JP2004137442A - ロジン変性フェノール樹脂 - Google Patents
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Abstract
【課題】印刷時における光沢や耐ミスチング性等の性能を損なうことなく、乳化速度の速いオフセット印刷インキ用樹脂を提供する。
【解決手段】ロジン類(イ)、レゾール型フェノール樹脂(ロ)、及び多価アルコール(ハ)を反応させて得られる、アルカリ及び/又はアルカリ土類金属の含有量が200ppm以下であるロジン変性フェノール樹脂。
【選択図】 なし
【解決手段】ロジン類(イ)、レゾール型フェノール樹脂(ロ)、及び多価アルコール(ハ)を反応させて得られる、アルカリ及び/又はアルカリ土類金属の含有量が200ppm以下であるロジン変性フェノール樹脂。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、ロジン変性フェノール樹脂に関する。本発明により得られたロジン変性フェノール樹脂は、印刷インキ用樹脂、殊にオフセット印刷インキ用樹脂として有用である。
【0002】
【従来の技術】
オフセット印刷では、まず刷版の画線部に対応する部分を親油性、非画線部を親水性とし、湿し水を使用して非画線部を覆い、画線部に油性インキを転移させ、次いでブランケット、被印刷体にそのインキを転移させて印刷される。インキは、水着けローラにより供給される湿し水によりロール間で乳化作用を受けるが、湿し水の乳化速度の速いインキのほうが良好な印刷物を得られるとされ、そのようなインキが求められてきた。即ち、印刷ロール上にあるインキに湿し水が混入して行くとインキの粘弾性が変化するが、乳化速度の速いインキのほうが早い段階で粘弾性が安定化するので、インキ転移性の変動幅が小さく、結果として良好な印刷物が得られると考えられてきた。なお、湿し水乳化速度の速い/遅いことによる印刷品質への影響は、湿し水の供給量を変動させた場合に顕著に現れる現象である。オフセット印刷インキ用樹脂のロジン変性フェノール樹脂は従来から、各種反応触媒を用いて合成されてきた。こうしたロジン変性フェノール樹脂の設計において、樹脂中の反応触媒由来の金属種及びその含有量がオフセット印刷時におけるインキの乳化率や乳化速度に影響するので、樹脂中の金属種及びその含有量の調整が設計の要点の一つになっている。樹脂中に含有する金属は、エステル化反応触媒として使用するマグネシウム、カルシウム、亜鉛、アルミニウム、及びチタニウム等の金属化合物に由来するものや、レゾール型フェノール樹脂の反応触媒として使用するナトリウム、カリウム、及びカルシウム金属等の水酸化物に由来するものがある。特開平3−259910号公報、特開平11−286529号公報、及び特開2002−173634号公報にみられる技術は、樹脂中に金属(例えば、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、バリウム、アルミニウム等)を含有させて高粘度化したロジン変性フェノール樹脂をインキに使用することで、耐ミスチング性、セット、及び光沢等が良好な高速印刷適性に優れるインキを提案している。しかしながら、これらの技術は樹脂に金属化合物を配合することを特徴とするが、乳化速度の向上を意図したものではなく、乳化速度を向上できる技術が待望されている状況にあった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、乳化速度の速いロジン変性フェノール樹脂を提供することを目的とする。
【0004】
【問題点を解決するための手段】
本発明者らは、この状況に鑑み、ロジン変性フェノール樹脂中のアルカリ及び/又はアルカリ土類金属の含有量に着目して鋭意検討を重ねた。その結果、ロジン変性フェノール樹脂中のアルカリ及び/又はアルカリ土類金属の含有量を200ppm以下とすることで、インキの乳化速度が極端に速くなることを見出した。即ち、本発明は、ロジン類(イ)、レゾール型フェノール樹脂(ロ)、及び多価アルコール(ハ)を反応させて得られる、アルカリ及び/又はアルカリ土類金属の含有量が200ppm以下であるロジン変性フェノール樹脂に関する。
【0005】
本発明においてロジン類(イ)は、ガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジン、重合ロジン、不均化ロジン、水素添加ロジン等が挙げられる。また、必要に応じて、これらロジン類にマレイン酸、フマル酸等の不飽和ニ塩基酸を付加して使用することもできる。
【0006】
本発明においてレゾール型フェノール樹脂(ロ)を構成するフェノール類は、従来公知のものが用いられるが、例えば石炭酸、クレゾール、ビスフェノールA、p−ブチルフェノール、p−オクチルフェノール、p−ノニルフェノール、p−ドデシルフェノール等が挙げられる。レゾール型フェノール樹脂(ロ)は、フェノール類1モルに対して、ホルムアルデヒド1.5〜3モルの割合で混合し、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等のアルカリ及び/又はアルカリ土類金属触媒存在下で縮合重合して得られる。必要に応じて、反応後にアルカリ及び/又はアルカリ土類金属触媒を中和洗浄する。なお、レゾール型フェノール樹脂(ロ)は、ロジン類(イ)100質量部に対して20〜120質量部、好ましくは40〜100質量部とするのが望ましく、この範囲内であれば樹脂の軟化点及び重量平均分子量を所期の範囲に納めることが容易である。このようにして得られるロジン変性フェノール樹脂中のアルカリ及び/又はアルカリ土類金属の含有量は、200ppm以下である必要がある。この含有量が200ppmを超えると、インキの乳化速度が遅くなる。
【0007】
本発明において使用する多価アルコール(ハ)は、従来公知のものが用いられるが、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、ブタンジオール、2−メチルペンタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ジメチロールプロピオン酸、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスルトールなどを挙げることができる。なお、多価アルコール(ハ)は、ロジン類(イ)100質量部に対して、5〜15質量部とするのが望ましく、この範囲内であれば樹脂の軟化点及び重量平均分子量を所期の範囲に納めることが容易である。
【0008】
本発明において樹脂の軟化点は、120〜220℃であることが望ましい。軟化点が120℃を下回ると、印刷時におけるインキのセット、乾燥性が劣るようになる。また、軟化点が220℃を超えると、インキ用ワニスの調製が困難となる。なお、本発明における軟化点の測定方法は、JIS K2207記載の環球法に従うものとする。
【0009】
本発明において樹脂の重量平均分子量は20000〜300000であることが望ましい。重量平均分子量が20000未満ではインキ用ワニスに必要な弾性が得難く、印刷時における耐ミスチングに劣る。一方300000以上ではインキ用ワニスに必要な粘性が得難く、インキの流動性に劣る。なお、本発明における重量平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー法で測定したもので、単分散の標準ポリスチレンの分子量に換算した値である。
【0010】
本発明におけるロジン変性フェノール樹脂は、ロジン類(イ)、レゾール型フェノール樹脂(ロ)、及び多価アルコール(ハ)の他に、所望に応じて例えば不飽和ニ塩基酸、植物油、重合植物油、植物油脂肪酸、植物油脂肪酸のエステル、アルキド樹脂、石油樹脂などを加えて反応させ、軟化点、分子量、溶解性、粘度などを調整することも可能である。
【0011】
本発明におけるロジン変性フェノール樹脂の反応条件は、従来公知の製造方法を採用することができる。例えば、ロジン類(イ)、レゾール型フェノール樹脂(ロ)をまず反応させ、次いでその反応物と多価アルコール(ハ)をエステル化反応させて製造する方法、あるいは、ロジン類(イ)、及び多価アルコール(ハ)をまずエステル化反応させ、次いでその反応物とレゾール型フェノール樹脂(ロ)を反応させて製造する方法等のいずれの方法も採用できる。
【0012】
前者の方法の場合は、ロジン類(イ)を150〜250℃に加熱溶融し、そこにレゾール型フェノール樹脂(ロ)を滴下反応させた後、多価アルコール(ハ)を反応器に仕込み、温度200〜280℃でエステル化反応させる。後者の場合は、ロジン類(イ)、及び多価アルコール(ハ)を反応器に仕込み、温度200〜280℃でエステル化反応させ、次いでこの反応物にレゾール型フェノール樹脂(ロ)を150〜250℃で滴下反応させる。なお、エステル化反応触媒としては、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、アルミニウム、及びチタニウム等の金属の水酸化物、酸化物、酢酸塩、蟻酸塩、シュウ酸塩、塩化物等を用いることができる。
【0013】
【実施例】
以下、実施例によって本発明を詳細に説明する。なお、仕込みの部は質量部を表す。
【0014】
合成例1
撹拌機、冷却器付き反応容器中にp−オクチルフェノール400部、92%パラホルムアルデヒド130部、及び水酸化カルシウム0.1部を仕込み、90℃に加熱し5時間反応してレゾール型フェノール樹脂を得た。
【0015】
合成例2
撹拌機、冷却器付き反応容器中にp−オクチルフェノール400部、92%パラホルムアルデヒド130部、及び水酸化ナトリウム0.2部を仕込み、90℃に加熱し5時間反応してレゾール型フェノール樹脂を得た。
【0016】
合成例3
撹拌機、冷却器付き反応容器中にp−オクチルフェノール400部、92%パラホルムアルデヒド130部、及び水酸化ナトリウム0.4部を仕込み、90℃に加熱し5時間反応してレゾール型フェノール樹脂を得た。
【0017】
合成例4
撹拌機、冷却器付き反応容器中にp−オクチルフェノール400部、92%パラホルムアルデヒド130部、及び水酸化ナトリウム0.5部を仕込み、90℃に加熱し5時間反応してレゾール型フェノール樹脂を得た。
【0018】
合成例5
撹拌機、冷却器付き反応容器中にp−オクチルフェノール400部、92%パラホルムアルデヒド130部、及び水酸化ナトリウム1部を仕込み、90℃に加熱し5時間反応してレゾール型フェノール樹脂を得た。
【0019】
実施例1
撹拌機、水分離器付き反応容器中に中国産ガムロジン800部を仕込み、窒素ガスを吹き込みながら加熱撹拌し230℃にて合成例1で合成したレゾール型フェノール樹脂500部を滴下反応する。その後グリセリン70部、酸化亜鉛1部を仕込み260℃で8時間反応した。得られたロジン変性フェノール樹脂は軟化点172℃、酸価16mgKOH/g、水酸基価75mgKOH/g、AF7号ソルベント(新日本石油(株)製)溶解性3.5倍、重量平均分子量60000で、樹脂中のカルシウム金属含有量は50ppmである。
【0020】
実施例2
実施例1で使用した合成例1のレゾール型フェノール樹脂を合成例2のレゾール型フェノール樹脂に置き換えた他は、実施例1と同様に合成した。得られたロジン変性フェノール樹脂は軟化点170℃、酸価17mgKOH/g、水酸基価76mgKOH/g、AF7号ソルベント溶解性3.3倍、重量平均分子量70000で、樹脂中のナトリウム金属含有量は100ppmである。
【0021】
実施例3
実施例1で使用した合成例1のレゾール型フェノール樹脂を合成例3のレゾール型フェノール樹脂に置き換えた他は、実施例1と同様に合成した。得られたロジン変性フェノール樹脂は軟化点170℃、酸価16mgKOH/g、水酸基価77mgKOH/g、AF7号ソルベント溶解性3.4倍、重量平均分子量71000で、樹脂中のナトリウム金属含有量は190ppmである。
【0022】
比較例1
実施例1で使用した合成例1のレゾール型フェノール樹脂を合成例4のレゾール型フェノール樹脂に置き換えた他は、実施例1と同様に合成した。得られたロジン変性フェノール樹脂は軟化点171℃、酸価15mgKOH/g、水酸基価77mgKOH/g、AF7号ソルベント溶解性3.4倍、重量平均分子量67000で、樹脂中のナトリウム金属含有量は250ppmである。
【0023】
比較例2
実施例1で使用した合成例1のレゾール型フェノール樹脂を合成例5のレゾール型フェノール樹脂に置き換えた他は、実施例1と同様に合成した。得られたロジン変性フェノール樹脂は軟化点171℃、酸価17mgKOH/g、水酸基価78mgKOH/g、AF7号ソルベント溶解性3.4倍、重量平均分子量64000で、樹脂中のナトリウム金属含有量は500ppmである。
【0024】
得られた各々の樹脂について樹脂40部、大豆油20部、AF7号ソルベント40部を反応容器に仕込み、窒素ガスを吹き込みながら撹拌昇温して200℃で1時間保温しワニスを得た。これを100℃まで冷却したところでゲル化剤としてALCH−50(川研ファインケミカル(株)製)1部を添加し、180℃まで昇温の後1時間保温しゲルワニスを得た。
【0025】
次にゲルワニス60部にカーミン6B(大日本インキ化学工業(株)製)18部を三本ロールミルで練肉し、更にタックが6〜7、フローが25〜28になるよう各々のゲルワニス及びAF7号ソルベントで調整して試験用紅インキを得た。
【0026】
表1に各インキの性状と評価結果を示す。なおタック及びフローはそれぞれデジタルインコメーター((株)東洋精機製作所製)、平行板粘度計((株)東洋精機製作所製)を用いて測定した。
【0027】
【表1】
【0028】
表1のインキ性能評価は以下のように行った。
【0029】
光沢:インキ0.3ccをRIテスター(明製作所社製)でアート紙に展色した後、熱風乾燥機中120℃、5秒で乾燥させ、室温で24時間経過した時点で光沢計(ガードナー社製)を用いて60°鏡面反射率を測定した。
【0030】
乳化速度:インキ・水乳化試験機(デュークカスタムシステム社製)を用い、インキ50gとイオン交換水100gを10分間ミキシングした後、余剰の水を取出して乳化した水量を測定し、次式により乳化速度を算出した。
乳化速度(g/min)=乳化した水量(g)/10(min)
【0031】
乳化率:リソトロニック(ノボコントロール社製)を用い、25gのインキにイオン交換水を2ml/minの速度で滴下して、飽和したところでの乳化率を測定した。
【0032】
ミスチング量:インキ1.3ccをデジタルインコメーター((株)東洋精機製作所製)1分当り2000回転で1分間回転させた時にロール下方に飛散したミストの量を精秤した。
【0033】
表1から、本発明により得られたロジン変性フェノール樹脂は、比較例に比べ、インキの乳化速度が速く、その他の諸性能は同等である。
【0034】
【発明の効果】
本発明により得られるロジン変性フェノール樹脂をオフセット印刷インキに使用すると、印刷時における光沢や耐ミスチング性等の性能を損なうことなく、乳化速度の速いインキを得ることができる。
【産業上の利用分野】
本発明は、ロジン変性フェノール樹脂に関する。本発明により得られたロジン変性フェノール樹脂は、印刷インキ用樹脂、殊にオフセット印刷インキ用樹脂として有用である。
【0002】
【従来の技術】
オフセット印刷では、まず刷版の画線部に対応する部分を親油性、非画線部を親水性とし、湿し水を使用して非画線部を覆い、画線部に油性インキを転移させ、次いでブランケット、被印刷体にそのインキを転移させて印刷される。インキは、水着けローラにより供給される湿し水によりロール間で乳化作用を受けるが、湿し水の乳化速度の速いインキのほうが良好な印刷物を得られるとされ、そのようなインキが求められてきた。即ち、印刷ロール上にあるインキに湿し水が混入して行くとインキの粘弾性が変化するが、乳化速度の速いインキのほうが早い段階で粘弾性が安定化するので、インキ転移性の変動幅が小さく、結果として良好な印刷物が得られると考えられてきた。なお、湿し水乳化速度の速い/遅いことによる印刷品質への影響は、湿し水の供給量を変動させた場合に顕著に現れる現象である。オフセット印刷インキ用樹脂のロジン変性フェノール樹脂は従来から、各種反応触媒を用いて合成されてきた。こうしたロジン変性フェノール樹脂の設計において、樹脂中の反応触媒由来の金属種及びその含有量がオフセット印刷時におけるインキの乳化率や乳化速度に影響するので、樹脂中の金属種及びその含有量の調整が設計の要点の一つになっている。樹脂中に含有する金属は、エステル化反応触媒として使用するマグネシウム、カルシウム、亜鉛、アルミニウム、及びチタニウム等の金属化合物に由来するものや、レゾール型フェノール樹脂の反応触媒として使用するナトリウム、カリウム、及びカルシウム金属等の水酸化物に由来するものがある。特開平3−259910号公報、特開平11−286529号公報、及び特開2002−173634号公報にみられる技術は、樹脂中に金属(例えば、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、バリウム、アルミニウム等)を含有させて高粘度化したロジン変性フェノール樹脂をインキに使用することで、耐ミスチング性、セット、及び光沢等が良好な高速印刷適性に優れるインキを提案している。しかしながら、これらの技術は樹脂に金属化合物を配合することを特徴とするが、乳化速度の向上を意図したものではなく、乳化速度を向上できる技術が待望されている状況にあった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、乳化速度の速いロジン変性フェノール樹脂を提供することを目的とする。
【0004】
【問題点を解決するための手段】
本発明者らは、この状況に鑑み、ロジン変性フェノール樹脂中のアルカリ及び/又はアルカリ土類金属の含有量に着目して鋭意検討を重ねた。その結果、ロジン変性フェノール樹脂中のアルカリ及び/又はアルカリ土類金属の含有量を200ppm以下とすることで、インキの乳化速度が極端に速くなることを見出した。即ち、本発明は、ロジン類(イ)、レゾール型フェノール樹脂(ロ)、及び多価アルコール(ハ)を反応させて得られる、アルカリ及び/又はアルカリ土類金属の含有量が200ppm以下であるロジン変性フェノール樹脂に関する。
【0005】
本発明においてロジン類(イ)は、ガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジン、重合ロジン、不均化ロジン、水素添加ロジン等が挙げられる。また、必要に応じて、これらロジン類にマレイン酸、フマル酸等の不飽和ニ塩基酸を付加して使用することもできる。
【0006】
本発明においてレゾール型フェノール樹脂(ロ)を構成するフェノール類は、従来公知のものが用いられるが、例えば石炭酸、クレゾール、ビスフェノールA、p−ブチルフェノール、p−オクチルフェノール、p−ノニルフェノール、p−ドデシルフェノール等が挙げられる。レゾール型フェノール樹脂(ロ)は、フェノール類1モルに対して、ホルムアルデヒド1.5〜3モルの割合で混合し、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等のアルカリ及び/又はアルカリ土類金属触媒存在下で縮合重合して得られる。必要に応じて、反応後にアルカリ及び/又はアルカリ土類金属触媒を中和洗浄する。なお、レゾール型フェノール樹脂(ロ)は、ロジン類(イ)100質量部に対して20〜120質量部、好ましくは40〜100質量部とするのが望ましく、この範囲内であれば樹脂の軟化点及び重量平均分子量を所期の範囲に納めることが容易である。このようにして得られるロジン変性フェノール樹脂中のアルカリ及び/又はアルカリ土類金属の含有量は、200ppm以下である必要がある。この含有量が200ppmを超えると、インキの乳化速度が遅くなる。
【0007】
本発明において使用する多価アルコール(ハ)は、従来公知のものが用いられるが、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、ブタンジオール、2−メチルペンタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ジメチロールプロピオン酸、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスルトールなどを挙げることができる。なお、多価アルコール(ハ)は、ロジン類(イ)100質量部に対して、5〜15質量部とするのが望ましく、この範囲内であれば樹脂の軟化点及び重量平均分子量を所期の範囲に納めることが容易である。
【0008】
本発明において樹脂の軟化点は、120〜220℃であることが望ましい。軟化点が120℃を下回ると、印刷時におけるインキのセット、乾燥性が劣るようになる。また、軟化点が220℃を超えると、インキ用ワニスの調製が困難となる。なお、本発明における軟化点の測定方法は、JIS K2207記載の環球法に従うものとする。
【0009】
本発明において樹脂の重量平均分子量は20000〜300000であることが望ましい。重量平均分子量が20000未満ではインキ用ワニスに必要な弾性が得難く、印刷時における耐ミスチングに劣る。一方300000以上ではインキ用ワニスに必要な粘性が得難く、インキの流動性に劣る。なお、本発明における重量平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー法で測定したもので、単分散の標準ポリスチレンの分子量に換算した値である。
【0010】
本発明におけるロジン変性フェノール樹脂は、ロジン類(イ)、レゾール型フェノール樹脂(ロ)、及び多価アルコール(ハ)の他に、所望に応じて例えば不飽和ニ塩基酸、植物油、重合植物油、植物油脂肪酸、植物油脂肪酸のエステル、アルキド樹脂、石油樹脂などを加えて反応させ、軟化点、分子量、溶解性、粘度などを調整することも可能である。
【0011】
本発明におけるロジン変性フェノール樹脂の反応条件は、従来公知の製造方法を採用することができる。例えば、ロジン類(イ)、レゾール型フェノール樹脂(ロ)をまず反応させ、次いでその反応物と多価アルコール(ハ)をエステル化反応させて製造する方法、あるいは、ロジン類(イ)、及び多価アルコール(ハ)をまずエステル化反応させ、次いでその反応物とレゾール型フェノール樹脂(ロ)を反応させて製造する方法等のいずれの方法も採用できる。
【0012】
前者の方法の場合は、ロジン類(イ)を150〜250℃に加熱溶融し、そこにレゾール型フェノール樹脂(ロ)を滴下反応させた後、多価アルコール(ハ)を反応器に仕込み、温度200〜280℃でエステル化反応させる。後者の場合は、ロジン類(イ)、及び多価アルコール(ハ)を反応器に仕込み、温度200〜280℃でエステル化反応させ、次いでこの反応物にレゾール型フェノール樹脂(ロ)を150〜250℃で滴下反応させる。なお、エステル化反応触媒としては、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、アルミニウム、及びチタニウム等の金属の水酸化物、酸化物、酢酸塩、蟻酸塩、シュウ酸塩、塩化物等を用いることができる。
【0013】
【実施例】
以下、実施例によって本発明を詳細に説明する。なお、仕込みの部は質量部を表す。
【0014】
合成例1
撹拌機、冷却器付き反応容器中にp−オクチルフェノール400部、92%パラホルムアルデヒド130部、及び水酸化カルシウム0.1部を仕込み、90℃に加熱し5時間反応してレゾール型フェノール樹脂を得た。
【0015】
合成例2
撹拌機、冷却器付き反応容器中にp−オクチルフェノール400部、92%パラホルムアルデヒド130部、及び水酸化ナトリウム0.2部を仕込み、90℃に加熱し5時間反応してレゾール型フェノール樹脂を得た。
【0016】
合成例3
撹拌機、冷却器付き反応容器中にp−オクチルフェノール400部、92%パラホルムアルデヒド130部、及び水酸化ナトリウム0.4部を仕込み、90℃に加熱し5時間反応してレゾール型フェノール樹脂を得た。
【0017】
合成例4
撹拌機、冷却器付き反応容器中にp−オクチルフェノール400部、92%パラホルムアルデヒド130部、及び水酸化ナトリウム0.5部を仕込み、90℃に加熱し5時間反応してレゾール型フェノール樹脂を得た。
【0018】
合成例5
撹拌機、冷却器付き反応容器中にp−オクチルフェノール400部、92%パラホルムアルデヒド130部、及び水酸化ナトリウム1部を仕込み、90℃に加熱し5時間反応してレゾール型フェノール樹脂を得た。
【0019】
実施例1
撹拌機、水分離器付き反応容器中に中国産ガムロジン800部を仕込み、窒素ガスを吹き込みながら加熱撹拌し230℃にて合成例1で合成したレゾール型フェノール樹脂500部を滴下反応する。その後グリセリン70部、酸化亜鉛1部を仕込み260℃で8時間反応した。得られたロジン変性フェノール樹脂は軟化点172℃、酸価16mgKOH/g、水酸基価75mgKOH/g、AF7号ソルベント(新日本石油(株)製)溶解性3.5倍、重量平均分子量60000で、樹脂中のカルシウム金属含有量は50ppmである。
【0020】
実施例2
実施例1で使用した合成例1のレゾール型フェノール樹脂を合成例2のレゾール型フェノール樹脂に置き換えた他は、実施例1と同様に合成した。得られたロジン変性フェノール樹脂は軟化点170℃、酸価17mgKOH/g、水酸基価76mgKOH/g、AF7号ソルベント溶解性3.3倍、重量平均分子量70000で、樹脂中のナトリウム金属含有量は100ppmである。
【0021】
実施例3
実施例1で使用した合成例1のレゾール型フェノール樹脂を合成例3のレゾール型フェノール樹脂に置き換えた他は、実施例1と同様に合成した。得られたロジン変性フェノール樹脂は軟化点170℃、酸価16mgKOH/g、水酸基価77mgKOH/g、AF7号ソルベント溶解性3.4倍、重量平均分子量71000で、樹脂中のナトリウム金属含有量は190ppmである。
【0022】
比較例1
実施例1で使用した合成例1のレゾール型フェノール樹脂を合成例4のレゾール型フェノール樹脂に置き換えた他は、実施例1と同様に合成した。得られたロジン変性フェノール樹脂は軟化点171℃、酸価15mgKOH/g、水酸基価77mgKOH/g、AF7号ソルベント溶解性3.4倍、重量平均分子量67000で、樹脂中のナトリウム金属含有量は250ppmである。
【0023】
比較例2
実施例1で使用した合成例1のレゾール型フェノール樹脂を合成例5のレゾール型フェノール樹脂に置き換えた他は、実施例1と同様に合成した。得られたロジン変性フェノール樹脂は軟化点171℃、酸価17mgKOH/g、水酸基価78mgKOH/g、AF7号ソルベント溶解性3.4倍、重量平均分子量64000で、樹脂中のナトリウム金属含有量は500ppmである。
【0024】
得られた各々の樹脂について樹脂40部、大豆油20部、AF7号ソルベント40部を反応容器に仕込み、窒素ガスを吹き込みながら撹拌昇温して200℃で1時間保温しワニスを得た。これを100℃まで冷却したところでゲル化剤としてALCH−50(川研ファインケミカル(株)製)1部を添加し、180℃まで昇温の後1時間保温しゲルワニスを得た。
【0025】
次にゲルワニス60部にカーミン6B(大日本インキ化学工業(株)製)18部を三本ロールミルで練肉し、更にタックが6〜7、フローが25〜28になるよう各々のゲルワニス及びAF7号ソルベントで調整して試験用紅インキを得た。
【0026】
表1に各インキの性状と評価結果を示す。なおタック及びフローはそれぞれデジタルインコメーター((株)東洋精機製作所製)、平行板粘度計((株)東洋精機製作所製)を用いて測定した。
【0027】
【表1】
【0028】
表1のインキ性能評価は以下のように行った。
【0029】
光沢:インキ0.3ccをRIテスター(明製作所社製)でアート紙に展色した後、熱風乾燥機中120℃、5秒で乾燥させ、室温で24時間経過した時点で光沢計(ガードナー社製)を用いて60°鏡面反射率を測定した。
【0030】
乳化速度:インキ・水乳化試験機(デュークカスタムシステム社製)を用い、インキ50gとイオン交換水100gを10分間ミキシングした後、余剰の水を取出して乳化した水量を測定し、次式により乳化速度を算出した。
乳化速度(g/min)=乳化した水量(g)/10(min)
【0031】
乳化率:リソトロニック(ノボコントロール社製)を用い、25gのインキにイオン交換水を2ml/minの速度で滴下して、飽和したところでの乳化率を測定した。
【0032】
ミスチング量:インキ1.3ccをデジタルインコメーター((株)東洋精機製作所製)1分当り2000回転で1分間回転させた時にロール下方に飛散したミストの量を精秤した。
【0033】
表1から、本発明により得られたロジン変性フェノール樹脂は、比較例に比べ、インキの乳化速度が速く、その他の諸性能は同等である。
【0034】
【発明の効果】
本発明により得られるロジン変性フェノール樹脂をオフセット印刷インキに使用すると、印刷時における光沢や耐ミスチング性等の性能を損なうことなく、乳化速度の速いインキを得ることができる。
Claims (1)
- ロジン類(イ)、レゾール型フェノール樹脂(ロ)、及び多価アルコール(ハ)を反応させて得られる、アルカリ及び/又はアルカリ土類金属の含有量が200ppm以下であるロジン変性フェノール樹脂。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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-
2002
- 2002-10-18 JP JP2002338589A patent/JP2004137442A/ja active Pending
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