JP3988549B2 - ホットランナー型を有する射出金型 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、ニードルノズルをキャビティの注入口に常時ノズルタッチしたホットランナー型を有する射出金型に関するものである。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】
図3は、プリフォーム成形用のキャビティ型1の下側にホットランナー型2を有する通常構造の射出金型の1例を示すものである。
【0003】
キャビティ型1は内部に射出コア11を備え、その射出コア11の周囲に形成されたキャビティ12の注入口13を底部に有する。この注入口13の開口周囲の底部はフラット面の凹所14に形成され、その凹所14に上記ホットランナー型2が備えるニードルノズル21のノズル22を挿入して、溶融樹脂をホットランナー型2からキャビティ12に射出充填できるようにしている。
【0004】
通常、キャビティ型1は図では省略しているが、複数のキャビティ12を並列に備え、そのキャビティごとに上記ニードルノズル21が、横長円柱状のランナーブロック23から立設してある。ニードルノズル21は外周囲にバンドヒータ24を有するノズル筒25と、その先端に取り付けた先端がフラット面の上記ノズル22と、ランナーブロック23を貫通して、ノズル孔まで挿入されたノズル筒内の先端が円錐形のニードル26と、その下端にピストン28を連結したノズル開閉用のエア又は油圧作動のシリンダ27とからなり、ピストン28の上下作動によりノズル開閉を行う構成からなる。
【0005】
ホットランナー型2はランナー内の溶融樹脂の温度維持のために常時加熱されており、反対にキャビティ型1は射出充填された溶融樹脂を急速に固化のために常時冷却されている。このためノズル22をキャビティ型1の注入口13が開口した底面に直接ノズルタッチさせておくと、注入口13の周囲の底部がノズル22により加熱され、注入口内の樹脂の冷却固化が不完全となって、プリフォーム離型時に糸引きや樹脂漏れ等が生じたり、あるいはプリフォーム底部に白化が生じたりする。
【0006】
このような現象の防止策として、図4に示すように、キャビティ型1の底面とノズル22の間に断熱紙3を挟み、ノズルタッチを断熱紙3を介して間接的に行うことが採用されている。一般に使用されている断熱紙3は厚さ0.5mmほどのポリアミド系プラスチックで耐熱性を有するが、寿命が短いので定期的な交換が必要とされている。またノズル高さは加工時及び組立時の誤差によりバラツキがあるので、これを調整しなければならず、その調整のために測定、分解、さらには追加加工を要するなどの難しさがあった。
【0007】
この発明は、上記従来の課題を解決するために考えられたものであって、その目的は、ノズルの先端面内を低熱伝導性のチップにより構成するこによって、断熱紙を不要とするノズルタッチが可能となり、またチップと内部のニードルとの関連によりノズル高さの調整も不要となる新たなホットランナー型を備えた射出金型を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的によるこの発明は、キャビティ型の底部に設けた注入口の開口周囲をフラット面の凹所に形成し、その凹所にホットランナー型が備えるニードルノズルのノズルを挿入して、キャビティ型にホットランナー型を配設した射出金型において、上記ノズルを先端面が開口したノズル本体と、開口部に摺動自在に嵌挿してフラットな先端面をノズル本体の先端面から突出させたノズルチップとから構成し、そのノズルチップは、ノズル本体よりも低熱伝導性の金属で、先端面中央のノズル孔と接続する内周壁面を、円錐形のニードル先端部と同一角度の円錐面に形成した短筒体からなり、その内周壁面とニードル先端部との嵌合により閉弁と支持の両方を行って、ノズルタッチを断熱紙なしに常時可能に構成してなる、というものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
図1及び図2は、この発明の要部の1実施形態を示すもので、図3及び図4にに示す従来構造と同一の部分は同一符号を付して示す。
【0011】
図に示すニードルノズル21のノズル22は、先端面が開口したノズル本体22aと、開口部22bに嵌挿してフラットな先端面を、ノズル本体22aの先端面から少なくとも断熱紙の厚さ以上の高さ(h)に突出したノズルチップ4とからなる。このノズルチップ4はノズル本体22aを形成する金型用鋼材よりも低熱伝導性の金属、例えばチタン合金などにより形成した短筒体からなる。
【0012】
上記ノズルチップ4の先端面中央にはノズル孔4aが穿設してあり、そのノズル孔4aに接続する内周壁面4bは、ノズル本体22aの先端内周壁面22cと共に、円錐形のニードル先端部26aと同一角度の円錐面に形成してある。
【0013】
またノズルチップ4の外径は、微少な摺動クリアランス分だけ上記開口部22bの内径よりも小さく形成してあり、この摺動クリアランスによりノズルチップ4は開口部22bに固定されることなく、ニードル先端部26aとの嵌合により支持できるようにしてある。
【0014】
このようなノズル22では、ニードル26の先端部26aが開口部22bの中央に位置していることから、ノズルチップ4を開口部22bに嵌挿するだけでよく、図3に示すように、キャビティ型1の下側にホットランナー型2をセットして、凹所14にノズル22を挿入したのち、シリンダ27の作動によりピストン28と一緒にニードル26を押し上げると、ノズルチップ4のフラットな先端がが注入口13の開口周囲のフラット面に接触して直接ノズルタッチするようになる。
【0015】
この際、ノズルチップ4はキャビティ型側に接するまでニードル26に押圧されて開口部内を摺動するので、加工時及び組立時の誤差により、ホットランナー型2が備える複数のニードルノズル21に高さのバラツキがあっても、そのバラツキに応じてノズルチップ4はノズル本体22aの先端面から突出するので、これまでのような高さ調整が不要となる。
【0016】
また溶融樹脂の射出充填時に、ニードル26が降下して先端部26aがノズルチップ4から離れても、ノズルチップ4の内周壁面が樹脂の射出圧力により押圧されるのでノズルタッチはそのまま維持される。要するにノズルチップ4はニードル26に加えられた押圧力と射出圧力とを交互に受けて、ノズルタッチを維持するということであり、ノズルチップ4がノズル本体22aの開口部22bに摺動自在に嵌挿されただけのものであっても、ノズルタッチ力は緩みなくその状態を保つて、樹脂漏れを防止するというこである。
【0017】
またノズル本体22aの先端面と、注入口13の開口周囲のキャビティ型底面との間には、ノズル先端面から突出したノズルチップ4によってエアギャップが生ずる。このエアギャップとノズルチップ4の低熱伝導性とによって、ニードルノズル21からキャビティ側への熱伝導が著しく低減し、これまでに用いられていた断熱紙が不要となる。
【0018】
しかも、低熱伝導性の金属によるノズルチップ4は、耐熱性プラスチックの断熱紙とは比較にならぬほどの耐久性を有することから、定期的に交換する必要がなく、また通常に使用されている金属材料よりも高価で、加工の難しい金属であっても、ノズル22の一部に使用するだけで済み、構造も単純で加工も容易に行えるので、経済的な効果をも有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明に係わるホットランナー型を有する射出金型の要部縦断面図である。
【図2】 同上のノズル先端部の側面図ある。
【図3】 通常構造のホットランナー型を有する射出金型の縦断面図である。
【図4】 同上のノズルタッチ部分の縦断面図である。
【符号の説明】
1 キャビティ型
2 ホットランナー型
4 ノズルチップ
4a ノズル孔
4b 内周壁面
12 キャビティ
13 注入口
14 凹所
21 ニードルノズル
22 ノズル
22a ノズル本体
22b 開口部
22c 先端内周壁面
26 ニードル
26a 先端部
Claims (1)
- キャビティ型の底部に設けた注入口の開口周囲をフラット面の凹所に形成し、その凹所にホットランナー型が備えるニードルノズルのノズルを挿入して、キャビティ型にホットランナー型を配設した射出金型において、
上記ノズルを先端面が開口したノズル本体と、開口部に摺動自在に嵌挿してフラットな先端面をノズル本体の先端面から突出させたノズルチップとから構成し、そのノズルチップは、ノズル本体よりも低熱伝導性の金属で、先端面中央のノズル孔と接続する内周壁面を、円錐形のニードル先端部と同一角度の円錐面に形成した短筒体からなり、その内周壁面とニードル先端部との嵌合により閉弁と支持の両方を行って、ノズルタッチを断熱紙なしに常時可能に構成してなることを特徴とするホットランナー型を有する射出金型。
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