JP3910219B2 - オレフィン類の気相重合法 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
この発明は、オレフィン類の気相重合法に関する。より詳しくは、この発明は、エチレン又はエチレンとα−オレフィン類CH2=CHR(Rは炭素数1〜12のアルキル、シクロアルキル又はアリール基)との混合物を、活性のマグネシウムジハライドに支持した少なくとも1つのTi−ハロゲン結合を含有するチタン化合物からなる高活性触媒の存在下で、流動床又は機械的攪拌床を有する1以上の反応器で重合させることからなるオレフィイン類の気相重合法に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
エチレン又はプロピレンのような1以上のオレフィン類を、流動床又は機械的攪拌床を有する反応器中に気相で、元素周期律表のIV、V又はVIに属する遷移金属の化合物をベースとする触媒の存在下、特に、チグラー・ナッタ型触媒又は酸化クロムベースの触媒の存在下で、連続重合させることが知られている。
【0003】
ポリマー粒子は、オレフィン(類)含有のガス反応混合物中流動及び/又は攪拌状態に保持される。触媒は、連続的又は間欠的に反応器に供給され、一方、流動又は機械的攪拌床を構成するポリマーは、反応器から連続的又は間欠的に取り出される。
重合反応の熱は、反応器を循環させる前に熱交換器を通過するガス状反応混合物により実質的に除去される。加えて、液体蒸気が、熱除去を増強するため気相反応器に導入できる。
【0004】
α−オレフィンの気相重合法を、Al−アルキル化合物と活性Mgジハライドに支持したチタン化合物の反応生成物から構成された触媒のような高活性触媒の存在下で行うとき、気相の熱交換能が低いため熱除去の問題が増大する。
重合中の小さな変化、例えば、反応に用いた触媒又はオレフィン類の質の僅かな変動が、ポリマー粒子の挙動や触媒活性の変化の原因となり、気相重合に特に逆効果になる。これらの小さな変動が、床を通過するガス状反応混合物によって、十分に急速にかつ効果的に除去できない反応で発生した熱量の予期しない増加の原因に実際につながる。床に熱点が発生すると、溶融ポリマーの塊が形成されることになる。
【0005】
熱点が床に現れると、一般には塊の形成を防止するには遅すぎるのである。しかし、反応条件を、重合温度又は圧を下げたり、予期外の超活性化の逆効果を避けるため反応器に供給される触媒の割合を減少されることにより、十分に早期に補正をすれば、塊の量や大きさをある程度減少できる。しかし、この期間中、ポリマー生産率の低下と得られるポリマーの品質の低下を避けることはできない。
【0006】
このような欠点を避けるため、通常一般の重合条件を熱点や塊が形成しない安全な余地をもって選定される。例えば、活性の減少した触媒が用いられる。しかし、このような条件を用いると生産の実質的低下又はポリマーの品質の悪化の何れかとなる。
この欠点を救うことを意図して、ヨーロッパ特許出願A-359444号では、オレフィン重合速度を減少さすため、重合反応器に、重合禁止剤又は触媒毒のような遅延剤を導入することを開示している。しかし、遅延剤の使用は、工程の生産性の減少ならびに、ポリマーのメルトインデックス、溶融流量及び/又は立体規則性のようなポリマーの品質と性質に逆に影響する。
【0007】
上記の欠点の他に、気相法では、静電荷を発生する機序が活性であり、そのため、静電力の結果として触媒や樹脂粒子が反応器壁に付着する傾向とする。反応性環境にポリマー類がかなり長時間滞留する場合に、過剰の温度は、粒子が溶融する原因となり、顆粒状製品中に溶融塊状物のシート又は層が形成されることになる。
【0008】
静電荷の発生原因は大である。この中には、異なる種類の材料間の摩擦、制限された静電放散、方法へのごく少量のプロスタティク剤の導入、過剰触媒活性等による電荷の発生がある。
シート材料と過剰の静電荷(負または正の何れか)の存在の間に厳密な相関関係が存在する。これは、直後に反応器壁での温度の偏差を伴う、静電値の突然の変化で証明される。
【0009】
その温度偏差は、絶縁効果と熱伝達の減少の原因となる粒子付着を示す。結果として、一般に流動効果と均一性の損失があり、製品排出系でブラギングすることと触媒供給中断が起こる。
米国特許第4,532,311号では、静電荷を減少さすことができる各種の工程を開示している。流動床での使用に適する方法としては、(1)粒子の導電性を増大する添加物の使用をして、静電荷の路を与える、(2)流動床に粉砕装置を設置する、(3)粒子上での静電荷を中和するイオンを発生するように、ガス又は粒子を電荷でイオン化する、(4)粒子上の静電荷を中和できるイオンを発生しうる照射を与える放射性源を使用することが含まれる。しかし、流動床を使用する商業スケールの反応器でこれらの技術を使用するのは容易でなく実際的でもない。
【0010】
米国特許第4,803,251号には、正又は負電荷を発生し、望まれない正又は負電荷の形成を防止するためモノマーに対し2〜3ppmの量で反応器に供給される一群の化学添加剤を開示している。化学添加剤としては、アルコール類、酸素、酸化窒素とケトン類が挙げられる。またこの場合、触媒活性の低下ならびにポリマー品質の低下がある。
【0011】
上記の欠点は、興味ある形態特性(高い嵩密度、流動性と機械耐性)を有する球状ポリマーを生産するため、高活性触媒を用いて、気相重合を行うと増大する。この場合に、重合法の実質的に完全なコントロールを行うことによってのみ、上記の所望特性を有するポリマー粒子が得られる。これは、気相法をエチレンポリマー生産に用いたとき特にそのようになり、そこではエチレンの高い重合速度が問題を悪化さす。
【0012】
熱可塑性オレフィンポリマーの製法を開示するヨーロッパ特許出願A-416379号では、重合反応を活性MgCl2に支持したチタンハライドベースの触媒を使用する少なくとも2つの反応器で行なっている。この特許では、液相または気相の何れかで行う主重合の前に、予め作った触媒を少量のオレフィンと予備接触させる可能性に言及している。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記の困難性を、触媒生産性を犠牲にすることなくかつ/又はポリマー品質を劣化さすことなく、克服又はかなり減少し、気相重合法をスムーズにかつ信頼できる様に行うことができることを見出した。
特に、エチレンポリマー類を、高生産率(時間当り固形触媒成分のg当りポリマーgとして)で得ることができ、そのポリマーは、高流動性と高嵩密度値を有する球状粒子の形状(球状とは、実質的に楕円形もしくは球状粒子を意味する)であることを見出した。
【0014】
この発明の方法では、特に、30〜150μmの粒子寸法を有する超活性触媒の使用に関連して、価値ある形態特性を有する球状のポリマーを得ることを可能とする。この球状のポリマーは、エネルギー消費に関して非常に高くつく予備的ペレット化を必要とすることなく使用できる。
さらに、高い特殊な生産性を有する気相重合法を行えることができることは反応器容量の著しい減少をさせる。
【0015】
この発明での他の利点は、気相反応器の立上りに、従来技術の気相法で通常行われる"流動化樹脂床"又は他の当初分散床を必要としない事実からもたらされる。
この発明の連続法は、
(a)重合性オレフィンの非存在下又は任意に固形触媒成分(A)のg当たり20g以下の量での重合性オレフィンの存在下で触媒成分を接触させ、
(b)固形触媒成分のg当たり30〜1000gの量でポリマーを形成するため、エチレン又はエチレンとα−オレフィンCH2=CHR(RはC1-12のアルキル、シクロアルキル又はアリール基)の20モル%まで含有する1以上のα−オレフィンとの混合物を、(a)で記載のようにして作った触媒で予備重合し、
(c)エチレン又はエチレンと前記α−オレフィンとの混合物を、流動床又は機械的攪拌床を有する1以上の反応器での気相で、(b)からの予備重合−触媒系を用いて重合し、かつ、その間炭素数3〜5を有するアルカンを全ガスの20〜90%のモル濃度で反応器を循環させることを特徴とするオレイフィン類の気相重合法
からなる。
【0016】
触媒の予備形成を行うと、その触媒を用いての予備重合の工程及び上記に示したモル濃度で気相中でのアルカンの存在が、従来から知られている代表的な方法の難点を有することなしに、気相重合方法を容易にコントロールすることができることは驚くべきことでありかつ予期せぬことである。
式CH2=CHRからなるα−オレフィンとしては、例えばブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、4−メチル−ペンテン−1、オクテン−1が挙げられる。
【0017】
工程(a)で、触媒を構成する成分は、プロパン、n−ヘキサンあるいはn−ヘプタンのような不活性な液体炭化水素溶媒と、60℃より低温度で、好ましくは0〜30℃で約6秒〜60分間で接触される。
本発明の方法に使用される触媒は、以下に示す成分の反応生成物を含む:
(A)固形成分が活性型のマグネシウムハライドに支持された少なくとも1つのTi−ハロゲン結合を含むチタン化合物からなる。例えば特に狭い分子量分布(MWD)でのLLDPEの製造が望まれる場合、固体成分は任意に電子供与性化合物(内部供与体)も含んでもよい。
(B)アルキル−アルミニウム化合物、特にAl−トリアルキル。
(C)任意に、例えば特に狭い分子量分布(MWD)でのLLDPEの製造が望まれる場合、電子供与化合物(外部供与体)は固体成分(A)中に存在する供与体と同じか、あるいは、異なってもよい。
【0018】
工程(a)で形成される触媒は連続的あるいは非連続的に工程(b)に供給される。
工程(b)は液相あるいは気相で行うことができ、工程(b)の液相に使用される炭化水素溶媒としては、n−ヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘキサンあるいはプロパン、ブタンのような低沸点アルカン(工程(b)では液体の状態に保持される)を使用するのが好ましい。
【0019】
工程(b)でのエチレンの予備重合は、−30〜+50℃、好ましくは−10〜+30℃の温度範囲で行われる。形成されるプレポリマーの量は固体触媒1gあたり30〜1000gの範囲、好ましくは100〜400gの範囲である。最終触媒収率は触媒残渣の分析によって、例えば、チタン及び/又はマグネシウムの含量、あるいは材料の収支から決定される。
【0020】
工程(c)の気相重合は、公知技術によって少なくとも1つ以上の流動床あるいは機械攪拌床からなる反応器で行われる。工程はポリマー粒子の焼結温度下で行われる。一般的に温度は50〜120℃の間、好ましくは70〜100℃の間である。
全圧は1.5〜2MPa間である。上記で示したように反応器(複数)中の気相は、全ガスに対し20〜90モル%の量のC3−C5の不活性アルカンを含んでいる。前記アルカンはプロパン、ブタン、イソブタン、n−ペンタン、イソペンタン、シクロプロパン、シクロブタンを含むグループから適宜選択される。この内プロパンを使用することが好ましい。
【0021】
アルカンはモノマーと一緒にまたは別々に反応器に導入され、循環ガスで循環され、すなわち床では反応しない、かつ重合ゾーンから除去されるガス流は、床上の速度低下ゾーンを通過さすことが好ましく、そこで連行粒子が床に落下できる。続いて循環ガスは圧縮され、その後床に戻る前に熱交換機を通過する。気相反応器とその技術の記載は、例えば米国特許第3,298,792号や第4,518,750号を照されたい。
【0022】
本発明の方法で、窒素等の不活性ガスの使用が効果がないのに、アルカンが上記で示したような利点を提供する効果があることは驚くべきことであり、全く予期しないことである。実際、窒素の使用は、大きな凝集体(“チャンク(chanks) ”)の形成を避けることができず、結果として操作の停止が必要となる。
【0023】
好ましい実施例によれば、重合反応は少なくとも2つの一連の反応器で行われ、第1の反応器内で当初量のポリマーが生成され、アルカンの濃度は第2の反応器(あるいは続いての反応器)の濃度より高く保たれる。一般的に全ポリマーの約5〜60%が第1の反応器で生成される。
反応器内で流動化は床に向かってそして床を通して循環ガスを、代表的にはメーキャップガスの供給速度の約50倍のオーダーの高速で保持することによって達成される。メーキャップガスは、粒子ポリマー生成物の回収される速度と等しい速度で床に供給される。
【0024】
完全な流動化を保障するために、循環ガス及び所望であればメーキャップガスの1部あるいは全部が床より下流の点で反応器に再導入される。再導入点の上部に設置されたガス分配板は適切なガスの分配を保障し、ガスが止まった時に樹脂床を保護する。
水素をポリマーの分子量を調整するために連鎖移動剤として使用することもできる。
【0025】
本方法の代表的な略図を添付の図1に示す。参照番号1は触媒系が活性化される装置(活性化反応器)を示している。ループ反応器2は予備重合反応装置である。気相反応器は4と6に示されおり、固体/ガス分離装置は3、5及び7に示されている。
触媒成分と希釈剤(プロパン)は、矢印Aで示されているように活性化反応器1に供給される。活性化触媒は、矢印Bで示されているようにループ反応器Bに供給される。プロピレンが矢印Eで示されるようにループ反応器に供給される。生成した触媒−プレポリマー系は気相反応器4に供給されるか、あるいはもし液体成分から生産された固体物質の分離が所望のとき、分離装置3に供給され、それから気相反応器4へ、そのガス循環系にモノマー、水素及びプロパンを矢印Cで示されているように供給できる。反応器4から出たポリマーは、分離装置5を通って反応器6に入り、モノマー、水素及びプロパンが矢印Dで示されているように供給される。球状顆粒状のポリマーは、分離装置7中に反応器6から取り出される。
【0026】
もし1工程での気相重合を期待するなら、生成されたポリマーは分離装置5の取り出し口で回収される。
本発明の方法で使用される固体触媒成分は式Ti(ORIny-n(式中0≦n≦(y−1)で、yはチタンの原子価であり、Xは水素、好ましくは塩素であり、RIはn−ブチル、イソブチル、2−エチルヘキシル、n−オクチル及びフェニルから選択される。)のチタン化合物からなる。
【0027】
チーグラー−ナッタ触媒のための支持体として使用した活性Mg−ジハライドは、特許文献中に広く記載されている。米国特許第4,298,718号及び第4,495,338号は前記支持体の使用を最初に開示した。
本発明の方法に使用された触媒成分の支持体を形成するMg−ジハライドは、X線スペクトルによって特徴付けられ、非活性ハライドのスペクトル中に現れる最も強いラインが存在しないしかし、最も強いラインの角度についてより低い角度に向かってシフトされた最強の強度でハローに置換され、あるいはこの線がまだ存在する場合は広いX線スペクトルに置換される。
【0028】
好ましい前記マグネシウムジハライドは塩化マグネシウムである。
固体触媒成分の合成に適したチタン化合物は最も好ましいTiCl4のようなTiハライド及びトリクロロブトキシチタンやトリクロロフェノキシチタンのようなTi−トリクロロアルコレートが含まれる。この場合チタン化合物は、任意に4価より少ないチタンの原子価に下げることができる還元剤を使用することにより還元してもよい。
【0029】
例えば還元化合物として、Al−トリアルキル化合物あるいはポリ水素化シロキサンのようなシリコン化合物を挙げることができる。
チタン化合物をチタンテトラアルコレートを例えばSiCl4,TiCl4,ハロゲン化シラン,AlCl4,Al−アルキルハライドのようなハロゲン化剤で反応させることによって、その場で形成することもできる。後者の場合Al−アルキルハライドは、ハロゲン化と還元活性の両方を示すので、得られたチタン化合物は少なくとも部分的に4価より小さい原子価をもつ。
【0030】
本発明の方法に使用できる固体触媒の例は、米国特許第4,218,339号及び第4,472,520号に開示されている。固体触媒成分を米国特許第4,748,221号及び第4,803,251号に開示されている方法によって合成することもできる。
本発明の方法の特に好ましい触媒は、例えば球状或いは楕円状形態の様な規則的形態学で考えた触媒成分である。
【0031】
例えばこのような触媒成分として、イタリア特許出願第MI-92-A-000194号及び第MI-92-A-000195号に開示されている。このような触媒の使用によって、高嵩密度値で有用な形態学上の特徴を示すポリマーを得ることができる。
チタン化合物は、例えばバナジウム、ジルコニウム及びハフニウムのような他の遷移金属と混合させて使用することができる。
【0032】
支持体上に存在するチタンの量は、例えば金属チタンとして20重量%までであり、好ましくは1〜16重量%である。
適切な内部電子供与体は、エーテル類、エステル類、アミン類、ケトン類、一般式:
【0033】
【化1】
Figure 0003910219
(RIIとRIIIは互いに同一又は異なり1〜18の炭素原子を有するアルキル、シクロアルキル及びアリール基であり、RIVとRVは互いに同一又は異なり1〜4の炭素原子を有するアルキル基)
のジエーテル類からなる。
【0034】
このような化合物の例としては、ジ−n−ブチルフタレート、ジイソブチルフタレート、ジ−n−オクチルフタレート、2−メチル−2−イソプロピル−1,3−ジメトキシプロパン、2−メチル−2−イソブチル−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ジイソブチル−1,3−ジメトキシプロパン、2−イソプロピル−2−イソペンチル−1,3−ジメトキシプロパンがある。
【0035】
内部供与体は、Mgに対して1:2までのモル比に一般的に存在し、好ましくは1:8〜1:12の間に存在する。
工程(a)で触媒を形成するため共触媒として合成されるアルキルアルミニウム化合物は、Al−トリエチル、Al−トリイソブチル、Al−トリ−n−ブチル、Al−トリ−n−オクチルのようなAl−トリアルキル化合物から選択することが好ましい。Al−トリアルキルとAlEt2Cl、Al2Et3Cl3のようなAl−アルキルハライド或いはAl−アルキルセスキハライドとの混合物も使用できる。工程(a)で形成される触媒中のAl/Ti比は1より大で、一般に20〜800からなる。
【0036】
外部供与体は、内部供与体として存在する電子供与化合物と同一又は異なってもよい。
内部供与体がポリカルボン酸のエステルのとき、外部供与体は、R12Si(OR)2〔R1とR2は1〜18の炭素原子を有するアルキル、シクロアルキル又はアリール基〕のシリコン化合物を選択するのが好ましく、その例としては、メチルシクロヘキシル−ジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシランとメチル−t−ブチルジメトキシシランがある。
【0037】
既に述べたように、エチレンの高重合速度により従来の気相法ではその困難性を避けるために、気相法の密接な調整を必要としており、これは特に方法が高比生産性で行われるとき必要となるが、本発明はこのようなエチレンポリマーの生産に用いるのに特に適する。
例えば:エチレンのホモポリマー類や炭素原子数3〜12からなるα−オレフィン類とエチレンのコポリマーを含む高密度ポリエチレン(HDPE;0.940g/ccよりも大きい密度);80重量%以上のエチレン由来の単位と共に炭素原子数3〜12からなるα−オレフィン類を少なくとも1つ以上のエチレンのコポリマーを含む、線型の低密度ポリエチレン(LLDPE;0.940g/ccよりも小さい密度)及び極低及び超低密度線型ポリエチレン(VLDPEとULDPE;0.920g/ccよりも少ない密度及び0.880g/ccと同程度の密度);30〜70重量%のエチレン由来の単位からなる、エチレン、プロピレン及びジエンのエラストマーの三元共重合体とエチレン及びプロピレンのエラストマーのコポリマー;を得ることができる。
【0038】
次の実施例で更に詳細に本発明を説明する。当然ながら、本発明の趣旨から離れることなしに変形例を示すことが可能である。
【0039】
【実施例】
固体触媒成分の合成
不活性雰囲気下、28.4gのMgCl2、49.5gの無水エタノール、10cm3のROL OB/30 ワセリンオイルと100cm3の350csの粘度を有するシリコンオイルを、攪拌子を備えた反応容器中に入れた。温度を120℃に上げ、MgCl2が溶解するまでその温度を保った。次に熱反応混合物を、150mlのワセリンオイルと150mlのシリコンオイルを含んだ、ウルトラ・タラックス(Ultra Turrax)T−45N攪拌子を備えた1.5リットルの容器に移した。3分間、2000rpmで攪拌している間、温度を120℃に保った。次に混合物を、1リットルの0℃に冷やされた無水n−ヘプタンを含む、攪拌子を備えた3リットルの容器に移し、0℃で保持しながら約20分間6m/sの速度で攪拌した。得られた粒子をn−ヘキサンで洗い、N2気流下、50〜150℃の温度範囲で、残留アルコールの存在が約35重量%である球状の粒子が得られるまで熱処理を施した。5000cm3の反応器に、この生成物300gを300cm3の無水ヘキサンで懸濁させて移した。室温で攪拌しながらヘキサン溶液中に130gのトリメチルアルミニウム(TEAL)を徐々に移した。反応混合物を60分かけて60℃まで温め、そののち攪拌を停止し、反応混合物を静置し、透明な上澄み層に分離させた。TEALでの同じ条件下でさらに2回繰り返し、そののち得られた固体生成物をヘキサンで洗い、50℃で乾燥させた。このように得られた支持体260gを3リットルの無水ヘキサンと共に反応器に移し、攪拌下で242gのTi(OBt)4を室温で供給した。反応混合物を30分間攪拌し続け、そののちヘキサン250cm3で希釈された350gのSiCl4を室温で30分かけて供給した。温度を65℃に上げ、3時間攪拌を続け、その後液層を静置、吸い上げによって分離した。それから固体生成物を7回ヘキサンで洗い、得られた成分を真空下50℃で乾燥させた。
【0040】
実施例1
図1に示す配置からなるパイロットプラントをHDPEを生産するために使用した。固体成分を一般的な方法によって生成し、テトラエチルアルミニウム(TEAL)のn−ヘキサン溶液を活性化工程に供給し、次にエチレンと共に活性化工程からスラリー予備重合工程へ供給した。懸濁液の液層はプロパンであった。プロパンスラリーを含むプレポリマーを、予備重合装置から断続的に第1の気相反応器に移した。予備重合装置にポリマーの分子量を調節するために、水素も加えた。第1と第2の気相反応器に、プロパンを系の反応性を良く調整するために加えた。
【0041】
Figure 0003910219
Figure 0003910219
【0042】
実施例2
図1に示す配置からなるパイロットプラントをLLDPEを生産するために使用した。固体成分を一般的な方法によって生成し、TEALのn−ヘキサン溶液を活性化工程に供給し、次にエチレンと共に活性化工程からスラリー予備重合工程へ供給した。懸濁液の液層はプロパンであった。プロパンスラリーを含むプレポリマーを予備重合装置から断続的に第1の気相反応器に移した。予備重合装置にポリマーの分子量を調節するために水素も加えた。第1と第2の気相反応器にプロパンを系の反応性を良く調整するために加えた。
【0043】
Figure 0003910219
Figure 0003910219
【0044】
実施例3
図1に示したものと同じ配置からなるパイロットプラントをLLDPEを生産するために使用したが、分離装置5中に反応器4から移した後、1工程気相重合工程で、生成されたポリマーを回収した。前処理と予備重合工程を実施例1及び2に記載のように完全に類似させた。気相反応器にプロパンを系の反応性を良く調整するために加えた。
【0045】
Figure 0003910219
【0046】
【発明の効果】
この発明の方法では、特に、30〜150μmの粒子寸法を有する超活性触媒の使用に関連して、価値ある形態特性を有する球状のポリマーを得ることを可能とする。この球状のポリマーは、エネルギー消費に関して非常に高くつく予備的ペレット化を必要とすることなく使用できる。
【0047】
さらに、高い特殊な生産性を有する気相重合法を行えることができることは反応器容量の著しい減少をさせることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の気相重合法の概略図である。
【符号の説明】
1 活性化反応器
2 ループ反応器
3、5、7 分離装置
4、6 気相反応器

Claims (12)

  1. エチレン又は、エチレンとα−オレフィンCH2=CHR(Rは炭素数1〜12を有するアルキル、シクロアルキル又はアリール基)との混合物を、(A)活性マグネシウムジハライド上に支持された少なくとも1つのTi−ハロゲン結合を含有するTi化合物と(B)Al−アルキル化合物の反応生成物からなる触媒を使用して気相重合させることからなり、
    (a)重合性オレフィンの非存在下で触媒成分を接触させ、
    (b)固形触媒成分のg当り30〜1000gの量での、ポリマー形成用のエチレン又はエチレンと前記α−オレフィンの20モル%まで含有する1以上のα−オレフィンとの混合物を、(a)で記載のようにして作った触媒で予備重合させ、
    (c)エチレン又はエチレンとα−オレフィンとの混合物を、流動床又は機械的攪拌床を有する少なくとも2つの一連の反応器での気相で、(b)からの予備重合触媒系を用いて重合させ、かつ反応器中、炭素数3〜5を有するアルカンを、全ガスに対し20〜90%で、かつ続く反応器中よりも第一反応器中の方が高いモル濃度で循環させることを特徴とし、
    さらに、(a)に記載されるようにして製造される触媒が30〜150μmの範囲の粒子寸法を有することを特徴とするオレフィン類の気相重合法。
  2. 前記Ti化合物が少なくとも1つのTi−ハロゲン結合と少なくとも1つのTi−ORI結合(RIは炭素数1〜12のアルキル、シクロアルキルもしくはアリール基、又はCOR基である)を含む請求項1記載による方法。
  3. 前記成分(A)中に、内部電子供与体が存在する請求項1又は2記載による方法。
  4. 前記触媒中に外部電子供与化合物が存在する請求項3記載による方法。
  5. 前記工程(b)で作られたプレポリマー量が100〜400g/固形触媒成分gの間である請求項1〜4記載の何れか1つによる方法。
  6. 重合反応が2つの反応器で行われ、第1の反応器で全ポリマーの5〜60重量%が生成され、かつアルカンの濃度が第2反応器より第1反応器中が高い請求項1〜5記載の何れか1つによる方法。
  7. 前記オレフィンCH2=CHRがブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、4−メチルペンテン−1又はオクテン−1である請求項1又は2記載による方法。
  8. 前記Al−アルキル化合物がAl−トリアルキル化合物である請求項1又は2記載による方法。
  9. 前記内部電子供与体が、エーテル類、ジエーテル類、エステル類、アミン類およびケトン類から選択される請求項3記載による方法。
  10. 前記内部電子供与体が芳香族カルボン酸のエステルである請求項9記載による方法。
  11. 前記アルカンがプロパンである請求項1〜10の何れか1つによる方法。
  12. 前記成分(A)が球状である請求項1又は2記載による方法。
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