JP3980195B2 - 部材の引き離し方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、部材の引き離し方法に係り、例えば隣り合う重量の重いかつ大型のコンクリート製品等の接続にかかる引き離し方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば、重量がかなり重く、一つ一つのユニットの重量が何トンもある大型のコンクリート製U字溝、コンクリート製ボックスカルバートあるいはコンクリート製L型擁壁等を長手方向に接続して敷設する場合、従来では該コンクリート製品の接続作業がきわめて面倒で困難な作業となっていた。
【0003】
すなわち、従来この種のコンクリート製品の接続作業は、接続すべきコンクリート製品をクレーンで吊り上げ、接続すべき位置まで移送する。しかし、正確に接続すべき位置まで移送できないため、正確な位置あわせ、最終の接続微調整は、接続すべきコンクリート製品の端部を何人もの作業者でバール等を用いて接続側へ押すことにより行っていた。
【0004】
また、接続後に、何らかの理由により一旦最終接続した部材を離脱させたいときに、簡単に接続切り離しが出来る引き離し方法も提案されてはいなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のような接続作業はかなりの労力と作業手間、作業コストがかかり、効率的ではない。また、接続後に何らかの理由により一旦最終接続した部材を離脱させたいとき、簡単に接続切り離しが出来る引き離し方法の提供も現場ではその要請がきわめて多かった。
【0006】
かくして、本発明は前記従来の課題に対処すべく創案されたものであり、接続後に何らかの理由により一旦接続した部材を離脱させたいときに、簡単に接続切り離しが出来る部材の引き離し方法を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明による部材の接続方法は、
接続板によって接続された部材の引き離し方法であり、
該接続板に重ねて、一端側はいずれかの突出部に係止する係止溝を有し、他端側は作動板の一端を回動可能に軸支した軸支部を有する治具本体と、
一端が軸支部により治具本体の他端と回動可能に軸支され、他端には残余の突出部に掛合可能な掛合凹部を有する作動板と、
該作動板に取り付けられた操作棒とを有する接続治具を、
前記いずれかの突出部に係止溝を係止させ、残余の突出部に掛合凹部を掛合させて設置し、前記残余の突出部と掛合凹部との掛合部を回転軸として前記操作棒を回動し、接続すべき相隣る部材を引き寄せた後、前記接続板を外して、接続された部材を引き離すことを特徴とし、
または
接続板によって接続された部材の引き離し方法であり、
該接続板に重ねて、一端側はいずれかの差し込み部材露出部に係止する係止溝を有し、他端側は作動板の一端を回動可能に軸支した軸支部を有する治具本体と、
一端が軸支部により治具本体の他端と回動可能に軸支され、他端には残余の差し込み部材露出部に掛合可能な掛合凹部を有する作動板と、
該作動板に取り付けられた操作棒とを有する接続治具を、
前記いずれかの差し込み部材露出部に係止溝を係止させ、残余の差し込み部材露出部に掛合凹部を掛合させて設置し、残余の差し込み部材露出部と掛合凹部との掛合部を回転軸として前記操作棒を回動し、接続すべき相隣る部材を引き寄せた後、前記接続板を外して、接続された部材を引き離すことを特徴とし、
または
接続された部材間には、パッキン材が介在されてなることを特徴とするものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、図に基づいて本発明に係る部材の引き離し方法の一実施の態様について説明する。図において、符号1は接続すべきコンクリート製品を示す。かかるコンクリート製品1を複数個接続して一般に下水道、上水道の暗渠あるいはU字溝等が形成される。
【0009】
ここで、コンクリート製品1は大型で重量が重く、その一つ一つそれ自体でも何トンもの重量を有している。したがって、これらコンクリート製品1の接続作業、特に接続微調整はきわめて面倒で困難な作業となる。まず、接続すべきコンクリート製品1をクレーン等で吊り上げ、接続すべき設置箇所まで移送する。
【0010】
ここで、コンクリート製品1には通常あらかじめ、その長手方向両端の上方位置でかつ両脇に吊り上げ用の穴4が都合4カ所に穿設されている。従ってこの4カ所の穴4に棒状の差し込み部材5を嵌め込み、これをフックとして使用し、クレーン等で吊り上げ、所定の設置個所まで移動するのである。設置個所まで移動した後、吊り上げてあるコンクリート製品1を降下させ、既に設置してあるコンクリート製品1の接続面2と吊り上げてあるコンクリート製品1の接続面2とを対向させつつ接続設置すべきコンクリート製品1を仮置きする。
【0011】
尚、前述したとおり、相隣るコンクリート製品1,1の対向する接続面2,2近傍の側面部3,3には各々穴4,4が穿設されており、該穴4,4にはクレーン等で吊り上げるために使用するフック用の差し込み部材5,5が差し込まれているが、この差し込み部材5,5、正確には差し込んだ後に外部に露出している差し込み部材露出部17,17をコンクリート製品1,1の接続作業にも使用することになる。
【0012】
まず、差し込み部材露出部17,17間に亘ってまず接続板6を仮架設する(図3参照)。接続板6は、図6に示すように略方形状をなし、両端側に各々凹溝状をなす係止部7と嵌め込み溝8とを有するタイプと、図7に示すように一端側には透孔として形成された係止部7と他端側には凹溝状をなす嵌め込み溝8とを有するタイプとがある。しかし、何らこれらの構成に限定されるものではない。
【0013】
接続板6を両差し込み部材露出部17,17間に仮架設するのは、図3に示すように、一方側の差し込み部材露出部17に凹溝条の係止部7を嵌め込み、他方側の差し込み部材露出部17上に他方側の嵌め込み溝8近傍の接続板下面を載置させて仮架設する構成をとる。これにより、他方側の差し込み部材露出部17には接続板6の他方側の嵌め込み溝8が嵌め込み直前状態とされる。
【0014】
また、一方側の差し込み部材5を一旦抜き、接続板6の透孔状係止部7に差し込みながら穴4に差し込み、他方側の差し込み部材露出部17上には、やはり他方側の嵌め込み溝8近傍の接続板下面を載置させて嵌め込み直前状態として仮架設しておく構成も採用される。その後、接続治具9を前記接続板6に続いて両差し込み部材露出部17,17間に取り付ける(図5参照)。
【0015】
ここで、接続治具9の構成につき説明する。該接続治具9は治具本体10と作動板11と操作棒12とを有して構成されている(図9参照)。治具本体10は略長方形状をなし、その長手方向の一端側には一方側に位置する差し込み部材露出部17に係止する凹溝状の係止部13が形成され、他端側には接続すべき作動板11の一端を回動可能に軸支した軸支部14が形成されている。しかし、この治具本体10の形状等も略長方形状のみに限定されるものではない。
【0016】
そして、作動板11は図示するように、正方形に近い長方形状をなしており、その長手方向一端側は前記治具本体10の他端と回転可能に軸支され、他端側には長手方向一端側に向かって切欠された掛合凹部15が形成されている。尚、この作動板11の形状についても何らこの実施の態様のものに限定されるものではない。
【0017】
次に符号12は操作棒であり、図5に示すように作動板11の一側面側に取り付けられている。以上において接続治具9の設置状態につき図5、図1を参照して説明する。まず、治具本体10の凹溝状をなす係止部13内に一方側に位置する差し込み部材露出部17を嵌め込んで係止させる。次いで作動板11の他端に形成された掛合凹部15内に他方の差し込み部材露出部17を入れ、その状態から操作棒12を図に向かって右側に回転させる(図1参照)。
【0018】
すると、作動板11は掛合凹部15と他方の差し込み部材露出部17との掛合部を回転軸として回転し、その結果治具本体10は他方側の差し込み部材5側に引っ張られる。そしてこれにより相隣るコンクリート製品1,1の接続面2,2間は図5の状態から図1の状態になり、図1の状態になったとき、他方の差し込み部材露出部17上で嵌め込み直前状態とされていた接続板6の嵌め込み溝8内に他方の差し込み部材露出部17が嵌まり込み、その結果コンクリート製品1,1は正確、確実に接続される。
【0019】
ところで、相隣るコンクリート製品1,1の接続面2,2間には柔軟性を有するパッキング材16,16が介在されており、これが接続の際、押圧されてより密着されたコンクリート製品1,1の接続が得られる。図2のように接続板6で両コンクリート製品1,1を完全に繋いだ後、接続治具9を外して接続作業は終了する。
【0020】
ここで、一対の差し込み部材5,5と接続板6はいわゆる埋め殺し部材となるが、接続治具9は汎用部材として何回も使用できる。尚、何らかの事情で一度接続したコンクリート製品1,1の接続を外さなくてはならない場合、本発明では簡単にその接続離脱が出来、これが本発明の大きな特徴となっている。
【0021】
すなわち、図3の状態から図1に示す状態に接続治具9を設置し、図1の矢印の方向に向かって操作棒12を若干回転させる。すると介在しているパッキング部材16,16が押圧されて接続板6の係止部7,嵌め込み溝8と一対の差し込み部材露出部17,17との嵌め込み関係が若干緩み、その状態で接続板6を上方に持ち上げれば、簡単に接続板6が外れるものとなる。
【0022】
しかして、このような本発明の構成によれば、操作棒12を回転させるという小さな力のみで迅速に、確実かつ正確に位置決めして相隣るコンクリート製品1,1を接続できるものとなり、またこの強固な接続を同じ装置を使用して簡単に外すことが出来る。しかも、接続に使用する穴4は吊り上げ移動で使用する吊り上げ穴を利用して兼用するものであり、その面からも作業の軽減が図れる。
【0023】
【発明の効果】
かくして本発明は以上の構成よりなる。そして、本発明による部材の引き離し方法であれば、接続すべきコンクリート製品の接続微調整、あるいは確実、正確な位置あわせが簡単に行え、しかも作業コストをきわめて安価にしうる。
【0024】
さらにこの強固な接続を同じ装置を使用して簡単に外すことが出来る。しかも、接続に使用する穴は吊り上げ移動で使用する吊り上げ穴を利用して兼用するものであり、その面からも作業の軽減が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の使用状態を説明する使用状態説明図(その1)である。
【図2】 本発明の使用状態を説明する使用状態説明図(その2)である。
【図3】 本発明の使用状態を説明する使用状態説明図(その3)である。
【図4】 本発明の使用状態を説明する使用状態説明図(その4)である。
【図5】 本発明の使用状態を説明する使用状態説明図(その5)である。
【図6】 本発明による接続板の構成を説明する説明図(その1)である。
【図7】 本発明による接続板の構成を説明する説明図(その2)である。
【図8】 本発明による接続治具の構成を説明する平面図である。
【図9】 本発明による接続治具の構成を説明する正面図である。
【符号の説明】
1 コンクリート製品
2 接続面
3 コンクリート製品の側面部
4 穴
5 差し込み部材
6 接続板
7 係止部
8 嵌め込み溝
9 接続治具
10 治具本体
11 作動板
12 操作棒
13 係止部
14 軸支部
15 掛合凹部
16 パッキン材
17 差し込み部材露出部
Claims (3)
- 接続板によって接続された部材の引き離し方法であり、
該接続板に重ねて、一端側はいずれかの突出部に係止する係止溝を有し、他端側は作動板の一端を回動可能に軸支した軸支部を有する治具本体と、
一端が軸支部により治具本体の他端と回動可能に軸支され、他端には残余の突出部に掛合可能な掛合凹部を有する作動板と、
該作動板に取り付けられた操作棒とを有する接続治具を、
前記いずれかの突出部に係止溝を係止させ、残余の突出部に掛合凹部を掛合させて設置し、前記残余の突出部と掛合凹部との掛合部を回転軸として前記操作棒を回動し、接続すべき相隣る部材を引き寄せた後、前記接続板を外して、接続された部材を引き離すことを特徴とする部材の引き離し方法。 - 接続板によって接続された部材の引き離し方法であり、
該接続板に重ねて、一端側はいずれかの差し込み部材露出部に係止する係止溝を有し、他端側は作動板の一端を回動可能に軸支した軸支部を有する治具本体と、
一端が軸支部により治具本体の他端と回動可能に軸支され、他端には残余の差し込み部材露出部に掛合可能な掛合凹部を有する作動板と、
該作動板に取り付けられた操作棒とを有する接続治具を、
前記いずれかの差し込み部材露出部に係止溝を係止させ、残余の差し込み部材露出部に掛合凹部を掛合させて設置し、残余の差し込み部材露出部と掛合凹部との掛合部を回転軸として前記操作棒を回動し、接続すべき相隣る部材を引き寄せた後、前記接続板を外して、接続された部材を引き離すことを特徴とする部材の引き離し方法。 - 接続された部材間には、パッキン材が介在されてなることを特徴とする請求項1または請求項2記載の部材の引き離し方法。
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- 1998-09-14 JP JP26007798A patent/JP3980195B2/ja not_active Expired - Fee Related
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