JP3922086B2 - 運転者用エアバッグ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両のステアリングホイールに搭載されるエアバッグ装置のエアバッグに関する。
【0002】
【従来の技術とその課題】
従来、エアバッグ装置のエアバッグにおいては、インフレーターから供給される膨張用ガスによって、所定形状に膨らんだ後、エアバッグの内圧が所定値以上に高くならないようにするために、余剰の膨張用ガスをエアバッグから排出するベントホールを、備えて構成されていた。
【0003】
そして、このベントホールが、エアバッグの膨張当初から開口していては、所定形状に膨らむ時間が遅れることから、エアバッグの内圧が一定値以上に達した時にベントホールが形成されるように、エアバッグの周壁には、断続的な直線状のスリットを複数配設して、スリット群を形成し、スリット間の破断予定部を破断させて、膨張用ガスを排出可能なベントホールを大きく開口させるものがあった(実開平9−134号公報等参照)。
【0004】
さらに、このようなスリット群が、エアバッグの膨張完了前における膨張初期等に、不用意に破断しないように、直線状のスリットを、膨張初期に周壁に対して瞬間的かつ衝撃的に作用する引張力の作用方向に沿わせて、配設するエアバッグもあった(特開2001−354108号公報参照)。
【0005】
しかし、上記の構成を、運転者用エアバッグに適用しようとして、スリット群を構成する複数の直線状スリットを、膨張初期に周壁に対して作用する引張力の作用方向、すなわち、エアバッグのガス流入口を中心とする中心線に沿って、配設させても、開口したベントホールから、余剰の膨張用ガスを的確に排出できない虞れがあった。
【0006】
本発明は、上述の課題を解決するものであり、膨張初期に不用意にベントホールを開口させず、かつ、ベントホールの開口時には、円滑に、膨張用ガスを排出可能な運転者用エアバッグを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る運転者用エアバッグは、ステアリングホイールにおけるリング部の中央付近のボス部に搭載されるエアバッグ装置に使用され、
膨張用ガスを流入させるためのガス流入口を有したボス部側の壁部と、運転者側の壁部と、を備えるとともに、ボス部側壁部に、余剰の膨張用ガスを排出可能なベントホールを備えた運転者用エアバッグであって、
複数の直線状のスリットを、ガス流入口を中心とする中心線に略沿うように、配置させて形成されるスリット群が、ボス部側壁部に、配設され、
スリット群が、直線状スリットの間の破断予定部を破断させて、ベントホールを形成する構成として、
スリット群が、膨張完了時のエアバッグにおけるリング部の外方側に位置するように、配設され、
各直線状スリットにおける破断予定部側の端部が、それぞれのスリットにおける端部から離れた一般部の幅寸法より、幅寸法を広くしているとともに、先細り状とした三角状の開口としていることを特徴とする。
【0008】
本発明に係る運転者用エアバッグでは、エアバッグの膨張完了時、ベントホールが開口しても、そのベントホールは、ステアリングホイールのリング部の外方側に位置することから、ステアリングホイールのリング部やスポーク部に塞がれることなく、円滑に、膨張用ガスを排出することができる。
【0009】
勿論、ベントホールは、複数の直線状のスリットを、ガス流入口を中心とする中心線に略沿うように、配置させたスリット群から、構成されているため、膨張初期に、ボス部側壁部に、瞬間的に大きな衝撃的な引張力が作用しても、その衝撃的な引張力は、ガス流入口を中心とした放射状、すなわち、破断予定部を間にする直線状スリットの配列方向に沿って、作用するものであり、スリット群の破断予定部を破断させる方向、すなわち、直線状スリットの配列方向に略直交する方向に、作用しないことから、エアバッグの膨張初期に、不用意にベントホールを開口させない。
【0010】
したがって、本発明に係る運転者用エアバッグでは、膨張初期に不用意にベントホールを開口させず、かつ、ベントホールの開口時には、円滑に、膨張用ガスを排出させることができる。
また、各直線状スリットにおける破断予定部側の端部を、それぞれのスリットにおける端部から離れた一般部の幅寸法より、幅寸法を広くしていれば、破断予定部に隣接する各スリットの端部が、幅寸法を大きくしているため、それらのスリットにおける一般部の幅寸法が小さくとも、破断予定部の目視が容易となる。そのため、破断予定部の長さ寸法の確認が、効率的に、行なえる。
この場合、破断予定部側の各端部が、先細り状とした三角状の開口としていれば、各スリットの端部が、一般部とともに、矢印のように、破断予定部を指す形状となる。そのため、破断予定部の位置が、視覚的に、よく把握できて、破断予定部の長さ寸法の確認が、一層、効率的となる。また、隣接する各スリットの端部相互が幅広であっても、破断予定部側に、応力集中が生じやすく、破断予定部を的確に破断させることができる。
【0011】
そして、請求項2に記載するように、スリット群の両端におけるガス流入口側の端部とボス部側壁部の外周縁側の端部とには、それぞれ、破断予定部を間にした直線状スリットの配列方向と略直交する方向の両側に、切れ目を連続させて延びる横穴部を設け、破断予定部を破断させて開口するベントホールを、両端の横穴部を短辺側とする長方形状に、開口するように形成されていれば、つぎのような作用・効果を得ることができる。
【0012】
すなわち、このような構成のベントホールでは、スリット群の両端における横穴部の先端相互を結ぶ直線状の部位を、ヒンジ部とし、このヒンジ部とスリット群とに囲まれた部位を、扉部として、二枚の扉部が、ヒンジ部を回転中心として、開いて、ベントホールが長方形状に開口されることとなる。そのため、二枚の扉部を開口させてベントホールを形成することから、単に、一文字状の直線状のスリットを、直列的に配設させたスリット群からなるベントホールに比べて、ベントホールの開口面積を、エアバッグ毎に、大きくできるとともに、安定させることができる。ちなみに、一文字状の直線状のスリットを配設させたスリット群からなるベントホールでは、開口時、ベントホール周縁をベントホールの幅方向に広げて開口することから、開口幅が変動すれば、開口面積が容易に変化してしまう。
【0013】
さらにまた、二枚の扉部を開いて、長方形形状のベントホールを開口させるように、形成する場合には、同じ開口形状を一枚の扉部で形成するような、スリット群の各スリットを、正面視の状態で、コ字形状に配設させる場合に比べて、つぎのような作用・効果を得ることができる。すなわち、扉部周縁におけるヒンジ部近傍の側縁の長さについて、一枚の扉部に比べ、二枚の扉部では、それぞれの側縁の長さを短くすることができる。そのため、破断時(扉部の開き時)における側縁に沿う引き裂き力の慣性力を小さくすることができて、ヒンジ部の両端付近で、破断を延長させるような引き裂きを防止することができ、開口面積の精度を向上させることができる。
【0014】
そして、請求項3に記載したように、これらのスリット群が、ボス部側壁部に、複数、配設されていれば、一つのベントホールを開口させる場合に比べて、ベントホールからの膨張用ガスの排気中に、エアバッグのぶれを抑えて、エアバッグを安定させておくことができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明すると、図6に示すように、実施形態の運転者用エアバッグ10は、ステアリングホイールWに搭載されるエアバッグ装置Mに使用されるものであり、膨張完了時に、略球状に膨張する(図1・2参照)。
【0018】
なお、ステアリングホイールWは、図1の二点鎖線や図6に示すように、操舵時に把持する円環状のリング部Rと、リング部Rの中央に配置されるボス部Bと、ボス部Bとリング部Rとを連結するスポーク部Sと、を備えて構成されている。
【0019】
また、エアバッグ装置Mは、図6に示すように、エアバッグ10に膨張用ガスを供給するインフレーター3、折り畳まれたエアバッグ10を覆うパッド4、バッグホルダ1、及び、エアバッグ10をバッグホルダ1に取り付けるための円環状のリテーナ2、を備えて構成されている。バッグホルダ1は、エアバッグ10、インフレーター3、及び、パッド4を保持して、ステアリングホイールWの芯金6に取り付ける部材である。
【0020】
そして、エアバッグ10は、図1・2に示すように、平らに展開させた際の形状を共に円形板状とする運転者側の壁部11とボス部B側の壁部12と、を備えて構成され、壁部11・12の外周縁相互を、縫合糸30を使用して縫着して、形成されている。なお、これらの壁部11・12は、実施形態の場合、図4に示すように、ポリエステルやポリアミド等の合成樹脂製のマルチフィラメント糸を平織り等で織成した可撓性を有する基布8と、基布8におけるエアバッグ10の内周面側に設けられたコーティング層9と、から構成されている。コーティング層9は、基布8の耐熱性を向上させるために設けられるものであり、ウレタン等を刷け塗りやスプレー塗布等によって、設けられている。さらに、縫合糸30は、ポリアミド等のマルチフィラメント糸としている。
【0021】
ボス部側壁部12は、エアバッグ10内に膨張用ガスを流入させるための円形に開口したガス流入口13を中央に配設させている。このガス流入口13には、インフレーター3のガス吐出口3a側が挿入されることとなる。ガス流入口13の周囲には、エアバッグ10をバッグホルダ1に取り付けるための複数の取付孔14が、形成されている。これらの取付孔14には、リテーナ2の図示しないボルトが挿入されて、図示しないこれらのボルトは、エアバッグ10の取付孔14、バッグホルダ1、及び、インフレーター3のフランジ部3bを挿通して、ナット止めされることにより、エアバッグ10とインフレーター3とをバッグホルダ4に取り付けている。
【0022】
ボス部側壁部12には、図1に示すように、ベントホール15を形成するためのスリット群16が、二箇所に形成されている。これらのスリット群16は、図3・4に示すように、複数の直線状スリット17・18・22を、破断予定部26を間にして、直線状に配設させて、形成されている。破断予定部26を間にするスリット17・18・22の配列方向IDは、それぞれ、ガス流入口13を中心Cとする中心線X1・X2に沿うように、配置されている。
【0023】
なお、各スリット群16は、ガス流入口13を中心とした前後方向(エアバッグ10のステアリングホイールWへの搭載状態での車両の前後方向と一致する)の中央線CLを基準に、左右対称形に配置されて、中央線CLからの中心線X1・X2の各角度θを、約21°としている。
【0024】
また、各スリット群16・16は、図1・2・6に示すように、膨張完了時のエアバッグ10におけるステアリングホイールWのリング部Rの外方側に位置するように、配設されている。ちなみに、通常のステアリングホイールWのリング部Rの外径寸法D0(図1参照)は、370〜400φ程度であり、それらのステアリングホイールWに対応できるように、実施形態の場合、各スリット群16のガス流入口13側の端部16aは、ボス部側壁部12を平らに展開させた状態のガス流入口13の中心Cからの距離r1を、240mm程度として、各スリット群16が配置されている。
【0025】
さらに、各スリット群16におけるボス部側壁部12の外周縁側の端部16bの位置は、ボス部側壁部12の外周縁側に接近しすぎると、壁部11・12の外周縁相互の縫合部位により、壁部12の伸びが抑えられていることから、ベントホール15の形成時、後述する横穴部24・25の各先端部24a・25a(図3・5参照)が、延長されるように、破断する虞れがある。そのため、壁部11・12の外周縁相互の縫合部位から中心C側に、距離r2を、20mm以上、確保できるように、配設されている(図1参照)。実施形態の場合、距離r2は、ボス部側壁部12を平らに展開させた状態で、44mmとしている。
【0026】
そして、図3・4に示すように、スリット群16の直線状スリット17は、略I字形状の開口として、直線状スリット18・22の間に1個配設されている。また、直線状スリット18・22は、各スリット群16の両端16a・16b側に、それぞれ、配設されている。
【0027】
直線状スリット18は、スリット群16におけるガス流入口13側となる端部16a側に配置されるもので、逆T字状に開口し、直線状スリット22は、各スリット群16におけるボス部側壁部12の外周縁側となる端部16b側に配置されるもので、T字状に開口している。
【0028】
すなわち、直線状スリット18は、中心線X1・X2にそれぞれ沿ったスリット18の本体としての縦穴部19と、縦穴部19におけるガス流入口13側の端部19aに配置される横穴部20・21と、を備えて構成されている。横穴部20・21は、縦穴部19のガス流入口13側の端部19aにおいて、縦穴部19の切れ目(スリット)を連続させて、スリット17・18・22の配列方向IDと直交するように、相互に対称形として、両側に延びている。
【0029】
また、直線状スリット22は、中心線X1・X2にそれぞれ沿ったスリット22の本体としての縦穴部23と、縦穴部23におけるボス部側壁部12の外周縁側の端部23cに配置される横穴部24・25と、を備えて構成されている。横穴部24・25は、縦穴部23におけるボス部側壁部12の外周縁側の端部23cにおいて、縦穴部23の切れ目(スリット)を連続させて、スリット17・18・22の配列方向IDと直交するように、相互に対称形として、両側に延びている。
【0030】
そして、各スリット群16では、図3・5に示すように、スリット17・18・22の相互の間の破断予定部26が破断された際、スリット群16の両端16a・16b側の横穴部20・21・24・25を短辺側とする長方形状に、ベントホール15が開口することとなる。すなわち、各スリット群16は、両端16a・16bにおける横穴部20・24の先端部20a・24a相互を結ぶ直線状の部位と、横穴部21・25の先端部21a・25a相互を結ぶ直線状の部位と、を、それぞれヒンジ部27・27とし、ヒンジ部27・27とスリット群16とに囲まれた部位を、二枚の扉部28・28として、エアバッグ10の内圧上昇時、スリット17・18・22間の二つの破断予定部26を破断させて、扉部28・28が、それぞれ、ヒンジ部27を回転中心として、観音扉のように開いて、長方形形状のベントホール15が開口されるように、構成されている。
【0031】
なお、実施形態の場合には、扉部28・28の先端縁28aが、それぞれの扉部28の側縁28bより長さ寸法を長くして(二枚分の扉部28の側壁28bの合計寸法より長くして)いる。
【0032】
また、各直線状スリット17・18・22における破断予定部26側の端部17a・17c・19c・23aは、それぞれのスリット17・18・22における端部17a・17c・19c・23aから離れた一般部17b・19b・23bの幅寸法Y0より、幅寸法Y1を広くしている。
【0033】
さらに、実施形態の場合、各端部17a・17c・19c・23aは、破断予定部25側に先細り状とした三角状の開口としている。
【0034】
ちなみに、実施形態では、各端部17a・17c・19c・23aの幅寸法Y1は2mm、一般部17b・19b・23bの幅寸法Y0は0.5mmとしている。また、各端部17a・17c・19c・23aの長さ寸法L3は3mm、各破断予定部26の長さ寸法L2は2.5mm、各スリット17・18・22の長さ寸法L1は15mm、スリット群16の長さ寸法L0は50mmとしている。さらに、スリット群16の幅寸法(横穴部20・21の長さ寸法)Y2は10mmとしている。
【0035】
実施形態のエアバッグ10の製造工程について述べれば、まず、ボス部側壁部12を所定形状に裁断した後、トムソン刃等によって、ガス流入口13、取付孔14、スリット17・18・22を孔明け加工する。なお、壁部12を所定形状に裁断する際、同時に、ガス流入口13やスリット17・18・22等を設けてもよい。また、運転者側壁部11も所定形状に裁断して、準備しておく。
【0036】
その後、外表面側相互を接触させて、壁部11・12を重ねて、外周縁相互を縫合し、ガス流入口13を利用して、反転させれば、エアバッグ10を製造することができる。
【0037】
さらに、エアバッグ装置Mの組立時には、まず、エアバッグ10の内周面側のガス流入口13の周縁に、円環状のリテーナ2を配置させるとともに、リテーナ2に固着された図示しない複数のボルトを、エアバッグ10の各取付孔14から突出させ、その状態で、エアバッグ10を折り畳む。
【0038】
エアバッグ10を折り畳んだ後には、リテーナ2に固着された図示しない複数のボルトを、インフレーター3のフランジ部3bやバッグホルダ1のそれぞれ図示しない取付孔に、貫通させて、ナット止めして、バッグホルダ1にエアバッグ10やインフレーター3を取り付ける。また、バッグホルダ1に、エアバッグ10の周囲を覆うパッド4を取り付ければ、エアバッグ装置Mの組立を完了させることができる。
【0039】
そして、組み立てたエアバッグ装置Mは、バッグホルダ1を利用して、ステアリングホイールWの所定部位に取り付ければ、エアバッグ装置MをステアリングホイールWに搭載させることができる。
【0040】
車両搭載後、インフレーター3のガス吐出口3aから膨張用ガスが吐出されれば、エアバッグ10が膨らみ始めて、パッド4の扉部4a(図6参照)を押し開き、ボス部Bの上方で、膨張を完了させることとなる。そして、エアバッグ10の内圧が所定値以上に上昇した際には、図2・5・6に示すように、スリット17・18・22間の破断予定部26が破断されて、扉部28・28がそれぞれヒンジ部27を回転中心として開いて、長方形形状の二つのベントホール15が開口されて、各ベントホール15から膨張用ガスが排出され、エアバッグ10の内圧の上昇が抑えられることとなる。
【0041】
その際、実施形態のエアバッグ10では、膨張完了時に、各ベントホール15が開口しても、それらのベントホール15は、図1・2・6に示すように、ステアリングホイールWのリング部Rの外方側に位置することから、ステアリングホイールWのリング部Rやスポーク部Sに塞がれることなく、円滑に、膨張用ガスを排出することができる。
【0042】
勿論、各ベントホール15は、複数の直線状のスリット17・18・22を、ガス流入口13を中心Cとする中心線X1・X2に沿うように、配置させたスリット群16から、構成されているため、膨張初期に、ボス部側壁部12に、瞬間的に大きな衝撃的な引張力が作用しても、その衝撃的な引張力は、ガス流入口13を中心とした放射状、すなわち、破断予定部26を間にした直線状スリット17・18・22の配列方向IDに沿って、作用するものであり、スリット群16の破断予定部26・26を破断させる方向、すなわち、直線状スリット17・18・22の配列方向IDに略直交する方向に、作用しないことから、エアバッグ10の膨張初期に、不用意にベントホール15・15を開口させない。
【0043】
したがって、実施形態の運転者用エアバッグ10では、膨張初期に不用意にベントホール15・15を開口させず、かつ、ベントホール15・15の開口時には、円滑に、膨張用ガスを排出させることができる。
【0044】
そして、実施形態では、スリット群16の両端となるガス流入口13側の端部16aとボス部側壁部12の外周縁側の端部16bとに、それぞれ、破断予定部26・26を間にした直線状スリット17・18・22の配列方向IDと略直交する方向の両側に、縦穴部19・23からの切れ目を連続させて延びる横穴部20・21・24・25を設け、破断予定部26・26を破断させて開口するベントホール15を、両端の横穴部20・21・24・25を短辺側とする長方形状に、開口するように形成されている。
【0045】
このような構成のベントホール15・15では、スリット群16の両端16a・16bにおける横穴部20・24の先端部20a・24a相互、及び、横穴部21・25の先端部21a・25a相互、を結ぶ直線状の部位を、それぞれ、ヒンジ部27・27とし、これらのヒンジ部27・27とスリット群16とに囲まれた部位を、扉部28・28として、二枚の扉部28が、それぞれ、ヒンジ部27を回転中心として、開いて、ベントホール15・15が長方形状に開口されることとなる。そのため、二枚の扉部28・28を開口させてベントホール15・15を形成することから、単に、図9・10に示す一文字状の直線状のスリット17A・17Bを、直列的に配設させたスリット群16Aからなるベントホール15Aに比べて、ベントホール15の開口面積を、エアバッグ10毎に、大きくできるとともに、安定させることができる。
【0046】
ちなみに、図9・10に示すスリット群16Aからなるベントホール15Aでは、開口時、ベントホール15Aの周縁をベントホール15Aの幅方向に広げて開口することから、開口幅が変動すれば、開口面積が容易に変化してしまう。なお、この点を考慮しなければ、図9・10に示すエアバッグ10Aでも、実施形態のエアバッグと同様な作用・効果を得ることができる。勿論、このスリット群16Aでは、破断予定部26を間にする各スリット17A・17Bの配列方向IDを、ボス部側壁部12のガス流入口13(図示せず)を中心とする中心線に略沿うように、すなわち、ガス流入口13を中心とする放射方向に、配設するとともに、エアバッグ10Aの膨張完了時に、ステアリングホイールWのリング部Rの外方位置に、スリット群16Aを配設することが、必要となる。
【0047】
なお、スリット群16Aの両端に位置する直線状スリット17B・17Bでは、破断予定部26の破断時に、端部16a・16bの周縁が破断しないように、一般部17bより幅広となる略円形に開口させた端部17a・17cを形成している。
【0048】
さらにまた、実施形態のように、二枚の扉部28・28を開いて、長方形形状のベントホール15を開口させるように、形成する場合には、図11・12に示すエアバッグ10Bのように、同じ開口形状を一枚の扉部28Aで形成するような、スリット群16Bの各スリット17A・17Cを、正面視の状態で、コ字形状に配設させる場合に比べて、つぎのような作用・効果を得ることができる。すなわち、扉部28・28Aの周縁におけるヒンジ部27の近傍の側縁28bの長さについて、一枚の扉部28Aに比べ、二枚の扉部28では、それぞれの側縁28bの長さを短くすることができる。そのため、破断時(扉部28・28Aの開き時)における側縁28bに沿う引き裂き力の慣性力を小さくすることができて、ヒンジ部27の両端付近で、破断を延長させるような引き裂きを防止することができ、開口面積の精度を向上させることができる。なお、この点を考慮しなければ、図11・12に示すエアバッグ10Bでも、実施形態のエアバッグと同様な作用・効果を得ることができる。勿論、このスリット群16Bでは、破断予定部26を間にする各直線状スリット17A・17Cの配列方向IDを、ボス部側壁部12のガス流入口13(図示せず)を中心とする中心線に略沿うように、すなわち、ガス流入口13を中心とする放射方向に、配設するとともに、エアバッグ10Bの膨張完了時に、ステアリングホイールWのリング部Rの外方位置に、スリット群16Bを配設することが、必要となる。
【0049】
また、実施形態のエアバッグ10では、各スリット群16が、ボス部側壁部12に、複数(実施形態では二つ)、配設されており、一つのベントホールを開口させる場合に比べて、ベントホール15・15からの膨張用ガスの排出中に、エアバッグ10のぶれを抑えて、エアバッグ10を安定させておくことができる。なお、エアバッグ10に設けるベントホール15が、一つであると、ベントホールの開口面が、膨張用ガスの排出時、微妙に、ぶれる場合が有り、その際の膨張用ガスの排出される反力を受けて、エアバッグが、左右や前後にぶれ易くなってしまう。ちなみに、上記の観点から、エアバッグ10には、スリット群16を、三つ以上、配設させてもよい。
【0050】
さらに、実施形態では、各直線状スリット17・18・22における破断予定部26側の端部17a・17c・19c・23aが、それぞれのスリット17・18・22における端部17a・17c・19c・23aから離れた一般部17b・19b・23bの幅寸法Y0より、幅寸法Y1を広くしている。すなわち、破断予定部26に隣接する各スリット17・18・22の端部17a・17c・19c・23aが、幅寸法Y1を大きくしているため、それらのスリット17・18・22における一般部17b・19b・23bの幅寸法Y0が小さくとも、破断予定部26の目視が容易となる。そのため、破断予定部26の長さ寸法L2の確認が、効率的に、行なえる。
【0051】
さらに、実施形態の場合、破断予定部26側の各端部17a・17c・19c・23aが、先細り状とした三角状の開口としていることから、各スリット17・18・22の端部17a・17c・19c・23aが、一般部17b・19b・23bとともに、矢印のように、破断予定部26を指す形状となる。そのため、破断予定部26の位置が、視覚的に、よく把握できて、破断予定部26の長さ寸法L2の確認が、一層、効率的となる。また、隣接する各スリット17・18・22の端部17a・17c・19c・23a相互が幅広であっても、破断予定部26側に、応力集中が生じやすく、破断予定部25を的確に破断させることができる。
【0052】
なお、実施形態では、長方形形状に開口するベントホール15を形成するスリット群16として、逆T字若しくはT字の直線状スリット群18・22の間に、一つの直線状スリット17を配設させて、二つの破断予定部26を設けたエアバッグ10を示した。しかし、図7に示すスリット群16Cのように、直線状スリット18・22の間に、一つの破断予定部26だけを形成するように、I字形状の直線状スリット17を配設させずに、構成したり、あるいは、図8に示すスリット群16Dのように、直線状スリット18・22の間に、三つ以上の破断予定部26を形成するように、二つ以上の直線状スリット17を、配設させて、構成してもよい。
【0053】
また、ベントホール15の開口時、ベントホール15から排出される膨張用ガスが、運転者のリング部Rを把持する手に直接当たらないことを考慮すれば、ボス部側壁部12に設けるスリット群16としては、ボス部側壁部12における前後方向の中央線CLを基準に、各スリット群16の配列方向ID(中心線X1・X2)の角度θは、45°以下の範囲内にすることが望ましい。
【0054】
さらに、実施形態では、スリット群16を、ボス部側壁部12自体に設けたものを示したが、ボス部側壁部12におけるベントホール形成部位に、取付孔を開口させ、スリット群16を設けた基布を、その取付孔を塞ぐように、取付孔の周縁に、縫い付けて、ボス部側壁部12に、別布からなるスリット群16を配設させてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示すエアバッグの単体の膨張完了状態におけるボス部側壁部から見た図である。
【図2】図1のII−II部位を示す断面図である。
【図3】同実施形態のエアバッグのスリット群を示す正面図である。
【図4】図3のIV−IV部位の断面図である。
【図5】同実施形態のエアバッグのベントホール開口時を示す正面図である。
【図6】同実施形態のエアバッグのステアリングホイールへの搭載状態を示す断面図であり、図1のVI−VI部位に対応する。
【図7】他の実施形態のスリット群を示す図である。
【図8】さらに他の実施形態のスリット群を示す図である。
【図9】さらに他の実施形態のスリット群を示す図である。
【図10】図9に示したエアバッグのベントホール開口時を示す正面図である。
【図11】さらに他の実施形態のスリット群を示す図である。
【図12】図11に示したエアバッグのベントホール開口時を示す正面図である。
【符号の説明】
10・10A・10B…エアバッグ、
11…運転者側壁部、
12…ボス部側壁部、
13…ガス流入口、
15・15A・15B…ベントホール、
16・16A・16B・16C・16D…スリット群、
17・17A・17B・17C・18・22…直線状スリット、
17a・17c・19a・19c・23a・23c…端部、
17b・19b・23b…一般部、
20・21・24・25…横穴部、
26…破断予定部、
27…ヒンジ部、
28…扉部、
W…ステアリングホイール、
R…リング部、
B…ボス部、
ID…(破断予定部を間にする直線状スリットの)配列方向、
X1・X2…中心線、
M…エアバッグ装置。
Claims (3)
- ステアリングホイールにおけるリング部の中央付近のボス部に搭載されるエアバッグ装置に使用され、
膨張用ガスを流入させるためのガス流入口を有した前記ボス部側の壁部と、運転者側の壁部と、を備えるとともに、前記ボス部側壁部に、余剰の膨張用ガスを排出可能なベントホールを備えた運転者用エアバッグであって、
複数の直線状のスリットを、前記ガス流入口を中心とする中心線に略沿うように、配置させて形成されるスリット群が、前記ボス部側壁部に、配設され、
前記スリット群が、前記直線状スリットの間の破断予定部を破断させて、前記ベントホールを形成する構成として、
前記スリット群が、膨張完了時の前記エアバッグにおける前記リング部の外方側に位置するように、配設され、
前記各直線状スリットにおける前記破断予定部側の端部が、それぞれのスリットにおける前記端部から離れた一般部の幅寸法より、幅寸法を広くしているとともに、先細り状とした三角状の開口としていることを特徴とする運転者用エアバッグ。 - 前記スリット群の両端におけるガス流入口側の端部と前記ボス部側壁部の外周縁側の端部とが、それぞれ、前記破断予定部を間にした直線状スリットの配列方向と略直交する方向の両側に、切れ目を連続させて延びる横穴部を備えて、
前記破断予定部を破断させて開口する前記ベントホールが、両端の前記横穴部を短辺側とする長方形状に、開口するように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の運転者用エアバッグ。 - 前記スリット群が、前記ボス部側壁部に、複数、配設されていることを特徴とする請求項1若しくは請求項2に記載の運転者用エアバッグ。
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