JP3872920B2 - スロットマシン - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
この発明は、複数のシンボル列を移動させて表示させた後、各シンボル列の移動表示を内部抽選の結果に応じて順次停止させてゆき、すべてのシンボル列の移動表示が停止したときに、各シンボル列を横切る所定方向に沿って整列するシンボル組み合わせにより入賞成立の有無を判定するスロットマシンであって、特に、所定の報賞条件が設定された入賞が出現する確率が複数段階に変動するように設定されたスロットマシンに関連する。
【0002】
【従来の技術】
従来の典型的なスロットマシンでは、前面の正面パネルに3個のシンボル表示窓が横並びに形成されるとともに、機体内部に、各シンボル表示窓の形成位置に対応させて、3個のリールが配置されている。各リールは、一般に、リール枠の外周部に、数字,図柄などによる複数駒のシンボルが描かれた帯状シートを貼着して成り、遊技者の始動操作に応じて一斉に回転を開始した後、それぞれ個別の停止操作により順次停止する。正面パネルのシンボル表示窓上には、上,中,下,右上がり、右下がりの5本の入賞ラインが設定されており、各リールの停止により、各入賞ライン上にリール毎の3駒分のシンボルが整列した状態で表示される。
【0003】
この種のスロットマシンでは、内部抽選により入賞を成立させるかどうかを決定してリールの停止動作を制御しており、有効化された所定の入賞ライン上に入賞シンボルの組合せが成立すると、報賞として所定枚数のメダルの払出しが行われる。
また入賞の中には、「ビッグボーナス」、「レギュラーボーナス」、「シングルボーナス」という特別入賞が含まれており、これらの特別入賞が成立すると、「ボーナスゲーム」と称される入賞確率の高い特別ゲームを実行できる。
【0004】
現行のスロットマシンでは、シングルボーナス(以下「SB入賞」という)の成立により、1回のボーナスゲームを、レギュラーボーナス(以下「RB入賞」)の成立により、複数回(例えば12回)のボーナスゲームを、それぞれ実行するようにしている。またビッグボーナス(以下「BB入賞」という)が成立した場合は、RB入賞が頻繁に成立するように設定され、さらにRB入賞が成立する毎に複数回のボーナスゲームが実行されて、多数枚のメダルの払出しが行われる。
【0005】
加えて近年のスロットマシンでは、所定のタイミングでSB入賞が通常よりもはるかに高い確率(例えば通常の10倍)で成立する特別の制御モードに移行するチャンスが与えられる。この特別の制御モード下でのゲームは、一般に「高確率役物遊技」と呼ばれる。高確率役物遊技に移行するか否かは、前記入賞を成立させるか否かの決定と同様に、内部抽選により決定される。
高確率役物遊技が行われる期間中は、SB入賞が頻繁に発生するので、その結果、ボーナスゲームも頻繁に行われるようになり、BB入賞の場合と同様に、遊技者には、多数枚のメダルの払出しが行われるようになる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら従来の高確率役物遊技を実行するスロットマシンでは、通常の確率による制御モード、または高確率の制御モードのいずれか一方が設定されるだけであるので、ゲーム内容を多様化するには不十分であり、ゲームの興趣を十分に高められないという問題がある。
またこの種の遊技機では、メダルの払出し枚数を管理する都合上、遊技者へのメダルの払出し枚数の期待値や出玉率(メダルの総払出し枚数/メダルの総投入枚数)が機種間でばらつかないように、入賞確率を設定する必要がある。この結果、BB入賞、高確率役物遊技の両方を実施するタイプの遊技機では、高確率役物遊技を行わないタイプの遊技機よりも、BB入賞の出現確率を低く抑える必要が生じる。
【0007】
たとえば高確率役物遊技が組み込まれていないスロットマシンがBB入賞を1/240程度の確率で出現させるように設定されている場合、SB入賞が10倍の確率で出現する高確率役物遊技を実行するタイプのスロットマシンでメダル払出し枚数の期待値や出玉率を前者と同等に設定するには、BB入賞の出現確率を、1/400〜1/500程度の低い値にまで抑えなければならない。
この結果、高確率役物遊技を実施するスロットマシンでは、BB入賞による特別ゲームを展開するチャンスが減り、ゲームの展開が単調になるという問題が発生する。
【0008】
この発明は上記問題点に着目してなされたもので、シングルボーナス入賞が成立する確率を多様に変動させて興趣を高めること、ならびに多彩なゲーム展開を伴う特別ボーナス入賞の出現確率を極端に落ち込ませずに、遊技者に払い出されるメダルなどの遊技媒体の期待値や出玉率を安定させることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
この発明は、複数のシンボル列の移動表示を内部抽選の結果に応じて停止させるとともに、各シンボル列の停止時に、各シンボル列を横切る方向に沿って整列したシンボルの組合せにより入賞成立の有無を判定し、特別入賞として、所定の態様の特別ゲームを1度だけ実行可能なシングルボーナスと、前記特別ゲームを複数回実行可能な特別ボーナスとが設定され、前記シングルボーナスの当選確率が通常よりも高められたゲームを実行可能に設定されるとともに、このゲームの実行による遊技媒体の払出数の増加に応じて特別ボーナスの当選確率が調整されているスロットマシンについて、なされるものである。
【0010】
請求項1の発明にかかるスロットマシンは、前記内部抽選用の抽選テーブルとして、シングルボーナスに当選する確率が所定の値に定められた通常用抽選テーブル、シングルボーナスに当選する確率が通常用抽選テーブルより高く設定された中間確率抽選テーブル、およびシングルボーナスに当選する確率が中間確率抽選テーブルより高く設定された高確率抽選テーブルの少なくとも3種類が設定される。また、内部抽選のために現在参照している抽選テーブルを他の抽選テーブルに切り替えるか否かを抽選により決定する決定手段を備える。前記決定手段が実行する抽選は、通常用抽選テーブルから高確率抽選テーブルに切り替えられる確率よりも、通常用抽選テーブルから中間確率抽選テーブルに切り替えられる確率の方が高くなるように設定されている。
【0011】
請求項2の発明にかかるスロットマシンでは、前記シングルボーナス用のシンボル組合せとして、前記3種類の抽選テーブルに対応する3種類のシンボル組合せが設定されており、前記内部抽選でシングルボーナスに当選したとき、抽選時に参照していた抽選テーブルに対応する態様のシンボル組合せを成立させる。
【0014】
【作用】
請求項1の発明によれば、内部抽選時に参照する抽選テーブルを切り替えることによってシングルボーナスに当選する確率が変動設定されるので、高確率役物遊技を行うタイプのスロットマシンにおけるSB入賞の出現頻度が種々に変動するようになる。
【0015】
さらに、通常用抽選テーブルからのテーブルの切替えについては、高確率抽選テーブルに切り替えられる頻度よりも、中間確率抽選テーブルに切り替えられる頻度の方が高くなるので、特別ボーナスを含む各入賞の当選確率の設定値や抽選テーブルの切り替えの確率を調整することにより、メダルなどの遊技媒体の払出し枚数の期待値や出玉率を所定範囲内に維持しても、特別ボーナスの出現確率を極端に落ち込ませずにすむ。
【0016】
請求項2の発明によれば、内部抽選時に参照された抽選テーブルが切り替わる毎に、異なる態様のシンボル組合せによる入賞が成立するようになる。
【0017】
【実施例】
図1は、この発明の一実施例であるスロットマシンの外観を示す。
図示例のスロットマシンは、ボックス形状の本体部2の前面開口に扉部3を開閉可能に取り付けて機体1が構成される。本体部2の中空内部には、図2に示すように、上段位置にリールブロック4や制御装置が実装された回路基板5が、下段位置に多数枚のメダルを収容するホッパー6aを有するメダル払出機6が、それぞれ組み込まれる。
【0018】
前記リールブロック4は、金属フレーム7に3個のリール8a,8b,8cが一体に組み付けられて成る。各リール8a,8b,8cは、リール枠の外周面に帯状テープを貼設して成る。帯状テープには、特別入賞用の入賞シンボルやその他の小役入賞用のシンボルを含む複数種のシンボルが、所定個数だけ印刷されている。
【0019】
このリールブロック4には、各リール8a,8b,8cを個別に回転駆動するステッピングモータ9a,9b,9cが組み付けてある。各リール8a,8b,8cと、これらリールに対応する各ステッピングモータ9a,9b,9cとで3列分のシンボル列の移動表示および停止表示が可能となる。なお、シンボル列はリールを用いたものに限らず、ベルトを用いたものでもよく、また、液晶板のような画像表示手段を用いたものでもよい。
【0020】
前記扉部3の前面は、3個のシンボル表示窓20a,20b,20cを備えた正面パネル11と、機種名やゲーム情報を表示するための上部パネル12および下部パネル13とで構成される。各パネル11,12,13は、透明な合成樹脂板または強化ガラスの表面に、シルクスクリーン印刷を施して形成される。
【0021】
正面パネル11と下部パネル13との間には、メダルを直接機体に投入するためのメダル投入口16や、始動レバー14,リール毎の3個の停止釦スイッチ15a,15b,15c,ベット釦スイッチ17,18,19,精算スイッチ22,切換スイッチ23などの操作スイッチが配備される。また下部パネル13の下方には、メダル放出口25やメダル受け皿24が、それぞれ配備される。
【0022】
このスロットマシンでは、複数枚のメダルを予めメダル投入口16より投入して機械に貯留しておき、この貯留メダルを使ってゲームを行うというクレジット方式のゲームが実施できる。正面パネル11の下方の張出し面上に設けられたベット釦スイッチ17は、3枚の貯留メダルを消費してゲームを行うためのもので、その下方の垂直面上に設けられたベット釦スイッチ18,19は、それぞれ2枚,1枚の貯留メダルを消費するためのものである。また精算スイッチ22は、貯留メダルを精算してメダル払出口25より払い出しさせるためのもので、切換スイッチ23は、機体をクレジット方式のゲームモード、またはメダル投入口16からの直接メダル投入によるゲームモードのいずれかに切り換えるためのものである。
なお以下の説明で用いる「メダル投入」という用語は、メダル投入口16からの直接のメダル投入および貯留メダルの消費の両方の概念を含む。
【0023】
正面パネル11の板面中央には、図3に示すように、カラー印刷層で囲まれた無着色で透明のシンボル表示窓20a,20b,20cが3個、横一列に並設してある。各シンボル表示窓20a,20b,20cの背後位置には、前記リールブロック4の各リール8a,8b,8cが、外周面をシンボル表示窓20a,20b,20cに向けて配置される。
また正面パネル11の左側位置には、前記クレジット方式が採用されている場合に貯留メダルの枚数を表示するための貯留枚数表示器26や、入賞時に報賞として払い出されるメダル枚数を表示するための当たり枚数表示器27が配置される。
【0024】
前記各シンボル表示窓20a,20b,20cは、横方向の長さが、各リール8a,8b,8cが見えるように、また、縦方向の長さが、リール停止時に、3駒分のシンボルSが見えるように、それぞれ縦に長い矩形状に形成されている。
【0025】
正面パネル11の表面には、シンボル表示窓20a,20b,20cより見える各リール8a,8b,8cの3駒分のシンボルを横方向に結ぶ3本の水平な入賞ラインL1〜L3と、右下がりおよび左下がりの各斜め方向に結ぶ2本の斜めの入賞ラインL4,L5とが表されている。リール停止時、これら5本の入賞ラインL1〜L5上に各リール8a,8b,8c毎の3個のシンボルSが整列する。
【0026】
前記の入賞ラインL1〜L5は、メダルの投入枚数に応じて有効化されるもので、投入枚数が1枚のときは中央の水平な入賞ラインL1が有効化され、投入枚数が2枚になると、3本の水平な入賞ラインL1〜L3が有効化される。さらに3枚のメダルが投入されることにより、5本全ての入賞ラインL1〜L5が有効化される。
なお、後記する特別入賞時のボーナスゲームでは、メダル投入口16へ1枚のメダルを投入するか、いずれかのベット釦スイッチ17,18,19を押操作して1枚の貯留メダルを使用することにより、中央の1本の入賞ラインL1が有効化される。
【0027】
このスロットマシンでは、メダル投入により所定数の入賞ラインを有効化させた後、始動レバー14を操作すると、制御部内で抽選処理が行われる。抽選の結果、小役当たりがあると、停止釦スイッチ15a,15b,15cが押操作されたとき、該当する小役入賞シンボルを有効化された入賞ライン上に引き込むように引込み制御が実行される。またこのスロットマシンには、BB入賞、RB入賞,SB入賞の各種の特別入賞が設定されており、抽選によりこれらの特別入賞に当選すると、各リール8a,8b,8cに対し、特定の入賞シンボルを有効化された入賞ライン上に引き込むような引込み制御が実行される。
なお以下の説明では、上記の入賞を成立させるか否かを決定するための抽選処理を、「入賞決定用の抽選処理」と呼ぶことにする。
【0028】
これらの引込み制御において、引込みが可能なシンボルの駒数は、4駒以内になっており、4駒以内に引込み対象のシンボルが存在しない場合は、4駒以内の所定のシンボルが入賞ライン上に引き込みされて「はずれ」となる。ただしBB入賞やRB入賞への当選結果は、「入賞フラグ」の設定により持ち越され、目的とする特別入賞が成立するまで維持される。
【0029】
前記入賞決定用の抽選結果に応じた引込み制御により、3種類の特別入賞のいずれかが成立したとき、すなわち有効化されたいずれかの入賞ライン上に特別入賞用の入賞シンボルが3個揃ったとき、所定枚数(例えば10枚)のメダルが払い出された後、さらに特別のゲーム制御へと移行する。
ここでSB入賞が成立した場合は、その入賞に引き続いてボーナスゲームを1回実行することが可能となる。このボーナスゲームは、前記したように1枚のメダルを投入して行われるもので、高い入賞確率が設定されており、その抽選が当たりとなると、有効化された中央の入賞ラインL1上に所定の入賞シンボルを引き込む制御が実行される。
【0030】
またRB入賞が成立した場合は、メダルの払出し処理後に複数回のボーナスゲームが実行可能となる。
このRB入賞状態は、あらかじめ定められた数のボーナスゲームが実行されるまで、またはこのゲーム実行可能回数の範囲内で所定数の入賞が成立するか、入賞によるメダルの払出し枚数が所定の許容値に達するまで、継続される。
【0031】
BB入賞が成立した場合は、メダルの払出し処理に続いて、通常のゲームと同様の態様をとるが高い確率でRB入賞や小役入賞が成立するゲームが、所定回数実行される。そしてこの高確率モードによる特別ゲーム(以下ボーナスゲームと区別するために「BBゲーム」という)によりRB入賞が成立する毎に、前記した条件に基づいてボーナスゲームが実行され、ボーナスゲームの入賞に応じて多数枚のメダルが払い出されることになる。
このBBゲームは、あらかじめ定められた数のゲームが実行されるか、またはこのゲーム実行可能回数の範囲内で所定回数のRB入賞が成立するまで、もしくはメダルの総払出し枚数が所定の上限値に達するまで、継続して実行される。
【0032】
なおこの実施例では、説明を簡単にするために、通常のゲーム制御で出現する特別入賞は、BB入賞またはSB入賞のいずれかになり、RB入賞は、BB入賞時のBBゲームにおいてのみ出現するものとする。
【0033】
さらにこの実施例では、SB入賞について、通常の5倍および10倍の2とおりの入賞確率を設定するとともに、ゲームを実行する毎に、前記入賞決定用の抽選に先立ち、SB入賞についての入賞確率を、現状のまま維持するか、または他の設定値に変動させるかのいずれかに決定するようにしている。
【0034】
すなわち通常の入賞確率が設定されている場合は、入賞確率を5倍または10倍に変動させるか否かが、通常の5倍の入賞確率が設定されている場合は、入賞確率を通常に戻すか、または通常の10倍に変動させるか否かが、通常の10倍の入賞確率が設定されている場合は、入賞確率を通常に戻すか、または通常の5倍に変動させるか否かが、それぞれ決定される。
このような抽選により入賞確率が一度切り替えられると、以後の各ゲームにおいては、再び他の入賞確率への切替えが行われるまで、前記切替え処理により設定された入賞確率でSB入賞が出現するようになる。
なお以後は、このSB入賞の入賞確率を変動設定するための抽選を、「確率設定用の抽選」と呼ぶことにする。
【0035】
前記SB入賞の入賞確率の変動設定では、具体的には、前記入賞決定用の抽選処理に用いる抽選テーブルとして、SB入賞に対する乱数値の割り当てパターンや割り当て数の異なる3種類のテーブルが設定され、確率設定用の抽選により、現在参照中の抽選テーブルを他の抽選テーブルに切り替えるか否かが決定される(以後各抽選テーブルを、それぞれ「通常用抽選テーブル」、「5倍用抽選テーブル」、「10倍用抽選テーブル」という)。
よってSB入賞についての入賞確率は、上記3段階の確率間で種々に変動するようになるから、スロットマシンの興趣を大いに高めることができる。
【0036】
さらにこの実施例では、メダルの払出し枚数の期待値や出玉率が他の機種とほぼ同一になるように、各抽選テーブルの設定値を調整している。特に、この期待値や出玉率の範囲内でスロットマシンの醍醐味であるBB入賞の出現頻度が極端に落ち込まないように、SB入賞の入賞確率が10倍になる頻度が、5倍になる頻度よりも少なくなるように設定している。
【0037】
たとえば通常の入賞確率は、主として5倍に変動するように、通常用抽選テーブルから5倍用抽選テーブルに移行させる確率を、通常用抽選テーブルから10倍用の抽選テーブルに移行させる確率の約2倍に設定しておく(たとえば5倍用抽選テーブルに移行させる確率を1/250、10倍用抽選テーブルに移行させる確率を1/500とする)。
【0038】
なおSB入賞の入賞確率は、必ずしも5倍、10倍の2とおりの変動に限定する必要はなく、たとえば4倍、8倍、10倍というように、3とおり以上の異なる確率変動値を設定してもよい。ただしこの場合も、上記実施例と同様に、従来のメダルの払出し枚数の期待値を維持するとともに、BB入賞の出現頻度が極端に落ち込まないように、各段階の入賞確率に変動させる頻度を調整する必要がある。
【0039】
さらにこの実施例では、SB入賞の入賞確率の設定値に応じてSB入賞となる入賞シンボルの組合せを変動させることにより、入賞確率が変動したことを報知するようにしている。
図4は、SB入賞用の入賞シンボルの設定テーブルを示す。通常の入賞確率pが設定されている場合は、有効な入賞ライン上にベルの図柄シンボルが整列することによりSB入賞が成立するが、通常の5倍の入賞確率5*pが設定されているときは「BAR,BAR,7」の組合せが、通常の10倍の入賞確率10*pが設定されているときは「BAR,BAR,BAR」の組合せが、それぞれSB入賞用のシンボル組合せとして機能する。
【0040】
引込み制御によりSB入賞用のシンボル組合せを成立させる場合、制御部は、前記図4の設定テーブルより現在の入賞確率に応じたシンボル組合せを読み出した後、各リール8a,8b,8cを、それぞれ読み出されたシンボル組合せにかかるシンボルを引き込んで停止させる。この場合、現時点で設定されていない入賞確率に対応するシンボル組合せは、SB入賞はもちろんのこと、その他の入賞やはずれのシンボル組合せとしても出現しないように制御するので、遊技者は、「BAR,BAR,7」や「BAR,BAR,BAR」のシンボル組合せの成立により、SB入賞の入賞確率が変動したことを容易に認識できる。
【0041】
なお入賞確率が切り替わった旨の報知は上記に限らず、たとえば正面パネル11の適所に度数表示用の表示器を配備し、設定されている入賞確率に応じて「0」、「5」、「10」などの数値を表示するようにしてもよい。このほか音声や効果音による報知も可能である。
【0042】
図5は、上記したスロットマシンの電気的な構成を示す。
同図中、30はマイクロコンピュータより成る制御部であり、制御、演算の主体であるCPU31、プログラムや固定データが格納されるROM32、データの読み書きに用いられるRAM33の他に乱数発生器34を含む。
【0043】
前記CPU31には、バス29を介して、リール駆動部35、メダル払出機6、貯留枚数表示器26、当たり枚数表示器27、音声回路36などの出力各部や、メダル検知センサ37、始動レバー14、3個の停止釦スイッチ15a,15b,15c、3種類のベット釦スイッチ17,18,19、精算スイッチ22、切換スイッチ23などの入力各部が接続されている。
【0044】
前記リール駆動部35は、各リール8a,8b,8cの駆動源であるステッピングモータ9a,9b,9cの駆動を制御する。メダル払出機6は、精算スイッチ22が操作されたときなどに駆動し、当たり枚数表示器27に表示された枚数のメダルをメダル放出口25よりメダル受け皿24へ払い戻す。音声回路40は、ゲームの流れに応じて効果音などを出力するためのものである。メダル検知センサ37は、メダル投入口16に投入されたメダルを検知してメダル検知信号を出力する。
【0045】
前記CPU31は、ROM32に格納されたプログラムに従ってRAM33に対するデータの読み書きを行いつつ、前記入出力各部の動作を一連に制御する。特に前記した入賞決定用、確率設定用の各抽選処理を行う際には、前記乱数発生器34が発生した乱数値をサンプリングして、そのサンプリング値により所定の抽選テーブルを参照して抽選結果を決定する。またシンボルの引込み制御を行う際には、リール8a,8b,8c毎に、対応するステッピングモータ9a,9b,9cに与える駆動信号をカウントしつつリールの回転位置を逐次確認し、目的とする回転位置に到達した時点でステッピングモータを停止させる。
なお、抽選処理、引込制御とも公知のものであるので、ここでは詳細な説明は省略することにする。
【0046】
図6は、上記した実施例における前記制御部30による制御の流れを示す。なお図中、STは、一連の制御の流れにおける各ステップを意味する。またBBフラグ,SBフラグは、入賞決定用の抽選でBB入賞,SB入賞に当選したことを記憶するための入賞フラグである。
【0047】
まずST1では、CPU31は、遊技者によるゲーム開始操作に待機している。遊技者のメダル投入操作、すなわちメダル投入口16へメダルを投入するか、いずれかのベット釦スイッチ17,18,19を押操作する処理が行われ、さらに始動レバー14が操作されると、ST1の判定が「YES」となり、つぎのST2で、確率設定用の抽選処理を実行する。
【0048】
このST2では、まず現在設定されている入賞確率がチェックされ、その設定値を維持するか、あるいは他の2つの設定値のいずれかに変更するか否かのいずれかが選択される。そしてこの抽選により、入賞確率の設定値を変更することが決定すると、ST3が「YES」となってST4に進み、入賞決定用の抽選処理に用いられる抽選テーブルの切替え処理が行われる。
【0049】
つぎにCPU31は、前回のゲームからBBフラグが持ち越されているかどうかをチェックする。ここでBBフラグがセットされていなければ、ST5からST6に進んで、現在設定されている抽選テーブルを用いて入賞決定用の抽選処理を実行する。
【0050】
この抽選処理でBB入賞に当選するとST7からST9に進んで、BBフラグがセットされる。またSB入賞に当選すると、ST8からST10へと進んで、SBフラグがセットされる。
なおここでは図示しないが、特別入賞以外の小役入賞に当選した場合も同様に、その当選結果が、所定の入賞フラグによりゲームが終了するまで保持される。
【0051】
この後、ST11で3個のリール8a,8b,8cが一斉に始動すると、遊技者は、停止釦スイッチ15a,15b,15cを所定の順序で押操作する。停止操作のある都度、ST12の判定が「YES」となり、該当するリールが停止する(ST13)。
なおST13では、入賞決定用の抽選処理の結果に応じて、所定のシンボルが引込み対象として定められ、前記した4駒の範囲内でシンボルの引込み制御が行われる。
【0052】
こうして全てのリール8a,8b,8cが停止すると、ST14が「YES」となり、つぎのST15で、有効化された入賞ライン上に、所定の入賞シンボルの組み合わせが成立したかどうかが判定される。
【0053】
ST15の入賞判定の結果、入賞が成立していれば、ST16が「YES」となり、所定枚数のメダルが払い出しされる(ST17)。さらにこのときBB入賞が成立していれば、ST18の判定が「YES」となり、CPU31は、ST19で前記BBフラグをリセットした後に、続くST20で、BB入賞処理用のルーチンを実行する。この結果、前記したように所定回数のBBゲームが実行され、さらにそのBBゲームによりRB入賞が成立したことに応じて複数回のボーナスゲームが実行されて、多数枚のメダルの払出しが行われる。
【0054】
またSB入賞が成立している場合は、ST18が「NO」、ST21が「YES」となり、CPU31は、ST22へと進んでSBフラグをリセットした後に、続くST23で、SB入賞処理用のルーチンを実行する。
このルーチンは、1回分のボーナスゲームを実行するためのもので、このゲームにより入賞が成立すると、所定枚数のメダルの払出しが行われる。
【0055】
なお前記入賞決定用の抽選でBB入賞に当選したが、引込み制御の制限によりBB入賞を成立できなかった場合は、BBフラグが持ち越された結果、つぎのゲームでのST5が「YES」となり、入賞決定用の抽選処理をスキップしてST11のリール始動処理へと移行する。そして再び遊技者の停止操作に応じてBB入賞用の入賞シンボルを引き込む制御が実施されることになる。
一方、SB入賞については、BB入賞と違って、その当選結果は1ゲーム限りとなるので、SB入賞に当選している状態下で目的とする入賞シンボルの引込みに失敗した場合は、ST24,25の処理により、SBフラグのリセット処理が行われる(図示しない小役入賞用の入賞フラグも同様に、ゲーム終了の時点でリセットされる)。
【0056】
上記の制御において、前記ST2の確率設定用の抽選処理により、SB入賞に通常の5倍または10倍の入賞確率が設定された場合は、SB入賞に当選した確率が通常よりも高くなるから、ST17のメダル払出し処理ならびにST23でのボーナスゲームが当選したことによるメダル払出し処理により、遊技者には、通常の入賞確率の設定時よりも多くのメダルが払い出されることになる。
【0057】
なお上記実施例では、ゲームの都度、確率設定用の抽選処理を行うようにしているが、これに限らず、所定回数のゲームの間、所定の設定値による入賞確率を維持し、しかる後に抽選処理を行うようにしてもよい。またSB入賞が成立して一連の入賞処理が終了した時点で確率設定用の抽選処理を実行し、その抽選により入賞確率を切り替えることに決定した場合は、つぎのゲームの開始操作がなされた時点で、抽選テーブルを切り替えるようにしてもよい。
【0059】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、3種類の抽選テーブルを切り替えることにより、高確率役物遊技を行うタイプのスロットマシンにおけるSB入賞の出現頻度が種々変動するようになり、従来の機種よりも多様なゲーム展開を実現することができる。
【0060】
さらに、通常用抽選テーブルからのテーブルの切替えについては、高確率抽選テーブルに切り替えられる頻度よりも、中間確率抽選テーブルに切り替えられる頻度の方が高くなるので、特別ボーナスを含む各入賞の当選確率の設定値や抽選テーブルの切り替えの確率を調整することにより、メダルなどの遊技媒体の払出し枚数の期待値や出玉率を所定範囲内に維持しても、特別ボーナスの出現確率を極端に落ち込ませずにすむ。よって、遊技媒体の払出し枚数の期待値や出玉率を従来の機種と同様に維持し、かつスロットマシンの醍醐味であるBB入賞の出現確率も確保することができる。
【0061】
請求項2の発明では、内部抽選時に参照された抽選テーブルが切り替わる毎に、異なる態様のシンボル組合せによる入賞を成立させるので、遊技者は、成立したシンボル組合せにより、SB入賞が成立する確率が変動したことを簡単に認識できるようになり、より高い入賞確率への移行によりゲームへの関心や期待感を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例にかかるスロットマシンの外観を示す斜視図である。
【図2】スロットマシンの機体内部の構成を示す正面図である。
【図3】正面パネルの構成を示す正面図である。
【図4】SB入賞用のシンボル組合せの設定例を示す説明図である。
【図5】スロットマシンの電気的構成を示すブロック図である。
【図6】ゲーム制御の手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
8a,8b,8c リール
30 制御部
31 CPU
34 乱数発生部

Claims (2)

  1. 複数のシンボル列の移動表示を内部抽選の結果に応じて停止させるとともに、各シンボル列の停止時に、各シンボル列を横切る方向に沿って整列したシンボルの組合せにより入賞成立の有無を判定し、
    特別入賞として、所定の態様の特別ゲームを1度だけ実行可能なシングルボーナスと、前記特別ゲームを複数回実行可能な特別ボーナスとが設定され、
    前記シングルボーナスの当選確率が通常よりも高められたゲームを実行可能に設定されるとともに、このゲームの実行による遊技媒体の払出数の増加に応じて特別ボーナスの当選確率が調整されているスロットマシンにおいて、
    前記内部抽選用の抽選テーブルとして、シングルボーナスに当選する確率が所定の値に定められた通常用抽選テーブル、シングルボーナスに当選する確率が通常用抽選テーブルより高く設定された中間確率抽選テーブル、およびシングルボーナスに当選する確率が中間確率抽選テーブルより高く設定された高確率抽選テーブルの少なくとも3種類が設定され、内部抽選のために現在参照している抽選テーブルを他の抽選テーブルに切り替えるか否かを抽選により決定する決定手段を備え、
    前記決定手段が実行する抽選は、通常用抽選テーブルから高確率抽選テーブルに切り替えられる確率よりも、通常用抽選テーブルから中間確率抽選テーブルに切り替えられる確率の方が高くなるように設定されていることを、特徴とするスロットマシン。
  2. 前記シングルボーナス用のシンボル組合せとして、前記3種類の抽選テーブルに対応する3種類のシンボル組合せが設定されており、前記内部抽選でシングルボーナスに当選したとき、抽選時に参照していた抽選テーブルに対応する態様のシンボル組合せを成立させるようにした、請求項1に記載されたスロットマシン。
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