JP3996966B2 - ケーブル被覆取り方法と工具 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はケーブル、特に相互に接合してファイバーリボンを形成する光ファイバーの被覆取り方法と工具とに関する。
【0002】
【従来の技術】
ファイバーリボンは、相互に隣接位置し、相互から、かつその環境から遮断されているが、例えばポリマジャケットあるいはスリーブによって相互に対して平行に何らかの要領で固定されている数本の光ファイバーからなる。勿論平行配置されるファイバーの数は任意であるが、商業的には例えばスエーデンでは4本の平行ファイバーを有するファイバーリボン、すなわち4ファイバーリボンが、米国では12ファイバーリボンが用いられている。また、今日では6ファイバーリボンや8ファイバーリボンが市販されている。
【0003】
通常融着あるいは溶接により実行されるが2種類のファイバーを継ぎ合わす場合、ファイバーを一体として、すなわちファイバーリボンとして保つファイバーおよび材料の個々の保護被覆である一次保護被覆をまず除去する必要がある。次に、被覆が除去されたファイバーは相互に溶接するために切断される。
【0004】
一次保護被覆を除去するために、まずファイバーリボン全体が加熱される。例えば、1991年11月11日に出願されたスエーデン国特許願第9103492−6号に記載のファイバー工具を参照されたい。このことは、ファイバーリボンの一次被覆を軟らかくするために実行されるのであり、このことにより被覆取り作業に関連して発生する摩擦力の低下をもたらす。その後、一次保護被覆が、通常被覆除去すべき長さであるファイバーリボンの端から約35〜50ミリの長さだけファイバーリボンの長手方向の側を挟む対向する刃先を有する2個のブレードによって除去される。次にファイバーリボンを引っ張るが次の二種類の結果が発生しうる。
1.一次保護被覆が長い薄肉のプラスチックチューブの形態で引っ張り外される。
2.一次保護被覆が小さい粒子としてかき落される。
【0005】
前記二種類の場合の中最初のものが望ましい。第2の場合が発生すると、多くの小さい粒子が発生し、これが被覆取り工具や作業場所を汚染するので、それらは掃除を必要とする。さらに、被覆が除去されたファイバーの端は汚くなり、これも掃除を必要とする。さらに、加熱によりファイバーリボンが軟らかくなりすぎると、すなわち過大の熱が供給されると、その結果ファイバーリボンが変形しやすくなり、かつ一次保護被覆が断片に破断されるが、これも望ましくない結果である。
【0006】
比較的少ないファイバーが相互に接合されているファイバーリボン、例えばスエーデンで市販されている4ファイバーリボンの被覆取りはそれ程困難ではない。これは、長い薄肉のチューブの形態の光ファイバーから一次保護被覆を除去するのに要する力が比較的小さいという事実による。この被覆取りのための工具はエリックソンケーブル社(Ericsson Cables AB)によって製造されている例えば「ECC4」として市販されている。
【0007】
光ファイバー用の別の被覆取り工具は、単一の光ファイバー用被覆取り工具を開示している米国特許第4,188,841号に記載されている。この工具は、光ファイバーの長い被覆を除去する場合、被覆取り工程を繰り返すのを避けるため、相互に対して相対的に固定した多数の順次配置の対のブレードからなるようにしうる。
【0008】
公告されたドイツ国特許願第DE−A 14038414号は、2個のブレード装置が含まれ、被覆取り作業のとき前記ブレード装置が外側被覆並びに外側および内側被覆に進入するような、光ファイバー用の被覆取り装置に関する。このように、内側被覆が外側被覆の外側へ突き出している被覆取りしたファイバー端が得られる。
【0009】
現在米国で使用されているより多数のファイバーを有するファイバーリボン、例えば12ファイバーリボンの被覆取りを行う場合、破断されないチューブ片の形で一次被覆を引っ張り外すことは上記と同様に簡単にはいかない。これは、4ファイバーリボンに対して要するよりもはるかに大きい力を用いて一次保護被覆を除去する必要があるという事実による。その結果、ECC4と同様の工具を用いると、一次被覆が粉々になることがよくある。
【0010】
発生の可能性のある別の問題は、ファイバーリボン中に残っているプラスチックマトリックスが変形し、そのため被覆取りしたファイバーが色々な方向を指すようになり、その後の切断や溶接を著しく阻害することである。このような問題を排除するために、ファイバーリボンを一時に8〜10ミリを数段階において被覆取りすればよい。この結果、一次保護被覆を除去するのに要する力が小さくなり、そのため短いチューブ片の形態で被覆取りできる。しかしながら、被覆取りすべき長さが通常35〜50ミリの間であるため、これを実行する作業は厄介となる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、例えば汚染のような前述の問題を発生させることなく、かつ十分長い被覆取りを達成するために数回、あるいは数種の作業でケーブルの被覆取りをする必要なく、ケーブル、特にファイバーリボンを形成するように配列された光ファイバーケーブルの被覆取りができる方法と装置とを提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
この目的は、アコーデオンのような相互に対する関係で配置しうるようにブレードを有する頂側すなわち上側と、対向するブレードを有する底側すなわち下側とからなる、多数の二片セグメントを順次接続することによって達成される。このため、ジャケットすなわち一次被覆が削り落される危険性なしに、一次被覆の多数の短い片の被覆取りができる。
【0013】
従って、ケーブル特に、光ファイバーケーブルおよび特にファイバーリボンを形成するように接合された光ファイバーケーブルの被覆取りする一般的な方法が提供される。ケーブルは従来通り内側の長手方向の芯と、少なくとも1個の、前記芯を密閉する保護、すなわち遮断ジャケットとからなる。保護ジャケットは被覆取りすべきケーブルの端から始まる多数の段階において自動的に被覆取りされるため、被覆は破断されない短いチューブ片の形態で除去される。次に、まずブレードの刃先をケーブルの長手方向において相互に距離をおいて、および端部からある距離をおいた少なくとも二ヶ所でケーブルに当接させることにより一回の作業で全体の被覆取りが行われる。その後、ケーブルの長手方向においてケーブルの端に向かって刃先に力が加えられるため、その力はまずケーブル端に最も近い、あるいはケーブル端に直接位置した刃先に作用し、ケーブルの端に向かってある距離をおいて保護ジャケットの最初の片を移動させる。その後、力は次に最も近い、あるいは近傍の刃先に作用し、ケーブルの端に向かう方向において刃先の間に位置した保護ジャケット片を移動させる。同時に、第1の刃先はケーブルの端に向かう方向において、保護ジャケットの最初の片をその元の位置からさらに離れるように移動させ続ける。
【0014】
ケーブルの被覆、特に光ファイバーケーブル、および特にファイバーリボンを形成するように接合された光ファイバーケーブルの被覆取り用工具は、ケーブルの長手方向に対して垂直に切込み、すなわちノッチを形成するようにケーブルを挟み、保護ジャケットに切り込みうる横方向の刃先を備えた少なくとも二対のブレードを有している。これらのブレード対は、相互に対して運動可能すなわち移動可能である異なるセグメントに位置している。前記工具は、またケーブルの端部を保持し、ケーブルの被覆取りのとき動かないようにする保持手段も有する。保持手段は、適当に前記工具に固定しうる標準的なファイバー保持具から構成すればよい。
【0015】
さらに、前記工具のセグメントはシャフトに適当に運動可能に取り付けられ、該シャフトは基本的にケーブルの長手方向に相互に対してのみセグメントが運動しうるようにしている。さらに、これらのセグメントは、隣接するセグメントの対からあるセグメントの対が長く動きすぎることがないようにする停止手段を形成するフックあるいは当接部材の形態の手段を設けることが有利である。
【0016】
さらに、前記工具は、工具によって被覆取りされるケーブルを加熱するためにセグメントに装着することが好ましい電気コイルを含みうる。これらのコイルから提供される熱は、例えば適当な変換器のような1個あるいは数個の温度感知手段からの出力信号に基いていずれかの所定温度に自動的に制御することができる。
【0017】
本工具はまた、被覆取りされた保護ジャケットの全ての細片がケーブルの端から完全に除去されてしまうのを阻止する停止手段を含みうる。すなわち、前記細片は、特にそれらの初期の位置から所定距離以上に動かないようにされる。停止手段はケーブルの最外方端に位置した最外方セグメント対に作用することが有利である。
【0018】
セグメントの対には、一方の対のセグメントを相互に対してロックするために、相互に係合するようにされ、そのため前記工具の軸線に対して平行な方向に、従って本工具に正しく位置されたケーブルの長手方向に対して平行に一体に動きうるようにされた雄および雌部分が配設されるのが有利である。さらに、セグメントの中間部分にくぼみを位置させることができ、その側面はケーブルが横方向に整合するように前記工具に位置したケーブルの外面に接触するように配置されている。本工具はさらに、最上方のセグメントが装着される大きい頂部すなわち上部分を含むことが有利で、この上部分は全てのセグメントと重なり、操作者が把持するのに適した手段を提供し、この手段は本工具の他の部分から引っ張ることができ、切込み用ブレードの被覆取り運動を提供する。
【0019】
ある実施例においては、本工具は側面を有する適当な金属ブロックの形態の本体を含む。リニアベアリングが例えば、2個の真直で平行な円筒形シャフトの形態で前記側面から延在すなわち突出している。少なくとも2個のセグメントは、被覆取り作業時ケーブルの保護ジャケットの面に適用され、そのためジャケット中へ進入していくブレードを担持している。セグメントはシャフトに沿って個々に運動可能であるが、相互に対する動きは制限されている。本工具の本体にはケーブルを保持する手段が設けられている。リニアベアリングにはその外端において停止部材、すなわち当接部材が取り付けられている。本体から最も離れて配置されている最外方セグメントにおいて、フックすなわち係合手段が装着されており、該係合手段は、それが装着されているセグメントが他のセグメントから所定距離移動したときのみ係合されるように少なくとも1個の他のセグメントと係合するように配置されている。前記所定距離はセグメントによって異なり、他のセグメントが前記本体に近接すればする程長くなる。
【0020】
本発明を添付図面を参照して非限定的な実施例により以下説明する。
【0021】
【発明の実施の態様】
図1に、ファイバーリボン5の基本構造が示されている。ファイバーリボン5は多数の個別で平行な光ファイバー1からなる。これらの個別のファイバーの各各は例えば高分子材料のような適当な材料の保護被覆2で被覆されている。被覆で覆われ光ケーブル4を形成している多数の光ファイバー1が共通の保護ジャケット3によって相互に接合されファイバーリボン5を形成している。
【0022】
例えばファイバーリボンを別のリボンケーブルあるいは個別の光ファイバーに継ぎ合わせるような各種の適用において、光ファイバー自体の被覆を取る、すなわち露出することが必要となる。このように、一次保護被覆あるいは一次被覆と称される高分子材の種々のジャケットすなわち被覆2および3を除去する必要がある。これは、多数の各種段階において、但し図2の(a)〜(e)および図2の(a)〜(e)に示す装置に用いられる細部を示す図3の(a)と(b)とに概略図示する工具によって一回の作業で実行される。
【0023】
図示した工具は多数のセグメント対23より構成され、前記セグメントの中の上側セグメントのみ図示するが各セグメントは従来の被覆取り工具と同じ機能を持つように設計されている。このように、各対のセグメント23は対向する刃先を含む一対のブレード7を有し、前記刃先はファイバーリボンの長手方向に対して横方向に延び、ファイバーリボンを上側および下側の双方から挟み、図2の(b)で示すように上側からと底側からの双方から一次被覆中へ切り込まれる。これらのセグメント23は適当に機械的に相互接続され、セグメントは相互に対して、少なくともブレードの刃先を通る平面に対して垂直な方向に移動可能である。
【0024】
前記可能な相互接続を図3の(a)〜(b)に示す。相互接続装置はこの場合、セグメントaに取り付けられたバー37を含み、このバーの長手方向は基本的にセグメントaのブレード33の刃先に対して垂直である。セグメントbは、該セグメントbのナイフ35の刃先に対して基本的に垂直方向に延び、その直径がセグメントaのバー37を受け入れるように調整される孔を有する。従って、バー37はセグメントbの孔へ入ることにより、セグメントaとbは、各ブレード33,35の刃先に対して基本的に垂直な方向に相互に対して移動可能となる。
【0025】
セグメントaとbとが所定長さ以上に離れることができないようにするために停止手段が設けられている。図3の(a)と(b)に示されている実施例においては、停止手段はセグメントbに形成された孔をセグメントb中へ入ったある距離においてより大きい直径とし、バー372に該バーの端部に位置し、該バーの残りの部分より直径の大きいヘッド39を設けることにより提供され、ヘッド39は前記孔の直径がより小さい領域では前記孔を通過することができない。
【0026】
このように、セグメントの2個のブレードが位置した平面に対して基本的に垂直で、従ってブレードの刃先に対して垂直な方向においては移動可能な2個のセグメントが提供される。さらに、セグメントは引っ張って離れることがないように相互に接続されている。このように、被覆取りすべき部分がどの程度長いか、あるいは何ら危険を伴うことなくチューブの形態で被覆取りできる部分がどの程度長いかによって、適当な寸法のセグメントが適当数相互に接続される。被覆取りすべきファイバーリボンが12ファイバーリボンである場合、各セグメントの適当な長さは約8〜12ミリであり、これは長さが48ミリの一片を被覆取りするには、前述の要領で順次接続された5個程度のセグメント23が必要であることを意味する。
【0027】
前述の装置により被覆取り作業を実行する方法が図2の(a)〜(e)に概略図示されている。これらの図において、ファイバーリボンの上側に適用された方法のみが示されているが、本工具の機能は対称的であるためファイバーリボンの底側に対しても同じ手順が行われる。さらに、概略図2(a)〜(e)は3個の相互接続のセグメントを示すが、後述するようにそれ以上のセグメントを設けてよいことは勿論である。
【0028】
先ず、被覆取りすべきファイバー端25がその端面から適当な距離をおいて、例えば端面から35〜50ミリのところで、ファイバーリボンを挟み、従ってしっかりと保持する保持手段21(図2の(a)参照)によって取り付けられる。ファイバーリボン25を締め付けるこの手段21は被覆取り工具と一体にすることが好ましいが、前記工具とは分離した個別の部材としてもよい。その後、被覆取り工具はそのセグメント23と共に、最内方セグメント29のブレード27の刃先が、そこから被覆取りすることが望ましいファイバーリボン25の点を挟み始める。図2の(b)参照。このように、セグメント23がファイバーリボンを挟み、それらのブレード全てがファイバーリボン25の一次被覆9中へ進入すると、保持手段21から離れる方向に最外方セグメント22に力が加えられる。この力はブレードが位置している平面に対して垂直で、従ってファイバーの長手方向に対して平行である。図2の(c)参照。このためファイバーリボンの端部に最も近い一次被覆が非破断チューブ20として被覆取りされる。
【0029】
次に力を加え続けると、セグメント23の相互運動を停止する手段が、ファイバーリボンの長手方向の力が第1あるいは第2の最外方セグメント24にも加えられ、そのため一次被覆9の第2の最外方片が動かされ、チューブ状に被覆取りされることを保証する。図2の(d)参照。この状態はファイバーリボンの長手方向の力が最内方セグメント29に加えられ、かつ被覆取りすべき一次保護被覆9の最後の部分が薄肉チューブの形態で除去されるまで続く。図2の(e)参照。
【0030】
図4は図1〜図3(b)を参照して説明した原理により構成した完全な被覆取り工具を示す。従って、図4に示す工具は図2(a)〜(e)を参照して説明した工具と同じ機能要素を有するが、ある点では異なる構成である。
【0031】
図4に示す上側セグメント40は図2の(a)〜(e)に示すセグメント23に対応し、図2(c)の最外方上側セグメント22は図4のセグメント41に対応する。さらに、図4においては被覆取り工具の底部分が示されており、この底部分は上側部分のセグメント40に対向した下側セグメント47を含む。前記上側および下側セグメント40,47の各々にはセグメント23と同様、ねじによってセグメントの側方のくぼみ40′に装着すべき、図示していないブレードが設けられている。図4に示す工具による順次の被覆取りはフック手段42よって行われる。該フック手段は最外方の上側セグメント41に装着され、また他方の上側セグメントを保持し、上方に旋回しうる蓋として構成された上側部分にしっかりと取り付けられた最外方セグメント41と他の上側セグメント40とを回転方向において整合させる。このことは2個のフック手段42が最外方セグメント41の下側の両縁部に装着されているという事実によって達成される。さらに、フック手段はこのセグメントから、本工具に位置したファイバーリボンに対して平行な方向に延在する。そのため本工具の蓋部分44が本工具の後側においてシャフトの周りで旋回するとき残りの枢動した上側セグメント40が落下しないように阻止する。
【0032】
これらのフック手段42は、挿入されたファイバーリボンの長手方向に位置した全体的に細長い主本体部分と、横方向に突出し低い隆起部あるいはフック手段42の形状にされた多数のピンあるいは突起43とからなる。前方のフック手段は蓋部分44の前側に位置し、蓋部分44に対して運動可能な上側の残りのセグメントの前側縁部分を担持すなわち支持している。前記フック手段は突起43により、最外方のセグメントを除いて上側および下側セグメントの全てと係合するようにされている。後方フック手段は、蓋部分44が旋回運動するためにその周りで回転可能なシャフト49の次に位置する蓋部分44の側に位置している。後方フック手段は突起43によって最外方でない上側および下側セグメントと係合するようになる。さらに、フック手段42の突出隆起43はくぼみ43′の係合側に対して移動するように位置している。くぼみ43′は突起43に対応し、最外方セグメントを除く全てのセグメントの側面に位置している。くぼみ43′は本工具に位置したファイバーリボンの長手方向に対して平行な方向に突起43より著しく大きい延在部を有し、適当に位置した係合面を備えている。これらの係合面は突起43と順次接触し、それで最外方セグメント41,46が初期位置から所定距離、例えば10ミリだけ移動するまで第2の最外方のセグメントは影響を受けず、かつ隣接する先行対のセグメントがその初期位置から所定の距離を移動するまで後続のセグメントが影響を受けない。前方のフック手段の隆起43と協働するように同様のくぼみが非最外方セグメントの前側に配置されている。
【0033】
最初の最外方セグメント41は2個のフック手段42と共に本工具の蓋すなわち上側部分44にしっかりと取り付けられている。本工具の上側部分44におけるセグメント40はさらに細長い本体として構成され、その長手方向が本工具に位置されたファイバーリボンの長手方向に対して垂直となるように本工具に位置されている。浅いくぼみ、すなわち溝41′がセグメント40,41の中間部に配置され、被覆取りすべきファイバーリボンを横方向における適正位置に保持する、すなわちファイバーリボンを基本的に真直な状態に保つように適当に位置した側面を有する。セグメントの端部において、すなわちその短辺、すなわち側面において、くぼみ43′が設けられ、一方セグメントの長辺の面が相互に対面し、あるいはファイバーリボンの長手方向に向いている。上側セグメント40の各各には、また各セグメント40の前側に位置した雄部分45が設けられている。雄部分は蓋部分44の下側から下方の方向において下方へ突出している。本工具の上側部分44が旋回位置にあると、雄部分は下側セグメント47の前方横端に位置した対応の雌部分46と係合する。この位置において、各対のセグメントは次に前側において相互にロックされる。下側セグメントは本工具の底部分すなわち下側部分の一部48を形成する。
【0034】
上側セグメント40の後端において、すなわち雄部分を含まない端部において、長手方向の貫通孔が配置されている。対応する、すなわち相手側の長手方向の貫通孔が下側セグメント47の対応する後端に配置されている。また、下側セグメント47の前縁部における雌部分も長手方向の貫通孔を有する。これらの全ての貫通孔は相互に対して平行で、本工具に位置したケーブルの方向に延在している。
【0035】
本工具の上部分44はプレート状の本体から構成され、該本体には多数のセグメント40が位置され、横方向に細長く、かつシャフト49に沿って相互に対して移動可能である。後方シャフト49が、それぞれ雄および雌部分を含まないセグメントの後端における上側および下側セグメント40,47の貫通孔を貫通している。さらに上側部分44は最外方の上側セグメント41にしっかりと装着されている該上側部分44の二辺においてフック手段42を含む。これらのフック手段42は、本工具の上側部分44にしっかりと装着されていない上側セグメント40、すなわち最外方セグメント41を除く全てのセグメント40がシャフト49に沿った回転方向においてセグメント41との整合から外れないようにするように位置している。蓋部分44は、さらに上側部分44から下方への方向において各セグメント40の前方で突出している雄部分45を含む。上側部分44と、上側部分44にしっかりと取り付けられた最外方セグメント41を含む全てのセグメント40は、さらに本工具の後側に位置した前記シャフト49の周りで一体に回転可能である。さらに、上側部分44は、それに装着された部材と共にシャフト49に沿って移動可能である。
【0036】
本工具の底部分すなわち下側部分48の下側セグメント47は、フック手段42が無く、かつ雄部分45の代りに雌部分46を備えていることを除いては上側部分44のセグメント40と基本的に同じか、あるいは補完関係にあるが反対方向にある。さらに、下側セグメント47は後方シャフト49に沿って、かつまた後方シャフト49に対して平行であり、下側セグメントの前端あるいは前側にある各貫通孔を通る前方シャフト50に沿って移動可能である。
【0037】
本工具のそれぞれ上側部分および下側部分におけるセグメント40,47は後方シャフト49に沿って相互に接続され、この共通シャフト49に沿って運動可能である。さらに、セグメント47はまた本工具の前縁部に位置した第2のシャフト50に取り付けられているが、該シャフト50に沿って運動可能である。本工具は、またその中に位置したファイバーリボンを保持する部分を含み、該保持部分は下側部分51と、図示していない蓋すなわち上側部分とを有する。前記下側部分51は、ファイバーリボンを被覆取り、切断および溶接するために従来から用いられているファイバーリボン用の着脱可能な標準的なリティナ用のくぼみをその上面において有する概ね長方形のブロックとして構成されている。くぼみは、その中に位置した保持具がセグメントに面した側面近傍で当接するように下側部分51の前記側面までは完全に延在していない。保持部分の下側部分51のこの側面から垂直方向に後方シャフト49が延在しており、該シャフト49に沿って本工具の上側セグメント40が延び、また前方シャフト50も延びていて、本工具の下側セグメント47はシャフト49,50に沿って摺動しうる。後方シャフト49は2個の直立して突出する部分において保持部分の下部分51の後方部分にしっかりと装着され、前記シャフトの一部が前記直立部分の間で露出し、図示していない蓋部分をシャフトの周りで旋回し、下方へ旋回してファイバー保持具を保持するように装着することができる。
【0038】
本工具は下記の要領で作動する。まず、本工具は、最内方のセグメントが保持部分と接触するようになるまで、全てのセグメントを下側部分51を備えた保持部分に向かう方向にできるだけ遠くまで運動させることにより初期位置に位置する。この時点で全てのセグメントは相互に緊密に接触する。この運動は旋回蓋部分44を手動で前記方向に引っ張ることにより該蓋部分44を用いて実行することができる。次に、前記上側部分44はその接続された部材と共に上方へ旋回される。被覆取りすべきファイバーリボンが保持部分とその下側部分51に固定され、それで被覆取りしたいと思う端部の最内方部分が最内方セグメントのブレード対の平面に位置する。次に、後方シャフト49の周りで回転可能な本工具の上側部分44が再び下方へ旋回し、それで上側セグメント40の雄部分45が下側部分48のセグメント47の雌部分46と係合するようになる。次に、上側セグメントと対向する下側セグメントは一体に運動しうるロックされた対のセグメントを形成する。ロック機能は、前側においては補完の雄および雌部材により、後側においてはシャフト49の補完の貫通孔によって提供される。上側および下側セグメント40,47のブレードは次に相互の上方に正確に位置し、刃先がファイバーリボンの一次被覆に切り込まれる。その後、ファイバーリボンの長手方向で、かつシャフト49,50に沿って保持部分の下側部分51から離れる方向に上側部分44に力が加えられる。力を加えるために、操作者は片手で上側部分44を掴み、別の手で閉鎖された保持部材をしっかりと持つことができる。
【0039】
この力により、上側の最外方セグメント41と本工具の下側部分の対応するセグメント47が保持部分の下側部分51から離れる方向に、図4において右方へ引っ張られ、その結果一次被覆の第1の部分がファイバーリボンから除去される。この時点では接続されロックされた対を形成している残りのセグメントはそれらの位置が依然として保持部材の下側部材の近傍にある。次に力を加え続けると、最外方上側セグメントに取り付けられているフック手段42上でセグメントの側部に対して運動可能である突出隆起43によって保持具51から順次離れる方向に引っ張られ始める。最終的に、全てのセグメント40,47は、ファイバーリボンを保持している保持具の下側部分51から離れる方向に運動する。そのため、最初からファイバーリボンの外端と最内方セグメント対のブレードとの間に位置していて一次被覆が除去される。
【0040】
運動が十分長く続いた場合、短いチューブとして除去された一次被覆の全ての部分がファイバーリボンの被覆取りされた端部から完全に除去されるが、これはある場合には望ましいことである。例えばファイバーの後続の切断のような、その他の場合においてはファイバーリボンの個々のファイバーが依然として相互に接続されたままとなるように、被覆除去されたファイバーリボン端の最外方端に一次保護被覆の1個以上の短いチューブ状片を保持しておくことが望ましいことがありうる。このようにすることによって、切断を行っている操作者がファイバーで傷つく危険性が最小とされる。
【0041】
この目的に対して図4に示す工具には、基本的には長方形のプレートの形態で、保持具の下側部分51から適当な距離をおいて平行な直線シャフト49,50の間に取り付る停止手段52を設けることができ、それでセグメント40,47は保持具部分と停止手段52との間のみをシャフト49に沿って運動しうる。停止手段52はシャフトに沿ったセグメントの運動を制限するので、その適当な位置が一次保護被覆の最内方の被覆取りした短い片がファイバーリボンから完全に除去されないようにしうる。図中右方への運動は、最外方セグメント41,46の側面が停止手段52の対向する面と接触するようになると続行しないようにされる。さらに、停止手段52はシャフト49,50に沿って運動可能であれば有利であり、被覆取りが終了した後所望量の一次保護被覆が残るか、あるいはファイバーリボンの端全体が完全に被覆取りされるように、保持具51から可変の距離で固定しうる。
【0042】
さらに、本工具は、被覆取りすべきファイバーを加熱できるように、図4に示していない加熱装置を装備しうる。図4に示す工具においては、加熱は下側部分48のセグメント47において行われるが、勿論上側部分のセグメントにおいて行ってもよい。これらセグメントの加熱は加熱電線あるいは抵抗電線により電気的に適当に実行される。ファイバーによって異なりうる正確な温度を得るために、各セグメントに対して個別の加熱あるいは温度検出器が、あるいは全てのセグメント47に対して共通の1個の検出器が設けられる。
【0043】
これらの検出器の出力信号が、セグメントへ供給される電力を制御する自動電力制御装置への入力信号として使用される。種々のファイバーは異なる最適被覆取り温度を有するので、多数の異なる所定の温度をセットしておくことも可能である。加熱電線57が図2の(b)の概略図示のセグメント53に示されているが、これらの電線は適当な電線を介して制御装置58に接続される。ここでもまた、温度センサ59が最外方セグメントに装着されており、電力制御装置58に電気的に接続されている。
【0044】
結論として、被覆がかき落とされる危険性なくしてケーブル、特にファイバーリボンを形成するように相互に接合されている光ケーブルの被覆取りを一回の作業で容易に行いうる方法と装置とを説明してきた。前記方法は、チューブの形態で被覆取りしたい、また特に光マルチファイバーリボン、特に米国で一般的に使用されている12ファイバーリボンの被覆取りする場合従来の技術では1回の作業では実行不可能な程長いケーブル片のようなケーブルの被覆取りに主として適用される。
【図面の簡単な説明】
【図1】ファイバーリボンの構造を示す斜視図。
【図2】(a)から(e)はファイバーリボンの被覆取りする方法の種々の段階を示す概略側面図。
【図3】(a)と(b)とは被覆取り機構の種々の細部が相互に接続しうる要領を示す概略図。
【図4】ファイバーリボンの被覆取りを行う装置を示す斜視図。
【符号の説明】
1 光ファイバー
2 保護被覆
3 保護ジャケット
4 光ケーブル
5 ファイバーリボン
7 ブレード
9 一次被覆
20 チューブ
21 保持手段
22,23 セグメント
40,41 セグメント
42 フック手段
45 雄部分
46 雌部分
47 下側セグメント
44 上側部分
48 下側部分
49,50 シャフト
51 保持手段
52 停止手段
Claims (21)
- ケーブル、特に光ファイバーケーブル、そして特にファイバーリボンを形成するために相互に接続された光ファイバーケーブルであって内側の芯と、前記芯を密閉する少なくとも一層の被覆、特に保護ジャケットおよび(または)遮断ジャケットとからなる光ファイバーケーブルの被覆取りする方法において、
前記ケーブルをその一端からのある距離をおいてしっかりと保持すなわち締め付ける段階と、
ケーブルに対して横方向に、相互のケーブルにある距離をおいて、かつケーブルの一端からの諸位置においてケーブルの被覆に対して刃先を当てる段階と、
ケーブルの長手方向にケーブル端に向かって刃先に力を加える段階であって、この力が被覆の第1の片を分離し、ケーブル端に向かって前記第1の片をある距離動かすためにケーブル端に最も近く位置した第1の刃先に作用し、かつ該刃先を動かし、その後前記第1の刃先が第1の被覆片を動かし続けるのと同時にケーブル端に向う方向において第1と第2の刃先の間に位置する被覆部分を分離し、かつ動かすためにケーブル端に対して次に最も近い第2の刃先に作用し、かつ動かせるような刃先に力を加える段階とを含むことによって、被覆が破断されていないチューブ片の形態で除去されることを特徴とするケーブルの被覆取り方法。 - 前記力を加えるのを止め、従って被覆片が所定距離動いた後被覆片の移動を止めることによって少なくとも1個の被覆片がその初期位置からのある距離において被覆取りされたケーブルの周りに残るようにする段階をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
- ケーブル、特に光ファイバーケーブル、そして特にファイバーリボンを形成するように相互に接合された光ファイバーケーブルの被覆、特に保護および(または)遮断ジャケットを除去する工具であって、
被覆を除去しようとする光ファイバーケーブルを沿わせるガイドと、
該ガイドに移動可能に装着された少なくとも2対の対向するセグメントにして、該各対のセグメントは、互いに対向する刃先を有するブレードがそれぞれ設けられている、セグメントと、
2対のセグメント間に設けられ、2対のセグメントが互いに相対的に所定の距離の範囲以内でケーブルの長手方向に変位しうるように少なくとも2対のセグメント同士を結合する連結手段と
を有することを特徴とする被覆除去工具。 - ケーブルの一端を保持する手段を含むことを特徴とする請求項3に記載の工具。
- 前記セグメントが、被覆取りの際、セグメントが隣接するセグメントに対して所定距離以上動くのを停止する手段を形成する手段を有することを特徴とする請求項3から4までのいずれか1項に記載の工具。
- 被覆取りすべきケーブルを加熱する手段を含むことを特徴とする請求項3から5までのいずれか1項に記載の工具。
- 前記加熱手段が前記工具のセグメント中の電気コイルを含み、前記加熱手段から出てくる熱が、1個あるいは数個の温度感知手段からの出力信号に基いて所定温度に自動的に制御されることを特徴とする請求項6に記載の工具。
- 除去された被覆の全ての細片がケーブル端から完全に除去されないようにする停止手段を含むことを特徴とする請求項3から5までのいずれか1項に記載の工具。
- ケーブル、特に光ファイバーケーブル、そして特にファイバーリボンを形成するように相互に接合された光ファイバーの被覆、特に保護および(または)遮断ジャケットを除去する工具において、
側面を有する主本体と、
前記側面から延びるリニアベアリングと、
前記工具に位置したケーブルの被覆の表面に刃先が当てられ、該刃先が該被覆中へ進入するブレードを担持する少なくとも2個のセグメントと、
前記セグメント間に設けられ、前記セグメントが互いに相対的に所定距離の範囲以内でケーブルの長手方向に変位しうるようにセグメント同士を結合する連結手段と
を含むことを特徴とする被覆を除去する工具。 - 前記リニアベアリングが側面から延在する平行なシャフトを含むことを特徴とする請求9に記載の工具。
- リニアベアリングがそこから延在する主本体がケーブル、特に光ファイバーケーブル、そして特にファイバーリボンを形成するために相互に接合された光ファイバーケーブルを保持する手段を含むことを特徴とする請求項9または10に記載の工具。
- 前記リニアベアリングに装着された停止手段であって、特に前記主本体と停止手段との間に位置するようリニアベアリングに沿って運動可能であり、かつリニアベアリングに沿った任意の位置で固定しうる停止手段を含むことを特徴とする請求項9から11までのいずれか1項に記載の工具。
- 前記セグメントがセグメント対からなり、セグメント対の中の一方のセグメントがリニアベアリングの一部であるシャフトの周りで回転するように配設され、それにより一方のセグメントを前記シャフトの周りで回転させることにより一対のセグメントを分離することができることを特徴とする請求項9から12までのいずれか1項に記載の工具。
- セグメント対のセグメントがリニアベアリングに対して平行な方向にセグメントを相互にロックするように相互に係合する雄および雌部材を含むことを特徴とする請求項13に記載の工具。
- 主本体から最も離れて配置された最外方のセグメントに、少なくとも1個の他のセグメントと係合するように配設された手段が装着されており、前記手段は該手段が装着されているセグメントが前記の別のセグメントから所定距離だけ動くと前記の他のセグメントと係合するようにされ、この所定距離は一定でなく、前記他のセグメントが前記主本体により近く位置すればする程長くなることを特徴とする請求項12または13のいずれか1項に記載の工具。
- 前記係合手段が、最外方セグメントに装着され、主本体に向かう方向においてリニアベアリングに対して平行に延在し、他のセグメントの停止面と協働するように配置された突起を担持した細長い要素からなり、最も近い隣接セグメントが主本体から離れる方向に所定距離だけ移動してしまうまで前記突起は対象の他のセグメントの停止面とは接触しないことを特徴とする請求項15に記載の工具。
- 前記係合手段が上側の最外方セグメントに配設され、主本体から最も離れて位置したこの最外方の上側セグメントがシャフトの周りで旋回すると、前記係合手段が最外方セグメントから突出し、他のセグメントの下側に沿って延びることにより前記主本体の動きに強制的に追従するように延在していることを特徴とする請求項15および16のいずれかと請求項13および14のいずれかとを組み合わされた工具。
- 前記主本体から最も離れて位置した最外方上側セグメントが全てのセグメントより上方に位置した前記工具の上側部分に装着されていることを特徴とする請求項12または13に記載の工具。
- 前記セグメントの少なくとも1個が加熱手段を含むことを特徴とする請求項9から18までのいずれか1項に記載の工具。
- 前記加熱手段が電力制御装置によって制御されるように配設されていることを特徴とする請求項19に記載の工具。
- 前記セグメントが中間部分において、前記工具に位置されたケーブルを横方向に整列されるための側面を含むくぼみを有することを特徴とする請求項9から20までのいずれか1項に記載の工具。
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