JP3988076B2 - 印刷インキ用樹脂ワニスの製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は印刷インキ用樹脂ワニスの製造方法に関して、高速印刷適性に優れた高分子量、高軟化点、高粘度の樹脂ワニスを生産的に製造する方法を提供する。
【0002】
【従来の技術】
代表的な印刷方式であるオフセット印刷のインキには、主要成分としてロジン変性フェノール樹脂が広く用いられている。
従来、ロジン変性フェノール樹脂の製造方法としては、溶融したロジンにフェノール樹脂及び多価アルコールを添加し、230〜270℃の高温でフェノール付加とエステル化反応を行うのが一般的である。
この塊状重合法において高温が必要になる理由は、ロジンと多価アルコールの反応速度を上げるとともに、高分子量の樹脂を溶融状態で製造するためである。
【0003】
近年、印刷物の生産性向上を目的に印刷機の高速化が進み、高速印刷対応のインキが開発されるようになって来たことから、インキ用樹脂であるロジン変性フェノール樹脂においても、ミスチング抑制、速乾性、機上安定性、耐乳化性などの高速印刷適性が求められている。
このような性能を満たすには高分子量、高軟化点、高粘度の樹脂を製造する必要があるが、従来の塊状重合法で高分子量のロジン変性フェノール樹脂を製造しようとすれば、溶融粘度の増大により系内の不均一化、過多の攪拌負荷、或は反応系外への溶融樹脂の取り出しなどに問題が生じ、製造し得る樹脂の分子量、軟化点及び粘度に限界が生じていた。
【0004】
また、得られたロジン変性フェノール樹脂は、次工程で、インキ溶剤と乾性油中に溶解し、必要に応じてゲル化剤を添加し、クッキングすることにより、印刷用ゲルワニスに調製されるが、固形のワニス樹脂を再溶解してゲルワニスを調製する場合、高分子量の樹脂が分解し易く、分解で生じた低分子成分がインキ性能に悪影響を与えたり、ゲル化剤との反応が著しいために、ゲルワニスの製造管理が困難になるなどの問題がある。
【0005】
【先行技術】
本出願人は、先に、特開平10−88052号公報(以下、先行技術1という)で、フェノールとホルムアルデヒド類をキシレン中で縮合反応させてフェノールホルムアルデヒド初期縮合物(以下、レゾール初期縮合物という)を製造し、このレゾール初期縮合物とロジンエステル類をインキ溶剤中で反応させて、樹脂ワニスを製造する方法を開示した(請求項1及び段落30〜31参照)。
また、特開平2001−261768号公報(以下、先行技術2という)には、ロジンとホルムアルデヒド類とフェノール類とポリオールとを乾性油又は半乾性油中に添加し、或はさらに石油系溶剤との混合液中に添加し、酸化リチウム及び酸化バリウムの複合塩基性酸化物触媒の存在下で、樹脂ワニスを製造する方法が開示されている(特許請求の範囲及び段落23参照)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
反応系内が不均一化し易い従来の塊状重合法に比べて、上記先行技術1〜2の製造方法では、溶剤系で反応するために系全体が低粘度化して均一になり、反応温度を下げて、高粘度、高分子量の樹脂を安定且つ経済的に製造し易くなる。
しかしながら、例えば、上記先行技術1に示すように、ロジンエステル類(実施例では、ガムロジンエステルを使用)とレゾール初期縮合物を溶剤中で反応させた場合、実際には、原料ロジンの種類やロジンの変性度合などのロジンの性状に起因する様々な要因により、ロジンエステル類に対するフェノール付加の反応性に差異が生じ、この差異性が樹脂の粘度、分子量の高低に強く影響するため、優れた印刷適性のインキ用樹脂を製造するには改善の余地が少なくないのである

【0007】
本発明は上記先行技術1をさらに改良して、ロジンエステル類とレゾール縮合物との反応性を高めて、高速印刷適性に優れた高粘度、高分子量の樹脂を効率良く製造することを技術的課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、生産性を向上する見地から、インキ溶剤中でのロジンエステル類とレゾール縮合物の反応性を鋭意研究した結果、この溶剤方式での反応にあっては、ロジンエステル類中の非芳香族の共役酸系樹脂酸が付加の反応性に大きく寄与し、その反応性には寄与しない芳香族系の樹脂酸もインキ溶剤への溶解性を担保するうえで重要であるという知見を得た。
そこで、この知見に基づいて、共役酸系樹脂酸と芳香族系樹脂酸との含有率が共に特定範囲にあるロジンエステル類をレゾール縮合物とインキ溶剤中で反応させると、分解生成物の少ない高粘度、高分子量のインキ用樹脂を円滑に設計できること、また、従来の塊状重合法では付加反応と同時に分解反応も速く進むために、反応性の良いガムロジンが製造原料の主流になっていたが、インキ溶剤中の反応においては、芳香族系樹脂酸がガムロジンより概ね多く含まれるトールロジンを用いても、上記特定範囲の含有率を具備する限り、高性能のインキ用樹脂が円滑に製造できることなどを見い出して、本発明を完成した。
【0009】
即ち、本発明1は、インキ溶剤中でフェノール類とホルムアルデヒド類を縮合させてフェノールホルムアルデヒド初期縮合物のインキ溶剤液を得た後、
このフェノールホルムアルデヒド初期縮合物とロジンエステル類とをインキ溶剤を含む系内、又はインキ溶剤及び乾性油を含む系内で100〜250℃で反応させて樹脂ワニスを製造するとともに、
上記ロジンエステル類がトール油ロジンエステルであり、プロトンNMR測定法に基づいて、非芳香族の共役酸系樹脂酸を35〜45重量%含有し、且つ、芳香族系の樹脂酸を35〜50重量%含有することを特徴とする印刷インキ用樹脂ワニスの製造方法である。
【0010】
本発明2は、上記本発明1において、ロジンエステル類が、酸価5〜100であることを特徴とする印刷インキ用樹脂ワニスの製造方法である。
【0012】
本発明3は、上記本発明1又は2において、さらに、反応系内に石油樹脂を添加することを特徴とする印刷インキ用樹脂ワニスの製造方法である。
【0013】
本発明4は、上記本発明1〜3のいずれかにおいて、さらに、反応系内にエポキシ化合物、又はイソシアネート化合物を添加することを特徴とする印刷インキ用樹脂ワニスの製造方法である。
【0014】
本発明5は、上記本発明1〜4のいずれかにおいて、さらに、反応系内にゲル化剤を添加することを特徴とする印刷インキ用樹脂ワニスの製造方法である。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明は、ロジンエステル類にトール油ロジンエステルを選択するとともに、非芳香族の共役酸系樹脂酸と芳香族系の樹脂酸の含有率が特定範囲にあるロジンエステル類をレゾール初期縮合物とインキ溶剤を含む系内で反応させて、或は、さらに、石油樹脂、エポキシ樹脂、イソシアネート化合物などの共存下で反応させて、樹脂ワニスを製造する方法である。
【0016】
上記ロジンエステル類はロジン類及びロジン誘導体を多価アルコールでエステル化して製造され、各種ロジンエステル類は単用又は併用できることはいうまでもない。
上記ロジン類としては、アビエチン酸、パラストリン酸、ネオアビエチン酸、ピマール酸、イソピマール酸、デヒドロアビエチン酸などの樹脂酸を主成分とするトール油ロジン、ガムロジン、ウッドロジンなどの未変性ロジンを初め、不均化ロジン、重合ロジン、水素化ロジンなどの変性ロジンが挙げられる。但し、不均化ロジン、水素化ロジンはそのままではレゾール縮合物との反応性に乏しいため、他のロジン類と併用される。 上記ロジン誘導体は、ロジン類に不飽和カルボン酸類を反応させた不飽和カルボン酸変性ロジンなどであり、不飽和カルボン酸類としては、フマル酸、(無水)マレイン酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、(無水)イタコン酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、ダイマー酸、トリマー酸などが挙げられる。
上記ロジンエステル類には、ガムロジンより芳香族系樹脂酸が相対的に多く含まれるトール油ロジンを原料とするトール油ロジンエステルを使用することが必要である。
【0017】
上記エステル化反応は、不活性ガスの雰囲気下でロジン類又はロジン誘導体と多価アルコールを200〜300℃に加熱し、生成した水を系外に除去することにより行われる。
上記多価アルコールとしては、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ジエチレングリコール、トリエチレンブリコール、1,6ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ソルビトールなどが挙げられる。
多価アルコールの使用量は、ロジンエステル類の酸価に関与し、得られる樹脂ワニスの重量平均分子量、粘度、溶解性と密接に関係するために、ある程度制限され、通常は、ロジン成分及び添加成分の全カルボン酸に対して1.5モル当量以下、好ましくは0.1〜1.1モル当量である。この添加量より多いと樹脂の溶解性が低下し、逆に少ないと酸価の低下が遅くなる。
【0018】
本発明2に示すように、エステル化反応で得られたロジンエステル類の酸価は、通常、5〜100であり、好ましくは8〜40である。酸価が5より低いと、レゾール添加後の増粘が大きく、酸価が100より高いと、インキ用樹脂ワニスに要求される粘度に到達しない恐れがある。また、一般に、ワニスの酸価が高くなると、系の安定性が悪くなり、オフセット印刷インキでは乳化適性に悪影響を及ぼす傾向がある。
【0019】
上記ロジンエステル類においては、含有される各種樹脂酸のうち、芳香族系樹脂酸以外の共役酸系又は非共役酸系の樹脂酸の含有率がレゾール初期縮合物との反応性に影響し、なかでも、共役酸系樹脂酸が反応性に大きく寄与するため、特に重要である。一方、デヒドロアビエチン酸のような芳香族系樹脂酸はレゾール樹脂とは縮合反応しないが、インキ溶剤に対するロジンエステル類の溶解性を確保する点で一定割合の存在が重要である。
このため、ロジンエステル類の樹脂酸組成として、共役酸系樹脂酸の含有率は35〜45重量%であることが必要である。適正範囲より少ないと、レゾール縮合物との反応性が低減し、目的とする高分子量、高粘度の樹脂が得られない。適正範囲より多いと、樹脂の増粘が顕著になり、撹拌操作に支障を来す。
また、樹脂酸組成として芳香族系樹脂酸の含有率は35〜50重量%が必要である。適正範囲より少ないと、インキ溶剤への溶解性が低下し、目的とする高分子量、高粘度の樹脂の製造に支障を来す。適正範囲より多いと、ロジンエステル類中の上記共役酸系樹脂酸の含有率が低減し、反応性に悪影響を与える。
【0020】
上記樹脂酸中の共役酸はプロトンNMR測定法により算出する。即ち、ロジンエステル中の樹脂酸組成の測定は、アルカリ条件下で還酸後ガスクロマトグラフィーにより行うのが一般的であるが、この方式は煩雑で時間を要する。一方、プロトンNMR測定による全プロトン吸収に対するオレフィン吸収比率と、還酸後のガスクロマトグラフィーによる測定結果とを照らし合わせると、ある種の検量線が導かれて相関が得られることから、本発明では、プロトンNMR測定に基づいてロジンエステル中の樹脂酸組成を算出するようにしたものである。
具体的には、プロトンNMR測定結果の7ppm付近の吸収は芳香族系、5〜6ppmの吸収は共役酸系の樹脂酸に夫々由来するため、全体のプロトン吸収に対する夫々の吸収比率を算出し、ガスクロマトグラフィーとの相関係数を掛けることにより、夫々の樹脂酸量を算出するのである。
【0021】
本発明で使用するレゾール初期縮合物は、インキ溶剤中で予め縮合反応し、インキ溶剤中に溶解した状態でロジンエステル類との反応に供される。
フェノール類とホルムアルデヒド類の縮合反応においては、通常、インキ溶剤はフェノール類とホルムアルデヒド類の仕込量100重量部に対して、5〜100重量部、好ましくは10〜50重量部を添加する。
上記フェノール類としては、フェノール、p−クレゾール、p−tert−ブチルフェノ−ル、p−アミルフェノール、p−オクチルフェノール、p−ノニルフェノール、p−ドデシルフェノール、ビスフェノールAなどを初め、フェノール性水酸基を有する全ての芳香族化合物が使用できるが、なかでもパラ位にC4〜C12アルキル基が置換したアルキルフェノール化合物が好ましい。
上記アルデヒド類としては、パラホルムアルデヒド及びホルマリン水溶液を使用する。
【0022】
上記フェノール類とホルムアルデヒド類の縮合反応には、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、アミン類、アンモニア水溶液などのアルカリ触媒を使用する。
上記反応で得られる初期縮合物としては、例えば、レゾール化し、又はノボラック化した後にレゾール化して1〜8の核数を有するレゾール型フェノール樹脂が好ましい。
【0023】
次いで、このレゾール初期縮合物と前記ロジンエステル類はインキ溶剤を含む系内で脱水しながら反応させて、ロジン変性フェノール樹脂、即ち樹脂ワニスを製造する。この反応温度は従来の塊状重合法でのそれより低く、通常は、100〜250℃、好ましくは180〜230℃であり、500mmHg以下の減圧下で反応させることもできる。系の重量平均分子量は1万〜100万、好ましくは3万〜30万の範囲で反応を終了させる。
樹脂ワニスを製造する際の両成分の混合比率は、ロジンエステル類100重量部に対して、レゾール初期縮合物40〜150重量部であり、好ましくは50〜100重量部である。
本発明では、共役酸系樹脂酸と芳香族系樹脂酸が共に特定範囲の含有率を有するロジンエステル類を使用するため、重量平均分子量1万〜100万の樹脂ワニスが円滑に製造でき、樹脂を高分子量化できる。
【0024】
本発明1では、上記フェノール付加反応はインキ溶剤を含む系内で行うことを基本原理とする。
この場合、レゾール初期縮合物は予めインキ溶剤中で製造しているため、このレゾール縮合物のインキ溶剤液の中にロジンエステル類をそのまま添加し、必要に応じてインキ溶剤を追加し、フェノール付加反応を行って、樹脂ワニスを製造する。
上記インキ溶剤としては、沸点200℃以上のパラフィン系、ナフテン系及び芳香族系溶剤を使用することができ、オフセット印刷インキ溶剤として市販されているものを任意で使用できるが、環境保全、労働衛生の見地から、アロマフリーであるパラフィン系などの溶剤が好ましい。
インキ溶剤は、ロジンエステル類とレゾール初期縮合物の総和100重量部に対して2〜150重量部が適当であり、好ましくは3〜100重量部である。
【0025】
また、本発明においては、反応系内に乾性油を含むことができる。
上記乾性油としては、大豆油、アマニ油、重合アマニ油、脱水ヒマシ油、トール油、サフラワー油、シナキリ油及びエゴマ油などを使用することができる。乾性油の含有量は、ゲルワニスにした際の配合量の範囲内に選択するのが良いため、ゲルワニス中の固形分100重量部に対して3〜60重量部が適当であり、好ましくは5〜25重量部である。
【0026】
本発明3に示すように、反応系内にはさらに石油樹脂を含むことができる。
上記石油樹脂としては、分子内に不飽和結合を有するものが使用でき、炭素−炭素の二重結合を含む部分構造により具体的に分類すれば、不飽和な環状構造を有するインデン系、クロマン系、シクロペンタジエン系、ジシクロペンタジエン系、不飽和な炭化水素鎖を有するペンテン系、ペンタジエン系、炭素−炭素の二重結合と共役芳香族が置換している不飽和な炭化水素鎖を有するビニルトルエン系、α−メチルスチレン系などの石油樹脂が使用できる。
尚、場合によっては、ロジンエステル類に替えて、石油樹脂のみにレゾール初期縮合物を反応させることもできる。
【0027】
本発明4に示すように、反応系内にはさらに架橋作用を奏するエポキシ化合物やイソシアネート化合物を含むことができる。
上記エポキシ化合物は、分子内に2個以上のエポキシ基を有し、重量平均分子量300〜10000、エポキシ当量100〜5000の多官能エポキシ樹脂が使用できる。
エポキシ化合物の具体例としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、グリオキサザール型エポキシ樹脂、ダイマー酸変性型エポキシ樹脂、ゴム変性型エポキシ樹脂、臭素化エポキシ樹脂、アルコールグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、多価アルコール分子内縮合型エポキシ樹脂、三級脂肪酸グリシジルエステルエポキシ樹脂などが挙げられるが、なかでも、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、アルコールグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、又は多価アルコール分子内縮合型エポキシ樹脂が好ましい。
【0028】
上記イソシアネート化合物としては、芳香族、脂肪族及び脂環族の公知のポリイソシアネートを使用することができ、具体的には、トリレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジメリールジイソシアネート、リジンジイソシアネート、水添4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、水添トリレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネートなどが挙げられる。
【0029】
以上のように、樹脂ワニスは、上記ロジンエステル類とレゾール初期縮合物を反応させ、或は、さらに、石油樹脂、エポキシ化合物、又はイソシアネート化合物の共存下で反応させて製造される。
得られた樹脂ワニスには、必要なゲルワニス組成に至るように溶剤、乾性油を追加し、ゲル化剤を添加した後、120〜220℃でクッキングしてゲル化反応を行い、粘度調整をして、印刷インキ用ゲルワニスが製造される。尚、クッキングに際しては、溶剤、乾性油及びゲル化剤を添加した均一な混合溶液を別途用意し、この中に樹脂ワニスをそのまま投入しても良い。
本発明5に示すように、樹脂ワニス中にゲル化剤を含有すると、さらに粘弾性が大きな印刷インキ用ゲルワニスを製造できる。また、インキ溶剤中で製造した樹脂ワニスにゲル化剤を添加すると、固形のロジン変性フェノール樹脂を再溶解し、ゲル化剤を加えてワニス化する方法に比べて、樹脂の製造から印刷インキ用ワニスの仕上げに至るまでを一連の工程で実施できるため、きわめて経済的な製造が可能になる。ゲル化剤の添加率はワニス中の固形分100重量部に対して0.01〜3.0重量部程度が好ましい。
使用できるゲル化剤としては、アルミニウムアルコラートやアルミニウム石鹸等のアルミニウム化合物、マンガン、コバルト、ジルコニウム等の金属石鹸、アルカノールアミン系のゲル化剤などである。
【0030】
本発明で得られた印刷インキ用ゲルワニスには、黄、紅、藍又は墨などの顔料を分散し、必要に応じて耐摩擦性向上剤、インキドライヤー、乾燥抑制剤などのコンパウンドを添加し、適切な粘度になるように調整することにより、枚葉インキ、オフ輪インキ、新聞インキなどのオフセットインキとする。
尚、本発明の印刷インキ用ワニスは凸版印刷、スクリーン印刷などにも適用できることはいうまでもない。
【0031】
【発明の効果】
(1)本出願人が開示した冒述の先行技術1は、インキ溶剤中でロジンエステル類とレゾール初期縮合物を反応させるため、反応系の溶融粘度と反応温度を下げ、また、樹脂の再溶解によるゲルワニス化での分解生成物の発生を防止して、高粘度、高分子量の樹脂を製造しようとするものである。
本発明はこの先行技術1をさらに改良したものであり、上記ロジンエステル類としてトール油ロジンエステルを選択し、その共役酸系樹脂酸と芳香族系樹脂酸の含有率を特定化したうえで、このトール油ロジンエステルをレゾール初期縮合物とインキ溶剤中で反応させるため、反応性の促進と溶解性の確保により、分解生成物の少ない高粘度、高分子量のインキ用樹脂をより安定的且つ円滑に設計できる。
従って、高流動性、低ミスチング、速乾性、耐乳化性などに優れた高速印刷適性のゲルワニスが製造できる。また、さらなる高速印刷適性に対応するためには、エポキシ化合物、イソシアネート化合物の付加、或はゲル化剤の投入により系をさらに高分子化する必要があるが、インキ溶剤での反応により、系全体の粘度が均一になることから、これらの付加や投入を容易且つ安定的に達成できる。
また、本発明のゲルワニスは、その優れた印刷適性により、枚葉インキでは、流動特性、光沢が良好になるうえ、セットが早く、棒積安定性が向上する。オフ輪インキ、新聞インキでは、高速適性に優れ、ミスチングが少なく、インキの物性が経時変化し難く、作業効率が高いインキとなる。水無しインキでは、インキの凝集力が上がり、地汚れが少ないインキとなる。また、ロジン変性フェノール樹脂の分解生成成分、不均一なゲル化成分が極めて少ないため、オフセット印刷インキのみならず、スクリーン印刷、凸版印刷にも適する。
【0032】
(2)印刷インキ用樹脂を製造する場合、従来の塊状重合法では付加反応と同時に分解反応も速く進み、相対的に芳香族樹脂酸を多く含むトール油ロジンでは充分な粘度、分子量を得ることが難しいため、トール油ロジンより芳香族系樹脂酸が少なくてフェノールとの付加反応性に富むガムロジンが樹脂製造の主流であった。また、インキ溶剤のアロマフリー化以前には、樹脂の溶解性はさほど高い必要がなく、反応性の良いガムロジンで充分に設計できたことも理由になっている。ちなみに、ロジン種としては、冒述の先行技術1ではガムロジンエステルが、先行技術2ではガムロジンが各々使用されている。
これに対して、本発明では、ロジンエステルとレゾール初期縮合物をインキ溶剤中で反応させるため、従来ではあまり用いられなかったトール油ロジンエステルの使用が可能になり、もってロジンエステルとしてこのトール油ロジンエステルを選択したうえで、その共役酸系樹脂酸と芳香族系樹脂酸の含有率を特定範囲にすることにより、高性能のインキ用樹脂を容易に製造できる。
尚、従来の塊状重合法では、ロジンにフェノール樹脂を付加させた後、エステル化するため、フェノール付加時にかなりの高温にする必要があったが、本発明では、ロジンエステルにフェノール樹脂を付加する方式なので、フェノール付加時に必要以上の高温は不要になり、付加反応を優先的に進めることができる。また、インキ溶剤を添加することにより、反応温度を下げても溶融粘度の高まりを抑えることができ、フェノール付加優先の温度域での反応が可能になる。これらの理由により、トール油ロジンを用いると充分な粘度、分子量のインキ用樹脂を円滑に製造できる。
【0033】
(3)レゾール初期縮合物の製造とこれに続くフェノール付加反応を共にインキ溶剤中で行うため、樹脂ワニスの製造後は、必要なインキ溶剤、乾性油を追加し、ゲル化剤を混合するだけでゲルワニスを容易に調製できる。このため、従来のように固形樹脂を溶剤に再溶解する手間が要らず、ロジン変性フェノール樹脂の製造からゲルワニスの調製までを一連の工程で行え、高分子量のロジン変性フェノール樹脂を安定的に、且つ、極めて経済的に製造することができる。
【0034】
(4)冒述の先行技術1では、レゾール縮合反応に芳香族系のキシレンを使用しているが、本発明では、レゾール初期縮合物の製造に際して、次工程にそのまま利用できるインキ溶剤を使用するため、キシレンなどの溶剤を環境中に除去する工程が不要になるうえ、ロジン変性フェノール樹脂の製造からゲルワニス調製までをインキ溶剤中で一貫して行い、樹脂を固形化、再溶解する必要がなくなるため、生産性が向上し、環境保全、労働衛生の改善と廃棄物の低減が図れる。
尚、インキ溶剤にアロマフリー溶剤を使用すると、環境保全、労働衛生により有効に資する。
【0035】
【実施例】
以下、レゾール初期縮合物の製造例、当該レゾール縮合物をロジンエステル類と縮合反応させた本発明の樹脂ワニスの製造実施例、樹脂ワニスを用いて調製した印刷インキの印刷適性試験例を順次説明する。また、下記の製造例、実施例、試験例中の「%」、「部」は基本的に重量基準である。
尚、本発明は下記の実施例、試験例などに拘束されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意の変形をなし得ることは勿論である。
【0036】
《レゾール初期縮合物の製造例》
反応容器中で、パラオクチルフェノール420部と92%パラホルムアルデヒド130部、AF7号ソルベント150部を添加・混合した後、水酸化ナトリウム1部を添加し、95℃まで加熱し、3時間保持した後、AF7号ソルベント150部を添加・混合して、レゾール樹脂のインキソルベント溶液851部(固形分63.5%)を得た。
【0037】
そこで、このレゾール初期縮合物とトールロジンエステルを溶剤インキ中で反応させた樹脂ワニス(即ち、印刷インキ用樹脂)の製造実施例を述べる。
《樹脂ワニスの製造実施例》
下記の実施例1〜8のうち、実施例1〜4は共役酸と芳香族酸を特定範囲で有するトール油ロジンエステルをレゾール初期縮合物と反応させた例、実施例5は石油樹脂を共存させた例、実施例6はエポキシ樹脂を共存させた例、実施例7はイソシアネート化合物を共存させた例、実施例8はゲルワニス製造の最終工程でゲル化剤を添加した例である。
一方、比較例1〜5のうち、比較例1は固形のロジン変性フェノール樹脂をインキ溶剤に再溶解してインキ用樹脂を製造した例、比較例2はトール油ロジンエステルの替わりに、トール油ロジンを使用した例、比較例3はトール油ロジンエステルの共役酸の含有率が本発明の特定範囲の上限値であり、芳香族酸の含有率が同範囲の下限値より少ない例、比較例4はトール油ロジンエステルの共役酸の含有率が同範囲の下限値より少なく、芳香族酸の含有率が同範囲の上限付近である例、比較例5はトール油ロジンエステルの共役酸の含有率が同範囲の下限値であり、芳香族酸の含有率が同範囲の上限値を越える例である。
尚、ガムロジンエステルを使用し、樹脂酸の含有量が本発明の特定範囲に近いものを参考例1とし、樹脂酸の含有量がこの特定範囲から外れるものを比較参考例1として併記する。
【0038】
(1)実施例1
反応容器に、酸価20に調整したトールロジングリセリンエステル660部(非芳香族の共役系樹脂酸含有率43%、芳香族系樹脂酸含有率42%)を仕込んで溶解した後、前記製造例のレゾール樹脂溶液とAF7号ソルベント100部を添加し、200℃で反応させ、重量平均分子量15万の樹脂ワニス1488部を得た。
一方、別の反応容器中で、AF7号ソルベント960部、大豆油320部、ゲル化剤16部(ケロープEP−12:ホープ製薬社製)の混合溶液を調製して、この混合溶液中に上記樹脂ワニスを添加し、170℃で1時間クッキングして、粘度150Pa.S、n−ヘキサントレランス5.0g/gのゲルワニス2784部を得た。
【0039】
(2)実施例2
反応容器に、酸価20に調整したトールロジングリセリンエステル660部(共役樹脂酸含有率38%、芳香族樹脂酸含有率47%)を仕込んで溶解した後、上記製造例のレゾール樹脂溶液とAF7号ソルベント100部を添加し、200℃で反応させ、重量平均分子量9万の樹脂ワニス1488部を得た。
一方、別の反応容器中で、AF7号ソルベント960部、大豆油320部、ゲル化剤16部(ケロープEP−12:ホープ製薬社製)の混合溶液を調製し、この混合溶液中に上記樹脂ワニスを添加し、170℃で1時間クッキングして、粘度90Pa.S、n−ヘキサントレランス6.0g/gのゲルワニス2784部を得た。
【0040】
(3)実施例3
反応容器に、酸価20に調整したトールロジングリセリンエステル660部(共役樹脂酸含有率45%、芳香族樹脂酸含有率40%)を仕込んで溶解した後、上記製造例のレゾール樹脂溶液とAF7号ソルベント100部を添加し、200℃で反応させ、重量平均分子量25万の樹脂ワニス1488部を得た。
一方、別の反応容器中でAF7号ソルベント960部、大豆油320部、ゲル化剤16部(ケロープEP−12:ホープ製薬社製)の混合溶液を調製し、この混合溶液中に上記樹脂ワニスを添加し、170℃で1時間クッキングして、粘度250Pa.S、n−ヘキサントレランス4.5g/gのゲルワニス2784部を得た。
【0041】
(4)実施例4
反応容器に、酸価20に調整したトールロジングリセリンエステル660部(共役樹脂酸含有率43%、芳香族樹脂酸含有率45%)を仕込んで溶解した後、上記製造例のレゾール樹脂溶液とAF7号ソルベント100部を添加し、200℃で応させ、重量平均分子量11万の樹脂ワニス1488部を得た。
一方、別の反応容器中でAF7号ソルベント960部、大豆油320部、ゲル化剤16部(ケロープEP−12:ホープ製薬社製)の混合溶液を調製し、この混合溶液中に上記樹脂ワニスを添加し、170℃で1時間クッキングして、粘度120Pa.S、n−ヘキサントレランス5.5g/gのゲルワニス2784部を得た。
【0042】
(5)実施例5
実施例1を基本としながら、ロジンエステルを溶解した後、石油樹脂(マルカレッツT−200A:丸善石油社製)を42部添加し、その他の条件を前記実施例1と同様に操作して、重量平均分子量8万の樹脂ワニスを製造した後、ゲルワニス工程を経て、粘度120Pa.S、n−ヘキサントレランス6.9g/gのゲルワニスを得た。
【0043】
(6)実施例6
実施例1を基本としながら、ロジンエステルを溶解してレゾール樹脂溶液とAF7ソルベントを添加した後、エポキシ化合物(YD−128:東都化成社製)を13.2部添加し、その他の条件を実施例1と同様に操作して、重量平均分子量20万の樹脂ワニスを製造後、ゲルワニス工程を経て、粘度350Pa.S、n−ヘキサントレランス2.8g/gのゲルワニスを得た。
【0044】
(7)実施例7
実施例1を基本としながら、ロジンエステルを溶解してレゾール樹脂溶液とAF7ソルベントを添加した後、タケネート80(イソシアネート:三井武田ケミカル社製)を13.2部添加し、その他の条件を実施例1と同様に操作して、重量平均分子量が20万になるまで反応させた。以下同様の操作で粘度330Pa.S、n−ヘキサントレランス3.1g/gのゲルワニスを得た。
【0045】
(8)実施例8
実施例1の最終工程で投入するゲル化剤EP−12を省略した以外は、全く同様の組成、反応操作で調整を進め、粘度90Pa . S、n−ヘキサントレランス7 . 0g/gのワニスを得た。このワニスにEP−12を13部投入し、170℃、1時間クッキングした後、粘度150Pa . S、n−ヘキサントレランス5 . 0g/gの実施例1と同じ物性のゲルワニスを得た。
【0046】
(9)参考例1
反応容器に、酸価20に調整したガムロジングリセリンエステル660部 ( 共役樹脂酸含有率55%、芳香族樹脂酸含有率42% ) を仕込んで溶解した後、前記製造例のレゾール樹脂溶液とAF7号ソルベント100部を添加し、200℃で反応させ、重量平均分子量25万の樹脂ワニス1488部を得た。
一方、別の反応容器中でAF7号ソルベント960部、大豆油320部、ゲル化剤 ( ケロープ EP 12 :ホープ製薬社製 ) 16部の混合溶液を調製し、この混合溶液中に上記樹脂ワニスを添加し、170℃で1時間クッキングして、粘度340Pa . S、n−ヘキサントレランス3 . 0g/gのゲルワニス2784部を得た。
【0047】
(10)比較例1
キシレン中でレゾール樹脂を合成し、このレゾール樹脂を溶融ロジンに添加して反応させた後、多価アルコールによりエステル化して得られた従来の固形状のロジン変性フェノール樹脂(ハリフェノールP−637:ハリマ化成社製:重量平均分子量10万)を用いて、ワニス組成を実施例1と全く同様とし、170℃で1時間クッキングして、粘度285Pa.S、n−ヘキサントレランス4.3g/gのゲルワニスを得た。
【0048】
(11)比較例2
実施例1を基本としながら、ロジンエステル類に替えて、トール油ロジン(酸価168、共役樹脂酸含有率65%)を使用し、その他の条件を実施例1と同様に操作したところ、重量平均分子量が0.2万で成長が停止し、ゲルワニス工程まで進めなかった。
【0049】
(12)比較例3
反応容器に、酸価25に調整したトールロジングリセリンエステル660部(共役樹脂酸含有率60%、芳香族樹脂酸含有率15%)を仕込んで溶解した後、前記製造例のレゾール樹脂溶液とAF7号ソルベント100部を添加し、200℃で反応させたが、反応中に過度に分子量が増大してゲル化し、反応継続することができなかった。
ちなみに、共役樹脂酸含有率が60%以上で、芳香族樹脂酸20〜40%のロジンエステルを使用した場合にも、レゾール樹脂とロジンエステルの反応中にゲル化してしまい、ゲルワニスを調整することができなかった。
【0050】
(13)比較例4
反応容器に、酸価18に調整したトールロジングリセリンエステル660部(共役樹脂酸含有率25%、芳香族樹脂酸含有率58%)を仕込んで溶解した後、前記製造例のレゾール樹脂溶液とAF7号ソルベント100部を添加し、200℃で反応させ、重量平均分子量6万の樹脂ワニス1488部を得た。
一方、別の反応容器中でAF7号ソルベント960部、大豆油320部、ゲル化剤(ケロープEP−12:ホープ製薬社製)16部の混合溶液を調製し、この混合溶液中に上記樹脂ワニスを添加し、170℃で1時間クッキングして、粘度35Pa.S、n−ヘキサントレランス12.4g/gのゲルワニス2784部を得た。
【0051】
(14)比較例5
反応容器に、酸価20に調整したトールロジングリセリンエステル660部(共役樹脂酸含有率30%、芳香族樹脂酸含有率65%)を仕込んで溶解した後、前記製造例のレゾール樹脂溶液とAF7号ソルベント100部を添加し、200℃で反応させ、重量平均分子量4.5万の樹脂ワニス1488部を得た。
一方、別の反応容器中でAF7号ソルベント960部、大豆油320部、ゲル化剤(ケロープEP−12:ホープ製薬社製)16部の混合溶液を調製し、この混合溶液中に上記樹脂ワニスを添加し、170℃で1時間クッキングすることにより、粘度22Pa.S、n−ヘキサントレランス15.3g/gのゲルワニス2784部を得た。
【0052】
(15)比較参考例1
反応容器に、酸価32に調整したガムロジングリセリンエステル660部(共役樹脂酸含有率65%、芳香族樹脂酸含有率15%)を仕込んで溶解した後、前記製造例のレゾール樹脂溶液とAF7号ソルベント100部を添加し、200℃で反応させたが、前記比較例3と同様に、反応中に過度に分子量が増大してゲル化し、反応継続することができなかった。
【0053】
そこで、実施例1〜8、比較例1及び比較例4〜5、参考例1で得られた各ゲルワニスを用いて印刷インキを調製し、印刷適性の優劣を評価した。
《印刷適性試験例》
実施例、比較例で得られた各ゲルワニスに対し、紅顔料(カーミン6B:東洋インキ製造社製)18部を三本ロールミルで分散し、AF7号ソルベントとゲルワニスを総量100部となるように添加し、タックが5〜6、フローが36〜40になるように調製して、オフセット印刷インキを得た。次いで、各印刷インキは、下記に示す各種の印刷適性試験に供した。
但し、比較例4及び5の各ゲルワニスの粘度はきわめて低く、実用レベルに必要な物性の印刷インキが製造できず、印刷適性試験には供せなかった。
また、実施例8は実施例1と同様の物性であるため試験は省略した。
【0054】
(1)インキ粘度及び降伏値:L型粘度計(東洋精機社製)により測定した。
【0055】
(2)タック:JIS K5701に準拠し、ミスチングテスター(東洋精機社製)により測定した。
【0056】
(3)フロー:JIS K5701に準拠し、スプレッドメーター(離合社製)によりインキの広がり(直径:mm)を測定した(60秒値)。
【0057】
(4)光沢値:JIS K5701に準拠し、光沢計(村上色彩技術研究所社製)により測定した。
【0058】
(5)濃度:JIS K5701に準拠し、光沢測定と同じ試験紙を反射濃度計にて測定した。
【0059】
(6) 指触乾燥性:インキ0.1ccをRIテスター(明製作所社製)2カットロールでアート紙に展色した直後にドライヤー温風下におき、印刷面の乾きを指触で判断し、乾燥時間を比較した。評価は比較例1を「3」とし、乾燥性の最良サンプルを「5」とする5段階評価を行った。即ち、比較例1と最良サンプルの中間に評価されるものは「4」、比較例1より劣るものは「2」、より劣るものは「1」とした。
【0060】
(7)最大乳化量:リソトロニック乳化試験器(Novocontrol社製)を用いて、40℃において、25gのインキに2ml/分の速度で水を添加し、インキが飽和した時点の水分量を測定し、この水分増加量をインキ原体の重量で除して%表記とした。尚、乳化試験器の回転数は1200rpmとした。
【0061】
(8)ミスチング:インキ2カップをインコメーター(東洋精機社製)に載せ、ロール温度40℃で2000rpm、2分間回転させた時の、ロール下面と前面に置いた白色紙上へのインキの飛散状態を観察した。評価は比較例1を「3」とし、最良サンプルを「5」とする5段階評価を行った。評価の詳細は上記(6)の指触乾燥性の場合と同様である。
【0062】
図1はその試験結果である。
固形樹脂を再溶解した比較例1に対して、インキ溶剤中での反応で得られたロジンフェノール樹脂をゲルワニス化した実施例1〜7は、共に、流動性(フロー)が良いため、転移性が良くなり、光沢が良好であることが判明した。
また、実施例1〜7の指触乾燥性、ミスチングは、比較例1より改善されていることが認められた。
さらに、実施例1〜7の最大乳化量は比較例1より顕著に低下しており、耐乳化性に優れることが確認できた。
以上を総合すると、従来の塊状重合法で製造した固形樹脂をゲルワニス化した比較例1に対して、インキ溶剤中でレゾール初期縮合物とトールロジンエステル類を反応させて得られた樹脂を一連の工程でゲルワニス化した実施例1〜7は、高流動性、速乾性、低ミスチング、耐乳化性の全ての点で顕著な優位性を示し、高速印刷適性に優れることが明らかになった。
また、共役酸と芳香族樹脂酸の含有率が特定範囲から外れるロジンエステル類を使用した比較例3〜5では、反応系がゲル化してゲルワニスの調製が困難になったり、或は、得られたゲルワニスの粘度が不足するために使用に耐えるインキを製造できないなどの重大な問題が生じることから、高速印刷適性を具備した印刷インキの製造には、ロジンエステル類中に含まれる共役酸と芳香族樹脂酸の含有率がきわめて重要であることが判明した。
尚、参考例1ではロジン原料はトール油ロジンとは異なるが、印刷適性は比較例より改善された。しかしながら、参考比較例1では反応系がゲル化してゲルワニスの調製が困難になった。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1〜7、比較例1及び参考例1の各ゲルワニスを用いて製造した印刷インキの印刷適性試験結果を示す図表である。

Claims (5)

  1. インキ溶剤中でフェノール類とホルムアルデヒド類を縮合させてフェノールホルムアルデヒド初期縮合物のインキ溶剤液を得た後、
    このフェノールホルムアルデヒド初期縮合物とロジンエステル類とをインキ溶剤を含む系内、又はインキ溶剤及び乾性油を含む系内で100〜250℃で反応させて樹脂ワニスを製造するとともに、
    上記ロジンエステル類がトール油ロジンエステルであり、プロトンNMR測定法に基づいて、非芳香族の共役酸系樹脂酸を35〜45重量%含有し、且つ、芳香族系の樹脂酸を35〜50重量%含有することを特徴とする印刷インキ用樹脂ワニスの製造方法。
  2. ロジンエステル類が、酸価5〜100であることを特徴とする請求項1に記載の印刷インキ用樹脂ワニスの製造方法。
  3. さらに、反応系内に石油樹脂を添加することを特徴とする請求項1又は2に記載の印刷インキ用樹脂ワニスの製造方法。
  4. さらに、反応系内にエポキシ化合物、又はイソシアネート化合物を添加することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の印刷インキ用樹脂ワニスの製造方法。
  5. さらに、反応系内にゲル化剤を添加することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の印刷インキ用樹脂ワニスの製造方法。
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