JP2012139137A - 果実酒の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】酸化による品質劣化が抑制された香味の良好な果実酒を製造する方法を提供する。
【解決手段】容器に充填する前の果実酒、特に酸化防止剤無添加ワインに窒素ガス等の不活性ガスを直径0.1〜50μmの気泡にして接触させることにより香味の良好な果実酒を製造する。気泡の直径は0.1〜20μmであることが好ましく、また接触させる不活性ガスの量は果実酒1L当たり3〜40ml/分で10〜60分であることがさらに好ましい。
【選択図】 なし

Description

本発明は、果実酒の製造方法に関し、より具体的には酸化による品質劣化が抑制された香味の良好な果実酒の製造方法に関する。
マイクロバブルは液体中に発生させた直径およそ50μm以下の極微細気泡の総称であり、その中で特に直径50nm〜500nmの極微細気泡をナノバブルという。そしてそれよりも大きい500nm〜10μmの範囲の径をもつ極微細気泡をマイクロナノバブルという。ストークスの法則によれば気泡の径が小さいほど液中での上昇速度が遅くなり、例えば水中において10μmのマイクロナノバブルは1m上昇するのに約5時間かかる。またマイクロバブルは液中を上昇するに従い、気泡が収縮しナノバブルとなり、最終的には液中で圧壊し消滅し、気泡中に存在した気体が液中に溶解する。そしてこの圧壊時に大きなエネルギーが放出されたりラジカルが発生したりすると言われる。またマイクロバブルは水中で−40〜−100mVのゼータ電位を有しているため、プラス荷電したコロイド粒子に吸着する性質も知られている。
これらのマイクロバブル、マイクロナノバブル、ナノバブルを発生させる方法としては、旋回流方式、加圧式、ベンチュリー式、エジェクター式等の方法が知られており、多くの装置が市販されている。一方、気泡を発生させる方法として焼結黄銅フィルターやステンレスフィルターを用いたスパージャー、ガスドーザー等も知られている。しかし、これらの方法で生じる気泡は微細気泡ではあるが、その直径はマイクロバブルよりも著しく大きい。
現在、これらの極微細気泡はその機能性ゆえに様々な分野での応用について研究開発が進められており、清涼飲料や酒類へ応用した例も知られている。例えば、炭酸水や缶チューハイの製造において、二酸化炭素をマイクロバブルの状態で飲料用液体に供給する方法が開示されている(特許文献1参照)。また泡盛をはじめとする各種酒類に空気のマイクロバブルを混合させることにより短期間で酒類を熟成させる方法が開示されている(特許文献2参照)。
一方、果実酒、特にワインの分野では、製造後の熟成過程が、そのワインの最終香味に大きく影響することが知られている。樽熟成する比較的高価な製品は熟成することで、香味にコクがありマイルドでバランスのとれた香味を楽しむことができるが、相対的に低価格の製品は充分に熟成するのが難しく早飲みタイプとして推奨されているのが一般的である。樽や壜中のワインは時間の経過とともに酸化還元反応が徐々に進み、これが官能的に良好な経過をたどると「熟成」、官能的に好まれない変化をすると「酸化劣化」と呼ばれる。比較的高価格のワインに比べて、早飲みタイプの低価格のものは熟成期間も短くその期間を過ぎると酸化劣化の方向へ変化しやすく、中には熟成を経ずに酸化劣化するものもある。特に亜硫酸塩が添加された通常のワインと比較して、亜硫酸無添加のワインについては酸化劣化の方向へ進みやすく、そうなるとオフフレーバーと呼ばれるワインの香味に悪影響を与える香気が発生し、一般においしく飲める期間も短くなる。そのためそのようなワインについて、おいしく飲める期間を延長することは重要な課題となっている。
このような課題を解決するためにいくつかの方法が提案されている。例えば、オフフレーバーの指標としてダイアセチルとアセトインの濃度を管理する方法(特許文献3参照)、窒素などの不活性ガスと二酸化炭素を、ガスドーザーを用いて果実酒に接触させ、溶存酸素濃度を低下させる方法(特許文献4参照)等が知られているが、長期にわたり香味を安定化するにはまだ十分でなく、より優れた方法の開発が望まれている。
なお、特許文献5には、清酒中に不活性ガスをマイクロバブルの直径に相当する0.1〜20μmの気泡にして吹き込み、溶存酸素を減少させて清酒の酒質を安定化させるという方法が開示されている。しかしながら特許文献5の発明の詳細な説明をみるとわかるように、この直径0.1〜20μmという数字は、バブリング部のフィルターのガス通過部粗さを示した数字であり、気泡そのものの直径を示しているものではなく、実際にはその数字より著しく大きな気泡が生じている。従ってこの技術は不活性ガスのマイクロバブルを発生させて清酒を処理しているものではない。
特開2009−10075号 特開2009−44988号 特開2009−213393号 特開2010−158207号 特開平9−224641号
上述したとおり、従来の技術は、果実酒、特に酸化防止剤無添加ワインの香味を長期にわたり安定化するにはまだ十分でなく、より優れた方法の開発が望まれている。従って本発明はこれらの問題点を解決し、果実酒、特に酸化防止剤無添加ワインの品質劣化を抑制する新たな方法を提供するものである。
本発明者らは、前記課題を解決するべく鋭意検討を重ねた結果、容器に充填する前の果実酒に不活性ガスを非常に微細な径の気泡にして接触させることにより、より直径の大きい気泡を接触させた場合に比べて果実酒の香味の劣化を著しく抑制できることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は、以下の〔1〕〜〔4〕に関する。
〔1〕果実酒の香味の劣化を抑制する方法であって、容器に充填する前の果実酒に不活性ガスを直径1nm〜50μmの気泡にして接触させることを特徴とする方法。
〔2〕接触させる不活性ガスの量が果実酒1L当たり3〜40ml/分で10〜60分である〔1〕記載の方法。
〔3〕不活性ガスが窒素ガスである〔1〕または〔2〕に記載の方法。
〔4〕果実酒が酸化防止剤無添加ワインである〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の方法。
本発明の方法を用いると、香味の劣化速度が抑制された果実酒を効率良く生産することができる。さらにそれだけでなく、発酵終了直後の果実酒に存在するある種の不快臭を迅速に除去でき、果実酒の香味を安定させる効果も併せ持っている。
マイクロバブル処理による赤ワインのエタノール指数の変化を示した図である。 参考例1で得られた処理水中に存在する気泡の散乱強度分布および粒度分布(個数分布)である。
本発明において果実酒とは、果汁を原料の少なくとも一部として使用した果汁液をアルコール発酵して得られるアルコール含有飲料を意味する。果汁としてはブドウ果汁、リンゴ果汁、かんきつ類の果汁等が挙げられる。代表的なものとしてブドウ果汁から製造されたワインを挙げることができ、さらにその中でも亜硫酸塩、アスコルビン酸塩等の酸化防止剤を添加せずに製造された、いわゆる酸化防止剤無添加ワインに好適に用いることができる。
本発明において果実酒に接触させる不活性ガスの気泡の直径は、いわゆるマイクロバブルと呼ばれる1nm〜50μmの範囲にあればよく、好ましくは1nm〜20μmがよい。さらに好ましくは1nm〜10μmの範囲がよい。不活性ガスとしては、窒素、二酸化炭素、アルゴン、ヘリウム等が使用可能であるが、果実酒の香味に与える影響や経済的な観点から窒素の使用が最も好ましい。
このような不活性ガスの使用量は処理すべき果実酒の種類等により多少変動するが、およそ果実酒1L当たり、3〜40mL/分で10〜60分接触させることにより果実酒の香味の劣化速度を遅くすることができる。10分より接触時間が少ないと香味の劣化速度を遅くする効果が少なくなる。また60分より長くしてもその効果にあまり変化がなく、不活性ガス、電力等が無駄になるのでいずれも好ましくない。
上述した粒径の気泡は、様々な種類のマイクロバブル発生装置を用いて生成させることができる。例えば、旋回流方式、加圧式、キャピラリー式、膜式、ベンチュリー式、エジェクター式等のマイクロバブル発生装置を挙げることができるが、いずれのタイプの装置も利用可能である。旋回流方式によるマイクロバブル発生装置を用いた場合、一般に次のように使って気泡を発生させ、果実酒を処理する。マイクロバブル発生装置(装置ノズル)は、果実酒を入れたタンク内に設置する。ポンプで果実酒を装置ノズルへ供給し、装置ノズルから果実酒中へ噴射する。このようにするとノズルから発生する旋回流の中心部が負圧になり、そこに外部のガスボンベまたはガス供給装置から窒素などの不活性ガスを供給し、果実酒中に不活性ガスの微細な気泡を形成させる。
このような旋回流方式によるマイクロバブル発生装置のラボスケールの一例として、マイクロバブル装置(M2−M型;エコプレーン社製)と循環ポンプ(セルプラハンディポンプ・型式HP−100;寺田ポンプ製作所製;液体供給量約5〜7L/分)を組み合わせたものを挙げることができる。この装置に限らず旋回流方式のマイクロバブル発生装置は、一般に不活性ガスの供給量が多くなると平均気泡径がより大きくなる。そのため平均気泡径が1nm〜50μmの範囲となるよう不活性ガスの供給量を調節する。この装置構成の場合、不活性ガスの供給量が50〜200mL/分となると気泡径が著しく小さくなり、果実酒の香味の劣化速度を遅くすることができる。
より処理量の大きなパイロットスケールの一例として、マイクロバブル装置(M2−L型;エコプレーン社製)と循環ポンプ(ブラダ型アキュムレーター・PTB3−01−1.2K;川本製作所製;液体供給量約30L/分)を組み合わせたものを挙げることができる。この装置構成の場合、不活性ガスの供給量が200〜1000mL/分となると気泡径が小さくなり、果実酒の香味の劣化速度を遅くすることができる。
このようにマイクロバブル発生装置には特有の好適なガス供給量があるので、その装置の能力に合わせて処理すべき果実酒の量を、ガス供給量が果実酒1L当たり3〜40ml/分となるよう調整する。また処理すべき果実酒の量が多い場合には、それに合わせて装置を複数設置することにより上述の条件を満足するように調整する。
マイクロバブル処理に伴う果実酒の香味変化は、その果実酒の種類、マイクロバブルの処理条件等により全て同じになるわけではないが、例えば、果実酒が赤ワインの場合、以下のように変化することが多い。
(1)マイクロバブル処理を開始した10〜20分後に一旦雑味が増え、約30〜60分以降少なくなる。
(2)好ましい香りは、開始後30〜60分で多くなり、その後少なくなる。
(3)味のまろやかさは処理時間と共に増加し、30〜50分以降殆ど変化しなくなる。
なお、ワインの処理中に泡立ちが観察される。30〜50分後にはその泡も殆ど消失するが、この現象は香味変化と相関するようである。
また果実酒が白ワインの場合、以下のように変化することが多い。
(1)マイクロバブル処理を開始後、一旦雑味が増えその後、30分以降少なくなる。
(2)好ましい香りは、開始後30〜60分で多くなり、その後少なくなる。
(3)味のまろやかさは処理時間と共に増加し、30分後からは殆ど変化しない。
マイクロバブル処理したワインは未処理のワインに比べて、その一般分析値、アミノ酸分析値、有機酸分析値に関しては、ほとんど違いが見られない。長時間処理した場合に限りエタノール濃度がわずかに低下するが、処理時間が60分以内であればほとんど検出できないほどであり、問題にはならない。
その一方で、マイクロバブル処理すると、赤ワインにおいて伝統的に測定されている「滑らかさ」を評価するエタノール指数が有意に増加する。この指数は、赤ワイン中の、多糖類、塩類と結合したフェノールの割合を示すものと言われており、マイクロバブル処理すると、何らかの物理化学的作用で、ワインの「滑らかさ」に好ましい影響を与えると言える。
果実酒の製造工程には、発酵終了後、酵母菌体の分離(遠心分離、珪藻土濾過、フィルター粗濾過等)、オリ下げ処理、オリ下げ珪藻土濾過、酒石除去、仕上濾過、容器充填等の工程がある。このようなマイクロバブル処理は、果実酒の発酵終了の後で、容器に充填する前であれば、どのような製造工程の間でも行うことができるが、より工程の後半での処理の方が、その効果を発揮しやすい。
以下、実施例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1 マイクロバブル処理による亜硫酸無添加白ワインの香味劣化の抑制
亜硫酸無添加白ワイン20Lをマイクロバブル装置・マイクロプレーンM2−M(株式会社エコプレーン製)を用いて処理した。この装置に、5〜7L/分の流速にてポンプでワインを供給し、窒素ガスを100mL/分の供給量で供給しながら30分間マイクロバブル処理を行った。その後、0.45μmのメンブランフィルターで濾過し、容量720mLのガラス壜に壜詰した後に熱水中に浸漬し、壜内温度が55℃になるまで加温して殺菌した。比較サンプルとして、同じ亜硫酸無添加白ワインを焼結金属ディフューザーにより窒素パージ処理(ワイン1L当たりの窒素ガス供給量:360mL/L)し、同様の方法で濾過、加温殺菌したものを調製した。
これらのサンプルを40℃の恒温槽中に4週間保存した。保存開始直後、2週間後、4週間後の各サンプルをパネラー8〜11名が官能評価した。
判定は、コントロールである窒素パージ区を3としてマイクロバブル処理区の各特性を5段階(1:少ない、2:やや少ない、3:同等、4:やや多い、5:多い)で相対的に評価した。なお、40℃、4週間の保存は、通常温度での約半年の保存に相当する。
結果を表1に示す。窒素パージ区とマイクロバブル処理区を比較すると、以下のことが明らかになった。
(1)マイクロバブル処理区の方が、色の濃さが若干薄くなりワインの褐変が抑制された。
(2)マイクロバブル処理区の方がまろやかさ、香り及び味のフレッシュさが保たれた。
(3)マイクロバブル処理区の方が、雑味、苦味が少なくなり、酸化した味も抑制された。
Figure 2012139137
実施例2:マイクロバブル処理による亜硫酸添加赤ワインの香味劣化の抑制
実施例1と同様の条件で亜硫酸が添加された赤ワイン15Lをマイクロバブル処理し、さらに実施例1と同様に濾過、加温殺菌した(但し加熱温度は52℃)。比較サンプルとしては、同じ亜硫酸添加赤ワインを窒素パージせず、同様の方法で濾過、加温殺菌したものを調製した。
これらのサンプルを処理直後、および40℃で4週間保存後の2回にわたりパネラー10名により官能表現による評価を行った。結果を表2に示す。コントロール区とマイクロバブル処理区を比較すると、以下のとおりマイクロバブル処理区の方が好まれる結果が示された。
(1)マイクロバブル処理区の方が、少し赤紫色が強く、褐変が抑制されている。
(2)マイクロバブル処理区の方が不快臭である酸化劣化臭が少なく、逆に甘美でスムーズな香りがある。
(3)マイクロバブル処理区の方が、雑味や苦味を少なく感じ、洗練されたスムーズな味で、味の締りと官能的な連続感がありコクがある。
Figure 2012139137
実施例3:マイクロバブル処理による亜硫酸添加ワインの香味劣化の抑制
発酵が終了し最終濾過工程前の3種のワイン〔ワイン1(やや甘口の赤ワイン)、ワイン2(辛口の赤ワイン)、ワイン3(やや甘口の白ワイン)〕各15Lを、マイクロバブル装置・マイクロプレーンM2−M(株式会社エコプレーン製)を用いて処理した。この装置に、ポンプにて各ワインを5〜7L/分の流速で供給し、窒素ガスを100mL/分の供給量で供給しながら45分間マイクロバブル処理を行い、処理直後の各ワインを、窒素パージ処理した各ワインと比較して7〜10名のパネラーにより官能評価を行った。
なお、比較サンプルに用いた窒素パージ処理ワインは、各ワインを焼結金属ディフューザーにより窒素パージ処理(ワイン1L当りの窒素ガス供給量:3L/L、処理時間:1分)したものである。
官能評価は窒素パージ区またはマイクロバブル処理区のどちらかを3として相対的に5段階で評価した。その後、窒素パージ処理区のワインを3とした評価に換算した。結果を表3に示す。
結果としては、マイクロバブル処理区はコントロールである窒素パージ区に比べて、雑味苦味が減少し、口当りがまろやかでスムーズになり、香味の嗜好性も向上していることが示された。
Figure 2012139137
実施例4:マイクロバブル処理によるワインの物理化学的変化
4種の赤ワイン〔赤ワインA(亜硫酸添加、やや辛口)、赤ワインB(亜硫酸無添加、やや辛口)、赤ワインC(亜硫酸無添加、やや甘口)、赤ワインD(亜硫酸添加、やや辛口)〕各15Lを、マイクロバブル装置・マイクロプレーンM2‐M(株式会社エコプレーン製)を用いて処理した。この装置に、ポンプにて各ワインを7L/分の流速で供給し、窒素ガスを100mL/分の供給量で供給しながら60分間マイクロバブル処理を行った。
処理直後の各赤ワインと処理前の各赤ワインについて、以下のとおりエタノール指数を測定した。
すなわち、試料の赤ワイン0.1mLにエタノールを0.9mL添加し、懸濁後24時間室温で放置した後、15,000rpmで10分間遠心分離し、その上清を10倍希釈してから吸光度280nmを測定する(A280)。次いで試料の赤ワイン0.1mLにエタノールを0.9mL添加し、直ちに水を9mL添加した後、吸光度280nmを測定する(A280(std))。エタノール指数は次の式で表される。
エタノール指数=100×(A280(std)-A280)/A280(std)
結果を図1に示す。いずれの種類の赤ワインについても、マイクロバブル処理を行うと、エタノール指数が上昇し、味のまろやかさが増すことが明らかである。
実施例5:マイクロバブル処理によるワインの香気成分揮散への影響
白ワイン15Lを、マイクロバブル装置・マイクロプレーンM2−M(株式会社エコプレーン製)を用いて処理した。この装置に、ポンプにて各ワインを7L/分の流速で供給し、窒素ガスを300mL/分の供給量で供給しながら30分間マイクロバブル処理を行った。
マイクロバブル処理前後のワインを0.45μmのメンブランフィルターで濾過した後、ガスクロマトグラフィー(機種名:GC17A,島津製作所製)を用い、揮散しやすいエステル成分である酢酸イソアミルとカプロン酸エチルの濃度を測定した。その結果、マイクロバブル処理前後においてそれらの濃度に変化は全く見られなかった。マイクロバブル処理することは液の混合が続くことを意味するので、液の撹拌によってワインの香気成分が揮散するおそれがあったがが、その懸念はほとんどないことがわかった。
参考例1:マイクロバブル処理により生じた水中の気泡径の測定
マイクロバブル装置・マイクロプレーンM2−M(株式会社エコプレーン製)を用いて蒸留水15Lに対して、水を7L/分、窒素ガスを100ml/分の供給量で供給しながら30分間マイクロバブル処理を行った。得られた処理水中に存在する気泡の粒度分布を、動的散乱光測定による粒度分布測定装置DelsaTMNano C(Beckman Coulter社製)を用いて測定した。結果を図2に示す。
散乱強度による粒度分布では、粒径20nm付近、140nm付近、1μm付近、50μm付近にピークが検出されたが、気泡の粒子個数分布では20〜34nmまでの気泡で99.8%を占めた。なお、ワインの場合、様々なコロイド粒子が存在しているため、気泡の粒度分布は直接測定できないが、水とほぼ同様の分布と予想される。なお、処理前の水では粒子が検出されなかった。

Claims (4)

  1. 果実酒の香味の劣化を抑制する方法であって、容器に充填する前の果実酒に不活性ガスを直径1nm〜50μmの気泡にして接触させることを特徴とする方法。
  2. 接触させる不活性ガスの量が果実酒1L当たり3〜40mL/分で10〜60分である請求項1記載の方法。
  3. 不活性ガスが窒素ガスである請求項1または2に記載の方法。
  4. 果実酒が酸化防止剤無添加ワインである請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
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