JP3860806B2 - カラーフィルタ用着色層の形成方法 - Google Patents

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Description

本発明は、カラーフィルタ用着色層の形成方法に関する。
着色感放射線性組成物を用いてカラーフィルタを製造するに当たっては、スピンコーターやスリット・スピンコーターによる塗布が一般的であるが、近年被塗工液を高効率で塗工してコスト低減を図る目的で、スピン機構のない塗工機、即ちスリットダイコーターが注目されている。
また近年では、1枚の基板における面取り数を増やすために、基板サイズの大型化が進んでおり、そのため塗工速度を上げてタクトタイムが過大となるのを防止することが必要とされている。
このスリットダイコーターは、例えば非特許文献1や非特許文献2に紹介されているように、塗工方向に直向するスリットノズルを有するスリットダイを備え、該スリットダイあるいは塗工される基板を塗工方向に移動させつつ、該スリットノズルから被塗工液を吐出させて塗工する装置であり、被塗工液を無駄なく基板に塗工でき、スピナー等の回転系塗工機に比べてタクトタイムが短く、使用エネルギーを節減できる等のメリットがあるとされている。
しかし、スリットダイコーターで塗工する際に塗工速度を上げると、従来のカラーフィルター用感放射線性組成物ではスリットノズルからの吐出速度と基板への濡れ性とのバランスが崩れ、塗布ムラが発生するという問題があった。
月刊ディスプレイ((株)テクノタイムズ発行), '02 9 月号, P.111-115 月刊ディスプレイ((株)テクノタイムズ発行), '02 11月号, P.36-41
本発明の目的は、スリットダイコーターで塗工する際に塗布ムラが発生せず、均一な着色層を高い製品歩留まりでかつ高効率に形成しうる、カラーフィルタ用感放射線性組成物を用いるカラーフィルタ用着色層の形成方法を提供することにある。本発明のさらに他の目的および利点は、以下の説明から明らかになろう。
本発明者らは、スリットダイコーターに関する前記問題について鋭意検討を重ねた結果、カラーフィルタの形成に使用される感放射線性組成物の粘度および表面張力と塗工速度から求められる特定のパラメータが塗工性に密接な関係があることを見い出し、本発明を成すに至った。
本発明によると、本発明の上記目的および利点は、
(A)顔料、(B)アルカリ可溶性樹脂、(C)多官能性単量体、(D)光ラジカル発生剤および(E)溶媒を含有し、該溶媒(E)プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、シクロヘキサノン、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、ぎ酸n−アミル、酢酸i−アミル、プロピオン酸n−ブチル、酪酸エチル、酪酸i−プロピル、酪酸n−ブチルおよびピルビン酸エチルよりなる群から選ばれる少なくとも1種でありそして溶媒を除いた各成分の合計濃度が10〜20重量%である感放射線性組成物を、下記式:

A×V÷B <4.0×10 −2

ここで、Aは感放射線性組成物の粘度(mPa・s)、Bは感放射線性組成物の表面張力(mN/m)そしてVは着色層を形成する際の塗工速度(m/s)である、
を満足する条件下に塗工速度(V)0.07m/s以上でスリットダイコーターにより基板上に塗工して着色層を形成する、
ことを特徴とするカラーフィルタ用着色層の形成方法によって達成される。
なお、本発明でいう「放射線」は、可視光線、紫外線、遠紫外線、電子線、X線等を含むものを意味する。
本発明によると、スリットダイコーターによる塗工時に塗布ムラが発生せず、均一な膜厚のカラーフィルタ用着色層を高い製品歩留まりでかつ高効率に形成することができる。
したがって、本発明のカラーフィルタ用感放射線性組成物を用いたカラーフィルタ用着色層の形成方法は、電子工業分野におけるカラー液晶表示装置用カラーフィルタを始めとする各種のカラーフィルタの形成に極めて好適に使用することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
カラーフィルタ用感放射線性組成物
−(A)顔料−
本発明における顔料としては、カラーフィルタには高純度で高透過性の発色と耐熱性が求められることから、有機顔料が好ましい。
前記有機顔料としては、例えば、カラーインデックス(C.I.;The Society of Dyers and Colourists 社発行)においてピグメントに分類されている化合物、具体的には、下記のようなカラーインデックス(C.I.)番号が付されているものを挙げることができる。
C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー20、C.I.ピグメントイエロー24、C.I.ピグメントイエロー31、C.I.ピグメントイエロー55、C.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー109、C.I.ピグメントイエロー110、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントイエロー150、C.I.ピグメントイエロー153、C.I.ピグメントイエロー154、C.I.ピグメントイエロー155、C.I.ピグメントイエロー166、C.I.ピグメントイエロー168、C.I.ピグメントイエロー211;
C.I.ピグメントオレンジ36、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントオレンジ51、C.I.ピグメントオレンジ61、C.I.ピグメントオレンジ71;
C.I.ピグメントレッド9、C.I.ピグメントレッド97、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド168、C.I.ピグメントレッド176、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド180、C.I.ピグメントレッド207、C.I.ピグメントレッド208、C.I.ピグメントレッド209、C.I.ピグメントレッド215、C.I.ピグメントレッド224、C.I.ピグメントレッド242、C.I.ピグメントレッド254;
C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.ピグメントバイオレット23、C.I.ピグメントバイオレット29;
C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー15:6、
C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン36、C.I.ピグメントグリーン136、C.I.ピグメントグリーン210;
C.I.ピグメントブラウン23、C.I.ピグメントブラウン25;
これらの有機顔料は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
本発明において、有機顔料は、再結晶法、再沈殿法、溶剤洗浄法、昇華法、真空加熱法や、これらの組み合わせにより精製して使用することもできる。
また、無機顔料としては、例えば、酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、亜鉛華、硫酸鉛、黄色鉛、亜鉛黄、べんがら(赤色酸化鉄(III))、カドミウム赤、群青、紺青、酸化クロム緑、コバルト緑、アンバー、チタンブラック、合成鉄黒、カーボンブラック等を挙げることができる。
これらの無機顔料は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
さらに、本発明においては、場合により、前記顔料と共に、染料や天然色素を1種以上併用することもできる。
本発明において、顔料は、所望により、その粒子表面をポリマーで改質して使用することができる。顔料の粒子表面を改質するポリマーとしては、例えば、特許文献1に記載されたポリマーや、市販の各種の顔料分散用のポリマーまたはオリゴマー等を挙げることができる。
特開平8−259876号公報
また、本発明において、顔料は、所望により、分散剤と共に使用することができる。
前記分散剤としては、例えば、カチオン系、アニオン系、ノニオン系、両性、シリコーン系、フッ素系等の界面活性剤を挙げることができる。
前記界面活性剤の例としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類;ポリオキシエチレンn−オクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンn−ノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類;ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート等のポリエチレングリコールジエステル類;ソルビタン脂肪酸エステル類;脂肪酸変性ポリエステル類;3級アミン変性ポリウレタン類;ポリエチレンイミン類のほか、以下商品名で、KP(信越化学工業(株)製)、ポリフロー(共栄社化学(株)製)、エフトップ(トーケムプロダクツ社製)、メガファック(大日本インキ化学工業(株)製)、フロラード(住友スリーエム(株)製)、アサヒガード、サーフロン(以上、旭硝子(株)製)、Disperbyk(ビックケミー・ジャパン(株)製)、ソルスパース(セネカ(株)製)等を挙げることができる。
これらの界面活性剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
分散剤の使用量は、顔料100重量部に対して、好ましくは、50重量部以下、より好ましくは30重量部以下である。
−(B)アルカリ可溶性樹脂−
本発明におけるアルカリ可溶性樹脂としては、(A)顔料に対してバインダーとして作用し、かつカラーフィルタを製造する際に、その現像処理工程において用いられる現像液、特に好ましくはアルカリ現像液に対して可溶性を有するものである。特に限定されるものではないが、カルボキシル基を有するアルカリ可溶性樹脂が好ましく、特に、1個以上のカルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体(以下、「カルボキシル基含有不飽和単量体」という。)と他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体(以下、「共重合性不飽和単量体」という。)との共重合体(以下、「カルボキシル基含有共重合体」という。)が好ましい。
カルボキシル基含有不飽和単量体の例としては、
(メタ)アクリル酸、クロトン酸、α−クロルアクリル酸、けい皮酸等の不飽和モノカルボン酸類;
マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、メサコン酸等の不飽和ジカルボン酸またはその無水物類;
3価以上の不飽和多価カルボン酸またはその無水物類;
こはく酸モノ〔2−(メタ)アクリロイロキシエチル〕、フタル酸モノ〔2−(メタ)アクリロイロキシエチル〕等の2価以上の多価カルボン酸のモノ〔(メタ)アクリロイロキシアルキル〕エステル類;
ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート等の両末端にカルボキシ基と水酸基とを有するポリマーのモノ(メタ)アクリレート類
等を挙げることができる。
これらのカルボキシル基含有不飽和単量体のうち、こはく酸モノ(2−アクリロイロキシエチル)およびフタル酸モノ(2−アクリロイロキシエチル)は、それぞれM−5300およびM−5400(東亞合成(株)製)の商品名で市販されている。
前記カルボキシル基含有不飽和単量体は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
また、共重合性不飽和単量体としては、例えば、
スチレン、α−メチルスチレン、o−ビニルトルエン、m−ビニルトルエン、p−ビニルトルエン、p−クロルスチレン、o−メトキシスチレン、m−メトキシスチレン、p−メトキシスチレン、o−ビニルベンジルメチルエーテル、m−ビニルベンジルメチルエーテル、p−ビニルベンジルメチルエーテル、o−ビニルベンジルグリシジルエーテル、m−ビニルベンジルグリシジルエーテル、p−ビニルベンジルグリシジルエーテル等の芳香族ビニル化合物;
インデン、1−メチルインデン等のインデン類;
(メタ)メチルアクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−フェノキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングルコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングルコール(メタ)アクリレート、メトキシプロピレングルコール(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングルコール(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート等の不飽和カルボン酸エステル類;
2−アミノエチル(メタ)アクリレート、2−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−アミノプロピル(メタ)アクリレート、2−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、3−アミノプロピル(メタ)アクリレート、3−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等の不飽和カルボン酸アミノアルキルエステル類;
グリシジル(メタ)アクリレート等の不飽和カルボン酸グリシジルエステル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニル等のカルボン酸ビニルエステル類;
ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、アリルグリシジルエーテル等の不飽和エーテル類;
(メタ)アクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル、シアン化ビニリデン等のシアン化ビニル化合物;
(メタ)アクリルアミド、α−クロロアクリルアミド、N−2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド等の不飽和アミド類;
マレイミド、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等の不飽和イミド類;
1,3−ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等の脂肪族共役ジエン類;
ポリスチレン、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリ−n−ブチル(メタ)アクリレート、ポリシロキサン等の重合体分子鎖の末端にモノ(メタ)アクリロイル基を有するマクロモノマー類等を挙げることができる。
これらの共重合性不飽和単量体は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
本発明におけるカルボキシル基含有共重合体としては、(メタ)アクリル酸を必須成分とし、場合により、こはく酸モノ〔2−(メタ)アクリロイロキシエチル〕およびω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレートの群から選ばれる少なくとも1種の化合物をさらに含有するカルボキシル基含有不飽和単量体成分と、スチレン、メチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、N−フェニルマレイミド、ポリスチレンマクロモノマーおよびポリメチルメタクリレートマクロモノマーの群から選ばれる少なくとも1種との共重合体が好ましい。
このような共重合体の具体例としては、
(メタ)アクリル酸/メチル(メタ)アクリレート共重合体、
(メタ)アクリル酸/ベンジル(メタ)アクリレート共重合体、
(メタ)アクリル酸/2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート/ベンジル(メタ)アクリレート共重合体、
(メタ)アクリル酸/メチル(メタ)アクリレート/ポリスチレンマクロモノマー共重合体、
(メタ)アクリル酸/メチル(メタ)アクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー共重合体、
(メタ)アクリル酸/ベンジル(メタ)アクリレート/ポリスチレンマクロモノマー共重合体、
(メタ)アクリル酸/ベンジル(メタ)アクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー共重合体、
(メタ)アクリル酸/2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート/ベンジル(メタ)アクリレート/ポリスチレンマクロモノマー共重合体、
(メタ)アクリル酸/2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート/ベンジル(メタ)アクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー共重合体、
メタクリル酸/スチレン/ベンジル(メタ)アクリレート/N−フェニルマレイミド共重合体、
(メタ)アクリル酸/こはく酸モノ〔2−(メタ)アクリロイロキシエチル〕/スチレン/ベンジル(メタ)アクリレート/N−フェニルマレイミド共重合体、(メタ)アクリル酸/こはく酸モノ〔2−(メタ)アクリロイロキシエチル〕/スチレン/アリル(メタ)アクリレート/N−フェニルマレイミド共重合体
(メタ)アクリル酸/スチレン/ベンジル(メタ)アクリレート/グリセロールモノ(メタ)アクリレート/N−フェニルマレイミド共重合体、
(メタ)アクリル酸/ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート/スチレン/ベンジル(メタ)アクリレート/グリセロールモノ(メタ)アクリレート/N−フェニルマレイミド共重合体等を挙げることができる。
カルボキシル基含有共重合体におけるカルボキシル基含有不飽和単量体の共重合割合は、好ましくは、5〜50重量%、より好ましくは10〜40重量%である。この場合、前記共重合割合が5重量%未満では、得られる感放射線性組成物のアルカリ現像液に対する溶解性が低下する傾向があり、一方50重量%を超えると、アルカリ現像液に対する溶解性が過大となり、アルカリ現像液により現像する際に、着色層の基板からの脱落や画素表面の膜荒れを来たしやすくなる傾向がある。
アルカリ可溶性樹脂のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC、溶出溶媒:テトラヒドロフラン)で測定したポリスチレン換算重量平均分子量(以下、「Mw」という。)は、好ましくは、3,000〜100,000、より好ましくは5,000〜50,000である。
また、アルカリ可溶性樹脂のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC、溶出溶媒:テトラヒドロフラン)で測定したポリスチレン換算数平均分子量(以下、「Mn」という。)は、好ましくは、1,000〜40,000、より好ましくは2,000〜20,000である。
また、アルカリ可溶性樹脂のMwとMnの比(Mw/Mn)は、好ましくは1〜5、さらに好ましくは1〜4である。
本発明においては、このような特定のMwおよびMnを有するアルカリ可溶性樹脂を使用することによって、現像性に優れた感放射線性組成物が得られ、それにより、シャープなパターンエッジを有する画素パターンを形成することができるとともに、現像時に未露光部の基板上および遮光層上に残渣、地汚れ、膜残り等が発生し難くなる。
本発明において、(B)アルカリ可溶性樹脂は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
本発明における(B)アルカリ可溶性樹脂の使用量は、(A)顔料100重量部に対して、好ましくは、10〜1,000重量部、より好ましくは20〜500重量部である。この場合、アルカリ可溶性樹脂の使用量が10重量部未満では、例えば、アルカリ現像性が低下したり、未露光部の基板上あるいは遮光層上に地汚れや膜残りが発生するおそれがあり、一方1,000重量部を超えると、相対的に顔料濃度が低下するため、薄膜として目的とする色濃度を達成することが困難となる場合がある。
−(C)多官能性単量体−
本発明における多官能性単量体は、2個以上の重合性不飽和結合を有する単量体である。
このような多官能性単量体としては、例えば、
エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルキレングリコールのジ(メタ)アクリレート類;
ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコールのジ(メタ)アクリレート類;
グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等の3価以上の多価アルコールのポリ(メタ)アクリレート類やそのジカルボン酸変性物;
ポリエステル、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アルキド樹脂、シリコーン樹脂、スピラン樹脂等のオリゴ(メタ)アクリレート類;
両末端ヒドロキシポリ−1,3−ブタジエン、両末端ヒドロキシポリイソプレン、両末端ヒドロキシポリカプロラクトン等の両末端ヒドロキシル化重合体のジ(メタ)アクリレート類や、
トリス〔2−(メタ)アクリロイロキシエチル〕フォスフェート
等を挙げることができる。
これらの多官能性単量体のうち、3価以上の多価アルコールのポリ(メタ)アクリレート類やそのジカルボン酸変性物、具体的には、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が好ましく、特に、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレートおよびジペンタエリスリトールヘキサアクリレートが、着色層の強度および表面平滑性に優れ、かつ未露光部の基板上および遮光層上に地汚れ、膜残り等を発生し難い点で好ましい。
前記多官能性単量体は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
本発明における多官能性単量体の使用量は、(B)アルカリ可溶性樹脂100重量部に対して、好ましくは、50〜200重量部、より好ましくは75〜150重量部である。この場合、多官能性単量体の使用量が50重量部未満では、着色層の強度や表面平滑性が低下する傾向があり、一方200重量部を超えると、例えば、アルカリ現像性が低下したり、未露光部の基板上あるいは遮光層上に地汚れ、膜残り等が発生しやすくなる傾向がある。
また、本発明においては、多官能性単量体の一部を、重合性不飽和結合を1個有する単官能性単量体に置き換えることもできる。
前記単官能性単量体としては、例えば、(B)アルカリ可溶性樹脂について例示したカルボキシル基含有不飽和単量体や共重合性不飽和単量体と同様の単量体や、N−(メタ)アクリロイルモルフォリン、N−ビニルピロリドン、N−ビニル−ε−カプロラクタムのほか、市販品として、M−5300、M−5400、M−5600(商品名、東亞合成(株)製)等を挙げることができる。
これらの単官能性単量体は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
単官能性単量体の使用割合は、多官能性単量体と単官能性単量体との合計量に対して、好ましくは50重量%以下、より好ましくは20重量%以下である。この場合、単官能性単量体の使用割合が50重量%を超えると、着色層の強度や表面平滑性が不十分となるおそれがある。
また、本発明における多官能性単量体と単官能性単量体との合計使用量は、(B)アルカリ可溶性樹脂100重量部に対して、好ましくは50〜300重量部、より好ましくは75〜180重量部である。この場合、前記合計使用量が50重量部未満では、着色層の強度や表面平滑性が低下する傾向があり、一方300重量部を超えると、例えば、アルカリ現像性が低下したり、未露光部の基板上あるいは遮光層上に地汚れ、膜残り等が発生しやすくなる場合がある。
−(D)光ラジカル発生剤−
本発明における光ラジカル発生剤は、可視光線、紫外線、遠紫外線、電子線、X線等の露光により、前記(C)多官能性単量体および場合により使用される単官能性単量体の重合を開始しうるラジカルを発生することができる化合物である。
このような光ラジカル発生剤としては、例えば、アセトフェノン系化合物、ビイミダゾール系化合物、トリアジン系化合物、ベンゾイン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、α−ジケトン系化合物、多核キノン系化合物、キサントン系化合物、ジアゾ系化合物等を挙げることができる。
本発明において、光ラジカル発生剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができるが、本発明における光ラジカル発生剤としては、アセトフェノン系化合物、ビイミダゾール系化合物およびトリアジン系化合物の群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
本発明における好ましい光ラジカル発生剤のうち、アセトフェノン系化合物の具体例としては、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパノン−1、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタノン−1、1−ヒドロキシシクロヘキシル・フェニルケトン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン等を挙げることができる。
これらのアセトフェノン系化合物のうち、特に、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパノン−1、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタノン−1等が好ましい。
前記アセトフェノン系化合物は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
本発明において、光ラジカル発生剤としてアセトフェノン系化合物を使用する場合の使用量は、(C)多官能性単量体と単官能性単量体との合計100重量部に対して、5〜80重量部、より好ましくは10〜60重量部、さらに好ましくは20〜50重量部である。この場合、アセトフェノン系化合物の使用量が5重量部未満では、露光による硬化が不十分となり、画素パターンが所定の配列に従って配置された画素アレイを得ることが困難となるおそれがあり、一方80重量部を超えると、形成された着色層が現像時に基板から脱落しやすくなる傾向がある。
また、ビイミダゾール系化合物の具体例としては、
2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−エトキシカルボニルフェニル)−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−ブロモフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−エトキシカルボニルフェニル)−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−ブロモフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジブロモフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4,6−トリブロモフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール等を挙げることができる。
これらのビイミダゾール系化合物のうち、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール等がさらに好ましく、特に2,2’−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾールが好ましい。
前記ビイミダゾール系化合物は、溶剤に対する溶解性に優れ、未溶解物、析出物等の異物を生じることがなく、しかも感度が高く、少ないエネルギー量の露光により硬化反応を十分進行させるとともに、未露光部で硬化反応が生じることがないため、露光後の塗膜は、現像液に対して不溶性の硬化部分と、現像液に対して高い溶解性を有する未硬化部分とに明確に区分され、それにより、アンダーカットのない画素パターンが所定の配列に従って配置された高精細な画素アレイを形成することができる。
前記ビイミダゾール系化合物は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
本発明において、光ラジカル発生剤としてビイミダゾール系化合物を使用する場合の使用量は、(C)多官能性単量体と単官能性単量体との合計100重量部に対して、好ましくは0.1〜40重量部、より好ましくは0.1〜30重量部、さらに好ましくは0.1〜20重量部である。この場合、ビイミダゾール系化合物の使用量が0.1重量部未満では、露光による硬化が不十分となり、画素パターンが所定の配列に従って配置された画素アレイを得ることが困難となるおそれがあり、一方40重量部を超えると、現像する際に、形成された着色層が基板から脱落しやすくなる傾向がある。
−水素供与体−
本発明においては、光ラジカル発生剤としてビイミダゾール系化合物を用いる場合、下記する水素供与体を併用することが、感度をさらに改良することができる点で好ましい。
ここでいう「水素供与体」とは、露光によりビイミダゾール系化合物から発生したラジカルに対して、水素原子を供与することができる化合物を意味する。
本発明における水素供与体としては、下記で定義するメルカプタン系化合物、アミン系化合物等が好ましい。
前記メルカプタン系化合物は、ベンゼン環あるいは複素環を母核とし、該母核に直接結合したメルカプト基を1個以上、好ましくは1〜3個、さらに好ましくは1〜2個有する化合物(以下、「メルカプタン系水素供与体」という。)からなる。
また、前記アミン系化合物は、ベンゼン環あるいは複素環を母核とし、該母核に直接結合したアミノ基を1個以上、好ましくは1〜3個、さらに好ましくは1〜2個有する化合物(以下、「アミン系水素供与体」という。)からなる。
なお、これらの水素供与体は、メルカプト基とアミノ基とを同時に有することもできる。
以下、これらの水素供与体について、より具体的に説明する。
メルカプタン系水素供与体は、ベンゼン環あるいは複素環をそれぞれ1個以上有することができ、またベンゼン環と複素環との両者を有することができ、これらの環を2個以上有する場合、縮合環を形成しても形成しなくてもよい。
また、メルカプタン系水素供与体は、メルカプト基を2個以上有する場合、少なくとも1個の遊離メルカプト基が残存する限りでは、残りのメルカプト基の1個以上がアルキル、アラルキルまたはアリール基で置換されていてもよく、さらには少なくとも1個の遊離メルカプト基が残存する限りでは、2個の硫黄原子がアルキレン基等の2価の有機基を介在して結合した構造単位、あるいは2個の硫黄原子がジスルフィドの形で結合した構造単位を有することができる。
さらに、メルカプタン系水素供与体は、メルカプト基以外の箇所で、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、置換アルコキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基、置換フェノキシカルボニル基、ニトリル基等によって置換されていてもよい。
このようなメルカプタン系水素供与体の具体例としては、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール、2−メルカプト−2,5−ジメチルアミノピリジン等を挙げることができる。
これらのメルカプタン系水素供与体のうち、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール等が好ましく、特に2−メルカプトベンゾチアゾールが好ましい。
次に、アミン系水素供与体は、ベンゼン環あるいは複素環をそれぞれ1個以上有することができ、またベンゼン環と複素環との両者を有することができ、これらの環を2個以上有する場合、縮合環を形成しても形成しなくてもよい。
また、アミン系水素供与体は、アミノ基の1個以上がアルキル基または置換アルキル基で置換されてもよく、またアミノ基以外の箇所で、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、置換アルコキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基、置換フェノキシカルボニル基、ニトリル基等によって置換されていてもよい。
このようなアミン系水素供与体の具体例としては、4、4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4、4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4−ジエチルアミノアセトフェノン、4−ジメチルアミノプロピオフェノン、エチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、4−ジメチルアミノ安息香酸、4−ジメチルアミノベンゾニトリル等を挙げることができる。
これらのアミン系水素供与体のうち、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等が好ましく、特に4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンが好ましい。
アミン系水素供与体は、ビイミダゾール系化合物以外の光重合開始剤の場合においても、増感剤としての作用を有するものである。
本発明において、水素供与体は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができるが、1種以上のメルカプタン系水素供与体と1種以上のアミン系水素供与体とを組み合わせて使用することが、形成された着色層が現像時に基板から脱落し難く、また着色層の強度および感度も高い点で好ましい。
メルカプタン系水素供与体とアミン系水素供与体との組み合わせの具体例としては、2−メルカプトベンゾチアゾール/4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、2−メルカプトベンゾチアゾール/4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2−メルカプトベンゾオキサゾール/4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、2−メルカプトベンゾオキサゾール/4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等を挙げることができ、さらに好ましい組み合わせは、2−メルカプトベンゾチアゾール/4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2−メルカプトベンゾオキサゾール/4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等であり、特に好ましい組み合わせは、2−メルカプトベンゾチアゾール/4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンである。
メルカプタン系水素供与体とアミン系水素供与体との組み合わせにおけるメルカプタン系水素供与体とアミン系水素供与体との重量比は、通常、1:1〜1:4、好ましくは1:1〜1:3である。
本発明において、水素供与体をビイミダゾール系化合物と併用する場合の使用量は、(C)多官能性単量体と単官能性単量体との合計100重量部に対して、好ましくは0.1〜30重量部、さらに好ましくは0.1〜20重量部、特に好ましくは0.1〜10重量部である。この場合、水素供与体の使用量が0.1重量部未満であると、感度の改良効果が低下する傾向があり、一方30重量部を超えると、形成された着色層が現像時に基板から脱落しやすくなる傾向がある。
また、前記トリアジン系化合物の具体例としては、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(5−メチルフラン−2−イル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(フラン−2−イル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−エトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−n−ブトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン等のハロメチル基を有するトリアジン系化合物を挙げることができる。
これらのトリアジン系化合物のうち、特に2−[2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジンが好ましい。
前記トリアジン系化合物は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
本発明において、光ラジカル発生剤としてトリアジン系化合物を使用する場合の使用量は、(C)多官能性単量体と単官能性単量体との合計100重量部に対して、好ましくは1〜40重量部、さらに好ましくは1〜30重量部、特に好ましくは1〜20重量部である。この場合、トリアジン系化合物の使用量が1重量部未満であると、露光による硬化が不十分となり、画素パターンが所定の配列に従って配置された画素アレイを得ることが困難となるおそれがあり、一方40重量部を超えると、形成された着色層が現像時に基板から脱落しやすくなる傾向がある。
−添加剤−
本発明のカラーフィルタ用感放射線性組成物には、必要に応じて種々の添加剤を配合することもできる。
前記添加剤としては、感放射線性組成物のアルカリ現像液に対する溶解特性をより改善し、かつ現像後の未溶解物の残存をより抑制する作用等を示す、有機酸または有機アミノ化合物(但し、前記水素供与体を除く。)を挙げることができる。
前記有機酸としては、分子中に1個以上のカルボキシル基を有する、脂肪族カルボン酸あるいはフェニル基含有カルボン酸が好ましい。
前記脂肪族カルボン酸の例としては、
ぎ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、ピバル酸、カプロン酸、ジエチル酢酸、エナント酸、カプリル酸等の脂肪族モノカルボン酸類;
しゅう酸、マロン酸、こはく酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ブラシル酸、メチルマロン酸、エチルマロン酸、ジメチルマロン酸、メチルこはく酸、テトラメチルこはく酸、シクロヘキサンジカルボン酸、イタコン酸、シトラコン酸、マレイン酸、フマル酸、メサコン酸等の脂肪族ジカルボン酸類;
トリカルバリル酸、アコニット酸、カンホロン酸等の脂肪族トリカルボン酸類等を挙げることができる。
また、前記フェニル基含有カルボン酸としては、例えば、カルボキシル基が直接フェニル基に結合した化合物や、カルボキシル基が炭素鎖を介してフェニル基に結合した化合物等を挙げることができる。
フェニル基含有カルボン酸の例としては、
安息香酸、トルイル酸、クミン酸、ヘメリト酸、メシチレン酸等の芳香族モノカルボン酸類;
フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等の芳香族ジカルボン酸類;
トリメリット酸、トリメシン酸、メロファン酸、ピロメリット酸等の3価以上の芳香族ポリカルボン酸類や、
フェニル酢酸、ヒドロアトロパ酸、ヒドロけい皮酸、マンデル酸、フェニルこはく酸、アトロパ酸、けい皮酸、シンナミリデン酸、クマル酸、ウンベル酸等を挙げることができる。
これらの有機酸のうち、アルカリ溶解性、後述する溶媒に対する溶解性、未露光部の基板上あるいは遮光層上における地汚れや膜残りの防止等の観点から、脂肪族カルボン酸としては、脂肪族ジカルボン酸類が好ましく、特に、マロン酸、アジピン酸、イタコン酸、シトラコン酸、フマル酸、メサコン酸等が好ましく、またフェニル基含有カルボン酸としては、芳香族ジカルボン酸類が好ましく、特にフタル酸が好ましい。
前記有機酸は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
有機酸の配合量は、(A)〜(D)の各成分および添加剤の合計100重量部に対して、通常、15重量部以下、好ましくは10重量部以下である。この場合、有機酸の配合量が15重量部を超えると、形成された着色層の基板に対する密着性が低下する傾向がある。
また、前記有機アミノ化合物としては、分子中に1個以上のアミノ基を有する、脂肪族アミンあるいはフェニル基含有アミンが好ましい。
前記脂肪族アミンの例としては、
n−プロピルアミン、i−プロピルアミン、n−ブチルアミン、i−ブチルアミン、sec−ブチルアミン、t−ブチルアミン、n−ペンチルアミン、n−ヘキシルアミン等のモノ(シクロ)アルキルアミン類;
メチルエチルアミン、ジエチルアミン、メチルn−プロピルアミン、エチルn−プロピルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジ−i−プロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジ−i−ブチルアミン、ジ−sec−ブチルアミン、ジ−t−ブチルアミン等のジ(シクロ)アルキルアミン類;
ジメチルエチルアミン、メチルジエチルアミン、トリエチルアミン、ジメチルn−プロピルアミン、ジエチルn−プロピルアミン、メチルジ−n−プロピルアミン、エチルジ−n−プロピルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−i−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−i−ブチルアミン、トリ−sec−ブチルアミン、トリ−t−ブチルアミン等のトリ(シクロ)アルキルアミン類;
2−アミノエタノール、3−アミノ−1−プロパノール、1−アミノ−2−プロパノール、4−アミノ−1−ブタノール等のモノ(シクロ)アルカノールアミン類;
ジエタノールアミン、ジ−n−プロパノールアミン、ジ−i−プロパノールアミン、ジ−n−ブタノールアミン、ジ−i−ブタノールアミン等のジ(シクロ)アルカノールアミン類;
トリエタノールアミン、トリ−n−プロパノールアミン、トリ−i−プロパノールアミン、トリ−n−ブタノールアミン、トリ−i−ブタノールアミン等のトリ(シクロ)アルカノールアミン類;
3−アミノ−1,2−プロパンジオール、2−アミノ−1,3−プロパンジオール、4−アミノ−1,2−ブタンジオール、4−アミノ−1,3−ブタンジオール、3−ジメチルアミノ−1,2−プロパンジオール、3−ジエチルアミノ−1,2−プロパンジオール、2−ジメチルアミノ−1,3−プロパンジオール、2−ジエチルアミノ−1,3−プロパンジオール等のアミノ(シクロ)アルカンジオール類;
β−アラニン、2−アミノ酪酸、3−アミノ酪酸、4−アミノ酪酸、2−アミノイソ酪酸、3−アミノイソ酪酸等のアミノカルボン酸類
等を挙げることができる。
また、フェニル基含有アミンとしては、例えば、アミノ基が直接フェニル基に結合した化合物、アミノ基が炭素鎖を介してフェニル基に結合した化合物等を挙げることができる。
フェニル基含有アミンの例としては、
アニリン、o−メチルアニリン、m−メチルアニリン、p−メチルアニリン、p―エチルアニリン、1−ナフチルアミン、2−ナフチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、p−メチル−N,N−ジメチルアニリン等の芳香族アミン類;
o−アミノベンジルアルコール、m−アミノベンジルアルコール、p−アミノベンジルアルコール、p−ジメチルアミノベンジルアルコール、p−ジエチルアミノベンジルアルコール等のアミノベンジルアルコール類;
o−アミノフェノール、m―アミノフェノール、p―アミノフェノール、p−ジメチルアミノフェノール、p−ジエチルアミノフェノール等のアミノフェノール類;
m−アミノ安息香酸、p―アミノ安息香酸、p−ジメチルアミノ安息香酸、p−ジエチルアミノ安息香酸等のアミノ安息香酸類
等を挙げることができる。
これらの有機アミノ化合物のうち、後述する溶媒に対する溶解性、未露光部の基板上あるいは遮光層上における地汚れや膜残りの防止等の観点から、脂肪族アミンとしては、モノ(シクロ)アルカノールアミン類およびアミノ(シクロ)アルカンジオール類が好ましく、特に、2−アミノエタノール、3−アミノ−1−プロパノール、5−アミノ−1−ペンタノール、3−アミノ−1,2−プロパンジオール、2−アミノ−13−プロパンジオール、4−アミノ−12−ブタンジオール等が好ましく、またフェニル基含有アミンとしては、アミノフェノール類が好ましく、特に、o−アミノフェノール、m−アミノフェノール、p−アミノフェノール等が好ましい。
前記有機アミノ化合物は、単独でまたは2種以上混合して使用することができる。
有機アミノ化合物の配合量は、(A)〜(D)成分および添加剤の合計100重量部に対して、通常、15重量部以下、好ましくは10重量部以下である。この場合、有機アミノ化合物の配合量が15重量部を超えると、形成された着色層の基板との密着性が低下する傾向がある。
また、その他の添加剤としては、例えば、
銅フタロシアニン誘導体等の青色顔料誘導体や黄色顔料誘導体等の分散助剤;
ガラス、アルミナ等の充填剤;
ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル類、ポリ(フロロアルキルアクリレート)類等の高分子化合物;
ノニオン系、カチオン系、アニオン系等の界面活性剤;
ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピル・メチル・ジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピル・メチル・ジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−クロロプロピル・メチル・ジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等の密着促進剤;
2,2−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,6−ジ−t−ブチルフェノール等の酸化防止剤;
2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、アルコキシベンゾフェノン類等の紫外線吸収剤;
ポリアクリル酸ナトリウム等の凝集防止剤;
1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2−フェニルアゾ−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル等の熱ラジカル発生剤
等を挙げることができる。
−(E)溶媒−
本発明における溶媒としては、感放射線性組成物を構成する(A)〜(D)成分や添加剤を分散または溶解し、かつこれらの成分と反応せず、適度の揮発性を有するもの使用することができる。
かかる溶媒としては、溶解性、顔料の分散性、塗布性等の観点から、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、シクロヘキサノン、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、ぎ酸n−アミル、酢酸i−アミル、プロピオン酸n−ブチル、酪酸エチル、酪酸i−プロピル、酪酸n−ブチル、ピルビン酸エチルが用いられる。さらに好ましくは、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシブチルアセテート、シクロヘキサノン等である。
前記溶媒は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
また、前記溶媒と共に、ベンジルエチルエーテル、ジ−n−ヘキシルエーテル、アセトニルアセトン、イソホロン、カプロン酸、カプリル酸、1−オクタノール、1−ノナノール、ベンジルアルコール、酢酸ベンジル、安息香酸エチル、しゅう酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、γ−ブチロラクトン、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、エチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート等の高沸点溶媒を併用することもできる。
これらの高沸点溶媒は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
溶媒の使用量は、得られる感放射線性組成物の塗布性、安定性等の観点から、当該組成物の溶媒を除いた各成分の合計濃度が、10〜20重量%となる量である
カラーフィルタ用感放射線性組成物の特性
本発明のカラーフィルタ用感放射線性組成物は、その表面張力をB(mN/m)、その粘度をA(mPa・s)とし、かつ着色層を形成する際の塗工速度をV(m/s)としたとき、式(A×V÷B)で求められる値(以下、「AV/B値」という。)が4.0×10-2未満、好ましくは2.0×10-3〜3.5×10-2、特に好ましくは2.0×10-3〜3.0×10-2である特性を有する。この場合、AV/B値が4.0×10-2以上では、塗布ムラを発生しやすくなる傾向がある。
本発明のカラーフィルタ用感放射線性組成物は、AV/B値が前記要件を満たすことによって、スリットダイコーターにより基板上にカラーフィルタ用着色層を形成する際に、スリットノズルからの吐出速度と基板への濡れ性との高いバランスを確保でき、塗布ムラが発生することがなく、均一な膜厚のカラーフィルタ用着色層を高い製品歩留りでかつ高効率に形成することができる。
また、本発明のカラーフィルタ用感放射線性組成物の粘度は、2.0mPa・s〜8.0mPa・sが好ましく、2.0mPa・s〜6.0mPa・sが特に好ましい。
カラーフィルタ用着色層の形成方法
本発明のカラーフィルタ用着色層の形成方法は、前記特性を有するカラーフィルタ用感放射線性組成物を用い、当該感放射線性組成物の塗工速度を0.07m/s以上として、スリットダイコーターにより基板上にカラーフィルタ用着色層を形成する方法からなる。
以下に、本発明のカラーフィルタ用着色層の形成方法についてより具体的に説明する。
まず、基板の表面上に、必要に応じて、画素アレイを形成する部分を区画するように遮光層を形成し、この基板上に、例えば赤色の顔料が分散された感放射線性組成物をスリットダイコーターにより塗工する。
次いで、プレベークを行って溶媒を蒸発させて塗膜を形成し、この塗膜にフォトマスクを介して露光したのち、特に好ましくはアルカリ現像液を用いて現像して、塗膜の未露光部を溶解除去し、その後ポストベークすることにより、赤色の画素パターンが所定の配列で配置された画素アレイを形成する。
次いで、緑色または青色の顔料が分散された各感放射線性組成物を用い、前記と同様にして、塗工、プレベーク、露光、現像およびポストベークを行って、緑色の画素アレイおよび青色の画素アレイを同一基板上に形成することにより、赤色、緑色および青色の三原色の画素アレイが基板上に配置された着色層が得られる。
但し、本発明における各色の画素アレイの形成順は、前記した順序に限られるものではない。
塗工厚さは、溶媒除去後の膜厚として、好ましくは、0.1〜10μm、より好ましくは0.2〜8.0μm、特に好ましくは0.2〜6.0μmである。
着色層の形成に使用される放射線としては、例えば、可視光線、紫外線、遠紫外線、電子線、X線等を使用することができるが、波長が190〜450nmの範囲にある放射線が好ましい。
放射線の露光量は、好ましくは10〜10,000J/m2である。
また、前記アルカリ現像液としては、例えば、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、コリン、1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ−[4.3.0]−5−ノネン等の水溶液が好ましい。
前記アルカリ現像液には、例えばメタノール、エタノール等の水溶性有機溶剤や界面活性剤等を適量添加することもできる。なお、アルカリ現像後は、通常、水洗する。
現像処理法としては、シャワー現像法、スプレー現像法、ディップ(浸漬)現像法、パドル(液盛り)現像法等を適用することができる。現像条件は、常温で5〜300秒が好ましい。
カラーフィルタにおける着色層を形成する際に使用される基板としては、例えば、ガラス、シリコン、ポリカーボネート、ポリエステル、芳香族ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリエーテルスルホン、環状オレフィンの開環重合体やその水素添加物等を挙げることができる。
また、これらの基板には、所望により、シランカップリング剤等による薬品処理、プラズマ処理、イオンプレーティング、スパッタリング、気相反応法、真空蒸着等の適宜の前処理を施しておくこともできる。
カラーフィルタ
本発明のカラーフィルタは、本発明のカラーフィルタ用感放射線性組成物から形成された着色層を有するものである。
本発明のカラーフィルタは、透過型あるいは反射型のカラー液晶表示装置のほか、カラー撮像管素子、カラーセンサー等に極めて有用である。
カラー液晶表示装置
本発明のカラー液晶表示装置は、本発明のカラーフィルタを具備するものである。
本発明のカラー液晶表示装置は、適宜の構造をとることができる。例えば、カラーフィルタを、薄膜トランジスター(TFT)が配置された駆動用基板とは別の基板上に作製し、駆動用基板とカラーフィルタ基板とが、液晶層を介して対向した構造をとることができる。また、薄膜トランジスター(TFT)が配置された駆動用基板の表面上にカラーフィルタを形成した基板と、ITO(錫をドープした酸化インジュウム)電極を形成した基板とが、液晶層を介して対向した構造をとることもできる。後者の構造は、開口率を格段に向上させることができ、明るく高精細な表示素子が得られることが特徴である。
以下、実施例を挙げて、本発明の実施の形態をさらに具体的に説明する。但し、本発明は、下記実施例に限定されるものではない。
実施例1
(A)顔料としてC.I.ピグメントレッド254とC.I.ピグメントイエロー139との65/35(重量比)混合物40重量部、(B)アルカリ可溶性樹脂としてメタクリル酸/スチレン/ベンジルメタクリレート/グリセロールモノメタクリレート/N−フェニルマレイミド共重合体(共重合重量比=15/15/35/10/25、Mw=30,000、Mn=10,000)70重量部、(C)多官能性単量体としてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート80重量部、(D)光ラジカル発生剤として2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタノン−1を50重量部、および(E)溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート1,000重量部を混合して、組成物(R1)を調製した。
組成物(R1)は、粘度をEL型粘度計(東機産業(株)製DVM−EII型:測定温度25℃、20rpmで30秒後に測定される値を粘度値とした)により測定したところ、3.6mPa・sであり、表面張力をダイノメーター((株)島津製作所製)により測定したところ、27mN/mであった。
<塗膜の形成>
組成物(R1)を、表面にナトリウムイオンの溶出を防止するSiO2膜が形成されたソーダガラス基板(1,100mm×1,250mm)表面上に、スリットダイコーター(東京応化工業(株)製TR63210S−CL)を用い、塗工速度を0.07m/s、0.11m/sあるいは0.15m/sとして、1,080mm×1,230mmの範囲(基板の各端縁から内側へそれぞれ10mm入った領域内)に塗工したのち、溶媒を揮発させて、それぞれ膜厚2.0μmの塗膜を形成した基板を3枚作製した。
この場合、組成物(R1)のAV/B値は、塗工速度に応じて、順次9.3×10-3、14.7×10-3および20.0×10-3であった。
<塗工性の評価>
塗工後の塗膜表面をナトリウムランプ光で照射して観察した時に、全ての領域においてスジムラ、乾燥ムラなど外観上問題となる塗布ムラが認められなかった場合を良好、塗布ムラが認められた場合を不良として結果を表1に示した。
また、図1に示すように、基板1の各端縁から内側へそれぞれ10mm入った細実線で囲んだ領域に形成した塗膜2について、塗膜の端縁部とその近傍部および中央部を含む計35の測定点(黒丸)で膜厚を測定した時に、全ての測定点において膜厚のバラツキが±0.10μmに入っており、非常に均一な塗工性を示した場合を優良、膜厚のバラツキが±0.20μmに入っており、均一な塗工性を示した場合を良好、膜厚のバラツキが±0.20μmを越えている場合を不良として結果を表1に示した。
実施例2
(A)顔料としてC.I.ピグメントグリーン36とC.I.ピグメントイエロー138との60/40(重量比)混合物60重量部、(B)アルカリ可溶性樹脂としてメタクリル酸/スチレン/ベンジルメタクリレート/グリセロールモノメタクリレート/N−フェニルマレイミド共重合体(共重合重量比=15/15/35/10/25、Mw=30,000、Mn=10,000)70重量部、(C)多官能性単量体としてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート80重量部、(D)光ラジカル発生剤として2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタノン−1を50重量部、および(E)溶媒として3−メトキシブチルアセテート800重量部を混合して、組成物(R2)を調製した。
組成物(R2)の粘度および表面張力を実施例1と同様にして測定した結果およびAV/B値を表1に示した。
また、塗工性の評価を実施例1と同様に行った結果を表1に示した。
実施例3
(A)顔料としてC.I.ピグメントレッド254とC.I.ピグメントイエロー139との65/35(重量比)混合物90重量部、(B)アルカリ可溶性樹脂としてメタクリル酸/スチレン/ベンジルメタクリレート/グリセロールモノメタクリレート/N−フェニルマレイミド共重合体(共重合重量比=15/15/35/10/25、Mw=15,000、Mn=6,000)70重量部、(C)多官能性単量体としてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート80重量部、(D)光ラジカル発生剤として2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタノン−1を30重量部、および(E)溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート1,500重量部を混合して、組成物(R3)を調製した。
組成物(R3)の粘度および表面張力を実施例1と同様にして測定した結果およびAV/B値を表1に示した。
また、塗工性の評価を実施例1と同様に行った結果を表1に示した。
実施例4
(A)顔料としてC.I.ピグメントグリーン36とC.I.ピグメントイエロー138との60/40(重量比)混合物100重量部、(B)アルカリ可溶性樹脂としてメタクリル酸/スチレン/ベンジルメタクリレート/グリセロールモノメタクリレート/N−フェニルマレイミド共重合体(共重合重量比=15/15/35/10/25、Mw=12,000、Mn=5,000)70重量部、(C)多官能性単量体としてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート80重量部、(D)光ラジカル発生剤として2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタノン−1を30重量部、および(E)溶媒として3−メトキシブチルアセテート1,200重量部を混合して、組成物(R4)を調製した。
組成物(R4)の粘度および表面張力を実施例1と同様にして測定した結果およびAV/B値を表1に示した。
また、塗工性の評価を実施例1と同様に行った結果を表1に示した。
実施例5
実施例1において、プリピレングリコールモノメチルエーテルアセテートの量を700重量部に変えた以外は実施例1と同様にして、組成物(R5)を調製した。
組成物(R5)の粘度および表面張力を実施例1と同様にして測定した結果およびAV/B値を表1に示した。
また、塗工性の評価を実施例1と同様に行った結果を表1に示した。
実施例6
(A)顔料としてC.I.ピグメントレッド254とC.I.ピグメントレッド177との90/10(重量比)混合物80重量部、(B)アルカリ可溶性樹脂としてメタクリル酸/スチレン/ベンジルメタクリレート/グリセロールモノメタクリレート/N−フェニルマレイミド共重合体(共重合重量比=15/20/30/10/25、Mw=15,000、Mn=6,000)60重量部、(C)多官能性単量体としてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート90重量部、(D)光ラジカル発生剤として2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタノン−1/2,2’−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール/2−メルカプトベンゾチアゾール/4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンの30/4/2/4(重量比)混合物40重量部、および(E)溶媒として3−エトキシプロピオン酸エチル/プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートの50/50(重量比)1,400重量部を混合して、組成物(R6)を調製した。
組成物(R6)の粘度および表面張力を実施例1と同様にして測定した結果およびAV/B値を表1に示した。
また、塗工性の評価を実施例1と同様に行った結果を表1に示した。
実施例7
(A)顔料としてC.I.ピグメントブルー15:6とC.I.ピグメントバイオレット23との97/3(重量比)混合物80重量部、(B)アルカリ可溶性樹脂としてメタクリル酸/スチレン/ベンジルメタクリレート/グリセロールモノメタクリレート/N−フェニルマレイミド共重合体(共重合重量比=15/15/30/10/30、Mw=12,000、Mn=5,000)65重量部、(C)多官能性単量体としてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート85重量部、(D)光ラジカル発生剤として2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパノン−1/2,2’−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール/2−メルカプトベンゾチアゾール/4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンの30/3/2/5(重量比)混合物40重量部、および(E)溶媒として3−エトキシプロピオン酸エチル/プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート/ジエチレングリコ−ルメチルエチルエーテルの45/40/15(重量比)1600重量部を混合して、組成物(R7)を調製した。
組成物(R7)の粘度および表面張力を実施例1と同様にして測定した結果およびAV/B値を表1に示した。
また、塗工性の評価を実施例1と同様に行った結果を表1に示した。
Figure 0003860806
膜厚の測定要領を説明する図である。
符号の説明
1 基板
2 塗膜

Claims (2)

  1. (A)顔料、(B)アルカリ可溶性樹脂、(C)多官能性単量体、(D)光ラジカル発生剤および(E)溶媒を含有し、該溶媒(E)プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、シクロヘキサノン、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、ぎ酸n−アミル、酢酸i−アミル、プロピオン酸n−ブチル、酪酸エチル、酪酸i−プロピル、酪酸n−ブチルおよびピルビン酸エチルよりなる群から選ばれる少なくとも1種でありそして溶媒を除いた各成分の合計濃度が10〜20重量%である感放射線性組成物を、下記式:

    A×V÷B <4.0×10 −2

    ここで、Aは感放射線性組成物の粘度(mPa・s)、Bは感放射線性組成物の表面張力(mN/m)そしてVは着色層を形成する際の塗工速度(m/s)である、
    を満足する条件下に塗工速度(V)0.07m/s以上でスリットダイコーターにより基板上に塗工して着色層を形成する、
    ことを特徴とするカラーフィルタ用着色層の形成方法。
  2. 感放射線性組成物の粘度が2.0mPa・s〜8.0mPa・sの範囲にある請求項1に記載のカラーフィルタ用着色層の形成方法
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