JP4014450B2 - 可撓性止水継手 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、可撓性止水継手に関し、更に詳しくは、常に良好な止水効果を発揮するようにした可撓性止水継手に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、コンクリート構造物として海底の土中などに埋設される沈埋トンネルの各エレメント両端の継ぎ目部には、内部に水が浸入するのを防止するため、二次止水用として可撓性止水継手が取り付けられている。
【0003】
このような可撓性止水継手は、一般に、ゴム層に補強布を埋設した継手本体とその両端部の取付け部とから一体的に構成され、この取付け部をボルトなどの締結手段により弾性変形させて隣接する沈埋トンネルのエレメント端部に固定し、取付け部とエレメント端部との間の水密性を確保するようになっている。
【0004】
また、上記可撓性止水継手において高圧水に対する水密性を確保するため、本出願人は、特開平8−178154号公報に、取付け部を貫通して締結するボルト両側の取付け部の取付け側面に凸状部を一体的に突設し、エレメントの継ぎ目部側に位置する凸状部の圧縮剛性を他方側の凸状部より小さくするようにした可撓性止水継手を提案している。
【0005】
しかしながら、上述したように締結手段により固定する可撓性止水継手は、長期間の使用による経年劣化により、取付け部のゴムの圧縮応力や弾性復元力が低下し、それによって取付け部に対する締結手段による締付け圧力が低下し、取付け部とエレメント端部との間から沈埋トンネル内に水が浸入するという問題があった。特に浸入しようとする水の水圧が高ければ高いほど止水効果が大きく損なわれる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、取付け部に対する締結手段の締付け圧力が低下しても、常に良好な水密性を確保することが可能な可撓性止水継手を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明は、可撓性の継手本体の両端部に取付け部を一体的に有し、該取付け部を隣接して配置したコンクリート構造物の端部に締結手段により固定するようにした可撓性止水継手において、前記取付け部の取付け側面に、所定の間隔をおいて前記コンクリート構造物の端部に沿って延在するようにした2条の弾性突起部を該コンクリート構造物の端部に圧接可能に突設し、該弾性突起部間の凹部に、水の吸収により膨張して前記コンクリート構造物の端部と前記取付け部の取付け側面に圧接して止水する水膨張ゴムまたは水膨張シーリング材からなる止水材を設け、前記可撓性止水継手を前記コンクリート構造物の端部に取り付けた際に、該端部と前記2条の弾性突起部間に形成される前記凹部の空間部の容積Aと、該凹部に設けられた膨張前の前記止水材の体積Bとの比B/Aを0.2〜1.0にし、かつ、前記凹部の空間部の高さHと膨張前の前記止水材の高さhとの比h/Hを0.2〜1.0にしたことを特徴とする。
【0008】
上記構成からなる本発明の可撓継手によれば、長期間の使用で経年劣化した取付け部の圧縮応力や弾性復元力が低下し、それにより締結手段の締付け圧力が減少して凹部に水が浸入しても、その水を止水材が吸収して膨張し、コンクリート構造物の端部と取付け部の取付け側面に圧接して止水するため、水がコンクリート構造物内に浸入するのを防止することができる。従って、締結手段の締付け圧力が低下しても、常に良好な止水効果を得ることができる。
【0009】
しかも、継手取付け時に、締結手段の締付け圧力に多少の不足が生じ、それによって凹部内へ水が浸入するようなことがあっても、止水材によりその水がコンクリート構造物内に浸入するのを回避することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の構成について添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0011】
図1は、本発明の可撓性止水継手の一例を示し、この継手は、可撓性の継手本体1の両端部に取付け部2を一体的に有する帯状に構成され、隣接して配置したコンクリート構造物Xの端部X1に締結手段3により固定されるようになっている。
【0012】
継手本体1と継手幅方向(図1の横方向)両端の取付け部2は、ゴム層4に補強布5を埋設して一体的に構成されている。
【0013】
コンクリート構造物Xの端部X1には、鋼製枠板X2が水密的に固着されている。鋼製枠板X2の構造物側には、端部X1に埋設した締結用ナットX3が水密的に溶接により固設され、このナットX3にアンカーボルトX4が取り付けられ、締結用ナットX3と水密的に溶接されている。
【0014】
締結手段3は、取付け部2の反取付け側面2A上に配置される押さえ板6と、この押さえ板6と取付け部2を貫通し、後述する凹部11を通るようにしてコンクリート構造物Xの端部X1に埋設された締結用ナットX3に螺合する締結用ボルト7を備えている。
【0015】
取付け部2には、締結用ボルト7が挿通する貫通孔8が継手長手方向(図1の前後方向)に沿って所定の間隔で設けられている。両取付け部2の取付け側面2Bには、貫通孔8を挟んで継手幅方向に所定の間隔をおいて、継手長手方向に延在する2条の弾性突起部9,10が一体的に形成されている。この弾性突起部9,10は、コンクリート構造物Xの端部X1に沿って延在し、その端部X1に圧接可能に突設されている。
【0016】
また、両弾性突起部9,10は、取付け部2の反取付け側面2A上に配置した押さえ板6を取付け部2側に投影した際に、押さえ板6の投影範囲に重なる位置になっている。
【0017】
継手本体1側に位置する内側の弾性突起部9は、ゴムのみから構成されている。外側の弾性突起部10は、取付け部2と同様に、ゴム層10Aに補強布10Bを埋設して幅広に構成され、内側の弾性突起部9の圧縮剛性を外側の弾性突起部10のそれよりも小さくし、それによって取付け時に大きく圧縮変形する弾性突起部9により高圧水に対する水密性を確保するようにしている。弾性突起部10は、弾性突起部9と同様にゴムのみから構成することもできる。
【0018】
弾性突起部9,10間に形成される凹部11には、水の吸収により膨張してコンクリート構造物Xの端部X1と取付け部2の取付け側面2Bに圧接して止水する止水材12が設けられている。取付け部2の貫通孔8に対応する止水材12の部分には、締結用ボルト7を挿通する貫通孔12aが形成されている。
【0019】
止水材12は、凹部11に接着剤により貼り付けてもよく、また凹部11に止水材料を塗布することにより形成してもよい。このような止水材12としては、例えば、水膨張ゴムや水膨張シーリング材を好ましく用いることができる。
【0020】
上記継手は、コンクリート構造物Xの端部X1に埋設した締結用ナットX3に、押さえ板6、取付け部2及び止水材12を挿通した締結用ボルト7を螺合させ、その締結用ボルト7を締付けることにより、コンクリート構造物Xの端部X1に取り付けられる。
【0021】
上述した本発明によれば、通常は、弾性突起部9により止水効果を確保する一方、長期間の使用による経年劣化により取付け部2のゴムの圧縮応力や弾性復元力が低下し、それにより締結用ボルト7の締付け圧力が低下して水が凹部11に浸入しても、止水材12がその水を吸収して膨張し、コンクリート構造物Xの端部X1と取付け部2の取付け側面2Bに圧接して止水するので、水がコンクリート構造物X内に浸入することがない。従って、締結手段3の締付け圧力が低下しても、常に良好な水密性を確保することができる。
【0022】
また、継手取付け時に、締結用ボルト7の締付け圧力に多少の不足が生じ、それが原因で凹部11内に水が浸入するようなことがあっても、止水材12によりその水がコンクリート構造物X内に浸入するのを防止することができる。
【0023】
しかも、鋼製枠板X2と締結用ナットX3、及び締結用ナットX3とアンカーボルトX4の溶接不良が原因で、水が締結用ナットX3の部分から締結用ボルト7の下部を伝わって凹部11に浸入したり、あるいは溶接ビードなどの凹凸が原因で鋼製枠板X2と弾性突起部9との隙間から凹部11に水が浸入するようなことがあっても、止水材12によりその水が更に締結用ボルト7の上部からコンクリート構造物X内に浸入するのを防ぐことができる。従って、止水に対する信頼性を高めることができる。
【0024】
本発明において、コンクリート構造物Xの端部X1に取り付けた際に、その端部X1と弾性突起部9,10間に形成される凹部11の空間部の容積Aと、その凹部11に設けられた膨張前の止水材12の体積Bとの比B/Aを0.2〜1.0にするのがよい。比B/Aが0.2より小さいと、膨張した際の良好な止水効果を確保することが難しくなる。逆に1.0より大きいと、締結用ボルト7の締付け圧力により、止水材12が凹部11の空間部からはみ出し、更には弾性突起部9の横倒れを招く恐れがあるので、水膨張時を含めた締付け圧力の低下をきたし、良好な止水効果を確保することが難しくなる。
【0025】
止水材の高さhとしては、凹部11の空間部の高さHとの比h/Hで0.2〜1.0にするのが好ましい。比h/Hが0.2より小さいと、上述同様に良好な止水効果を確保することが難しくなる。逆に1.0より大きいと、上述と同様の問題が生じる。
【0026】
止水材12は、締結用ボルト7を伝わってコンクリート構造物X内に水が浸入するの防止するため、図示するように締結用ボルト7を囲繞するように凹部11に設けるのがよいが、止水材12の体積Bを上述した範囲で小さくし、締結用ボルト7を十分に囲繞することが困難な場合には、締結用ボルト7より弾性突起部9側の凹部11の空間部分に設けるのがよい。
【0027】
本発明は、特にコンクリート構造物として海底の土中などに埋設される沈埋トンネルの各エレメント両端の継ぎ目部に二次止水用および開削トンネルの可撓継手として用いられる可撓性止水継手に好ましく用いることができるが、当然のことながらそれらに限定されない。
【0028】
【発明の効果】
上述したように本発明の可撓性止水継手は、取付け部の取付け側面に形成した2条の弾性突起部間の凹部に、水の吸収により膨張してコンクリート構造物の端部と取付け部の取付け側面に圧接して止水する水膨張ゴムまたは水膨張シーリング材からなる止水材を設け、可撓性止水継手をコンクリート構造物の端部に取り付けた際に、該端部と2条の弾性突起部間に形成される凹部の空間部の容積Aと、該凹部に設けられた膨張前の止水材の体積Bとの比B/Aを0.2〜1.0にし、かつ、凹部の空間部の高さHと膨張前の止水材の高さhとの比h/Hを0.2〜1.0にしたので、取付け部に対する締結手段の締付け圧力が低下しても、常に良好な水密性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の可撓製止水継手の一例を隣接する一方のコンクリート構造物の端部に取り付けた状態で示す縦断面図である。
【符号の説明】
1 継手本体 2 取付け部
2A 反取付け側面 2B 取付け側面
3 締結手段 4 ゴム層
5 補強布 6 押さえ板
7 締結用ボルト 9,10 弾性突起部
11 凹部 12 止水材
X コンクリート構造物 X1 端部
Claims (4)
- 可撓性の継手本体の両端部に取付け部を一体的に有し、該取付け部を隣接して配置したコンクリート構造物の端部に締結手段により固定するようにした可撓性止水継手において、前記取付け部の取付け側面に、所定の間隔をおいて前記コンクリート構造物の端部に沿って延在するようにした2条の弾性突起部を該コンクリート構造物の端部に圧接可能に突設し、該弾性突起部間の凹部に、水の吸収により膨張して前記コンクリート構造物の端部と前記取付け部の取付け側面に圧接して止水する水膨張ゴムまたは水膨張シーリング材からなる止水材を設け、前記可撓性止水継手を前記コンクリート構造物の端部に取り付けた際に、該端部と前記2条の弾性突起部間に形成される前記凹部の空間部の容積Aと、該凹部に設けられた膨張前の前記止水材の体積Bとの比B/Aを0.2〜1.0にし、かつ、前記凹部の空間部の高さHと膨張前の前記止水材の高さhとの比h/Hを0.2〜1.0にした可撓性止水継手。
- 前記締結手段が、前記取付け部の反取付け側面上に配置される押さえ板と、この押さえ板と前記取付け部を貫通し、かつ前記凹部を通るようにして前記コンクリート構造物の端部に埋設された締結用ナットに螺合する締結用ボルトとを有し、前記2条の弾性突起部の少なくとも一方が前記押さえ板を前記取付け部側に投影した際に該押さえ板と重なる位置にある請求項1に記載の可撓性止水継手。
- 前記2条の弾性突起部の内、前記継手本体側に位置する内側の弾性突起部の圧縮剛性を他方の弾性突起部の圧縮剛性より小さくした請求項1または2に記載の可撓性止水継手。
- 前記継手本体と前記取付け部がゴム層に補強布を埋設してなる請求項1,2または3に記載の可撓性止水継手。
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