相対的に摺動する。またリード押さえ部の加圧解除に伴い、わずかではあるが、加圧時とは逆方向に凸状先端部が摺動して接触部で往復摺動作用が生じる。この凸状先端部のICリードとの摺動によりテスト用電極へのICリードのメッキ転写や更に強固な付着を防止することができ、テスト用電極へのICリードへの接触面を清浄に保つことや、ICリードを本来の状態で保持することが可能になる。
【0009】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の実施例で、1は半導体装置本体、2は1の半導体装置本体の側面部より突出したICリードで、第1の屈曲部Aと第2の屈曲部Bを有する。第1の屈曲部Aは、半導体装置本体の底面部側に所定の丸み部を有しつつ、ほほ直角に曲げられており、第2の屈曲部Bは、ICリードの底面側が、半導体装置1の底面部よりもやや下側に突出するように半導体装置本体1よりも外側にほぼ直角に曲げられている。3は凸状先端部を有する電極構造である。
図1は更に、テスト時の半導体装置1と、電極構造3との相対動作関係の内、測定開始の初期位置を示す図である。半導体装置1を本発明の電極構造3を組み込んだICソケット(図示せず)の所定位置に載置した状態を示している。
【0010】
図2は、本発明の電極構造3の1実施例で、3aが凸状先端部、3bが梁状延長部、3cが梁状延長部3bの回転中心となる回転支点部、残りの部分が電極構造本体部である。凸状先端部3aは、回転支点部3cにより支持される片持ち梁形状の梁状延長部3bの自由端に形成され、また回転支点部3cよりも水平方向で下方に位置することにより、加圧時にICリード2との接触位置がICリード2と接触摺動しながら、回転支点部3c側に相対的に移動する仕組みとなっている。
電極構造3の凸状先端部3aのICリード2に対する摺動方向は、ICリード2の第2屈曲部と電極構造3の回転支点部3cとの配置により決定する。従来の電極構造31では、先端部31aと回転支点部31cとが、水平方向でほぼ一直線上に位置することにより、先端部31aの上下移動量に対して、水平方向の移動量は近似的にほぼゼロであり、摺動接触による効果が認められないのに対し、本実施例では、回転支点部3cよりも下方に凸状先端部3aを位置させることにより、凸状先端部3aの上下動に比例した水平方向の移動が生じることとなる。
【0011】
梁状延長部3bは、屈曲部を有することにより、より高い弾性力を有する構造とすることができる。
電極構造3は、燐青銅などのバネ性を有する金属の薄板をプレス加工などにより一体的に打ち抜き成形することにより、容易に小型、薄板状の形状を得ることができ、これらの電極構造を複数平行配置して、ICソケットの電極として組み立てたテスト用電極装置とすることにより小型ICパッケージの微小リードピッチ測定に対応することができる。
【0012】
図3は、テスト中、すなわちICリード2が、電極構造3側に押し込まれた状態を示す図である。約0.3ミリメートルの押し込み量Dに対し、約0.12ミリメートルの摺動量Lを得ることができ、凸状先端部3aへのICリード2のメッキ転写による付着や固着が生じにくくなる。電極構造3の凸状先端部3aは、ICリード2の平坦面から丸み部方向へ摺動しながら移動する。
【0013】
本発明では、片持ち梁である梁状延長部3cの回転運動がD>2L程度の関係となるような位置関係に構成して、押し込み量Dに対して摺動量Lを小さくするのが、電極構造3を構成する材料のバネ弾性特性上望ましい。このように、本発明の特徴的な効果である電気的接触を保ちながら、摺動することにより、電極構造3の凸状先端部3aに転写付着したICリード2のメッキ部分が、摺動動作でこすられることによって電極構造3から剥離する確率が高くなるため、ICリードからのメッキ付着のない清浄な電極構造3でテストが可能になる。
また測定が終了するとICリード2への加圧を解除することにより、電極構造3が加圧時とは逆方向に摺動して弾性的に復帰し、図1に示す初期位置に戻る。
【0014】
図示は省略するが、ガルウイング形状のICリードの第2屈曲部の曲げ方向を逆方向にしたJベンドタイプのICリードを有する半導体装置の測定に本発明の電極構造を適用する場合、同じ構造の電極構造を用いて同一の効果を得ることが可能である。
凸状先端部3aの摺動方向をICリード2の第2屈曲部側にするために、電極構造3の位置関係をガルウイング形状のICリードの場合と逆方向に配置することにより容易に達成することができる。
【0015】
また、電極構造3の凸状先端部3aと回転支点部3cとの上下位置関係を上記の実施例では、凸状先端部3aを水平方向で回転支点部3cより下側に配置していたが、逆に凸状先端部3aを水平方向で上側に配置することにより、凸状先端部3aがICリード2との接触時に、回転支点部3cを中心として円弧状に移動することにより、回転支点部3cより遠ざかる方向に移動して、上記実施例と同様に、リード2と摺動接触するさせることができる。移動量は電極構造3の梁状延長部3cの比例弾性変形の範囲内とすることにより、ICリードへの加圧解除後、初期位置まで凸状先端部3aが弾性復帰する。
【0016】
このように、基本的に本実施例に示すような関係に配置することにより、測定対象の半導体装置のICリード構造が、本実施例のようなガルウイング形状タイプや、Jベンド形状のタイプのように、ICリード2の先端部に略平坦面に沿って丸み部を有するリード形状であれば、本テスト用電極装置により、効率の高い電気的特性の試験を行うことが可能になる。
【0017】
【発明の効果】
以上から本発明によれば、テスト時に押し下げられつつある半導体装置のICリードに対して、テスト用電極構造先端部が押し下げ方向に移動しつつ、弾性的反力による接触を保ちながら摺動する相対移動により、ICリードとテスト用電極との接触を確実にするとともに、テスト用電極に転写付着したリードのメッキを摺動動作により自己的に剥離することが可能になり、テスト用電極の測定時の清掃作業回数や交換回数等の維持管理工数を削減することが可能になるとともに測定効率を大幅に向上することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例のテスト時の初期状態の位置関係を示す図である。
【図2】 本発明の実施例のテスト中の位置関係を示す図である。
【図3】 本発明の電極構造の実施例を示す図である。
【図4】 従来の電極構造を用いたテスト状態を示す図である。
【図5】 従来の電極構造を示す図である。
【符号の説明】
1:半導体装置、 2:ICリード、 3:電極構造、3a:凸状先端部、
3b:梁状延長部、3c:回転支点部
Claims (1)
- 半導体装置本体の側面部から突出し、該側面部から所定距離離間した位置で、上記半導体装置本体の側面部側に所定の曲げアールを有しつつほぼ直角に曲げられた第1の屈曲部と、該第1の屈曲部から所定距離離間した位置で、上記第1の屈曲部の曲げ方向とは逆方向あるいは同じ方向に、所定の曲げアールを有しつつほぼ直角に曲げられた第2の屈曲部と、先端部に実装基板との接合面となる略平坦なリード平坦部とを備えたリードを有する半導体装置の電気的特性測定に使用し、上記リードの対応する位置に、それぞれ上記リードに接触する電極構造を備えた半導体装置のテスト用電極装置において、
上記電極構造は、先端部に円弧状部分を有する凸状先端部と、該凸状先端部に連続した片持ち梁状の梁状延長部と、該梁状延長部の回転中心となる回転支点部と、該回転支点部を介して上記梁状延長部および上記凸状先端部を支持する電極構造本体部とを備え、
上記凸状先端部は、上記リード平坦部による加圧によって、上記リード平坦部から上記第2の屈曲部に沿って摺動することを特徴とする半導体装置のテスト用電極装置。
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