JP4391113B2 - 発泡壁紙 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、建築物の壁面内装等に用いられる発泡層を備えた発泡壁紙に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、建築物の壁面内装等に用いられる発泡壁紙としては不燃紙、難燃紙等の通常壁紙用裏打紙といわれる紙基材上に塩化ビニル系樹脂からなる発泡層を備えると共に該発泡層上に絵柄層、表面層を設けたものや凹凸模様を設けたものなどが一般的であった。しかしながら、塩化ビニル系樹脂は燃焼時に塩化水素ガスを発生するために焼却処分時等に塩化水素ガスの処理に費用がかかるといった問題、あるいは、焼却炉を損傷する虞があるといった問題や焼却炉の損傷を防止するために特別な炉材を使用しなくてはならないといった問題等から塩化ビニル系樹脂に代わる樹脂からなる発泡壁紙が要望されるようになっている。このような状況下において、耐薬品性や耐摩耗性、耐熱性などの壁紙に要求される諸物性に優れると共に安価であり、また、製造が容易であることなどの理由から塩化ビニル系樹脂に代えてオレフィン系樹脂を用いた発泡層を形成した発泡壁紙が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、特許文献1記載の壁紙は、発泡層がオレフィン系樹脂からなるために、前記発泡層上に絵柄層を形成する場合には前記発泡層に対する前記絵柄層の接着が強固ではなく、実使用に耐える接着強度とするために前記発泡層と前記絵柄層との間に印刷用プライマー層を設ける手段が一般的に採られるが、絵柄層の色数によっては別工程で印刷用プライマー層を形成しなければならないといった問題(コストアップ)や印刷用プライマー層を設けるために絵柄層を形成するための色数が制限されるといった問題(意匠に制限)があり、また別の問題として、オレフィン系樹脂は可燃性であるために無機等の充填剤をオレフィン系樹脂に添加することにより難燃性を付与しているが、この充填剤の影響と発泡層の絵柄層側に、発泡層を発泡させた際に発生する発泡ガスのガス抜けを防止する手段が講じられていないことから、均一な発泡セルからなる発泡層を得ることが難しく、また、発泡ガスのガス抜けにより滑らかな発泡層表面を得ることが難しいという問題、さらに、表面がポーラスなために耐スクラッチ性が劣るという問題があった。
【0004】
【特許文献1】
実公平6−50555号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、印刷用プライマー層を設けることなく絵柄層の接着性を向上させることができると共に均一な発泡セルと滑らかな表面を有し、耐スクラッチ性に優れた発泡壁紙を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記目的を達成するために、請求項1記載の本発明は、紙基材上に、エチレン系樹脂からなる発泡層、エチレン系樹脂からなる保護層、表面層が順に設けられた発泡壁紙において、前記保護層が20質量%以上50質量%未満のポリエーテルポリオールを含有する高密度ポリエチレンからなる層であり、前記発泡層を形成するエチレン系樹脂よりも前記保護層を形成する高密度ポリエチレンの方が融点が高いことを特徴とするものである。このように構成することにより、印刷用プライマー層を設けることなく表面層の接着性を向上させた発泡壁紙とすることができる。
【0007】
また、請求項2記載の本発明は、請求項1記載の発泡壁紙において、前記保護層が2層からなり、前記表面層側に位置する層がポリエーテルポリオールを含有する層であることを特徴とするものである。このように構成することにより、前記保護層をTダイ押出機で2層共押出することができ、ポリエーテルポリオールを含有する層を薄膜としても膜切れ等することがなく生産性よく形成することができる。また、ポリエーテルポリオールを含有する層のポリエーテルポリオール量を増やしても膜切れ等することがなく生産性よく形成することができる。
【0008】
また、請求項3記載の本発明は、請求項1、2のいずれかに記載の発泡壁紙において、前記紙基材と前記発泡層との間にエチレン系樹脂からなる被覆層が設けられていることを特徴とするものである。このように構成することにより、Tダイ押出機で発泡層を被覆層と保護層とでサンドイッチした状態で3層共押出することができ、発泡層に難燃性を付与する無機充填剤等の添加剤を添加したとしても、この添加剤がTダイ押出機のリップに付着することがなく、この付着によって発生する、たとえば、リップに傷を付けるといった問題や押出た溶融膜に筋が入るといった問題を防止することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
上記の本発明について、図面等を用いて以下に説明する。
図1は本発明にかかる発泡壁紙の層構成の一実施例を図解的に示す図、図中の1は発泡壁紙、2は紙基材、3は発泡層、4は保護層、5は絵柄層、6は表面層をそれぞれ示す。
【0010】
図1より明らかなように本発明にかかる発泡壁紙1は、紙基材2上に、エチレン系樹脂からなる発泡層3、ポリエーテルポリオールを含有するエチレン系樹脂からなる保護層4、絵柄層5、表面層6を順に形成したものである。
【0011】
前記紙基材としては、壁紙用の難燃紙(パルプ主体のシートをスルファミン酸グアニジン、リン酸グアニジンなどの難燃剤で処理したシート)、水酸化アルミニウムや水酸化マグネシウムなどの無機質剤を混抄した無機質紙、上質紙,薄用紙,和紙等の一般紙など、通常壁紙用裏打紙といわれているものなどを用いることができ、その坪量としては20〜300g/m2が適当であり、好ましくは40〜110g/m2である。
【0012】
前記発泡層3を形成する樹脂としては、加工適性や発泡適性等を考慮するとエチレン系樹脂が適当であり、例示するならば、エチレン単独重合体、主成分のエチレンとエチレン以外のαオレフィンやビニルエステルとの共重合体(たとえば、エチレン−酢酸ビニル共重合体など)、あるいは、主成分のエチレンと不飽和カルボン酸エステルとの共重合体(たとえば、エチレン−メチルアクリレート、エチレン−エチルアクリレートなど)、あるいは、これらの2種以上の混合物などを挙げることができるが、前記発泡層3を形成する樹脂よりも後述する保護層4を形成する樹脂の方が高融点となるように適宜選択して用いるのが好ましい。
【0013】
また、前記発泡層3には、壁紙に要求される難燃性を付与するために、必要に応じて無機充填剤を添加してもよい。この無機充填剤としては炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、三酸化アンチモン、ホウ酸亜鉛、モリブデン化合物等の周知のものを用いることができるが、コストや安全性、添加量に対する効果を考慮すると水酸化アルミニウム、炭酸カルシウムが好ましい。無機充填剤の添加量としては、樹脂100重量部に対して概ね0〜50重量部である。
【0014】
また、前記発泡層3を形成するための発泡剤としては、オレフィン系樹脂の発泡剤として通常使用されている各種の発泡剤を用いることができ、たとえば、アゾジカルボンアミド(ADCA)、アゾビスホルムアミド等のアゾ系化合物、4,4’−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド等のヒドラジット系化合物等の1種ないしそれ以上を用いることができ、添加量としては意匠等を考慮して適宜決めればよいが、概ね樹脂100重量部に対して2〜15重量部である。また、前記発泡層3には、必要に応じて顔料等を添加して着色することができるし、また、必要に応じて発泡セル調整剤、熱安定剤、難燃剤等の周知の助剤を添加することができる。
【0015】
また、前記発泡層3の形成方法としては、発泡層形成組成物を前記紙基材2上に積層して後に前記発泡樹脂層形成組成物を発泡させて発泡層を形成する。また、Tダイ式押出し法、カレンダー法により発泡層形成組成物をシート・フィルム化すると同時に前記紙基材2上に積層することもできる。さらに、発泡層形成組成物が加工温度において高い流動性を示すものである場合には、ロールコート法、グラビアコート法、コンマコート法等の周知の塗布技術を採用することもできる。
【0016】
また、前記保護層4は耐スクラッチ性の向上および発泡ガスのガス抜けを防止して均一な発泡セルおよび滑らかな表面からなる発泡層3を得ると共に印刷用プライマー層を設けることなく後述する絵柄層5との接着性を向上させるために設けられるものであり、この層を形成する樹脂としては、加工適性や前記発泡層3との接着性等を考慮すると前記発泡層3で説明したエチレン系樹脂が適当であり、形成方法としては単層のTダイ押出機ないし複層のTダイ押出機(共押出機)を用いてTダイ押出し法で塗布形成するのが適当である。また、前記保護層4の膜厚としては2〜15μmが適当である。
【0017】
また、前記保護層4を単層とする場合は、エチレン系樹脂の中でも高密度ポリエチレンが好適である。この理由としては、前記保護層4には後述する絵柄層5との接着性を向上させるためにポリエーテルポリオールを含有させた層であり、このポリエーテルポリオールは前記保護層4の融点を下げる方向に作用するために、発泡時に前記発泡層3と相溶状態とならないように融点の高い樹脂で形成した前記保護層4が望ましいからである。なお、前記保護層4に含有されるポリエーテルポリオールは、前記保護層4を形成する高密度ポリエチレンの20質量%以上50質量%未満が適当である。ポリエーテルポリオールの含有量が20質量%より少ないと前記保護層4の絵柄層5(後述する)、あるいは、表面層6(後述する)を形成する面の濡れ指数が40dyn/cm(JISK6768)未満となり、絵柄層5、あるいは、表面層6の前記保護層4に対する接着強度の向上が図り難くなり、また、ポリエーテルポリオールの含有量が50質量%以上では、発泡時に前記発泡層3と相溶状態となり、発泡ガスのガス抜けが発生する虞があり、耐スクラッチ性も低下する虞が生じる。
【0018】
また、前記保護層4を複層、たとえば、2層とする場合は、表面層6側にポリエーテルポリオール含有層を配置させることにより、絵柄層5、あるいは、表面層6の形成に適したものとすることができると共に、前記発泡層3側に位置する層を高密度ポリエチレン層等で形成することにより発泡ガスのガス抜け防止に適した構成とすることができ、前記保護層4を単層で形成する場合に比べて、安価なものとすることができる。ちなみに、2層とする場合の厚さとしては、表面層6側が5μm程度、前記発泡層3側が10μm程度に形成すればよいものである。
【0019】
また、前記保護層4の形成方法としては、上記した方法に限ることはなく、たとえば、マルチマニホールドタイプのTダイ押出機を用いて前記発泡層3を形成する発泡層形成組成物と、共押出法により前記紙基材2上に一体形成してもよいものである。なお、前記保護層4は透明であってもよいし、不透明であってもよいし、また、顔料等で透明ないし不透明に着色したものであってもよいものである。また、前記保護層4は、必要に応じて熱安定剤、難燃剤等の周知の助剤を添加することができる。
【0020】
また、前記ポリエーテルポリオールとしては、化合物の1分子中に水酸基を2個以上含み、かつ、エーテル結合を分子中に有する化合物であり、このような化合物としては、たとえば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイドの単独重合物ないし共重合物、および、エチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、シュークローズ、メチルグルコシド等のポリオール類、トール油、ロジン酸、ヒマシ油等のカルボン酸およびアルデヒドと、オレフィン類、芳香族炭化水素類等の他の化合物との反応によって得られる2個以上の水酸基を有する化合物に、必要に応じてエチレンオキサイドないしプロピレンオキサイドを付加した付加化合物、および、これら化合物の誘導体等を挙げることができ、これら化合物は1ないし2以上を適宜選択して用いることができる。
【0021】
また、図示はしなかったが、前記紙基材2と前記発泡層3との間に設ける被覆層は、加工適性や前記発泡層3との接着性、あるいは、紙基材との接着性等を考慮すると前記発泡層3で説明したエチレン系樹脂が適当である。
【0022】
また、前記絵柄層5としては、グラビア印刷、オフセット印刷、シルクスクリーン印刷、インキジェット印刷、転写シートからの転写印刷等周知の印刷法によりインキにて形成することができる。絵柄層の絵柄としては、木目模様柄、石目模様柄、布目模様柄、皮紋模様柄、幾何学図形模様柄、文字、記号、あるいは、全面ベタ模様柄等がある。インキとしては、ビヒクルとして、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン等の塩素化ポリオレフィン、ポリエステル、イソシアネートとポリオールからなるポリウレタン、ポリアクリル、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、セルロース系樹脂、ポリアミド系樹脂等を1種ないし2種以上混合して用い、これに顔料、溶剤、各種補助剤等を加えてインキ化したものを用いることができるが、燃焼時の問題を考慮すると、ポリエステル、イソシアネートとポリオールからなるポリウレタン、ポリアクリル、ポリ酢酸ビニル、セルロース系樹脂、ポリアミド系樹脂等の1種ないし2種以上混合した非塩素系のビヒクルが好適であり、前記保護層4との接着性を考慮して適宜選択して用いることができる。
【0023】
また、前記表面層6は艶調整や表面物性を向上させるために設ける層であり、前記絵柄層と同様なビヒクルを用いて同様な方法で形成することができ、求められる表面物性により適宜なビヒクルを選択して形成すればよいものであり、また、艶調整の方法としては、シリカ等のマット剤を混練りしたインキにて形成すればよいものである。
【0024】
また、前記発泡壁紙1は必要に応じて凹凸模様を形成することができる。前記凹凸模様の形成方法としては、周知の枚葉、あるいは、輪転式のエンボス機を用いて前記発泡層や前記保護層4が軟化した状態にあるときに、表面層側からエンボス版で凹凸を施して後に冷却することにより、形成することができる。前記凹凸模様としては木目板導管溝、石板表面凹凸、布表面テクスチュア、梨地、砂目、ヘアライン、万線状溝等がある。
【0025】
また、前記発泡層3、前記保護層4、前記絵柄層5、前記表面層6には、紫外線による劣化を防止し、耐候性を向上させる目的で、必要に応じてヒンダードアミン系光安定剤や、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、サリチル酸エステル系、シアノアクリレート系等の周知の紫外線吸収剤や、フェノール系酸化防止剤等の周知の酸化防止剤を添加することができる。なお、今までの説明においては、絵柄層5を設けた構成で説明したが、前記絵柄層5については設けなくてもよいものである。
【0026】
【実施例】
上記の本発明について、以下に実施例を挙げて、さらに詳しく説明する。
実施例1
65g/m2の壁紙用裏打紙〔名古屋パルプ(株)製の普通紙〕に表1のAに示す配合の保護層樹脂組成物および発泡層樹脂組成物および被覆層樹脂組成物をTダイ押出機から130μm厚さに3層共押出し、壁紙用裏打紙/被覆層15μm/発泡層樹脂組成物層100μm/保護層15μmの積層体を作製し、該積層体の前記保護層面にアクリル系インキ〔大日精化工業(株)製:ハイドリック(商品名)〕でグラビア印刷して抽象模様柄の絵柄層と表面層とを形成した。このものを炉内温度220℃の発泡炉で1分間加熱して前記発泡層樹脂組成物を発泡させて本発明の発泡壁紙を得た。なお、保護層の濡れ指数は44dyn/cm(JISK6768)であった。
【0027】
実施例2
65g/m2の壁紙用裏打紙〔名古屋パルプ(株)製の普通紙〕に表1のBに示す配合の保護層樹脂組成物および発泡層樹脂組成物および被覆層樹脂組成物をTダイ押出機から130μm厚さに3層共押出し、壁紙用裏打紙/被覆層15μm/発泡層樹脂組成物層100μm/保護層15μmの積層体を作製し、該積層体の前記保護層面にアクリル系インキ〔大日精化工業(株)製:ハイドリック(商品名)〕でグラビア印刷して抽象模様柄の絵柄層と表面層とを形成した。このものを炉内温度220℃の発泡炉で1分間加熱して前記発泡層樹脂組成物を発泡させて本発明の発泡壁紙を得た。なお、保護層の濡れ指数は52dyn/cm(JISK6768)であった。
【0028】
実施例3
65g/m2の壁紙用裏打紙〔名古屋パルプ(株)製の普通紙〕に表1のCに示す配合の保護層樹脂組成物および発泡層樹脂組成物および被覆層樹脂組成物をTダイ押出機から130μm厚さに3層共押出し、壁紙用裏打紙/被覆層15μm/発泡層樹脂組成物層100μm/保護層15μmの積層体を作製し、該積層体の前記保護層面にアクリル系インキ〔大日精化工業(株)製:ハイドリック(商品名)〕でグラビア印刷して抽象模様柄の絵柄層と表面層とを形成した。このものを炉内温度220℃の発泡炉で1分間加熱して前記発泡層樹脂組成物を発泡させて本発明の発泡壁紙を得た。なお、保護層の濡れ指数は55dyn/cm(JISK6768)であった。
【0029】
参考例
65g/m2の壁紙用裏打紙〔名古屋パルプ(株)製の普通紙〕に表1のDに示す配合の保護層樹脂組成物および発泡層樹脂組成物および被覆層樹脂組成物をTダイ押出機から130μm厚さに3層共押出し、壁紙用裏打紙/被覆層15μm/発泡層樹脂組成物層100μm/保護層15μmの積層体を作製し、該積層体の前記保護層面にアクリル系インキ〔大日精化工業(株)製:ハイドリック(商品名)〕でグラビア印刷して抽象模様柄の絵柄層と表面層とを形成した。このものを炉内温度220℃の発泡炉で1分間加熱して前記発泡層樹脂組成物を発泡させて発泡壁紙を得た。なお、保護層の濡れ指数は57dyn/cm(JISK6768)であった。
【0030】
比較例1
65g/m2の壁紙用裏打紙〔名古屋パルプ(株)製の普通紙〕に表1のEに示す配合の保護層樹脂組成物および発泡層樹脂組成物および被覆層樹脂組成物をTダイ押出機から130μm厚さに3層共押出し、壁紙用裏打紙/被覆層15μm/発泡層樹脂組成物層100μm/保護層15μmの積層体を作製し、該積層体の前記保護層面にコロナ放電処理を施した後にエチレン−酢酸ビニル共重合体系プライマー、アクリル系インキ〔大日精化工業(株)製:ハイドリック(商品名)〕の順でグラビア印刷して抽象模様柄の絵柄層と表面層とを形成した。このものを炉内温度220℃の発泡炉で1分間加熱して前記発泡層樹脂組成物を発泡させて比較例とする発泡壁紙を得た。なお、コロナ放電処理前の保護層面の濡れ指数は30dyn/cm(JISK6768)であった。
【0031】
比較例2
65g/m2の壁紙用裏打紙〔名古屋パルプ(株)製の普通紙〕に表1のFに示す配合の発泡層樹脂組成物をTダイ押出機から130μm厚さに押出し、壁紙用裏打紙/発泡層樹脂組成物層130μmの積層体を作製し、該積層体の前記発泡層樹脂組成物層面にコロナ放電処理を施した後にグラビア印刷によりエチレン−酢酸ビニル共重合体系プライマー層を設け、該プライマー層上にアクリル系インキ〔大日精化工業(株)製:ハイドリック(商品名)〕でグラビア印刷して抽象模様柄の絵柄層と表面層とを形成した。このものを炉内温度220℃の発泡炉で1分間加熱して前記発泡層樹脂組成物を発泡させて比較例とする発泡壁紙を得た。なお、コロナ放電処理前の発泡層樹脂組成物層面の濡れ指数は30dyn/cm(JISK6768)であった。
【0032】
【表1】
【0033】
上記で作製した実施例1〜3、参考例、および、比較例1、2の発泡壁紙について、ベルマースクラッチ法にて荷重500gで耐性テストを行ない、従来の塩化ビニル発泡壁紙との相対比較で評価し、耐スクラッチ性が同等であるものを良好として○印で示し、耐スクラッチ性が劣るものの実用上問題ないレベルのものを可として△印で示し、耐スクラッチ性において実用レベルでないものを不良として×印で示して評価し、その評価結果を表2に示した。表2からも明らかなように、実施例1〜3の発泡壁紙は、比較例1、2に比べて印刷用プライマー層を設けることなく、耐スクラッチ性に優れた発泡壁紙とすることができる。また、参考例の発泡壁紙は、ポリエチレンオキサイドの含有量が多く、濡れ指数は良好であるが、耐スクラッチ性において劣る発泡壁紙となった。
【0034】
【表2】
【0035】
【発明の効果】
本発明の発泡壁紙は、今まで縷々説明したように、紙基材上に、エチレン系樹脂からなる発泡層、エチレン系樹脂からなる保護層、表面層を順に積層し、前記保護層をポリエーテルポリオールを含有する層とすることにより、印刷用プライマー層を設けることなく表面層の接着性を向上させることができると共に均一な発泡セルと滑らかな表面を有し、耐スクラッチ性や耐汚染性に優れた発泡壁紙を提供することができるという効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明にかかる発泡壁紙の層構成の一実施例を示す図である。
【符号の説明】
1 発泡壁紙
2 紙基材
3 発泡層
4 保護層
5 絵柄層
6 表面層
Claims (3)
- 紙基材上に、エチレン系樹脂からなる発泡層、エチレン系樹脂からなる保護層、表面層が順に設けられた発泡壁紙において、前記保護層が20質量%以上50質量%未満のポリエーテルポリオールを含有する高密度ポリエチレンからなる層であり、前記発泡層を形成するエチレン系樹脂よりも前記保護層を形成する高密度ポリエチレンの方が融点が高いことを特徴とする発泡壁紙。
- 前記保護層が2層からなり、前記表面層側に位置する層がポリエーテルポリオールを含有する層であることを特徴とする請求項1記載の発泡壁紙。
- 前記紙基材と前記発泡層との間にエチレン系樹脂からなる被覆層が設けられていることを特徴とする請求項1、2のいずれかに記載の発泡壁紙。
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