JP3960311B2 - ダイコート用硬化性樹脂組成物、カラーフィルタ、カラーフィルタの製造方法、および液晶表示装置 - Google Patents
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Description
ると、顔料濃度が急激に増加するため、顔料の凝集塊が発生する場合がある。これら凝集塊は、ダイリップ先端に付着し、再度レジストを吐出した際にリップ先端から剥離して基板上に移動する。これら凝集塊は、その後の工程では容易に除去されず、最後まで基板上に残留する。このような凝集塊は、カラーフィルタの画素欠陥となり、品質不良の原因となる。この不良現象が頻発すると製品の歩留りが低下するので、避けなければならない現象の一つとされている。
しかしながら、従来のカラーフィルター用レジスト(例えば、特許文献1参照)では、この問題が十分に解決されていなかった。
色材[(a)成分]が顔料であり、
溶剤成分[(b)成分]が、溶剤成分[(b1)成分]、溶剤成分[(b2)成分]および溶剤成分[(b3)成分]の混合物であり、溶剤成分[(b1)成分]がプロピレングリコールモノメチルエーテルア
セテートであり、溶剤成分[(b2)成分]が沸点(圧力1013.25[hPa]条件下での沸点
。)50℃以上133℃以下のアルコール類および/またはジケトン類、溶剤成分[(b3)
成分]が沸点150℃以上の溶剤であり、かつ、次の(1)ない し(3)の関係を満たすことを特徴とする、ダイコート用硬化性樹脂組成物を提供する。
(1)溶剤成分[(b1)成分]の沸点が、溶剤成分[(b2)成分]の沸点より高い。
(2)溶剤成分[(b1)成分]の含有量が、溶剤成分[(b2)成分]の含有量より大である。
(3)硬化性樹脂組成物のSP(溶解度パラメータ)値をδR、溶剤成分[(b1)成分]のSP 値をδ(b1)、溶剤成分[(b2)成分]のSP値をδ(b2)とするとき、δR、δ(b1)およびδ(b2)が、次式すなわち、|δR−δ(b1)|>|δR−δ(b2)|、を満たす。(ただし、δRを計算する際には、下記(イ)、(ロ)および(ハ)のSP値および重量%は0として計算する。
(イ)色材[(a)成分]
(ロ)溶剤成分[(b)成分]
(ハ)色材[(a)成分]および溶媒成分[(b)成分]を除いた硬化性樹脂組成物中、含有率が5重量%以下の成分。)
また、第2発明では、カラーフィルタ基板上に、第1発明に係るダイコート用硬化性樹脂組成物を塗布する工程、これを露光する工程、および露光後にこれを現像する工程を経て画素を形成するカラーフィルタの製造方法において、カラーフィルタ基板上への塗布をダイコート法によって行うこと、を特徴とするカラーフィルタの製造方法を提供する。
[1]ダイコート用硬化性樹脂組成物の構成成分
本発明に係るダイコート用硬化性樹脂組成物(以下、単に硬化性樹脂組成物と略称することがある)は、色材{以下、単に(a)成分と略称する}、溶剤成分{以下、単に(b)成分と略称する}、バインダ樹脂{以下、単に(c1)成分と略称する}および/またはその単量体{以下、単に(c2)成分と略称する}、要すればさらに、光重合開始剤系{以下、単に(d)成分と略称する}、(a)成分ないし(d)成分以外の他の添加物{以下、単に(e)成分と略称する}などを配合することができる。
[1-1]色材=(a)成分
(a)成分は、本発明に係る硬化性樹脂組成物を着色するものをいう。(a)成分としては、赤色、緑色、青色の顔料および調色用の黄色、バイオレットの顔料、カーボンブラックなどが挙げられ、この他、必要に応じ配合できるものとして、金属粉、白色顔料、蛍光顔料などが挙げられる。顔料は無機顔料、有機顔料のいずれでもよい。無機顔料としては、例えば、硫酸バリウム、硫酸鉛、酸化チタン、黄色鉛、ベンガラ、酸化クロム、カーボンブラックなどが挙げられる。
は、C.I.ピグメントイエロー1、3、4、5、6、12、13、14、16、17、18、20、24、55、65、73、74、81、83、86、87、93、94、95、97、98、100、101、108、109、110、113、116、117、120、123、125、128、129、133、137、138、139、147、148、150、151、153、154、155、156、166、168、169、170、171、172、173、175などが挙げられる。
23、25、26、32などが挙げられ、黒色顔料としては、C.I.ピグメントブラック7などが挙げられる。
[1-2]溶剤成分=(b)成分
溶剤成分である(b)成分は、本発明に係る硬化性樹脂組成物において、(a)成分および(c)成分のほか、場合により配合される(d)成分および(e)成分などを溶解または分散させ、粘度を調節するように機能する。(b)成分を構成する溶剤は、第1発明においては、溶剤成分{以下、(b1)成分と略称する}と溶剤成分{以下、(b2)成分と略する}および溶剤成分{以下、(b3)成分と略称する}を含み、前記(1)ないし(3)の関係を満たすことを必須とする。
および溶剤成分[(b3)成分]の混合物であり、溶剤成分[(b1)成分]がプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートであり、溶剤成分[(b2)成分]が沸点(圧力1013.25[hPa]条件下での沸点。以下同じ意味である))50℃以上133℃以下のアルコール類
および/またはジケトン類であり、さらに溶剤成分[(b3)成分]が沸点150℃以上の溶剤であり、かつ溶剤成分[(b1)成分]の沸点が、溶剤成分[(b2)成分]の沸点より高いことが必要である。(b1)成分と(b2)成分との沸点(圧力1013.25[hPa] 条件下での沸点)が、一方の(b1)成分を高沸点のもの、他方の(b2)成分を(b1)成分より低いものとして組合せるものとする。このように組合せると、基板にダイコート法により硬化性樹脂組成物を塗布する際に、凝集塊の発生を大幅に抑制することができる。
特に好ましいのは20〜40重量%である。
(b)成分は、(b1)成分と(b2)成分によって構成されるが、これらとは異なる溶剤であっ
て沸点が150℃以上の溶剤成分[以下(b3)成分と略称する]、および/または、(b1)成分
、(b2)成分および(b3)成分以外の溶剤成分{以下、[(b4)成分と略称する]を併用することができる。(b3)成分を混合することにより、(b)成分の乾燥を抑制することができる。(b4)成分を混合することにより、後記する(d)成分{光開始剤系}、(e)成分[(a)成分ないし(d)成分以外の成分}などを、均一に溶解または分散させるように機能する。
はないが、1〜60重量%の範囲で選ぶのが好ましい。より好ましい範囲は、10〜30重量%である。
これら式におけるvi、Fdi、Fpi、Ehiなどは固有の値であり、文献に記載されている。文献としては、プロパティズオブポリマーズーそれらの定数と化学構造との関係("PROPERTIES 0F POLYMERS" Their estimation and correlation with chemical structure", D.W.Van Krevelen, P.J.Hoftyzer, Elsevier Scientific Publishing Company,Amsterdam-Oxford-New York,1976)が挙げられる。硬化性樹脂組成物のδR、硬化性樹脂組成物中に含まれる各成分の重量%(wi)から,次式によって算出する。δR={Σ(δi×wi)}/Σwi。ただし、硬化性樹脂組成物に含まれる色材[(a)成分]、溶媒成分[(b)成分]、および、含有率が5重量%以下の成分のSP値および重量%は、0として計算する。なお「含有量5重量%以下」とは、「色材[(a)成分]および溶媒成分[(b)成分]を除いた硬化性樹脂組成物中、含有率が5重量%以下」の意である。
分より(b2)成分の方が高いことを意味する。これに上記(1)、(2)の関係を組合せると、硬化性樹脂組成物に対する相溶性の高い溶媒の方が、より低沸点で、かつ、より含有量が低いということを意味する。
占める割合を、99重量%以下とする。(b)成分が多すぎると、(a)成分、(c)成分などが
少なくなり過ぎて塗布膜を形成するには不適当であり、(b)成分が少なすぎても粘度が高
くなり過ぎて塗布用途に供するには不適当となる。硬化性樹脂組成物全体に占める(b)成
分の含有量は98重量%以下が好ましく、95重量%以下がさらに好ましく、90重量%以下がとりわけ好ましい。また、硬化性樹脂組成物中に占める総固形分[溶剤成分[(b)成分]を除く総ての成分を含む]は18重量%以下が好ましい。総固形分が多すぎると、基
板にダイコート法によって塗布する場合に、ダイリップの先端に凝集塊が発生しやすくなり、好ましくない。従って、硬化性樹脂組成物全体に占める(b)成分の含有量は、82重
量%以上が好ましく、84重量%以上がとりわけ好ましい。
[1-3]バインダ樹脂=(c1)成分
本発明に係る硬化性樹脂組成物は、透明基板に塗布してカラーフィルタを製造する際の塗布液として好適に使用される。以下では、カラーフィルタ用の硬化性組成物として使用する場合を例にして説明ずる。(c1)成分(バインダ樹脂)を単独で使用する場合は、目的とする画素画像の形成性や性能、採用したい製造方法などを考慮し、それに適した種類の(cl)成分を適宜選択する。(c1)成分を(c2)成分と併用する場合は、硬化後(特に光硬化後)の物性、例えば(b)成分との相溶性、硬化性樹脂組成物の基板上での皮膜形成性、基板
との接着性、塗布膜の現像性などが改善される。
なお、本発明において、「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸とメタクリル酸の双方を含むことを意昧し、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイル基なども同様の意味であり「(共)重合体」とは、単一重合体(ホモポリマー)と共重合体(コポリマー)の双方を含むことを意味する。また、本発明において「アクリル系樹脂」とは、(メタ)アクリル酸を含む(共)重合体、カルボキシル基を有する(メタ)アクリル酸エステルを含む(共)重合体を意味する。
一カプロラクトン、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトンなどのラクトン類を付加させた化合物類、アクリロニトリル、メタアクリロニトリルなどのアクリロニトリル類、(メタ)アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−メタクリロイルモルホリン、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリルアミドなどのアクリルアミド類、酢酸ビニル、バーサチック酸ビニル、プロピオン酸ビニル、桂皮酸ビニル、ピバリン酸ビニルなどの酸ビニル類などが挙げられる。
レン、ベンジル(メタ)アクリレート、ヒドロキシフェニル(メタ)アクリレート、メトキシフェニル(メタ)アクリレート、ヒドロキシフェニル(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシフェニル(メタ)アクリルスルホアミドなどのフェニル基を有する単量体が挙げられる。(c12)単量体群としては、(メタ)アクリル酸、または、コハク酸(2−(メタ)
アクリロイロキシエチル)エステル、アジピン酸(2−アクリロイロキシエチル)エステル、フタル酸(2−(メタ)アクリロイロキシエチル)エステル、ヘキサヒドロフタル酸(2−(メタ)アクリロイロキシエチル)エステル、マレイン酸(2−(メタ)アクリロイロキシエチル)エステルなどのカルボキシル基を有する(メタ)アクリル酸エステルなどが挙げられる。共重合体は、(c11)単量体群を10〜98モル%、好ましくは20〜8
0モル%、より好ましくは30〜70モル%とし、(c12)単量体群を2〜90モル%、好
ましくは20〜80モル%、より好ましくは30〜70モル%の割合とするのが好ましい。
ル基と(メタ)アクリロイル基とを併せ持つ化合物を反応させる方法、(2)アクリル系樹
脂が有ずる水酸基にアクリル酸クロライドなどを反応させる方法、などが挙げられる。
上記(c1)成分の割合は、本発明に係る硬化性樹脂組成物における固形分中、10〜80重量%の範囲で選ぶのが好ましく、中で、20〜70重量%が特に好ましい。(a)成分と(c1)成分との界面の親和性を改良する目的で、シランカップリング剤を配合することがで
きる。シランカップリング剤の割合は、固形分中の1〜10重量%の範囲で選ぶのが好ましい。
[1-4]単量体=(c2)成分
(c2)成分は、重合可能な低分子化合物であれば特に制限はないが、エチレン性二重結合を少なくとも1つ有する付加重合可能な化合物(以下、「エチレン性化合物」と略称する)が好ましい。エチレン性化合物とは、本発明に係る硬化性樹脂組成物が活性光線の照射を受けた場合、後記する(d)成分(光重合開始剤系)の作用により付加重合し、硬化する
ようなエチレン性二重結合を有する化合物である。なお、本発明において「単量体」とは、いわゆる高分子物質に相対する意味であり、狭義の単量体の外に、二量体、三量体、オリゴマーなども含む意味である。
不飽和カルボン酸と多価カルボン酸および多価ヒドロキシ化合物とのエステル化反応により得られるエステル類は、必ずしも単一物である必要はなく、混合物であってもよい。代表例としては、アクリル酸、フタル酸およびエチレングリコールの縮合物、アクリル酸、マレイン酸およびジエチレングリコールの縮合物、メタクリル酸、テレフタル酸およびペンタエリスリトールの縮合物、アクリル酸、アジピン酸、ブタンジオールおよびグリセリンの縮合物などが挙げられる。
、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートなど脂肪族ジイソシアネート類、シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどの脂環式ジイソシアネート類、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネートなどと、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、3−ヒドロキシ(1,1,1−トリアクリロイルオキシメチル)プロパン、3−ヒドロキシ(1,1,1−トリメタクリロイルオキシメチル)プロパンなどの(メタ)アクリロイル基含有ヒドロキシ化合物との反応物などが挙げられる。
上記(c2)成分の割合は、本発明に係る硬化性樹脂組成物における総固形分に占める割合は、10〜80重量%の範囲で選ぶのが好ましい。中でも、20〜70重量%の範囲が特に好ましい。
[1-5]光重合開始系=(d)成分
本発明に係る硬化性樹脂組成物が、(c2)成分のエチレン性化合物を含む場合には、光を直接吸収し、または光増感されて分解反応または水素引き抜き反応を起こし、重合活性ラジカルを発生する機能を有する(d)成分(光重合開始剤系)を、硬化性樹脂組成物に配合
する必要がある。なお、本発明において、(d)成分の光重合開始剤系とは、光重合開始剤
{以下、(d1)成分と略称する}に加速剤{以下、(d2)成分と略称する}、増感色素{以下、(d3)成分と略称する}などの付加剤が併用されている混合物を意味する。
合性層上よりパターンマスクを介して画像露光されるため、紫外光線〜可視光線に感度を発揮する化合物を意味し、画像露光に際しては、それに相当する露光光源を使用するのが好ましい。また、赤色、緑色、青色の各光重合性層においても、各色のパターンマスクを介した露光やその他の方法により、前記ブラックマトリクスパターン間に、赤色、緑色、青色の画素画像パターンを形成するため、ブラックマトリクスパターンの場合と同様、(d)成分としては、紫外光線〜可視光線に感度を発揮ずる化合物、中でも450nm以下、特
に400nm以下の波長に分光感度を発揮する化合物が好ましい。
開昭61−151197号公報などに記載されている、チタノセン化合物を含むメタロセン化合物や、特開平10−39503号公報に記載されているヘキサアリールビイミダゾール誘導体、ハロメチル−6−トリアジン誘導体、N−フェニルグリシン等のN−アリール−α−アミノ酸類、N−アリール−α−アミノ酸塩類、N−アリール−α−アミノ酸エステル類などのラジカル活性剤が挙げられる。
息香酸エチルエステルなどのN,N−ジアルキルアミノ安息香酸アルキルエステル、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾールなどの複素環を有するメルカプト化合物、および脂肪族多官能メルカプト化合物などが挙げられる。(d1)成分および(d2)成分は、それぞれ二種類以上の混合物であってもよい。
91年、3月1日号、vol.20、No.4)の第16〜26頁に記載されている、ジアルキ
ルアセトフェノン系、ベンゾイン、チオキサントン誘導体などの他、特開昭58−403023号公報、特公昭45−37377号公報などに記載されている、ヘキサアリールビイミダゾール系、S−トリハロメチルトリアジン系、特開平4−221958号公報、特
開平4−219756号公報などに記載されている、チタノセンとキサンテン色素、アミノ基またはウレタン基を有する付加重合可能なエチレン性飽和二重結合含有化合物を組合せた系、などが挙げられる。
があり、反対に著しく高いと未露光部分の現像液に対する溶解性が低下し、現像不良の原因となることがあるので、本発明に係る硬化性樹脂組成物における総固形分に占める割合は、0.1〜30重量%の範囲で選ぶのが好ましい。中でも0.5〜20重量%が好ましく、より好ましいのは0.7〜10重量%である。
じた(d3)成分(増感色素)を配合することができる。これら(d3)成分としては、特開平4−221958号公報、特開平4−219756号公報などに記載されているキサンテン色素、特開平3−239703号公報、特開5−289335号公報などに記載されている複素環を有するクマリン色素、特開平3−239703号公報、特開平5−289335号公報などに記載されている3−ケトクマリン化合物、特開平6−19240号公報に記載されているピロメテン色素、その他、特開昭47−2528号公報、特開昭54−155292号公報、特公昭45−37377号公報、特開昭48−84183号公報、特開昭52−112681号公報、特開昭58−15503号公報、特開昭60−88005号公報、特開昭59−56403号公報、特開平2−69号公報、特開昭57−168088号公報、特開平5−107761号公報、特開平5−210240号公報、特開平4−288818号公報などに記載されているジアルキルアミノベンゼン骨格を有する色素などを挙げることができる。
[1-6]その他の成分=(e)成分
本発明に係る硬化性樹脂組成物には、前記したとおり、必要に応じさらに、(e)成分[(a)成分ないし(d)成分以外の成分}を配合できるが、(e)成分としては、熱重合防止剤{以
下、(e1)成分と略称する}、可塑剤{以下、(e2)成分と略称する}、界面活性剤、分散剤
、分散助剤、保存安定剤、表面保護剤、平滑剤、塗布助剤、密着向上剤、塗布性向上剤、現像改良剤、シランカップリング剤などを添加することができる。(e1)成分としては、例えば、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ピロガロール、カテコール、2,6−t−ブチル−p−クレゾール、β−ナフトールなどが挙げられる。これら(e1)成分の配合量は、硬化性樹脂組成物中の総固形分に対し、0〜3重量%の範囲で選ぶのが好ましい。
[2]ダイコート用硬化性樹脂組成物(レジスト液)の調製
次に、本発明に係るダイコート用硬化性樹脂組成物を調製する方法を説明する。まず、(a)成分と(b)成分とを各所定量秤量し、分散処理工程において、(b)成分に(a)成分を分散させて液状の硬化性樹脂組成物(インク状を呈する組成物)とする。この分散処理工程では、ペイントコンディショナー、サンドグラインダー、ボールミル、ロールミル、ストーンミル、ジェットミル、ホモジナイザーなどを使用することができる。この分散処理により(a)成分が微粒子化されるため、硬化性樹脂組成物の塗布特性が向上し、透過光の透過
率が向上したカラーフィルタが得られる。
成分、分散剤}、およびサンドグラインダーの装置の大きさなどにより適正時間が異なるため、適宜調整する必要がある。
[3]カラーフィルタの製造方法[3-1]透明基板(支持体)
次に、本発明の第2の発明に係るカラーフィルタ、第3の発明に係る製造方法について説明する。カラーフィルタの透明基板としては、透明で適度の強度があれば、その材質は特に限定されるものではない。材質としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリスルホンの熱可塑性樹脂製シート、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂などの熱硬化性樹脂シート、または各種ガラスなどが挙げられる。この中でも、耐熱性の観点からガラス、耐熱性樹脂が好ましい。
[3-2]ブラックマトリクス
透明基板上に、ブラックマトリクスを設け、通常、赤色、緑色、青色の画素画像を形成することにより、本発明の第3の発明に係るカラーフィルタを製造することができる。上記硬化性樹脂組成物は、黒色、赤色、緑色、青色のうち少なくとも一種のレジスト形成用塗布液として使用される。ブラックレジストに関しては、透明基板上素ガラス面上、赤色、緑色、青色に関しては透明基板上に形成された樹脂ブラックマトリクス形成面上、または、クロム化合物その他の遮光金属材料を用いて形成した金属ブラックマトリクス形成面上に、塗布、加熱乾燥、画像露光、現像および熱硬化の各処理を行って各色の画素画像を形成する。
これらの金属遮光膜は、一般にスパッタリング法によって形成され、ポジ型フォトレジストにより、膜状に所望のパターンを形成した後、クロムに対しては硝酸第二セリウムアンモニウムと過塩素酸とを混合したエッチング液を用い、その他の材料に対しては、材料に応じたエッチング液を用いて蝕刻され、最後にポジ型フォトレジストを専用の剥離剤で剥離することによって、ブラックマトリクスを形成することができる。
[3-3]画素の形成
この場合、まず、蒸着またはスパッタリング法などにより、透明基板上にこれら金属または金属・金属酸化物の薄膜を形成する。次いで、この薄膜上に硬化性樹脂組成物の塗布膜を形成した後、ストライプ、モザイク、トライアングルなどの繰り返しパターンを有するフォトマスクを用いて、塗布膜を露光・現像し、レジスト画像を形成する。その後、この塗布膜にエッチング処理を施してブラックマトリックスを形成することができる。
塗布工程の雰囲気の相対湿度は、55%以上が好ましく、より好ましくは60%以上、更に好ましくは65%以上である。また雰囲気の相対湿度は、100%以下であり、好ましくは85%以下、より好ましくは80%以下、特に好ましくは75%以下に制御される。塗布基板上に結露すると、付着水分によってカラーフィルタ用組成物の変質が起こり、通常ピンホール欠陥の原因となる。この現象も、製品の歩留まり低下につながるため好ましくない。塗布時の温度は好ましくは18〜28℃であり、更に好ましくは20〜26℃である。
温・調湿装置内に装備し調温・調湿する方法、(2)スリットダイの先端部分近傍にのみを
調温・調湿装置を装備し調温・調湿する方法、などが挙げられる。中でも、上記(1)の方
法が好適である。
[3-4]塗布膜の乾燥
基板に硬化性樹脂組成物を塗布した後の塗布膜の乾燥は、ホットプレート、IRオーブン、コンベクションオーブンを使用した乾燥法によるのが好ましい。通常は、予備乾燥の後、再度加熱させて乾燥させる。予備乾燥の条件は、前記(b) 成分の種類、使用する乾燥機の性能などに応じて適宜選択することができる。乾燥時間は、(b)成分の種類、使用す
る乾燥機の性能などに応じて、通常は、40〜80℃の温度で15秒〜5分間の範囲で選ばれ、好ましくは50〜70℃の温度で30秒〜3分間の範囲で選ばれる。
像不良を生ずる場合がある。乾燥後のカラーフィルタ用硬化性樹脂組成物塗布膜の厚さは、0.5〜3μm、好ましくは1〜2μmの範囲である。なお、この塗布膜の乾燥工程では、温度を高めず、減圧チャンバー内で乾燥を行う、減圧乾燥法であってもよい。
[3-5]露光工程
画像露光は、硬化性樹脂組成物の塗布膜上に、ネガのマトリクスパターンを重ね、このマスクパターンを介し、紫外線または可視光線の光源を照射して行う。この際、必要に応じ、酸素による光重合性層の感度の低下を防ぐため、光重合性層上にポリビニルアルコール層などの酸素遮断層を形成した後に露光を行ってもよい。上記の画像露光に使用される光源は、特に限定されるものではない。光源としては、例えば、キセノンランプ、ハロゲンランプ、タングステンランプ、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、中
圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、蛍光ランプなどのランプ光源や、アルゴンイオンレーザー、YAGレーザー、エキシマレーザー、窒素レーザー、ヘリウムカドミニウムレーザー、半導体レーザーなどのレーザー光源などが挙げられる。特定の波長の光を照射使用する場合には、光学フィルタを利用することもできる。
[3-6]現像工程
本発明の第3の発明に係るカラーフィルタは、第1の発明または第2の発明に係る硬化性樹脂組成物による塗布膜を、上記の光源によって画像露光を行った後、有機溶剤、または、界面活性剤とアルカリ性化合物とを含む水溶液を用いる現像によって、基板上に画像を形成して調製することができる。この水溶液には、さらに有機溶剤、緩衝剤、錯化剤、染料または顔料を含ませることができる。
現像処理の条件は特に制限はなく、通常、現像温度は10〜50℃の範囲、中でも15〜45℃、特に好ましくは20〜40℃で、現像方法は、浸漬現像法、スプレー現像法、ブラシ現像法、超音波現像法などのいずれかの方法によることができる。
色インキとして用い、印刷機によって、透明基板上に直接画素画像を形成する方法や、(3)フタロシアニン系顔料を含む硬化性樹脂組成物を電着液として用い、基板をこの電着液
に浸漬させ所定パターンにされたITO電極上に、着色膜を析出させる方法などが挙げられる。さらに、(4)フタロシアニン系顔料を含む硬化性樹脂組成物を塗布したフィルムを
、透明基板に張り付けて剥離し、画像露光、現像し画素画像を形成する方法や、(5)フタ
ロシアニン系顔料を含む硬化性樹脂組成物を着色インキ用い、インクジェットプリンターにより画素画像を形成する方法、などが挙げられる。カラーフィルタの製造方法は、カラーフィルタ用硬化性樹脂組成物の組成に応じ、これに適した方法が採用される。
[3-7]熱硬化処理
現像の後のカラーフィルタには、熱硬化処理を施す。この際の熱硬化処理条件は、温度
は100〜280℃の範囲、好ましくは150〜250℃の範囲で選ばれ、時間は5〜60分間の範囲で選ばれる。これら一連の工程を経て、一色のパターニング画像形成は終了する。この工程を順次繰り返し、ブラック、赤色、緑色、青色をパターニングし、カラーフィルタを形成する。なお、4色のパターニングの順番は、上記した順番に限定されるものではない。
[3-8]透明電極の形成
本発明の第3発明に係るカラーフィルタは、このままの状態で画像上にITOなどの透明電極を形成して、カラーディスプレー、液晶表示装置などの部品の一部として使用されるが、表面平滑性や耐久性を高めるため、必要に応じ、画像上にポリアミド、ポリイミドなどのトップコート層を設けることもできる。また一部、平面配向型駆動方式(IPSモード)などの用途においては、透明電極を形成しないこともある。
[4]液晶表示装置(パネル)
次に、本発明の第4の発明に係る液晶表示装置(パネル)の製造法について説明する。第4の発明に係る液晶表示装置は、通常、上記、第3の発明に係るカラーフィルタ上に配向膜を形成し、この配向膜の上にスペーサーを散布した後、対向基板と貼り合わせて液晶セルを形成し、形成した液晶セルに液晶を注入し、電極に結線して完成する。配向膜は、ポリイミドなどの樹脂膜が好適である。配向膜の形成には、通常、グラビア印刷法および/またはフレキソ印刷法が採用され、配向膜の厚さは数10nmとされる。熱焼成によって配向膜の硬化処理を行った後、紫外線の照射やラビング布による処理によって表面処理し、液晶の傾きを調整し得る表面状態に加工される。
媒成分)の詳細は、表−2に示したとおりである。
(2) PGME:プロピレングリコールモノメチルエーテル (b.p.=121℃) {(b2)成分} (3) PGEE:プロピレングリコールモノエチルエーテル (b.p.=133℃) {(b2)成分}
(4) DEGEA:ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート (b.p.=217℃)
{(b3)成分}
(5) EEP:3−エトキシプロピオン酸エチル (b.p.=169℃) {(b3)成分}
液状の硬化性樹脂組成物を構成する各成分を、それぞれ表−3に記載した量を秤量し、さらに全量に対して3.6重量倍のジルコニアビーズ(直径0.5mm)を、ペイントシェーカーに収納し、7時間分散処理を行ってインク状を呈する硬化性樹脂組成物を調製した。
縦370mm、横470mm、厚さ0.7mmのガラス基板(旭硝子社製、AN635)に、インク状を呈する黒色の硬化性樹脂組成物をダイコータで塗布した。なお、ダイコータは、幅手360mmのステンレス製ダイコータを使用し、リップ間隔を200μm、ガラス基板面とのギャップは100μmとした。塗布に際しては、乾燥膜厚で0.7μmとなるようにインク状を呈する塗布液の吐出量を調整した。その後、60℃で1分間乾燥した後、110℃で2分間加熱乾燥した。その後、硬化性樹脂組成物の塗布膜上に、乾燥後の膜厚が1.5μmになるように、ポリビニルアルコール水溶液を塗布した後に乾燥して、酸素遮断層を形成した。
露光処理を行った。その後、現像処理を、0.1重量%炭酸ナトリウム水溶液を使用し、現像液温度23℃で現像を行った。ついで、3kg/cm2の水圧で30秒間スプレー水洗処
理を行い、ブラックマトリクスを形成した。
その後、温度200℃で、7分間の熱硬化処理を行った。
、各色パターンを順次に形成し、カラーフィルタを得た。この際、乾燥膜厚が1.3μmとなるように、塗布液の液吐出量を調整した。露光量は、各色共500mJ/cm2、現像処
理は、0.1重量%炭酸ナトリウム水溶液を使用し、現像液温度25℃で現像を行った。現像後、10kg/cm2の水圧で30秒間スプレー水洗処理を行った。各色の最後に200
℃、15分間の熱硬化処理を実施した。なお、現像機は上記のブラックマトリクス形成に用いたものと同じものを使用した。このようにして、実施例1〜実施例3、比較例1〜比較例3の組成を有する硬化性樹脂組成物を用いて、100枚ずつの樹脂ブラックマトリクス付きカラーフィルタを作製した。
得られたカラーフィルタにつき、異物欠陥発生の有無を測定し、その異物欠陥発生率を表−5に示した。表−5において、黒色、赤色、緑色、青色は各色のインク状を呈する硬化性樹脂組成物(レジスト)を意味する。なお、異物欠陥とは、[(長径)2+(短径)2]の平方根が60μm以上のものを異物と定義し、各色レジストの凝集に起因する異物欠陥が認められたカラーフィルタの枚数を、全製造枚数(100枚)で割った値を異物欠陥発生率と定義した。
(1)本発明に係るダイコート用硬化性樹脂組成物を塗布して製造したカラーフィルタは、
異物欠陥発生率が少ない(実施例1〜実施例3参照)。
(2)これに対して、(b)成分が請求項1の要件を満たさないダイコート用硬化性樹脂組成物を塗布して製造したカラーフィルタは、異物欠陥発生率が高い(比較例1〜比較例3参照)。
1.本発明に係るダイコート用硬化性樹脂組成物は、色材が高濃度であっても、基板表面に塗布する工程で、乾燥凝集し難く、異物の発生が少ない。
2.本発明に係るダイコート用硬化性樹脂組成物を基板表面に塗布する際に、ダイコート法によるとダイリップに凝集塊が生じ難く、高品質の製品を高歩留りで得ることができる。
3.本発明に係るカラーフィルタの製造方法によるときは、画素欠陥の少ない高品質の製品を、高歩留りで得ることができる。
4.本発明に係るカラーフィルタは、高品質であるので、これを使用したカラーディスプレー、液晶表示装置なども高品質のものが得られる。
Claims (6)
- 色材[(a)成分]、溶剤成分[(b)成分]、バインダ樹脂[(c1)成分]および/またはその単量体[(c2)成分]を含有する硬化性樹脂組成物であって、
色材[(a)成分]が顔料であり、
溶剤成分[(b)成分]が、溶剤成分[(b1)成分]、溶剤成分[(b2)成分]および溶剤成分[(b3)成分]の混合物であり、
溶剤成分[(b1)成分]がプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートであり、
溶剤成分[(b2)成分]が沸点(圧力1013.25[hPa]条件下での沸点)50℃以上13
3℃以下のアルコール類および/またはジケトン類、
溶剤成分[(b3)成分]が沸点150℃以上の溶剤であり、
かつ、次の(1)ないし(3)の関係を満たすことを特徴とする、ダイコート用硬化性樹脂組成物。
(1)溶剤成分[(b1)成分]の沸点が、溶剤成分[(b2)成分]の沸点より高い。
(2)溶剤成分[(b1)成分]の含有量が、溶剤成分[(b2)成分]の含有量より大である。
(3)硬化性樹脂組成物のSP(溶解度パラメータ)値をδR、溶剤成分[(b1)成分]のSP
値をδ(b1)、溶剤成分[(b2)成分]のSP値をδ(b2)とするとき、δR、δ(b1)およびδ(b2)が、次式すなわち、|δR−δ(b1)|>|δR−δ(b2)|、を満たす。
(ただし、δRを計算する際には、下記(イ)、(ロ)および(ハ)のSP値および重量%は0として計算する。
(イ)色材[(a)成分]
(ロ)溶剤成分[(b)成分]
(ハ)色材[(a)成分]および溶媒成分[(b)成分]を除いた硬化性樹脂組成物中、含有率が5重量%以下の成分。) - 溶剤成分[(b)成分]が、溶剤成分[(b1)成分]を30〜90重量%、溶剤成分[(b2)成分] を10〜40重量%、および溶剤成分[(b3)成分]を1〜60重量%含有することを特徴とする、請求項1に記載のダイコート用硬化性樹脂組成物。
- アルコール類が、グリコールモノエーテル類であることを特徴とする、請求項1または2に記載のダイコート用硬化性樹脂組成物。
- 光重合開始剤系[(d)成分]を含有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記
載のダイコート用硬化性樹脂組成物。 - ダイコート用硬化性樹脂組成物が、カラーフィルタ用硬化性樹脂組成物であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載のダイコート用硬化性樹脂組成物。
- カラーフィルタ基板上に、請求項5に記載のカラーフィルタ用硬化性樹脂組成物を塗布する工程、これを露光する工程、および露光後にこれを現像する工程を経て画素を形成するカラーフィルタの製造方法において、カラーフィルタ基板上への塗布をダイコート法によって行うこと、を特徴とするカラーフィルタの製造方法。
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