JP5122168B2 - 着色感光性樹脂組成物、カラーフィルター、及び液晶表示ディスプレイ - Google Patents

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Description

本発明は、着色感光性樹脂組成物、カラーフィルター、及び液晶表示ディスプレイに関する。
液晶表示ディスプレイ等の表示体は、互いに対向して対となる電極が形成された2枚の基板の間に、液晶層を挟みこむ構造となっている。そして、一方の基板の内側には、赤色(R)、緑色(G)、及び青色(B)等の各色の画素領域からなるカラーフィルターが形成されている。このカラーフィルターにおいては、通常、赤色、緑色、及び青色の各画素領域を区画するように、ブラックマトリックスが形成されている。
一般に、カラーフィルターはリソグラフィ法により製造される。即ち、まず、基板上に黒色の着色感光性樹脂組成物を塗布・乾燥させた後、露光・現像し、ブラックマトリックスを形成する。次いで、赤色、緑色、及び青色の各色の着色感光性樹脂組成物毎に、塗布、乾燥、露光、及び現像を繰り返し、各色の画素領域を所定の位置に形成してカラーフィルターを製造する。
近年では、基板上に着色感光性樹脂組成物を塗布し、真空乾燥装置(VCD)等を用いて減圧乾燥させるようになっている。この減圧乾燥の際、着色感光性樹脂組成物に含まれる溶剤が突沸し、表面荒れが生じるという問題があった。
例えば、特許文献1には、突沸を防止するために、ジプロピレングリコールジメチルエーテルを含む着色層形成用感放射線性組成物が開示されている。
特開2006−349981号公報
しかしながら、着色層形成用感放射線性組成物にジプロピレングリコールジメチルエーテルを用いた場合、該着色層形成用感放射線性組成物から得られた塗膜には、真空乾燥装置(VCD)等を用いた減圧乾燥により、表面荒れや乾燥ムラが生じるという問題がある。更に、特に面積の大きな基板を用いる場合には、塗膜の乾燥ムラが顕著である。
本発明は、以上の課題に鑑みてなされたものであり、着色感光性樹脂組成物の塗布後の減圧乾燥時に表面荒れや乾燥ムラを防止することができる着色感光性樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、(A)光重合性化合物、(B)光重合開始剤、(C)着色剤、及び(S)溶剤を含有する着色感光性樹脂組成物であって、前記(S)溶剤が、所定の重量変化率、及び所定の沸点を有する、少なくとも1種の(R)難揮発性溶剤を含有する着色感光性樹脂組成物を用いたとき、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
具体的には、本発明は以下のものを提供する。
本発明の第一の態様は、(A)光重合性化合物、(B)光重合開始剤、(C)着色剤、及び(S)溶剤を含有する着色感光性樹脂組成物であって、前記(S)溶剤は、100℃における重量変化率が10TG%以下であり、大気圧下における沸点が200℃以上250℃以下である少なくとも1種の(R)難揮発性溶剤を含有する着色感光性樹脂組成物である。
また、本発明の第二の態様は、本発明の着色感光性樹脂組成物を用いて形成されるカラーフィルターである。
更に、本発明の第三の態様は、本発明のカラーフィルターを有する液晶表示ディスプレイである。
本発明によれば、(S)溶剤が(R)難揮発性溶剤を含むので、着色感光性樹脂組成物から形成される塗膜の、減圧乾燥後における表面荒れや乾燥ムラを防止できる。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではない。
<着色感光性樹脂組成物>
本発明の着色感光性樹脂組成物は、(A)光重合性化合物、(B)光重合開始剤、(C)着色剤、及び(S)溶剤を含有する。
[(A)光重合性化合物]
光重合性化合物としては、エチレン性不飽和基を有する樹脂又はモノマーを含むものである。また、光重合性化合物としては、エチレン性不飽和基を有する樹脂及びモノマーを組み合わせることがより好ましい。エチレン性不飽和基を有する樹脂と、エチレン性不飽和基を有するモノマーとを組み合わせることにより、硬化性を向上させ、パターン形状を容易にすることができる。なお、本明細書では、エチレン性不飽和基を有する化合物のうち、質量平均分子量が1000以上のものを「エチレン性不飽和基を有する樹脂」と称し、質量平均分子量が1000未満のものを「エチレン性不飽和基を有するモノマー」と称することとする。
(エチレン性不飽和基を有する樹脂)
エチレン性不飽和基を有する樹脂としては、(メタ)アクリル酸、フマル酸、マレイン酸、フマル酸モノメチル、フマル酸モノエチル、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、及びカルドエポキシジアクリレート等が重合したオリゴマー類;多価アルコール類と一塩基酸又は多塩基酸とが縮合して得られるポリエステルプレポリマーに(メタ)アクリル酸を反応させて得られるポリエステル(メタ)アクリレート、及びポリオールと2個のイソシアネート基を持つ化合物とを反応させた後、(メタ)アクリル酸を反応させて得られるポリウレタン(メタ)アクリレート;並びに、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノール又はクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、レゾール型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、ポリカルボン酸ポリグリシジルエステル、ポリオールポリグリシジルエステル、脂肪族又は脂環式エポキシ樹脂、アミンエポキシ樹脂、及びジヒドロキシベンゼン型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸とを反応させて得られるエポキシ(メタ)アクリレート樹脂等が挙げられる。更に、エポキシ(メタ)アクリレート樹脂に多塩基酸無水物を反応させた樹脂を用いることができる。
また、エチレン性不飽和基を有する樹脂としては、エポキシ化合物(a1)と、エチレン性不飽和基含有カルボン酸化合物(a2)との反応物を、更に多塩基酸無水物(a3)と反応させることにより得られる樹脂を好ましく用いることができる。
(エポキシ化合物(a1))
エポキシ化合物(a1)としては、グリシジルエーテル型、グリシジルエステル型、グリシジルアミン型、脂環型、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールS型、ビフェニル型、ナフタレン型、フルオレン型、フェノールノボラック型、及びオルソクレゾール型エポキシ樹脂等が挙げられる。
(エチレン性不飽和基含有カルボン酸化合物(a2))
エチレン性不飽和基含有カルボン酸化合物(a2)としては、分子中にアクリル基やメタクリル基等の反応性のエチレン性二重結合を含有するモノカルボン酸化合物が好ましい。このようなエチレン性不飽和基含有カルボン酸化合物としては、アクリル酸、メタクリル酸、β−スチリルアクリル酸、β−フルフリルアクリル酸、α−シアノ桂皮酸、及び桂皮酸等が挙げられる。このエチレン性不飽和基含有カルボン酸化合物(a2)は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
エポキシ化合物(a1)とエチレン性不飽和基含有カルボン酸化合物(a2)とを反応させる方法としては、公知の方法を用いることができる。例えば、エポキシ化合物(a1)とエチレン性不飽和基含有カルボン酸化合物(a2)とを、トリエチルアミン、及びベンジルエチルアミン等の3級アミン、ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムクロライド、及びベンジルトリエチルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩、ピリジン、及びトリフェニルホスフィン等を触媒として、有機溶剤中、反応温度50℃以上150℃以下で数時間〜数十時間反応させる方法が挙げられる。
エポキシ化合物(a1)とエチレン性不飽和基含有カルボン酸化合物(a2)との反応における使用量比は、エポキシ化合物(a1)のエポキシ当量とエチレン性不飽和基含有カルボン酸化合物(a2)のカルボン酸当量との比で、通常1:0.5〜1:2、好ましくは1:0.8〜1:1.25、より好ましくは1:1である。上記の範囲とすることにより、架橋効率が向上する傾向がある。
(多塩基酸無水物(a3))
多塩基酸無水物(a3)としては、例えば、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3−メチルヘキサヒドロフタル酸無水物、4−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、3−エチルヘキサヒドロ無水フタル酸、4−エチルヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、3−メチルテトラヒドロ無水フタル酸、4−メチルテトラヒドロ無水フタル酸、3−エチルテトラヒドロ無水フタル酸、及び4−エチルテトラヒドロ無水フタル酸が挙げられる。これらの多塩基酸無水物は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
エポキシ化合物(a1)とエチレン性不飽和基含有カルボン酸化合物(a2)とを反応させた後、更に多塩基酸無水物(a3)を反応させる方法としては、公知の方法を用いることができる。また、使用量比は、エポキシ化合物(a1)とエチレン性不飽和基含有カルボン酸化合物(a2)との反応物中のOH基のモル数と、多塩基酸無水物(a3)の酸無水物基の当量比で、通常1:1〜1:0.1であり、好ましくは1:0.8〜1:0.2である。上記の範囲とすることにより、現像液への溶解性が適度となる傾向がある。
エポキシ化合物(a1)と、エチレン性不飽和基含有カルボン酸化合物(a2)との反応物を、更に多塩基酸無水物(a3)と反応させることにより得られる樹脂の酸価は、樹脂固形分で、10mgKOH/g以上150mgKOH/g以下であることが好ましく、70mgKOH/g以上110mgKOH/g以下であることがより好ましい。樹脂の酸価を10mgKOH/g以上にすることにより現像液に対する充分な溶解性が得られ、また150mgKOH/g以下にすることにより充分な硬化性を得ることができ、表面性を良好にすることができる。
また、樹脂の質量平均分子量(Mw)は、1000以上40000以下であることが好ましく、より好ましくは2000以上30000以下である。質量平均分子量を1000以上にすることにより耐熱性、膜強度を向上させることができ、また40000以下にすることにより現像液に対する十分な溶解性を得ることができる。
また、エチレン性不飽和基を有する樹脂としては、分子内にカルド構造を有する樹脂を好ましく用いることができる。カルド構造を有する樹脂は耐熱性や耐薬品性が高いため、光重合性化合物に用いることによって着色感光性樹脂組成物の耐熱性及び耐薬品性を向上させることができる。例えば、下記式(1)で表される樹脂を好ましく用いることができる。
Figure 0005122168
式(1)中、nは1〜20の整数であり、Xは、下記式(2)で示される基である。
Figure 0005122168
また、式(1)中、Yは無水マレイン酸、無水コハク酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水メチルエンドメチレンテトラヒドロフタル酸、無水クロレンド酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、及び無水グルタル酸等のジカルボン酸無水物からカルボン酸無水物基(−CO−O−CO−)を除いた残基である。
また、式(1)中、Zは無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、及びビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物等のテトラカルボン酸二無水物から2個のカルボン酸無水物基を除いた残基である。
(エチレン性不飽和基を有するモノマー)
エチレン性不飽和基を有するモノマーには、単官能モノマーと多官能モノマーとがある。
単官能モノマーとしては、(メタ)アクリルアミド、メチロール(メタ)アクリルアミド、メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、エトキシメチル(メタ)アクリルアミド、プロポキシメチル(メタ)アクリルアミド、ブトキシメトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、クロトン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、tert−ブチルアクリルアミドスルホン酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピルフタレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノ(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、及びフタル酸誘導体のハーフ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの単官能モノマーは、単独で用いてもよく、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
一方、多官能モノマーとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、フタル酸ジグリシジルエステルジ(メタ)アクリレート、グリセリントリアクリレート、グリセリンポリグリシジルエーテルポリ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート(即ち、トリレンジイソシアネート)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートとヘキサメチレンジイソシアネート等と2−ビドロキシエチル(メタ)アクリレートとの反応物、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアミドメチレンエーテル、多価アルコールとN−メチロール(メタ)アクリルアミドとの縮合物、及びトリアクリルホルマール等が挙げられる。これらの多官能モノマーは、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
このエチレン性不飽和基を有するモノマーの含有量は、着色感光性樹脂組成物の固形分に対して5質量%以上50質量%以下であることが好ましく、より好ましくは10質量%以上40質量%以下の範囲である。上記の範囲とすることにより、感度、現像性、及び解像性のバランスがとり易い傾向がある。なお、固形分とは、溶剤以外の成分の総和のことをいう。
光重合性化合物の含有量は、着色感光性樹脂組成物の固形分に対して5質量%以上50質量%以下であることが好ましく、10質量%以上40質量%以下であることがより好ましい。上記の範囲とすることにより、感度、現像性、及び解像性のバランスがとり易い傾向がある。
[(B)光重合開始剤]
光重合開始剤としては、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、ビス(4−ジメチルアミノフェニル)ケトン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、エタノン−1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾル−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、4−ベンゾイル−4’−メチルジメチルスルフィド、4−ジメチルアミノ安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸ブチル、4−ジメチルアミノ−2−エチルヘキシル安息香酸、4−ジメチルアミノ−2−イソアミル安息香酸、ベンジル−β−メトキシエチルアセタール、ベンジルジメチルケタール、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(O−エトキシカルボニル)オキシム、O−ベンゾイル安息香酸メチル、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、チオキサンテン、2−クロロチオキサンテン、2,4−ジエチルチオキサンテン、2−メチルチオキサンテン、2−イソプロピルチオキサンテン、2−エチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、2,3−ジフェニルアントラキノン、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキシド、クメンパーオキシド、2−メルカプトベンゾイミダール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−(O−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メトキシフェニル)−イミダゾリル二量体、ベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、p,p’−ビスジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、3,3−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、アセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、p−ジメチルアミノプロピオフェノン、ジクロロアセトフェノン、トリクロロアセトフェノン、p−tert−ブチルアセトフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−tert−ブチルトリクロロアセトフェノン、p−tert−ブチルジクロロアセトフェノン、α,α−ジクロロ−4−フェノキシアセトフェノン、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ジベンゾスベロン、ペンチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、9−フェニルアクリジン、1,7−ビス−(9−アクリジニル)ヘプタン、1,5−ビス−(9−アクリジニル)ペンタン、1,3−ビス−(9−アクリジニル)プロパン、p−メトキシトリアジン、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(5−メチルフラン−2−イル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(フラン−2−イル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−エトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−n−ブトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(3−ブロモ−4−メトキシ)フェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(2−ブロモ−4−メトキシ)フェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(3−ブロモ−4−メトキシ)スチリルフェニル−s−トリアジン、及び2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(2−ブロモ−4−メトキシ)スチリルフェニル−s−トリアジン等が挙げられる。これらの中でも、オキシム系の光重合開始剤を用いることが、感度の面で特に好ましい。これらの光重合開始剤は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
光重合開始剤の含有量は、着色感光性樹脂組成物の固形分に対して0.5質量%以上30質量%以下であることが好ましく、1質量%以上20質量%以下であることがより好ましい。上記の範囲とすることにより、十分な耐熱性、及び耐薬品性を得ることができ、また塗膜形成能を向上させ、光硬化不良を抑制することができる。
[(C)着色剤]
着色剤としては、特に限定されるものではないが、従来公知の顔料、又は染料を使用することができる。例えば、本発明の着色感光性樹脂組成物を用いて、ブラックマトリックスやブラックストライプを形成する場合には、カーボンブラック、チタンブラック、酸化クロム、酸化鉄、アニリンブラック、ペリレン系顔料、及びC.I.ソルベントブラック123等を用いることができる。また、エポキシ樹脂等で被覆されたカーボンブラック;チタン、マンガン、鉄、銅、及びコバルト等の複合酸化物等の無機系ブラック顔料;以下に示す有機顔料の組み合わせ;並びに、有機顔料と上述の黒色顔料との組み合わせも、適宜、採用することができる。
なお、着色感光性樹脂組成物においては、黒色顔料分散液を用いて黒色顔料を分散させることもでき、無機系ブラック顔料分散液である、御国色素社製の「カーボン分散液CFブラック(カーボン濃度20%含有)」、御国色素社製の「カーボン分散液CFブラック(高抵抗カーボン24%含有)」、及び御国色素社製の「チタンブラック分散液CFブラック(黒チタン顔料20%含有)」等を用いることができる。また、有機系顔料分散液として、例えば御国色素社製の「バイオレット分散液(バイオレット顔料10%含有)」、及び御国色素社製の「ブルー顔料分散液CFブルー(ブルー顔料20%含有)」を用いてもよい。
また、赤色、緑色、青色、シアン、マゼンダ、及び黄色等の有彩色の場合、例えば、特開昭60−237403号公報、及び特開平4−310901号公報に記載の顔料、又は染料を挙げることができる。
具体的には、カラーインデックス・ナンバー(C.I.No.)で、
黄色顔料:C.I.20、24、83、86、93、109、110、117、125、129、137、138、139、147、148、150、153、154、166、168、180、185、195
橙色顔料:C.I.36、43、51、55、59、61
赤色顔料:C.I.9、97、122、123、149、168、177、180、192、215、216、217、220、223、224、226、227、228、240、254
紫色顔料:C.I.19、23、29、30、37、40、50
青色顔料:C.I.15、15:3、15:6、22、60、64
緑色顔料:C.I.7、36
茶色顔料:C.I.23、25、26
として表されているものが透明性が高く、しかも耐熱性、耐候性、及び耐薬品性に優れているため、好適に用いることができる。
また染料としては、具体的にはC.I.No.で、
黄色染料:C.I.ダイレクトイエロー1、C.I.ダイレクトイエロー11、C.I.ダイレクトイエロー12、C.I.ダイレクトイエロー28、C.I.アシッドイエロー1、C.I.アシッドイエロー3、C.I.アシッドイエロー11、C.I.アシッドイエロー17、C.I.アシッドイエロー23、C.I.アシッドイエロー38、C.I.アシッドイエロー40、C.I.アシッドイエロー42、C.I.アシッドイエロー76、C.I.アシッドイエロー98、C.I.ベイシックイエロー1、C.I.ディスパースイエロー3、C.I.ディスパースイエロー4、C.I.ディスパースイエロー7、C.I.ディスパースイエロー31、C.I.ディスパースイエロー61、C.I.ソルベントイエロー2、C.I.ソルベントイエロー14、C.I.ソルベントイエロー15、C.I.ソルベントイエロー16、C.I.ソルベントイエロー21、C.I.ソルベントイエロー33、C.I.ソルベントイエロー56
橙色染料:C.I.アシッドオレンジ1、C.I.アシッドオレンジ7、C.I.アシッドオレンジ8、C.I.アシッドオレンジ10、C.I.アシッドオレンジ20、C.I.アシッドオレンジ24、C.I.アシッドオレンジ28、C.I.アシッドオレンジ33、C.I.アシッドオレンジ56、C.I.アシッドオレンジ74、C.I.ダイレクトオレンジ1、C.I.ディスパースオレンジ5、C.I.ソルベントオレンジ1、C.I.ソルベントオレンジ2、C.I.ソルベントオレンジ5、C.I.ソルベントオレンジ6、C.I.ソルベントオレンジ45
赤色染料:C.I.ダイレクトレッド20、C.I.ダイレクトレッド37、C.I.ダイレクトレッド39、C.I.ダイレクトレッド44、C.I.アシッドレッド6、C.I.アシッドレッド8、C.I.アシッドレッド9、C.I.アシッドレッド13、C.I.アシッドレッド14、C.I.アシッドレッド18、C.I.アシッドレッド26、C.I.アシッドレッド27、C.I.アシッドレッド51、C.I.アシッドレッド52、C.I.アシッドレッド87、C.I.アシッドレッド88、C.I.アシッドレッド89、C.I.アシッドレッド92、C.I.アシッドレッド94、C.I.アシッドレッド97、C.I.アシッドレッド111、C.I.アシッドレッド114、C.I.アシッドレッド115、C.I.アシッドレッド134、C.I.アシッドレッド145、C.I.アシッドレッド154、C.I.アシッドレッド180、C.I.アシッドレッド183、C.I.アシッドレッド184、C.I.アシッドレッド186、C.I.アシッドレッド198、C.I.ベイシックレッド12、C.I.ベイシックレッド13、C.I.ディスパースレッド5、C.I.ディスパースレッド7、C.I.ディスパースレッド13、C.I.ディスパースレッド17、C.I.ディスパースレッド58、C.I.ソルベントレッド1、C.I.ソルベントレッド3、C.I.ソルベントレッド8、C.I.ソルベントレッド23、C.I.ソルベントレッド24、C.I.ソルベントレッド25、C.I.ソルベントレッド27、C.I.ソルベントレッド30、C.I.ソルベントレッド49、C.I.ソルベントレッド100
紫色染料:C.I.ダイレクトバイオレット22、C.I.アシッドバイオレット49、C.I.ベイシックバイオレット2、C.I.ベイシックバイオレット7、C.I.ベイシックバイオレット10、C.I.ディスパーバイオレット24
青色染料:C.I.ダイレクトブルー25、C.I.ダイレクトブルー86、C.I.ダイレクトブルー90、C.I.ダイレクトブルー108、C.I.アシッドブルー1、C.I.アシッドブルー7、C.I.アシッドブルー9、C.I.アシッドブルー15、C.I.アシッドブルー103、C.I.アシッドブルー104、C.I.アシッドブルー158、C.I.アシッドブルー161、C.I.ベイシックブルー1、C.I.ベイシックブルー3、C.I.ベイシックブルー9、C.I.ベイシックブルー25
緑色染料:C.I.アシッドグリーン3、C.I.アシッドグリーン9、C.I.アシッドグリーン16、C.I.ベイシックグリーン1、C.I.ベイシックグリーン4
茶色染料:C.I.ダイレクトブラウン6、C.I.ダイレクトブラウン58、C.I.ダイレクトブラウン95、C.I.ダイレクトブラウン101、C.I.ダイレクトブラウン173、C.I.アシッドブラウン14
等が好適に用いられる。
上記顔料及び/又は染料は、着色感光性樹脂組成物の固形分に対し、1質量%以上70質量%以下の範囲で含有することが好ましく、20質量%以上60質量%以下の範囲で含有することがより好ましい。1質量%未満ではカラーフィルターとして機能するのが難しく、一方、70質量%を超えると、感度が低下し、硬化後の塗膜の耐熱性、及び耐薬品性が低下する可能性がある。
[(S)溶剤]
本発明における(S)溶剤は、少なくとも1種の(R)難揮発性溶剤を含有する。
((R)難揮発性溶剤)
(R)難揮発性溶剤は、100℃における重量変化率が10TG%以下であり、大気圧下における沸点が200℃以上250℃以下の溶剤である。この難揮発性溶剤を含有することにより、本発明の着色感光性樹脂組成物から形成される塗膜における、減圧乾燥後の表面荒れや、乾燥ムラを防止できる。また、上記難揮発性溶剤は、沸点が250℃以下であることにより、着色感光性樹脂組成物のパターン形成後のポストベークにおいて容易に除去される。つまり、本発明の着色感光性樹脂組成物から形成されるカラーフィルターにおける溶剤の残留を防止できる。上記沸点が220℃以上240℃以下である場合、上記効果に優れるという点で好ましい。また、この難揮発性溶剤は、20℃における上記飽和蒸気圧が、2mmHg以下であることが好ましい。
また、減圧乾燥後における上記表面荒れや乾燥ムラをより一層防止するという点で、難揮発性溶剤の100℃における重量変化率が、1TG%以上9TG%以下であることがより好ましく、4TG%以上8TG%以下であることが更に好ましい。
ここで、「100℃における重量変化率」とは、単位時間当たりの溶剤の重量変化を指す。本明細書では、100℃に保温した熱天秤に溶剤を添加し、大気中において、溶剤の重量の変化量を求めることにより、測定されたものである。
難揮発性溶剤の含有量は、溶剤の全量に対し、0.1質量%以上であることが好ましい。難揮発性溶剤の含有量が0.1質量%以上であることにより、着色感光性樹脂組成物から形成される塗膜における、表面荒れ及び乾燥ムラをより抑えることができる。また、難揮発性溶剤の含有量は、溶剤の全量に対して10質量%以下であることが好ましい。難揮発性溶剤の含有量が10質量%以下であることにより、着色感光性樹脂組成物の塗布性や膜形成能を良好に保つことができると共に、難揮発性溶剤のポストベーク時の除去を容易にし、形成されるカラーフィルターに溶剤が残留することを防止できる。上記含有量は、1質量%以上8質量%以下であることがより好ましく、3質量%以上7質量%以下であることが更に好ましい。
難揮発性溶剤としては、具体的には、ガンマブチロラクトン(GBL)、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート(DPMA)、1,3−ブチレングリコールジアセテート(1,3−BGA)、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(EDGAC)、又はジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(BDGAC)を挙げることができる。これらの中でも、1,3−ブチレングリコールジアセテートが好ましい。なお、ガンマブチロラクトンの沸点は204℃、100℃における重量変化率は9.1TG%である。他の溶剤に関しては表1に示す。
難揮発性溶剤は、更に、溶解パラメーターが9(cal/cm1/2以上であることが好ましい。溶解パラメーターが9(cal/cm1/2以上であることにより、難揮発性溶剤と着色感光性樹脂組成物における着色剤以外の固形成分との相溶性が向上し、着色感光性樹脂組成物から形成される塗膜の減圧乾燥後における凝集物の発生を防止することができる。これは、着色感光性樹脂組成物から形成される塗膜において、難揮発性溶剤が減圧乾燥の末期まで残留して着色剤の分散性が良好に保たれるため、塗膜中での着色剤の凝集が抑制されるためであると考えられる。また、難揮発性溶剤は溶解パラメーターが11(cal/cm1/2以下であることが好ましい。溶解パラメーターが11(cal/cm1/2以下であることにより、難揮発性溶剤と着色感光性樹脂組成物における着色剤以外の固形成分との相溶性の低下を防止することができ、凝集物の発生をより抑制することができる。
溶剤は、上記難揮発性溶剤以外の溶剤(その他の溶剤)を含有していてもよい。その他の溶剤としては、特に限定されるものではなく、着色感光性樹脂組成物に通常用いられる溶剤を用いることができる。その他の溶剤として、具体的には、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、及びトリプロピレングリコールモノエチルエーテル等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、及びプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、及びテトラヒドロフラン等の他のエーテル類;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、及び3−ヘプタノン等のケトン類;2−ヒドロキシプロピオン酸メチル、及び2−ヒドロキシプロピオン酸エチル等の乳酸アルキルエステル類;2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチル、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸i−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、蟻酸n−ペンチル、酢酸i−ペンチル、プロピオン酸n−ブチル、酪酸エチル、酪酸n−プロピル、酪酸i−プロピル、酪酸n−ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸n−プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、及び2−オキソブタン酸エチル等の他のエステル類;トルエン、及びキシレン等の芳香族炭化水素類;並びにN−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、及びN,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類等が挙げられる。これらの中でも、3−メトキシブチルアセテートは光重合性化合物、光重合開始剤に対して優れた溶解性を示すと共に、着色剤等の不溶性成分の分散性を良好にするところから好適である。また、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、及びシクロヘキサノンも好ましい。その他の溶剤は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、本発明の着色感光性樹脂組成物における溶剤は、固形分の濃度が1質量%以上50質量%以下となる量であることが好ましく、5質量%以上30質量%以下となる量であることがより好ましい。溶剤の量が上記範囲内にあることにより、着色感光性樹脂組成物における膜形成能や塗布性を良好に保つことができる。
[その他の成分]
本発明の着色感光性樹脂組成物には、必要に応じて添加剤を含有させることができる。添加剤としては、熱重合禁止剤、消泡剤、界面活性剤、増感剤、硬化促進剤、光架橋剤、光増感剤、分散剤、分散助剤、充填剤、密着促進剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、及び凝集防止剤等を挙げることができる。分散剤としては、ウレタン樹脂系分散剤等の高分子分散剤が好ましく用いられる。
[着色感光性樹脂組成物の調製方法]
本発明の着色感光性樹脂組成物は、上記各成分を全て撹拌機で混合することにより得られる。なお、得られた混合物が均一なものとなるようフィルターを用いて濾過してもよい。
<カラーフィルター>
カラーフィルターは、本発明の着色感光性樹脂組成物を用いて形成される。即ち、ガラス、ポリエチレンテレフタレート、アクリル樹脂、及びポリカーボネート等からなる基板に、黒色の着色剤が分散された着色感光性樹脂組成物をロールコータ、リバースコーター、及びバーコーター等の接触転写型塗布装置やスピンナー(回転式塗布装置)、スリットコーター、及びカーテンフローコーター等の非接触型塗布装置を用いて基板上に塗布する。
次いで、塗布された着色感光性樹脂組成物を乾燥させて塗膜を形成する。乾燥方法は特に限定されないが、例えば、真空乾燥装置を用いて室温にて減圧乾燥し、その後、ホットプレートにて80℃以上120℃以下、好ましくは90℃以上100℃以下の温度にて60秒間以上120秒間以下乾燥する方法を挙げることができる。
次いで、この塗膜に、ネガ型のマスクを介して紫外線、エキシマレーザー光等の活性エネルギー線を照射して部分的に露光する。照射するエネルギー線量は、着色感光性樹脂組成物の組成によっても異なるが、例えば30mJ/cm以上2000mJ/cm以下であることが好ましい。
次いで、露光後の塗膜を、現像液により現像することによって所望の形状にパターニングする。現像方法は特に限定されず、例えば浸漬法、スプレー法等を用いることができる。現像液としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、及びトリエタノールアミン等の有機系のものや、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、アンモニア、及び4級アンモニウム塩等の水溶液が挙げられる。
次いで、現像後のパターンを220℃〜250℃程度、好ましくは230℃〜240℃程度でポストベークを行う。この際、形成されたパターンを全面露光することが好ましい。以上により、所定のパターン形状を有するブラックマトリックスを形成することができる。
以上の操作を、赤色、緑色、及び青色の顔料が分散された着色感光性樹脂組成物について行って、各色の画素パターンを形成する。これにより、カラーフィルターが形成される。
なお、本発明のカラーフィルターの製造にあたっては、ブラックマトリックスによって区画された各領域に赤色、緑色、及び青色の各色のインクをインクジェットノズルから吐出し、溜められたインクを熱又は光で硬化させ、カラーフィルターを製造することもできる。
本発明の着色感光性樹脂組成物は、基板上に塗布後、真空乾燥装置を用いた減圧乾燥を行う際においても、溶剤の突沸や急激な蒸発等が起こらない。したがって、乾燥後の塗膜の表面荒れや、乾燥ムラを防止することができる。
<液晶表示ディスプレイ>
本発明の液晶表示ディスプレイは、本発明のカラーフィルターを備えるものである。本発明の液晶表示ディスプレイを製造するに当たっては、基板上に、上記カラーフィルターを形成し、次いで、電極、スペーサー等を順次形成する。そして、もう一枚の基板上に電極等を形成し、両者を張り合わせて所定量の液晶を注入、封止して、常法により製造される。
<実施例1>
[光重合性化合物の合成]
まず、500mlの四つ口フラスコ中に、ビスフェノールフルオレン型エポキシ樹脂235g(エポキシ当量235)とテトラメチルアンモニウムクロライド110mg、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール100mg、及びアクリル酸72.0gを仕込み、これに25ml/分の速度で空気を吹き込みながら90℃〜100℃で加熱溶解した。次に、溶液が白濁した状態のまま徐々に昇温し、120℃に加熱して完全に溶解させた。ここで溶液は次第に透明粘稠になったが、そのまま撹拌を継続した。この間、酸価を測定し、1.0mgKOH/g未満になるまで加熱撹拌を続けた。酸価が目標に達するまで12時間を要した。そして室温まで冷却し、ビスフェノールフルオレン型エポキシアクリレートを得た。
次いで、このようにして得られた上記のビスフェノールフルオレン型エポキシアクリレート307.0gに3−メトキシブチルアセテート600gを加えて溶解した後、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物80.5g、及び臭化テトラエチルアンモニウム1gを混合し、徐々に昇温して110℃〜115℃で4時間反応させた。酸無水物の消失を確認した後、1,2,3,6−テトラヒドロ無水フタル酸38.0gを混合し、90℃で6時間反応させ、光重合性化合物1を得た。酸無水物の消失はIRスペクトルにより確認した。
光重合性化合物1(Mw:3400、固形分:55%、溶剤:3−メトキシブチルアセテート);23.6質量部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート;4.8質量部、光重合開始剤(「IRGACURE OXE 02」、チバスペシャルティケミカルズ社製);1.4質量部、及びカーボン分散液(「CFブラックEX−1455」、御国色素社製、高抵抗カーボン:24%、分散剤:5%、溶剤:3−メトキシブチルアセテート);100質量部を用い、固形分濃度が18質量%となるように溶剤で調整した。なお、溶剤は、3−メトキシブチルアセテート:シクロヘキサノン:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート:1,3−ブチレングリコールジアセテート=55:30:12:3(質量比)となるようにした。これらの混合物を、撹拌機で2時間混合した後、5μmメンブランフィルターでろ過し、着色感光性樹脂組成物を得た。
なお、着色感光性樹脂組成物の調製に用いた各溶剤の、大気圧下における沸点、100℃における重量変化率、及び溶解パラメーターの値を表1に示した。
[塗膜の形成]
上記着色感光性樹脂組成物を680mm×680mmのガラス基板上に塗布した後、66Paで30秒間減圧乾燥し、次いで110℃で120秒間プリベークして約1.0μmの膜厚を有する塗膜を得た。
参考例1
難揮発性溶剤として、1,3−ブチレングリコールジアセテートの代わりにジプロピレングリコールメチルエーテルアセテートを用いた点以外は、実施例1と同様の方法により着色感光性樹脂組成物を調製し、当該着色感光性樹脂組成物を実施例1と同様の方法によりガラス基板上に塗布した。
参考例2
難揮発性溶剤として、1,3−ブチレングリコールジアセテートの代わりにジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートを用いた点以外は、実施例1と同様の方法により着色感光性樹脂組成物を調製し、当該着色感光性樹脂組成物を実施例1と同様の方法によりガラス基板上に塗布した。
<実施例
難揮発性溶剤として、1,3−ブチレングリコールジアセテートの代わりにジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートを用いた点以外は、実施例1と同様の方法により着色感光性樹脂組成物を調製し、当該着色感光性樹脂組成物を実施例1と同様の方法によりガラス基板上に塗布した。
<実施例
難揮発性溶剤として、1,3−ブチレングリコールジアセテートを用い、3−メトキシブチルアセテート:シクロヘキサノン:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート:1,3−ブチレングリコールジアセテート=55:26:12:7(質量比)となるようにした点以外は、実施例1と同様の方法により着色感光性樹脂組成物を調製し、当該着色感光性樹脂組成物を実施例1と同様の方法によりガラス基板上に塗布した。
<比較例1>
溶剤として、1,3−ブチレングリコールジアセテートを添加せず、混合比率を3−メトキシブチルアセテート:シクロヘキサノン:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート=55:30:15(質量比)とした点以外は、実施例1と同様の方法により着色感光性樹脂組成物を調製し、当該着色感光性樹脂組成物を実施例1と同様の方法によりガラス基板上に塗布した。
<比較例2>
溶剤の混合比率を3−メトキシブチルアセテート:シクロヘキサノン:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート=50:30:20(質量比)とした点以外は、比較例1と同様の方法により着色感光性樹脂組成物を調製し、当該着色感光性樹脂組成物を比較例1と同様の方法によりガラス基板上に塗布した。
<比較例3>
1,3−ブチレングリコールジアセテートの代わりに、ジプロピレングリコールジメチルエーテルを用いた点以外は、実施例1と同様の方法により着色感光性樹脂組成物を調製し、当該着色感光性樹脂組成物を実施例1と同様の方法によりガラス基板上に塗布した。
Figure 0005122168
ここで、重量変化率は、100℃に保温した熱天秤(「TG/DTA6200(商品名)」、SIIナノテクノロジー社製)に溶剤を添加し、大気中において、溶剤の重量の変化量を求めることにより、測定した。
[乾燥ムラの評価]
上記実施例1〜参考例1,2、比較例1〜3で形成した塗膜の表面について、ナトリウムランプ光を照射して観察した際に、外観上問題となるものを×、外観上問題とならないものを○として、乾燥ムラを評価した。結果を表2に示す。
[表面荒れの評価]
上記実施例1〜参考例1,2、比較例1〜3で形成した塗膜について、原子間力顕微鏡(「AFM(装置名)」、SIIナノテクノロジー社製)を用いて表面荒れ(Ra)を評価した。結果を表2に示す。評価は、Raが60Å未満を◎、60Å以上100Å未満を○、100Å以上を×とし、括弧内にその値を記載した。
[凝集物の評価]
上記実施例1〜参考例1,2、比較例1〜3で調製した着色感光性樹脂組成物を、8インチウエハに塗布し、上記実施例1〜参考例1,2、比較例1〜3と同様の条件で形成した塗膜(膜厚;約1μm)について、「KLA−213X」(KLA−Tencor株式会社製)を用いて、表面の欠陥を検査し、ウエハ面積内の欠陥数を測定して、凝集物の発生の程度を評価した。結果を表2に示す。欠陥数は、製品の品質上、10未満であることが好ましい。
Figure 0005122168
表2から分かるように、溶剤に難揮発性溶剤を添加した実施例1〜3、参考例1,2では、乾燥ムラがなく、塗膜の表面荒れもわずかであること分かる。一方、比較例1〜3では、表面荒れが比較的大きいことが分かった。また、実施例1,3、参考例2では凝集物がわずかであるのに対し、比較例1〜3では、凝集物が多く観察された。

Claims (4)

  1. (A)光重合性化合物、(B)光重合開始剤、(C)着色剤、及び(S)溶剤を含有する着色感光性樹脂組成物であって、
    前記(S)溶剤は、1,3−ブチレングリコールジアセテート及びジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートから選ばれる少なくとも1種の(R)難揮発性溶剤を含有し、該(R)難揮発性溶剤の含有量が、前記(S)溶剤の全量に対して1〜8質量%である着色感光性樹脂組成物。
  2. 前記(C)着色剤が、黒色顔料を含有する請求項に記載の着色感光性樹脂組成物。
  3. 請求項1又は2に記載の着色感光性樹脂組成物を用いて形成されたパターンを有するカラーフィルター。
  4. 請求項に記載のカラーフィルターを有する液晶表示ディスプレイ。
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