JP3859749B2 - 低発煙性を有する難燃性装飾材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ビル、家屋等の建築物の床面や壁面、或は電車、航空機、バス、自動車等の床面や内張り、その他掲示板等に用いられる装飾材に関し、更に詳しくは、塩素等のハロゲン原子を含まない熱可塑性高分子材料で成形された、表面強度及び意匠性に優れた低発煙性の難燃性装飾材に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ビルや家屋等の建築物の床材や壁装材、或は電車や航空機、バス、自動車等の床材や内張り材には、塩化ビニル系樹脂からなるシート状の装飾材が多く使用されている。この様な装飾材に塩化ビニル系樹脂を使用する理由は、塩化ビニル系樹脂シートが表面強度及び耐摩耗性に優れ、更に塩化ビニル系樹脂製のシートは難燃性にも優れていることによる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記の塩化ビニル系樹脂製の装飾材は、上記の優れた性能と共にコスト的にも有利であるが、火災時や焼却処理時に有害な塩化水素ガスが発生し、火災時に塩化水素ガスによる中毒や窒息等の危険があり、又、焼却処理時には大量の塩化水素ガスが発生する為、環境衛生上好ましくないということが近年問題化されつつある。更に、塩化ビニル系樹脂は難燃性には優れているが、万一、シートが燃えてしまった場合は、その発煙量が多いという問題もあった。
【0004】
以上の塩化ビニル系樹脂製の装飾材の問題点を解決する為に、本発明者はハロゲン原子を含有せず、且つ再生処理可能な難燃性装飾材の材料として、エチレン−エチルアクリレート共重合樹脂(以下EEAという)、エチレン−メチルメタクリレート共重合樹脂(以下EMMAという)、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂(以下EVAという)等のオレフィン系共重合樹脂や、ポリプロピレン(以下PPという)、ポリエチレン(以下PEという)、ポリブテン−1(以下PB−1という)等のオレフィン系樹脂、エチレン−プロピレン系エラストマー(又はゴム)(以下TPOという)を検討した。
【0005】
オレフィン系樹脂に難燃性を付与する為に、ハロゲン化合物やアルミニウム、マグネシウム系の水和金属化合物、或は赤燐、カーボンブラック、シリコーン樹脂やオイル、更にメラミン樹脂等の含窒素化合物等が難燃材料(難燃剤)として使用されている。ハロゲン化合物はハロゲン化水素ガス等の有毒物質が発生するので問題があり、水和金属化合物は多量に添加しないと難燃性は得られず、多量に添加すると装飾材の耐傷性が悪くなり、又、シリコーン樹脂やオイルを添加すると耐汚染性が悪くなり、更に赤燐やカーボンブラックはシートが着色されてしまう為に装飾性、デザイン性に劣るといった問題がある。これらの難燃剤を組み合わせることにより自消性、ノンドリップ性を有するものが得られるが、上記の様な問題により装飾材としては使用することが出来なかった。
【0006】
又、上記の難燃剤を配合して成形したシートの上に薄い被膜をコーティングし、意匠性を付与することも考えられるが、被膜の厚さが30μmより薄ければ、上記の難燃剤を配合したシートでも低発煙性が不十分であるものの、ある程度の難燃性を付与することが出来が、30μm以下の表層ではその下地の色を隠蔽することが出来ず、更には床材や壁装材といった装飾材としての耐摩耗性及び耐スクラッチ性といった表面強度の十分な装飾材を得ることが出来ない。
【0007】
従って本発明の目的は、上記従来技術の問題点を解決し、塩化ビニル系樹脂を装飾材の材料として使用することなく、塩化ビニル系樹脂製の装飾材と同等或はそれ以上に、自消性、ノンドリップ性、耐傷性、耐汚染性及び装飾性に優れた低発煙性の難燃性装飾材を、実質的にハロゲンを含有しない熱可塑性高分子材料によって提供することである。
【0008】
【課題を解決する為の手段】
上記目的は以下の本発明によって達成される。即ち、本発明は、ハロゲンを含有しない熱可塑性高分子材料によって成形された表面層と裏面層とから構成される難燃性装飾材において、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムおよびほう酸亜鉛から選ばれる水和金属化合物と、膨張性黒鉛と、亜鉛水和錫化合物(ZnSn(OH) 6 )、亜鉛錫酸塩(ZnSnO 3 )、錫酸化物(SnO 2 )および水和錫化合物(SnO 2 xH 2 O)から選ばれる錫化合物とからなる難燃材料が裏面層に添加されていることを特徴とする難燃性装飾材である。
【0009】
本発明の装飾材は、塩化ビニル樹脂等のハロゲン含有樹脂やハロゲン化合物による難燃剤を使用しなくても優れた難燃性を示し、万が一、火災等により燃焼してもハロゲンを含有していないので有害なハロゲンガスは発生せず、しかもハロゲン含有の塩化ビニル樹脂よりも低発煙性を示す。
【0010】
【発明の実施の形態】
次に好ましい実施態様を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
本発明の装飾材は、表面層と裏面層とから基本的に構成される。表面層及び裏面層とも実質的にハロゲン原子を含有しない熱可塑性高分子材料によって構成される。
従来、ハロゲン原子を含有しない熱可塑性樹脂を難燃化させる方法は種々検討されているが、いずれも樹脂コンパウンド全体に難燃剤を分散させて難燃化させる方法であった。例えば、赤燐等の燐化合物やカーボンブラック等の難燃剤を添加すると樹脂が赤色或は黒色に着色されてしまい、装飾材の表面層として任意の着色模様を形成することが出来なくなる。一方、水酸化マグネシウムや水酸化アルミニウム等の水和金属化合物を難燃剤として使用する場合は、樹脂がこれらの難燃剤によって着色されないので、装飾材を任意の色相に着色することが出来るが、これらの難燃剤は多量に添加しないと難燃効果が得られず、多量に添加すると得られる装飾材の耐傷性が劣り、装飾材の表面層としては適さないものであった。
【0011】
そこで本発明者は装飾材の表面層には難燃剤を添加せずとも、装飾材全体の構成体として低発煙性且つ難燃性を有する装飾材を提供することを目的として更に研究した結果、装飾材を表面層と裏面層とから基本的に構成し、該裏面層のみにある特定の難燃剤を添加することにより、表面層に難燃剤を添加しなくても、積層体(装飾材)としては低発煙で、優れた難燃性、自己消化性及びノンドリップ性を有する構成の装飾材が得られることを見出した。
即ち、裏面層に水和金属化合物と膨張性黒鉛と錫化合物とからなる難燃剤を添加することにより、表面層に難燃剤を添加しなくても積層体として低発煙性で優れた難燃性を示すことがわかった。尚、表面層及び裏面層ともに単層とは限らず、複数のシート等を積層した積層構造からなるものでもよい。
【0012】
裏面層が単層のシート等の場合は、裏面層全体に水和金属化合物と膨張性黒鉛と錫化合物とが添加され、裏面層が複数のシート等からなる積層構造の場合は、少なくとも表面層に接する裏面層に水和金属化合物と膨張性黒鉛と錫化合物とが添加される。
本発明で使用する水和金属化合物は、難燃作用を付与する物質であれば特に制限はなく、例えば、水酸化アルミニウムやほう酸亜鉛等が挙げられる。
【0013】
膨張性黒鉛とは、例えば、鱗片状黒鉛を硫酸や硝酸或は燐酸等で酸化処理したものであり、黒鉛−硫酸層間化合物等である。本発明ではこれらの膨張性黒鉛のうち300〜400℃の温度で膨張し始めて50倍以上に膨脹するものが好ましい。
これらの膨張性黒鉛は体積比率で裏面層に2%以上添加するのが好ましい。裏面層が単層の場合は体積比率で2%以上を添加し、裏面層が複層の場合は裏面層全体として体積比率で2%以上を添加することが良い。裏面層が複層の場合は表面層と接する層には、必ず膨張性黒鉛と、水和金属化合物及び/又は燐化合物が添加されたシートを積層し、それより下の層には膨張性黒鉛や、水和金属化合物、錫化合物を添加してもしなくてもよく、裏面層全体として膨張性黒鉛が体積比率で2%以上添加されていればよい。
【0014】
更に好ましくは複層構造の裏面層のうち、水和金属化合物と膨張性黒鉛と錫化合物が添加された層の総厚よりも、添加されていない層の総厚が厚くならない様に積層するのがとりわけ良い。膨張性黒鉛が裏面層に体積比率で2%以上添加されていると、表面層に難燃剤が添加されていなくても装飾材を難燃化させることが出来、2%以上であれば添加部数に制限はないが、30%以上添加してもそれ以上の難燃効果は得られないので、コスト的観点から体積比率で2〜30%の範囲で使用するのが好ましい。
【0015】
又、裏面層に添加する水和金属化合物は、裏面層の熱可塑性高分子材料100重量部に対し30重量部以上、好ましくは30〜200重量部の割合で添加するのが難燃性能上好ましい。
【0016】
又、本発明において難燃性及び低発煙性をより向上させる為に、難燃剤として錫化合物を更に添加する。錫化合物としては難燃作用のある錫化合物であれば特に制限はされず、例えば、亜鉛水和錫化合物(ZnSn(OH)6)、亜鉛錫酸塩(ZnSnO3)、錫酸化物(SnO2)、水和錫化合物(SnO2×H2O)が挙げられる。
【0017】
本発明において難燃剤の組み合わせとしては、膨張性黒鉛と水和金属化合物と錫化合物との組み合わせとする。その結果、難燃性及び低発煙性とも特に優れた装飾材が提供されるのでとりわけ好ましい。
又、本発明においては、装飾材の表面層には難燃剤を添加しなくとも低発煙性で優れた難燃性を有する装飾材を得ることが出来るが、装飾材の表面の装飾性、耐傷性及び耐汚染性等を損なわない程度の量で、公知の難燃剤を添加することも勿論可能である。
【0018】
本発明の装飾材の表面層及び裏面層を構成する熱可塑性高分子材料は、ハロゲン原子を実質的に含まない高分子材料であれば特に制限はないが、装飾材として使用するのに好ましくはポリプロピレン(PP)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、ポリブテン(PB)等のα−オレフィン系樹脂、エチレン−アクリル酸エチル共重合樹脂(EEA)、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)、エチレン−メタクリル酸メチル共重合樹脂(EMMA)、エチレン−アクリル酸メチル共重合樹脂(EMA)等のエチレン系共重合体、若しくは三元共重合体、或はエチレンとアクリル酸とのエチレン系アイオノマー等の熱可塑性合成樹脂の他、常温ではゴム弾性としての挙動をとるが、温度上昇によって塑性変形をする高分子材料で、硬質相と軟質相とからなる熱可塑性エラストマーでもよく、例えば、硬質相がポリエチレン、ポリプロピレン、軟質相がオレフィン系ゴムからなるオレフィン系熱可塑性エラストマー、硬質相がポリエステル、軟質相がポリエーテルのポリエステル系熱可塑性エラストマー、その他ウレタン系熱可塑性エラストマー、或は水素添加したスチレン−ブタジエンゴム、硬質相がスチレンで軟質相がブタジエンやビニルイソプレン等からなるスチレン系熱可塑性エラストマーやこれらを水素添加したもの等が挙げらる。
【0019】
これらの熱可塑性合成樹脂や熱可塑性エラストマーは単体で使用しても、数種の樹脂やエラストマーをブレンドして用いてもよい。又、これら樹脂、エラストマーに可塑剤、安定剤、無機充填剤、有機充填剤、滑剤、紫外線吸収剤、発泡剤、着色剤、酸化防止剤及びゲル化促進剤等の一般に用いられる各種添加剤を適宜配合して使用することも可能である。
【0020】
本発明の装飾材の表面層及び裏面層は、基本的に上記の如き熱可塑性合成樹脂及び/又は熱可塑性エラストマーから構成され、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、ガラス繊維等の化学繊維、麻、羊毛等の天然繊維からなる織布、不織布等の繊維基材を裏面層の最下層又は中間層に、装飾材の伸縮の防止や寸法安定性を向上させる為に積層することも可能である。
【0021】
表面層及び裏面層は上記の様な実質的にハロゲンを含有しない熱可塑性合成樹脂及び/又は熱可塑性エラストマーから成形されたシートやフイルム、或はチップやフレークを加熱軟化させ、押し固めたインレイド等の単層構造又は積層構造からなる。シートやフイルムはカレンダー成形法、押出成形法及びプレス成形法等によって成形される。
【0022】
本発明の装飾材を床材として使用する場合には、厚さ1〜5mm、幅1〜2mの長尺状に成形するのが良いが、これに限定されるものではなく、使用場所に応じて、厚さ及び大きさを適宜決定して成形する。表面層と裏面層との積層方法、或は裏面層が複層の場合の各層のシートの積層方法は、カレンダー成形或は押出成形と同時に、予め作成したシートを熱融着によって積層したり、成形されたシートをラミネーター装置で加熱及び押圧して熱融着によって積層するか、或は接着剤によってシート同士をドライラミネーション方式等の公知の積層方法によって積層することが出来る。
又、壁装材や天井材、自動車用レザー等として使用する場合も、同様に積層することが出来、シートの厚さは0.1〜1mmの範囲で成形される。シートの幅及び長さは用途に応じて適宜設定される。
【0023】
本発明の装飾材を構成する表面層をも難燃化させる場合には、表面層の厚さが裏面層の厚さの2/5以下であることが好ましく、又、床材として使用する場合は、表面層が0.1mm以上の厚みとするのが耐摩耗性の面から好ましい。又、壁装材やその他の装飾材においても表面層が薄すぎると、裏面層の色が表面層に透けて見えてしまい、表面の意匠性を阻害し、更に引っ掻きによって簡単に表面層が剥げてしまうので、好ましくは表面層の厚さは50μm以上、とりわけ100μm以上とすることが好ましい。
【0024】
本発明の装飾材の表面層には任意の印刷模様を形成したり、表面層を着色したり、或は表面層の上に各種表面処理を施すことも可能である。表面層に印刷模様を形成する場合は、グラビア印刷、スクリーン印刷等で直接印刷したり、印刷模様が形成された転写紙によって転写印刷する等、公知の印刷手段によって任意の印刷模様を形成することが出来る。表面層に表面処理を施す場合も公知の処理剤が使用出来、例えば、ウレタン系処理剤やアクリル系処理剤等が挙げられ、塩化ビニル樹脂等の如くハロゲンが含有されていなければどの様な処理剤を使用してもよい。処理剤の塗工方法はグラビアコートやスプレー等の公知の手段によって行なうことが出来る。更に、表面層を透明層だけで形成したり、印刷した透明シートを積層したり、着色シートに透明シートを積層することも可能である。
【0025】
又、本発明の装飾材の発煙量をより低減させる為に、装飾材全体を架橋させることも可能である。架橋の方法は、例えば、電子線を照射する方法、紫外線照射による方法、或はそれぞれの熱可塑性高分子材料を架橋させることの出来る化学物質(架橋剤)を配合して行うことが出来る。
【0026】
【実施例】
次に実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。
(難燃剤含有シートの形成)
表1の配合に基づいて、テストロールで装飾材の裏面層となるシートの幅300mm、厚さを適宜調整して成形し、1.0mm以上の厚さの場合はシート同士を熱融着によって積層して裏面層シートを成形した。
【0027】
(表1)
【0028】
(非難燃シートの成形)
次に下記表2の配合に基づいて、表面層となるシートをテストロールにより幅300mmとして、シートの厚さはそれぞれ適宜調整して非難燃シートを成形した。
(表2)
【0029】
(注1)エチレン−アクリル酸エチル共重合樹脂
(注2)ポリプロピレン樹脂
(注3)スチレン−ビニルイソプレン−スチレン3元共重合樹脂
(注4)超低密度ポリエチレン樹脂
(注5)水素添加スチレンブタジエンゴム
表1から得られた難燃剤含有シートと、表2から得られた非難燃シートとを加熱溶融させ、厚さ2.0mmに積層シートを成形して本発明の装飾材とした。尚、表2によって成形された厚さ0.5mmのシートを装飾材の表面層とした。
【0030】
実施例1
厚さ1.5mmに成形された配合2の難燃剤含有シートの表面に、厚さ0.5mmに成形された配合5の非難燃シートを積層して、厚さ2.0mmの本発明の装飾材を成形した。
【0033】
比較例1
厚さ1.5mmに成形された配合3の難燃剤含有シートの表面に、厚さ0.5mmに成形された配合5の非難燃シートを積層し、厚さ2.0mmの比較例の装飾材を成形した。
比較例2
厚さ1.5mmに成形された配合4の難燃剤含有シートの表面に、厚さ0.5mmに成形された配合5の非難燃シートを積層し、厚さ2.0mmの比較例の装飾材を成形した。
【0034】
比較例3
厚さ1.0mmに成形された配合1の難燃剤含有シートの表面に、厚さ1.0mmに成形された配合5の非難燃シートを積層し、厚さ2.0mmの比較例の装飾材を成形した。
これらの装飾材の難燃性及び発煙性等について以下の試験を行なった。
(燃焼試験)
上記の各装飾材を試験片とし燃焼試験を行なって、その結果を表3に示した。
装飾材の難燃試験の方法は、アメリカ連邦航空局(FAA)PART25付属書PART−1(12秒間&60秒間垂直燃焼試験)25.853bに準じて行なった。
【0035】
試験片は、両側を金属製の枠で固定した2.0インチ×12.0インチの大きさで、これを垂直に取り付ける。そして、試験片の下部が炎から0.75インチの所に吊るし、12秒間1.5インチの炎にあてる。測定項目は燃焼長、残炎及びドリップ物の焼炎を測定した。
(発煙量測定方法)
ASTM F814−83の試験方法に基づいて行った。試験装置はNBS発煙量測定装置を使用した。
試験片 3インチ×3インチ
評価方法 4分での煙濃度(Ds値)で表した。
Ds=V/AL×log10(100/T)
V:チャンバ容積
A:試料表面積
L:光路長
T:透過率
【0036】
表3(測定結果)
【0037】
「難燃性及び発煙性の評価」
評価基準は、燃焼長最大平均8インチ以下、残炎は最大平均15秒以下、ドリップ物の燃焼は最大平均5秒以下が合格、発煙量は4分のDs値で150以下を合格とした。
「表面層の隠蔽性の評価」
表面層の隠蔽性は、肉眼で判断し、
○:裏面層の色が隠蔽されている、
△:表面の色の薄い部分において多少裏面層の色が透けて見える、
×:全く隠蔽性がない
と評価した。
【0038】
「表面層の耐摩耗性の評価」
表面層の耐摩耗性は、テーバー摩耗試験(JIS A1453)にて測定した。
測定条件
荷重:15kg
回転数:500回転
摩耗輪:H−22
評価基準
○:試験後に裏面層が全く見えない。
△:試験後に裏面層が僅かに透けて見える。
×:試験後に裏面層まで摩耗する。
【0039】
【発明の効果】
本発明の装飾材は、
(請求項1)の構成により、表面層に難燃剤を添加しなくても、裏面層に膨張性黒鉛と、水和金属化合物及び錫化合物の3種の化合物を添加することにより、装飾材の構成体として低発煙性で優れた難燃効果を示し、しかもハロゲン系の樹脂や難燃剤を使用していないので環境にも良く、又、表面層には難燃剤が添加されていないので自由に色や模様を施すことが出来、更には耐汚染性、耐傷性に優れた装飾材を提供することが出来る。
【0040】
(請求項2)の構成により、請求項1の効果に加え、装飾材の裏面全層に膨張性黒鉛を入れなくても難燃効果が得られ、経済的に有意である。さらにより自消性及び低発煙性に優れた装飾材となる。
(請求項3)の構成とし、表面層の厚さを50μm以上で、且つ裏面層の厚さの2/5以下の厚みとすることにより、隠蔽性、耐摩耗性、耐スクラッチ性等の表面性能が向上し、且つ低発煙性で、且つ難燃性に優れた装飾材を得ることが出来る。
Claims (3)
- ハロゲンを含有しない熱可塑性高分子材料によって成形された表面層と裏面層とから構成される難燃性装飾材において、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムおよびほう酸亜鉛から選ばれる水和金属化合物と、膨張性黒鉛と、亜鉛水和錫化合物(ZnSn(OH) 6 )、亜鉛錫酸塩(ZnSnO 3 )、錫酸化物(SnO 2 )および水和錫化合物(SnO 2 xH 2 O)から選ばれる錫化合物とからなる難燃材料が裏面層に添加されていることを特徴とする難燃性装飾材。
- 裏面層が積層構造からなり、少なくとも表面層に接する裏面層の層に、水和金属化合物と膨張性黒鉛と錫化合物とからなる難燃材料が添加されている請求項1に記載の難燃性装飾材。
- 表面層の厚さが50μm以上で、且つ裏面層の厚さの2/5以下である請求項1又は請求項2に記載の難燃性装飾材。
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