JP4031205B2 - 自動車用ドアロック装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、ドアのアウターパネルに設けられたアウトサイドハンドルと、ドアのインナーパネルに設けられたドアロック本体の解除レバーとを撓曲可能なケーブルで連結してなる自動車用ドアロック装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のドアロック装置の解除レバーとアウトサイドハンドルとは、剛体よりなる伝達ロッドで連結することにより、アウトサイドハンドルの操作力をドアロック本体に伝達している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の自動車用ドアロック装置にあっては、アウトサイドハンドルは、ドアのアウターパネルに取り付けられており、ドアロック本体は、ドアのインナーパネルの後端部に取り付けられているため、衝突等によって、ドアのアウターパネルが変形すると、アウトサイドハンドルとドアロック本体との相対位置が変化するおそれがある。また、ドアを構成するインナーパネルとアウターパネルとの間において、ドア面に沿う方向のずれが発生し、アウトサイドハンドルとドアロック装置との距離が変化するおそれがある。このように両者間の距離が変化すると、剛体よりなる伝達ロッドにより連結されている場合は、距離の変化に剛体である伝達ロッドは追従できず、ドアロック本体の解除レバーが引っ張られ、誤動作する可能性がある。
【0004】
また、アウトサイドハンドルを直接ドアロック本体の解除レバーに係合させている場合には、両者間のドア面に沿う方向の位置がずれることでアウトサイドハンドルからの操作力が解除レバーへ正常に伝達されなくなるおそれがあり、操作に支障をきたすおそれがある。
【0005】
さらに、側方衝突による衝撃を受けてドアが変形したような場合は、伝達ロッドに直接変形が作用し、伝達ロッドが曲げられるおそれがあり、かかる場合、ドアロック本体の解除レバーが引っ張られ誤動作するおそれがある。
【0006】
また、伝達ロッドは、適用される車種のドアの大きさや形状に合わせて車種毎に設定されており、部品の共用化が図れず、部品管理工数が嵩んでいる。
【0007】
本発明は、従来の技術が有する上記のような問題点に鑑み、衝突などによりドア構造に変形が発生しても、ドアロック本体の誤作動がなく、また部品の共用化が図れ、部品管理工数の削減が可能である自動車用ドアロック装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、ドアのアウターパネルにアウトサイドハンドルを設け、ドアのインナーパネルにドアロック本体を設け、前記アウトサイドハンドルとドアロック本体に枢支された解除レバーとを伝達部材で連結し、前記アウトサイドハンドルの操作力を前記解除レバーに伝達してドアを開扉する自動車用ドアロック装置において、前記伝達部材は、撓曲可能なケーブルであって、該ケーブルはチューブ状のアウターケーブルと該アウターケーブル内を摺動するインナーケーブルとから構成され、前記ケーブルには、ドア内を迂回して配索される湾曲部が形成されていて、前記ドアロック本体の下部には、ケーブルの配索方向を転換するケーブルガイドが保持部材を介して取り付けられ、該ケーブルガイドには、インナーケーブルを案内する案内溝が形成されると共に、該案内溝の端部に、アウターケーブルを支持する支持部が構成され、該支持部は、アウターケーブルの端面が下方を向くように傾斜して支持し、前記保持部材の取付部の下方には、底部が突出形成され、該底部の下端部にケーブルを伝って降下する水を下方に排水する排水口が傾斜面状に形成されていると共にインナーケーブルの外れを止めるように構成されてなることを特徴とする。
【0009】
請求項1記載の発明によれば、伝達部材であるケーブルには湾曲部が形成されていることにより、長さに余裕をもってドア内を迂回するように配索されることから、例えば、前面衝突により、インナーパネルとアウターパネルが相対的にずれてドアが変形しても、ケーブルが湾曲部の余裕分だけ自由に変形するので、ドアロック本体の解除レバーが解除方向に引っ張られて誤作動することを確実に防止できる。
【0010】
また、側方衝突により、ケーブルに対して引張方向の荷重が作用したとしても、ケーブルは、その引張量に相当する分だけ湾曲部の形状が変形してドアの変形に伴う引張量を吸収し、ケーブルの両端部には、引張力が作用することがない。したがって、ドアロック本体の解除レバーが解除方向に引っ張られて誤作動することを確実に防止できる。
【0011】
また、ケーブルの実質取付長さは、湾曲部の大きさを変化させることによって調整できるので、1種類のケーブルでドアの大きさや形状の異なる多数の車種に適用可能であり、部品の共用化が図れ部品管理工数を削減できる。
【0013】
更に、インナーケーブルは、ケーブルガイドによって方向転換を行っているので、小さな曲げ半径で配索可能となり、配索の自由度が著しく向上する。
【0014】
更にまた、アウターケーブルは、水の浸入しやすい端面を下方に向けた状態でケーブルガイドに支持されているので、アウターケーブルを伝う水が端面から内部に浸入することはなく、インナーケーブルの錆びによる摺動抵抗の増加を防止する事ができ、耐久性の向上を図ることができると共にケーブルが作動不良になることを防止できる。また、ケーブルにおいて、ケーブルガイドが一番低い位置となるので、ドア内に浸入してケーブルを伝わる水がドアロック本体側とアウトサイドハンドル側の両方からケーブルガイドに向かい降下して集り、さらにケーブルガイドが係合された保持部材に水が伝わることになっても、集まった水を保持部材の底部の排水口から排水できるため、保持部材内に滞留することがなく、ケーブルや保持部材の錆の発生を防止できる。
【0017】
請求項2記載の発明は、ドアロック本体の上部には、ドアロック本体上面を覆う上面カバーが取り付けられていることを特徴とする。
【0018】
請求項2記載の発明によれば、ケーブルは下方から解除レバーに連結されているので、ドアロック本体の水が浸入してくる上方を上面カバーで覆うことが出来ることになる。これにより、ドアロック本体への水の浸入を確実に阻止でき、作動不良を防止できることになる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を、図1〜図6に基づいて説明する。図1に示すように、自動車のドア1の後端部には、図示しない周知の車体のパネルに固着されたストライカ3(図 1 参照)と噛合することにより、ドア1を閉鎖状態に拘束するドアロック本体11が装着されている。
【0020】
図2に示すように、前記ドアロック本体11は、前記ドア1のインナーパネル1aの後端部に装着されてなり、該ドアロック本体11の「解除レバー」であるアウトサイドレバー13は、「伝達部材」であるケーブル21を介してドア1のアウターパネル1bに装着されたアウトサイドハンドル5の出力レバー5aに連結されている。なお、図2において、左方が自動車の前方、右方が後方となっており、手前が車外側、奥側が車内側となっている。
【0021】
アウトサイドハンドル5は、アウターパネル1bに装着されたベース5bに操作部5cが揺動可能に支持されている。前記出力レバー5aは、前記ベース5bに、操作部5cの操作に連動して揺動するように枢支されている。
【0022】
前記ケーブル21は、撓曲可能であって、チューブ状のアウターケーブル23内にインナーケーブル25が摺動可能に挿通されている。
【0023】
符号15は、「保持部材」であるブラケットで、該ブラケット15は、L字状の形状をなし、平板状の取付部15aが前記ドアロック本体11のベースプレート11aの下部に固着されている。ブラケット15の取付部15aの下部には、係合部15bが折り曲げ形成されている。該係合部15bには、係合孔15cが形成されており、該係合孔15cには、ケーブルガイド17の係合脚17aが係合される。ケーブルガイド17の保持部17eには、保持溝17fが形成されており、該保持溝17fには、後述する「支持部」たる筒部17dが挿入保持される。ブラケット15の取付部15aの下方には、底部15fが突出形成され、下端部に排水口19を有する傾斜面状に形成されている。また、この底部15fには、ケーブルガイド17の底面17bが当接し、インナーケーブル25の外れ止めになっている。
【0024】
前記ケーブルガイド17の係合脚17aには、円弧状の底面17bに沿ってインナーケーブル25を案内する案内溝17cが形成されている。案内溝17cの前方側には、アウターケーブル23の他端23bが挿入される前記筒部17dが、アウターケーブル23の傾斜角度に沿って斜め上方に突出形成される。筒部17dにアウターケーブル23が挿入されると、アウターケーブル23の端面が下方を向くように斜めに支持される。案内溝17cの後方側は、円弧状の外周に沿い上方に向かうよう形成されている。ケーブルガイド17の筒部17dは、保持溝17fに挿入保持され、係合脚17aはブラケット15の係合孔15cに係合されて、ケーブルガイド17がブラケット15に取り付けられる。
【0025】
ケーブル21は、アウターケーブル23の一端23aが、アウトサイドハンドル5のベース5bに連結され、他端23bが、ドアロック本体11下方に固着されたブラケット15に保持されたケーブルガイド17の筒部17dに挿入され保持される。
【0026】
インナーケーブル25の一端25aは、アウトサイドハンドル5の出力レバー5aに連結されている。アウターケーブル23の他端23bから出たインナーケーブル25の他端25b側は、そのままケーブルガイド17の案内溝17c内を上方に案内され、ドアロック本体11のアウトサイドレバー13の係合溝13aにケーブルエンド25cを係合させ、連結されている。
【0027】
アウトサイドハンドル5とドアロック本体11とを連結するケーブル21の中間には、横U字状の湾曲部27が形成されている。湾曲部27からブラケット15に至るケーブル21は、ブラケット15に向かい下降傾斜している。
【0028】
ドアロック本体11には、図5〜図6に示すように、カバー11bが装着されている。ドアロック本体11の上部には、アウトサイドレバー13付近の上面を覆う上面カバー11cが装着されている。
【0029】
次に、実施形態の作用について説明する。
【0030】
アウトサイドハンドル5の操作部5cを操作すると、ケーブル21のインナーケーブル25を介してドアロック本体11のアウトサイドレバー13が揺動して、ドアロック本体11とストライカ3との噛合が解除され、ドア1を開くことが出来る。
【0031】
ケーブル21の湾曲部27は、長さに余裕をもってドア1内を迂回するように配索されることから、例えば前面衝突により、ドア1のインナーパネル1aとアウターパネル1bが相対的にずれてドア1が変形しても、ケーブル21が湾曲部27の余裕分だけ自由に変形するので、ドアロック本体11のアウトサイドレバー13が解除方向に引っ張られることがなく、ドアロック本体11の誤作動を防止できる。
【0032】
また、側方衝突により、ケーブル21に対して引張方向の荷重が作用するときも、ケーブル21は、その引張量に相当する分だけ湾曲部27の形状が変形して、ドア1の変形に伴う引張量を吸収し、インナーケーブル25の両端部25a,25bには引張力が作用することがない。したがって、ドアロック本体11のアウトサイドレバー13が解除方向に引っ張られず、誤作動することを防止できる。
【0033】
また、ケーブル21の実質取付長さは、湾曲部27の大きさを変化させることによって調整できるので、1種類のケーブル21でドア1の大きさや形状の異なる多数の車種に適用可能であり、部品の共用化が図れ部品管理工数を削減できる。
【0034】
インナーケーブル25は、ケーブルガイド17の案内溝17cによって方向転換を行っているので、小さな曲げ半径で配索可能で配索の自由度が向上する。
【0035】
水の浸入しやすいアウターケーブル23の他端23b側の端面を下方に向けた状態でケーブルガイド17の筒部17dに支持しているので、ケーブル21を伝う水がアウターケーブル23の端面から内部に浸入することはなく、インナーケーブル25が錆びてしまわない。つまり、インナーケーブル25の摺動抵抗の増加を防止する事ができ、耐久性の向上を図ることができると共に、作動不良になることを防止できる。
【0036】
ケーブル21において、ケーブルガイド17の部分が一番低い位置となるので、ドア1内に浸入しケーブル21を伝わる水がドアロック本体11側とアウトサイドハンドル5側の両方からケーブルガイド17に向かい降下する。よって、ケーブルガイド17には水が集り、さらにケーブルガイド17が係合されたブラケット15に水が伝わることになる。この水を排水するためにブラケット15の底部15fは、斜めに屈曲されていて、排水口19が形成されている。この排水口19からドア1内の下方に排水するようになっているので、ケーブル21を伝ってきた水がブラケット15内に滞留することがなく、ケーブル21やブラケット15の錆の発生を防止できる。
【0037】
ケーブル21は、下方からドアロック本体11のアウトサイドレバー13に連結されるので、水が浸入してくるドアロック本体11の上方に障害となるものがない。したがって上方カバー11cで覆うことが出来、これによりドアロック本体11への水の浸入を阻止でき作動不良を防止できる。
【0038】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、ケーブルは湾曲部が形成され、長さに余裕をもってドア内を迂回するように配索されることから、例えば、前面衝突により、インナーパネルとアウターパネルが相対的にずれてドアが変形しても、ケーブルが湾曲部の余裕分だけ自由に変形するので、ドアロック本体の解除レバーが解除方向に引っ張られて誤作動することを防止できる。
【0039】
また、側方衝突により、ケーブルに対して引張方向の荷重が作用するときも、ケーブルはその引張量に相当する分だけ湾曲部の形状が変形してドアの変形に伴う引張量を吸収し、ケーブルの両端部には引張力が作用することがない。したがって、ドアロック本体の解除レバーが解除方向に引っ張られて誤作動することを防止できる。
【0040】
また、ケーブルの実質取付長さは湾曲部の大きさを変化させることによって調整できるので、1種類のケーブルでドアの大きさや形状の異なる多数の車種に適用可能であり、部品の共用化が図れ部品管理工数を削減できる。
【0041】
更に、インナーケーブルはケーブルガイドによって方向転換を行っているので小さな曲げ半径で配索可能で配索の自由度が向上する。
【0042】
更にまた、アウターケーブルは水の浸入しやすい端面を下方に向けた状態でケーブルガイドに支持されているので、アウターケーブルを伝う水が端面から内部に浸入することはなく、インナーケーブルの錆びによる摺動抵抗の増加を防止する事ができ、耐久性の向上を図ることができると共に、作動不良になることを防止できる。
【0043】
更にまた、アウターケーブルは、水の浸入しやすい端面を下方に向けた状態でケーブルガイドに支持されているので、アウターケーブルを伝う水が端面から内部に浸入することはなく、インナーケーブルの錆びによる摺動抵抗の増加を防止する事ができ、耐久性の向上を図ることができると共にケーブルが作動不良になることを防止できる。また、ケーブルにおいて、ケーブルガイドが一番低い位置となるので、ドア内に浸入してケーブルを伝わる水がドアロック本体側とアウトサイドハンドル側の両方からケーブルガイドに向かい降下して集り、さらにケーブルガイドが係合された保持部材に水が伝わることになっても、集まった水を保持部材の底部の排水口から排水できるため、保持部材内に滞留することがなく、ケーブルや保持部材の錆の発生を防止できる。
【0044】
請求項2記載の発明によれば、ケーブルは下方から解除レバーに連結されているので、ドアロック本体の水が浸入してくる上方は障害となるものがなく上面カバーで覆うことが出来、これによりドアロック本体への水の浸入を阻止でき作動不良を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態におけるドアロックとアウトサイドハンドルとの連結状態を示す、ドアの概略断面図である。
【図2】図1におけるII線の矢視図である。
【図3】図2における要部の拡大図である。
【図4】要部の拡大斜視図である。
【図5】図3に示すドアロック本体にカバーを装着した状態を示す。
【図6】図5におけるVI線の矢視図である。
【符号の説明】
1 ドア
1a インナーパネル
1b アウターパネル
5 アウトサイドハンドル
11 ドアロック本体
11c 上面カバー
13 アウトサイドレバー(解除レバー)
15 ブラケット(保持部材)
15f 底部
17 ケーブルガイド
17c 案内溝
17d 筒部(支持部)
19 排水口
21 ケーブル(伝達部材)
23 アウターケーブル
25 インナーケーブル
27 湾曲部

Claims (2)

  1. ドアのアウターパネルにアウトサイドハンドルを設け、ドアのインナーパネルにドアロック本体を設け、前記アウトサイドハンドルとドアロック本体に枢支された解除レバーとを伝達部材で連結し、前記アウトサイドハンドルの操作力を前記解除レバーに伝達してドアを開扉する自動車用ドアロック装置において、
    前記伝達部材は、撓曲可能なケーブルであって、該ケーブルは、チューブ状のアウターケーブルと、該アウターケーブル内を摺動するインナーケーブルとから構成され、前記ケーブルには、ドア内を迂回して配索される湾曲部が形成されていて、
    前記ドアロック本体の下部には、ケーブルの配索方向を転換するケーブルガイドが保持部材を介して取り付けられ、該ケーブルガイドには、インナーケーブルを案内する案内溝が形成されると共に、該案内溝の端部に、アウターケーブルを支持する支持部が構成され、該支持部は、アウターケーブルの端面が下方を向くように傾斜して支持し、前記保持部材の取付部の下方には、底部が突出形成され、該底部の下端部にケーブルを伝って降下する水を下方に排水する排水口が傾斜面状に形成されていると共にインナーケーブルの外れを止めるように構成されてなることを特徴とする自動車用ドアロック装置。
  2. 請求項1記載の自動車用ドアロック装置において、
    前記ドアロック本体の上部には、ドアロック本体上面を覆う上面カバーが取り付けられていることを特徴とする自動車用ドアロック装置。
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