JP6216133B2 - 2液混合型の主剤及び硬化剤、並びにプリント配線板の製造方法 - Google Patents
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Description
カルボキシル基を有する樹脂は、分子中にカルボキシル基を有する重合体のことをいうが、特に、光硬化性を示す重合体(すなわち、感光性を示す重合体)であることが好ましい。具体的に光硬化性を示す重合体とは、例えば、分子中にエチレン性不飽和結合を有する重合体のことであり、光重合開始剤の存在下又は非存在下、紫外線等の電子線を照射することでラジカル反応(付加反応)を起こす重合体をいう。カルボキシル基を有する樹脂が光硬化性を示す重合体であれば、後述するようにソルダーレジスト層を形成するレジスト膜の成膜性に優れるものとなる。
エポキシ樹脂は、例えば、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ジグリシジルフタレート樹脂、トリグリシジルイソシアヌレートなどの複素環式エポキシ樹脂、ビキシレノール型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂、テトラグリシジルキシレノイルエタン樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型樹脂、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、ビスフェノールAのノボラック型エポキシ樹脂、キレート型エポキシ樹脂、グリオキザール型エポキシ樹脂、アミノ基含有エポキシ樹脂、ゴム変性エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンフェノリック型エポキシ樹脂、シリコーン変性エポキシ樹脂及びε−カプロラクトン変性エポキシ樹脂等が挙げられる。これらは1種単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されて用いられてもよい。もちろん、エポキシ樹脂は上記列挙した以外のエポキシ樹脂を使用すること又は併用することもでき、一般にソルダーレジスト用として使用される適宜のエポキシ樹脂を採用できる。また、エポキシ樹脂は溶剤難溶性であってもよく、溶剤可溶性であってもよい。
光重合開始剤としては、例えば、ベンゾインとそのアルキルエーテル類;アセトフェノン、ベンジルジメチルケタール等のアセトフェノン類;2−メチルアントラキノン等のアントラキノン類;2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン類;ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルスルフィド等のベンゾフェノン類;2,4−ジイソプロピルキサントン等のキサントン類;2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン等のα−ヒドロキシケトン類;2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−1−プロパノン等の窒素原子を含む化合物;2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド(DAROCUR TPO)、2,4,6−トリメチルベンゾイル−エチル−フェニル−フォスフィネート(SPEEDCURE TPO−L)、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド(IRGACURE 819)、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド(CGI 403)等のアシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤等が挙げられる。
酸化チタンの種類は特に限定されないが、例えば、ルチル型、アナターゼ型、ラムスデライト型のいずれの構造の酸化チタンであってもよい。特にラムスデライト型酸化チタンは短波長光の吸収性が低いため、ソルダーレジスト用樹脂組成物がラムスデライト型酸化チタンを含有すると、紫外光や青色光等の短波長光の反射率が高いソルダーレジスト層が得られる。ラムスデライト型酸化チタンは、ラムスデライト型Li0.5TiO2に化学酸化によるリチウム脱離処理を施すことで得られる。特に、ラムスデライト型酸化チタンが用いられる場合には、短波長光の反射性が高いソルダーレジスト層が形成される。また、酸化チタンは、ケイ素酸化物又はシリコーン化合物により、表面処理がされていてもよく、この場合、レジスト膜の耐熱黄変性が向上する。酸化チタンは、1種のみが用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
ソルダーレジスト用樹脂組成物には、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート(以下、「DPMA」ということがある)が必須の有機溶剤として含まれる。このような溶剤がソルダーレジスト用樹脂組成物に含まれることで、酸化チタンの凝集を起こりにくくすることができ、酸化チタンが均一に分散されたソルダーレジスト用樹脂組成物を得ることができる。また、後述するように硬化剤にDPMAが含まれている場合、主剤と混合したときの混合性に優れるようになる。
ソルダーレジスト用樹脂組成物は、その硬化性をより一層高めるために、重合性単量体等の光重合性化合物が含まれていてもよい。この場合、ソルダーレジスト膜の架橋密度を高めることができるようになり、耐久性や耐熱性を向上させることができる。
ソルダーレジスト用樹脂組成物を調製するにあたっては、上述した各種原料を用いて、主剤と硬化剤との二種類の液を調製し、両者を混合することで行う。ここで、主剤及び硬化剤の構成について説明する。
プリント配線板上にソルダーレジスト層が形成されることで、ソルダーレジスト層を有するプリント配線板が得られる。ソルダーレジスト層の形成方法は特に限定されない。
還流冷却器、温度計、窒素置換用ガラス管及び撹拌機を取り付けた四ツ口フラスコに、メタクリル酸42質量部、メチルメタクリレート43質量部、スチレン15質量部、カルビトールアセテート100質量部、ラウリルメルカプタン0.5質量部、アゾビスイソブチロニトリル4質量部を加えた。この四ツ口フラスコ内の液を窒素気流下で75℃で5時間加熱して重合反応を進行させ、50%共重合体溶液を得た。
(合成例2)
重合反応に用いるカルビトールアセテート100質量部の代わりにジプロピレングリコールモノメチルエーテル100質量部としたこと以外は合成例1と同様の方法でカルボキシル基を有する樹脂の50%溶液(感光性樹脂溶液)を合成した。
合成例1で得られたカルボキシル基を有する樹脂の50%溶液(感光性樹脂溶液)80質量部と、光重合性化合物であるDPHA(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート)8質量部と、光重合開始剤であるTPO(BASFジャパン社製)10質量部と、酸化チタン(テイカ株式会社製「CR−58」)50質量部、シリコーンKS−66(信越化学工業株式会社製)2質量部、微粉シリカ(株式会社トクヤマ製「MT−10」)2質量部、有機溶剤(感光性樹脂溶液に含まれる有機溶剤は含まない)としてDPMAを15質量部とを配合し、混合機にて10分間混合した後、さらに3本ロールにて混合して主剤を得た。
主剤に添加する有機溶剤をDPMAの代わりにカルビトールアセテート(CA)とし、硬化剤のエポキシ樹脂1(三菱化学株式会社製「JER828」)をエポキシ樹脂2(日産化学工業株式会社製「TEPIC」)としたこと以外は、実施例1と同様の方法で主剤と硬化剤を得た。
主剤に添加する有機溶剤をDPMAの代わりにジプロピレングリコールモノメチルエーテルとしたこと以外は実施例1と同様の方法で主剤と硬化剤を得た。
主剤の、合成例1で得られたカルボキシル基を有する樹脂の50%溶液の代わりに合成例2で得られたカルボキシル基を有する樹脂の50%溶液としたこと以外は実施例1と同様の方法で主剤と硬化剤を得た。
主剤の、合成例1で得られたカルボキシル基を有する樹脂の50%溶液の代わりに合成例2で得られたカルボキシル基を有する樹脂の50%溶液とし、主剤に添加する有機溶剤をDPMAの代わりにカルビトールアセテート(CA)とし、硬化剤のエポキシ樹脂1(三菱化学株式会社製「JER828」)の代わりにエポキシ樹脂3(ダイセル化学、「EHPE−3150」)としたこと以外は実施例1と同様の方法で主剤と硬化剤を得た。
主剤に添加する有機溶剤をDPMAの代わりにカルビトールアセテート(CA)とし、硬化剤の有機溶剤をDPMAの代わりにカルビトールアセテート(CA)としたこと以外は実施例1と同様の方法で主剤と硬化剤を得た。
主剤に添加する有機溶剤をDPMAの代わりにカルビトールアセテート(CA)とし、硬化剤のエポキシ樹脂1(三菱化学株式会社製「JER828」)の代わりにエポキシ樹脂2(日産化学工業株式会社製「TEPIC」)とし、硬化剤の有機溶剤をDPMA5質量部の代わりにスワゾール1500を2質量部及びジプロピレングリコールモノメチルエーテルを3質量部としたこと以外は実施例1と同様の方法で主剤と硬化剤を得た。
主剤の、合成例1で得られたカルボキシル基を有する樹脂の50%溶液の代わりに合成例2で得られたカルボキシル基を有する樹脂の50%溶液とし、主剤に添加する有機溶剤をDPMAの代わりにカルビトールアセテート(CA)とし、硬化剤のエポキシ樹脂(三菱化学株式会社製「JER828」)の代わりにエポキシ樹脂3(ダイセル化学、「EHPE−3150」)とし、硬化剤の有機溶剤をDPMA5質量部の代わりにカルビトールアセテート(CA)を2質量部及びジプロピレングリコールモノメチルエーテルを3質量部としたこと以外は実施例1と同様の方法で主剤と硬化剤を得た。
上記のように調製した各実施例及び比較例の主剤と硬化剤とをそれぞれ混合することでソルダーレジスト用樹脂組成物した。尚、混合条件は振動攪拌機にて20分とした。
各実施例及び比較例の主剤及び硬化剤から得られたソルダーレジスト用樹脂組成物の安定性、混合性、塗布性、タック性、現像性及びPCT特性を以下の評価方法によって評価した。
各実施例及び比較例において調製した硬化剤を50℃の環境下に7日間保管し、保管後の粘度変化を測定し、下記判定基準により硬化剤の安定性を評価した。尚、保管前後の硬化剤の粘度はコーンプレート型粘度計(測定温度25℃、コーン回転数5rpm/min)により測定した。
◎:粘度変化が10%未満であり、安定性が非常に優れている。
○:粘度変化が10%以上、100%未満であり安定性が優れている。
×:粘度変化が100%以上であり安定性が悪い。
上記実施例及び比較例において、主剤と硬化剤との混合性の評価を以下の評価基準に従って行った。
◎:10秒間撹拌したレジスト材料、20秒間撹拌したレジスト材料、1分間撹拌したレジスト材料及び5分間撹拌したレジスト材料のいずれを用いた場合でも、レジスト材料層は均一であった。
○:10秒間撹拌したレジスト材料を用いた場合には、レジスト材料層にわずかにスジ状のむらがみられたものの、20秒間撹拌したレジスト材料、1分間撹拌したレジスト材料及び5分間撹拌したレジスト材料を用いた場合には、レジスト材料層は均一であった。
△:10秒間撹拌したレジスト材料及び20秒間撹拌したレジスト材料を用いた場合には、レジスト材料層にわずかにスジ状のむらがみられたものの、1分間撹拌したレジスト材料及び5分間撹拌したレジスト材料を用いた場合には、レジスト材料層は均一であった。
×:10秒間撹拌したレジスト材料、20秒間撹拌したレジスト材料、1分間撹拌したレジスト材料及び5分間撹拌したレジスト材料のいずれを用いた場合でも、レジスト材料層にスジ状のむらがみられた。
各実施例及び比較例の主剤及び硬化剤から得られたソルダーレジスト用樹脂組成物をスクリーン印刷して湿潤塗膜を形成させ、この塗膜の外観を目視で観察して、下記判定基準にて評価した。
◎:塗布欠陥無し。
○:わずかに欠陥が見られるが、問題ないレベル。
△: 非常に悪い(均一塗布できていない)
(タック性)
テストピース作製の際、露光時にネガマスクを取り外すときの乾燥塗膜の粘着の状態を、次に示すように評価した。
◎:ネガマスクを取り外した際に全く剥離抵抗を感じず、貼付痕もなかった。
○:ネガマスクを取り外した際には剥離抵抗を感じなかったが、乾燥膜上にマスクのかすかな貼付痕が認められた。
△:ネガマスクを取り外す際にわずかに剥離抵抗を感じると共に、乾燥膜上にマスクの貼付痕が認められた。
×:ネガマスクを取り外すことが困難で、無理に剥すとマスクパターンが毀損した。
露光工程において線幅及び線間が共に40μmの同心円状のソルダーレジスト層が形成されるようなネガマスクを用い、厚み20μmに形成されたソルダーレジスト層のパターン形状を観察し、次のように評価した。
◎:シャープな同心円状のパターンが形成される。
○:同心円状のパターンは形成されるが、線間、線幅の一定性にわずかにむらがある。
△:同心円状のパターンは形成されるが、その一部にわずかに樹脂残り又は欠落がある。
テストピースを温度121℃の飽和水蒸気中に8時間放置した後、このテストピースのソルダーレジスト層の外観を観察した。その結果を次に示すように評価した。
◎:ふくれ、剥がれ、変色等の変化が全く見られない。
○:ふくれ、剥がれ、変色等の変化が極僅かに見られる。
△:ふくれ、剥がれ、変色等の変化が若干認められる。
×:ふくれ、剥がれ、変色等の変化が認められる。
Claims (2)
- 混合物であるソルダーレジスト用樹脂組成物を得るための2液混合型の主剤及び硬化剤であり、
前記混合物はカルボキシル基を有する樹脂と、エポキシ樹脂と、光重合開始剤と、酸化チタンと、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテートを含む有機溶剤とを含有し、
前記主剤は少なくとも前記カルボキシル基を有する樹脂と、前記光重合開始剤と、前記酸化チタンとを含み、
前記硬化剤は少なくとも前記エポキシ樹脂と前記ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテートとを含むことを特徴とする2液混合型の主剤及び硬化剤。 - 請求項1に記載の主剤及び硬化剤を混合してソルダーレジスト用樹脂組成物を調製し、このソルダーレジスト用樹脂組成物からソルダーレジスト層を形成することを含むことを特徴とするプリント配線板の製造方法。
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