JP3947827B2 - 接着剤用クロロプレンゴムラテックス及びそれを用いたラテックス接着剤組成物 - Google Patents

接着剤用クロロプレンゴムラテックス及びそれを用いたラテックス接着剤組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、接着剤用クロロプレンゴムラテックスであり、該重合体をクロロホルムに5%濃度になるように溶解した溶液が、有機溶剤不溶部を含まず、その溶液粘度が600mPa・s〜2000mPa・sである接着剤用クロロプレンゴムラテックスに関するものである。さらに詳しくは、該重合体をクロロホルムに5%濃度になるように溶解した溶液が、有機溶剤不溶部を含まず、その溶液粘度が600mPa・s〜2000mPa・sの重合体がクロロプレンゴムラテックスに必須成分として含有されることにより、初期強度、常温強度、高温強度、耐水性の接着物性が高いレベルでバランスの取れた接着剤用クロロプレンゴムラテックス及びそれを用いたラテックス接着剤組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
クロロプレンとアクリル酸、メタクリル酸のごときカルボキシル基含有ビニル単量体との共重合体ラテックスを製造する方法は、特開昭61−12710号、特開昭62−257918号などで知られている。また、ポリビニルアルコールなどの水溶性高分子を乳化・分散剤として用いた接着剤用ラテックスを製造する方法及びそれを用いた接着剤については、特公昭52−13983号、特公昭61−29968号などで知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらの方法で製造されたラテックスを用いた場合には下記のような問題があった。
【0004】
(1)従来の接着剤用ラテックスでは、耐熱性を向上するために高分子量化を行い、粘着保持、常温接着強度を犠牲にし充分な接着剤としての物性を得ることができなかった。また、カルボキシル基含有ビニル単量体等の金属酸化物での架橋による耐熱性の向上も試みられたが、使用される乳化剤の保護コロイド性から期待される物性を発現することが出来なかった。
【0005】
(2)ロジン酸アルカリ金属塩の如き高いpH域において良好なラテックス安定性を有する乳化剤を用いて製造を行った場合、クロロプレン系接着剤として必須の副成分である粘着付与剤、金属酸化物などを配合する際の僅かなpHの変動でゴムが析出するため、pHの調整を極めて慎重に行わなければならず操作上煩わしい。また、ポリビニルアルコールの如き水溶性高分子を用いて製造を行った場合には、その保護コロイド性から優れたラテックスの安定性を示すが、水溶性高分子であるために接着剤として使用した際にその耐水性が著しく低下する。
【0006】
本発明は、上記した問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、従来のラテックス系接着剤では得られなかった常温接着力、高温接着力、耐水性等の接着物性とラテックス安定性が良好であり、かつそれらの接着物性が高いレベルでバランスの取れた接着剤用ラテックスを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、常温接着力及び高温接着力、耐水性等の接着物性が高いレベルでバランスが取れ、さらに良好なラテックス安定性とを有する接着剤用ラテックスについて鋭意検討した結果、ラテックスに含まれるクロロプレンゴム重合体をクロロホルムに5%濃度になるように溶解した際の溶液が、有機溶剤不溶部を含まず、その溶液粘度が600mPs・s〜2000mPa・sであるクロロプレンゴムラテックスであって、そのクロロプレンゴム重合体が特にクロロプレン単量体とカルボキシル基含有ビニル単量体との共重合体であることが有用であることを見出した。
【0008】
特に、アルキルジフェニルエーテルジスルフォン酸ナトリウムを乳化・分散剤として使用した場合、しかも該共重合体をクロロホルムに5%濃度になるように溶解した溶液が、有機溶剤不溶部を含まず、その溶液粘度が600mPa・s〜2000mPa・sであるラテックスが、上記のpH変動のごとき化学的変化やスプレー塗布あるいはロールコーター塗布のごとき接着作業における物理的な加重に対して安定であることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
【0009】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0010】
本発明における接着剤用クロロプレンゴムラテックスは、ラテックスに含まれるクロロプレンゴム重合体をクロロホルムに5%濃度になるように溶解した際の溶液が、有機溶剤不溶部を含まず、その溶液粘度が600mPa・s〜2000mPa・sである接着剤用クロロプレンゴムラテックスからなるものである。
【0011】
これに対し、溶液粘度が600mPa・s未満の場合は、耐熱性が不十分であり、一方、溶液粘度が2000mPa・sを越える場合は、被着体への接着性が劣り、両者とも十分な接着物性を発現しない。
【0012】
本発明におけるクロロプレンゴムラテックスは、重合体の平均分子量は限定されるものではない。
【0013】
本発明のクロロプレンゴムラテックスは、連鎖移動剤の添加量を調節して制御できるある特定域の溶液粘度になるラテックスを単独又は混合することにより得られる。
【0014】
混合する重合体の乾燥重量比は、高い接着物性のレベルでバランス維持できる範囲内であれば特に限定されるものではない。
【0015】
本発明のラテックスの重合方法としては特に限定するものではなく、クロロプレン単量体、カルボキシル基含有ビニル単量体、必要に応じてその他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体をラジカル乳化重合すればよい。乳化重合は公知の方法に従って、水、単量体、乳化・分散剤、重合開始剤、連鎖移動剤等を乳化し、所定温度にて重合を行えばよい。各原料はいずれも一括添加、逐次添加、分割添加してもよい。特に、クロロプレン単量体とカルボキシル基含有ビニル単量体との共重合体は高温接着力に優れ、また、種々の被着体との密着性が良好であるために好適である。共重合可能なカルボキシル基含有ビニル単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸、クロトン酸等の不飽和脂肪酸等があげられるが、クロロプレン単量体90〜99.9重量部とメタクリル酸0.1〜10重量部の範囲で単量体総量で100重量部が好ましく用いられる。また、必要に応じて、共重合可能なエチレン性不飽和単量体として、例えば、エチレン、メタクリル酸メチル、アクリロニトリル、2,3−ジクロロブタジエン、1−クロロブタジエン等の通常クロロプレンの共重合に用いられる単量体が20重量部以下の量で適宜用いられる。
【0016】
重合に使用する乳化・分散剤としては特に限定するものではなく、カルボン酸型、スルフォン酸型、硫酸エステル型のアニオン型乳化剤、ノニオン型乳化剤等が用いられ、例えば、不均化ロジン酸のアルカリ金属塩、炭素数が8〜20個のアルキルスルフォネート、アルキルアリールサルフェート、ナフタリンスルフォン酸ナトリウムとホルムアルデヒドとの縮合物、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェノール、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアシルエステル等が用いられる。クロロプレン単量体とカルボキシル基含有ビニル単量体との共重合体の場合には、アルキルジフェニルエーテルジスルフォン酸のアルカリ金属塩及びトリエタノールアミン塩、ドデシルベンゼンスルフォン酸のアルカリ金属塩及びトリエタノールアミン塩、ラウリル硫酸のアルカリ金属塩及びトリエタノールアミン塩等が酸性下での乳化重合において用いられる。これらのうち、重合時の安定性が良好であるため、アルキルジフェニルエーテルジスルフォン酸Naを0.5〜10重量部用いることが好ましく、さらには3〜6重量部用いることが好ましい。
【0017】
重合開始剤としては、公知のフリーラジカル生成物質、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸化物、過酸化水素、第三−ブチルヒドロパーオキサイド等の無機又は有機過酸化物等を用いることができる。また、これらは単独又は還元性物質、例えば、チオ硫酸塩、チオ亜硫酸塩、有機アミン等との併用レドックス系で用いてもよい。
【0018】
重合温度は特に限定するものではなく、0〜80℃の範囲で行うことができ、好ましくは10〜50℃の範囲である。
【0019】
重合終了時期は特に限定するものではないが、単量体の転化率が60〜100%まで重合を行うことが好ましく、95〜100%まで重合を行うことがさらに好ましい。
【0020】
連鎖移動剤としては、例えば、アルキルメルカプタン、ハロゲン化炭化水素、アルキルキサントゲンジスルフィド及びイオウ等の分子量調節剤等があげられ、これらのうち、臭気及び作業性の面からn−ドデシルメルカプタンが好ましく、その使用量は0.1〜3.0重量部が好ましく、0.3〜1.0重量部がさらに好ましい。
【0021】
重合停止剤としては、通常用いられる停止剤であれば特に限定するものではなく、例えば、フェノチアジン、2,6−t−ブチル−4−メチルフェノール、ヒドロキシルアミン等が使用できる。添加は所定転化率に到達した時点で添加すればよく、重合転化率は95〜100%が好ましく、残存単量体が存在する場合には単量体除去を実施すればよい。
【0022】
本発明の接着剤用ラテックスのラテックス安定性を一段と良好にするために、乳化・分散剤を、乳化重合時に使用する乳化・分散剤以外に、添加する方法が用いられる。乳化・分散剤を添加する時期としては、重合仕込み時に一括添加する方法、重合中に添加する方法、重合終了時に添加する方法等があり、特に限定はないが、重合中に転化率が50〜90%に達した時点で添加するのが好ましい。使用する添加量としては、仕込み単量体100重量部に対して1〜10重量部、好ましくは3〜5重量部が用いられる。この範囲内がラテックス安定性の確保と接着剤として供した場合の良好な耐水性の維持とを満足できる。乳化・分散剤としては、ロジン酸のアルカリ金属塩、スルフォン酸型、硫酸エステル型のアニオン乳化剤、ノニオン型の乳化剤が用いられ、例えば、炭素数が8〜20個のアルキルスルフォネート、アルキルアリールサルフェート、ナフタリンスルフォン酸ナトリウムとホルムアルデヒドとの縮合物、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェノール、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアシルエステル等であり、好ましくはアルキルジフェニルエーテルジスルフォン酸のアルカリ金属塩及びトリエタノールアミン塩、ドデシルベンゼンスルフォン酸のアルカリ金属塩及びトリエタノールアミン塩、ラウリル硫酸のアルカリ金属塩及びトリエタノールアミン塩等が用いられる。
【0023】
上記にクロロプレンゴムラテックスの製造法を述べたが、重合の制御の容易さ及び出来上がりラテックスの扱い易さの点で、クロロプレン単量体90〜99.5重量部とメタクリル酸0.5〜10重量部で単量体総量100重量部に対し、0.5〜10重量部のアルキルジフェニルエーテルジスルフォン酸水溶性塩を用い、n−ドデシルメルカプタン0.1〜3.0重量部の存在下において、10〜50℃で重合を行い、単量体の転化率60〜100%まで重合を行って得られたものが好ましく、さらには、クロロプレン単量体90〜99.5重量部とメタクリル酸0.5〜10重量部で単量体総量100重量部に対し、3〜6重量部のアルキルジフェニルエーテルジスルフォン酸水溶性塩を用い、n−ドデシルメルカプタン0.3〜1.0重量部の存在下において、10〜50℃で重合を行い、単量体の転化率95〜100%まで重合を行って得られたものであることが好ましい。
【0024】
本発明によって得られた接着剤用ラテックスは単独でも接着剤として用いることができるが、さらに粘着付与剤及び金属酸化物(水酸化物)を添加することによって接着物性が向上する。
【0025】
本発明における粘着付与剤としては特に限定するものではなく、例えば、フェノール系樹脂、テルペン系樹脂、ロジン誘導体樹脂、石油系炭化水素等があげられ、例えば、水添ロジン、水添ロジンのペンタエリスリトールエステル、重合ロジン、ロジンを主成分とするロジン変性樹脂、アルキルフェノール樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、テルペン変性フェノール樹脂、天然テルペン樹脂が使用される。
【0026】
これらの樹脂は、クロロプレンゴム共重合体100重量部に対し10〜80重量部、好ましくは20〜40重量部を用いる。この範囲内においては、粘着性が充分確保でき、接着性能を一段と向上できる。添加方法としては、有機溶剤に予め溶解して添加してもよいが、好ましくは乳化分散したエマルジョンの形態で添加する。
【0027】
本発明における金属酸化物(水酸化物)とは第II族〜第III族の金属陽イオンの酸化物であり、例えば、酸化(水酸化)マグネシウム、酸化(水酸化)カルシウム、酸化(水酸化)亜鉛等があげられる。これらの金属酸化物(水酸化物)は、クロロプレンゴム重合体100重量部に対し1〜5重量部を用いる。この範囲内においては、粘着性が充分確保でき、接着性能を一段と向上できる。添加方法としては、乳化分散したエマルジョンの形態で添加する方法が好ましい。
【0028】
本発明の耐熱性向上接着剤用クロロプレンゴムラテックスの構成は上記の通りとすることにより、従来のラテックス系接着剤では得られなかった常温接着力、高温接着力、耐水性等の接着物性が高いレベルでバランスが取れ、及びラテックス安定性が良好である優れた接着剤用ラテックスとなる。
【0029】
【実施例】
以下、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0030】
以下の実施例,比較例において得られたラテックス系接着剤の常温剥離強度、高温剥離強度、耐熱クリープ試験、耐水性、ラテックス安定性(配合安定性、機械安定性)は、以下の方法で測定及び評価した。
【0031】
<常温剥離強度>
60番研磨布にて表面仕上げしたSBRゴム板(150mm×25mm、昭和ゴム製)と9号綿帆布(150mm×25mm)のそれぞれの片面に接着剤組成物を刷毛にて約625g/m2(wet)塗布後、60℃×10分間加熱乾燥を行いハンドローラーを用いて圧締を行った。恒温室において23℃×3日間養生して試験片を作成した。試験片を23℃、引張り速度200mm/minの条件でテンシロン型引張り試験機を用いて180゜剥離強度を測定した。
【0032】
<高温剥離強度>
常温剥離強度測定と同様にして作成した試験片を用いて80℃、引張り速度200mm/minの条件でテンシロン型引張り試験機を用いて180゜剥離強度を測定した。
【0033】
<耐熱クリープ試験>
60番研磨布にて表面仕上げしたSBR(150×25mm、昭和ゴム製)の片面に接着剤組成物を刷毛にて625g/m2を塗布後、60℃×10分間加熱乾燥を行い、図1に示すように斜線部分をポリエチレンシートで覆い、中心部で折り曲げて図2に示すように斜線部分を切り捨てて接着部分が25×25mmとなるようにハンドローラーで圧締を行った。恒温室において23℃×3日間養生して試験片を作成した。180゜剥離を行うように試験片の片端を恒温層内に釣り下げ、他の一端に衝撃を与えないように200gの重りを取り付け、恒温層内の温度を80℃に保つ。接着剤が軟化して、重りの荷重に耐えられなくなり、重りが落下したときの時間(分)を測定し、耐熱クリープ試験とした。60分を最終時間とし、落下しないときは“60分以上”で示す。また、落下しないがズレを生じる場合、60分後のズレの長さ(mm)を測定した。
【0034】
<耐水性>
常温剥離強度測定と同様にして作成した試験片を純水中23℃×3日間浸漬した後、直ちに余分な水分を拭き取り23℃、引張り速度200mm/minの条件でテンシロン型引張り試験機を用いて180゜剥離強度を測定した。
【0035】
<ラテックス安定性>
<配合安定性>
接着剤用ラテックスに配合を行うことによるゴム析出物の有無を観察した。
【0036】
<機械安定性>
接着剤組成物の機械安定性をマーロン試験法を用いてゴム凝固率を測定した。
【0037】
実施例1
表1に示した組成割合のクロロプレン、メタクリル酸、n−ドデシルメルカプタン、アルキルジフェニルエーテルスルフォン酸ナトリウム(ペレックスSSH(商品名)、花王製)、ナフタリンスルフォン酸ナトリウムとホルムアルデヒドとの縮合物(デモールN(商品名)、花王製)、ハイドロサルファイトナトリウム、トリエタノールアミン及び水を撹拌機付10Lオートクレーブ中40℃で重合を行い共重合体ラテックスBを得た。また、得られたラテックスの性状も表1に示す。
【0038】
【表1】
Figure 0003947827
【0039】
重合は全て窒素雰囲気中、0.35重量%過硫酸カリウム水溶液を連続的に滴下して行った。転化率は約98重量%以上で停止剤を加えて重合を停止した。得られた共重合体ラテックスを表2に示した組成割合で粘着付与剤及び金属酸化物を配合して接着剤組成物とした。
【0040】
【表2】
Figure 0003947827
【0041】
作成した接着剤組成物の常温剥離強度、高温剥離強度、耐熱クリープ、耐水性、配合安定性、機械安定性の評価結果を表3に示す。
【0042】
【表3】
Figure 0003947827
【0043】
表3の結果より、常温剥離強度、耐水性、及び耐熱性に関係する高温剥離強度及び耐熱クリープが高いレベルでバランスが取れていることが優れていることが分かった。
【0044】
実施例2
表1に示した組成割合で実施例1に従った方法で得られた共重合体ラテックスCに変更した以外は実施例1に従って接着剤の物性評価を行った。表2に接着剤組成物の組成割合を示す。表3の評価結果に示したように、常温剥離強度、高温剥離強度、耐熱クリープ、耐水性はいずれも良好な結果であった。
【0045】
実施例3
表1に示した組成割合で実施例1に従った方法で得られた共重合体ラテックスAとCを30対70の混合比で混合し、実施例1に従って接着剤の物性評価を行った。表2に接着剤組成物の組成割合を示す。表3の評価結果に示したように、常温剥離強度、高温剥離強度、耐熱クリープ、耐水性はいずれも良好な結果であった。
【0046】
実施例4
表1に示した組成割合で実施例1に従った方法で得られた共重合体ラテックスCとDを90対10の混合比で混合し、実施例1に従って接着剤の物性評価を行った。表2に接着剤組成物の組成割合を示す。表3の評価結果に示したように、常温剥離強度、高温剥離強度、耐熱クリープ、耐水性はいずれも良好な結果であった。
【0047】
比較例1
表1に示した組成割合で実施例1に従った方法で得られた共重合体ラテックスDのみに変更した以外は実施例1に従って接着剤の物性評価を行った。表2に接着剤組成物の組成割合を示す。表3の評価結果に示したように、高温剥離強度、耐熱クリープ性は良好な結果であったが、被着体への接着性が不良であるため、常温強度、耐水性に劣った。
【0048】
比較例2
表1に示した組成割合で実施例1に従った方法で得られた共重合体ラテックスEのみに変更した以外は実施例1に従って接着剤の物性評価を行った。表2に接着剤組成物の組成割合を示す。表3の評価結果に示したように、常温剥離強度、耐水性、高温剥離強度、耐熱クリープに劣り、充分な接着特性を維持できなかった。
【0049】
実施例5
表1に示した組成割合で実施例1に従った方法で得られた共重合体ラテックスBを表4に示した組成割合で粘着付与剤及び金属酸化物を配合して接着剤組成物とした。作成した接着剤組成物を実施例1に従って常温剥離強度、高温剥離強度、耐熱クリープ、耐水性、配合安定性、機械安定性の評価結果を表5に示す。表5の結果より、常温剥離強度、耐水性、及び耐熱性に関係する高温剥離強度、耐熱クリープが高いレベルでバランスが取れ、さらに配合安定性、機械安定性に優れていることが分かった。
【0050】
【表4】
Figure 0003947827
【0051】
【表5】
Figure 0003947827
【0052】
実施例6
表1に示した組成割合で実施例1に従った方法で得られた共重合体ラテックスCを表4に示した組成割合で粘着付与剤及び金属酸化物を配合して接着剤組成物とした。作成した接着剤組成物を実施例1に従って接着剤組成物の物性評価を行い評価結果を表5に示す。表5の結果より、常温剥離強度、耐水性、及び耐熱性に関係する高温剥離強度及び耐熱クリープが高いレベルでバランスが取れ、さらに配合安定性及び機械安定性に優れていることが分かった。
【0053】
実施例7
表1に示した組成割合で実施例1に従った方法で得られた共重合体ラテックスAとCを30対70の混合比で混合し、表4に示した組成割合で粘着付与剤及び金属酸化物を配合して接着剤組成物とした。作成した接着剤組成物を実施例1に従って接着剤組成物の物性評価を行い評価結果を表5に示す。表5の結果より、常温剥離強度、耐水性、及び耐熱性に関係する高温剥離強度及び耐熱クリープが高いレベルでバランスが取れ、さらに配合安定性及び機械安定性に優れていることが分かった。
【0054】
比較例3
乳化・分散剤にロジン酸塩を用いて作成された市販ラテックスAを表4に示した組成割合で粘着付与剤及び金属酸化物を配合して接着剤組成物とした。作成した接着剤組成物を実施例1に従って接着剤組成物の物性評価を行い評価結果を表5に示す。表5の評価結果に示したように、常温剥離強度、高温剥離強度、耐水性、耐熱性に劣る結果であり、さらに配合安定性、機械安定性においては非常に劣る結果が得られた。
【0055】
比較例4
乳化・分散剤に水溶性高分子であるポリビニルアルコールを用いて作成された市販ラテックスBを表4に示した組成割合で粘着付与剤及び金属酸化物を配合して接着剤組成物とした。作成した接着剤組成物を実施例1に従って接着剤組成物の物性評価を行い評価結果を表5に示す。表5の評価結果に示したように、配合安定性及び機械安定性は優れているが、耐水性においては満足できる結果は得られなかった。
【0056】
【発明の効果】
本発明により得られたクロロプレンゴムラテックスは、従来のラテックスにはない常温接着力及び高温接着力、耐水性等の接着物性及びラテックス安定性が良好であり、かつその高いレベルがバランスが取れており、木材、皮革、布、ゴム、プラスチック、金属等の種々の用途の接着剤として好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】耐熱クリープ試験に用いるスチレン−ブタジエンゴムの試験片である。
【図2】耐熱クリープ試験に用いるスチレン−ブタジエンゴムの試験片である。

Claims (8)

  1. ラテックスに含まれるクロロプレンゴム重合体が、クロロホルムに5%濃度になるように溶解した際に、有機溶剤不溶部を含まず、その溶液粘度が600mPa・s〜2000mPa・sであるクロロプレンゴム重合体、を含む1種類のクロロプレンゴムラテックスからなることを特徴とする接着剤用クロロプレンゴムラテックス。
  2. クロロプレンゴムラテックスがクロロプレン単量体とカルボキシル基含有ビニル単量体との共重合体であることを特徴とする請求項1記載の接着剤用クロロプレンゴムラテックス。
  3. クロロプレンゴムラテックスがラテックス安定性を付与する乳化・分散剤を用いて得られたクロロプレン単量体とカルボキシル基含有ビニル単量体との共重合体であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の接着剤用クロロプレンゴムラテックス。
  4. ラテックス安定性を付与する乳化・分散剤がアルキルジフェニルエーテルジスルフォン酸水溶性塩であることを特徴とする請求項3記載の接着剤用クロロプレンゴムラテックス。
  5. クロロプレン単量体90〜99.5重量部とメタクリル酸0.5〜10重量部で単量体総量100重量部に対し、0.5〜10重量部のアルキルジフェニルエーテルジスルフォン酸水溶性塩を用い、n−ドデシルメルカプタン0.1〜3.0重量部の存在下において、0〜80℃で重合を行い、単量体の転化率60〜100%まで重合を行って得られたものであることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか記載の接着剤用クロロプレンゴムラテックス。
  6. クロロプレン単量体90〜99.5重量部とメタクリル酸0.5〜10重量部で単量体総量100重量部に対し、3〜6重量部のアルキルジフェニルエーテルジスルフォン酸水溶性塩を用い、n−ドデシルメルカプタン0.3〜1.0重量部の存在下において、10〜50℃で重合を行い、単量体の転化率95〜100%まで重合を行って得られたものであることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか記載の接着剤用クロロプレンゴムラテックス。
  7. 請求項1ないし請求項6記載の接着剤用クロロプレンゴムラテックス100重量部に対し、粘着付与剤10〜80重量部及び金属酸化物又は金属水酸化物1〜5重量部からなることを特徴とするラテックス接着剤組成物。
  8. 粘着付与剤がフェノール系樹脂、テルペン系樹脂、ロジン誘導体樹脂、石油系炭化水素から選ばれたものであることを特徴とする請求項7記載のラテックス接着剤組成物。
JP25617095A 1994-12-15 1995-10-03 接着剤用クロロプレンゴムラテックス及びそれを用いたラテックス接着剤組成物 Expired - Fee Related JP3947827B2 (ja)

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