JP2017171892A - オフセット印刷用ロジン変性フェノール樹脂、オフセット印刷インキ用ワニス、及びオフセット印刷インキ - Google Patents
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Abstract
【課題】高分子量でありつつ脂肪族炭化水素溶剤への溶解性に優れ、かつ、オフセット印刷インキの耐ミスチング性と流動性を、その乾燥性及び光沢を損なうことなく良好ならしめる、新規なオフセット印刷インキ用ロジン変性フェノール樹脂の提供。
【解決手段】ロジン類(a1)及びポリオール(a2)を原料とし、かつ、下記要件(α1)、要件(α2)及び要件(α3)を満たすロジンエステル(A)と、アルキルフェノール−ホルムアルデヒド縮合物(B)の反応物(1)と、ポリオール(2)との反応物である、オフセット印刷インキ用ロジン変性フェノール樹脂。
(α1):(A)成分中、エステル体の含有量が20〜80重量%であり、かつ、遊離樹脂酸の含有量が80〜20重量%である
(α2):(A)成分中、デヒドロアビエチン酸骨格を含む成分の含有量が40重量%未満である
(α3):(A)成分の酸価が30〜140mgKOH/gである
【選択図】なし
【解決手段】ロジン類(a1)及びポリオール(a2)を原料とし、かつ、下記要件(α1)、要件(α2)及び要件(α3)を満たすロジンエステル(A)と、アルキルフェノール−ホルムアルデヒド縮合物(B)の反応物(1)と、ポリオール(2)との反応物である、オフセット印刷インキ用ロジン変性フェノール樹脂。
(α1):(A)成分中、エステル体の含有量が20〜80重量%であり、かつ、遊離樹脂酸の含有量が80〜20重量%である
(α2):(A)成分中、デヒドロアビエチン酸骨格を含む成分の含有量が40重量%未満である
(α3):(A)成分の酸価が30〜140mgKOH/gである
【選択図】なし
Description
本発明は、オフセット印刷用ロジン変性フェノール樹脂、オフセット印刷インキ用ワニス、及びオフセット印刷インキに関する。
従来、オフセット印刷、特に特に湿し水を用いるオフセット印刷に用いるインキのバインダー樹脂としては、インキ皮膜の乾燥性や光沢等において優れることから、所謂ロジン変性フェノール樹脂が使用されている。
ロジン変性フェノール樹脂は、一般的に、ロジン類、アルキルフェノール−ホルムアルデヒド縮合物、及びポリオール類の反応物である。該樹脂は、植物油や石油溶剤等の溶媒に溶解させたワニスとして用いられる場合と、更にアルミニウム系化合物等のゲル化剤を反応させたゲルワニスとして利用される場合とがある(以下、ワニスと単に総称することがある)。そして、ワニスに顔料及びインキ用溶剤等を加え、機械的に混練することにより、目的とするオフセット印刷インキが得られる。該印刷インキは、インキつぼより複数のローラーを介して印刷版胴に供給され、別途供給された湿し水とともにブランケット胴を経由して印刷用紙に転移し、画像を形成する。
ところで、特許文献1に記載されているように、オフセット印刷インキに用いるインキ溶剤としては、大気汚染や環境問題、作業環境の保全等の観点より、近年ではナフテンやパラフィン等の脂肪族炭化水素を主成分とする非芳香族系溶剤が主流となっている。しかし、同文献で指摘されているように、非芳香族系溶剤は一般的にロジン変性フェノール樹脂の溶解力に乏しく、インキ皮膜の光沢が低下する等の問題がある。また、オフセット印刷は従前に増して高速印刷化が進んでおり、耐ミスチング性等の高速印刷適性を満足させるためには、ロジン変性フェノール樹脂の高分子量化が不可欠とされる。
それゆえ斯界では、高分子量でありつつ脂肪族炭化水素溶剤への溶解性にも優れるロジン変性フェノール樹脂の要請が強い。この点、特許文献1によれば、ロジン類、フェノール−ホルムアルデヒド縮合物及びポリオール類をパラトルエンスルホン酸等の酸性触媒の存在下で反応させることにより、かかる要請に応じたロジン変性フェノール樹脂が得られるとされる。しかし、本発明者の検討により、当該ロジン変性フェノール樹脂を用いて得られるオフセット印刷インキは流動性が不十分であることが判明した。流動性不足のインキは、印刷中にインキつぼから呼び出しローラーに移らなくなる所謂つぼ上がり現象を生じやすく、印刷物の色度低下等を招くことが知られている。
また、高分子量でありつつ脂肪族炭化水素溶剤への溶解性にも優れるロジン変性フェノール樹脂であって、印刷インキの耐ミスチング性を改善し得るものとして、特許文献2には、ロジン変性フェノール樹脂中に含まれる低分子量成分を低減させたものが開示されているが、更なる効果の向上が求められていた。
本発明の課題は、高分子量でありつつ脂肪族炭化水素溶剤への溶解性に優れ、かつ、オフセット印刷インキの耐ミスチング性と流動性を、その乾燥性及び光沢を損なうことなく良好ならしめる、新規なオフセット印刷インキ用ロジン変性フェノール樹脂の提供にある。
本発明者は鋭意検討の結果、所定のロジンエステルを出発原料とする重縮合物(前駆体)を更にポリオールで変性してなるロジン変性フェノール樹脂により前記課題が解決できることを見出した。即ち本発明は、下記オフセット印刷用ロジン変性フェノール樹脂、オフセット印刷インキ用ワニス、及びオフセット印刷インキに関する。
1.ロジン類(a1)及びポリオール(a2)を原料とし、かつ、下記要件(α1)、要件(α2)及び要件(α3)を満たすロジンエステル(A)と、アルキルフェノール−ホルムアルデヒド縮合物(B)の反応物(1)と、ポリオール(2)との反応物である、オフセット印刷インキ用ロジン変性フェノール樹脂。
(α1):(A)成分中、エステル体の含有量が20〜80重量%であり、かつ、遊離樹脂酸の含有量が80〜20重量%である
(α2):(A)成分中、デヒドロアビエチン酸骨格を含む成分の含有量が40重量%未満である
(α3):(A)成分の酸価が30〜140mgKOH/gである
(α1):(A)成分中、エステル体の含有量が20〜80重量%であり、かつ、遊離樹脂酸の含有量が80〜20重量%である
(α2):(A)成分中、デヒドロアビエチン酸骨格を含む成分の含有量が40重量%未満である
(α3):(A)成分の酸価が30〜140mgKOH/gである
2.(a1)成分が、ガムロジン、トール油ロジン、及びウッドロジンからなる群より選ばれる少なくとも一種を含む、前記項1のロジン変性フェノール樹脂。
3.(A)成分が、更にα,β不飽和カルボン酸類(a3)を原料とするものである、前記項1又は2のロジン変性フェノール樹脂。
4.(B)成分が、炭素数10未満のアルキル基を有するフェノールとホルムアルデヒドとの縮合物を含む、前記項1〜3のいずれかのロジン変性フェノール樹脂。
5.重量平均分子量が100,000〜1,000,000である、前記項1〜4のいずれかのロジン変性フェノール樹脂。
6.芳香族含有量が1%未満であり且つアニリン点が70〜100℃の脂肪族炭化水素溶剤の10重量%溶液とした場合における曇点が40〜160℃である、前記項1〜5のいずれかのロジン変性フェノール樹脂。
7.前記項1〜6のいずれかのロジン変性フェノール樹脂と非芳香族系溶剤とを含む、オフセット印刷インキ用ワニス。
8,非芳香族系溶剤が、脂肪族炭化水素溶剤及び/又は植物油類を含む、前記項7のオフセット印刷インキ用ワニス。
9.さらに、ゲル化剤を含む、前記項7又は8のオフセット印刷インキ用ワニス。
10.前記項7〜9のいずれかのオフセット印刷インキ用ワニスと顔料とを含むオフセット印刷インキ。
本発明のオフセット印刷用ロジン変性フェノール樹脂は、高分子量でありながらも印刷インキである脂肪族炭化水素溶剤に良く溶解し、濁りのないクリアなワニスを与える。該ワニスを用いて得られるオフセット印刷インキもやはりクリアである。該ロジン変性フェノール樹脂及び/又は該ワニスを用いて得られるオフセット印刷インキは、耐ミスチング性が良好であり、インキ皮膜の乾燥性、光沢にも優れる。
本発明のオフセット印刷用ロジン変性フェノール樹脂(以下、単にR変性樹脂ともいう)は、ロジン類(a1)(以下、(a1)成分ともいう。)、ポリオール(a2)(以下、(a2)成分ともいう。)、及び必要に応じてα,β不飽和カルボン酸類(a3)(以下、(a3)成分ともいう。)を原料とし、かつ、所定の要件を満たすロジンエステル(A)(以下、(A)成分ともいう。)と、アルキルフェノール−ホルムアルデヒド縮合物(B)(以下、(B)成分ともいう。)の反応物(1)(以下、(1)成分ともいう。)を、更にポリオール(2)(以下、(2)成分ともいう。)で変性したものである。
(a1)成分は、各種公知のロジン類を特に制限なく使用できる。具体的には、例えば、例えば、ガムロジン、トール油ロジン及びウッドロジン等からなる群より選ばれる少なくとも一種の原料ロジンが挙げられる。該原料ロジンの松種は特に限定されず、例えば、メルクシ松、スラッシュ松(湿地松)及び馬尾松等が挙げられる。また、該原料ロジンの産地も特に限定されず、例えば、中国、ベトナム、インドネシア、ブラジル等が挙げられる。他にも、(a1)成分としては、該原料ロジンの精製物(精製ロジン);該原料ロジンの水添物(水添ロジン)、不均化物(不均化ロジン)及び重合ロジン等、並びに該原料ロジンと不飽和カルボン酸類との反応物(不飽和カルボン酸変性ロジン)等が挙げられる。該不飽和酸変性ロジンは、原料ロジン100重量部に対して不飽和カルボン酸類を通常1〜30重量部程度用いて変性(ディールス・アルダー反応)したものである。該不飽和カルボン酸類としては、例えばマレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、ケイ皮酸、アクリル酸、メタクリル酸等の不飽和モノカルボン酸や不飽和ジカルボン酸が挙げられる。(a1)成分は一種を単独で用いてもよく、二種以上を混合して用いてもよい。
(a1)成分は、各種樹脂酸を含む。樹脂酸としては、例えば、アビエチン酸、ジヒドロアビエチン酸、デヒドロアビエチン酸、テトラヒドロアビエチン酸、パラストリン酸、レボピマル酸、ネオアビエチン酸、ピマル酸、イソピマル酸、サンダラコピマル酸、コムン酸及びジヒドロアガチン酸等が挙げられる。
(a1)成分としては、ガムロジン、トール油ロジン及びウッドロジンからなる群より選ばれる少なくとも一種の原料ロジンが好ましい。また、該原料ロジンは、前記樹脂酸のうち分子内に共役二重結合を有するもの(例:アビエチン酸)を所定量含む。その含有量は特に限定されないが、(A)成分と(B)の反応点を確保し、本発明に係るロジン変性フェノール樹脂を高分子量化するとともに、前記所期の効果を達成する観点より、通常30〜80重量%程度、具体的には40〜80重量%程度であるのがよい。
(a2)成分としては、各種公知のポリオールを特に制限なく使用できる。具体的には、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ネオペンチルグリコール等のジオール類;グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン等のトリオール類;ペンタエリスリトール、ジグリセリン、ジトリメチロールプロパン等のテトラオール類;ジペンタエリスリトール等の5価以上のポリオール類等が挙げられ、一種を単独で、又は二種以上を併用できる。(a2)成分の中でも、本発明に係るロジン変性フェノール樹脂を高分子量化し、かつ所期の効果を得る観点より、トリオール類及び/又はテトラオール類が好ましい。
(a3)成分は、本発明に係るロジン変性フェノール樹脂を高分子量化し、耐ミスチング性等を改善する目的で任意に使用できる。具体的には、例えば、(メタ)アクリル酸、(無水)マレイン酸、(無水)イタコン酸及びフマル酸等が挙げられる。
(A)成分は、各種公知の方法で製造できる。具体的には、(a1)成分及び(a2)成分並びに必要に応じて(a3)成分を、下記要件(α1)、要件(α2)及び要件(α3)を考慮しつつ、通常200〜300℃程度の温度で1〜12時間程度反応させればよい。また、反応の際、各種公知の触媒を併用できる。
(a1)成分、(a2)成分及び(a3)成分の使用量は特に限定されないが、本発明に係るロジン変性フェノール樹脂の高分子量化および脂肪族炭化水素溶剤への溶解性等の観点より、通常は(a1)成分を基準として以下のように定め得る。
即ち、(a2)成分の使用量は、通常、(a1)成分中のカルボキシル基と(a2)成分中の水酸基のモル比(OH/COOH)が通常0.3〜1.2程度、好ましくは0.4〜1程度となる範囲であればよい。
また、(a3)成分の使用量は、通常、(a1)成分に含まれる分子内に共役二重結合を有する樹脂酸100モルに対して通常1〜100モル程度、好ましくは1〜33モル程度となる範囲であればよい。
(A)成分には、本発明の所期の効果を達成する上で、下記要件(α1)、要件(α2)及び要件(α3)を充足させる必要がある。
(α1):(A)成分中、エステル体の含有量が20〜80%であり、かつ、遊離樹脂酸の含有量が80〜20重量%である
(α2):(A)成分中、デヒドロアビエチン酸骨格を含む成分の含有量が40重量%未満である
(α3):(A)成分の酸価が30〜140mgKOH/gである
(α2):(A)成分中、デヒドロアビエチン酸骨格を含む成分の含有量が40重量%未満である
(α3):(A)成分の酸価が30〜140mgKOH/gである
要件(α1)に関し、「エステル体」とは、前記樹脂酸と前記(a2)成分とがエステル化反応してなる化合物、及び/又は、当該化合物に前記(a3)成分が更に付加反応してなる化合物をいう。以下、その非限定的な構造を示す(4つのRoは、同一又は異なっていてよく、いずれもアビエチン酸残基又はマレオピマル酸残基を示す)。
また、要件(α1)に関し、「遊離樹脂酸」とは、前記樹脂酸のうち、前記(a2)成分とエステル化反応せずに(A)成分中に残存しているものをいう。
本発明においては、(A)成分における前記エステル体と前記遊離樹脂酸の含有量を要件(α1)の範囲に限定することにより、本発明に係るロジン変性フェノール樹脂が高分子量となり、脂肪族炭化水素溶剤への溶解性も良好になる。かかる観点より、該エステル体は20〜80重量%程度、好ましくは30〜70重量%程度、該遊離樹脂酸の含有量は80〜20重量%程度、好ましくは70〜30重量%程度であるのがよい。
要件(α2)に関し、「デヒドロアビエチン酸骨格を含む成分」とは、(A)成分を構成するエステル体及び遊離樹脂酸のうち、分子中にデヒドロアビエチン酸残基を有するものをいう。該残基の非限定的な構造を以下に示す。
本発明においては、(A)成分における、デヒドロアビエチン酸骨格を含む成分の含有量を要件(α2)の範囲に限定することにより、(A)成分と(B)成分の反応性が良好になり、所期の効果を奏するロジン変性フェノール樹脂を得ることができる。かかる観点より、(A)成分における当該成分の含有量は40重量%未満程度、好ましくは5〜30重量%程度である。
要件(α1)における樹脂酸とエステル体の含有量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるピーク面積の比によって求めることができる。具体的には、全ピーク面積(100%)に対する、各成分のピーク面積比(%)により求めることができる。また要件(α2)における各含有量は、各種公知の方法で測定できる。例えばガスクロマトグラフィー(GC)を使用し、全樹脂酸のピーク面積(100%)に対するデヒドロアビエチン酸由来のピーク面積の比(%)を求めることにより、デヒドロアビエチン酸の含有量が得られる。
要件(α3)に関し、本発明においては、(A)成分の酸価を30〜140mgKOH/g程度に限定することにより、高分子量でかつ脂肪族炭化水素溶剤への溶解性に優れるロジン変性フェノール樹脂を得やすくなる。かかる観点より、当該酸価は、好ましくは55〜120mgKOH/g程度である。なお、該酸価は、JIS−K5601に準拠した測定値である。
(B)成分としては、各種公知のものを特に制限なく使用できる。具体的には、例えば、レゾール型フェノール樹脂及び/又はノボラック型フェノール樹脂が挙げられる。該レゾール型フェノール樹脂は、有機アミン、水酸化カルシウム、水酸化ナトリウム等の塩基性触媒の存在下で、フェノール類(P)とホルムアルデヒド(F)をF/P(モル比)が通常1〜3程度となる範囲内で付加・縮合反応させたものである。該ノボラック型フェノール樹脂は、塩酸や硫酸等の酸性触媒の存在下で、フェノール類(P)とホルムアルデヒド(F)をF/Pが通常0.5〜2程度となる範囲内で付加・縮合反応させたものである。該フェノール類としては、石炭酸、クレゾール、アミルフェノール、ビスフェノールA、ブチルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール、ドデシルフェノール等が挙げられ、一種を単独で用いてもよく、二種以上を混合して用いてもよい。また、該ホルムアルデヒドとしては、ホルマリン、パラホルムアルデヒド等が挙げられ、一種を単独で用いてもよく、二種以上を混合して用いてもよい。(B)成分は、中和・水洗したものが好ましい。また、(B)成分の製造は、水や有機溶剤(キシレン等)の存在下で実施できる。(B)成分としては、特に本発明のR変性樹脂の高分子量化及び脂肪族炭化水素溶剤への溶解性等の観点より、炭素数10未満、好ましくは4〜9のアルキル基有するフェノールとホルムアルデヒドとの縮合物が好ましい。
(B)成分の使用量は特に限定されないが、特に本発明のロジン変性フェノール樹脂の高分子量化及び脂肪族炭化水素溶剤への溶解性、並びに印刷インキの耐ミスチング性等の観点より、通常、(A)成分100重量部に対して10〜120重量部程度、好ましくは20〜90重量部程度である。
前記ロジンエステル(A)を得る際、各種公知の触媒を使用できる。具体的には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、酢酸カルシウム、酢酸マグネシウム、酢酸亜鉛、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、水酸化マグネシウム及び水酸化カルシウム等の金属化合物;塩酸、酢酸、硫酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、プロパンスルホン酸、ブタンスルホン酸、ヘキサンスルホン酸、10−カンファースルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、キュメンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸の有機酸等が挙げられ、一種を単独で、又は二種以上を併用できる。
(2)成分としては、前記(a2)成分と同じものが挙げられ、本発明に係るロジン変性フェノール樹脂の高分子量化及び脂肪族炭化水素溶剤への溶解性等の観点より、前記トリオール及び/又はテトラオールが好ましい。
(1)成分と(2)成分の反応手段は特に限定されない。例えば、前記方法で(1)成分を製造した後、同一反応系に(2)成分を加え、200〜300℃程度で1〜12時間程度、エステル化反応させればよい。
(2)成分の使用量は特に限定されないが、本発明に係るロジン変性フェノール樹脂の高分子量化及び脂肪族炭化水素溶剤への溶解性等の観点より、(1)成分中のカルボキシル基と(2)成分中の水酸基のモル比(OH/COOH)が0.3〜1.2程度、好ましくは0.4〜1程度となる範囲であればよい。
こうして得られる本発明に係るロジン変性フェノール樹脂は、重量平均分子量が相対的に大きいにも関わらず、後述の脂肪族炭化水素溶剤への溶解性に優れる。該重量平均分子量は、特段限定されないが、通常100,000〜1,000,000程度、好ましくは200,000〜800,000程度である。
該脂肪族炭化水素溶剤としては、各種公知のものが挙げられる。具体的には、例えば、芳香族含有量が1%未満であり且つアニリン点が70〜100℃の脂肪族炭化水素溶剤が好ましい。例えばJX日鉱日石エネルギー(株)の0号ソルベントやAFソルベント(4号、5号、6号、7号等)が公知である。
本発明に係るロジン変性フェノール樹脂の前記脂肪族炭化水素溶剤への溶解性は、該樹脂を前記脂肪族炭化水素溶剤に固形分濃度が10重量%となるように溶解させてなる溶液の曇点で評価する。該曇点は、通常40〜160℃程度、好ましくは50〜140℃程度、一層好ましくは60〜100℃程度であるのが好ましい。
本発明に係るロジン変性フェノール樹脂の他の物性も特に限定されないが、特に耐ミスチング性の観点より、通常、33%アマニ油粘度が5〜25Pa・s/25℃程度であり、また、軟化点(JIS−K5903)が通常120〜200℃程度である。
本発明のオフセット印刷インキ用ワニスは、本発明に係るロジン変性フェノール樹脂と、インキ用溶剤と、必要に応じてゲル化剤とを含む組成物である。
インキ用溶剤としては、前記脂肪族炭化水素溶剤及び/又は植物油類が挙げられる。該脂肪族炭化水素溶剤としては、特に、芳香族含有量が1%未満であり且つアニリン点が70〜100℃のものが特に好ましく、更に沸点200℃以上のものは環境面においてより好ましい。また、該植物油類としては、アマニ油、桐油、サフラワー油、脱水ヒマシ油、大豆油、アマニ油脂肪酸メチル、大豆油脂肪酸メチル、アマニ油脂肪酸エチル、大豆油脂肪酸エチル、アマニ油脂肪酸プロピル、大豆油脂肪酸プロピル、アマニ油脂肪酸ブチル及び大豆油脂肪酸ブチル等が挙げられる。
インキ用溶剤の使用量は特に限定されないが、通常、本発明のオフセット印刷インキ用ロジン変性フェノール樹脂100重量部(固形分換算)に対して10〜200重量部程度である。また、(3)成分として、前記脂肪族炭化水素溶剤及び植物油類を併用する場合には、前者/後者の重量比率は通常1/100〜100/1程度、好ましくは5/60〜60/5程度であるのがよい。
本発明のオフセット印刷インキ用ワニスは、必要に応じてゲル化剤を含む。本発明に係るロジン変性フェノール樹脂とインキ用溶剤とを含む組成物に、該ゲル化剤を添加して通常100〜240℃程度で反応させることで、所謂ゲルワニスが得られる。該ゲル化剤としては、各種公知のものを特に制限なく使用できる。具体的には、例えば、オクチル酸アルミニウム、ステアリン酸アルミニウム、アルミニウムトリイソプロポキシド、アルミニウムトリブトキシド、アルミニウムジプロポキシドモノアセチルアセテート、アルミニウムジブトキシドモノアセチルアセテート及びアルミニウムトリアセチルアセテート等のアルミニウム系キレート剤;テトライソプロポキシチタン、テトラブトキシチタン及びジプロポキシビス(アセチルアセトナト)チタン等のチタン系キレート剤;テトラブトキシジルコニウム等のジルコニウム系キレート剤;トリレンジイソシアネート、ジフェニルジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート及びイソホロンジイソシアネート等のポリイソシアネート等が挙げられ、一種を単独で、又は二種以上を併用できる。これらの中でも、特に印刷インキの耐乳化性等の観点よりアルミニウム系キレート剤が好ましい。
ゲル化剤の使用量は特に限定されないが、通常、本発明のオフセット印刷インキ用ロジン変性フェノール樹脂100重量部(固形分換算)に対して通常0.5〜5重量部程度である。
本発明のオフセット印刷インキは、本発明のオフセット印刷インキ用ワニスと顔料(黄、紅、藍、墨等)を含む組成物である。また、界面活性剤やワックス、酸化防止剤等の添加剤を含めてもよい。該インキは、ロールミル、ボールミル、アトライター、サンドミルといった公知のインキ製造装置を用いて適切なインキ恒数となるよう、練肉・調製したうえで利用に供される。
以下、製造例、実施例をあげて本発明を更に具体的に説明するが、いずれも本発明の範囲を限定するものではない。なお、以下「部」、「%」はいずれも重量基準である。
デヒドロアビエチン酸骨格を含む成分の含有量は、ロジンエステルをガスクロマトグラフィー(GC)を用いて測定し、検出された全樹脂酸のピーク面積(100%)に対するデヒドロアビエチン酸由来のピーク面積の比(%)を算出して、それをデヒドロアビエチン酸骨格を含む成分の含有量とした。GC 装置としては、GC−14A(( 株) 島津製作所製)を、カラムとしては、DB−5(アジレント・テクノロジー(株)製) を用いた。
重量平均分子量は、ゲルパーメーションクロマトグラフィー(GPC)によりテトラヒドロフラン溶媒下で測定したポリスチレン換算値であり、GPC装置としてはHLC−8220(東ソー(株)製)を、カラムとしてはTSK−GELカラム(東ソー(株)製)を用いて得られた測定値である。
曇点は、ロジン変性フェノール樹脂(固体)/AFソルベント6号(JX日鉱日石エネルギー(株)製、アニリン点95℃、芳香族炭化水素含有率0.2%)=1/9となる溶液を用い、NOVOMATICS社製の自動曇点測定装置(製品名「CHEMOTORIC II」)により得られた測定値である。
33%アマニ油粘度(Pa・s/25℃)は、ロジン変性フェノール樹脂とアマニ油を1:2の重量比で加熱混合してなる溶液について、日本レオロジー機器(株)製コーン・アンド・プレート型粘度計を用いて得られた25℃での測定値である。
<(A)成分の製造>
製造例1
撹拌器、分水器付き還流冷却管および温度計を備えた反応容器にガムロジン1,000部を仕込み、これを窒素雰囲気下に撹拌下しながら200℃まで昇温して溶融させた後に、グリセリン60部および水酸化マグネシウム2部を添加し、攪拌下に270℃まで昇温し、酸価が60mgKOH/gとなるまで反応させた。その後200℃まで冷却し、内容物を取り出した。こうして得られたロジンエステル(以下、(A−1)成分という。)の酸価は58mgKOH/g、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるピーク面積の比によって求めたエステル体の含有量が64重量%、遊離樹脂酸の含有量が33重量%、ガスクロマトグラフィー(GC)によるピーク面積の比によって求めたデヒドロアビエチン酸骨格を含む成分の含有量が21重量%であった。
製造例1
撹拌器、分水器付き還流冷却管および温度計を備えた反応容器にガムロジン1,000部を仕込み、これを窒素雰囲気下に撹拌下しながら200℃まで昇温して溶融させた後に、グリセリン60部および水酸化マグネシウム2部を添加し、攪拌下に270℃まで昇温し、酸価が60mgKOH/gとなるまで反応させた。その後200℃まで冷却し、内容物を取り出した。こうして得られたロジンエステル(以下、(A−1)成分という。)の酸価は58mgKOH/g、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるピーク面積の比によって求めたエステル体の含有量が64重量%、遊離樹脂酸の含有量が33重量%、ガスクロマトグラフィー(GC)によるピーク面積の比によって求めたデヒドロアビエチン酸骨格を含む成分の含有量が21重量%であった。
製造例2
撹拌器、分水器付き還流冷却管および温度計を備えた反応容器にガムロジン1,000部を仕込み、これを窒素雰囲気下に撹拌下しながら200℃まで昇温して溶融させた後に、グリセリン65部および水酸化マグネシウム2部を添加し、攪拌下に270℃まで昇温し、酸価が50mgKOH/gとなるまで反応させた。その後200℃まで冷却し、内容物を取り出した。こうして得られたロジンエステル(以下、(A−2)成分という。)の酸価は48mgKOH/g、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるピーク面積の比によって求めたエステル体の含有量が68重量%、遊離樹脂酸の含有量が29重量%、ガスクロマトグラフィー(GC)によるピーク面積の比によって求めたデヒドロアビエチン酸骨格を含む成分の含有量が20重量%であった。
撹拌器、分水器付き還流冷却管および温度計を備えた反応容器にガムロジン1,000部を仕込み、これを窒素雰囲気下に撹拌下しながら200℃まで昇温して溶融させた後に、グリセリン65部および水酸化マグネシウム2部を添加し、攪拌下に270℃まで昇温し、酸価が50mgKOH/gとなるまで反応させた。その後200℃まで冷却し、内容物を取り出した。こうして得られたロジンエステル(以下、(A−2)成分という。)の酸価は48mgKOH/g、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるピーク面積の比によって求めたエステル体の含有量が68重量%、遊離樹脂酸の含有量が29重量%、ガスクロマトグラフィー(GC)によるピーク面積の比によって求めたデヒドロアビエチン酸骨格を含む成分の含有量が20重量%であった。
製造例3
撹拌器、分水器付き還流冷却管および温度計を備えた反応容器にガムロジン1,000部を仕込み、これを窒素雰囲気下に撹拌下しながら200℃まで昇温して溶融させた後に、ペンタエリスリトール62部および水酸化マグネシウム2部を添加し、攪拌下に275℃まで昇温し、酸価が68mgKOH/gとなるまで反応させた。その後200℃まで冷却し、内容物を取り出した。こうして得られたロジンエステル(以下、(A−3)成分という。)の酸価は66mgKOH/g、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるピーク面積の比によって求めたエステル体の含有量が58重量%、遊離樹脂酸の含有量が38重量%、ガスクロマトグラフィー(GC)によるピーク面積の比によって求めたデヒドロアビエチン酸骨格を含む成分の含有量が23重量%であった。
撹拌器、分水器付き還流冷却管および温度計を備えた反応容器にガムロジン1,000部を仕込み、これを窒素雰囲気下に撹拌下しながら200℃まで昇温して溶融させた後に、ペンタエリスリトール62部および水酸化マグネシウム2部を添加し、攪拌下に275℃まで昇温し、酸価が68mgKOH/gとなるまで反応させた。その後200℃まで冷却し、内容物を取り出した。こうして得られたロジンエステル(以下、(A−3)成分という。)の酸価は66mgKOH/g、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるピーク面積の比によって求めたエステル体の含有量が58重量%、遊離樹脂酸の含有量が38重量%、ガスクロマトグラフィー(GC)によるピーク面積の比によって求めたデヒドロアビエチン酸骨格を含む成分の含有量が23重量%であった。
製造例4
撹拌器、分水器付き還流冷却管および温度計を備えた反応容器にガムロジン1,000部を仕込み、これを窒素雰囲気下に撹拌下しながら200℃まで昇温して溶融させた後に、無水マレイン酸10部を添加し、200℃で1時間保温した。その後、ペンタエリスリトール62部および水酸化マグネシウム2部を添加し、攪拌下に275℃まで昇温し、酸価が68mgKOH/gとなるまで反応させた。その後200℃まで冷却し、内容物を取り出した。こうして得られたロジンエステル(以下、(A−4)成分という。)の酸価は67mgKOH/g、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるピーク面積の比によって求めたエステル体の含有量が59重量%、遊離樹脂酸の含有量が37重量%、ガスクロマトグラフィー(GC)によるピーク面積の比によって求めたデヒドロアビエチン酸骨格を含む成分の含有量が25重量%であった。
撹拌器、分水器付き還流冷却管および温度計を備えた反応容器にガムロジン1,000部を仕込み、これを窒素雰囲気下に撹拌下しながら200℃まで昇温して溶融させた後に、無水マレイン酸10部を添加し、200℃で1時間保温した。その後、ペンタエリスリトール62部および水酸化マグネシウム2部を添加し、攪拌下に275℃まで昇温し、酸価が68mgKOH/gとなるまで反応させた。その後200℃まで冷却し、内容物を取り出した。こうして得られたロジンエステル(以下、(A−4)成分という。)の酸価は67mgKOH/g、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるピーク面積の比によって求めたエステル体の含有量が59重量%、遊離樹脂酸の含有量が37重量%、ガスクロマトグラフィー(GC)によるピーク面積の比によって求めたデヒドロアビエチン酸骨格を含む成分の含有量が25重量%であった。
製造例5
撹拌器、分水器付き還流冷却管および温度計を備えた反応容器にガムロジン1,000部を仕込み、これを窒素雰囲気下に撹拌下しながら200℃まで昇温して溶融させた後に、グリセリン84部および水酸化マグネシウム2部を添加し、攪拌下に250℃まで昇温し、酸価が126mgKOH/gとなるまで反応させた。その後200℃まで冷却し、内容物を取り出した。こうして得られたロジンエステル(以下、(A−5)成分という。)の酸価は122mgKOH/g、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるピーク面積の比によって求めたエステル体の含有量が24重量%、遊離樹脂酸の含有量が73重量%、ガスクロマトグラフィー(GC)によるピーク面積の比によって求めたデヒドロアビエチン酸骨格を含む成分の含有量が10重量%であった。
撹拌器、分水器付き還流冷却管および温度計を備えた反応容器にガムロジン1,000部を仕込み、これを窒素雰囲気下に撹拌下しながら200℃まで昇温して溶融させた後に、グリセリン84部および水酸化マグネシウム2部を添加し、攪拌下に250℃まで昇温し、酸価が126mgKOH/gとなるまで反応させた。その後200℃まで冷却し、内容物を取り出した。こうして得られたロジンエステル(以下、(A−5)成分という。)の酸価は122mgKOH/g、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるピーク面積の比によって求めたエステル体の含有量が24重量%、遊離樹脂酸の含有量が73重量%、ガスクロマトグラフィー(GC)によるピーク面積の比によって求めたデヒドロアビエチン酸骨格を含む成分の含有量が10重量%であった。
製造例6
撹拌器、分水器付き還流冷却管および温度計を備えた反応容器にガムロジン1,000部を仕込み、これを窒素雰囲気下に撹拌下しながら200℃まで昇温して溶融させた後に、グリセリン84部および水酸化マグネシウム2部を添加し、攪拌下に250℃まで昇温し、酸価が85mgKOH/gとなるまで反応させた。その後200℃まで冷却し、内容物を取り出した。こうして得られたロジンエステル(以下、(A−6)成分という。)の酸価は81mgKOH/g、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるピーク面積の比によって求めたエステル体の含有量が48重量%、遊離樹脂酸の含有量が49重量%、ガスクロマトグラフィー(GC)によるピーク面積の比によって求めたデヒドロアビエチン酸骨格を含む成分の含有量が17重量%であった。
撹拌器、分水器付き還流冷却管および温度計を備えた反応容器にガムロジン1,000部を仕込み、これを窒素雰囲気下に撹拌下しながら200℃まで昇温して溶融させた後に、グリセリン84部および水酸化マグネシウム2部を添加し、攪拌下に250℃まで昇温し、酸価が85mgKOH/gとなるまで反応させた。その後200℃まで冷却し、内容物を取り出した。こうして得られたロジンエステル(以下、(A−6)成分という。)の酸価は81mgKOH/g、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるピーク面積の比によって求めたエステル体の含有量が48重量%、遊離樹脂酸の含有量が49重量%、ガスクロマトグラフィー(GC)によるピーク面積の比によって求めたデヒドロアビエチン酸骨格を含む成分の含有量が17重量%であった。
製造例7
撹拌器、分水器付き還流冷却管および温度計を備えた反応容器にガムロジン1,000部を仕込み、これを窒素雰囲気下に撹拌下しながら200℃まで昇温して溶融させた後に、グリセリン84部および水酸化マグネシウム2部を添加し、攪拌下に270℃まで昇温し、酸価が35mgKOH/gとなるまで反応させた。その後200℃まで冷却し、内容物を取り出した。こうして得られたロジンエステル(以下、(A−7)成分という。)の酸価は33mgKOH/g、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるピーク面積の比によって求めたエステル体の含有量が74重量%、遊離樹脂酸の含有量が22重量%、ガスクロマトグラフィー(GC)によるピーク面積の比によって求めたデヒドロアビエチン酸骨格を含む成分の含有量が32重量%であった。
撹拌器、分水器付き還流冷却管および温度計を備えた反応容器にガムロジン1,000部を仕込み、これを窒素雰囲気下に撹拌下しながら200℃まで昇温して溶融させた後に、グリセリン84部および水酸化マグネシウム2部を添加し、攪拌下に270℃まで昇温し、酸価が35mgKOH/gとなるまで反応させた。その後200℃まで冷却し、内容物を取り出した。こうして得られたロジンエステル(以下、(A−7)成分という。)の酸価は33mgKOH/g、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるピーク面積の比によって求めたエステル体の含有量が74重量%、遊離樹脂酸の含有量が22重量%、ガスクロマトグラフィー(GC)によるピーク面積の比によって求めたデヒドロアビエチン酸骨格を含む成分の含有量が32重量%であった。
比較製造例1
撹拌器、分水器付き還流冷却管および温度計を備えた反応容器にガムロジン1,000部を仕込み、これを窒素雰囲気下に撹拌下しながら200℃まで昇温して溶融させた後に、グリセリン84部および水酸化マグネシウム2部を添加し、攪拌下に250℃まで昇温し、酸価が148mgKOH/gとなるまで反応させた。その後200℃まで冷却し、内容物を取り出した。こうして得られたロジンエステル(以下、(A−8)成分という。)の酸価は145mgKOH/g、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるピーク面積の比によって求めたエステル体の含有量が12重量%、遊離樹脂酸の含有量が85重量%、ガスクロマトグラフィー(GC)によるピーク面積の比によって求めたデヒドロアビエチン酸骨格を含む成分の含有量が8重量%であった。
撹拌器、分水器付き還流冷却管および温度計を備えた反応容器にガムロジン1,000部を仕込み、これを窒素雰囲気下に撹拌下しながら200℃まで昇温して溶融させた後に、グリセリン84部および水酸化マグネシウム2部を添加し、攪拌下に250℃まで昇温し、酸価が148mgKOH/gとなるまで反応させた。その後200℃まで冷却し、内容物を取り出した。こうして得られたロジンエステル(以下、(A−8)成分という。)の酸価は145mgKOH/g、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるピーク面積の比によって求めたエステル体の含有量が12重量%、遊離樹脂酸の含有量が85重量%、ガスクロマトグラフィー(GC)によるピーク面積の比によって求めたデヒドロアビエチン酸骨格を含む成分の含有量が8重量%であった。
比較製造例2
撹拌器、分水器付き還流冷却管および温度計を備えた反応容器にガムロジン1,000部を仕込み、これを窒素雰囲気下に撹拌下しながら200℃まで昇温して溶融させた後に、グリセリン84部および水酸化マグネシウム2部を添加し、攪拌下に270℃まで昇温し、酸価が15mgKOH/gとなるまで反応させた。その後200℃まで冷却し、内容物を取り出した。こうして得られたロジンエステル(以下、(A−9)成分という。)の酸価は14mgKOH/g、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるピーク面積の比によって求めたエステル体の含有量が87重量%、遊離樹脂酸の含有量が10重量%、ガスクロマトグラフィー(GC)によるピーク面積の比によって求めたデヒドロアビエチン酸骨格を含む成分の含有量が36重量%であった。
撹拌器、分水器付き還流冷却管および温度計を備えた反応容器にガムロジン1,000部を仕込み、これを窒素雰囲気下に撹拌下しながら200℃まで昇温して溶融させた後に、グリセリン84部および水酸化マグネシウム2部を添加し、攪拌下に270℃まで昇温し、酸価が15mgKOH/gとなるまで反応させた。その後200℃まで冷却し、内容物を取り出した。こうして得られたロジンエステル(以下、(A−9)成分という。)の酸価は14mgKOH/g、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるピーク面積の比によって求めたエステル体の含有量が87重量%、遊離樹脂酸の含有量が10重量%、ガスクロマトグラフィー(GC)によるピーク面積の比によって求めたデヒドロアビエチン酸骨格を含む成分の含有量が36重量%であった。
比較製造例3
撹拌器、分水器付き還流冷却管および温度計を備えた反応容器にガムロジン1,000部を仕込み、これを窒素雰囲気下に撹拌下しながら200℃まで昇温して溶融させた後に、グリセリン60部および水酸化マグネシウム2部を添加し、攪拌下に280℃まで昇温し、酸価が50mgKOH/gとなるまで反応させた。その後200℃まで冷却し、内容物を取り出した。こうして得られたロジンエステル(以下、(A−10)成分という。)の酸価は50mgKOH/g、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるピーク面積の比によって求めたエステル体の含有量が63重量%、遊離樹脂酸の含有量が32重量%、ガスクロマトグラフィー(GC)によるピーク面積の比によって求めたデヒドロアビエチン酸骨格を含む成分の含有量が48重量%であった。
撹拌器、分水器付き還流冷却管および温度計を備えた反応容器にガムロジン1,000部を仕込み、これを窒素雰囲気下に撹拌下しながら200℃まで昇温して溶融させた後に、グリセリン60部および水酸化マグネシウム2部を添加し、攪拌下に280℃まで昇温し、酸価が50mgKOH/gとなるまで反応させた。その後200℃まで冷却し、内容物を取り出した。こうして得られたロジンエステル(以下、(A−10)成分という。)の酸価は50mgKOH/g、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるピーク面積の比によって求めたエステル体の含有量が63重量%、遊離樹脂酸の含有量が32重量%、ガスクロマトグラフィー(GC)によるピーク面積の比によって求めたデヒドロアビエチン酸骨格を含む成分の含有量が48重量%であった。
表1中、ガムRoはガムロジンを、Glyはグリセリンを、PEはペンタエリスリトールを、DAA骨格成分はデヒドロアビエチン酸骨格を含む成分を、それぞれ示す。
<(B)成分の製造>
製造例8
撹拌機、分水器付き還流冷却管および温度計を備えた反応容器に、ノニルフェノール1000部、92%パラホルムアルデヒド296部、キシレン545部および水500部を仕込み、撹拌下に50℃まで昇温した。次いで、同反応容器に45%水酸化ナトリウム溶液89部を仕込み、冷却しながら反応系を90℃までで徐々に昇温した後、2時間保温し、更に硫酸を滴下してpHを6付近に調整した。その後、ホルムアルデヒドなどを含んだ水層部を除去し、再度水洗した後に内容物を冷却して、レゾール型ノニルフェノール樹脂の70%キシレン溶液(以下、(B−1)成分という。)を得た。
製造例8
撹拌機、分水器付き還流冷却管および温度計を備えた反応容器に、ノニルフェノール1000部、92%パラホルムアルデヒド296部、キシレン545部および水500部を仕込み、撹拌下に50℃まで昇温した。次いで、同反応容器に45%水酸化ナトリウム溶液89部を仕込み、冷却しながら反応系を90℃までで徐々に昇温した後、2時間保温し、更に硫酸を滴下してpHを6付近に調整した。その後、ホルムアルデヒドなどを含んだ水層部を除去し、再度水洗した後に内容物を冷却して、レゾール型ノニルフェノール樹脂の70%キシレン溶液(以下、(B−1)成分という。)を得た。
製造例9
撹拌機、分水器付き還流冷却管および温度計を備えた反応容器に、オクチルフェノール1000部、92%パラホルムアルデヒド396部、キシレン584部および水500部を仕込み、撹拌下に50℃まで昇温した。次いで、同反応容器に45%水酸化ナトリウム溶液89部を仕込み、冷却しながら反応系を90℃までで徐々に昇温した後、2時間保温し、更に硫酸を滴下してpHを6付近に調整した。その後、ホルムアルデヒドなどを含んだ水層部を除去し、再度水洗した後に内容物を冷却して、レゾール型オクチルフェノール樹脂の70%キシレン溶液(以下、(B−2)成分という。)を得た。
撹拌機、分水器付き還流冷却管および温度計を備えた反応容器に、オクチルフェノール1000部、92%パラホルムアルデヒド396部、キシレン584部および水500部を仕込み、撹拌下に50℃まで昇温した。次いで、同反応容器に45%水酸化ナトリウム溶液89部を仕込み、冷却しながら反応系を90℃までで徐々に昇温した後、2時間保温し、更に硫酸を滴下してpHを6付近に調整した。その後、ホルムアルデヒドなどを含んだ水層部を除去し、再度水洗した後に内容物を冷却して、レゾール型オクチルフェノール樹脂の70%キシレン溶液(以下、(B−2)成分という。)を得た。
<ロジン変性フェノール樹脂の製造>
実施例1
撹拌器、分水器付き還流冷却管および温度計を備えた反応容器に製造例1で得られた(A−1)成分1,000部を仕込み、これを窒素雰囲気下に撹拌下しながら200℃まで昇温して溶融させた後に、製造例8で得られた(B−1)成分857部(固形分600部)を、5時間かけて系内に滴下した。滴下終了後、グリセリン60部を仕込み、220〜260℃の温度範囲内で反応系の酸価が20mgKOH/g以下となるまでエステル化反応を実施した。その後、反応系を0.02MPaで10分間減圧し、冷却することにより、重量平均分子量が350,000、曇点が88℃、33%アマニ油粘度が9.3Pa・s、酸価が18.6mgKOH/gおよび軟化点が166℃のロジン変性フェノール樹脂1,600部を得た。
実施例1
撹拌器、分水器付き還流冷却管および温度計を備えた反応容器に製造例1で得られた(A−1)成分1,000部を仕込み、これを窒素雰囲気下に撹拌下しながら200℃まで昇温して溶融させた後に、製造例8で得られた(B−1)成分857部(固形分600部)を、5時間かけて系内に滴下した。滴下終了後、グリセリン60部を仕込み、220〜260℃の温度範囲内で反応系の酸価が20mgKOH/g以下となるまでエステル化反応を実施した。その後、反応系を0.02MPaで10分間減圧し、冷却することにより、重量平均分子量が350,000、曇点が88℃、33%アマニ油粘度が9.3Pa・s、酸価が18.6mgKOH/gおよび軟化点が166℃のロジン変性フェノール樹脂1,600部を得た。
実施例2
撹拌器、分水器付き還流冷却管および温度計を備えた反応容器に製造例2で得られた(A−2)成分1,000部を仕込み、これを窒素雰囲気下に撹拌下しながら200℃まで昇温して溶融させた後に、製造例9で得られた(B−2)成分857部(固形分600部)を、5時間かけて系内に滴下した。滴下終了後、グリセリン47部を仕込み、220〜260℃の温度範囲内で反応系の酸価が20mgKOH/g以下となるまでエステル化反応を実施した。その後、反応系を0.02MPaで10分間減圧し、冷却することにより、重量平均分子量が290,000、曇点が100℃、33%アマニ油粘度が13.8Pa・s、酸価が17.8mgKOH/gおよび軟化点が173℃のロジン変性フェノール樹脂1,600部を得た。
撹拌器、分水器付き還流冷却管および温度計を備えた反応容器に製造例2で得られた(A−2)成分1,000部を仕込み、これを窒素雰囲気下に撹拌下しながら200℃まで昇温して溶融させた後に、製造例9で得られた(B−2)成分857部(固形分600部)を、5時間かけて系内に滴下した。滴下終了後、グリセリン47部を仕込み、220〜260℃の温度範囲内で反応系の酸価が20mgKOH/g以下となるまでエステル化反応を実施した。その後、反応系を0.02MPaで10分間減圧し、冷却することにより、重量平均分子量が290,000、曇点が100℃、33%アマニ油粘度が13.8Pa・s、酸価が17.8mgKOH/gおよび軟化点が173℃のロジン変性フェノール樹脂1,600部を得た。
実施例3
撹拌器、分水器付き還流冷却管および温度計を備えた反応容器に製造例3で得られた(A−3)成分1,000部を仕込み、これを窒素雰囲気下に撹拌下しながら200℃まで昇温して溶融させた後に、製造例9で得られた(B−2)成分857部(固形分600部)を、5時間かけて系内に滴下した。滴下終了後、グリセリン56部を仕込み、220〜265℃の温度範囲内で反応系の酸価が20mgKOH/g以下となるまでエステル化反応を実施した。その後、反応系を0.02MPaで10分間減圧し、冷却することにより、重量平均分子量が450,000、曇点が95℃、33%アマニ油粘度が12.8Pa・s、酸価が18.0mgKOH/gおよび軟化点が175℃のロジン変性フェノール樹脂1,600部を得た。
撹拌器、分水器付き還流冷却管および温度計を備えた反応容器に製造例3で得られた(A−3)成分1,000部を仕込み、これを窒素雰囲気下に撹拌下しながら200℃まで昇温して溶融させた後に、製造例9で得られた(B−2)成分857部(固形分600部)を、5時間かけて系内に滴下した。滴下終了後、グリセリン56部を仕込み、220〜265℃の温度範囲内で反応系の酸価が20mgKOH/g以下となるまでエステル化反応を実施した。その後、反応系を0.02MPaで10分間減圧し、冷却することにより、重量平均分子量が450,000、曇点が95℃、33%アマニ油粘度が12.8Pa・s、酸価が18.0mgKOH/gおよび軟化点が175℃のロジン変性フェノール樹脂1,600部を得た。
実施例4
撹拌器、分水器付き還流冷却管および温度計を備えた反応容器に製造例4で得られた(A−4)成分1,000部を仕込み、これを窒素雰囲気下に撹拌下しながら200℃まで昇温して溶融させた後に、製造例9で得られた(B−2)成分714部(固形分500部)を、5時間かけて系内に滴下した。滴下終了後、グリセリン56部を仕込み、220〜265℃の温度範囲内で反応系の酸価が20mgKOH/g以下となるまでエステル化反応を実施した。その後、反応系を0.02MPaで10分間減圧し、冷却することにより、重量平均分子量が550,000、曇点が110℃、33%アマニ油粘度が14.1Pa・s、酸価が17.5mgKOH/gおよび軟化点が178℃のロジン変性フェノール樹脂1,500部を得た。
撹拌器、分水器付き還流冷却管および温度計を備えた反応容器に製造例4で得られた(A−4)成分1,000部を仕込み、これを窒素雰囲気下に撹拌下しながら200℃まで昇温して溶融させた後に、製造例9で得られた(B−2)成分714部(固形分500部)を、5時間かけて系内に滴下した。滴下終了後、グリセリン56部を仕込み、220〜265℃の温度範囲内で反応系の酸価が20mgKOH/g以下となるまでエステル化反応を実施した。その後、反応系を0.02MPaで10分間減圧し、冷却することにより、重量平均分子量が550,000、曇点が110℃、33%アマニ油粘度が14.1Pa・s、酸価が17.5mgKOH/gおよび軟化点が178℃のロジン変性フェノール樹脂1,500部を得た。
実施例5
撹拌器、分水器付き還流冷却管および温度計を備えた反応容器に製造例5で得られた(A−5)成分1,000部を仕込み、これを窒素雰囲気下に撹拌下しながら200℃まで昇温して溶融させた後に、製造例8で得られた(B−1)成分857部(固形分600部)を、5時間かけて系内に滴下した。滴下終了後、グリセリン37部を仕込み、220〜260℃の温度範囲内で反応系の酸価が20mgKOH/g以下となるまでエステル化反応を実施した。その後、反応系を0.02MPaで10分間減圧し、冷却することにより、重量平均分子量が236,000、曇点が83℃、33%アマニ油粘度が8.8Pa・s、酸価が19.1mgKOH/gおよび軟化点が164℃のロジン変性フェノール樹脂1,600部を得た。
撹拌器、分水器付き還流冷却管および温度計を備えた反応容器に製造例5で得られた(A−5)成分1,000部を仕込み、これを窒素雰囲気下に撹拌下しながら200℃まで昇温して溶融させた後に、製造例8で得られた(B−1)成分857部(固形分600部)を、5時間かけて系内に滴下した。滴下終了後、グリセリン37部を仕込み、220〜260℃の温度範囲内で反応系の酸価が20mgKOH/g以下となるまでエステル化反応を実施した。その後、反応系を0.02MPaで10分間減圧し、冷却することにより、重量平均分子量が236,000、曇点が83℃、33%アマニ油粘度が8.8Pa・s、酸価が19.1mgKOH/gおよび軟化点が164℃のロジン変性フェノール樹脂1,600部を得た。
実施例6
撹拌器、分水器付き還流冷却管および温度計を備えた反応容器に製造例6で得られた(A−6)成分1,000部を仕込み、これを窒素雰囲気下に撹拌下しながら200℃まで昇温して溶融させた後に、製造例8で得られた(B−1)成分857部(固形分600部)を、5時間かけて系内に滴下した。滴下終了後、グリセリン37部を仕込み、220〜260℃の温度範囲内で反応系の酸価が20mgKOH/g以下となるまでエステル化反応を実施した。その後、反応系を0.02MPaで10分間減圧し、冷却することにより、重量平均分子量が348,000、曇点が79℃、33%アマニ油粘度が9.5Pa・s、酸価が18.0mgKOH/gおよび軟化点が167℃のロジン変性フェノール樹脂1,600部を得た。
撹拌器、分水器付き還流冷却管および温度計を備えた反応容器に製造例6で得られた(A−6)成分1,000部を仕込み、これを窒素雰囲気下に撹拌下しながら200℃まで昇温して溶融させた後に、製造例8で得られた(B−1)成分857部(固形分600部)を、5時間かけて系内に滴下した。滴下終了後、グリセリン37部を仕込み、220〜260℃の温度範囲内で反応系の酸価が20mgKOH/g以下となるまでエステル化反応を実施した。その後、反応系を0.02MPaで10分間減圧し、冷却することにより、重量平均分子量が348,000、曇点が79℃、33%アマニ油粘度が9.5Pa・s、酸価が18.0mgKOH/gおよび軟化点が167℃のロジン変性フェノール樹脂1,600部を得た。
実施例7
撹拌器、分水器付き還流冷却管および温度計を備えた反応容器に製造例7で得られた(A−7)成分1,000部を仕込み、これを窒素雰囲気下に撹拌下しながら200℃まで昇温して溶融させた後に、製造例8で得られた(B−1)成分857部(固形分600部)を、5時間かけて系内に滴下した。滴下終了後、グリセリン37部を仕込み、220〜260℃の温度範囲内で反応系の酸価が20mgKOH/g以下となるまでエステル化反応を実施した。その後、反応系を0.02MPaで10分間減圧し、冷却することにより、重量平均分子量が213,000、曇点が75℃、33%アマニ油粘度が8.5Pa・s、酸価が18.4mgKOH/gおよび軟化点が164℃のロジン変性フェノール樹脂1,600部を得た。
撹拌器、分水器付き還流冷却管および温度計を備えた反応容器に製造例7で得られた(A−7)成分1,000部を仕込み、これを窒素雰囲気下に撹拌下しながら200℃まで昇温して溶融させた後に、製造例8で得られた(B−1)成分857部(固形分600部)を、5時間かけて系内に滴下した。滴下終了後、グリセリン37部を仕込み、220〜260℃の温度範囲内で反応系の酸価が20mgKOH/g以下となるまでエステル化反応を実施した。その後、反応系を0.02MPaで10分間減圧し、冷却することにより、重量平均分子量が213,000、曇点が75℃、33%アマニ油粘度が8.5Pa・s、酸価が18.4mgKOH/gおよび軟化点が164℃のロジン変性フェノール樹脂1,600部を得た。
比較例1
撹拌器、分水器付き還流冷却管および温度計を備えた反応容器にガムロジン1,000部を仕込み、これを窒素雰囲気下に撹拌下しながら220℃まで昇温して溶融させた後に、製造例8で得られた(B−1)成分857部(固形分600部)を、5時間かけて系内に滴下した。滴下終了後、グリセリン120部および水酸化マグネシウム2部を添加し、220〜260℃の温度範囲内で反応系の酸価が20mgKOH/g以下となるまでエステル化反応を実施した。その後、反応系を0.02MPaで10分間減圧し、冷却することにより、重量平均分子量が98,000、曇点が85℃、33%アマニ油粘度が8.8Pa・s、酸価が18.8mgKOH/gおよび軟化点が164℃のロジン変性フェノール樹脂1,600部を得た。
撹拌器、分水器付き還流冷却管および温度計を備えた反応容器にガムロジン1,000部を仕込み、これを窒素雰囲気下に撹拌下しながら220℃まで昇温して溶融させた後に、製造例8で得られた(B−1)成分857部(固形分600部)を、5時間かけて系内に滴下した。滴下終了後、グリセリン120部および水酸化マグネシウム2部を添加し、220〜260℃の温度範囲内で反応系の酸価が20mgKOH/g以下となるまでエステル化反応を実施した。その後、反応系を0.02MPaで10分間減圧し、冷却することにより、重量平均分子量が98,000、曇点が85℃、33%アマニ油粘度が8.8Pa・s、酸価が18.8mgKOH/gおよび軟化点が164℃のロジン変性フェノール樹脂1,600部を得た。
比較例2
撹拌器、分水器付き還流冷却管および温度計を備えた反応容器にガムロジン1,000部を仕込み、これを窒素雰囲気下に撹拌下しながら220℃まで昇温して溶融させた後に、製造例9で得られた(B−2)成分857部(固形分600部)を、5時間かけて系内に滴下した。滴下終了後、グリセリン112部および水酸化マグネシウム2部を添加し、220〜260℃の温度範囲内で反応系の酸価が20mgKOH/g以下となるまでエステル化反応を実施した。その後、反応系を0.02MPaで10分間減圧し、冷却することにより、重量平均分子量が93,000、曇点が100℃、33%アマニ油粘度が13.5Pa・s、酸価が18.5mgKOH/gおよび軟化点が172℃のロジン変性フェノール樹脂1,600部を得た。
撹拌器、分水器付き還流冷却管および温度計を備えた反応容器にガムロジン1,000部を仕込み、これを窒素雰囲気下に撹拌下しながら220℃まで昇温して溶融させた後に、製造例9で得られた(B−2)成分857部(固形分600部)を、5時間かけて系内に滴下した。滴下終了後、グリセリン112部および水酸化マグネシウム2部を添加し、220〜260℃の温度範囲内で反応系の酸価が20mgKOH/g以下となるまでエステル化反応を実施した。その後、反応系を0.02MPaで10分間減圧し、冷却することにより、重量平均分子量が93,000、曇点が100℃、33%アマニ油粘度が13.5Pa・s、酸価が18.5mgKOH/gおよび軟化点が172℃のロジン変性フェノール樹脂1,600部を得た。
比較例3
撹拌器、分水器付き還流冷却管および温度計を備えた反応容器にガムロジン1,000部を仕込み、これを窒素雰囲気下に撹拌下しながら220℃まで昇温して溶融させた後に、製造例9で得られた(B−2)成分857部(固形分600部)を、5時間かけて系内に滴下した。滴下終了後、ペンタエリスリトール62部、グリセリン56部および水酸化マグネシウム2部を添加し、220〜270℃の温度範囲内で反応系の酸価が20mgKOH/g以下となるまでエステル化反応を実施した。た。その後、反応系を0.02MPaで10分間減圧し、冷却することにより、重量平均分子量が122,000、曇点が91℃、33%アマニ油粘度が12.1Pa・s、酸価が18.6mgKOH/gおよび軟化点が174℃のロジン変性フェノール樹脂1,600部を得た。
撹拌器、分水器付き還流冷却管および温度計を備えた反応容器にガムロジン1,000部を仕込み、これを窒素雰囲気下に撹拌下しながら220℃まで昇温して溶融させた後に、製造例9で得られた(B−2)成分857部(固形分600部)を、5時間かけて系内に滴下した。滴下終了後、ペンタエリスリトール62部、グリセリン56部および水酸化マグネシウム2部を添加し、220〜270℃の温度範囲内で反応系の酸価が20mgKOH/g以下となるまでエステル化反応を実施した。た。その後、反応系を0.02MPaで10分間減圧し、冷却することにより、重量平均分子量が122,000、曇点が91℃、33%アマニ油粘度が12.1Pa・s、酸価が18.6mgKOH/gおよび軟化点が174℃のロジン変性フェノール樹脂1,600部を得た。
比較例4
撹拌器、分水器付き還流冷却管および温度計を備えた反応容器にガムロジン1,000部を仕込み、これを窒素雰囲気下に撹拌下しながら200℃まで昇温して溶融させた後に、無水マレイン酸10部を添加し、200℃で1時間保温した。その後、220℃まで昇温し、製造例9で得られた(B−2)成分714部(固形分500部)を、5時間かけて系内に滴下した。滴下終了後、ペンタエリスリトール62部、グリセリン56部および水酸化マグネシウム2部を添加し、220〜270℃の温度範囲内で反応系の酸価が20mgKOH/g以下となるまでエステル化反応を実施した。た。その後、反応系を0.02MPaで10分間減圧し、冷却することにより、重量平均分子量が150,000、曇点が105℃、33%アマニ油粘度が12.5Pa・s、酸価が18.2mgKOH/gおよび軟化点が175℃のロジン変性フェノール樹脂1,500部を得た。
撹拌器、分水器付き還流冷却管および温度計を備えた反応容器にガムロジン1,000部を仕込み、これを窒素雰囲気下に撹拌下しながら200℃まで昇温して溶融させた後に、無水マレイン酸10部を添加し、200℃で1時間保温した。その後、220℃まで昇温し、製造例9で得られた(B−2)成分714部(固形分500部)を、5時間かけて系内に滴下した。滴下終了後、ペンタエリスリトール62部、グリセリン56部および水酸化マグネシウム2部を添加し、220〜270℃の温度範囲内で反応系の酸価が20mgKOH/g以下となるまでエステル化反応を実施した。た。その後、反応系を0.02MPaで10分間減圧し、冷却することにより、重量平均分子量が150,000、曇点が105℃、33%アマニ油粘度が12.5Pa・s、酸価が18.2mgKOH/gおよび軟化点が175℃のロジン変性フェノール樹脂1,500部を得た。
比較例5
撹拌器、分水器付き還流冷却管および温度計を備えた反応容器に比較製造例1で得られた(A−8)成分1,000部を仕込み、これを窒素雰囲気下に撹拌下しながら200℃まで昇温して溶融させた後に、製造例8で得られた(B−1)成分857部(固形分600部)を、5時間かけて系内に滴下した。滴下終了後、グリセリン37部を仕込み、220〜260℃の温度範囲内で反応系の酸価が20mgKOH/g以下となるまでエステル化反応を実施した。その後、反応系を0.02MPaで10分間減圧し、冷却することにより、重量平均分子量が137,000、曇点が87℃、33%アマニ油粘度が8.2Pa・s、酸価が19.6mgKOH/gおよび軟化点が166℃のロジン変性フェノール樹脂1,600部を得た。
撹拌器、分水器付き還流冷却管および温度計を備えた反応容器に比較製造例1で得られた(A−8)成分1,000部を仕込み、これを窒素雰囲気下に撹拌下しながら200℃まで昇温して溶融させた後に、製造例8で得られた(B−1)成分857部(固形分600部)を、5時間かけて系内に滴下した。滴下終了後、グリセリン37部を仕込み、220〜260℃の温度範囲内で反応系の酸価が20mgKOH/g以下となるまでエステル化反応を実施した。その後、反応系を0.02MPaで10分間減圧し、冷却することにより、重量平均分子量が137,000、曇点が87℃、33%アマニ油粘度が8.2Pa・s、酸価が19.6mgKOH/gおよび軟化点が166℃のロジン変性フェノール樹脂1,600部を得た。
比較例6
撹拌器、分水器付き還流冷却管および温度計を備えた反応容器に比較製造例2で得られた(A−9)成分1,000部を仕込み、これを窒素雰囲気下に撹拌下しながら200℃まで昇温して溶融させた後に、製造例8で得られた(B−1)成分857部(固形分600部)を、5時間かけて系内に滴下した。滴下終了後、グリセリン37部を仕込み、220〜260℃の温度範囲内で反応系の酸価が20mgKOH/g以下となるまでエステル化反応を実施した。その後、反応系を0.02MPaで10分間減圧し、冷却することにより、重量平均分子量が125,000、曇点が74℃、33%アマニ油粘度が8.0Pa・s、酸価が18.6mgKOH/gおよび軟化点が162℃のロジン変性フェノール樹脂1,600部を得た。
撹拌器、分水器付き還流冷却管および温度計を備えた反応容器に比較製造例2で得られた(A−9)成分1,000部を仕込み、これを窒素雰囲気下に撹拌下しながら200℃まで昇温して溶融させた後に、製造例8で得られた(B−1)成分857部(固形分600部)を、5時間かけて系内に滴下した。滴下終了後、グリセリン37部を仕込み、220〜260℃の温度範囲内で反応系の酸価が20mgKOH/g以下となるまでエステル化反応を実施した。その後、反応系を0.02MPaで10分間減圧し、冷却することにより、重量平均分子量が125,000、曇点が74℃、33%アマニ油粘度が8.0Pa・s、酸価が18.6mgKOH/gおよび軟化点が162℃のロジン変性フェノール樹脂1,600部を得た。
比較例7
撹拌器、分水器付き還流冷却管および温度計を備えた反応容器に比較製造例3で得られた(A−10)成分1,000部を仕込み、これを窒素雰囲気下に撹拌下しながら200℃まで昇温して溶融させた後に、製造例8で得られた(B−1)成分857部(固形分600部)を、5時間かけて系内に滴下した。滴下終了後、グリセリン60部を仕込み、220〜260℃の温度範囲内で反応系の酸価が20mgKOH/g以下となるまでエステル化反応を実施した。その後、反応系を0.02MPaで10分間減圧し、冷却することにより、重量平均分子量が158,000、曇点が82℃、33%アマニ油粘度が8.4Pa・s、酸価が18.0mgKOH/gおよび軟化点が165℃のロジン変性フェノール樹脂1,600部を得た。
撹拌器、分水器付き還流冷却管および温度計を備えた反応容器に比較製造例3で得られた(A−10)成分1,000部を仕込み、これを窒素雰囲気下に撹拌下しながら200℃まで昇温して溶融させた後に、製造例8で得られた(B−1)成分857部(固形分600部)を、5時間かけて系内に滴下した。滴下終了後、グリセリン60部を仕込み、220〜260℃の温度範囲内で反応系の酸価が20mgKOH/g以下となるまでエステル化反応を実施した。その後、反応系を0.02MPaで10分間減圧し、冷却することにより、重量平均分子量が158,000、曇点が82℃、33%アマニ油粘度が8.4Pa・s、酸価が18.0mgKOH/gおよび軟化点が165℃のロジン変性フェノール樹脂1,600部を得た。
<ゲルワニスの調製>
実施例1のロジン変性フェノール樹脂45.0部、アマニ油10.0部およびAFソルベント7号(JX日鉱日石エネルギー(株)製、沸点範囲259〜282℃、芳香族炭化水素含有率0%)44.0部を200℃で30分間混合溶解した。次にこれを80℃まで冷却した後、アルミニウムジプロポキシドモノアセチルアセテート(商品名ケロープEP−2、ホープ製薬(株)製)0.8部を加え、200℃まで加熱して1時間ゲル化反応させることにより、ゲルワニスを得た。他の実施例および比較例1〜7のロジン変性フェノール樹脂についても同様にしてゲルワニスを調製した。
実施例1のロジン変性フェノール樹脂45.0部、アマニ油10.0部およびAFソルベント7号(JX日鉱日石エネルギー(株)製、沸点範囲259〜282℃、芳香族炭化水素含有率0%)44.0部を200℃で30分間混合溶解した。次にこれを80℃まで冷却した後、アルミニウムジプロポキシドモノアセチルアセテート(商品名ケロープEP−2、ホープ製薬(株)製)0.8部を加え、200℃まで加熱して1時間ゲル化反応させることにより、ゲルワニスを得た。他の実施例および比較例1〜7のロジン変性フェノール樹脂についても同様にしてゲルワニスを調製した。
<印刷インキの調製およびインキ性能試験>
前記実施例および比較例のゲルワニスを用い、以下の配合割合で3本ロールミルにより練肉し、25℃におけるC&P粘度が25±5Pa・s、25℃におけるスプレッドメーターのフロー値(直径値)が36.0±1.0となるような印刷インキを調製した。
フタロシアニンブルー(藍顔料) 18重量部
ゲルワニス 63〜71重量部
AFソルベント7号 11〜19重量部
前記実施例および比較例のゲルワニスを用い、以下の配合割合で3本ロールミルにより練肉し、25℃におけるC&P粘度が25±5Pa・s、25℃におけるスプレッドメーターのフロー値(直径値)が36.0±1.0となるような印刷インキを調製した。
フタロシアニンブルー(藍顔料) 18重量部
ゲルワニス 63〜71重量部
AFソルベント7号 11〜19重量部
(光沢)
インキ0.4mlをRIテスター(石川島産業機械(株)製)にてアート紙に展色した後、23℃、50%R.H.にて24時間調湿し、60°−60°の反射率を光沢計により測定した。数値が大きいほど光沢に優れる。
インキ0.4mlをRIテスター(石川島産業機械(株)製)にてアート紙に展色した後、23℃、50%R.H.にて24時間調湿し、60°−60°の反射率を光沢計により測定した。数値が大きいほど光沢に優れる。
(乾燥性)
インキ0.4mlをRIテスター(石川島産業機械(株)製)にてアート紙に展色した後、160℃の雰囲気中に2秒、4秒、6秒間それぞれ暴露し、指触によりべたつきのない状態を乾燥として判断した。評価は1〜5段階で行い、数値が小さいほど乾燥性が良好である。
インキ0.4mlをRIテスター(石川島産業機械(株)製)にてアート紙に展色した後、160℃の雰囲気中に2秒、4秒、6秒間それぞれ暴露し、指触によりべたつきのない状態を乾燥として判断した。評価は1〜5段階で行い、数値が小さいほど乾燥性が良好である。
(ミスチング)
インキ2.6mlをインコメーター((株)東洋精機製作所製)上に展開し、ロール温度30℃、400rpmで1分間、更に1800rpmで2分間回転させ、ロール直下に置いた白色紙上へのインキの飛散度を観察して1〜5段階で評価を行った。数値が大きいほど耐ミスチング性が良好である。
インキ2.6mlをインコメーター((株)東洋精機製作所製)上に展開し、ロール温度30℃、400rpmで1分間、更に1800rpmで2分間回転させ、ロール直下に置いた白色紙上へのインキの飛散度を観察して1〜5段階で評価を行った。数値が大きいほど耐ミスチング性が良好である。
(流動性)
25℃に空調した室内で、地平面と60℃の角度をなすガラス板の上端にインキ1.3mlを置き、30分間に流動した距離を測定した。数値が大きいほど流動性が良好である。
25℃に空調した室内で、地平面と60℃の角度をなすガラス板の上端にインキ1.3mlを置き、30分間に流動した距離を測定した。数値が大きいほど流動性が良好である。
Claims (10)
- ロジン類(a1)及びポリオール(a2)を原料とし、かつ、下記要件(α1)、要件(α2)及び要件(α3)を満たすロジンエステル(A)と、アルキルフェノール−ホルムアルデヒド縮合物(B)の反応物(1)と、ポリオール(2)との反応物である、オフセット印刷インキ用ロジン変性フェノール樹脂。
(α1):(A)成分中、エステル体の含有量が20〜80重量%であり、かつ、遊離樹脂酸の含有量が80〜20重量%である
(α2):(A)成分中、デヒドロアビエチン酸骨格を含む成分の含有量が40重量%未満である
(α3):(A)成分の酸価が30〜140mgKOH/gである - (a1)成分が、ガムロジン、トール油ロジン、及びウッドロジンからなる群より選ばれる少なくとも一種を含む、請求項1のロジン変性フェノール樹脂。
- (A)成分が、更にα,β不飽和カルボン酸類(a3)を原料とするものである、請求項1又は2のロジン変性フェノール樹脂。
- (B)成分が、炭素数10未満のアルキル基を有するフェノールとホルムアルデヒドとの縮合物を含む、請求項1〜3のいずれかのロジン変性フェノール樹脂。
- 重量平均分子量が100,000〜1,000,000である、請求項1〜4のいずれかのロジン変性フェノール樹脂。
- 芳香族含有量が1%未満であり且つアニリン点が70〜100℃の脂肪族炭化水素溶剤の10重量%溶液とした場合における曇点が40〜160℃である、請求項1〜5のいずれかのロジン変性フェノール樹脂。
- 請求項1〜6のいずれかのロジン変性フェノール樹脂と非芳香族系溶剤とを含む、オフセット印刷インキ用ワニス。
- 非芳香族系溶剤が、脂肪族炭化水素溶剤及び/又は植物油類を含む、請求項7のオフセット印刷インキ用ワニス。
- さらに、ゲル化剤を含む、請求項7又は8のオフセット印刷インキ用ワニス。
- 請求項7〜9のいずれかのオフセット印刷インキ用ワニスと顔料とを含むオフセット印刷インキ。
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