JP3927076B2 - 基板の反り解析方法及びそのシステム、基板の反り解析プログラム - Google Patents

基板の反り解析方法及びそのシステム、基板の反り解析プログラム Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばリフロー工程において基板に発生する反りを解析する基板の反り解析方法及びそのシステム、基板の反り解析プログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
リフロー工程において発生する多層配線基板の反りの解析が行われている。この反りの解析方法では、多層配線基板における絶縁層又は銅箔層(配線パターンを形成する)などの各層における機械的物性値例えば弾性率を見積もり、有限要素法などの手法を用いて多層配線基板に発生する反りの解析を行っている。
【0003】
具体的に、この解析方法では、基板CAD(Computer Aided Design)から多層配線基板の形状を示すモデルデータ及び配線パターンのデータを受け取り、これらモデルデータ及び配線パターンデータに基づいて多層配線基板において配線パターンを形成する銅箔層の占める割合を求め、この割合に基づいてリフロー工程で発生する多層配線基板の反りを解析している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、多層配線基板は、相対的に配線パターンが密に形成されている領域と粗に形成されている領域とがあり、各層における例えば弾性率などの機械的物性値を見積って多層配線基板の反りを解析したとしても、この機械的物性値では、配線パターンの粗密に起因する差異を反映したものとはならない。このため、多層配線基板の反りを正確に予測することができない。
【0005】
そこで本発明は、配線パターンの粗密に起因する差異を反映して基板の反りを正確に予測できる基板の反り解析方法及びそのシステム、基板の反り解析プログラムを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、コンピュータの演算処理により配線パターンの形成された各層から成る多層配線基板に発生する反りを解析する基板の反り解析方法において、コンピュータにより有限要素法解析プログラムを実行することにより多層配線基板の少なくとも形状を示すモデルデータに基づいて有限要素法解析法によって多層配線基板を各層毎に複数に分割する任意形状の閉曲線からなり前記コンピュータにより計算可能な面積を有する複数の要素を作成し、コンピュータにより残銅率算出プログラムを実行することにより多層配線基板の各層毎に複数の要素をそれぞれ複数のビットドットに分割し、これらビットドットと基板に形成される配線パターンのデータとを比較して各ビットドット毎に配線パターンの有無を割り付け、多層配線基板の各層をm、要素をnとして配線パターンの有り割り付けられた総数B(m,n)とビットドットの総数S(m,n)との比B(m,n)/S(m,n)から各層mの各要素nにおける残銅率z(m,n)を算出し、コンピュータにより物性値算出プログラムを実行することにより各層mの各要素nにおける残銅率z(m,n)を受け取ると共に多層配線基板の配線パターンの形成に用いられる銅箔の密度ρ 、銅箔の弾性率E 、絶縁材の密度ρ 、絶縁材の弾性率E を設定し、各層mの前記各要素nの密度ρ(m,n)を、
ρ(m,n)=ρ ・z(m,n)+ρ ・(1−z(m,n))
を演算し求め、かつ各層mの各要素nの弾性率E(m,n)を、
=E ・z(m,n)+E ・{1−z(m,n)}
=E ・E /[E ・z(m,n)+E ・{1−z(m,n)}]
ν LT =ν ・z(m,n)+ν ・{1−z(m,n)}
LT =1/[z(m,n)G /+{1−z(m,n)}/G
ν TL =ν LT ・E /E
E(m,n)={E +E −2E ・ν TL +4G LT (1−ν LT ・ν TL
÷{3(E +E )+2E ・ν TL +4G LT (1−ν LT ・ν TL )}
×(E +E +2E ・ν TL
÷(1−ν LT ・ν TL
を演算して求め、各層mの各要素nの密度ρ(m,n)、各層mの各要素nの弾性率E(m,n)に基づいて多層配線基板に熱を供給したときの多層配線基板の各層mの各要素n毎に反りを解析する基板の反り解析方法である。
【0007】
本発明は、配線パターンが形成された各層から成る多層配線基板の少なくとも形状を示すモデルデータを作成する基板データ作成手段と、多層配線基板の少なくとも形状を示すモデルデータに基づいて有限要素法解析法によって多層配線基板を各層毎に複数に分割する任意形状の閉曲線からなる複数の要素を作成する有限要素法解析手段と、多層配線基板の各層毎に複数の要素をそれぞれ複数のビットドットに分割し、これらビットドットと基板に形成される配線パターンのデータとを比較して各ビットドット毎に配線パターンの有無を割り付け、多層配線基板の各層をm、要素をnとして配線パターンの有り割り付けられた総数B(m,n)とビットドットの総数S(m,n)との比B(m,n)/S(m,n)から各層mの各要素nにおける残銅率z(m,n)を算出する残銅率算出手段と、各層mの各要素nにおける残銅率z(m,n)を受け取ると共に、多層配線基板の配線パターンの形成に用いられる銅箔の密度ρ 、銅箔の弾性率E 、絶縁材の密度ρ 、絶縁材の弾性率E を設定し、各層mの各要素nの密度ρ(m,n)を、
ρ(m,n)=ρ ・z(m,n)+ρ ・(1−z(m,n))
を演算し求め、かつ各層mの各要素nの弾性率E(m,n)を、
=E ・z(m,n)+E ・{1−z(m,n)}
=E ・E /[E ・z(m,n)+E ・{1−z(m,n)}]
ν LT =ν ・z(m,n)+ν ・{1−z(m,n)}
LT =1/[z(m,n)G /+{1−z(m,n)}/G
ν TL =ν LT ・E /E
E(m,n)={E +E −2E ・ν TL +4G LT (1−ν LT ・ν TL
÷{3(E +E )+2E ・ν TL +4G LT (1−ν LT ・ν TL )}
×(E +E +2E ・ν TL
÷(1−ν LT ・ν TL
を演算して求める物性値算出手段とを具備し、有限要素法解析手段は、各層mの各要素nの密度ρ(m,n)、各層mの各要素nの弾性率E(m,n)に基づいて多層配線基板に熱を供給したときの多層配線基板の各層mの各要素n毎に反りを解析する基板の反り解析システムである
【0008】
本発明は、コンピュータの演算処理により実行され、配線パターンが形成された各層から成る多層配線基板に発生する反りを解析させる基板の反り解析プログラムにおいて、多層配線基板の少なくとも形状を示すモデルデータに基づいて有限要素法解析法によって多層配線基板を各層毎に複数に分割する任意形状の閉曲線からなる複数の要素を作成させ、多層配線基板の各層毎に複数の要素をそれぞれ複数のビットドットに分割し、これらビットドットと基板に形成される配線パターンのデータとを比較して各ビットドット毎に配線パターンの有無を割り付け、多層配線基板の各層をm、要素をnとして配線パターンの有り割り付けられた総数B(m,n)とビットドットの総数S(m,n)との比B(m,n)/S(m,n)から各層mの各要素nにおける残銅率z(m,n)を算出させ、各層mの各要素nにおける残銅率z(m,n)を受け取ると共に、多層配線基板の配線パターンの形成に用いられる銅箔の密度ρ 、銅箔の弾性率E 、絶縁材の密度ρ 、絶縁材の弾性率E を設定し、各層mの各要素nの密度ρ(m,n)を、
ρ(m,n)=ρ ・z(m,n)+ρ ・(1−z(m,n))
を演算し求め、かつ各層mの各要素nの弾性率E(m,n)を、
=E ・z(m,n)+E ・{1−z(m,n)}
=E ・E /[E ・z(m,n)+E ・{1−z(m,n)}]
ν LT =ν ・z(m,n)+ν ・{1−z(m,n)}
LT =1/[z(m,n)G /+{1−z(m,n)}/G
ν TL =ν LT ・E /E
E(m,n)={E +E −2E ・ν TL +4G LT (1−ν LT ・ν TL
÷{3(E +E )+2E ・ν TL +4G LT (1−ν LT ・ν TL )}
×(E +E +2E ・ν TL
÷(1−ν LT ・ν TL
を演算して求めさせ、各層mの各要素nの密度ρ(m,n)、各層mの各要素nの弾性率E(m,n)に基づいて多層配線基板に熱を供給したときの多層配線基板の各層mの各要素n毎に反りを解析させる基板の反り解析プログラムである
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態について図面を参照して説明する。
【0017】
図1は多層配線基板の反り解析システムの構成図である。基板CAD1(基板データ作成手段)は、多層配線基板のモデリングを行う基板CADプログラムを有し、オペレータによる操作を受けて多層配線基板の3次元モデルデータを作成する機能を有する。この3次元モデルデータは、多層配線基板の外形のデータDと、多層配線基板の各層に形成される各配線パターンのデータDとを有する。
【0018】
有限要素法解析部2は、有限要素法解析プログラムを有し、基板CAD1において作成された3次元モデルデータのうち多層配線基板の外形のデータDを受け取り、この外形のデータDに基づいて多層配線基板を各層毎にそれぞれ複数に分割する任意形状の複数の要素を作成する機能を有する。
【0019】
図2は多層配線基板の各層(第1層〜第k層)における複数の要素nを示す。これら要素nは、これら要素nの分割によって生じる節点に通し番号を付すと共に、これら節点番号と節点座標とから構成される。これら要素nは、任意形状の閉曲線からなり、その面積は、後述する図4に示すビットドットbを含めてコンピュータにより計算可能な大きさである。なお、各要素nの濃淡の違いは、後述する残銅率算出部3により求められる各要素毎の残銅率を示す。
【0020】
又、有限要素法解析部2は、リフロー工程におけるリフロー条件R、例えば多層配線基板の加熱温度が設定され、後述する物性値算出部4により算出された各要素毎の機械的な物性値Hを受け取り、リフロー条件R及び物性値Hに基づいてリフロー工程における多層配線基板の反りを解析する機能を有する。
【0021】
残銅率算出部(パターン割合算出手段)3は、図3に示す残銅率算出プログラムのフローチャートに従って動作し、基板CAD1において作成された配線パターンのデータDと有限要素法解析部2により作成された各要素nとを受け取り、これら配線パターンのデータDと各要素nとを比較して、各要素n毎に配線パターンの占める割合、具体的には、各要素n毎に配線パターンを形成する銅箔の占める割合を示す残銅率z(m,n)を算出する機能を有する。
【0022】
図4は残銅率算出を説明するための模式図であって、残銅率算出部3は、各要素n毎に残銅率z(m,n)を算出する。先ず、要素nを複数のビットドット(微小要素)bに分割する。これらビットドットbは、正方形で、要素nよりも十分小さいサイズである。次に、各ビットドットbにおいて配線パターンPのある部分に「1」、パターンPの無い部分に「0」を割り付ける。そして、多層配線基板の各層をm、要素nをnとし、層mの要素nにおいて「1」の割り付けられた総数B(m,n)とビットドットbの総数S(m,n)との比から層mの要素nにおける残銅率z(m,n)
残銅率z(m,n)=B(m,n)/S(m,n) …(1)
を算出する。
【0023】
図2は残銅率算出部3により算出された層m、要素n毎の残銅率z(m,n)の一例を示す。同図では、残銅率z(0〜100%)を4つに分けて、それぞれを異なる濃淡色で示している。例えば第1層に示すように残銅率zの分布から配線パターンPに粗密があることが分る。
【0024】
物性値算出部4は、図5に示す物性値算出プログラムのフローチャートに従って動作し、残銅率算出部3により算出された各層mの各要素nにおける残銅率z(m,n)に基づいて各層mの各要素n毎の機械的な物性値、例えば密度ρ(m,n)、弾性率E(m,n)などを算出する機能を有する。
【0025】
ここで、物性値算出部4は、残銅率算出部3により算出された各層mの各要素nにおける残銅率z(m,n)を受け取ると共に、多層配線基板の配線パターンPの形成に用いられる銅箔の密度ρ、銅箔の弾性率E、絶縁材の密度ρ、絶縁材の弾性率Eが設定される。
【0026】
物性値算出部4は、層mの要素nの密度ρ(m,n)を図5に示す式(2)を演算して求め、かつ層mの要素nの弾性率E(m,n)を図5に示す式(3)〜式(8)を演算して求める。
【0027】
ここで、多層配線基板は、樹脂などから成る絶縁層と配線パターンを形成する銅箔層とから形成されるので、密度ρ(m,n)や弾性率E(m,n)の物性値Hは、樹脂(絶縁層)又は銅箔(配線パターン)のいずれに近い物性かを示す値である。
【0028】
なお、物性値算出部4は、層m、要素n毎の機械的な物性値Hとして例えばポアソン比ν(m,n)、線膨張係数α(m,n)を求めるようにしてもよい。
【0029】
ポアソン比ν(m,n)は、次式により求められる。
【0030】
ν(m,n)={E+E+6EνTL−4GLT(1−νLTνTL)}
/{3(E+E)+2EνTL+4GTL(1−νLTνTL)}
…(9)
線膨張係数α(m,n)は、次式により求められる。
【0031】
α=[αZ(m,n)E+α{1−Z(m,n))}E
/[Z(m,n)E+{1−Z(m,n)}E
α=(1+ν )αZ(m,n)+(1+ν)α{1−Z(m,n)}−νLTα
…(10)
α(m,n)=(α +α )/2+{(α−α)(E−E)}
/[2{E+(1+2νLT))E)] …(11)
次に、上記の如く構成されたシステムの作用について図6に示す基板の反り解析フローチャートに従って説明する。
【0032】
基板CAD1は、オペレータによる操作を受けて、多層配線基板の外形のデータDと、多層配線基板の各層に形成される各配線パターンのデータDとを有する多層配線基板の3次元モデルデータを作成する。
【0033】
次に、有限要素法解析部2は、ステップ#1において、基板CAD1において作成された3次元モデルデータのうち多層配線基板の外形のデータDを受け取り、この外形のデータDに基づいて図2に示すように多層配線基板の各層(第1層〜第k層)毎にそれぞれ複数に分割する任意形状の複数の要素nを作成する。
【0034】
次に、残銅率算出部3は、ステップ#2において、図3に示す残銅率算出プログラムのフローチャートに従って配線パターンPの占める割合、すなわち各要素n毎に配線パターンの占める割合、具体的には、各要素n毎に配線パターンを形成する銅箔の占める割合を示す残銅率z(m,n)を算出する。
【0035】
すなわち、残銅率算出部3は、ステップ#21において、基板CAD1において作成された配線パターンのデータDを受け取ると共に、有限要素法解析部2により作成された多層配線基板の各層m、各要素nを受け取る。
【0036】
次に、残銅率算出部3は、ステップ#22において、多層配線基板の各層mの各要素nを例えば図4に示すように複数の正方形のビットドットbに分割する。
【0037】
次に、残銅率算出部3は、ステップ#23において、各ビットドットbにおいて配線パターンPのある部分に「1」、パターンPの無い部分に「0」を割り付ける。
【0038】
次に、残銅率算出部3は、ステップ#24において、多層配線基板における全ての層mの要素nにおけるビットドットbが層mの要素nに含まれるか否かを判断し、含まれれば、ステップ#25に移り、各層mの各要素nのビットドットbに割り付けた値が「1」又は「0」であるかを判断し、「1」が割り付けられていれば、ステップ#26に移って配線パターンPのあるビットドットbをカウントし、その総数B(m,n)を求める。
【0039】
又、残銅率算出部3は、ビットドットbに「0」が割り付けられていれば、ステップ#27に移ってビットドットbをカウントし、その総数S(m,n)を求める。
【0040】
これ以降、残銅率算出部3は、多層配線基板における全ての層mの要素nにおけるビットドットbに割り付けられた「1」又は「0」を判断し、全ての層mの要素nの各ビットドットbについてステップ#24〜#27の処理を繰り返す。
【0041】
全ての層mの要素nの各ビットドットbについての処理が終了すると、残銅率算出部3は、ステップ#28に移り、層mの要素nにおいて「1」の割り付けられた総数B(m,n)とビットドットbの総数S(m,n)との比から層mの要素nにおける残銅率z(m,n)を上記式(1)を演算して算出する。
【0042】
次に、物性値算出部4は、ステップ#3において、図5に示す物性値算出プログラムのフローチャートに従って動作し、残銅率算出部3により算出された各層mの各要素nにおける残銅率z(m,n)に基づいて各層mの各要素n毎の機械的な物性値、例えば密度ρ(m,n)、弾性率E(m,n)などを算出する。
【0043】
すなわち、物性値算出部4は、ステップ#31において、残銅率算出部3により算出された各層mの各要素nにおける残銅率z(m,n)を受け取ると共に、多層配線基板の配線パターンPの形成に用いられる銅箔の密度ρ、銅箔の弾性率E、絶縁材の密度ρ、絶縁材の弾性率Eが設定される。
【0044】
次に、物性値算出部4は、ステップ#32、#33において、層mの要素nの密度ρ(m,n)を図5に示す式(2)を演算して求め、かつ層mの要素nの弾性率E(m,n)を図5に示す式(3)〜式(8)を演算して求める。
【0045】
次に、有限要素法解析部2は、ステップ#4において、リフロー工程におけるリフロー条件R、例えば多層配線基板の加熱温度が設定され、かつ物性値算出部4により算出された各要素n毎の機械的な物性値H、すなわち層mの要素nの密度ρ(m,n)、層mの要素nの弾性率E(m,n)を受け取り、リフロー条件R及び物性値Hに基づいてリフロー工程における多層配線基板の反りを解析する。
【0046】
このようにリフロー工程における多層配線基板の反りが解析されると、この解析結果からリフロー工程における多層配線基板に問題があるか又はないかがオペレータによって判断される。この判断の結果、多層配線基板に問題がなければ、多層配線基板の設計を終了する。
【0047】
多層配線基板に問題があれば、オペレータは、多層配線基板の設計変更を行い、基板CAD1を操作し、設計変更した多層配線基板の外形のデータDと、多層配線基板の各層に形成される各配線パターンのデータDとを有する多層配線基板の3次元モデルデータを作成することになる。
【0048】
このように上記一実施の形態においては、多層配線基板の外形などを示すモデルデータに基づいて多層配線基板を複数に分割する任意形状の複数の要素nを作成し、次に多層配線基板に形成される配線パターンPのデータと各要素nとを比較して各層m、各要素n毎に配線パターンPの占める割合を残銅率z(m,n)により算出し、次に各要素n毎の残銅率z(m,n)に基づいて各層m、各要素毎の機械的な物性値H、例えば密度ρ(m,n)、弾性率E(m,n)を算出し、これら密度ρ(m,n)、弾性率E(m,n)に基づいて多層配線基板の反りを解析するので、多層配線基板上における配線パターンPの粗密に起因する機械的物性値Hを例えば密度ρ(m,n)、弾性率E(m,n)により求めることができ、これら密度ρ(m,n)、弾性率E(m,n)からリフロー工程における多層配線基板の反りを正確に予測することができる。
【0049】
例えば、多層配線基板の層m、要素n毎の残銅率z(m,n)に基づいて層m、要素n毎の機械的な物性値H、例えば密度ρ(m,n)、弾性率E(m,n)を算出するので、多層配線基板の層m、要素n毎に反りを解析することができ、例えば多層配線基板のどの部分に反りが最も発生かるのかを予測でき、リフロー工程における多層配線基板に問題があるか又はないかを正確に判断できる。
【0050】
なお、本発明は、上記一実施の形態に限定されるものでなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。
【0051】
さらに、上記実施形態には、種々の段階の発明が含まれており、開示されている複数の構成要件における適宜な組み合わせにより種々の発明が抽出できる。例えば、実施形態に示されている全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出できる。
【0052】
例えば、上記一実施の形態では、リフロー工程における多層配線基板の反りの解析について説明したが、これに限らず、リフロー工程などの熱を供給したときの単層のプリント配線基板の反りを解析できることは言うまでもなく、例えば液晶ディスプレイに用いるガラス基板や半導体デバイスの基板、さらには金属板などの反りの解析にも適用できる。
【0053】
【発明の効果】
以上詳記したように本発明によれば、コンピュータにより有限要素法解析プログラムを実行することにより多層配線基板の少なくとも形状を示すモデルデータに基づいて有限要素法解析法によって多層配線基板を各層毎に複数に分割する任意形状の閉曲線からなる複数の要素を作成し、コンピュータにより残銅率算出プログラムを実行することにより多層配線基板の各層毎に複数の要素をそれぞれ複数のビットドットに分割し、これらビットドットと基板に形成される配線パターンのデータとを比較して各ビットドット毎に配線パターンの有無を割り付け、多層配線基板の各層をm、要素をnとして配線パターンの有り割り付けられた総数B(m,n)とビットドットの総数S(m,n)との比B(m,n)/S(m,n)から各層mの各要素nにおける残銅率z(m,n)を算出し、コンピュータにより物性値算出プログラムを実行することにより各層mの各要素nにおける残銅率z(m,n)を受け取ると共に、多層配線基板の配線パターンの形成に用いられる銅箔の密度ρ 、銅箔の弾性率E 、絶縁材の密度ρ 、絶縁材の弾性率E を設定し、各層mの前記各要素nの密度ρ(m,n)を、
ρ(m,n)=ρ ・z(m,n)+ρ ・(1−z(m,n))
を演算し求め、かつ各層mの各要素nの弾性率E(m,n)を、
=E ・z(m,n)+E ・{1−z(m,n)}
=E ・E /[E ・z(m,n)+E ・{1−z(m,n)}]
ν LT =ν ・z(m,n)+ν ・{1−z(m,n)}
LT =1/[z(m,n)G /+{1−z(m,n)}/G
ν TL =ν LT ・E /E
E(m,n)={E +E −2E ・ν TL +4G LT (1−ν LT ・ν TL
÷{3(E +E )+2E ・ν TL +4G LT (1−ν LT ・ν TL )}
×(E +E +2E ・ν TL
÷(1−ν LT ・ν TL
を演算して求め、各層mの各要素nの密度ρ(m,n)、各層mの各要素nの弾性率E(m,n)に基づいて多層配線基板に熱を供給したときの多層配線基板の各層mの各要素n毎に反りを解析するので、配線パターンの粗密に起因する差異を反映して多層配線基板の各層mの各要素n毎に反りを解析することができ、多層配線基板のどの部分に反りが最も発生かるのかを正確に予測できる基板の反り解析方法及びそのシステム、基板の反り解析プログラムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる多層配線基板の反り解析システムの一実施の形態を示す構成図。
【図2】本発明に係わる多層配線基板の反り解析システムの一実施の形態における多層配線基板における各要素を示す図。
【図3】本発明に係わる多層配線基板の反り解析システムの一実施の形態における残銅率算出フローチャート。
【図4】本発明に係わる多層配線基板の反り解析システムの一実施の形態における残銅率算出を説明するための模式図。
【図5】本発明に係わる多層配線基板の反り解析システムの一実施の形態における物性値算出フローチャート。
【図6】本発明に係わる多層配線基板の反り解析システムの一実施の形態における基板の反り解析フローチャート。
【符号の説明】
1:基板CAD
2:有限要素法解析部
3:残銅率算出部
4:物性値算出部

Claims (6)

  1. コンピュータの演算処理により配線パターンの形成された各層から成る多層配線基板に発生する反りを解析する基板の反り解析方法において、
    前記コンピュータにより有限要素法解析プログラムを実行することにより前記多層配線基板の少なくとも形状を示すモデルデータに基づいて有限要素法解析法によって前記多層配線基板を各層毎に複数に分割する任意形状の閉曲線からなり前記コンピュータにより計算可能な面積を有する複数の要素を作成し、
    前記コンピュータにより残銅率算出プログラムを実行することにより前記多層配線基板の前記各層毎に前記複数の要素をそれぞれ複数のビットドットに分割し、これらビットドットと前記基板に形成される配線パターンのデータとを比較して前記各ビットドット毎に前記配線パターンの有無を割り付け、前記多層配線基板の前記各層をm、前記要素をnとして前記配線パターンの有り割り付けられた総数B(m,n)と前記ビットドットの総数S(m,n)との比B(m,n)/S(m,n)から前記各層mの前記各要素nにおける残銅率z(m,n)を算出し、
    前記コンピュータにより物性値算出プログラムを実行することにより前記各層mの前記各要素nにおける残銅率z(m,n)を受け取ると共に前記多層配線基板の前記配線パターンの形成に用いられる銅箔の密度ρ 、銅箔の弾性率E 、絶縁材の密度ρ 、前記絶縁材の弾性率E を設定し、前記各層mの前記各要素nの密度ρ(m,n)を、
    ρ(m,n)=ρ ・z(m,n)+ρ ・(1−z(m,n))
    を演算し求め、かつ前記各層mの前記各要素nの弾性率E(m,n)を、
    =E ・z(m,n)+E ・{1−z(m,n)}
    =E ・E /[E ・z(m,n)+E ・{1−z(m,n)}]
    ν LT =ν ・z(m,n)+ν ・{1−z(m,n)}
    LT =1/[z(m,n)G /+{1−z(m,n)}/G
    ν TL =ν LT ・E /E
    E(m,n)={E +E −2E ・ν TL +4G LT (1−ν LT ・ν TL
    ÷{3(E +E )+2E ・ν TL +4G LT (1−ν LT ・ν TL )}
    ×(E +E +2E ・ν TL
    ÷(1−ν LT ・ν TL
    を演算して求め、
    前記各層mの前記各要素nの密度ρ(m,n)、前記各層mの前記各要素nの前記弾性率E(m,n)に基づいて前記多層配線基板に熱を供給したときの前記多層配線基板の前記各層mの前記各要素n毎に反りを解析する、
    ことを特徴とする基板の反り解析方法。
  2. 前記コンピュータにより前記物性値算出プログラムを実行することにより前記各層m、前記各要素n毎にポアソン比γ(m,n)、線膨張係数α(m,n)を、
    γ(m,n)={E +E +6E ・ν TL −4G LT (1−ν LT ・ν TL )}
    ÷{3(E +E )+2E ・ν TL +4G TL (1−ν LT ・ν TL )}
    α =[α (m,n) α {1−z(m,n)}
    ÷[(m,n) {1−z(m,n)}
    α =(1−γ )α (m,n)+(1+γ )α {1−(m,n)}
    −ν LT ・α
    α(m,n)=(α −α )/2+{(α −α )・(E −E )}
    ÷[2{E +(1+2ν LT )}
    を演算し求め、
    前記各層mの前記各要素nの密度ρ(m,n)、前記各層mの前記各要素nの前記ポアソン比γ(m,n)、又は線膨張係数α(m,n)に基づいて前記多層配線基板の前記各 層mの前記各要素n毎に反りを解析することを特徴とする請求項1記載の基板の反り解析方法。
  3. 配線パターンが形成された各層から成る多層配線基板の少なくとも形状を示すモデルデータを作成する基板データ作成手段と、
    前記多層配線基板の少なくとも形状を示すモデルデータに基づいて有限要素法解析法によって前記多層配線基板を各層毎に複数に分割する任意形状の閉曲線からなる複数の要素を作成する有限要素法解析手段と、
    前記多層配線基板の前記各層毎に前記複数の要素をそれぞれ複数のビットドットに分割し、これらビットドットと前記基板に形成される配線パターンのデータとを比較して前記各ビットドット毎に前記配線パターンの有無を割り付け、前記多層配線基板の前記各層をm、前記要素をnとして前記配線パターンの有り割り付けられた総数B(m,n)と前記ビットドットの総数S(m,n)との比B(m,n)/S(m,n)から前記各層mの前記各要素nにおける残銅率z(m,n)を算出する残銅率算出手段と、
    前記各層mの前記各要素nにおける残銅率z(m,n)を受け取ると共に、前記多層配線基板の前記配線パターンの形成に用いられる銅箔の密度ρ 、銅箔の弾性率E 、絶縁材の密度ρ 、前記絶縁材の弾性率E を設定し、前記各層mの前記各要素nの密度ρ(m,n)を、
    ρ(m,n)=ρ ・z(m,n)+ρ ・(1−z(m,n))
    を演算し求め、かつ前記各層mの前記各要素nの弾性率E(m,n)を、
    =E ・z(m,n)+E ・{1−z(m,n)}
    =E ・E /[E ・z(m,n)+E ・{1−z(m,n)}]
    ν LT =ν ・z(m,n)+ν ・{1−z(m,n)}
    LT =1/[z(m,n)G /+{1−z(m,n)}/G
    ν TL =ν LT ・E /E
    E(m,n)={E +E −2E ・ν TL +4G LT (1−ν LT ・ν TL
    ÷{3(E +E )+2E ・ν TL +4G LT (1−ν LT ・ν TL )}
    ×(E +E +2E ・ν TL
    ÷(1−ν LT ・ν TL
    を演算して求める物性値算出手段とを具備し、
    前記有限要素法解析手段は、前記各層mの前記各要素nの密度ρ(m,n)、前記各層mの前記各要素nの前記弾性率E(m,n)に基づいて前記多層配線基板に熱を供給したときの前記多層配線基板の前記各層mの前記各要素n毎に反りを解析する、
    ことを特徴とする基板の反り解析システム
  4. 前記物性値算出手段は、前記各層m、前記各要素n毎にポアソン比γ(m,n)、線膨張係数α(m,n)を、
    γ(m,n)={E +E +6E ・ν TL −4G LT (1−ν LT ・ν TL )}
    ÷{3(E +E )+2E ・ν TL +4G TL (1−ν LT ・ν TL )}
    α =[α (m,n) α {1−z(m,n)}
    ÷[(m,n) {1−z(m,n)}
    α =(1−γ )α (m,n)+(1+γ )α {1−(m,n)}
    −ν LT ・α
    α(m,n)=(α −α )/2+{(α −α )・(E −E )}
    ÷[2{E +(1+2ν LT )}
    を演算し求め、
    前記有限要素法解析手段は、前記各層mの前記各要素nの密度ρ(m,n)、前記各層mの前記各要素nの前記ポアソン比γ(m,n)、又は線膨張係数α(m,n)に基づいて前記多層配線基板の前記各層mの前記各要素n毎に反りを解析することを特徴とする請求項3記載の基板の反り解析システム
  5. コンピュータの演算処理により実行され、配線パターンが形成された各層から成る多層配線基板に発生する反りを解析させる基板の反り解析プログラムにおいて、
    前記多層配線基板の少なくとも形状を示すモデルデータに基づいて有限要素法解析法によって前記多層配線基板を各層毎に複数に分割する任意形状の閉曲線からなる複数の要素を作成させ、
    前記多層配線基板の前記各層毎に前記複数の要素をそれぞれ複数のビットドットに分割し、これらビットドットと前記基板に形成される配線パターンのデータとを比較して前記各ビットドット毎に前記配線パターンの有無を割り付け、前記多層配線基板の前記各層をm、前記要素をnとして前記配線パターンの有り割り付けられた総数B(m,n)と前記ビットドットの総数S(m,n)との比B(m,n)/S(m,n)から前記各層mの前記各要素nにおける残銅率z(m,n)を算出させ、
    前記各層mの前記各要素nにおける残銅率z(m,n)を受け取ると共に、前記多層配線基板の前記配線パターンの形成に用いられる銅箔の密度ρ 、銅箔の弾性率E 、絶縁材の密度ρ 、前記絶縁材の弾性率E を設定し、前記各層mの前記各要素nの密度ρ(m,n)を、
    ρ(m,n)=ρ ・z(m,n)+ρ ・(1−z(m,n))
    を演算し求め、かつ前記各層mの前記各要素nの弾性率E(m,n)を、
    =E ・z(m,n)+E ・{1−z(m,n)}
    =E ・E /[E ・z(m,n)+E ・{1−z(m,n)}]
    ν LT =ν ・z(m,n)+ν ・{1−z(m,n)}
    LT =1/[z(m,n)G /+{1−z(m,n)}/G
    ν TL =ν LT ・E /E
    E(m,n)={E +E −2E ・ν TL +4G LT (1−ν LT ・ν TL
    ÷{3(E +E )+2E ・ν TL +4G LT (1−ν LT ・ν TL )}
    ×(E +E +2E ・ν TL
    ÷(1−ν LT ・ν TL
    を演算して求めさせ、
    前記各層mの前記各要素nの密度ρ(m,n)、前記各層mの前記各要素nの前記弾性率E(m,n)に基づいて前記多層配線基板に熱を供給したときの前記多層配線基板の前記各層mの前記各要素n毎に反りを解析させる、
    ことを特徴とする基板の反り解析プログラム
  6. 前記各層m、前記各要素n毎にポアソン比γ(m,n)、線膨張係数α(m,n)を、
    γ(m,n)={E +E +6E ・ν TL −4G LT (1−ν LT ・ν TL )}
    ÷{3(E +E )+2E ・ν TL +4G TL (1−ν LT ・ν TL )}
    α =[α (m,n) α {1−z(m,n)}
    ÷[(m,n) {1−z(m,n)}
    α =(1−γ )α (m,n)+(1+γ )α {1−(m,n)}
    −ν LT ・α
    α(m,n)=(α −α )/2+{(α −α )・(E −E )}
    ÷[2{E +(1+2ν LT )}
    を演算し求めさせ、
    前記各層mの前記各要素nの密度ρ(m,n)、前記各層mの前記各要素nの前記ポアソン比γ(m,n)、又は線膨張係数α(m,n)に基づいて前記多層配線基板の前記各層mの前記各要素n毎に反りを解析させることを特徴とする請求項5記載の基板の反り解析プログラム
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