JP3910392B2 - 自動二輪車 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は車体に対して着脱可能なシートを有する自動二輪車に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、車体に対して着脱可能なシートを有する自動二輪車がある。特許第3040714号公報には、スリットを備える軸受台と、この軸受台より車体後方側に設けられた階段状架台とを用いてシートを支持し、シートの高さ調整を行う技術が開示されている。該公報に記載されている軸受台及び階段状架台は車体に取り付けられたものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した従来の自動二輪車は、シートを支持する階段状架台が車体側に取り付けられた構成であるため、シートの高さ調整を何段階かで行うためや強度維持のために階段状架台を大型化する必要がある。この場合、シート下方のスペースが階段状架台によって占有され、他の装置や部材の設置が制限されたり、車体自体が大型化するといった問題が生じる。
【0004】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、シートの位置調整をするための機構をコンパクト化してシート下方に広いスペースが確保される自動二輪車を提供することを第1の目的とする。
また、シートの位置調整を効率良くできるとともに、調整された後のシート位置を維持できる自動二輪車を提供することを第2の目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、本発明の自動二輪車は、車体に対して着脱可能なシートを有する自動二輪車において、前記車体に設けられ、高さ方向に並んだ複数の溝部を有する第1支持部と、前記溝部のそれぞれと係合可能であり、該係合状態で前記シートの所定位置を支持する第2支持部と、前記シートのうち前記所定位置とは別の位置に設けられ、複数の段部を有する階段部と、前記車体のうち前記第1支持部とは別の位置に設けられ、前記段部を支持可能な第3支持部とを備えることを特徴とする。
【0006】
本発明によれば、車体に対してシートを支持する階段部をシート側に設けたことにより、車体側のシート下方におけるスペースを確保することができる。また、シートの高さ調整は、車体に設けられた第1支持部の高さ方向に並んだ複数の溝部のいずれかに第2支持部を係合し、この係合状態の第2支持部でシートを支持することによりシートの高さ調整ができる。そして、第1支持部とは別の位置に設けられた第3支持部でシートの段部を支持することにより、シートを少なくとも2箇所で支持するので、シートは確実に支持される。
【0007】
この場合において、前記複数の溝部のうち選択された溝部と前記第2支持部とが係合した際、前記階段部のうち前記選択された溝部に対応する段部が前記第3支持部に支持されるように、前記段部のそれぞれの形成位置が設定されているので、シートを支持しつつ高さ調整ができる。
【0008】
この場合において、前記溝部のそれぞれは車体前後方向を長手方向として形成されているとともにそれぞれの一端側で連続しており、前記第2支持部は、前記連続している溝部に沿って移動可能であるので、第2支持部を溝部内部で移動することができ、シートの高さ調整を容易に行うことができる。そして、例えば第1支持部を車体前方側に配置してシートの前方を支持する際、溝部の後端側を連続させることにより、溝部の前端側は第2支持部に対する係止部としての機能を有する。したがって、この溝部によって第2支持部の前方への移動を規制することができるので、この第2支持部に支持されるシートはその位置を保持される。
【0009】
この場合において、前記第2支持部を前記溝部の他端側に付勢する付勢部材を備えるので、例えば第1支持部を車体前方側に配置してシートの前方を支持する際、溝部の後端側を連続させ、溝部の前端側を第2支持部に対する係止部とし、第2支持部を付勢部材で係止部に付勢するので、この第2支持部の位置を保持できる。
【0010】
この場合において、前記第1支持部は前記車体の幅方向に間隔をあけて少なくとも2つ配置されており、前記第2支持部は、前記第1支持部のそれぞれの溝部に沿って移動可能なピン部を有する連結部材と、前記連結部材のそれぞれに接続した棒状部材とを有するので、連結部材を第1支持部の溝部に沿って移動し、連結部材の高さ位置を設定することにより、これに伴って棒状部材の高さ位置も調整される。そして、この棒状部材でシートを支持することにより、シートは高さ調整されつつ支持される。
【0011】
この場合において、前記連結部材は第2ピン部を有し、前記第1支持部は、前記第2ピン部を支持することによって前記連結部材の姿勢を保持するガイド溝を有するので、ピン部を溝部に配置している連結部材は、第2ピン部によってピン部を中心とした回動を妨げられる。したがって、連結部材は選択された溝部にピン部を配置した際、その姿勢を維持される。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の自動二輪車について図面を参照しながら説明する。図1は本発明の自動二輪車の一実施形態を示す概略全体側面図、図2は図1の前照灯近傍の拡大図、図3は前照灯近傍を車体前方から見た図である。ここで、以下の説明において、前後および左右といった方向の記載は、車体に対しての方向である。
【0013】
図1において、自動二輪車1は、車体フレーム2と、車体フレーム2の前端部に回動可能に支持された左右一対のフロントフォーク3と、これらフロントフォーク3の上端部に取り付けられた操舵用のハンドル4と、フロントフォーク3に回転自在に支持された前輪5と、車体フレーム2に揺動可能に支持されたリヤフォーク(スイングアーム)6と、このリヤフォーク6の後端部に回転自在に支持された後輪7と、車体フレーム2に支持されたエンジン8と、車体フレーム2の上部に配設された燃料タンク9と、この燃料タンク9の後方に設けられ運転者が着座する運転者用シート10と、運転者用シート10の後方に設けられ乗員が着座する乗員用シート11と、運転者用ステップ12と、乗員用ステップ13と、車体後部の左右に取り付けられているサイドトランク14と、車体のほぼ全体を覆うカウリング15とを備えている。ここで、図1にはスタンド200によって支持された状態の自動二輪車1が図示されている。
【0014】
エンジン8の気筒部には排気管8Aが接続している。排気管8Aのそれぞれは下方に延びてからエンジン8下方にて屈曲し、その後方に配置されているマフラ8Bに接続する。
【0015】
カウリング15は、車体前部を覆いその上端面が車体フレーム2のメインフレーム16に沿っているフロントカウル17と、シート10,11の下の部分である車体後部を覆うリヤカウル18とからなっている。さらにフロントカウル17は、車体前端に設けられたアッパーカウル19と、エンジン8の側部を覆うミドルカウル20と、エンジン8の下部(排気管8Aの下部)を覆うアンダーカウル21とから構成されている。
【0016】
フロントカウル17のうち、高さ方向中央部には第1開口部22が形成されており、下部には第2開口部23が形成されている。第1開口部22及び第2開口部23のそれぞれを介してカウリング内部と外部との間で空気(走行風)が出入りする。第1開口部22からはエンジン8のヘッドカバーが露出している。また、フロントカウル17のうちミドルカウル20の前方にはカウリング内に走行風を取り入れるための走行風取入口20Aが設けられており、ミドルカウル20の下部左右には車体外側に膨出する膨出パネル20Bが設けられている。
【0017】
アッパーカウル19の内側には、速度計やエンジン回転計等が取り付けられたメータユニット(不図示)が配置されている。また、図1、図2、図3に示すように、アッパーカウル19の前面には前照灯24が設けられており、アッパーカウル19の両側面にはバックミラーカバー25が膨出するように設けられている。バックミラーカバー25の内部にはバックミラーが設けられている。バックミラーカバー25は、フロントカウル17の側面に設けられた凹状の係止部とバックミラーカバー25に設けられた凸部とを係合することにより、フロントカウル17に取り付けられる。また、バックミラーカバー25のそれぞれの前面には方向指示器26が設けられている。アッパーカウル19の上部には、前方視野用のための透明合成樹脂製のウインドスクリーン27が設けられている。
【0018】
図3に示すように、アッパーカウル19には空気を流通可能な開口部33A〜33Fが形成されている。このうち、開口部33A,33Fはアッパーカウル19と左右のバックミラーカバー25のそれぞれとの間に形成されており、開口部33B,33Eはアッパーカウル19の上部左右両側に形成されており、開口部33C,33Dはアッパーカウル19の上部中央に形成されている。開口部33A〜33Fのそれぞれは走行風をカウル後方に導入する導風口となっており、カウル後方に走行風を送ることによってアッパーカウル19及びウインドスクリーン27と運転者との間の空間が負圧になることを抑える。
【0019】
リヤカウル18は、シート10,11の下方から後方に亘って形成され、その後部にはシート11の後方部分を覆うテール部18aを一体に有している。このリヤカウル18の後端には、後輪7の上方後部を覆うリヤフェンダ7Aが取り付けられている。
【0020】
前輪5は、軸心に車軸28aが設けられたホイール28の外周にタイヤ29が装着されてなるもので、車軸28aの左右両側が各フロントフォーク3下端部に支持されている。なお、この左右のフロントフォーク3には、前輪5の上方を覆うフロントフェンダ5Aが取り付けられている。前輪5のホイール28の左右両側には、フロントディスクブレーキ装置30を構成するロータ30Aがホイール28と同軸的かつ一体に固定されている。フロントディスクブレーキ装置30は、このロータ30Aと、作動状態においてロータ30Aを挟んでその回転を摩擦力により制動するブレーキキャリパ30Bとを有している。
【0021】
後輪7は前輪5と同様に、軸心に車軸31aが設けられたホイール31と、ホイール31の外周に装着されたタイヤ32とを有している。そして、車軸31aがリヤフォーク6の後端に片持ち式に支持されることにより、リヤフォーク6と一体に揺動するようになっている。後輪7にも、前輪5のフロントディスクブレーキ装置30と同様の、ロータ、ブレーキキャリパからなるリヤディスクブレーキ装置が装備されているがここではその説明を省略する。
【0022】
図4、図5、図6は車体フレーム2を示す図であって、図4は車体フレーム2を側方から見た図、図5は車体フレーム2を正面から見た図、図6は車体フレーム2を上方から見た図である。
図4に示すように、車体フレーム2は、前端に設けられたヘッドパイプ34と、このヘッドパイプ34より後方斜め下方に延びるメインフレーム16と、メインフレーム16の上部より車体後方へ延びるシートフレーム(第1フレーム)35と、メインフレーム16の下部より車体後方へ延びるステッププレート(第2フレーム)36と、車体後部側においてシートフレーム35とステッププレート36とを連結するリアフレーム(第3フレーム)37とを有している。
【0023】
ヘッドパイプ34は前輪5を支持しているフロントフォーク3を操舵可能に支持するものである。また、ヘッドパイプ34には前方に延びるステーが取り付けられており、速度計やエンジン回転計等のメータユニットを支持する。更に、ヘッドパイプ34に取り付けられたステーにはブラケット(不図示)が連結されており、フロントカウル17を支持する。
【0024】
図4、図5、図6に示すように、メインフレーム16はヘッドパイプ34から左右に分かれて後方かつ斜め下方に左右一対で延びるように形成されている。メインフレーム16はアルミニウムなどの金属からなる中空角断面部材によって構成されており、左右一対のメインフレーム16どうしの間には連結フレーム16Aが連結されている。そして、メインフレーム16はその上部で燃料タンク9を支持する。また、車体フレーム2のうち、ヘッドパイプ34とメインフレーム16との間からはエンジンハンガ38が下方へ延びるように形成されており、メインフレーム16はエンジンハンガ38を介してエンジン8を支持する。
【0025】
シートフレーム35は左右一対のメインフレーム16のそれぞれの上部から後方に延びるように左右一対に設けられている。これら左右一対のシートフレーム35は運転者用シート10及び乗員用シート11を支持するものであって、テール部18a近傍まで延びており、後端側で接続する。シートフレーム35もメインフレーム16同様、アルミニウムなどの金属からなる中空角断面部材によって構成されている。
【0026】
ステッププレート36は左右一対のメインフレーム16のそれぞれの下部から後方に延びるように左右一対に設けられている。図6に示すように、ステッププレート36はシートフレーム35より外側に張り出すように設けられている。そして、ステッププレート36の外側前方には運転者用ステップ12が設けられ、リアフレーム37の下方には乗員用ステップ13が設けられている。すなわち、剛性部材としてのステッププレート36及びリアフレーム37はステップホルダとしての機能を有している。ステッププレート36もメインフレーム16同様、アルミニウムなどの金属からなる中空角断面部材によって構成されている。
【0027】
ステッププレート36の前部には、後輪7を揺動自在に支持するリヤフォーク6が接続されている。リヤフォーク6は、その前端の基部39から左右一対のフォーク部6aが後方に延びてなるもので、基部39がステッププレート36の前部に回動可能に支持されることにより、基部39を軸にフォーク部6aが上下に揺動可能となっている。
【0028】
リヤフレーム37は左右一対設けられており、その上端をシートフレーム35の車体前後方向の略中央部に連結し、下端をステッププレート36の後部に連結している。リヤフレーム37も、アルミニウムなどの金属からなる中空角断面部材によって構成されている。
【0029】
そして、車体フレーム2は、メインフレーム16とシートフレーム35とステッププレート36とリヤフレーム37とで形成される空間の側面視形状が、図4に示すように、四角形状になるように設定されている。具体的には、前記空間の側面視形状は、下辺側(ステッププレート36側)が上辺側(シートフレーム35側)より短い等脚台形状となっている。そして、互いに連結されたメインフレーム16、シートフレーム35、ステッププレート36、リヤフレーム37のそれぞれは、車体全体の強度を維持する強度部材としての機能を有している。
【0030】
このように、車体フレーム2を、メインフレーム16と、このメインフレーム16の上部及び下部のそれぞれから後方へ延びるシートフレーム35及びステッププレート36と、シートフレーム35及びステッププレート36を連結するリヤフレーム37とで構成し、これら各フレームによって形成される空間の側面視が略四角形状になるように設定したので、他の補強部材を必要とすることなく高い剛性が得られる。そして、他の補強部材を不要とし、全体の部材数が低減されたので、低コスト化が実現されるとともに、フレーム内側の空間の有効利用ができる。
【0031】
図7は、フロントカウル17のうちアッパーカウル(上部カウル)19とミドルカウル(下部カウル)20との結合部分近傍の拡大側面図である。
ここで、カウリング15は車体フレーム2に取り付けられたものであり、フロントカウル17の上部は、車体フレーム2に連結したブラケット(不図示)に支持される。ブラケットは、車体フレーム2のうち、メインフレーム16あるいはヘッドパイプ34から前方に延びるステーに連結されたものである。
【0032】
上述したように、車体の前部を覆うフロントカウル17は、車体前端に設けられたアッパーカウル(上部カウル)19と、アッパーカウル19の下方に配置され、アッパーカウル19と結合するミドルカウル(下部カウル)20と、ミドルカウル20の下方に配置され、ミドルカウル20と結合するアンダーカウル21とを有しており、これら複数のカウル部材(アッパーカウル19、ミドルカウル20、アンダーカウル21)のそれぞれを結合することによって構成されている。そして、フロントカウル17の上部側面には、バックミラーカバー(被覆部材)25が膨出するように取り付けられている。バックミラーカバー25の内部にはバックミラーが収容されている。
【0033】
ミドルカウル20の上部は、アッパーカウル19の前面に設けられた前照灯24近傍まで延びるように形成されている。ミドルカウル20の外形は、その上部前端が前照灯24の側端24Aに沿う形状を有している。そして、前照灯24の上端近傍(点A参照)から僅かに後方に向かった後に下方に延びて凸状部20Aが形成されており、そこから略水平に後方側に延びる上端部20Bが形成されている。ここで、上端部20Bが形成される高さ方向の位置はフロントカウル17全体のうち車体前後方向の距離を最も短くできる部分に設定されている。
【0034】
アッパーカウル19は、その一部をミドルカウル20に重ね合わせるようにして配置されている。ここで、アッパーカウル19の重ね合わせ部分はミドルカウル20より下側(カウリング内方)となっている。図7に示すように、アッパーカウル19の外形は、その前端が前照灯24の上端24B及び下端24Cに沿う形状を有している。アッパーカウル19の下端部19Aは後方に向かって延びており、その後端でネジなどの結合部材80でミドルカウル20と結合される。そして、アッパーカウル19においては、結合部材80でミドルカウル20と結合される部分から上方へ延びる後端部19Bが形成され、後方側へ屈曲してミドルカウル20の上端部20Bと略平行な水平端部19Cが形成された後、上方へ延びる第2後端部19Dが形成され、上部位置でウインドスクリーン27と接合される接合部19Eが形成される。また、後端部19Bの前方側には前端部19Fが形成されており、後端部19Bと前端部19Fとの間の部分を含む図7中、破線で示した斜線部分がミドルカウル20と重なり合う。
【0035】
このように、アッパーカウル19とミドルカウル20とはその一部を重ね合わせるようにして結合されている。そして、アッパーカウル19とミドルカウル20とを結合した際、それぞれ所定量重ね合うように結合しているので、バックミラーカバー25を取り付ける状態以前においてアッパーカウル19とミドルカウル20との結合部が外部に露出している部分は、ミドルカウル20の凸状部20A及び上端部20Bのそれぞれの端面である。
【0036】
アッパーカウル19とミドルカウル20との結合部の外方には、バックミラーカバー(被覆部材)25が取り付けられている。ここで、バックミラーカバー25は、アッパーカウル19とミドルカウル20との結合部のうち、外部に露出した部分であるミドルカウル20の凸状部20A及び上端部20Bのそれぞれの端面を覆うように取り付けられている。このため、バックミラーカバー25が取り付けられる状態以前において外部に露出しているアッパーカウル19とミドルカウル20との結合部(凸状部20A及び上端部20Bのそれぞれの端面)は、バックミラーカバー25が取り付けられることによってバックミラーカバー25内部に収容され、被覆される。このとき、凸状部20Aや上端部20Bは、前述したように、フロントカウル17全体のうち車体前後方向の距離を最も短くできる部分に設けられているので、バックミラーカバー25によって凸状部20A及び上端部20Bのそれぞれの端面を十分に覆うことができる。
【0037】
次に、アッパーカウル19とミドルカウル20とを結合する手順について説明する。
アッパーカウル19及びミドルカウル20は車体フレーム2に取り付けられる。まず、アッパーカウル19を車体フレーム2のうちヘッドパイプ34やメインフレームに連結しているステーやブラケットに取り付ける。次いで、車体フレーム2に取り付けられたアッパーカウル19にその一部を重ね合わせるようにしてミドルカウル20を取り付け、結合部材80を用いてアッパーカウル19とミドルカウル20とを結合する。
【0038】
アッパーカウル19とミドルカウル20とを結合したら、アッパーカウル19とミドルカウル20との結合部のうち、外部に露出しているミドルカウル20の凸状部20A及び上端部20Bのそれぞれの端面を覆うように、バックミラーカバー25をフロントカウル17に取り付ける。バックミラーカバー25はその凸部(不図示)を、アッパーカウル19やミドルカウル20の外面に設けられた係凹部(係止部)に係合することによりフロントカウル17に接続される。こうして、バックミラーカバー25を取り付けることによって、アッパーカウル19とミドルカウル20との結合部のうち、外部に露出しているミドルカウル20の凸状部20A及び上端部20Bのそれぞれの端面が覆われる。
【0039】
このように、アッパーカウル19とミドルカウル20との結合部の外方に、この結合部を覆う被覆部材としてバックミラーカバー25を取り付けたことにより、結合部の外部への露出部分を覆い隠すことができるので、カウリングの外観性は向上する。そして、バックミラーカバー25が取り付けられる位置を結合部としたことにより、結合部の長さを抑えることができるので、結合部材の数量や結合箇所を少なくできる。したがって、結合作業性が向上するとともに低コスト化も実現できる。
【0040】
ところで、本実施形態におけるウインドスクリーン27は後方に傾斜しており、ほぼ傾斜方向に沿って移動可能に設けられている。このことについて、図8〜図13を参照しながら説明する。
図8はウインドスクリーン近傍の拡大側面図、図9はウインドスクリーンの移動装置を正面から見た図、図10は図9の側面図、図11はウインドスクリーンと移動装置との連結部を示す図、図12は連結部のうち第1部材を示す図、図13は連結部のうち第2部材を示す図である。
【0041】
図8に示すように、車体の前上部を覆うアッパーカウル19の上方には、車体後方側に向かって傾斜するウインドスクリーン27が設けられている。そして、ウインドスクリーン27は、移動装置90によって、ウインドスクリーン27の傾斜方向(矢印y参照)にほぼ沿うように移動可能となっている。
【0042】
ウインドスクリーン27をほぼ矢印y方向に沿って移動させる移動装置90は、アッパーカウル19(フロントカウル17)に取り付けられ、y方向に延びるガイド部91と、ガイド部91に移動自在に支持された可動部92と、可動部92をガイド部91に沿って移動させる駆動装置としての電動モータ93と、ウインドスクリーン27と可動部92とを連結する連結部94とを備えている。
【0043】
図9に示すように、ガイド部91は左右一対あり、板状部材である支持部材95の両端のそれぞれで支持されている。支持部材95は、図9及び図10に示す複数の取付部95Aを介してネジなどの取付部材によりアッパーカウル19の内側に取り付けられる。ガイド部91は支持部材95を介してアッパーカウル19の内側に固定される。
【0044】
可動部92はガイド部91に摺動可能に支持されている。駆動装置である電動モータ93は支持部材95の中央部に固定されている。電動モータ93とガイド部91のそれぞれに摺動可能に支持されている可動部92とは、プッシュケーブル(駆動装置)96によって接続されている。可動部92は電動モータ93の駆動に基づきプッシュケーブル96を介してガイド部91に案内されつつ上下方向に移動するようになっている。ここで、可動部92を上方向へ移動する際には、電動モータ93に接続したターミナル及びコネクタに例えばプラス及びマイナスの電圧を印加し、電動モータ93を所定の方向に回転させることによって、プッシュケーブル96を介して可動部92が上方向へ移動する(図9中、符号92’参照)。一方、可動部92を下方向へ移動する際には、電動モータ93に接続したターミナル及びコネクタに前記とは逆にマイナス及びプラスの電圧を印加し、電動モータ93を逆方向に回転させることによって、プッシュケーブル96を介して可動部92が下方向へ移動する(図9中、符号92参照)。
【0045】
ウインドスクリーン27と可動部92とを連結する連結部94は、図8及び図11に示すように、可動部92に固定され、ほぼ矢印y方向(傾斜方向)に延びる第1部材97と、ウインドスクリーン27に固定される第2部材98とを有している。
【0046】
図8、図11、図12に示すように、第1部材97はほぼ長板状に形成されており、下端側(車体前方側)に形成され、可動部92に対してネジなどの取付部材によって固定される孔部99及び切欠部100と、第1部材97の長手方向において所定の間隔で設けられた第1凸部(固定部)101及び第2凸部(固定部)102とを備えている。このうち、第1凸部101は第1部材97の長手方向ほぼ中央部に形成され、第2凸部102は第1部材97の上端側(車体後方側)に形成されている。第1部材97は、孔部99及び切欠部100を介して可動部92に固定されることにより、可動部92の移動に伴って移動する。
【0047】
図8、図11、図13に示すように、第2部材98は断面視L字状の板状部材であり、第1部材97と接続する第1面103と、ウインドスクリーン27と接続する第2面104とを有している。
【0048】
第2部材98のうち第1面103には、長手方向中央部から下端側に亘って設けられた長穴部105と、第1面103の端辺中央部に切り欠かれた第1凹部106と、第1面103の端辺上端側(車体後方側)に切り欠かれた第2凹部107とが形成されている。また、第1凹部106及び第2凹部107のそれぞれは上端側に向かってえぐられた係止部106A及び係止部107Aを有している。そして、これら係止部106A,107Aを有する第1、第2凹部106,107のそれぞれは、第1部材97の第1,第2凸部101,102のそれぞれと係合可能となっている。更に、第2部材98の長穴部105は、第1部材97の第1,第2凸部101,102のそれぞれと係合可能となっている。
【0049】
一方、第2部材98のうち第2面104には、長手方向ほぼ中央部に形成された長穴部108と、長穴部108の両側に形成された複数(全部で3つ)の穴部109とが形成されている。そして、図8に示すように、第2部材98の第2面104とウインドスクリーン27とを当接し、第2部材98の第2面104に形成された長穴部108及び穴部109を介してネジなどの取付部材110を用いて第2部材98とウインドスクリーン27とを連結することにより、これら第2部材98とウインドスクリーン27とが固定される。
【0050】
ここで、図11に示すように、第2部材98は第1部材97に対してその長手方向(矢印y方向、傾斜方向)の異なる2つの位置で固定可能となっている。第2部材98を第1部材97に対して第1の位置である下方位置(図11(a)参照)で固定する際には、第1部材97の第1凸部101が第2部材98の長穴部105上端側と係合し、第1部材97の第2凸部102が第2部材98の第2凹部107の係止部107Aと係合する。このとき、第2部材98の第1凹部106は何れとも係合していない。一方、第2部材98を第1部材に対して第2の位置である上方位置(図11(b)参照)で固定する際には、第1部材97の第1凸部101が第2部材98の長穴部105のの下端側と係合し、第1部材97の第2凸部102が第2部材98の第1凹部106の係止部106Aと係合する。このとき、第2部材98の第2凹部107は何れとも係合していない。
【0051】
このように、第1部材97は、この第1部材97に対して第2部材98をほぼ傾斜方向の異なる2つの位置で固定可能な第1凸部(固定部)101及び第2凸部(固定部)102を有している。
【0052】
次に、ウインドスクリーン27を移動する手順について説明する。
ウインドスクリーン27を上方に移動する際には、例えば操舵ハンドル4近傍に設けられている不図示の操作スイッチを操作し、駆動装置である電動モータ93を駆動して所定の方向に回転させる。すると、プッシュケーブル96が左右の可動部92をガイド部91に沿って上方に移動する。可動部92がガイド部91に沿って上方に移動することにより、連結部94を介して可動部92に連結されているウインドスクリーン27がほぼ傾斜方向に移動し、上方位置に配置される(図8中、符号27’参照)。ここで、図8や図10に示すように、本実施形態においては、ガイド部91は車体後方側へ僅かに膨らむ弓状に設定されているため、上方に移動したウインドスクリーン27は完全に傾斜方向と一致するようには移動せず、その上端を僅かに前方に向けるように(すなわち起立状態となるように)移動する。
【0053】
一方、ウインドスクリーン27を下方に移動する際には、操作スイッチを操作して、電動モータ93を逆方向に回転させる。すると、プッシュケーブル96が左右の可動部92をガイド部91に沿って下方に移動する。可動部92がガイド部91に沿って下方に移動することにより、ウインドスクリーン27が下方位置に配置される。
【0054】
以上のように、電動モータ93を用いて可動部92をガイド部91に沿って移動させることにより、ウインドスクリーン27は電力で移動される。
さらに、本実施形態では、連結部94のうち第1部材97に対する第2部材98の位置を手動で変更することによっても、ウインドスクリーン27の位置を変更できる。
【0055】
以下、第1部材97に対する第2部材98の位置を変更する手順について説明する。
第2部材98の位置を下方位置(図11(a)の状態)から上方位置(図11(b)の状態)に変更する場合には、まず、第2部材98を僅かに上方に移動して第2凹部107の係止部107Aと第1部材97の第2凸部102との係合を解く。そして、第1部材97の第1凸部101に対して第2部材98の長穴部105をスライドさせつつ第2部材98を上方に移動する。そして、第2部材98の第1凹部106を第1部材97の第2凸部102に引っ掛けることにより、第2部材98は上方位置に固定される。
一方、第2部材98の位置を上方位置(図11(b)の状態)から下方位置(図11(a)の状態)に変更する場合には、まず、第2部材98を僅かに上方に移動して第1凹部106の係止部106Aと第1部材97の第2凸部102との係合を解く。そして、第1部材97の第1凸部101に対して第2部材98の長穴部105をスライドさせつつ第2部材98を下方に移動する。そして、第2部材98の第2凹部107を第1部材97の第2凸部102に引っ掛けることにより、第2部材98は下方位置に固定される。
このように、第1部材97及び第2部材98からなる連結部94を用いたウインドスクリーン27の位置変更動作は、手動によってワンタッチで行うことができる。
【0056】
このとき、第2部材98にはウインドスクリーン27が固定されているため、第2部材98の移動に伴ってウインドスクリーン27も移動する。そして、第1部材97の凸部(固定部)101,102は傾斜方向にほぼ沿うように所定間隔で設けられているので、傾斜方向に沿って並ぶ凸部101及び凸部102に基づいてウインドスクリーン27を移動することにより、ウインドスクリーン27は傾斜方向にほぼ沿うようにして移動される。
【0057】
このように、移動装置90によってウインドスクリーン27の位置が変更可能とされたので、走行速度の変化など状況に応じてウインドスクリーン27の位置を変化させることができ、運転者に走行風が当たるのを抑えることができる。そして、ウインドスクリーン27は移動装置90によってウインドスクリーン27の傾斜方向にほぼ沿う方向に移動されるので、ウインドスクリーン27が移動した際にもウインドスクリーン27と運転者との間の距離が大きくなることがない。したがって、運転者へのバックプレッシャーの作用を抑えることができる。このように、ウインドスクリーン27を傾斜方向にほぼ沿う方向に移動可能とすることにより、運転者は快適な運転ができる。
【0058】
次に、図14及び図15を参照しながらミドルカウル20に設けられた第1開口部22について説明する。図14は第1開口部22近傍の拡大側面図であり、図15は第1開口部22近傍を車体後方から見た図である。
エンジン8の周囲を覆うフロントカウル17は、エンジン8の下方あるいはエンジン8に接続する排気管8Aの下方を覆うアンダーカウル21と、このアンダーカウル21の上方に配置され、アンダーカウル21と接合されるミドルカウル20とを有している。ミドルカウル20はエンジン8の側方を覆うように配置される。
【0059】
図14に示すように、フロントカウル17のうち、ミドルカウル20の側部には、前述したようなカウリング内部と外部とで空気(走行風)を流通可能な第1開口部22が形成されている。そして、この第1開口部22からはエンジン8のエンジンヘッドカバー70が露出している。更に、エンジンヘッドカバー70の露出部分には、このエンジンヘッドカバー70を保護する保護部材71が取り付けられている。したがって、第1開口部22からは保護部材71が取り付けられたエンジンヘッドカバー70が露出している。ここで、保護部材71はエンジンヘッドカバー70に対して着脱自在となっており、保護部材71のエンジンヘッドカバー70に対する着脱作業は第1開口部22を介して行われる。
【0060】
図15に示すように、エンジンヘッドカバー70の外面には、車体前後方向に延在する凹部72が形成されている。そして、このエンジンヘッドカバー70の外面に取り付けられた板状の保護部材71とエンジンヘッドカバー70との間で、空気を流通可能な通路73が車体前後方向に延びるように形成されている。
【0061】
第1開口部22の車体前方側の位置にはルーバー(整流装置)74が設けられている。このルーバー74は、車体前後方向を長手方向として、車体上下方向に互いに平行な複数のスリット状の流路を有している。ルーバー74はカウリング外部から供給された走行風を整流して、エンジンヘッドカバー70に向けて供給するように、流路の形状・向きを設定されている。ルーバー74の全体形状は、第1開口部22の前方側の形状に沿っており、下部から上方に向かうにつれて前方側に膨らみ、高さ方向中央部やや下方位置(点A参照)から上方に向かうにつれて車体後方側に傾斜する形状を有している。また、ルーバー74の高さ方向のサイズは、エンジンヘッドカバー70の高さ方向のサイズより大きく設定されている。
【0062】
ルーバー74は、第1開口部22の前方側の一部分を覆うように、第1開口部22から露出しているエンジンヘッドカバー70及び保護部材71より少なくとも車体前方側に設置されている。すなわち、エンジンヘッドカバー70はルーバー74より車体後方側に配置されている。
【0063】
次に、自動二輪車1が走行した際の、第1開口部22近傍の走行風の流れについて説明する。
自動二輪車1が走行すると、ミドルカウル20前方の走行風取入口20Aや第1開口部22及び第2開口部23からカウリング内部に走行風が取り入れられるが、第1開口部22からカウリング内部に取り入れられる走行風は、ルーバー74に整流された後、カウリング内部に取り入れられる。ここで、前述したように、ルーバー74におけるスリット状の流路の形状・向きは、走行風をエンジンヘッドカバー70に供給可能なように予め設定されている。したがって、ルーバー74を介した走行風は、エンジンヘッドカバー70に供給される。
【0064】
このとき、更に具体的には、ルーバー74は走行風を、エンジンヘッドカバー70と保護部材71との間に形成された通路73向けて供給するように予め設定されている。したがって、ルーバー74を介した走行風は、図15の矢印Wで示すように、通路73を通過し、通路73の車体後方側から外部に流れる。ここで、通路73を通過する走行風はエンジンヘッドカバー70を直接冷却する。
【0065】
このように、エンジン8の周囲を覆うフロントカウル17の側部に開口部22を設け、この開口部22の一部にエンジンヘッドカバー70に向けて走行風を整流してから供給するルーバー74を設けたので、走行風はエンジンヘッドカバー70に確実に供給される。したがって、エンジンヘッドカバー70はルーバー74を介した走行風によって効果的に冷却される。また、エンジンヘッドカバー70は開口部22から露出しているので更に高い冷却効果が得られる。そして、ルーバー74は複数のスリット状の流路を有したものであり、開口部22の車体前方側の一部のみに設けられた構成であるため、エンジンヘッドカバー70に走行風を供給する導風装置の構成を簡略化できる。また、エンジンヘッドカバー70はルーバー74より車体後方側に配置されているので、ルーバー74を介した走行風はエンジンヘッドカバー70に対して満遍なく効率的に供給される。したがって、効果的な冷却効果を得ることができる。そして、ルーバー74によって、エンジンヘッドカバー70と保護部材71との間に形成された通路73に直接走行風を供給する構成であるので、走行風によるエンジンヘッドカバー70の冷却効果を効果的に得ることができる。
【0066】
次に、図16及び図17を参照しながらフロントカウル17下部に設けられた第2開口部23について説明する。図16は第2開口部23近傍の拡大側面図、図17は図5のA−A矢視断面図である。
エンジン8の周囲を覆うフロントカウル17は、エンジン8の下方あるいはエンジン8に接続する排気管8Aの下方を覆うアンダーカウル(下部カウリング)21と、このアンダーカウル21の上方に配置され、アンダーカウル21と接合されるミドルカウル(上部カウリング)20とを有している。
【0067】
図16に示すように、アンダーカウル21のミドルカウル20に対する接合面は、車体下部から車体後方側に向かうにつれて上側に向けて傾斜している。そして、アンダーカウル21のうち、ミドルカウル20に対する接合面の一部に、ミドルカウル20に対して凹む凹部40が形成されている。凹部40はアンダーカウル21のミドルカウル20に対する接合面のうちほぼ中央部に形成されている。そして、ミドルカウル20と、凹部40を有するアンダーカウル21とを接合することにより、ミドルカウル20とアンダーカウル21との間には、凹部40に基づく長孔状の開口部23が形成される。
【0068】
図16及び図17に示すように、アンダーカウル21は、凹部40と連続しこの凹部40から車体後方側に向かうにつれてカウリング外側(車体外側)に向かって除々に膨出形成されており、この膨出部分によって車体前方側に湾曲部41を形成している。そして、図6に示すように、湾曲部41はその中央部を外側に膨らむように形成されている。
【0069】
さらに、アンダーカウル21のうち、湾曲部41より車体後方側には、この湾曲部41と連続するように頂上部42を介してカウリング内側(車体内側)に向かって傾斜する傾斜部43が形成されている。図17に示すように、傾斜部43はほぼ平坦に形成されており、この傾斜部43の車体後方側端部がアンダーカウル21の後端部となっている。
【0070】
湾曲部41と傾斜部43との間の頂上部42、すなわち、湾曲部41と傾斜部43との間の稜線は、図16に示すように、側面視で車体前方側に膨らむ弓状(三日月状)に形成されている。そして、湾曲部41は、湾曲部41における頂上部(稜線)42の先端部42a近傍の点T1(図16参照)を基準として、車体下方に向かうにつれてカウリング内側(車体内側)に向けて傾斜している。すなわち、アンダーカウル21は、アンダーカウル21のうち凹部40の前側端部より僅かに下方の点T2と基準点T1とを結ぶ線L1を稜線として、車体内側に窄むように傾斜している。さらに、アンダーカウル21のうち頂上部42の下端部の点T3と基準点T1とを結ぶ線L2を稜線として、車体内側に窄むように傾斜している。ここで、線L2は頂上部42の弓形状に沿う曲線である。このように、アンダーカウル21のうち、側面視弓状の頂上部42の先端部42aより車体前方側の点T1を基準とした稜線L1及び稜線L2から下側部分は、車体内側に窄む傾斜面となっている。
【0071】
次に、自動二輪車1が走行した際の、第2開口部23近傍の走行風の流れについて説明する。
自動二輪車1が走行すると、ミドルカウル20前方の走行風取入口20Aや第1開口部22及び第2開口部23からカウリング内部に走行風が取り入れられるが、第2開口部23においては、図16や図17に示したように、開口部23から湾曲部41が外方に膨出しているので、アンダーカウル21の外側を流れる走行風は湾曲部41に当たる。そして、湾曲部41に当たった走行風の一部はカウリング内部に取り入れられる(矢印y1参照)。一方、湾曲部41に当たった走行風のその他は、湾曲部41の車体後方側に形成されている頂上部42や、稜線L1、L2に基づく傾斜面に沿って車体下部に流れる(矢印y2参照)。したがって、ミドルカウル20の後方に位置する運転者の脚に直接当たる走行風の量が抑えられる。
【0072】
また、ミドルカウル20の空気取入口20A等からカウリング内部に取り入れられた走行風はエンジン8や排気管8Aを冷却した後、第2開口部23を介してカウリング外部に排出される。このとき、カウリング内部から第2開口部23を介して外部に排出される熱気を帯びた空気は、湾曲部41の形状に沿ってカウリング外側に流され、湾曲部41の車体後方側に形成されている頂上部42や、稜線L1、L2に基づく傾斜面に沿って車体下部に流れる(矢印y3参照)。したがって、ミドルカウル20の後方に位置する運転者の脚に直接当たる熱気を帯びた空気の量が抑えられる。
【0073】
このように、ミドルカウル20とアンダーカウル21との接合面のうち、アンダーカウル21の接合面に、ミドルカウル20に対して凹む凹部40を設けたことにより、ミドルカウル20とアンダーカウル21とを接合するだけで、凹部40に基づく開口部23を容易に形成できる。なお、このとき、凹部40をミドルカウル20側に設けることもできるが、ミドルカウル20とアンダーカウル21との接合面は、車体下部から車体後方側に向かうにつれて上側に向かう傾斜面であるので、アンダーカウル21側に凹部40を設けることにより、車体前方から流れてくる走行風の出入りは円滑である。また、凹部40と連続し、この凹部40から車体後方側に向かうにつれてカウリング外側に向かって除々に膨出する湾曲部41を形成したことにより、カウリング外部と内部との間の空気の出入りは湾曲部41に沿って行われ、良好な外観性も維持できる。そして、湾曲部41の後方に側面視弓状の頂上部(稜線)42を形成するとともに、稜線L1,L2から下方を車体内側に窄む傾斜面としたことにより、走行風や熱気を帯びた空気は湾曲部41の形状や前記傾斜面に沿って車体下部側に流れるので、運転者の脚に直接当たる走行風や熱気を帯びた空気の量を抑えることができる。したがって、運転者に不快感を与えることがない。
【0074】
次に、図22〜図25を参照しながらサイドトランク14の支持構造について説明する。図22はサイドトランク14の支持構造を示す斜視図、図23は上記支持構造を拡大して示す拡大斜視図、図24は上記支持構造を後方から見た図、図25は上記支持構造の機構の一部を示す図である。
【0075】
サイドトランク14は、車体後部の左右に着脱自在に取り付けられている。サイドトランク14の支持構造は、サイドトランク14を車体に係合する係合部150と、係合部150に係合されたサイドトランク14の取付状態をロックするロック部151とを備えている。
【0076】
図23及び図24に示すように、係合部150は、ベースプレート160と、ベースプレート160に設けられた突起161とを有する。サイドトランク14の上部側面には、ベースプレート160に支持されるプレート162が横方向に突出して設けられており、このプレート162の下面には、上記ベースプレート160の突起161と係合する溝が設けられている。サイドトランク114のプレート162がベースプレート160上に設置されるとともに、プレート162の溝とベースプレート160の突起161とが係合することにより、サイドトランク14が車体に支持されるようになっている。
【0077】
ロック部151は、ロック操作用のトランクロックレバー165と、上述したサイドトランク14のプレート162を押圧する押圧プレート166と、トランクロックレバー165の動きを押圧プレート166に伝達するリンク機構167とを有する。本例では、トランクロックレバー165は、乗員の把持部であるグラブレール170と兼用されており、上記リンク機構167はそのグラブレール170の内側に配置されている。なお、グラブレール170は、先の図1に示した乗員用シート11の両側に設けられ、シートフレーム35に接続されている。
【0078】
図25に示すように、押圧プレート166は、係合部150に設けられた支点171を中心に回転自在に支持されており、トランクロックレバー165の開閉動作がリンク機構167を介して伝達されることにより、サイドトランク14のプレート162を押圧したり、押圧を解除したりするようになっている。なお、本例では、トランクロックレバー165が下方位置にあるときにロック状態(閉状態)となり、上方位置にあるときにロック解除状態(閉状態)となる。また、リンク機構167には、スプリング等からなる付勢部材が配置されており、付勢部材による付勢力により、トランクロックレバー165のロック解除状態(開状態)が保持される。
【0079】
図22及び図23に戻り、トランクロックレバー165には、施錠部175が設けられており、この施錠部175にキーを差し込んで施錠することにより、トランクロックレバー165のロック状態(閉状態)が保持される。さらに、この施錠部175にキーを差し込んで施錠を解除することにより、上述した付勢部材の付勢力によってトランクロックレバー165が上方に押し上げられ、トランクロックレバー165のロック状態が解除される。また、ロック状態(閉状態)において、トランクロックレバー165は、グラブレール170と一体化され、グラブレール170とほぼ連続する面を形成する。すなわち、トランクロックレバー165は、グラブレール170の上部の表面形状とほぼ同一の表面形状を有し、ロック状態(閉状態)において、グラブレール170の表面位置から突出しないように設けられている。
【0080】
また、図23及び図24に示すように、本例では、トランクロックレバー165の内側、すなわちグラブレール170の内側に、シートの取付状態をロックするためのシートロックレバー180が配置されている。シートロックレバー180は、上述したロック部151のリンク機構167に取り付けられており、ワイヤ181を介して、シートをロックするための機構に接続されている。また、このシートロックレバー180は、トランクロックレバー165がロック解除状態(開状態)のときに外部に露出される。つまり、トランクロックレバー165の施錠を解除して、トランクロックレバー165をロック解除状態(開状態)とすることにより、グラブレール170の内側に配置されたシートロックレバー180が操作可能となる。逆に、トランクロックレバー165を押し下げて、トランクロックレバー165をロック解除状態(開状態)とすると、トランクロックレバー165の内側にシートロックレバー180が隠され、シートロックレバー180の操作が不能となる。
【0081】
このように、サイドトランク14用のトランクロックレバー165をグラブレール170と兼用とするとともに、ロック部151の他の機構をグラブレール170の内側に配置したことにより、車体から突出する部分が少なくなり、サイドトランク114が支持される箇所近傍のスペースの有効利用が図られる。また、トランクロックレバー165はグラブレール170と一体化され、ロック状態(閉状態)において、グラブレール170とほぼ連続する面を形成することから、外観性の向上が図られる。これにより、ロック部を隠すようにサイドトランクを形成したり、サイドトランク側にロック部を配置したりといった措置が不要となり、それらに伴うトランク容量の減少を回避できる。
【0082】
次に、図18〜図21を参照しながら本発明の特徴的な部分について説明する。図18は本発明に係るシート構造の要部を示す拡大側面図、図19はシート構造の部品図、図20はシート構造のうち第1支持部及び第2支持部を示す図であって図20(a)は上方から見た図、図20(b)は側方から見た図、図21はシートを高さ調整した際の第1,第2,第3支持部のそれぞれの状態を示す図である。
【0083】
自動二輪車1は、運転者用シート10と乗員用シート11とを有しており、双方のシート10,11とも車体に対して着脱可能となっている。このうち、運転者用シート10は高さ調整可能であり、乗員用シート11は高さ調整不能である。そして、自動二輪車1のシート構造は、車体に設けられ、高さ方向に並んだ複数の溝部50を有する第1支持部51と、溝部50のそれぞれと係合可能であり、溝部50と係合状態で運転者用シート10の前部の所定位置を支持する第2支持部52と、シート10の後部の所定位置に設けられ、複数の段部54を有する階段部55と、車体のうち第1支持部51より後方位置に設けられ、シート10の段部54を支持可能な第3支持部53とを備えている。
【0084】
第1支持部51は、車体フレーム2のシートフレーム35に固定されており、燃料タンク9の後方に配置されている。図18及び図19に示すように、第1支持部51は、シートフレーム35に固定されるフロントクロスプレート56と、フロントクロスプレート56に固定され、前記溝部50を有するアジャスタブラケット57とを備えている。シートフレーム35とフロントクロスプレーと56とアジャスタブラケット57とはネジなどの固定部材56aによって固定される。
【0085】
図19及び図20に示すように、第1支持部51のうち、アジャスタブラケット57は車体の幅方向に所定の間隔をあけて2つ配置される。2つのアジャスタブラケット57のそれぞれは互いに対向する支持板部57aを有している。支持板部57aのそれぞれはその板面を車体高さ方向と平行になるように且つ車体前後方向と平行になるように設けられている。
【0086】
溝部50はアジャスタブラケット57の支持板部57aに車体前後方向を長手方向として高さ方向に3つ設けられている。そして、高さ方向に3つ並んだ溝部50のそれぞれは互いに略平行になるように形成されており、車体後端側において縦溝によって連続している。一方、溝部50の車体前端側は塞がれて係止部50Aを形成しており、高さ方向に3つ並んだ溝部50によって、図20(b)に示すように、逆向きE字状の溝部が形成されている。ここで、溝部50は支持板部57aのそれぞれに対等な形状で形成されている。
【0087】
第1支持部51のアジャスタブラケット57のうち、溝部50より車体後方部分には第2の溝部であるガイド溝58が形成されている。ガイド溝58のそれぞれは車体前後方向を長手方向として、支持板部57aのそれぞれに対等な形状で形成されている。
【0088】
第2支持部52は、1つのアジャスタブラケット57のうちの互いに対向する支持板部57aの間に配置されるアジャスタガイド(連結部材)59と、このアジャスタガイド59の穴部59aに取り付けられるピン部60と、車体の幅方向にそれぞれ配置されたアジャスタガイド59にその両端を接続したアジャスタバー(棒状部材)61とを有している。アジャスタバー61のアジャスタガイド59に対する接続位置は、ピン部60のアジャスタガイド59に対する取付位置より上部である。ピン部60はアジャスタガイド59の穴部59aに配置された際、その両端を外方に突出し、アジャスタブラケット57の溝部50に係合させている。このとき、溝部50に係合状態のピン部60の両端は鍔部(ワッシャ)60aによって溝部50から外れないようになっている。そして、ピン部60は高さ方向に3つ並び後端側で連続している溝部50に沿って移動可能であり、ピン部60の移動に伴って、このピン部60に固定されたアジャスタガイド59及びアジャスタガイド59に固定されたアジャスタバー61も溝部50の形状に基づいて移動可能となっている。すなわち、第2支持部52は連続している溝部50に沿って移動可能となっている。
【0089】
アジャスタガイド59のうち、穴部59aより車体後方側には第2穴部59bが形成されており、この第2穴部59bには第2ピン部62が取り付けられている。この第2ピン部62も、アジャスタガイド59の第2穴部59bに配置された際、その両端を外方に突出し、アジャスタブラケット57のガイド溝58に係合させている。このとき、ガイド溝58に係合状態の第2ピン部62の両端は鍔部(ワッシャ)62aによってガイド溝58から外れないようになっている。そして、第2ピン部62はガイド溝58に沿って摺動可能となっている。このとき、第2ピン部62がガイド溝58に支持されることによって、アジャスタガイド59は回動せず、その姿勢を保持される。
【0090】
図18、図19に示すように、アジャスタバー61にはスプリング(付勢部材)63が接続される。スプリング63はその一端をアジャスタバー61に接続し、他端をフロントクロスプレート56に接続している。このとき、スプリング63はアジャスタバー61を車体前方側に引っ張る力を有するように設定されている。すなわち、第2支持部52のアジャスタバー61は、スプリング63によって溝部50の前端側に付勢されており、溝部50の前端側の係止部50Aがアジャスタバー61にアジャスタガイド59を介して接続しているピン部60を係止する。このとき、ピン部60は溝部50の前端側の係止部50Aをスプリング63の付勢力に基づく所定の力で常時押圧している。
【0091】
シート10の後部に設けられている階段部55は3つの段部54を有している。図18に示すように、段部54のそれぞれは側断面視下向き凹状に形成されており、車体後方側に向かうにしたがって高い位置に設けられている。一方、車体のシートフレーム35のうち、第1支持部51より後方位置には、シート10の段部54と係合することによりシート10の後部を支持する第3支持部53が設けられている。この第3支持部53は凹状の段部54に嵌合可能な凸部を有している。ここで、本実施形態における第3支持部53は、車体の幅方向に延在されたバー部材である。なお、図18及び図19に示すように、第3支持部53とシートフレーム35との間にはラバーパッドなどの緩衝材66が介在しており、シート10に着座した運転者に対して作用する走行中の衝撃を低減する。また、図18に示すように、乗員用シート11と車体との間にも支持部材64及び緩衝材65が設けられる。
【0092】
図19に示すように、運転者用シート10の前部には、車体に設けられた第2支持部52のアジャスタバー61と係合する突起部10Aが形成されている。突起部10Aは車体前方側に向かって突出している。一方、運転者用シート10の後部には、乗員用シート11と係合する棒部材10Bが設けられている。この棒部材10Bは運転者用シート10後部の支持部10cに支持されてシート10に対して離間しつつ車体幅方向に延在している。また、乗員用シート11の前部には、運転者用シート10の棒部材10Bと係合する突起部11Aが形成されている。突起部11Aは車体前方側に向かって突出している。
【0093】
次に、上述した構成を有する自動二輪車において、運転者用シート10の位置調整(高さ調整)をする際の手順について説明する。
運転者用シート10の高さ調整をするに際し、まず、運転者用シート10及び乗員用シート11のそれぞれを車体から外しておく。
【0094】
次に、第2支持部52のアジャスタバー61が所望の高さ位置に配置されるように、アジャスタバー61に連結しているアジャスタガイド59の位置を設定すする。この場合、まず、運転者などがアジャスタバー61を把持し、スプリング63の付勢力に抗しながらアジャスタバー61に連結しているアジャスタガイド59を車体後方側に移動させる。そして、アジャスタガイド59に連結しているピン部60を溝部50に沿って移動させ、溝部50の後端の連続部分に配置した後、高さ方向に3つ並ぶ溝部50のうち、選択した所望の溝部50に係合させる。そして、アジャスタバー61の把持を解くことにより、アジャスタバー61はスプリング63の付勢力によって車体前方側に付勢され、アジャスタガイド59のピン部60が係止部50Aに係止される。こうして、アジャスタガイド59及びアジャスタバー61の位置が決定・保持される。具体的には、シート10を低い位置に調整したい場合には、図21(a)に示すように、高さ方向に3つ並ぶ溝部50のうち、ピン部60を下段の溝部50に係合させ、シート10を高い位置に調整したい場合には、図21(c)に示すように、高さ方向に3つ並ぶ溝部50のうち、ピン部60を上段の溝部50に係合させ、シート10を中間位置に調整したい場合には、図21(b)に示すように、高さ方向に3つ並ぶ溝部50のうち、ピン部60を中段の溝部50に係合させる。
【0095】
ここで、ピン部60が溝部50のいずれかと係合した際、アジャスタガイド59はピン部60を中心に回動しようとするが、第2ピン部62が長穴状のガイド溝58に支持されているため、アジャスタガイド59は回動しない。したがって、アジャスタガイド59及びアジャスタバー61の姿勢は保持される。また、第2ピン部62はガイド溝58に摺動可能に支持されているため、ピン部60を選択した溝部50に移動する際の移動動作は妨げられない。
【0096】
こうして、第2支持部52のアジャスタバー61の高さ位置が決定したら、アジャスタバー61の下方にシート10の突起部10Aを挿入した後、この突起部10Aをアジャスタバー61に支持させながら、シート10の後方を下方に倒すように回動する。そして、シート10の後方に形成されている段部54を車体に設けられている第3支持部53に支持させる。このとき、シート10の段部54の形成位置は、アジャスタブラケット57の複数の溝部50のうち選択された溝部50とアジャスタガイド59のピン部60とが係合した際、選択された溝部50に対応する段部54が第3支持部53に支持されるように設定されている。すなわち、図21(a)に示すように、高さ方向に3つ並んだ溝部50のうち下段の溝部50が選択された際には、シート10に形成された3つの段部54のうち後方の段部54が第3支持部53に支持されるようになっており、図21(b)に示すように、高さ方向に3つ並んだ溝部50のうち中段の溝部50が選択された際には、シート10に形成された3つの段部54のうち中央の段部54が第3支持部53に支持されるようになっており、図21(c)に示すように、高さ方向に3つ並んだ溝部50のうち上段の溝部50が選択された際には、シート10に形成された3つの段部54のうち前方の段部54が第3支持部53に支持されるようになっている。こうして、複数の溝部50のうち、任意の溝部50を選択することによってアジャスタバー61の高さ位置が変化し、このアジャスタバー61の高さ位置に基づいて、シート10の位置(高さ位置)が設定される。そして、下段の溝部50を選択した際にはシート10の位置は低く設定され、上段の溝部50を選択した際にはシート10の位置は高く設定され、中段の溝部50を選択した際にはシート10の位置は中間位置に設定される。
【0097】
こうして、運転者用シート10を車体に取り付けたら、乗員用シート11を車体に取り付ける。このとき、乗員用シート11の突起部11Aで運転者用シート10の棒部材10Bを押さえつけるようにして、乗員用シート11を車体に取り付ける。以上のようにして、運転者用シート10及び乗員用シート11の車体に対する取付作業が終了する。
【0098】
以上説明したように、高さ調整可能なシート10において、車体に対してシート10を支持する階段部55をシート10に設けたことにより、車体側のシート10下方におけるスペース、具体的には車体両側のシートフレーム35どうしの間の空間のスペースを確保することができる。また、シート10の高さ調整は、車体に設けられた第1支持部51の高さ方向に複数並んだ溝部50のいずれか1つに第2支持部52のピン部60を係合し、この係合状態のピン部60にアジャスタガイド59を介して連結しているアジャスタバー61でシート10を支持することによりシート10の高さ調整ができる。そして、第3支持部53でシート10の段部54を支持することにより、シート10を少なくとも2箇所で支持するので、シート10は確実に支持される。
【0099】
シート10の段部54の形成位置は、階段部55のうち第1支持部51の選択された溝部50に対応する段部54が第3支持部53に支持されるように設定されているので、シート10は支持されつつ高さ調整される。
【0100】
溝部50のそれぞれは車体前後方向を長手方向として形成されているとともにそれぞれの後端側で連続するように形成されており、第2支持部52のピン部60は、後端側において連続している溝部50に沿って移動可能であるので、第2支持部52のピン部60を溝部50に沿って移動でき、シート10の高さ調整を容易に行うことができる。そして、溝部50のそれぞれの後端側を連続形成するとともに、溝部50の前端側をピン部60の前方側への係止部50Aとすることにより、ピン部60(第2支持部52)の車体前方への移動を規制することができるので、この第2支持部52に支持されるシート10はその位置を保持される。更にこのとき、第2支持部52はスプリング63によって車体前方側へ付勢されているので、係止部50Aに係止される第2支持部52はその位置を保持される。
【0101】
アジャスタガイド59は、アジャスタブラケット57のガイド溝58に摺動可能に支持される第2ピン部62を有しているので、ピン部60を中心とした回動を妨げられる。したがって、アジャスタガイド59の姿勢は保持されるので、シート10は支持される。
【0102】
なお、本実施形態において、溝部50やこれに対応する段部54はそれぞれ3つずつ設けられているが、もちろん、3つ以上の任意の複数ずつ設ける構成とすることができる。
【0103】
【発明の効果】
本発明によれば、シートの位置調整のための階段部をシート側に設けたことにより、シート位置調整のための機構をコンパクト化してシート下方のスペースを十分に確保できる。また、高さ方向に複数並んだ溝部に基づいてシート位置調整を行う構成であるため、シートを位置調整する際の作業性は向上され、位置調整後のシート位置は維持される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の自動二輪車の一実施形態を示す全体概略側面図である。
【図2】図1の要部拡大図であって、前照灯近傍を示す図である。
【図3】前照灯近傍を前方から見た図である。
【図4】本発明に係る自動二輪車の車体フレームを側方から見た図である。
【図5】車体フレームを正面から見た図である。
【図6】車体フレームを上方から見た図である。
【図7】アッパーカウルとミドルカウルとの結合部近傍を拡大した側面図である。
【図8】ウインドスクリーン近傍の拡大側面図である。
【図9】移動装置を正面から見た図である。
【図10】図9を側方から見た図である。
【図11】連結部を示す図である。
【図12】連結部のうち第1部材を示す図である。
【図13】連結部のうち第2部材を示す図である。
【図14】カウルの第1開口部近傍を拡大した側面図である。
【図15】図14を車体後方から見た図である。
【図16】カウルの第2開口部近傍を拡大した側面図である。
【図17】図16のA−A矢視断面図である。
【図18】シート構造を側方から見た図である。
【図19】シート構造の部品構成図である。
【図20】シート構造のうち第1支持部及び第2支持部を示す図であって、(a)は上方から見た図、(b)は側方から見た図である。
【図21】位置調整されたシート構造を説明する図である。
【図22】サイドトランクの支持構造を示す斜視図である。
【図23】サイドトランクの支持構造を拡大して示す拡大斜視図である。
【図24】サイドトランクの支持構造を後方から見た図である。
【図25】サイドトランクの支持構造の機構の一部を示す図である。
【符号の説明】
1…自動二輪車、5…前輪、7…後輪、8…エンジン、8A…排気管、10…運転者用シート、11…乗員用シート、50…溝部、51…第1支持部、52…第2支持部、53…第3支持部、54…段部、55…階段部、58…ガイド溝、59…アジャスタガイド(連結部材)、60…ピン部、61…アジャスタバー(棒状部材)、62…第2ピン部、63…スプリング(付勢部材)
Claims (5)
- 車体に対して着脱可能なシートを有する自動二輪車において、
前記車体に設けられ、高さ方向に並んだ複数の溝部を有する第1支持部と、
前記溝部のそれぞれと係合可能であり、該係合状態で前記シートの所定位置を支持する第2支持部と、
前記シートのうち前記所定位置とは別の位置に設けられ、複数の段部を有する階段部と、
前記車体のうち前記第1支持部とは別の位置に設けられ、前記段部を支持可能な第3支持部とを備え、
前記溝部のそれぞれは車体前後方向を長手方向として形成されているとともにそれぞれの一端側で連続しており、
前記第2支持部は、前記連続している溝部に沿って移動可能であることを特徴とする自動二輪車。 - 前記複数の溝部のうち選択された溝部と前記第2支持部とが係合した際、前記階段部のうち前記選択された溝部に対応する段部が前記第3支持部に支持されるように、前記段部のそれぞれの形成位置が設定されていることを特徴とする請求項1記載の自動二輪車。
- 前記第2支持部を前記溝部の他端側に付勢する付勢部材を備えることを特徴とする請求項1記載の自動二輪車。
- 前記第1支持部は前記車体の幅方向に間隔をあけて少なくとも2つ配置されており、
前記第2支持部は、前記第1支持部のそれぞれの溝部に沿って移動可能なピン部を有する連結部材と、前記連結部材のそれぞれに接続した棒状部材とを有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載の自動二輪車。 - 前記連結部材は第2ピン部を有し、
前記第1支持部は、前記第2ピン部を支持することによって前記連結部材の姿勢を保持するガイド溝を有することを特徴とする請求項4記載の自動二輪車。
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