JP3984448B2 - グラスランの固定構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、グラスラン取付用のチャンネル部材を具備しない窓枠の内周側に取り付けられる車両用のグラスランの固定構造に関し、特に、窓枠に対して取り付けられたグラスランの位置ずれを防止する固定構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両用ドアの窓枠に取り付けられたグラスランにおいては、このグラスランが所期の取付位置から位置ずれを起こし、外観の見映えを悪化させないようにする必要があり、そのための固定構造として例えば特開2001−39168号公報に記載のものが知られている。
【0003】
この従来の構造においては、図9に示すように、窓枠40の斜辺部40aの内周側に溶接により固定されたストッパー部材41,42を利用しており、このストッパー部材41の端面と係合する突起部43と、ストッパー部材42の係合孔44に挿入される突起部45とを、窓枠40の斜辺部40aに取り付けられるグラスラン46に形成してこのグラスラン46の窓枠42に対する位置ずれの防止を行っている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、一般的なグラスランは、上述した斜辺部40aのような部位に略直線状に取り付けられる部分を押出成形し、窓枠40のコーナー部40b,40c(図9を参照)のように曲げによる追従性が悪くなる部位に取り付けられる部分を型成形している。
【0005】
そのため、上述した従来の構造のように、斜辺部40aに取り付けられるグラスラン46の所定位置に突起部43,45を形成するためには、押出成形されたグラスランに対して突起部43,45を形成するだけのために型成形を行う必要があり、製造コストが上昇してしまうという問題がある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
そこで、請求項1に記載の発明は、グラスラン取付用のチャンネル部材が省略された車両用ドアの窓枠とドアガラスの周縁との間をシールするグラスランの固定構造において、上記グラスランは、上記窓枠の前端部にて、型成形された屈曲部を介して、上記窓枠に沿って延びる横辺部と、ドアウエスト部の下方に向かって延びる縦辺部とが接続されており、上記屈曲部の横辺部側及び縦辺部側の底壁の外周側には、それぞれ第1突起部及び第2突起部が設けられ、上記窓枠の前端部の内周側には、上記前端部の剛性を上げるためのレインフォースが固定され、上記レインフォースには、上記第1突起部の横辺部側端面と係合する第1係合部と、上記第2突起部の縦辺部側端面と係合する第2係合部とが設けられ、上記レインフォースが上記窓枠の前端部に取り付けられた状態では、上記第1係合部と上記第2係合部との間に嵌合凹部が形成され、上記第1突起部及び上記第2突起部が、上記第1係合部と上記第2係合部との間に挿入され、上記嵌合凹部に収容されていることを特徴としている。第1突起部及び第2突起部は、第1係合部と第2係合部との間に挿入されることによって、第1係合部及び第2係合部に対してそれぞれ係合することになる。すなわち、第1突起部と第1係合部との係合及び第2突起部と第2係合部との係合により、グラスランの車両前後及び上下方向の位置決めがなされる。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、上記レインフォースの第1係合部が、上昇限位置におけるドアガラスの前端の外形線の延長線Pよりも車両前方側に位置するよう形成されていることを特徴としている。これによって、窓枠の前端部において、ドアガラスがグラスランの底壁に当接したとしても、ドアガラスに対してレインフォースが干渉することはない。
【0008】
本発明によれば、第1突起部と第1係合部とが係合することによって、グラスランの車両後方側及び車両上方側へのずれを防止することができる。また、第2突起部と第2係合部とが係合することによって、グラスランの車両下方側及び車両前方側へのずれを防止することができる。
【0009】
そして、グラスランの各突起部は、横辺部と縦辺部を接続する型成形された屈曲部に設けられているため、新たに型成形を追加する必要がなく、総じてグラスランのコストを低減することができる。
【0010】
さらに、請求項2のようにすれば、レインフォースがドアガラスに対して干渉して破損してしまうことを確実に防止することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【0012】
図1及び図2に示すように、車両用のドア1は、窓枠2を含めてインナーパネル3とアウターパネル4のドア外周縁部を接合したいわゆるプレスドアである。
【0013】
このドア1には、窓枠2とドアウエスト部5とによって、ドアガラス開口部6が形成されている。
【0014】
窓枠2は、グラスラン取付用のチャンネル部材が設けられておらず、インナーパネル3の端縁からなる車内側フランジ3aとアウターパネル4の端縁からなる車外側フランジ4aとが互いに略対向するよう形成され、これら両フランジ3a,4aに対してゴムまたは樹脂等からなるグラスラン20(後述)が装着されている。
【0015】
また、窓枠2の前端部7は、側面視にて略三角形状となるよう形成されており、その内周側には、図3に示すように、側面視にて略三角形状となるレインフォース8が溶接され、ドアミラー(図示せず)の取り付けが可能となるよう前端部7の剛性の向上が図られている。
【0016】
レインフォース8は、金属板を折曲することによって形成されており、窓枠2の底壁部9に沿って湾曲した基部壁10と、この基部壁10に対して略直交するよう折曲された車内側起立壁11と、基部壁10と対向するようこの車内側起立壁11から折曲された内側壁12と、この内側壁12に対して略直交するよう折曲された車外側起立壁13と、からなっている。
【0017】
車内側起立壁11の先端は、基部壁10よりも窓枠2の長手方向に沿って車両上方側に延出しており、この先端を折り曲げることによって、第1係合部としての保持用爪部14が形成されている。
【0018】
また、第2係合部となる内部壁12の上端面12aは、保持用爪部14よりもドアウエスト側、すなわち車両下方側に位置しており、レインフォース8が窓枠2の前端部7に取り付けられた状態では、保持用爪部14と内側壁12の上端面12aとの間に嵌合凹部15が形成されている。
【0019】
一方、窓枠2に取り付けられるグラスラン20は、図4〜図7に示すように、窓枠2の斜辺部2aに取り付けられる横辺部21と、この横辺部21から屈曲部22を介して車両上下方向に沿ってドアウエスト部5の下方に向かって延びる縦辺部23と、を有しており、屈曲部22が窓枠2の前端部7に取り付けられている。
【0020】
横辺部21と縦辺部23とは、互いに異なる断面形状に押出成形されているが、型成形された略L字形状の屈曲部22を介して互いに連続するよう形成されている。
【0021】
屈曲部22は、折位置Mを挟んで横辺部側に位置する横辺部側屈曲部22aと、折位置Mを挟んで縦辺部側に位置する縦辺部側屈曲部22bとからなり、横辺部側屈曲部22aは横辺部21と略同一断面形状に形成され、縦辺部側屈曲部22bは縦辺部23と略同一断面形状に形成されている。
【0022】
詳述すれば、横辺部側屈曲部22aは、図5に示すように、断面略コ字形状の本体24と、本体の両側壁25,25の先端からそれぞれ延出し、ドアガラス26の周縁に当接するシールリップ27,27を備え、本体24の底壁28には、レインフォース8の保持用爪部14と係合する第1突起部29,29が並んで形成されている。縦辺部側屈曲部22bは、図6に示すように、断面略コ字形状の本体31と、本体31の両側壁32,32の先端からそれぞれ延出し、ドアガラス26の周縁に当接するシールリップ33,33を備え、本体31の底壁34には、レインフォース8の内側壁12の上端面12aと係合する第2突起部35が形成されている。ここで、本体24の底壁28は、本体31の底壁34よりも幅広に形成されている。
【0023】
また、第1突起部29,29の横辺部側端面29a,29aは、折位置M側に向かって傾斜するよう形成されている。第1突起部29,29の折れ位置M側端面29b,29bは、縦辺部側屈曲部22bの底壁34と略直線状に連続するよう形成されている。第2突起部35の縦辺部側端面35aは、折位置M側に向かって傾斜するよう形成されている。第2突起部35の折れ位置M側端面35bは、横辺部側屈曲部22bの底壁28と略直線状に連続するよう形成されている。
【0024】
そして、図7に示すように、グラスラン20の屈曲部22を窓枠2の前端部7に取り付けることによって、レインフォース8に形成された嵌合凹部15内に、第1突起部29,29及び第2突起部35が収容され、第1突起部29,29の横辺部側端面29aの下部が保持用爪部14と係合し、第2突起部35の縦辺部側端面35aの下部が内壁面12の上端面12aと係合する。
【0025】
また、図4に示すように、窓枠2の前端部7に対する屈曲部22の取り付け方向Q1(縦辺部23と横辺部21との実角度の略2等分線方向)に直交する直線上に投影される第1突起部29,29の横辺部側端面29a,29aと第2突起部35の縦辺部側端面35aとの最大間隔をL1とする。一方、図8に示すように、窓枠2の前端部7に対する屈曲部22の取り付け方向Q2に直交する直線上に投影される嵌合凹部15の開口長さをL2とする。尚、Q2は、上述したQ1と実質的に同一方向を示している。このとき、最大間隔L1は、開口長さL2と略同一長さになるよう、屈曲部22及びレインフォース8は形成されている。
【0026】
さらに、レインフォース8の保持用爪部14(第1係合部)は、ドアガラス26の前端26aの昇降方向に位置しないように形成されている。すなわち、上昇限位置におけるドアガラス26の前端26aの外形線の延長線Pよりも、レインフォース8の保持用爪部14が車両前方側(図8における左側)に位置するよう形成されている。
【0027】
このように構成されたグラスラン20の固定構造においては、第1突起部29,29が保持用爪部14に係合することによって、屈曲部22の車両後方向及び車両上方向の位置決めを行うことができ、第2突起部35と内壁部12の上端面12aとが係合することによって、屈曲部22の車両前方向及び車両下方向の位置決めを行うことができる。従って、グラスラン20の車両前後方及び車両上下方向のずれを確実に防止することができる。
【0028】
また、第1突起部29,29及び第2突起部35は、型成形される屈曲部22に形成されているので、押出成形された横辺部21及び縦辺部23に対して型成形を新たに施す必要がなく、総じてグラスラン20の製造コストを低減することができる。
【0029】
さらに、レインフォース8の保持用爪部14(第1係合部)は、ドアガラス26の前端26aの昇降方向に位置しないように形成されているので、ドアガラス26が最大上昇した際においても、レインフォース8はドアガラス26に対して干渉することがなく、レインフォース8によるドアガラス26の破損を確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ドアの側面図。
【図2】本発明に係るグラスランの固定構造を示す説明図にして、図1のA部に相当する窓枠の前端部の斜視図。
【図3】本発明に係るグラスランの固定構造を構成するレインフォースの斜視図。
【図4】本発明に係るグラスランの固定構造を示す説明図にして、グラスランの要部斜視図。
【図5】図4のB−B線に沿った断面図。
【図6】図4のC−C線に沿った断面図。
【図7】本発明に係るグラスランの固定構造を示す説明図。
【図8】本発明に係るグラスランの固定構造を示す説明図にして、レインフォースとドアガラス前端との位置関係を示す説明図。
【図9】従来のグラスランの固定構造を示す説明図。
【符号の説明】
8…レインフォース
12…内部壁
12a…上端面(第2係合部)
14…保持用爪部(第1係合部)
20…グラスラン
29…第1突起部
35…第2突起部

Claims (2)

  1. グラスラン取付用のチャンネル部材が省略された車両用ドアの窓枠とドアガラスの周縁との間をシールするグラスランの固定構造において、
    上記グラスランは、上記窓枠の前端部にて、型成形された屈曲部を介して、上記窓枠に沿って延びる横辺部と、ドアウエスト部の下方に向かって延びる縦辺部とが接続されており、上記屈曲部の横辺部側及び縦辺部側の底壁の外周側には、それぞれ第1突起部及び第2突起部が設けられ、
    上記窓枠の前端部の内周側には、上記前端部の剛性を上げるためのレインフォースが固定され、
    上記レインフォースには、上記第1突起部の横辺部側端面と係合する第1係合部と、上記第2突起部の縦辺部側端面と係合する第2係合部とが設けられ、
    上記レインフォースが上記窓枠の前端部に取り付けられた状態では、上記第1係合部と上記第2係合部との間に嵌合凹部が形成され、
    上記第1突起部及び上記第2突起部が、上記第1係合部と上記第2係合部との間に挿入され、上記嵌合凹部に収容されていることを特徴とするグラスランの固定構造。
  2. 上記レインフォースの第1係合部は、上昇限位置におけるドアガラスの前端の外形線の延長線Pよりも車両前方側に位置するよう形成されていることを特徴とする請求項1に記載のグラスランの固定構造。
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