JP3973945B2 - リールシート - Google Patents
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Description
【発明の属する技術の分野】
この発明は、釣竿に装着して使用するリールを支持するためのリールシートの構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
図6は、従来の釣竿のリールシート部分を示す図である。
【0003】
この釣竿1では、釣竿本体2がグリップ3に挿通支持されており、グリップ3にはリールシート4が設けられている。グリップ3は、フロントグリップ5およびリアグリップ6を有し、リールシート4はこれらの間に配設されている。フロントグリップ5およびリアグリップ6には、それぞれフード8,9が設けられており、フロントグリップ5が矢印7の方向に沿ってスライドすることができるようになっている。そして、リールの脚部をリールシート4のリール載置面10に当接させた状態でフロントグリップ5をリールシート4側へスライドさせると、フード8,9間にリールの脚部が挟持され、リールは支持されるようになっている。
【0004】
図7は、図6におけるA−A断面図であり、リールシート4の断面構造を示している。
【0005】
同図に示すように、リールシート4は、円筒状の部材の一部を軸方向に切断して形成されており、この切断面が上記リール載置面10を構成している。なお、参照符号11は、釣竿本体2を支持するスリーブを示している。
【0006】
このようにしてリール載置面10を形成すると、当然にリール載置面10の肉厚tが薄くなる。しかも、釣竿1に付加価値を付けて商品性を向上させるために、リールシート4をたとえばプライウッド等により構成したい場合があるが、プライウッド等は温度変化に対する強度が低い。そのため、たとえば室内で釣竿を準備し、それを寒冷地の屋外(釣り場)で使用した場合等には、その温度変化によって上記肉厚tの部分が破損(割れ)してしまうおそれがある。
【0007】
加えて、釣竿1の操作性等(握り易さ等)を考慮すれば、リールシート4の外径寸法Dの範囲は自ずと決定されることから、釣竿本体2の外径をあまり大きくすることができない。なぜなら、リールシート4の外径Dが決まれば、釣竿本体2の外径を大きくすると上記肉厚tがきわめて薄くなってしまうからである。
【0008】
つまり、従来においては、手触りや高級感等の付加価値を付けるためにリールシート4をプライウッド等により構成したいという要請があるが、そのためにリールシートが損傷するおそれがあると共に、外径の大きい釣竿本体を採用することが事実上不可能であるという不都合があった。
【0009】
そこで、本発明の目的は、プライウッド等の機械的強度の低い材質で構成しつつ、その損傷を防止して外径の大きい釣竿本体にも適用することができるリールシートを提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
(1) リールシートが上述のように損傷する原因は、プライウッド等の機械的強度の低い材質で構成したこと、および釣竿本体を挿通支持するために肉厚が薄くなってしまい、そのために当該薄肉部分に大きな応力が生じてしまうことに起因することは明らかである。そのため本願発明者は、リールシートの形状ないし構造において、そもそも大きな応力が発生する薄肉部分を無くすことができれば、リールシートの損傷という不都合は起こり得ないと考えた。
【0014】
(2) そこで、本願に係る釣竿は、釣竿本体、この釣竿本体が挿通されるフロントグリップ及びリアグリップ並びにこのフロントグリップとリアグリップとの間に設けられておりその断面がC字状を呈しておりこの釣竿本体に嵌め込まれている外筒部材を備えており、このフロントグリップとこのリアグリップとの間にある釣竿本体のうち、この外筒部材の間隙に露出した部分が載置面を形成しており、この外筒部材とこの載置面とによってリールシートが構成されることを特徴とするものである。
【0015】
この構成によれば、釣用リールの脚部を載置面に載置することによって、釣用リールを装着することができる。このとき、釣竿本体はフロントグリップ及びリアグリップにより支持されており、釣用リールの脚部は釣竿本体の外面上に載置されることになる。また、外筒部材は釣竿本体に嵌め込まれているのみであり、外筒部材は釣竿本体の外面を装飾する部材として機能する。
【0016】
したがって、外筒部材は釣竿本体を支持する機能を有しないため、剛性等の機械的強度を担保する必要がなく、きわめて薄肉に形成することができる。しかも、外筒部材は間隙が設けられた断面C字状に形成されており、いわゆる開断面形状となっていることから、温度変化による変形が容易であり、大きな応力が発生することがない。
【0017】
(3) 特に、上記外筒部材の間隙の幅寸法を、釣用リールの脚部を間隙に嵌め込むことができる寸法に設定することができる。
【0018】
このようにすれば、釣用リールの脚部を載置面に載置した状態で、当該脚部と外筒部材との干渉を避けることができる。これにより、外筒部材の損傷等を確実に防止することができる。
【0020】
かかる構成の釣竿では、上述したように、リールシート部分にプライウッド等の機械的強度の低い材質を採用してもその損傷を防止することができ、また、外径の大きい釣竿本体を採用することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
<第1の実施形態>
図1は、本発明の第1の実施形態に係る釣竿10の要部拡大正面図である。
【0022】
この釣竿10は、たとえばルアーロッドとして構成されており、釣竿本体11と、グリップ12と、リールシート13とを備えている。
【0023】
グリップ12は、実釣時において釣人が把持する部分であって、フロントグリップ14およびリアグリップ15を備えている。そして、これらの間にリールシート13が設けられている。このリールシート13は、釣用のリール(図示せず)を装着・固定するためのものである。
【0024】
フロントグリップ14の後端およびリアグリップ15の先端にはそれぞれ、リールの脚部の前方側および後方側を固定するためのフロントフード16およびリアフード17が設けられている。つまり、リールシート13は、これらフロントフード16およびリアフード17によって挟み込まれるようにして配設されている。また、リアグリップ15の先端部にはねじ軸部18が形成されており、この部分にナット19,20が螺合されている。
【0025】
このため、ナット19を所定方向へ回転させると、リアフード17がリールシート13側へスライドするようになっている。したがって、リールシート13にリールの脚部を載置した状態でナット19を回転させることによって、フロントフード16とリアフード17とによってリールの脚部を挟持することができるようになっている。また、ナット19を反所定方向へ回転させることによってリアフード17をリールシート13と反対側へスライドさせることができるので、リールをリールシート13から取り外すことができる。なお、ナット20は、ナット19の緩みを防止するロックナットとして機能している。これらナット19,20の外周面には、滑り止めのためのローレットを形成することもできる。
【0026】
釣竿本体11は、フロントグリップ14側からグリップ12の内部に挿通されて支持されている。釣竿本体11は、細長棒状に形成され、たとえばカーボン繊維を筒状に形成する等、公知の要領で製造することができる。なお、図示していないが、釣竿本体11の所要の位置には、釣糸を案内するガイド部材が適宜配設されている。
【0027】
図2は、釣竿10の要部拡大斜視図であり、リールシート13の構造を詳細に示している。また、図3は、図2におけるB−B断面図である。
【0028】
これらの図に示すように、リールシート13は二重の筒状に形成されており、内筒部材(リール載置部)21と、外筒部材(筒状部材)22とを備えている。
【0029】
内筒部材21は、図に示すような断面円形の部材であって、たとえばナイロン、ポリブチレンテレフタレート、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン樹脂(ABS樹脂)等により形成することができる。この内筒部材21の両端は、上記フロントグリップ15およびリアグリップ16に連結されている。上記釣竿本体11は、この内筒部材21に挿通され支持されている。
【0030】
外筒部材22は、図に示すような断面C字状に形成されている。すなわち、外筒部材22は、全体として円筒状に形成されているが、軸方向に沿って間隙23が形成されている。この間隙23は、外筒部材22の径方向に貫通している。この外筒部材22は、内筒部材21の外側に嵌め込まれている。したがって、上記間隙23部分には、内筒部材21の外周面が露出している。そして、この外周面によって、リールの脚部が当接・載置される載置面24が構成されている。
【0031】
なお、内筒部材21の外周面の一部を特別の形状に形成し、この部分を載置面として構成することもできる。この場合、「特別の形状」とは、外周面の曲率半径を特定の数値に設定し、リールの脚部を載置しやすく形成すること等が考えられる。そして、その場合には、載置面と外筒部材22の間隙23とが対向するように、当該外筒部材23を内筒部材21に取り付けることができる。
【0032】
外筒部材22の間隙23の幅寸法dは、15mm〜17mmに設定することができる。もっとも、この寸法dはなんら限定される必要はないが、あえてかかる寸法に設定することによって、一般に市販されているすべてのリールの脚部が、この間隙23に嵌め込むことができるという利点がある。
【0033】
外筒部材22は、プライウッド等により構成されている。もっとも、外筒部材22の材質はなんら限定される必要はないが、プライウッド等を採用して外筒部材22を木製とすることによって、リールシート13自体を高級感のあるものに仕上げることができるという利点がある。
【0034】
本実施形態に係る釣竿10では、次のようにしてリールを取り付けることができる。
【0035】
図1および図2を参照して説明する。まず、ナット19,20を回転させて、フロントフード16とリアフード17との距離を大きくする。そして、リールの脚部を上記載置面24上に当接させ、その状態でナット19,20を締め込む。これにより、フロントフード16とリアフード17との間でリールの脚部が挟持され、リールが釣竿10に装着される。
【0036】
このとき、釣竿本体11は内筒部材21によって支持され、外筒部材22は内筒部材21を囲繞するように取り付けられているのみである。つまり、外筒部材22は、内筒部材21の外面を装飾する部材として機能している。
【0037】
したがって、内筒部材21は、その外観の善し悪しを特に考慮することなく釣竿本体11を確実に支持するという機能を確保することのみに重点をおいて設計することができる。たとえば、本実施形態では、内筒部材を上記材料で構成しているから、内筒部材21の肉厚t1は、0.5mm〜1.0mmという薄肉に設定することができる。
【0038】
また、外筒部材22については、釣竿本体11を支持する機能を有しないため剛性等の機械的強度を担保する必要がなく、きわめて薄肉に形成することができる。本実施形態では、外筒部材22の肉厚t2は、1.5mm〜3.0mmに設定することができる。しかも、外筒部材22は、図に示すような断面C字状に形成されており、いわゆる開断面形状となっている。このため、外筒部材22は、温度変化による変形が容易であり、大きな応力が発生することがない。すなわち、従来のように、外筒部材を閉断面形状とすると、肉厚の薄い部分に大きな応力が発生していたが、本実施形態のように、外筒部材22を開断面形状とすることによって、そのような大きな応力が発生する薄肉部分が存在しない。
【0039】
その結果、外筒部材の肉厚t2を上述のようにきわめて薄肉に設定したとしても、外筒部材22に亀裂等が生じることがない。また、内筒部材21の肉厚t1を上述のように設定することができるので、支持する釣竿本体11の外径を大きくすることができる。詳述すると、釣竿10の操作性等を考慮した場合、リールシート13部分全体の外径寸法は、一定の範囲内に限定されてしまうので、内筒部材21の外径も一定の寸法以下に制限されてしまう。しかし、内筒部材21の肉厚t1を薄くすることによって、相対的に大径の釣竿本体11を挿通支持することが可能となる。
【0040】
よって、本実施形態に係る釣竿10では、リールシート13の強度設計において内筒部材21を機械的強度の高い材料を選定することにより、リールシート13全体の外径を小さくすることが可能であり、デザイン上の自由度が向上する。しかも、外筒部材22は開断面形状を呈しているから温度変化等による破損のおそれがなく、外筒部材22をたとえばプライウッド等により構成することができるので、リールシート13を手触りの良い高級感のあるものに仕上げることができる。
【0041】
特に本実施形態では、外筒部材22の間隙23の幅寸法dを上述の寸法に設定し、リールの脚部を間隙23に嵌め込むようにしているので、リールの脚部と外筒部材22との干渉を避けることができ、これにより、筒状部材の損傷等を確実に防止することができる。しかも、リールの装着位置を低く、すなわち、装着したリールの位置を釣竿10の中心に近づけることができるので、実釣における釣竿10の操作性を向上させることができる。
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
【0042】
図4は、本発明の第2の実施形態に係る釣竿30の要部拡大正面部である。また、図5は、図4におけるB−B断面図である。
【0043】
本実施形態に係る釣竿30が上記第1の実施形態に係る釣竿10と異なるところは、釣竿10では、釣竿本体11を内筒部材21(図2参照)により支持する構造であるのに対し、釣竿30では、内筒部材21を設けずに、釣竿本体31をグリップ12によって支持する構造となっており、そのために、外筒部材32は、釣竿本体31に嵌め込まれている点である。なお、釣竿30のその他の構成については釣竿10と同様であるので、同様の参照符号を付してその説明を省略する。
【0044】
釣竿本体31は、図1で示した釣竿本体11よりも大径に構成されており、釣竿本体11と同様に製作することができる。本実施形態では、釣竿本体31はグリップ12によって支持されており、釣竿本体31の一部33がリールシート13の一部を構成している。
【0045】
すなわち、本実施形態では、釣竿本体31の一部33と、外筒部材32とによりリールシート13が構成されており、釣竿本体31の一部33の外周面が、リールを載置する載置面24を兼ねている。また、外筒部材32は、上記第1の実施形態で示したと同様に断面C字状に形成されており、プライウッド等を使用して構成することができる。
【0046】
本実施形態に係る釣竿30では、釣竿本体31がグリップ12により支持されており、リールシート13全体の外径を釣人が握りやすい寸法に設定しながら、釣竿本体31の外径をきわめて大きなものとすることができる。
【0047】
しかも、リールシート13には外筒部材32が設けられており、これが釣竿本体31に嵌め込まれているので、外筒部材32には機械的強度(剛性等)が要求されない。したがって、外筒部材32はきわめて薄肉に形成することができ、亀裂等が生じるおそれがない。
【0048】
よって、本実施形態に係る釣竿30では、リールシート13の設計においてデザイン上の自由度が向上する。しかも、外筒部材32は断面C字状を呈しているから温度変化等による破損のおそれがなく、外筒部材32をプライウッド等により構成した場合には、リールシート13を手触りの良い高級感のあるものに仕上げることができる。
【0049】
また、上記第1の本実施形態と同様に、外筒部材32の間隙23の幅寸法dを上述の寸法に設定し、リールの脚部を間隙23に嵌め込むようにしているので、リールの脚部と外筒部材22との干渉を避けることができ、これにより、筒状部材の損傷等を確実に防止することができる。しかも、リールの装着位置を低く、すなわち、装着したリールの位置を釣竿30の中心に近づけることができるので、実釣における釣竿30の操作性をさらに向上させることができる。
【0050】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、釣竿本体はリール載置部により支持され、これを筒状部材によって外観の装飾を行うことができる。したがって、リール載置部を機械的強度の高い材料で構成することにより、リール載置部の外径をそれほど大きくすることなく大径の釣竿本体をも支持することができるうえ、筒状部材も薄肉に形成することができる。
【0051】
その結果、リールシートの強度設計においてリールシート全体の外径を小さくすることが可能であり、デザイン上の自由度が向上する。しかも、筒状部材は開断面形状を呈しているから温度変化による破損のおそれがなく、筒状部材をたとえばプライウッド等により構成することができ、リールシートを手触りがよく高級感のあるものに仕上げることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る釣竿の要部拡大正面図である。
【図2】釣竿の要部拡大斜視図である。
【図3】図2におけるB−B断面図である。
【図4】本発明の第2の実施形態に係る釣竿の要部拡大正面図である。
【図5】図4におけるB−B断面図である。
【図6】従来の釣竿のリールシート部分を示す図である。
【図7】図6におけるA−A断面図である。
【符号の説明】
10 釣竿
11 釣竿本体
12 グリップ
13 リールシート
14 フロントグリップ
15 リアグリップ
21 内筒部材
22 外筒部材
23 溝
24 載置面
30 釣竿
31 釣竿本体
32 外筒部材
33 釣竿本体の一部
Claims (2)
- 釣竿本体、この釣竿本体が挿通されるフロントグリップ及びリアグリップ並びにこのフロントグリップとリアグリップとの間に設けられておりその断面がC字状を呈しておりこの釣竿本体に嵌め込まれている外筒部材を備えており、
このフロントグリップとこのリアグリップとの間にある釣竿本体のうち、この外筒部材の間隙に露出した部分が載置面を形成しており、
この外筒部材とこの載置面とによってリールシートが構成されることを特徴とする釣竿。 - 請求項1記載の釣竿において、
上記外筒部材の間隙の幅寸法は、釣用リールの脚部を間隙に嵌め込むことができる寸法に設定されていることを特徴とする釣竿。
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