JP3886525B2 - ポリエステル織物 - Google Patents

Description

本発明は、ポリエステル織物並びにこれを使用してなる傘地、ダウンプルーフ織物及び保温性素材に関する。

スポーツウェア、カジュアルウェア、コート等の衣類、ダウンプルーフ織物、傘地等の各種生地としてポリエステルマルチフィラメントからなる織物が広く利用されている。このようなポリエステルマルチフィラメントとして、従来、５６ｄｔｅｘ／４８ｆ程度の太さを有するポリエステルマルチフィラメントが使用されてきた。近年、種々の用途において、より軽量、高密度で柔軟性を有するポリエステル軽量織物が要求されている。

例えば、ダウンジャケット、寝装具等に使用するダウンプルーフ織物においては、より高い保温性を得るために、軽量、高密度で柔軟性を有するポリエステル織物が望まれている。このようなポリエステル織物を使用すると、通気度が低く、保温性に優れた保温性素材が得られる。更に、織物が柔軟であることから、ダウンジャケット、寝装具の保温材として使用される綿、羽毛等がダウンプルーフ織物によって過剰に圧縮されることがないため、空気保持率を高くすることができる。このような作用によって、なお一層優れた保温力が得られる。

更に、傘地においては、高密度で耐水性に優れ、同時に携帯性に優れたポリエステル織物が望まれている。軽量、高密度で柔軟性を有するポリエステル織物を傘地として使用すると、高密度で薄いことから、布帛の体積が小さくなり、折りたたんだときの体積を小さくすることができ、携帯性に優れた傘を得ることができる。また、従来の折り畳み傘は、傘地が柔軟性の乏しいものであることから、折り目部分で余分な空気が抱き込まれやすいことから、予めつけられた折り目に沿って折りたたまなければ、充分に体積を小さくすることができず、折りたたみに手間を要するという問題もあった。

その他、テント地、カジュアルウェア、コート等においても、軽量、高密度で柔軟性に優れるポリエステル織物を使用すると、携帯性、保温性、軽量性に優れ、感触においても良好な性質が得られる点で好ましい。

布帛を軽量化する方法としては、例えば、中空繊維を用いる方法が知られている（例えば、特許文献１参照）。しかしながら、このような中空繊維は、軽量ではあっても薄さの面で不充分であり、携帯性やコンパクト性に欠けるという問題があった。また、中空であると、同じ繊度であれば引裂強度も弱くなるという問題もあった。

布帛を軽量化するその他の方法としては、従来のポリエステルマルチフィラメントより細い極細のポリエステルマルチフィラメントを使用する方法を挙げることができる。しかし、極細のポリエステルマルチフィラメントによって形成された織物は、引裂強度が不充分であるために、上記各種用途に好適に使用することができるような性能を有するものとすることができなかった。更に、柔軟性を得ることが困難であるという問題もあった。

特開２００２−３０９４６３

本発明は、上記に鑑み、従来のポリエステルマルチフィラメントよりも極細のポリエステルマルチフィラメントを使用し、軽量、高密度で柔軟性を有するものでありながら、同時に充分な引裂き強度を有するポリエステル織物を提供することを目的とするものである。

本発明は、トータルカバーファクターが１５００以上で目付が４５ｇ／ｍ^２以下であるポリエステル織物であって、トータル繊度２５ｄｔｅｘ（デシテックス）以下、単糸繊度が２．０ｄｔｅｘ以下のポリエステルマルチフィラメントＡ糸及びトータル繊度３５ｄｔｅｘ以上のマルチフィラメントＢ糸からなり、経方向、緯方向それぞれの糸配列は、Ｂ糸／Ａ糸の糸構成比率が１／４〜１／２０（本数比）であり、Ａ糸とＢ糸とのピッチが７ｍｍ以下であることを特徴とするポリエステル織物である。
上記Ｂ糸は、引き揃え糸であることが好ましい。
上記ポリエステル織物は、カレンダー加工を施したものであり、経緯の引裂強度が７Ｎ以上であり、通気度が１．２ｃｃ／ｃｍ^２／ｓｅｃ以下であることが好ましい。

本発明は、上記ポリエステル織物からなることを特徴とする傘地でもある。
本発明は、上記ポリエステル織物からなることを特徴とするダウンプルーフ織物でもある。
本発明は、上記ポリエステル織物からなるダウンプルーフ織物からなる袋体、及び、上記袋体中に詰められた保温材からなることを特徴とする保温性素材でもある。
以下、本発明を詳細に説明する。

本発明のポリエステル織物は、極細のポリエステルマルチフィラメントＡ糸（以下、これを単に「Ａ糸」と記す）及びトータル繊度３５ｄｔｅｘ以上のマルチフィラメントＢ糸（以下、これを単に「Ｂ糸」と記す）を使用してなる織物であって、軽量で高密度であり、柔軟性に優れ、かつ、引裂強度に優れた織物である。軽量かつ高密度であることから、厚みが薄いポリエステル織物とすることができる。

本発明は、極細のポリエステルマルチフィラメントＡ糸によって軽量化及び高密度化を行い、同時に一定割合でトータル繊度３５ｄｔｅｘ以上のマルチフィラメントＢ糸を使用することによって、引裂き強度等の物性を改善し、上記目的に適した性質を有するポリエステル織物を提供するものである。

本発明における上記Ａ糸は、トータル繊度が２５ｄｔｅｘ以下、単糸繊度が２．０ｄｔｅｘ以下のものである。トータル繊度及び単糸繊度が上記範囲内である限り、上記Ａ糸を構成するフィラメントの本数としては特に限定されないが、１０〜３０本程度であることが好ましい。

上記Ａ糸の単糸繊度が２．０ｄｔｅｘを超えると、柔軟性にかけたものとなり、また所望の高密度なポリエステル織物を得ることができない。好ましくは、上記単糸繊度は１．３ｄｔｅｘ以下である。上記Ａ糸のトータル繊度が２５ｄｔｅｘを超えると、得られるポリエステル織物の厚みが増し、軽量化が困難となる。上記トータル繊度は、２３ｄｔｅｘ以下であることが好ましい。

上記Ａ糸の製造方法としては特に限定されず、例えば、エチレングリコールとテレフタル酸とを減圧高温で縮合的重合させてできるポリエステルチップを溶融紡糸した後、巻取、延伸を行う方法等の従来公知の方法を挙げることができる。本発明で使用するポリエステルマルチフィラメントＡは、単糸繊度が２．０ｄｔｅｘ以下のものであるため、巻取、延伸時に張力を通常より下げる等の条件設定に留意することが好ましい。
上記ポリエステルフィラメントＡは、丸断面であっても異型断面であってもよい。

本発明のポリエステル織物は、経緯の両方の配列に、上記Ａ糸だけでなくトータル繊度が３５ｄｔｅｘ以上のマルチフィラメントであるＢ糸を有するものである。上記Ｂ糸を経緯の両方の配列に含むことにより、極細のポリエステルマルチフィラメントであるＡ糸の製織性、及び、得られる織物の引裂強度を向上させることができる。

上記Ｂ糸を構成するフィラメントの繊維種としては特に限定されないが、ポリエステルマルチフィラメント、ポリアミドマルチフィラメント等の合成繊維であることが好ましい。なかでも、得られるポリエステル織物表面の凹凸が低減されることから、収縮率等の物性がＡ糸と同程度のポリエステルマルチフィラメントであることが最も好ましい。より具体的には、収縮率の差が５％以下であることが好ましい。上記Ｂ糸は、トータル繊度が３５ｄｔｅｘ以上であれば、構成単糸の繊度は特に限定されないが、４０〜６０ｄｔｅｘであることが好ましい。また、上記Ｂ糸は、丸断面であっても三角断面、偏平断面等の異型であってもよく、ブライト糸、セミダル糸及びフルダル糸のいずれであってもよい。また、上記Ｂ糸は、導電糸であってもよく、カーボンブラック、白色系導電成分等の導電成分を繊維中に含む導電糸、繊維の表面に金属メッキ等を施した導電糸のいずれであってもよい。

上記Ｂ糸としては特に限定されず、単糸であってもよいが、双糸、三子糸、四子糸等の引き揃え糸であることがより好ましい。上記引き揃え糸を使用することによって、本発明のポリエステル織物の引裂強度をより高めることができる。

本発明のポリエステル織物における上記Ｂ糸／Ａ糸の糸構成比率は、１／４〜１／２０（本数比）である。Ｂ糸の構成比率が過大であると、軽量化、薄物化といった本発明の目的を充分に達成することができない。また、Ａ糸の構成比率が過大であると、充分な引裂強度が得られない。上記糸構成比率は、好ましくは１／４〜１／１５（本数比）である。なお、ここでの糸構成比率は、経糸、緯糸それぞれの糸構成における構成比率を表わすものである。すなわち、経糸、緯糸それぞれを構成するＢ糸／Ａ糸の構成比率がいずれも１／４〜１／２０（本数比）の範囲内であることを意味するものである。

また、本発明のポリエステル織物における上記Ａ糸及びＢ糸とのピッチは、７ｍｍ以下である。上記ピッチが７ｍｍより大きいとＢ糸を併用する効果が得られないおそれがある。上記ピッチは、好ましくは３．５ｍｍ以下である。なお、上記ピッチも糸構成比率と同様、経糸、緯糸それぞれを構成するＢ糸／Ａ糸とのピッチがいずれも７ｍｍ以下であることを意味するものである。

なお、Ａ糸及びＢ糸のそれぞれの糸を配列する際、上記糸構成比率及びピッチを満足するものであれば、同じ構成単位を有する配列を繰り返したものでもよいし、ランダムに配列させたものでもよい。繰り返しの構成単位としては、たとえば、Ａ糸ｍ本に対し、Ｂ糸をｎ本を１つの構成単位として繰り返して、Ａ糸とＢ糸が常に同じ間隔で配列されるようにしてもよいし、Ａ糸がｍ本、Ｂ糸ｎ本、Ａ糸ｏ本、Ｂ糸ｐ本を順次配列したものを１つの構成単位として、繰り返すよう配列してもよい（ｍ、ｎ、ｏ、ｐは１以上の整数）。適宜、所望の配列となし、用途に応じて、美観・意匠性に富んだものを得るようにしてもよい。

本発明のポリエステル織物は、トータルカバーファクターが１５００以上である。トータルカバーファクターが１５００以上という高密度の織物であることから、通気度が小さく、風合いが良好で、ダウンプルーフ性にも優れたポリエステル織物である。上記トータルカバーファクターが１５００未満であると、組織間の間隙を充分に詰めることができず、風合いやダウンプルーフ性に劣るため、好ましくない。上記トータルカバーファクターの上限としては特に限定されないが、２０００であることが好ましく、１９５０であることがより好ましく、１９００であることが特に好ましい。また、上記トータルカバーファクターは１６００以上であることがより好ましい。ここでトータルカバーファクターは、経方向及び緯方向それぞれのカバーファクター（ＣＦ）の和である。なお、経方向及び緯方向それぞれのカバーファクターは、
ＣＦ＝（セグメント繊度）^１／２×（セグメント本数／２．５ｃｍ）
で表される。

上記ポリエステル織物は、目付けが４５ｇ／ｍ^２以下という軽量ポリエステル織物である。すなわち、上記構成を有するポリエステル織物とすることによって、目付が４５ｇ／ｍ^２以下という軽量織物でありながら、優れた引裂強度を有するものである。目付が４５ｇ／ｍ^２を超えると携帯性、コンパクト性等に劣る。上記目付は、好ましくは４０ｇ／ｍ^２以下である。

また、本発明のポリエステル織物は、厚みが０．０６５ｍｍ以下という薄物とすることができる点でも好ましいものである。すなわち、中空繊維を使用した軽量化においては得られなかった薄物の織物とすることができ、これによって携帯性やコンパクト性に優れた織物とすることができる。

上記ポリエステル織物の組織としては特に限定されず、公知の任意の組織とすることができる。上記組織としては、例えば、平織及びその変化織、綾織及びその変化織等を挙げることができる。

本発明のポリエステル織物は、引裂強度が７Ｎ以上であることが好ましい。上記引裂強度が７Ｎ未満であると充分な強度を保つことができないおそれがある。上記引裂強度は、ＪＩＳ Ｌ １０９６ ８．１５．５ Ｄ法（ペンジュラム法）に基づき測定したものである。上記引裂強度は９Ｎ以上であることがより好ましい。なお、上記引裂強度は、経方向及び緯方向の測定値が相違するものであるが、その双方の引裂強度が７Ｎ以上であることがより好ましいものである。

本発明のポリエステル織物は、精練加工、カレンダー加工、防水加工、不通気性加工、染色加工等の、通常の後処理工程を行うものであってもよい。これらの処理を行う場合の、処理条件、処理方法等は通常の方法に従うものである。
上記処理のなかでも、カレンダー加工を施したものであることが好ましい。上記カレンダー加工を施すことにより、上記ポリエステル織物の間隙が埋められ、防水性、保温性等を高めることができる。上記カレンダー加工を施したポリエステル織物は、例えば、傘地、ダインプルーフ織物等として好適に用いることができる。

上記カレンダー加工過程の走行速度、加熱ロールの荷重、加熱ロールの表面温度等の設定条件は、織組織上のポリエステルマルチフィラメントの分布状態、ポリエステルマルチフィラメントの形状と物性、所望する織物の要件等によって調整を要する事項であるが、例えば、走行速度は２０〜３０ｍ／分前後、加熱ロール荷重は２５〜６０トン、加熱ロール表面温度は１８０℃前後が好ましい。上記カレンダー加工を施す前に、通常の精練加工、プレセット加工を順次行ってもよい。

上記ポリエステル織物に対してカレンダー加工を施す場合には、加工後のポリエステル織物の引裂強度が７Ｎ以上であることが好ましく、９Ｎ以上であることがより好ましい。また、上記カレンダー加工を施したポリエステル織物は、通気度が１．２ｃｃ／ｃｍ^２／ｓｅｃ以下であることが好ましい。上記通気度の測定は、ＪＩＳ Ｌ−１０９６（フラジール形法）によるものとする。通気度が小さいポリエステル織物であることによって、優れた保温性、ダウンプルーフ性、耐水性を得ることができる。上記カレンダー加工を行う場合には、精練→ヒートセット→染色→仕上→カレンダー加工の工程によって処理を行うと、所望の物性を有するポリエステル織物を容易に得ることができる点で好ましい。

上記ポリエステル織物からなる傘地も本発明の一つである。上記ポリエステル織物は、上述のように、軽量で高密度であり、かつ、薄物とすることもできるため、傘地として必要とされる耐水性、コンパクト性等に優れたものである。また、柔軟性にも優れるため、折り畳んだ際の布帛の空気の抱き込みを抑制することができ、低体積とすることができるため、携帯性に優れた傘を得ることができる。

上記ポリエステル織物からなるダウンプルーフ織物も本発明の一つである。上記ポリエステル織物は、高密度であることから、高い気密性を有する。このため、上記ダウンプルーフ織物を使用してなる保温性素材は、高い保温性を有するものとなる。また、上記ダウンプルーフ織物は、軽量であり、薄くて柔軟なものとすることができることから、中に詰めた綿、羽毛等の保温材を過剰に圧縮することがない。このため、上記保温材を多くの空気を抱き込んだ状態で詰めることができる。これによって、得られた保温性素材の保温機能が良好なものとなり、同時に軽量化も図ることができる。

本発明は、上記ポリエステル織物からなるダウンプルーフ織物を少なくとも一部に使用してなる袋体及び上記袋体中に詰められた保温材からなる保温性素材でもある。本発明の保温性素材は、布団，枕等の寝装具；ダウンジャケット等の衣料等を含むものである。上記保温性素材は、保温性に優れ、軽量である点で優れた性質を有するものである。

上記ポリエステル織物を少なくとも一部に使用してなる袋体は、全面が上記ポリエステル織物を使用してなるものであっても、一部にその他の織物を併用して得られたものであってもよい。上記保温材としては、通常保温性素材において使用される保温材、例えば、綿等の天然繊維綿；エステル綿等の化合繊からなる綿；羽毛等を使用することができる。上記保温性素材は通常の方法によって製造することができる。

上記ポリエステル織物は、その他、テント地、カジュアルウェア、コート等の素材、裏地等としても使用することができるものである。

本発明のポリエステル織物は、極細のポリエステルマルチフィラメントからなるため、軽量で高密度を達成し、保温性、防水性、コンパクト性、ダウンプルーフ性に優れた織物である。また、本発明のポリエステル織物は、トータル繊度３５ｄｔｅｘ以上のＢ糸を使用することにより、極細のポリエステルマルチフィラメントのみでは不可能であった優れた引裂強度を有することができる。また、上記Ｂ糸を使用することにより、極細のポリエステルマルチフィラメントを効率的に製織することができる。

以下に本発明の実施例をかかげて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。

経糸のＡ糸として２２／１２のポリエステルマルチフィラメント（カネボウ合繊社製）、経糸のＢ糸として２２／１２のポリエステルマルチフィラメント（カネボウ合繊社製）を二本引き揃えた双糸、緯糸のＡ糸として２２／２４のポリエステルマルチフィラメント（カネボウ合繊社製）及び、緯糸のＢ糸として４４／１８のポリエステルマルチフィラメント（カネボウ合繊社製）を使用して、経、緯それぞれのＡ糸とＢ糸との比率を１２：１、１１：１として、リップタフタ織物を得た。得られた織物に対して、精練加工、ヒートセット加工（１９０℃）、染色加工（１３０℃）及び仕上加工（１６０℃）を施した後、カレンダー加工を、１９０℃、加熱ロールの荷重２７トン、走行速度２５ｍの条件で行った。得られた織物のトータルカバーファクター、通気度、引裂強度、目付、Ａ糸とＢ糸とのピッチ、厚み等を測定し、表３に示した。なお、使用したＡ糸、及び、Ｂ糸は、表１に示した繊度及び形状を有するものである。

実施例２〜１１、比較例１〜１５
使用したＡ糸、Ｂ糸、糸構成比率等を表２に示したように変更したこと以外は、実施例１と同様にして織物を調製し、評価を行った。結果を表３に示す。

経糸のＡ糸として２２／１２のポリエステルマルチフィラメント（カネボウ合繊社製）、経糸のＢ糸として２２／１２のポリエステルマルチフィラメント（カネボウ合繊社製）を二本引き揃えた双糸、緯糸のＡ糸として２２／２４のポリエステルマルチフィラメント（カネボウ合繊社製）及び、緯糸のＢ糸として５６／２４のポリエステルマルチフィラメント（カネボウ合繊社製）を使用して、経、緯それぞれのＡ糸とＢ糸との比率を１６：２、２０：２として、ダブルリップタフタ織物を得た。なお、経方向は、Ａ糸が１４本、Ｂ糸が１本、Ａ糸が２本、及びＢ糸が１本を順次繰り返した配列とし、緯方向は、Ａ糸が１８本、Ｂ糸が１本、Ａ糸が２本、及びＢ糸が１本を順次繰り返した配列とした。得られた織物に対して、精練加工、ヒートセット加工（１９０℃）、染色加工（１３０℃）及び仕上加工（１６０℃）を施した後、カレンダー加工を、１９０℃、加熱ロールの荷重２７トン、走行速度２５ｍの条件で行った。得られた織物のトータルカバーファクター、通気度、引裂強度、目付、Ａ糸とＢ糸とのピッチ、厚み等を測定し、表３に示した。なお、使用したＡ糸、及び、Ｂ糸は、表１に示した繊度及び形状を有するものである。また得られた織物は、リップ目が二重線となり、意匠変化に富んだものであった。

更に、以下の方法に基づき、得られた織物のダウンプルーフ性、柔らかさ、ダウン開繊性及びコンパクト性を評価した。結果を表３に示す。
ダウンプルーフ性
１２ｃｍ四方の織物を２枚に合わせ、その中に羽毛１ｇを１０ｃｍ四方になるように詰め、２枚の織物を縫い合わせた。その後、手で２枚に折り合わせて、ダウンプルーフ性の評価を行った。
織物表面に羽毛が出ていた数が０〜１個：○
羽毛の数が２〜５個：△
羽毛の数が６個以上：×

柔らかさ
ＪＩＳ Ｌ−１０９６剛軟性の測定６．１９．４ Ｄ法（ハートループ法）に基づき評価した。基準は以下の通りである。
○：７０ｍｍ以上（柔らかい）
×：６０ｍｍ以上〜７０ｍｍ未満（コシがあり、硬い）
××：６０ｍｍ未満（非常に硬い）

ダウン開繊性
１２ｃｍ四方の織物を２枚に合わせ、その中に羽毛１ｇを１０ｃｍ四方になるように詰め、２枚の織物を縫い合わせた。その時の最大厚みについて測定した。
厚み３０ｍｍ以上：○
厚み２５ｍｍ以上〜３０ｍｍ未満：×
厚み２５ｍｍ未満：××

コンパクト性
１６ｃｍ×１６ｃｍの織物を４つ折して約２ｃｍ四方になるよう折りたたみ、４ｇの加重を載せてその時の厚みを測定した。
○：４ｍｍ未満
×：４ｍｍ以上
××：６ｍｍ以上

表３より、本発明のポリエステル織物は、極細のポリエステルマルチフィラメントのみでは不可能であった優れた引裂強度を有し、ダウンプルーフ性、柔らかさ、ダウン開繊性及びコンパクト性に優れた織物であることが示された。

本発明により、軽量で、かつ、引裂強度に優れたポリエステル織物を得ることができる。本発明のポリエステル織物は、更に、保温性、防水性、コンパクト性、ダウンプルーフ性に優れた織物であるため、傘地、保温性素材等に好適に使用することができる。

Claims (7)

1. トータルカバーファクターが１５００以上で目付が４５ｇ／ｍ^２以下であるポリエステル織物であって、
   トータル繊度２５ｄｔｅｘ（デシテックス）以下、単糸繊度が２．０ｄｔｅｘ以下のポリエステルマルチフィラメントＡ糸及びトータル繊度３５ｄｔｅｘ以上のマルチフィラメントＢ糸からなり、
   経方向、緯方向それぞれの糸配列は、Ｂ糸／Ａ糸の糸構成比率が１／４〜１／２０（本数比）であり、Ａ糸とＢ糸とのピッチが７ｍｍ以下である
   ことを特徴とするポリエステル織物。
2. Ｂ糸は、引き揃え糸である請求項１記載のポリエステル織物。
3. ポリエステル織物は、カレンダー加工を施したものであり、経緯の引裂強度が７Ｎ以上であり、通気度が１．２ｃｃ／ｃｍ^２／ｓｅｃ以下である請求項１又は２記載のポリエステル織物。
4. 請求項１又は２記載のポリエステル織物からなることを特徴とする傘地。
5. 請求項１又は２記載のポリエステル織物からなることを特徴とするダウンプルーフ織物。
6. 請求項１又は２記載のポリエステル織物からなるダウンプルーフ織物からなることを特徴とする袋体。
7. 請求項６記載の袋体と、前記袋体中に詰められた保温材とからなることを特徴とする保温性素材。