JP5803066B2 - 感放射線性組成物、表示素子用スペーサー及びその形成方法 - Google Patents
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Description
[A](メタ)アクリロイル基及びカルボキシル基を含有する芳香族樹脂(以下、「[A]芳香族樹脂」と称することがある)、
[B]重合性不飽和化合物
[C]感放射線性重合開始剤、並びに
[D]有機溶媒
を含有し、
固形分濃度が10質量%以上30質量%以下であり、25℃における粘度が2.0mPa・s以上10mPa・s以下であり、かつ
[D]有機溶媒として、少なくとも(D1)20℃における蒸気圧が0.1mmHg以上1mmHg未満の有機溶媒(以下、「(D1)有機溶媒」と称することがある)を含む感放射線性組成物である。
(1)当該組成物を、吐出ノズルと基板とを相対的に移動させつつ、基板上に塗布して塗膜を形成する工程、
(2)上記塗膜の少なくとも一部に放射線を照射する工程、
(3)上記放射線が照射された塗膜を現像する工程、及び
(4)上記現像された塗膜を加熱する工程
を有する。
本発明の感放射線性組成物は、[A]芳香族樹脂、[B]重合性不飽和化合物、[C]感放射線性重合開始剤、並びに[D]有機溶媒を含有する。また、当該組成物の固形分濃度は10質量%以上30質量%以下であり、25℃における粘度が2.0mPa・s以上10mPa・s以下であり、かつ[D]有機溶媒として、少なくとも(D1)20℃における蒸気圧が0.1mmHg以上1mmHg未満の有機溶媒を含む。さらに、当該組成物は好適な成分として、[E]アルカリ可溶性樹脂及び[F]界面活性剤を含有でき、必要に応じてその他の任意成分を含有してもよい。以下、各成分を詳述する。
[A]芳香族樹脂は、ベンゼン環を有する直鎖状、分岐状の樹脂であり、(メタ)アクリロイル基及び現像性の観点からカルボキシル基を含有する。カルボキシル基の含有量は酸価で示される。[A]芳香族樹脂の酸価としては、10mgKOH/g〜500mgKOH/gが好ましい。10mgKOH/g以上であると、現像性がより良好となり、500mgKOH/g以下であれば硬化物の耐水性がより良好となる。本明細書における酸価はアルカリ性滴定溶液を用いた指示薬滴定法により測定できる。
(i)芳香族樹脂中のフェノール性水酸基に、(メタ)アクリロイル基含有モノカルボン酸ハライドを反応させて(メタ)アクリロイル基を導入し、カルボン酸無水物を水酸基に反応させてカルボキシル基を生成させる製造方法;
(ii)芳香族樹脂中のアルコール性水酸基に、(メタ)アクリロイル基含有イソシアネートを反応させて(メタ)アクリロイル基を導入し、カルボン酸無水物を水酸基に反応させてカルボキシル基を生成させる製造方法;
(iii)芳香族樹脂中のエポキシ基に、(メタ)アクリロイル基含有モノカルボン酸を反応させてエポキシ基を開環させて水酸基を生成させ、次いで、この水酸基の一部に多価カルボン酸又は多価カルボン酸無水物を反応させる製造方法等が挙げられる。
これらのうち上記製造方法(iii)が好ましい。
マレイン酸、イタコン酸、フマル酸及びシトラコン酸等の不飽和多価カルボン酸、及びこれらの無水物;
シュウ酸、コハク酸、フタル酸、アジピン酸、ドデカン二酸、ドデセニルコハク酸、ペンタデセニルコハク酸及びオクタデセニルコハク酸等の飽和多価カルボン酸、及びこれらの無水物;
テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ビフェニルテトラカルボン酸、ナフタレンテトラカルボン酸等の芳香族多価カルボン酸、又は水素化芳香族多価カルボン酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ビフェニルテトラカルボン酸無水物、ナフタレンテトラカルボン酸無水物等の芳香族多価カルボン酸無水物が挙げられる。これらのうち、反応性及び現像性の観点から飽和多価カルボン酸無水物が好ましい。
装置:GPC−101(昭和電工社)
カラム:GPC−KF−801、GPC−KF−802、GPC−KF−803及びGPC−KF−804を結合
移動相:テトラヒドロフラン
カラム温度:40℃
流速:1.0mL/分
試料濃度:1.0質量%
試料注入量:100μL
検出器:示差屈折計
標準物質:単分散ポリスチレン
当該組成物に含有される[B]重合性不飽和化合物は、後述する[C]感放射線性重合開始剤の存在下において放射線を照射することにより重合する不飽和化合物である。このような重合性不飽和単量体としては、重合性が良好であり、得られるスペーサー等の強度が向上するという観点から、単官能、2官能又は3官能以上の(メタ)アクリル酸エステルが好ましい。
当該組成物に含有される[C]感放射線性重合開始剤は、放射線に感応して[B]重合性不飽和化合物の重合を開始しうる活性種を生じる成分である。このような[C]感放射線性重合開始剤としては、O−アシルオキシム化合物、アセトフェノン化合物、ビイミダゾール化合物等が挙げられる。
当該組成物は、[D]有機溶媒に[A]芳香族樹脂、[B]重合性不飽和化合物、[C]感放射線性重合開始剤、及び必要に応じて[E]アルカリ可溶性樹脂、[F]界面活性剤、その他の任意成分を混合することによって溶解又は分散させた状態に調製される。[D]有機溶媒としては、少なくとも(D1)有機溶媒を含有し、さらに(D2)有機溶媒を含有することが好ましい。特定範囲の蒸気圧を有する[D]有機溶媒を用いることで、吐出ノズル式塗布法を採用しても、塗布ムラを防止しつつ高速塗布が可能となる。なお、蒸気圧の測定は、公知の方法を使用できるが、本明細書ではトランスピレーション法(気体流通法)により測定した値をいう。
ベンジルアルコール等のアルコール類;
エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル等のエチレングリコールモノアルキルエーテル類;
エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジプロピルエーテル等のエチレングリコールジアルキルエーテル類;
プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル等のプロピレングリコールモノアルキルエーテル類;
ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等のジエチレングリコールモノアルキルエーテル類;
ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル等のジエチレングリコールジアルキルエーテル類;
ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート等のジエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;
ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル等のジプロピレングリコールモノアルキルエーテル類;
ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル等のジプロピレングリコールジアルキルエーテル類;
ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート等のジプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;
乳酸n−プロピル、乳酸イソプロピル、乳酸n−ブチル、乳酸イソブチル、乳酸n−アミル、乳酸イソアミル等の乳酸エステル類;
ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸エチル、エトキシ酢酸エチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート、3−メチル−3−メトキシブチルブチレート、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル等の脂肪族カルボン酸エステル類;
N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類;
N−メチルピロリドン、γ−ブチロラクトン等のケトン類等が挙げられる。これらは単独で使用してもよいし2種以上を混合して使用してもよい。
当該組成物は、[E](E1)不飽和カルボン酸及び不飽和カルボン酸無水物からなる群より選択される1種以上と、(E2)エポキシ基含有不飽和化合物とを含む単量体を共重合してなるアルカリ可溶性樹脂をさらに含有することが好ましい。
不飽和ジカルボン酸としては、例えばマレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸等;
不飽和ジカルボン酸の無水物としては、例えば上記ジカルボン酸として例示した化合物の無水物等;
多価カルボン酸のモノ〔(メタ)アクリロイルオキシアルキル〕エステルとしては、例えばコハク酸モノ〔2−(メタ)アクリロイルオキシエチル〕、フタル酸モノ〔2−(メタ)アクリロイルオキシエチル〕等;
両末端にカルボキシル基と水酸基とを有するポリマーのモノ(メタ)アクリレートとしては、例えばω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート等;
カルボキシル基を有する不飽和多環式化合物及びその無水物としては、例えば5−カルボキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジカルボキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−カルボキシ−5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−カルボキシ−5−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−カルボキシ−6−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−カルボキシ−6−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジカルボキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン無水物等が挙げられる。
3−(アクリロイルオキシメチル)オキセタン、3−(アクリロイルオキシメチル)−2−メチルオキセタン、3−(アクリロイルオキシメチル)−3−エチルオキセタン、3−(アクリロイルオキシメチル)−2−トリフルオロメチルオキセタン、3−(アクリロイルオキシメチル)−2−ペンタフルオロエチルオキセタン、3−(アクリロイルオキシメチル)−2−フェニルオキセタン、3−(アクリロイルオキシメチル)−2,2−ジフルオロオキセタン、3−(アクリロイルオキシメチル)−2,2,4−トリフルオロオキセタン、3−(アクリロイルオキシメチル)−2,2,4,4−テトラフルオロオキセタン、3−(2−アクリロイルオキシエチル)オキセタン、3−(2−アクリロイルオキシエチル)−2−エチルオキセタン、3−(2−アクリロイルオキシエチル)−3−エチルオキセタン、3−(2−アクリロイルオキシエチル)−2−トリフルオロメチルオキセタン、3−(2−アクリロイルオキシエチル)−2−ペンタフルオロエチルオキセタン、3−(2−アクリロイルオキシエチル)−2−フェニルオキセタン、3−(2−アクリロイルオキシエチル)−2,2−ジフルオロオキセタン、3−(2−アクリロイルオキシエチル)−2,2,4−トリフルオロオキセタン、3−(2−アクリロイルオキシエチル)−2,2,4,4−テトラフルオロオキセタン等のアクリル酸エステル;
3−(メタクリロイルオキシメチル)オキセタン、3−(メタクリロイルオキシメチル)−2−メチルオキセタン、3−(メタクリロイルオキシメチル)−3−エチルオキセタン、3−(メタクリロイルオキシメチル)−2−トリフルオロメチルオキセタン、3−(メタクリロイルオキシメチル)−2−ペンタフルオロエチルオキセタン、3−(メタクリロイルオキシメチル)−2−フェニルオキセタン、3−(メタクリロイルオキシメチル)−2,2−ジフルオロオキセタン、3−(メタクリロイルオキシメチル)−2,2,4−トリフルオロオキセタン、3−(メタクリロイルオキシメチル)−2,2,4,4−テトラフルオロオキセタン、3−(2−メタクリロイルオキシエチル)オキセタン、3−(2−メタクリロイルオキシエチル)−2−エチルオキセタン、3−(2−メタクリロイルオキシエチル)−3−エチルオキセタン、3−(2−メタクリロイルオキシエチル)−2−トリフルオロメチルオキセタン、3−(2−メタクリロイルオキシエチル)−2−ペンタフルオロエチルオキセタン、3−(2−メタクリロイルオキシエチル)−2−フェニルオキセタン、3−(2−メタクリロイルオキシエチル)−2,2−ジフルオロオキセタン、3−(2−メタクリロイルオキシエチル)−2,2,4−トリフルオロオキセタン、3−(2−メタクリロイルオキシエチル)−2,2,4,4−テトラフルオロオキセタン等のメタクリル酸エステル等が挙げられる。これらの(E2)化合物は、単独で使用してもよいし2種以上を混合して使用してもよい。
グリコールエーテルとしては、例えばエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等;
エチレングリコールアルキルエーテルアセテートとしては、例えばエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等;
ジエチレングリコールモノアルキルエーテルとしては、例えばジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等;
ジエチレングリコールジアルキルエーテルとしては、例えばジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル等;
ジプロピレングリコールジアルキルエーテルとしては、例えばジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールエチルメチルエーテル等;
プロピレングリコールモノアルキルエーテルとしては、例えばプロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールエチルエーテル、プロピレングリコールプロピルエーテル、プロピレングリコールブチルエーテル等;
プロピレングリコールアルキルエーテルアセテートとしては、例えばプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート等;
プロピレングリコールモノアルキルエーテルプロピオネートとしては、例えばプロピレングリコールメチルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールエチルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールプロピルエーテルプロピオネート等;
ケトンとしては、例えばメチルエチルケトン、シクロヘキサノン、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、メチルイソアミルケトン等;
エステルとしては、例えば酢酸エチル、酢酸ブチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、ヒドロキシ酢酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸ブチル、2−エトキシプロピオン酸エチル、2−エトキシプロピオン酸プロピル、2−エトキシプロピオン酸ブチル、2−ブトキシプロピオン酸メチル、2−ブトキシプロピオン酸エチル、2−ブトキシプロピオン酸プロピル、2−ブトキシプロピオン酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸プロピル、3−メトキシプロピオン酸ブチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸プロピル、3−エトキシプロピオン酸ブチル、3−プロポキシプロピオン酸メチル等が挙げられる。
[F]界面活性剤は(F1)重合性化合物、(F2)重合性化合物及び(F3)重合性化合物を重合させて得られる共重合体であることが好ましい。当該組成物において、[F]界面活性剤はさらに(F4)炭素数1〜8の非置換アルキルエステル基を有する重合性不飽和化合物(以下、「(F4)重合性化合物」と称することがある)に由来する構造単位を有することが好ましく、(F5)一分子中に2個以上の不飽和結合を有する重合性不飽和化合物(以下、「(F5)重合性化合物」と称することがある)に由来する構造単位をさらに有することがより好ましく、(F1)重合性化合物〜(F5)重合性化合物を含む組成物が特に好ましい。当該組成物において、[F]界面活性剤は表面張力の低下性能が高い界面活性剤として機能し、これを少ない割合で使用した場合でも、形成されるスペーサーの表面の平坦性を顕著に向上できる。
当該組成物は、上記の[A]〜[F]成分に加え、発明の効果を損なわない範囲で必要に応じて密着助剤、塩基性化合物、キノンジアジド化合物等のその他の任意成分を含有できる。これらのその他の任意成分は、単独で使用してもよいし2種以上を混合して使用してもよい。以下、各成分を詳述する。
当該組成物においては、基板となる無機物、例えばシリコーン、酸化シリコーン、窒化シリコーン等のシリコーン化合物、金、銅、アルミニウム等の金属と絶縁膜との接着性を向上させるために密着助剤を使用できる。このような密着助剤としては、官能性シランカップリング剤が好ましく使用される。官能性シランカップリング剤としては、例えばカルボキシル基、メタクリロイル基、イソシアネート基、エポキシ基(好ましくはオキシラニル基)、チオール基等の反応性置換基を有するシランカップリング剤が挙げられる。
塩基性化合物としては、化学増幅レジストで用いられるものから任意に選択して使用できる。塩基性化合物としては、例えば、脂肪族アミン、芳香族アミン、複素環式アミン、4級アンモニウムヒドロキシド、カルボン酸4級アンモニウム塩等が挙げられる。当該組成物に塩基性化合物を含有させることにより、露光により発生した酸の拡散長を適度に制御することができ、パターン現像性を良好にできる。
キノンジアジド化合物は、放射線の照射によりカルボン酸を発生する化合物である。キノンジアジド化合物としては、フェノール性化合物又はアルコール性化合物(母核)と1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸ハライドとの縮合物が用いられる。
当該組成物は[D]有機溶媒に[A]芳香族樹脂、[B]重合性不飽和化合物、[C]感放射線性重合開始剤、好適な成分として[E]アルカリ可溶性樹脂及び[F]界面活性剤、さらに必要に応じてその他の任意成分を混合することによって溶解又は分散させた状態に調製される。
当該組成物から形成される表示素子用スペーサーは、本発明に好適に含まれる。当該表示素子用スペーサーの形成方法は、
(1)当該組成物を、吐出ノズルと基板とを相対的に移動させつつ、基板上に塗布して塗膜を形成する工程、
(2)上記塗膜の少なくとも一部に放射線を照射する工程、
(3)上記放射線が照射された塗膜を現像する工程、及び
(4)上記現像された塗膜を加熱する工程
を有する。
本工程では、当該組成物を、吐出ノズルと基板とを相対的に移動させ吐出ノズル式塗布法によって基板上に塗布し、次いで好ましくは塗布面をプレベークすることによって[D]有機溶媒を除去して塗膜を形成する。使用できる基板の材料としては、例えばガラス、石英、シリコーン、樹脂等が挙げられる。樹脂としては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリイミド、環状オレフィンの開環重合体及びその水素添加物等が挙げられる。なお、プレベークの条件は、各成分の種類、配合割合等によっても異なるが、好ましくは70℃〜120℃で1分〜10分間程度とすることができる。
本工程では、形成された上記塗膜の少なくとも一部に露光する。塗膜の一部に露光する際には、通常所定のパターンを有するフォトマスクを介して露光する。露光に使用される放射線としては、波長が190nm〜450nmの範囲にある放射線が好ましく、特に365nmの紫外線を含む放射線が好ましい。本工程における露光量は、放射線の波長365nmにおける強度を、照度計(OAI model356、OAI Optical Associates社)により測定した値を意味し、500J/m2〜6,000J/m2が好ましく、1,500J/m2〜1,800J/m2がより好ましい。
本工程では、露光後の塗膜を現像することにより、不要な部分(放射線の照射部分)を除去して所定のパターンを形成する。現像工程に使用される現像液としては、アルカリ性の水溶液が好ましい。アルカリとしては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア等の無機アルカリ;テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド等の4級アンモニウム塩等が挙げられる。
本工程では、ホットプレート、オーブン等の加熱装置を用い、パターニングされた薄膜を加熱することで、硬化物を得ることができる。本工程における加熱温度は、例えば120℃〜250℃である。加熱時間は、加熱機器の種類により異なるが、例えばホットプレート上で加熱工程を行う場合には5分〜30分間、オーブン中で加熱工程を行う場合には30分〜90分間とすることができる。2回以上の加熱工程を行うステップベーク法等を用いることもできる。このようにして目的とするスペーサーに対応するパターン状薄膜を基板の表面上に形成できる。
<[A]芳香族樹脂>
A−1:クレゾールノボラック型酸変性エポキシ樹脂(CCR−1306H、日本化薬社)
A−2:フェノールノボラック型酸変性エポキシ樹脂(PCR−2000、日本化薬社)
B−1:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとジペンタエリスリトールペンタアクリレートとの混合物(KAYARAD DPHA、日本化薬社)
B−2:多官能ウレタンアクリレート系化合物(KAYARAD DPHA−40H、日本化薬社)
B−3:コハク酸変性ジペンタエリスリトールペンタアクリレート
B−4:ω―カルボキシポリカプロラクトンモノアクリレート(アロニックス M−5300、東亞合成社)
C−1:2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル))−2−モルフォリノプロパン−1−オン(イルガキュア907、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社)
C−2:2−(4−メチルベンジル)−2−(ジメチルアミノ)−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン(イルガキュア379、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社)
C−3:エタノン−1−〔9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル〕−1−(O−アセチルオキシム)(イルガキュアOXE02、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社)
(D1)有機溶媒
D−1−1:ジエチレングリコールエチルメチルエーテル(20℃、0.75mmHg)
D−1−2:ジプロピレングリコールジメチルエーテル(20℃、0.38mmHg)
D−2−1:ジエチエレングリコールジメチルエーテル(20℃、1.3mmHg)
D−2−2:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(20℃、3.75mmHg)
D−2−3:シクロヘキサノン(20℃、3.4mmHg)
1,4−ジオキサン(20℃、29mmHg)
エチレングリコール(20℃、0.08mmHg)
F−1:フッ素系界面活性剤(ネオス社、フタージェントFTX−218)
F−2:シリコーン系界面活性剤(東レ・ダウコーニング・シリコーン社、SH 8400 FLUID)
F−3:下記合成例3に示す共重合体
G−1:γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
G−2:クレゾールノボラック型エポキシ化合物(EP−152、ジャパンエポキシレジン社)
[合成例1]
冷却管、撹拌機を備えたフラスコに、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)5質量部及びジエチレングリコールメチルエチルエーテル200質量部を仕込み、引き続いてメタクリル酸18質量部、メタクリル酸グリシジル40質量部、スチレン5質量部、メタクリル酸トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イル32質量部を仕込んで、窒素置換したのち、さらに1,3−ブタジエン5質量部を仕込み、緩やかに攪拌しつつ、溶液の温度を70℃に上昇させ、この温度を5時間保持して重合させて、共重合体(E−1)の溶液を得た。この溶液の固形分濃度は33.0質量%であり、共重合体(E−1)のMwは11,000であった。
冷却管、撹拌機を備えたフラスコに、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)5質量部及びジエチレングリコールメチルエチルエーテル200質量部を仕込み、引き続いてメタクリル酸20質量部、メタクリル酸グリシジル10質量部、スチレン20質量部及びメタクリル酸メチル50質量部を仕込んで、窒素置換したのち、緩やかに攪拌しつつ、溶液の温度を70℃に上昇させ、この温度を5時間保持して重合させて、共重合体(E−2)の溶液を得た。この溶液の固形分濃度は33.0質量%であり、共重合体(E−2)のMwは10,000であった。
[合成例3]
攪拌装置、コンデンサー及び温度計を備えたガラスフラスコに、(F1)化合物として上記式(f1−5)で表される化合物24.2質量部、(F2)化合物として新中村化学社のNK−エステルM−90Gを20.7質量部、(F3)化合物として上記式(f3−1−1)で表される化合物21.5質量部、(F4)化合物としてn−ブチルメタクリレート29.4質量部及びイソプロピルアルコール414質量部を仕込み、窒素ガス気流中、還流下で、重合開始剤としてAIBNを0.7質量部、連鎖移動剤としてラウリルメルカプタン4質量部を添加した後、75℃にて8時間還流して共重合を行い、共重合体(F−3)を含有する溶液を得た。その後、エバポレーターを用いて70℃以下の加熱条件で溶媒を除去することにより、共重合体(F−3)を単離した。得られた共重合体(F−3)のMnは3,500であり、Mwは6,000であった。また、分子量分布(Mw/Mn)は1.7であった。
[実施例1]
[A]芳香族樹脂として(A−1)100質量部(固形分)に相当する量を含む溶液に、[B]重合性不飽和化合物として(B−1)100質量部、[C]感放射線性重合開始剤として(C−3)10質量部、(D1)有機溶媒として(D−1−1)ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、(D2)有機溶媒として(D−2−2)プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを所望の固形分濃度となるように添加し、[F]界面活性剤として(F−1)0.3質量部を混合し、孔径0.2μmのメンブランフィルタで濾過することにより、当該組成物(S−1)を調製した。
各成分の種類及び配合量を表1に記載の通りとした以外は、実施例1と同様に操作して実施例2〜11及び比較例1〜3の組成物を調製した。なお、表1の[D]有機溶媒の数値は(D1)有機溶媒と(D2)有機溶媒の質量比である。
実施例1〜12及び比較例1〜3の組成物、及びその塗膜から形成されるスペーサーについて下記の評価をした。評価結果を表1にあわせて示す。
E型粘度計(東機産業社、VISCONIC ELD.R)を用いて、25℃における当該組成物の粘度(mPa・s)を測定した。
当該組成物0.3gをアルミ皿に精坪し、ジエチレングリコールジメチルエーテル約1gを加えたのち、175℃で60分間ホットプレート上にて乾固させて、乾燥前後の重量から当該組成物中の固形分濃度(質量%)を求めた。
550×650mmのクロム成膜ガラス上に、実施例1〜12及び比較例1〜3の組成物をスリットダイコーター(東京応化工業社、TR632105−CL)を用いて塗布し0.5Torrまで減圧乾燥した後、ホットプレート上で100℃にて2分間プレベークして塗膜を形成し、さらに2,000J/m2の露光量で露光することにより、クロム成膜ガラスの上面からの膜厚が4μmの膜を形成した。ナトリウムランプ下において、肉眼によりこの塗膜の外観の観察を行った。このとき、塗膜の全体における筋ムラ(塗布方向又はそれに交差する方向にできる一本または複数本の直線のムラ)、モヤムラ(雲状のムラ)、ピン跡ムラ(基板支持ピン上にできる点状のムラ)の出現状況を調べた。これらのムラのいずれもほとんど見えない場合を「○(良好)」、いずれかが少し見える場合を「△(やや不良)」、はっきりと見える場合を「×(不良)」と判断した。
上述のようにして作製したクロム成膜ガラス上の塗膜の膜厚を、針接触式測定機(KLA Tencor社、AS200)を用いて測定した。膜厚均一性は、9つの測定点における膜厚を測定し、下記式から計算した。9つの測定点は基板の短軸方向をX、長軸方向をYとすると、(X[mm]、Y[mm])が、(275、20)、(275、30)、(275、60)、(275、100)、(275、325)、(275、550)、(275、590)、(275、620)、(275、630)である。膜厚均一性が2%以下の場合は、膜厚均一性は良好と判断できる。
膜厚均一性(%)={FT(X、Y)max−FT(X、Y)min}×100/{2×FT(X、Y)avg.}
上記式中、FT(X、Y)maxは、9つの測定点における膜厚中の最大値、FT(X、Y)minは、9つの測定点における膜厚中の最小値、FT(X、Y)avg.は9つの測定点における膜厚中の平均値である。
550mm×650mmの無アルカリガラス基板上にスリットコーターを用いて塗布し塗布条件として、下地とノズルの距離150μm、露光後の膜厚が2.5μmとなるように、ノズルから塗布液を吐出し、ノズルの移動速度を120mm/sec.〜220mm/sec.の範囲で変量し、液切れによる筋状のムラが発生しない最大速度を求めた。この時、180mm/sec.以上の速度でも筋状のムラが発生しない場合は、高速塗布に対応が可能であると判断できる。
95mm×95mmのITOスパッタしたガラス基板上にスピンコート法を用いて、(S−1)を塗布したのち、90℃のホットプレート上で3分間プレベークすることにより、膜厚3.5μmの塗膜を形成した。次いで、得られた塗膜に、開口部として直径12μmの円状パターンが形成されたフォトマスクを介して、365nmにおける強度が250W/m2の紫外線で、露光時間を変量して露光した。その後、0.05質量%水酸化カリウム水溶液により25℃にて60秒間現像したのち、純水で1分間洗浄し、さらに230℃のオーブン中で30分間ポストベークすることにより、パターン状被膜からなるスペーサーを形成した。このとき、ポストベーク後の残膜率(ポストベーク後の被膜の膜厚×100/露光後(ポストベーク前)膜厚)が90%以上となる最小の露光量を調べ、この値を感度とした。この値が550J/m2以下であった場合、感度は良好であるといえる。
露光量を上記放射線感度の評価で決定した感度に相当する露光量とした以外は、放射線感度の評価と同様に操作して基板上に円柱状パターンからなるスペーサーを形成した。その際、ポストベーク後のパターン底部の直径が20μmとなるように、露光時に介するフォトマスクの直径を変更した。このスペーサーにつき、微小圧縮試験機(フィッシャースコープH100C、フィッシャーインストルメンツ社)を用い、50μm角状の平面圧子を使用し、50mNの荷重にて圧縮試験を行い、荷重に対する圧縮変位量の変化を測定し、50mNの荷重時の変位量と50mNの荷重を取り除いた時の変位量から回復率(%)を算出した。このとき、回復率が70%以上であり、かつ50mNの荷重時の変位が0.15μm以上であった場合、高い回復率及び柔軟性の双方を具備した圧縮性能を有するスペーサーであるといえる。
Claims (6)
- [A](メタ)アクリロイル基及びカルボキシル基を含有する芳香族樹脂、
[B]重合性不飽和化合物、
[C]感放射線性重合開始剤、並びに
[D]有機溶媒
を含有し、
固形分濃度が20質量%以上30質量%以下であり、25℃における粘度が3mPa・s以上5mPa・s以下であり、かつ
[D]有機溶媒として、少なくとも(D1)20℃における蒸気圧が0.1mmHg以上1mmHg未満の有機溶媒及び(D2)20℃における蒸気圧が1mmHg以上20mmHg以下の有機溶媒を含み、(D2)有機溶媒の含有量が(D1)有機溶媒及び(D2)有機溶媒の合計量に対して10質量%以上40質量%以下である感放射線性組成物。 - [E](E1)不飽和カルボン酸及び不飽和カルボン酸無水物からなる群より選択される1種以上と、(E2)エポキシ基含有不飽和化合物とを含む単量体を共重合してなるアルカリ可溶性樹脂をさらに含有する請求項1に記載の感放射線性組成物。
- [F]フッ素原子及びシロキサン結合からなる群より選択される1種以上を有する界面活性剤をさらに含有し、[F]界面活性剤の含有量が[A]芳香族樹脂100質量部に対して0.01質量部以上2質量部以下である請求項1又は請求項2に記載の感放射線性組成物。
- [F]界面活性剤が、
(F1)下記式(1)で表される重合性化合物、
(F2)下記式(2)で表される重合性化合物、及び
(F3)下記式(3)で表される基を有する重合性化合物
を重合させて得られる共重合体である請求項3に記載の感放射線性組成物。
- 請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の感放射線性組成物から形成される表示素子用スペーサー。
- (1)請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の感放射線性組成物を、吐出ノズルと基板とを相対的に移動させつつ、基板上に塗布して塗膜を形成する工程、
(2)上記塗膜の少なくとも一部に放射線を照射する工程、
(3)上記放射線が照射された塗膜を現像する工程、及び
(4)上記現像された塗膜を加熱する工程
を有する表示素子用スペーサーの形成方法。
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