JP3991127B2 - 板厚圧下方法及び装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は被成形材料の板厚減縮に適用する板厚圧下方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図9は、熱間圧延に用いられる粗圧延機の一例を示すもので、この粗圧延機は、板状の被成形材料51が略水平に通板される搬送ラインSを挟んで上下に対向配置された作業ロール52a,52bと、各作業ロール52a,52bに反搬送ライン側から当接する控えロール53a,53bとを備えている。
【0003】
上記の粗圧延機では、搬送ラインSの上方の作業ロール52aを反時計回りに回転させ且つ搬送ラインSの下方の作業ロール52bを時計回りに回転させて、両作業ロール52a,52bの間に被成形材料51を噛み込むとともに、上方の控えロール53aを下方へ押圧することにより、被成形材料51を搬送ライン上流A側から搬送ライン下流B側へ向って移動させつつ、被成形材料51を板厚方向に圧下成形をするが、被成形材料51に対しての作業ロール52a,52bの噛み込み角度θを約17°未満にしないと、被成形材料51の上下面と両作業ロール52a,52bの外周面との間で滑りが生じ、当該作業ロール52a,52bが被成形材料51を噛み込めなくなる。
【0004】
すなわち、作業ロール52a,52bの直径Dが1200mmである場合には、上記の作業ロール52a,52bの噛み込み角度θの条件から、1回の圧下成形における圧下量ΔTは、約50mm程度となり、板厚T0が250mmの被成形材料51を粗圧延機で圧下成形した後の板厚T1は、約200mm程度になる。
【0005】
そこで、従来は、粗圧延機に対して被成形材料51を往復移動させながら板厚を順次減縮するリバース圧延を行い、被成形材料51の板厚が約90mm程度になった後に、当該被成形材料51を仕上圧延機へ送り出すようにしている。
【0006】
また、図10に示す如く、幅圧下プレス装置の金型の平面形状のような側面形状を有する金型54a,54bを搬送ラインSを挟んで上下に対向配置し、偏心軸及びロッド、あるいは油圧シリンダなどの往復動手段によって両金型54a,54bを被成形材料51に直交する方向へ同調して近接離反させ、当該被成形材料51を板厚方向に圧下成形することも考えられる。
【0007】
この金型54a,54bは、搬送ライン上流A側から搬送ライン下流B側へ向って徐々に搬送ラインSへ近接する平坦な成形面55a,55bと、該成形面55a,55bに連なり且つ搬送ラインSに平行に対峙する平坦な成形面56a,56bとを有している。
【0008】
また、金型54a,54bの幅は、被成形材料51の板幅(約2000mm以上)に応じて設定されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図9に示すような粗圧延機で、被成形材料51をリバース圧延する場合、粗圧延機の搬送ラインSの上流A側及び下流B側のそれぞれに、当該粗圧延機から送り出される被成形材料51の引き出し場所を設ける必要があるので、設備が長大になる。
【0010】
図10に示すような金型54a,54bで、被成形材料51を板厚方向に圧下成形する場合、被成形材料51に対する成形面55a,55b,56a,56bの接触面積が幅圧下プレス装置の金型に比べて格段に広く、該接触面積が金型54a,54bの搬送ラインSへの接近に伴って増大するので、各金型54a,54bに大きな圧下荷重を付与する必要がある。
【0011】
また、上記の圧下荷重に応じた強度を、金型54a,54bを移動させる偏心軸及びロッドなどの動力伝達部材やハウジングなどに具備させるために、これらの各部材を大型化しなければならない。
【0012】
更に、金型54a,54bでは、被成形材料51を板厚方向に圧下成形する際に、金型54a,54bの形状及び移動行程に起因して被成形材料51が搬送ライン上流A側へ向って延びる材料後進が生じ、これにより、被成形材料51を搬送ライン下流B側へ送り出しにくくなる。
【0013】
本発明は上述した実情に鑑みてなしたもので、被成形材料の板厚方向への圧下成形を効率よく行える板厚圧下方法及び装置を提供することを目的としている。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の請求項1に記載した板厚圧下方法では、被成形材料の上下から、搬送ラインの側方から見て該搬送ラインに向って突出する凸曲面状の成形面を有する金型を、同調して搬送ラインに近接させながら成形面の被成形材料に接する部分が搬送ライン下流側から搬送ライン上流側へ移り変わるように揺動させて被成形材料を板厚方向に圧下成形する。
【0015】
本発明の請求項2に記載した板厚圧下装置では、被成形材料が横方向へ搬送される搬送ラインを挟んで上下に対向配置された金型受台と、該金型受台に装着され且つ搬送ラインの側方から見て該搬送ラインに向って突出する凸曲面状の成形面を有する金型と、各金型受台の反搬送ライン側のそれぞれに配置され且つ搬送ラインの幅方向に延びる上流側偏心軸と、該上流側偏心軸の搬送ライン下流側に並ぶように各金型受台の反搬送ライン側のそれぞれに配置され且つ上流側偏心軸の偏心部と位相が異なる偏心部を有する下流側偏心軸と、先端部が金型受台の搬送ライン上流側寄り部分に枢支され且つ基端部が上流側偏心軸の偏心部に枢支された上流側ロッドと、先端部が金型受台の搬送ライン下流側寄り部分に枢支され且つ基端部が下流側偏心軸の偏心部に枢支された下流側ロッドと、前記の金型受台を搬送ラインに沿う方向へ相対的に往復動させる金型前後動機構とを備えている。
【0016】
本発明の請求項3に記載した板厚圧下装置では、本発明の請求項2に記載した板厚圧下装置における金型前後動機構を、一端部が金型受台に固着されたアームと、金型受台の近傍に設けられ且つ前記のアームの他端部を案内する案内部材とによって構成している。
【0017】
本発明の請求項4に記載した板厚圧下装置では、本発明の請求項2に記載した板厚圧下装置における金型前後動機構を、一端部が金型受台に枢支され且つ他端部が所定の固定部材に枢支された伸縮方式のアクチュエータによって構成している。
【0018】
本発明の請求項5に記載した板厚圧下装置では、本発明の請求項2に記載した板厚圧下装置における金型前後動機構を、金型受台の近傍に設けた前後動用偏心軸と、一端部が金型受台に枢支され且つ他端部が前後動用偏心軸の偏心部に枢支された前後動用ロッドとによって構成している。
【0019】
本発明の請求項6に記載した板厚圧下装置では、本発明の請求項2に記載した板厚圧下装置における金型前後動機構を、一端部が金型受台に枢支され且つ他端部が所定の固定部材に枢支されたレバーによって構成している。
【0020】
本発明の請求項1に記載の板厚圧下方法においては、それぞれ搬送ラインに向って突出する凸湾曲状の成形面を有する金型を、被成形材料の上下から同調して搬送ラインに近接させながら、成形面の被成形材料に接する部分が搬送ライン下流側から搬送ライン上流側へ移り変わるように揺動させて、被成形材料への成形面の接触面積を小さくし、金型に対する圧下荷重の軽減を図る。
【0021】
本発明の請求項2から請求項6に記載した板厚圧下装置のいずれにおいても、上流側偏心軸、下流側偏心軸、上流側ロッド、下流側ロッドにより、金型を装着した金型受台を、金型の成形面の被成形材料に接している部分が搬送ライン下流側から搬送ライン上流側へ移り変わるように揺動させながら搬送ラインに近接させ、被成形材料への成形面の接触面積を小さくし、金型に対する圧下荷重の軽減を図る。
【0022】
また、金型の成形面が被成形材料に接触しているときに、金型前後動機構により、金型受台を搬送ライン下流側へ移動させ、材料後進を生じさせることなく圧下成形した被成形材料を搬送ライン下流側へ送り出す。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0024】
図1から図5は本発明の板厚圧下装置の実施の形態の第1の例を示し、この板厚圧下装置は、板状の被成形材料51が中央部分を通過し得るように搬送ラインSの所定位置に立設されたハウジング1と、被成形材料51の板幅方向に延び且つ偏心部2a,2bを有する上流側偏心軸3a,3bと、該上流側偏心軸3a,3bと同方向に延び且つ偏心部4a,4bを有する下流側偏心軸5a,5bと、上下に延びる上流側ロッド6a,6b及び下流側ロッド7a,7bと、金型8a,8bが装着される金型受台9a,9bと、金型前後動機構21a,21bとを備えている。
【0025】
上流側偏心軸3a,3bは、搬送ラインSを挟んで上下に対向するようにハウジング1の内部に配置され、軸両端の非偏心部分10a,10bがハウジング1に装着した上流側軸箱(図示せず)に枢支されている。
【0026】
下流側偏心軸5a,5bは、上流側偏心軸3a,3bの搬送ライン下流B側において搬送ラインSを挟んで上下に対向するようにハウジング1の内部に配置され、軸両端の非偏心部分11a,11bがハウジング1に装着した下流側軸箱(図示せず)に枢支されている。
【0027】
上流側偏心軸3a,3b及び下流側偏心軸5a,5bの一端には、自在継手とギヤボックスとを介してモータの駆動軸(図示せず)が接続され、各偏心軸3a,3b,5a,5bが同調して回転するようになっている。
【0028】
上記のギヤボックスは、モータを作動させた際に、図1から図5に示す如く、搬送ラインSの上方の両偏心軸3a,5aが、上流側偏心軸3aの偏心部2aに対して下流側偏心軸5aの偏心部4aが90°進んだ位相で反時計回りに変位するとともに、搬送ラインSの下方の両偏心軸3b,5bが、上流側偏心軸3bの偏心部2bに対して下流側偏心軸5bの偏心部4bが90°進んだ位相で時計回りに変位するように構成され、また、偏心部2a,4aと偏心部2b,4bとが搬送ラインSを中心線として対称に位置するようになっている。
【0029】
上流側ロッド6a,6bの基端部は、ベアリング12a,12bを介して上流側偏心軸3a,3bの偏心部2a,2bに枢支されている。
【0030】
下流側ロッド7a,7bの基端部は、ベアリング13a,13bを介して下流側偏心軸5a,5bの偏心部4a,4bに枢支されている。
【0031】
金型受台9a,9bは、搬送ラインSを挟んで上下に対向するようにハウジング1の内部に配置されている。
【0032】
金型受台9a,9bの搬送ライン上流A側寄り部分に設けたブラケット14a,14bには、被成形材料51の板幅方向に略水平に延びるピン15a,15b及びベアリング16a,16bを介して前記の上流側ロッド6a,6bの先端部が連結されている。
【0033】
また、金型受台9a,9bの搬送ライン下流B側寄り部分に設けたブラケット17a,17bには、ピン15a,15bと平行なピン18a,18b及びベアリング19a,19bを介して前記の下流側ロッド7a,7bの先端部が連結されている。
【0034】
この上流側ロッド6a,6b及び下流側ロッド7a,7bにより、前記の上流側偏心軸3a,3bの回転に伴う偏心部2a,2bの変位と下流側偏心軸5a,5bの回転に伴う偏心部4a,4bの変位とが金型受台9a,9bに伝達され、該金型受台9a,9bが揺動しながら搬送ラインSに近接離反するようになっている。
【0035】
各金型受台9a,9bに装着した金型8a,8bは、搬送ラインSに通板される被成形材料51に対峙し且つ搬送ラインSの側方から見て該搬送ラインSに向って突出する円弧をなした凸曲面状の成形面20a,20bを有している。
【0036】
金型前後動機構21a,21bは、一端部が金型受台9a,9bの搬送ライン下流B側寄り端部に固着され且つ搬送ライン下流B側へ向って突出するアーム22a,22bと、ハウジング1の搬送ライン下流B側寄り部分に固着され且つ搬送ライン下流B側へ向って搬送ラインSに対して離反するように斜めに延びる溝23a,23bを有する案内部材24a,24bと、アーム22a,22bの先端部にピン25a,25bを介して枢支され且つ案内部材24a,24bの溝23a,23bに移動可能に係合する案内輪26a,26bとによって構成されている。
【0037】
この金型前後動機構21a,21bは、上流側偏心軸3a,3b及び下流側偏心軸5a,5bの回転に伴い、先に述べたように金型受台9a,9bが揺動しながら搬送ラインSに近接離反する際に、金型受台9a,9bを搬送ラインSに沿う方向へ相対的に往復動させるようになっている。
【0038】
以下、図1から図5に示す板厚圧下装置の作動を、搬送ラインSの上方の上流側偏心軸3a、下流側偏心軸5a、上流側ロッド6a、下流側ロッド7a、金型8a、及び金型受台9aを主として説明する。
【0039】
上流側偏心軸3aの偏心部2a及び下流側偏心軸5aの偏心部4aが上死点を0°(360°)と定め、両偏心部2a,4aの回転角度を反時計回りに刻むとして、図2に示すように、偏心部2aの回転角度が315°程度で偏心部4aの回転角度が45°程度であると、金型8aが搬送ラインSに対して最も離反した状態になり、また、案内輪26aは、案内部材24aの搬送ライン下流B側寄り端部に位置している。
【0040】
この状態から両偏心軸3a,5aが反時計回りに回転すると、金型8aが搬送ラインSに向って近接する。
【0041】
このとき、偏心部4aが偏心部2aよりも90°位相が進んでいることに起因して、金型8aの搬送ライン下流B側寄り部分が搬送ライン上流A側寄り部分に先行して搬送ラインSに近づくとともに、案内輪26aが案内部材24aの搬送ライン上流A側へ向って移動する。
【0042】
図3に示すように、偏心部2aの回転角度が90°程度になり且つ偏心部4aの回転角度が180°程度になると、案内輪26aが案内部材24aに搬送ライン上流A側寄り端部に到達し、金型8aの成形面20aの搬送ライン下流B側寄り部分が、搬送ラインSに通板した被成形材料51を圧下する。
【0043】
両偏心軸3a,5aの回転により、偏心部2aの回転角度が90°を超過し且つ偏心部4aの回転角度が180°を超過すると、案内輪26aが案内部材24aの搬送ライン下流B側へ向って移動しはじめ、金型8aの成形面20aの被成形材料51に接している部分が搬送ライン下流B側から搬送ライン上流A側へ移り変わるように金型8aが揺動し、被成形材料51の圧下成形が進捗する。
【0044】
また、金型8aが搬送ライン下流B側へ向って移動し、材料後進を生じさせることなく圧下成形した被成形材料51を搬送ライン下流B側へ送り出す。
【0045】
図4に示すように、偏心部2aの回転角度が135°程度になり且つ偏心部4aの回転角度が225°程度になった後には、金型8aの揺動に伴い、該金型8aの成形面20aの搬送ライン上流A側寄り部分が被成形材料51を圧下成形する。
【0046】
更に、図5に示すように、偏心部2aの回転角度が180°程度になり且つ偏心部4aの回転角度が270°程度になった後は、金型8aが搬送ラインSから離反する。
【0047】
なお、搬送ラインSの下方の上流側偏心軸3b、下流側偏心軸5b、上流側ロッド6b、下流側ロッド7b、金型8b、及び金型受台9bも、上述した搬送ラインSの上方のものと同様に作動し、被成形材料51が上下から圧下成形されることになる。
【0048】
このように、図1から図5に示す板厚圧下装置では、上流側偏心軸3a,3b、下流側偏心軸5a,5b、上流側ロッド6a,6b、下流側ロッド7a,7bにより、金型8a,8bを装着した金型受台9a,9bを、金型8a,8bの成形面20a,20bの被成形材料51に接している部分が搬送ライン下流B側から搬送ライン上流A側へ移り変わるように揺動させながら搬送ラインSに近接させ、被成形材料51への成形面20a,20bの接触面積を小さくするので、金型8a,8bに対する圧下荷重の軽減を図ることができる。
【0049】
よって、各偏心軸3a,3b,5a,5b、各ロッド6a,6b,7a,7bなどの動力伝達部材やハウジング1の強度条件が緩和され、これらを小型化することが可能になる。
【0050】
また、金型8a,8bの成形面20a,20bが被成形材料51に接触しているときに、金型前後動機構21a,21bにより、金型受台9a,9bを搬送ライン下流B側へ移動させるので、材料後進を生じさせずに圧下成形した被成形材料51を搬送ライン下流B側へ送り出すことができる。
【0051】
図6は本発明の板厚圧下装置の実施の形態の第2の例を示し、図中、図1から図5と同一の符号を付した部分は同一物を表している。
【0052】
この板厚圧下装置では、図1から図5に示す金型前後動機構21a,21bに替えて、金型前後動機構27a,27bを用いている。
【0053】
金型前後動機構27a,27bは、金型受台9a,9bの搬送ライン下流B側寄り端部に固着されたブラケット28a,28bと、ハウジング1の搬送ライン下流B側寄り部分に固着されたブラケット29a,29bと、ピストンロッド30a,30bの先端部がピン31a,31bを介してブラケット28a,28bに枢支され且つシリンダ32a,32bがピン33a,33bを介してブラケット29a,29bに枢支された流体圧シリンダ34a,34bとによって構成されている。
【0054】
この板厚圧下装置においても、金型8a,8bの成形面20a,20bが被成形材料51に接触していないときに、流体圧シリンダ34a,34bのヘッド側流体室に流体圧を付与して、金型受台9a,9bとともに金型8a,8bを搬送ライン上流A側へ移動させておき、金型8a,8bの成形面20a,20bが被成形材料51に接触するときに、流体圧シリンダ34a,34bのロッド側流体室に流体圧を付与して、金型受台9a,9bとともに金型8a,8bを搬送ライン下流B側へ移動させることにより、先に述べた図1から図5に板厚圧下装置と同様に、材料後進を生じさせずに圧下成形した被成形材料51を搬送ライン下流B側へ送り出すことができる。
【0055】
また、流体圧シリンダ34a,34bに替えて、スクリュージャッキなどの他の伸縮方式のアクチュエータを適用してもよい。
【0056】
図7は本発明の板厚圧下装置の実施の形態の第3の例を示し、図中、図1から図5と同一の符号を付した部分は同一物を表している。
【0057】
この板厚圧下装置では、図1から図5に示す金型前後動機構21a,21bに替えて、金型前後動機構35a,35bを用いている。
【0058】
金型前後動機構35a,35bは、金型受台9a,9bの搬送ライン下流B側寄り端部に固着されたブラケット28a,28bと、ハウジング1の搬送ライン下流B側寄り部分に回転可能に設けられた被成形材料51の板幅方向に略水平に延びる前後動用偏心軸36a,36bと、一端部がピン37a,37bを介してブラケット28a,28bに枢支され且つ他端部が前後動用偏心軸36a,36bの偏心部38a,38bに枢支された前後動用ロッド39a,39bとによって構成されている。
【0059】
この板厚圧下装置においても、金型8a,8bの成形面20a,20bが被成形材料51に接触していないときに、前後動用偏心軸36a,36bを回転させて、金型受台9a,9bとともに金型8a,8bを搬送ライン上流A側へ移動させておき、金型8a,8bの成形面20a,20bが被成形材料51に接触するときに、前後動用偏心軸36a,36bを回転させて、金型受台9a,9bとともに金型8a,8bを搬送ライン下流B側へ移動させることにより、先に述べた図1から図5に板厚圧下装置と同様に、材料後進を生じさせずに圧下成形した被成形材料51を搬送ライン下流B側へ送り出すことができる。
【0060】
図8は本発明の板厚圧下装置の実施の形態の第4の例を示し、図中、図1から図5と同一の符号を付した部分は同一物を表している。
【0061】
この板厚圧下装置では、図1から図5に示す金型前後動機構21a,21bに替えて、金型前後動機構40a,40bを用いている。
【0062】
金型前後動機構40a,40bは、金型受台9a,9bの搬送ライン下流B側寄り端部に固着されたブラケット28a,28bと、先端部が金型受台9a,9bの反搬送ライン側に位置するように基端部がハウジング1の所定箇所に固着されたブラケット41a,41bと、一端部がピン42a,42bを介してブラケット28a,28bに枢支され且つ他端部がピン43a,43bを介してブラケット41a,41bに枢支されたレバー44a,44bとによって構成されている。
【0063】
ブラケット28a,28b,41a,41bの取付位置、レバー44a,44bの枢支点間距離、ブラケット28a,28b,41a,41bに対するレバー44a,44bの枢支位置は、各偏心軸3a,3b,5a,5bの回転に伴って金型8a,8bを装着した金型受台9a,9bが、図1から図5に示す板厚圧下装置と略同様に移動するように設定されている。
【0064】
この板厚圧下装置においても、先に述べた図1から図5に示す板厚圧下装置と同様に、材料後進を生じさせずに圧下成形した被成形材料51を搬送ライン下流B側へ送り出すことができる。
【0065】
なお、本発明の板厚圧下方法及び装置は上述した実施の形態のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において変更を加え得ることは勿論である。
【0066】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明の板厚圧下方法及び装置によれば、下記のような種々の優れた効果を奏し得る。
【0067】
(1)本発明の請求項1に記載の板厚圧下方法においては、それぞれ搬送ラインに向って突出する凸湾曲状の成形面を有する金型を、被成形材料の上下から同調して搬送ラインに近接させながら、成形面の被成形材料に接する部分が搬送ライン下流側から搬送ライン上流側へ移り変わるように揺動させるので、被成形材料への成形面の接触面積が小さくなり、金型に対する圧下荷重の軽減を図ることができる。
【0068】
(2)本発明の請求項2から請求項6に記載の板厚圧下装置のいずれにおいても、上流側偏心軸及び下流側偏心軸の互いに位相が異なる偏心部の変位を、上流側ロッド及び下流側ロッドを介して金型受台に伝達し、凸曲面状の成形面の被成形材料に接している部分が搬送ライン下流側から搬送ライン上流側へ移り変わるように、金型を揺動させるので、被成形材料への金型の成形面の接触面積が小さくなり、金型に対する圧下荷重の軽減を図ることができる。
【0069】
(3)本発明の請求項2から請求項6に記載の板厚圧下装置のいずれにおいても、金型に対する圧下荷重が軽減されるので、上流側偏心軸、下流側偏心軸、上流側ロッド、下流側ロッドなどの強度条件が緩和され、これらを小型化することが可能になる。
【0070】
(4)本発明の請求項2から請求項6に記載の板厚圧下装置のいずれにおいても、金型の成形面が被成形材料に接触しているときに、金型前後動機構により、金型受台を搬送ライン下流側へ移動させるので、材料後進を生じさせずに圧下成形した被成形材料を搬送ライン下流側へ送り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の板厚圧下装置の実施の形態の第1の例を搬送ライン側方から見た全体図である。
【図2】図1に示す金型の搬送ラインに対する変位と金型自体の揺動を示す概念図である。
【図3】図1に示す金型の搬送ラインに対する変位と金型自体の揺動を示す概念図である。
【図4】図1に示す金型の搬送ラインに対する変位と金型自体の揺動を示す概念図である。
【図5】図1に示す金型の搬送ラインに対する変位と金型自体の揺動を示す概念図である。
【図6】本発明の板厚圧下装置の実施の形態の第2の例を搬送ライン側方から見た全体図である。
【図7】本発明の板厚圧下装置の実施の形態の第3の例を搬送ライン側方から見た全体図である。
【図8】本発明の板厚圧下装置の実施の形態の第4の例を搬送ライン側方から見た全体図である。
【図9】粗圧延機の一例を示す概念図である。
【図10】板厚圧下用の金型の一例を示す概念図である。
【符号の説明】
1 ハウジング(固定部材)
2a,2b 偏心部
3a,3b 上流側偏心軸
4a,4b 偏心部
5a,5b 下流側偏心軸
6a,6b 上流側ロッド
7a,7b 下流側ロッド
8a,8b 金型
9a,9b 金型受台
20a,20b 成形面
21a,21b 金型前後動機構
22a,22b アーム
24a,24b 案内部材
27a,27b 金型前後動機構
34a,34b 流体圧シリンダ(アクチュエータ)
35a,35b 金型前後動機構
36a,36b 前後動用偏心軸
38a,38b 偏心部
39a,39b 前後動用ロッド
40a,40b 金型前後動機構
41a,41b ブラケット(固定部材)
44a,44b レバー
51 被成形材料
S 搬送ライン
A 搬送ライン上流
B 搬送ライン下流

Claims (6)

  1. 被成形材料の上下から、搬送ラインの側方から見て該搬送ラインに向って突出する凸曲面状の成形面を有する金型を、同調して搬送ラインに近接させながら成形面の被成形材料に接する部分が搬送ライン下流側から搬送ライン上流側へ移り変わるように揺動させて被成形材料を板厚方向に圧下成形することを特徴とする板厚圧下方法。
  2. 被成形材料が横方向へ搬送される搬送ラインを挟んで上下に対向配置された金型受台と、該金型受台に装着され且つ搬送ラインの側方から見て該搬送ラインに向って突出する凸曲面状の成形面を有する金型と、各金型受台の反搬送ライン側のそれぞれに配置され且つ搬送ラインの幅方向に延びる上流側偏心軸と、該上流側偏心軸の搬送ライン下流側に並ぶように各金型受台の反搬送ライン側のそれぞれに配置され且つ上流側偏心軸の偏心部と位相が異なる偏心部を有する下流側偏心軸と、先端部が金型受台の搬送ライン上流側寄り部分に枢支され且つ基端部が上流側偏心軸の偏心部に枢支された上流側ロッドと、先端部が金型受台の搬送ライン下流側寄り部分に枢支され且つ基端部が下流側偏心軸の偏心部に枢支された下流側ロッドと、前記の金型受台を搬送ラインに沿う方向へ相対的に往復動させる金型前後動機構とを備えてなることを特徴とする板厚圧下装置。
  3. 一端部が金型受台に固着されたアームと、金型受台の近傍に設けられ且つ前記のアームの他端部を案内する案内部材とによって、金型前後動機構を構成した請求項2に記載の板厚圧下装置。
  4. 一端部が金型受台に枢支され且つ他端部が所定の固定部材に枢支された伸縮方式のアクチュエータによって、金型前後動機構を構成した請求項2に記載の板厚圧下装置。
  5. 金型受台の近傍に設けた前後動用偏心軸と、一端部が金型受台に枢支され且つ他端部が前後動用偏心軸の偏心部に枢支された前後動用ロッドとによって金型前後動機構を構成した請求項2に記載の板厚圧下装置。
  6. 一端部が金型受台に枢支され且つ他端部が所定の固定部材に枢支されたレバーによって、金型前後動機構を構成した請求項2に記載の板厚圧下装置。
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