JP4023970B2 - 液状食品及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、安全性に優れ、且つ長期間の保存に際しても、風味や色の低下がなく、安定して品質を維持できる液状食品及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、液状食品、特に果実飲料、清涼飲料、コーヒー飲料、乳酸料及び茶等の嗜好飲料の風味を保持する技術としては、該嗜好飲料中から溶存酸素を取り除く方法が知られている。溶存酸素には飲料中の風味成分を酸化劣化させる作用があり、溶存酸素の存在下で飲料を保存した場合には風味や色の保持が困難であった。そのため、飲料中に含まれる溶存酸素を低減させようとする試みが種々行われている。例えば煮沸、真空脱気、窒素曝気等の方法を採用すれば、溶存酸素が低減され、飲料の風味や色の低下が抑制され、それなりの品質が維持されることは知られている。
【0003】
しかし、溶存酸素を飲料中から完全に除去することはできず、例えば透明ガラス瓶、PETボトル等に充填された飲料については、残留している溶存酸素が日光などに含まれる紫外線を浴びることで強力な酸化剤であるオゾンになり、このオゾンが飲料の風味や色を低下させる原因になっていた。また、溶存酸素を完全に除去できたとしても、紫外線の照射を受けることにより強力な酸化剤であるヒドロキシラジカルが発生し、やはり飲料の風味や色が悪くなることは避けられなかった。
【0004】
そこで、食品等の飲料液の酸化劣化を防止し、長期間の保存性を高めるため、真空下で脱気し、且つ水素ガスを飽和状態にまで通気した還元性水素水が提案されている(特許番号第2890342号公報)。この還元性水素水は、脱気水に水素ガスを曝気的に注入して製造されるもので、飲料の酸化還元電位は約−600mVと顕著に低い。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記公報に記載の還元性水素水は、水素ガスのみが飽和濃度まで溶解されているため、例えば、この還元性水素水を密閉容器に封入して清涼飲料水とし、例えば、炎天下の自動車の車内のような高温下に放置した場合には、密閉容器内の内圧が高まり、開封時に容器内のガスが外に噴出する。このとき、噴き出すガス成分の殆どは可燃性の水素ガスであり、大気中での組成で水素濃度が4〜75%となれば、噴き出すガスは燃焼可能であり、大変危険である。このため、安全性に優れ、且つ長期間に亘っても、風味や色の低下がなく、安定して品質を維持できる嗜好飲料等の液状食品が望まれていた。
【0006】
従って、本発明の目的は、上記課題を解決するものであって、安全性に優れ、且つ長期間に亘っても、風味や色の低下がなく、安定して品質を維持できる液状食品及びその製造方法を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
かかる実情において、本発明者は鋭意検討を行った結果、脱酸素水に水素ガスと不活性ガスを接触溶解させ、該還元性水素水を用いて濃縮原料を希釈させる方法、あるいは嗜好飲料に水素ガスと不活性ガスを接触溶解させる方法を採用すれば、安全性に優れ、且つ長期間に亘っても、風味や色の低下がなく、安定して品質を維持できる嗜好飲料が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明(1)は、溶存水素濃度は0.02mg/L以上であり、液状食品中の水素ガスと不活性ガスの合計溶存ガスに対して溶存水素ガスの体積比率が10体積%以下、溶存不活性ガスの体積比率が90体積%以上であって、且つ溶存酸素濃度は3.0mg/L以下であることを特徴とする液状食品を提供するものである。また、本発明(2)は、前記液状食品が、嗜好飲料であることを特徴とする前記(1)記載の液状食品を提供するものである。また、本発明(3)は、脱酸素液に水素ガスと不活性ガスを接触溶解させて還元性液を得、次いで該還元性液を用いて濃縮原料を希釈して前記液状食品を得ることを特徴とする液状食品の製造方法を提供するものである。また、本発明(4)は、液状食品原液に過剰な水素ガスと不活性ガスの混合ガスを接触溶解させ、該混合ガスにより溶存酸素を追い出し、該脱酸素された還元性液を用いて濃縮原料を希釈して前記液状食品を得ることを特徴とする液状食品の製造方法を提供するものである。また、本発明(5)は、液状食品を脱酸素処理し、脱酸素処理した液状食品に水素ガスと不活性ガスを接触溶解させ前記液状食品を得ることを特徴とする液状食品の製造方法を提供するものである。また、本発明(6)は、前記液状食品が、嗜好飲料であることを特徴とする前記(3)〜(5)に記載の液状飲料の製造方法を提供するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の液状食品は、脱酸素され、且つ水素ガスと不活性ガスを溶解したものである。該脱酸素は、少なくとも脱酸素処理されたものであれば特に制限されず、例えば溶存酸素濃度は、25℃、1気圧下で液状食品中、3.0mg/L以下、好ましくは1.0mg/L以下、特に好ましくは0.3mg/L以下となる濃度である。脱酸素処理により、溶存酸素に起因する活性酸素やオゾンなどの強力な酸化剤の生成が抑制される。
【0010】
本発明の液状食品において、水素ガスの溶解による溶存水素濃度としては、0.02mg/L以上、好ましくは0.05mg/L以上であって、且つ液状食品中の水素ガスと不活性ガスの合計溶存ガスに対して溶存水素ガスの体積比率が15体積%以下、好ましくは10体積%以下、更に好ましくは6体積%以下である。特に、脱酸素された水に水素ガスを溶解せしめ、飲料水の酸化還元電位を負の値として還元性水とすれば、飲料水の酸化反応を抑制して、飲料水の変色や風味を損なうことなく出荷、流通させることができ、長期間の保存に対して、品質を安定して維持できる。該液状食品の酸化還元電位の好ましい値は0〜−200mV、特に0〜−500mVである。
【0011】
また、不活性ガスの溶解による溶存不活性ガス濃度としては、液状食品中の水素ガスと不活性ガスの合計溶存ガスに対して溶存不活性ガスの体積比率が85体積%以上、好ましくは90体積%以上、更に好ましくは94体積%以上である。水素ガスと不活性ガスの溶存割合が上記範囲内であると、例え密閉容器内の内圧が高まり、容器開封時に容器内のガスが外に噴出する場合であっても大気中の水素濃度は極めて低くなり、安全である。不活性ガスとしては、特に制限されないが、窒素ガス、炭酸ガス及びヘリウムガスなどが挙げられる。
【0012】
本発明において、液状食品としては、特に制限されないが、例えば飲料水、清涼飲料、果実飲料、コーヒー飲料、乳酸飲料及び茶等の嗜好飲料、調味液、大豆油、パーム油、ココナッツ油、菜種油、その他の動植物油等が挙げられ、このうち、嗜好飲料において特に効果が著しい。また、本発明の液状食品は水素ガスと炭酸ガスを溶解させた炭酸飲料とすることもできる。
【0013】
本発明の液状食品は、安全性の高い食品であって、長期の保存に対しても変色、風味等が損なわれず、長期間に亘って品質を安定して維持でき商品価値を高めることができる。また、特に嗜好飲料の場合、色を鮮やかに保つことができるため、「美しさ」、「新鮮さ」を視覚に訴える効果も期待できる。
【0014】
本発明の液状食品を製造する方法としては、脱酸素液に水素ガスと不活性ガスを接触溶解させて還元性液を得、次いで該還元性液を用いて濃縮原料を希釈する方法(第1の製造方法)、液状食品を脱酸素処理し、脱酸素処理した液状食品に水素ガスと不活性ガスを接触溶解させる方法(第2の製造方法)が挙げられる。
【0015】
第1の製造方法の一例を図1を参照して説明する。図1は第1の製造方法の一例を実施するフロー図を示す。図1中、嗜好飲料製造装置10aは濾過殺菌装置1、脱酸素装置2、ガス溶解装置3、充填・封止装置4からなり、それぞれの装置はこの順序で配管5で連接されている。また、ガス溶解装置3には不活性ガス供給配管6から不活性ガスが、水素ガス供給配管7からは水素ガスが供給され、また、ガス溶解装置3と充填・封止装置4を連接する配管5aには濃縮原料供給配管8から濃縮原料が供給されるようになっている。図1において、先ず、水道水、井水及び工業用水などの原水は公知の濾過殺菌装置1で処理される。濾過殺菌装置1は、濾過機、活性炭塔、紫外線殺菌機及び濾過フィルター等から構成されるもので、原水に含まれる懸濁物質、有機物及び生菌等を除去する。また、濾過殺菌装置1で処理された処理水は必要に応じて、更に逆浸透膜装置やイオン交換装置等の脱塩装置で処理してもよい。
【0016】
濾過殺菌装置1で濾過、殺菌された飲料原水は公知の脱酸素装置2により、酸素ガスが溶存酸素濃度3.0mg/L以下、好ましくは1.0mg/L以下、特に好ましくは0.3mg/L以下となるように脱酸素処理される。脱酸素処理方法としては、脱酸素処理を含む公知の脱気方法が使用でき、例えば中空糸構造の透過膜を多数並列に配した中空糸モジュールを用いる膜脱気法、中空の塔の内部を高真空にして塔上部から飲料原水を落下させる真空脱気塔を用いる脱気法及び飲料原水自体を煮沸させ、溶解ガスを大気に追い出す方法が挙げられる。また、脱酸素処理方法としては、例えば飲料原水中に酸素以外の例えば窒素ガスを吹き込んで、溶存酸素を除去する方法が挙げられる。
【0017】
脱酸素処理された飲料原水はガス溶解装置3に送られる。ガス溶解装置3では脱酸素処理された飲料原水に水素ガスと不活性ガスを接触溶解させて還元性水素水を得る。この飲料原水に水素ガスと不活性ガスを接触溶解させる方法としては、特に制限されず、該飲料原水に水素ガスと不活性ガスをそれぞれ、個別に接触溶解させる方法であっても、また、該飲料原水に水素ガスと不活性ガスの混合ガスを接触溶解させる方法であってもよい。該ガスを接触溶解させる方法としては、例えばタンク内の飲料原水にガスを直接曝気する方法、飲料原水の通水管にエゼクターを設けてガスを吸引溶解する方法、ラインミキサーを用いてガスと飲料原水を混合接触させて溶解する方法、中空糸構造の透過膜を多数並列に配した中空糸モジュールを用いる方法などが挙げられる。水素ガスとしては水電解水素ガスやボンベに充填された水素ガス等が使用される。不活性ガスとしては、窒素ガス、炭酸ガス、アルゴンガス、ヘリウムガスなどが挙げられ、このうち、工業的に入手が容易な窒素ガスや炭酸ガスが好ましい。窒素ガスはボンベに充填された窒素ガスや大気中の窒素を分離生成したものであってもよい。
【0018】
該飲料原水に溶解される溶存水素ガス濃度は、最終的に得られる嗜好飲料中、0.02mg/L以上、好ましくは0.05mg/L以上であって、且つ嗜好飲料中の水素ガスと不活性ガスの合計溶存ガスに対して溶存水素ガスの体積比率が15体積%以下、好ましくは3〜10体積%、更に好ましくは4〜6体積%である。また、該飲料原水に溶解される溶存不活性ガス濃度は、最終的に得られる嗜好飲料中の水素ガスと不活性ガスの合計溶解ガスに対して溶存不活性ガスの体積比率が85体積%以上、好ましくは90体積%以上、更に好ましくは94〜96体積%である。上記溶存水素ガス濃度の範囲及び溶存水素ガスの体積比率の範囲は、本発明の他の液状食品についても同様である。
【0019】
また、液状食品原液、例えば、飲料原水中に酸素以外のガスを吹き込んで、溶存酸素を除去する脱酸素処理工程において、ガスの吹き込みは不活性ガスと水素ガスを別々にして行ってもよいが、過剰の不活性ガスと水素ガスの混合ガスを接触溶解させ、溶存酸素の除去と、不活性ガスと水素ガスの溶解を同時に行うことができる点で好ましい。
【0020】
次いで、脱酸素処理された還元性水素水を用いて濃縮原料を希釈して嗜好飲料を得、更に、該嗜好飲料は充填・封止装置4に送られる。この還元性水素水を用いて濃縮原料を希釈する希釈濃度としては、特に制限されず、濃縮原料の種類、嗜好飲料形態等によって適宜決定される。また、希釈とは混合、溶解及び抽出等を含むものである。濃縮原料としては、例えば、濃縮果汁、濃縮茶、固形原料が挙げられる。充填・封止装置4ではビン、缶又はプラスチックボトル等の密閉容器に嗜好飲料が充填され密閉封止される。該嗜好飲料を密閉容器に充填し密閉封止する方法としては、嗜好飲料の形態及び容器形態等により異なり、特に限定されないが、大気との接触面が無い密閉容器内で行われることが好ましく、例えば大気との接触面を有する容器内やオープン状態で行われる場合、無酸素雰囲気で行うことが好ましい。また、大気との接触面が無い密閉容器内で行われる場合であっても、容器内を予め不活性ガスと水素ガスで置換しておき、これに当該嗜好飲料を注入するなどの方法を採ることが好ましい。このように、密閉容器に封入された嗜好飲料は、貯蔵保管、出荷、流通される。
【0021】
次に、第2の製造方法の一例について、図2を参照して説明する。図2は第2の製造方法の一例を実施するフロー図を示す。図2において、図1と同一構成要素には同一符号を付して、その説明を省略して主に異なる点について説明する。すなわち、嗜好飲料製造装置10bは脱酸素装置2、ガス溶解装置3、充填・封止装置4からなり、それぞれの装置はこの順序で配管9により連接されている。嗜好飲料製造装置10bにおいて、脱酸素装置2に供給される原料は嗜好飲料であり、嗜好飲料製造装置10aのようにガス溶解装置3と充填・封止装置4を連接する配管5aへの濃縮原料の供給は無い。図2において、原料である嗜好飲料は、先ず脱酸素装置2において脱酸素処理され、次いで、脱酸素処理された嗜好飲料はガス溶解装置3に送られ、ここで脱酸素処理された嗜好飲料に水素ガスと不活性ガスが接触溶解される。次いで、水素ガスと不活性ガスが溶存された嗜好飲料は充填・封止装置4に送られる。脱酸素装置2における脱酸素条件及び脱酸素方法、ガス溶解装置3におけるガス溶解条件及びガス溶解方法、充填・封止装置4における充填・封止方法等は第1の製造方法と同様である。本第2の製造方法では、例えば嗜好飲料を前述の飲料原水とすることにより、無添加の還元性飲料水を得ることもできる。
【0022】
本発明の方法によれば、簡易な方法で安全性が高く、且つ長期間に亘っても、風味や色の低下がなく、安定して品質を維持できる嗜好飲料等の液状食品を製造できる。
【0023】
【実施例】
次に、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、これは単に例示であって、本発明を制限するものではない。
実施例1
(還元性飲料水)
純水1000mlを25℃の温度下で、窒素ガス95%、水素ガス5%の体積比の混合ガスを10L/分の量で5分間曝気的に吹き込んで溶存酸素を追い出し、溶存酸素濃度を0.5mg/L以下として還元性飲料水を得た。なお、得られた還元性飲料水中の溶存水素濃度は0.07mg/Lであった。この還元性飲料水の酸化還元電位を測定すると共に、次に示すような火炎引火試験を行った。結果を表1に示す。
【0024】
(火炎引火試験)
ガスを吹き込んだ後、還元性飲料水を大気に触れないようにして容器に充填し密栓し、40℃の温度で1時間静置し、その後、開栓して容器の口に火炎を近づけ、引火の様子を観察する。
【0025】
比較例1
窒素ガス95%、水素ガス5%の体積比の混合ガスの代わりに、水素ガスのみを使用した以外は、実施例1と同様にして行った。なお、この時得られた還元性飲料水中の溶存水素濃度は1.4mg/Lであった。結果を表1に示す。
【0026】
【表1】
【0027】
表1から、実施例1と比較例1とは殆ど同じ酸化還元電位を示した。このことから、水素ガスを飽和状態で溶存する比較例1と、水素ガスの体積比率が顕著に低い窒素ガスとの混合ガスを飽和状態で溶存する実施例1とは、その還元力の差がないことが判る。また、実施例1の安全性が確認された。
【0028】
実施例2
(清涼飲料水)
下記成分を密閉容器中、無酸素雰囲気下で混合溶解させて清涼飲料水を調製した。得られた調製物は熱水中に10分間水浴させ、その後、調製物に残存するL−アスコルビン酸の量を定量した。その結果、L−アスコルビン酸の残存量は97%であった。
【0029】
ガスを吹き込む曝気時間5分間を10分間とする以外は実施例1と同様の方法
で得られた還元性飲料水 1000ml
砂糖 100g
クエン酸 1.0g
L−アスコルビン酸(ビタミンC) 0.1g
【0030】
比較例2
還元性飲料水1000mlの代わりに、大気成分が十分に溶解している純水1000mlを使用した以外は、実施例2と同様の方法で行った。実施例2と同様の方法で調製物に残存するL−アスコルビン酸の量を定量した。その結果、L−アスコルビン酸の残存量は65%であった。
【0031】
比較例3
還元性飲料水1000mlの代わりに、窒素ガスを10分間バブリングし、窒素ガスを注入しつつ、溶存酸素を追い出して溶存酸素濃度を0.5mg/L以下にした純水1000mlを使用した以外は、実施例2と同様の方法で行った。実施例2と同様の方法で調製物に残存するL−アスコルビン酸の量を定量した。その結果、L−アスコルビン酸の残存量は92%であった。
【0032】
実施例2、比較例2及び比較例3から、水素ガスと窒素ガスの混合ガスを溶解させたものは、清涼飲料水中のL−アスコルビン酸の酸化劣化を効果的に抑制できることが判る。
【0033】
実施例3
(茶)
純水を煮沸して、溶存酸素を追い出して溶存酸素濃度を0.5mg/L以下にした後、窒素ガス95%、水素ガス5%の体積比の混合ガスを曝気的に吹き込んで80℃まで冷却して熱水を得た。この熱水を使用して無酸素雰囲気下、緑茶を抽出して茶を製造した。次いで、この茶を透明ガラス容器に入れて密栓し、直射日光下で、3日間(日光の通算照射時間24時間)放置して、容器内の茶の変色状態を目視観察した。その結果、色の変化は殆ど確認されず、抽出時の鮮やかな緑濃色を保持していた。
【0034】
比較例4
窒素ガス95%、水素ガス5%の体積比の混合ガスの代わりに、空気を吹き込んだ以外は、実施例3と同様の方法で行い、同様の条件で直射日光による変色を観察した。その結果、茶は茶褐色に変色し、色もかなりくすんだものになった。
【0035】
比較例5
窒素ガス95%、水素ガス5%の体積比の混合ガスの代わりに、窒素ガスのみを吹き込んだ以外は、実施例3と同様の方法で行い、同様の条件で直射日光による変色を観察した。その結果、茶は僅かながら褐色に変色していることが確認された。
【0036】
実施例3、比較例4及び比較例5から、茶に水素ガスと窒素ガスの混合ガスを溶解させたものは、直射日光の照射下に置かれても、緑茶の色を保持でき、安定した品質を長期間に亘って維持できることが判る。
【0037】
【発明の効果】
本発明の液状食品によれば、液状食品の酸化劣化を抑制し、長期間の保存に対して変色、風味等が損なわれず、品質を長期に亘って安定して維持でき商品価値を高めることができる。また、特に飲料水等の嗜好飲料の色を鮮やかに保つことができるため、「美味しさ」、「新鮮さ」を視覚に訴える効果も期待できる。また、本発明の液状食品は、水素ガスのみを飽和状態にまで通気する従来のものと比較して、液状食品の酸化劣化を抑制する効果が同等であり、且つ不活性ガスを多く含む混合ガスを溶解させるために、火気に対する安全性は格段に向上する。また、本発明の製造方法によれば、抗酸化剤を添加することなく、簡易な方法により、長期間に亘って安定して品質が維持される清涼飲料から食用油までの幅広い液状食品を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の製造方法の一例を実施するフロー図である。
【図2】本発明の第2の製造方法の一例を実施するフロー図である。
【符号の説明】
1 濾過殺菌装置
2 脱酸素装置
3 ガス溶解装置
4 充填・封止装置
5、5a、9 配管
6 不活性ガス供給配管
7 水素ガス供給配管
8 濃縮原料供給配管
10a、10b 嗜好飲料製造装置
Claims (6)
- 溶存水素濃度は0.02mg/L以上であり、液状食品中の水素ガスと不活性ガスの合計溶存ガスに対して溶存水素ガスの体積比率が10体積%以下、溶存不活性ガスの体積比率が90体積%以上であって、且つ溶存酸素濃度は3.0mg/L以下であることを特徴とする液状食品。
- 前記液状食品が、嗜好飲料であることを特徴とする請求項1記載の液状食品。
- 脱酸素液に水素ガスと不活性ガスを接触溶解させて還元性液を得、次いで該還元性液を用いて濃縮原料を希釈して請求項1記載の液状食品を得ることを特徴とする液状食品の製造方法。
- 液状食品原液に過剰な水素ガスと不活性ガスの混合ガスを接触溶解させ、該混合ガスにより溶存酸素を追い出し、該脱酸素された還元性液を用いて濃縮原料を希釈して請求項1記載の液状食品を得ることを特徴とする液状食品の製造方法。
- 液状食品を脱酸素処理し、脱酸素処理した液状食品に水素ガスと不活性ガスを接触溶解させ請求項1記載の液状食品を得ることを特徴とする液状食品の製造方法。
- 前記液状食品が嗜好飲料であることを特徴とする請求項3〜5のいずれか1項記載の液状食品の製造方法。
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