JP4793202B2 - 壁紙 - Google Patents

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本発明は施工性、生産安定性及び生産安全性に優れた壁紙に関する。
壁紙等の建築内装材としては、火災に対する安全性の面から、難燃性が要求され、建築基準法で一定の難燃性が義務づけられている場合も多い。また、建築内装材には、室内の居住空間としての快適性を高める為に高い意匠性が求められ、特に立体的な意匠を持たせる為には、柔軟性のみでなく高度に発泡させ得る材料が有利となる。こうした要求に応える材料として、塩化ビニル樹脂層上に印刷などして絵柄層を設けたもの、あるいは、さらに前記塩化ビニル樹脂層を発泡させると共にエンボス加工を施すなどして凹凸模様を施したものが広く用いられている。しかし、これらの壁紙は耐汚染性及び表面強度が十分ではないといった問題がある。これは前記壁紙が、汚染性等に問題がある塩化ビニル樹脂から構成され、また、施工性や意匠性を高めることを目的に、発泡や凹凸模様を形成する加工を行うことにより壁紙の表面に微細な凹凸や空隙が生じるためである。
前記問題を解決するために、発泡剤を含む熱可塑性樹脂からなる発泡樹脂層を有する壁紙の表面に耐汚染性等に優れたフィルム、例えばアクリル系樹脂フィルム、ポリウレタン系樹脂フィルム、フッ素系樹脂フィルム、エチレン−ビニルアルコール系共重合体樹脂フィルム等を、接着剤等により貼り合わせて表面保護層とする方法が提案されている(例えば特許文献1及び2)。これにより、従来の壁紙に耐汚染性を付与することはできたが、上記のような吸湿等により伸縮しないフィルムと伸縮する紙基材とでは、水中伸度が大きく異なるために、施工時に糊を塗工した後に壁紙が大きくカールしたり、施工後に生じる目開きするといった問題が生じた。
紙基材の水中伸度を抑える方法としては、主に紙に樹脂を内添させる方法、及び緊張乾燥により水濡れ時の伸びを抑える方法が挙げられる。しかし、紙に樹脂を内添させる方法は、樹脂を多量に必要とするためにコスト面での課題が大きい。また、緊張乾燥による方法は、紙の抄造工程においてヤンキードライヤーを用いて緊張乾燥を行うが、ヤンキードライヤーによって抄造された裏打紙は片艶紙(以下、片艶裏打紙という。)となり、塗工面の平滑性が非常に高くなるために、発泡樹脂層をなす樹脂塗工液を塗工する際に、堰漏れと呼ばれる現象を起こすといった生産安定性の点で問題があった。さらに、発泡樹脂層をなす樹脂塗工液を塗工した後に、塗工面の平滑性が高くなるため、一旦ロールで巻き取った樹脂塗工液を塗工した後の壁紙を、次工程で巻き出す際に静電気を発生し、現場における生産安全性の点においても問題があった。
特開2001−260287号公報 特開2001−260261号公報
本発明は、このような状況の下で、施工性、生産安定性、及び生産安全性に優れた壁紙を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、基材として用いられる片艶裏打紙の表面平滑度を特定することにより、施工性、生産安定性、及び生産安全性に優れた壁紙を得ることができた。
すなわち、本発明は、
(1)基材上に少なくとも発泡樹脂層とフィルム層とが順に積層され、該基材のJIS P8119に準拠して測定される表面平滑度が40秒以下である片艶裏打紙である壁紙、
(2)前記の片艶裏打紙の水中伸度が1.2%以下である上記(1)に記載の壁紙、
(3)さらに、フィルム層の上に表面保護層が積層され、該表面保護層が電離放射線硬化性樹脂組成物を架橋硬化してなる上記(1)又は(2)に記載の壁紙、
(4)前記の発泡樹脂層を構成する樹脂がポリ塩化ビニル系樹脂である上記(1)〜(3)のいずれかに記載の壁紙、
(5)前記の発泡樹脂層を構成する樹脂がエチレン−酢酸ビニル系共重合体樹脂である上記(1)〜(3)のいずれかに記載の壁紙、
(6)前記のフィルム層を構成する樹脂が、ポリオレフィン系樹脂である上記(1)〜(5)のいずれかに記載の壁紙、
(7)前記のフィルム層を構成する樹脂が、エチレン−ビニルアルコール系共重合体樹脂である上記(1)〜(5)のいずれかに記載の壁紙、及び
(8)表面保護層側から機械的にエンボス加工が施される上記(1)〜(7)のいずれかに記載の壁紙、
を提供するものである。
本発明によれば、施工性、生産安定性、及び生産安全性に優れた壁紙を提供することができる。
本発明の壁紙の典型的な構造を、図1を用いて説明する。図1は本発明の好ましい壁紙1の断面を示す模式図である。図1に示す例では、本発明の壁紙1は、所定の表面平滑度を有する片艶紙の裏打紙(以下、片艶裏打紙という。)である基材2上に発泡樹脂層3、絵柄層5、接着剤層9、フィルム層4、プライマ層7及び電離放射線硬化性樹脂組成物が架橋硬化してなる表面保護層6が順次積層されたものである。
[基材2]
以下、本発明の好ましい実施形態の一つを示した図1に基づいて、詳細に説明する。
本発明にかかる基材2は、片艶裏打紙であり、JIS P8119に準拠して測定される表面平滑度が40秒以下であることを要する。ここで、表面平滑度が大きいほど、表面平滑性が高いことを示す。また、カール防止の観点より、水中伸度1.2%以下であることが好ましい。ここで、水中伸度はJAPAN TAPPI紙パルプ試験方法No.27:2000に準拠して測定された値である。
基材2の厚さについては特に制限はないが、坪量は、通常50〜300g/m2程度、好ましくは60〜160g/m2の範囲である。
本発明にかかる片艶裏打紙は、紙の抄造工程においてヤンキードライヤーを用いて乾燥させることによって、製造される。該片艶裏打紙は、紙シートが伸びた状態のまま平滑な表面を有するヤンキードライヤー表面を写し取るようにして乾燥されるので、片面が非常に高い表面平滑性を有する。このようにして得られる片艶裏打紙を壁紙に用いると、壁紙施工時に糊を塗工しても、壁紙のカールはほとんど生じない。これは、片艶裏打紙が伸びた上体のまま乾燥されることで、糊を塗工しても伸びが生じないためだと考えられる。一方、表面平滑性が高すぎると、上記のように生産安定性及び生産安全性の点で問題が生じるため、本発明の壁紙では、片艶裏打紙の表面平滑度が40秒以下であることを要している。本発明の壁紙においては、基材となる片艶裏打紙の上層部となる発泡樹脂層等を、片艶裏打紙のいずれの面に設けてもよいが、艶を有さない面に上層部を設けると、糊の塗工量を削減することが可能となるので好ましい。
上記の片艶裏打紙は、木材パルプを使用して抄紙することが好ましいが、表面平滑度が40秒以下であれば、木材パルプ以外の非木材パルプ、有機合成繊維、無機繊維等を使用することも可能である。なお、本発明の効果が損なわれない範囲内で、難燃剤、無機質剤、乾燥紙力増強剤、湿潤紙力増強剤、着色剤、サイズ剤、定着剤等を適宜添加してもよい。
また、ヤンキードライヤーによる乾燥条件は、片艶裏打紙の表面平滑度が40秒以下であれば特に限定されるものではないが、一般に、水分が30〜70質量%の湿紙シートを80〜140℃のヤンキードライヤーシェルに接触させ、水分が3〜10質量%程度になるまで乾燥させるのが好ましい。
[発泡樹脂層3]
本発明にかかる発泡樹脂層3は、壁紙に難燃性を付与するために設けられるものであり、発泡樹脂層3をなす発泡樹脂組成物は、発泡剤と無機充填剤を含む樹脂からなることが好ましい。
発泡樹脂層を構成する樹脂としては熱可塑性樹脂が好ましく、熱可塑性樹脂としては、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリエチレン系、ポリプロピレン系、及びポリブテン系等のポリオレフィン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル系共重合体樹脂、ポリスチレン等のポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン系共重合体樹脂(ABS系樹脂)、アクリロニトリル−スチレン系共重合体樹脂、ナイロン、ポリアセタール系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリウレタン系樹脂等の熱可塑性樹脂単体及び共重合体、あるいは、これらの混合樹脂を挙げることができる。中でも、塩化ビニル系樹脂が、成膜性、柔軟性、低温での加工性を有し、比較的低コストな壁紙とすることができるので好ましく、また環境保護の観点からポリオレフィン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル系共重合体樹脂が好ましい。
発泡樹脂層3は、発泡樹脂組成物を、例えばエマルジョン化してエマルジョン組成物としたものを、又はペレット化したものを、コンマコーター法や、押出製膜法、カレンダー製膜法等の方法によって形成することができる。ここで、エマルジョン化は通常なされる方法ですることができ、エマルジョン組成物は例えば、発泡樹脂組成物中の熱可塑性樹脂を乳化重合法等によりエマルジョン化した後に、後述する発泡剤、無機充填剤を所定量加えて得ることができる。
また、発泡樹脂層3の厚みは、製膜状態において50〜300μmが好ましく、発泡後の厚みは500〜1200μmが好ましい。
[発泡樹脂層3:発泡剤]
本発明にかかる発泡樹脂層3に用いられる発泡剤としては、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸アンモニウム、亜硝酸アンモニウムなどの無機発泡剤、N,N'−ジメチル−N,N'−ジニトロソテレフタルアミド、N,N'−ジニトロソペンタメチレンテトラミンなどのニトロソ化合物、アゾジカルボンアミド、アゾビスホルムアミド、アゾビスイソブチロニトリル、アゾシクロヘキシルニトリル、アゾジアミノベンゼン、バリウム・アゾジカルボキシレートなどのアゾ化合物、ベンゼンスルホニルヒドラジド、トルエンスルフォニルヒドラジド、p,p'−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、ジフェニルスルホン−3,3'−ジスルホニルヒドラジドなどのスルホニルヒドラジド化合物、カルシウムアジド、4,4'−ジフェニルジスルホニルアジド、p−トルエンスルホニルアジドなどのアジド化合物などが挙げられる。低コストであるとともに、分解熱が小さく、難燃性かつ自己消化性に優れ、水に安定であり、無毒であり、熱分解型化学発泡剤が分解温度以下での加工処理が可能であることから、アゾジカルボンアミド、アゾビスホルムアミド等のアゾ化合物の熱分解型発泡剤が好適である。
発泡剤の添加量としては、要求される意匠性により適宜決めればよいが、発泡樹脂層3の熱可塑性樹脂100質量部に対して、0.5〜15質量部が好ましい。なお必要に応じて、一層の発泡効果を向上させるために発泡剤の分解を促進する発泡助剤を併用することができる。その発泡助剤としては使用する発泡剤の種類により異なるが、例えば発泡剤としてアゾジカルボンアミドを用いる場合には発泡助剤として酸化亜鉛、硫酸鉛、尿素、ステアリン酸亜鉛等が用いられる。
[発泡樹脂層3:無機充填剤]
本発明にかかる発泡樹脂層3に用いられる無機充填剤は、特に制限はなく、様々なものを用いることができる。
無機充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、フライアッシュ、脱水汚泥、天然シリカ、合成シリカ、カオリン、クレー、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、アルミナ、水酸化マグネシウム、タルク、マイカ、ハイドロタルサイト、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、焼成タルク、ウォラストナイト、チタン酸カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、燐酸マグネシウム、セピオライト、ゾノライト、ホウ酸アルミニウム、シリカバルーン、ガラスフレーク、ガラスバルーン、シリカ、製鉄スラグ、銅、鉄、酸化鉄、カーボンブラック、センダスト、アルニコ磁石、各種フェライト等の磁性粉、セメント、ガラス粉末、珪藻土、三酸化アンチモン、マグネシウムオキシサルフェイト、水和アルミニウム、水和石膏、ミョウバン、等が挙げられる。中でも、分解温度が低く、吸熱量が大きく、低コストであることから水酸化アルミニウムが好適である。なお、これら無機充填剤は単独で用いられてもよいが、2種以上が併用されてもよい。
これらの無機充填剤は、本発明の壁紙に難燃性を付与する効果を有し、かつ、多量に配合されると、その効果は一層増大する。壁紙の難燃性を十分得るには、発泡樹脂層3の熱可塑性樹脂100質量部に対して、100質量部以上の無機添加剤を配合することが好ましい。
本発明において用いる無機充填剤の平均粒径は、5〜25μmが好ましく、5〜15μmがさらに好ましい。
これらの無機充填剤は、そのまま配合してもよいが、無機充填剤を予めシラン系、チタネート系、アルミネート系、ジルコアルミニウム系等のカップリング剤、りん酸系、脂肪酸系等の界面活性剤、油脂、ワックス、ステアリン酸、シランカップリング剤等により処理してもよい。
また、発泡樹脂層3は要求される物性に応じて、各種添加剤を配合することができる。添加剤としては、例えば防カビ剤、防虫剤、防腐剤、抗菌剤、希釈剤、消臭剤、光安定剤、可塑剤などが挙げられる。
[フィルム層4]
本発明にかかるフィルム層4は、発泡樹脂層3の上に設けられる層であり、耐汚染性、耐セロファンテープ性、耐擦傷性、耐薬品性等の表面性能を付与する目的で、図1に示されるように絵柄層5の上面に必要に応じて設けられる接着剤層9を介して積層される。
フィルム層4を構成する樹脂としては、特に制限はないが、ポリエチレン系、ポリプロピレン系、ポリブテン系等のポリオレフィン系樹脂、エチレン−ビニルアルコール系共重合体樹脂、メタクリル系樹脂、熱可塑性ポリエステル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、フッ素系樹脂などの熱可塑性樹脂単体及び各種共重合体樹脂を挙げることができ、中でもポリオレフィン系樹脂、エチレン−ビニルアルコール系共重合体樹脂が好ましい。
また、これらの樹脂からなる透明又は半透明な市販のフィルムを好ましく使用することができる。市販されるフィルムとしては、ポリオレフィン系樹脂フィルム、ウレタン系又はアクリル系コート剤でコートしたポリオレフィン系樹脂フィルム、エチレン−ビニルアルコール系共重合体樹脂フィルム、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、エチレンテトラフロロエチレン等のフッ素系樹脂フィルムが挙げられる。中でも、ポリオレフィン系樹脂フィルムが好ましく、耐汚染性、耐セロファンテープ性、耐擦傷性、耐薬品性等の表面性能を付与し、エンボス加工において優れた凹凸追従性を示す、すなわち縦方向の引張伸度が十分大きく、必要に応じて照射する電離放射線により崩壊することなく、製造コストが安く、また燃焼時の煙濃度が少ないエチレン−ビニルアルコール系共重合体樹脂フィルムが特に好ましい。
フィルム層4に用いられる市販のフィルムの厚みは、5〜25μmであることが好ましい。フィルムの厚みが上記範囲内であれば、該フィルムの製造上の制約をうけることなく、またエンボス加工による壁紙の凹凸追従性を確保することができる。
[接着剤層9]
フィルム層4と発泡樹脂層3との接着性が低い場合、例えば上記のエチレン−ビニルアルコール系共重合体樹脂フィルムを用いた場合は、必要に応じて両層間に接着剤層9を設けることが好ましい。接着剤層9に用いられる接着剤としては、特に制限はないが、製造工程の観点より感熱接着剤が好ましい。感熱接着剤とは、一般に常温では固体であり、加熱により溶融又は軟化して接着性を発現し、冷却すると固化して強固に接着する性質を有する熱可塑性樹脂を主要成分とする接着剤のことをいう。これを適当な溶剤に溶解、もしくは加温により溶融させて、被接着体の一方又は両方の接着面に塗布し、両者を重ね合わせて加熱加圧することにより接着させるものである。具体的には、(メタ)アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、(メタ)アクリル酸エステル−オレフィン系共重合体樹脂、塩化酢酸ビニル系樹脂、エチレン−酢酸ビニル系共重合体樹脂、アイオノマー系樹脂、オレフィン−αオレフィン系共重合体樹脂等の易接着樹脂単体、及びポリオレフィン系樹脂や発泡樹脂組成物の主成分となる熱可塑性樹脂、フィルム層の主成分となる熱可塑性樹脂とのブレンド品が挙げられる。
接着剤層9は、層間接着力の向上を図ることを目的に、図2に示すように発泡樹脂層3とフィルム層4との層間に設ける他に、必要に応じて基材2と発泡樹脂層3との層間に設けることもできる。また、接着剤層を設ける以外に、層間接着力を向上させるために、所望により、片面または両面に酸化法や凹凸化法などの物理的または化学的表面処理を施すことができる。
上記酸化法としては、例えばコロナ放電処理、クロム酸化処理、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線処理法などが挙げられ、凹凸化法としては、例えばサンドブラスト法、溶剤処理法などが挙げられる。これらの表面処理は、基材の種類に応じて適宜選択されるが、一般にはコロナ放電処理法が効果及び操作性などの面から好ましく用いられる。
[絵柄層5]
図1に示される絵柄層5は、基材2に装飾性を与えるものであり、種々の模様をインキ組成物と印刷機を使用して印刷することにより形成され、発泡樹脂層3とフィルム層4との間に積層されていればよい。
絵柄層5は、一般的にはグラビア印刷、オフセット印刷、シルクスクリーン印刷、転写シートからの転写印刷等、周知の印刷方法により形成することができる。模様としては、木目模様、大理石模様(例えばトラバーチン大理石模様)等の岩石の表面を模した石目模様、布目や布状の模様を模した布地模様、タイル貼模様、煉瓦積模様等があり、これらを複合した寄木、パッチワーク等の模様もある。これらの模様は通常の黄色、赤色、青色、および黒色のプロセスカラーによる多色印刷によって形成される他、模様を構成する個々の色の版を用意して行う特色による多色印刷等によっても形成される。
絵柄層5の形成に用いられるインキ組成物としては、バインダーに顔料、染料などの着色剤、体質顔料、溶剤、安定剤、可塑剤、触媒、硬化剤などを適宜混合したものが使用される。該バインダーとしては特に制限はなく、例えば、ポリウレタン系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−アクリル系共重合体樹脂、塩素化ポリエチレン系樹脂、塩素化ポリプロピレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ブチラール系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ニトロセルロース系樹脂、酢酸セルロース系樹脂などの中から任意のものが、1種単独で又は2種以上を混合して用いられる。中でも、本発明の効果の点から、ポリウレタン系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、セルロース系樹脂、ポリアミド系樹脂等の1種単独で又は2種以上を混合して用いるのが好ましい。
着色剤としては、カーボンブラック(墨)、鉄黒、チタン白、アンチモン白、黄鉛、チタン黄、弁柄、カドミウム赤、群青、コバルトブルー等の無機顔料、キナクリドンレッド、イソインドリノンイエロー、フタロシアニンブルー等の有機顔料又は染料、アルミニウム、真鍮等の鱗片状箔片からなる金属顔料、二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸鉛等の鱗片状箔片からなる真珠光沢(パール)顔料等が用いられる。
この絵柄層5は厚さ1〜20μm程度が好ましい。
[表面保護層6]
本発明の壁紙において所望により設けられる表面保護層6は、電離放射線硬化性樹脂組成物が架橋硬化してなることを特徴とし、本発明の壁紙の最表面に積層することで、壁紙に耐汚染性、耐傷付性等の表面物性を向上させる目的で設けるものである。
ここで、電離放射線硬化性樹脂組成物とは、電磁波または荷電粒子線の中で分子を架橋、重合させ得るエネルギー量子を有するもの、すなわち、紫外線または電子線などを照射することにより、架橋、硬化する電離放射線硬化性樹脂と、その他の所望の成分とからなる組成物を指す。また、「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート又はメタクリレート」を意味する。
[電離放射線硬化性樹脂]
表面保護層6に用いられる電離放射線硬化性樹脂としては、従来公知の化合物を適宜使用すればよく、従来電離放射線硬化性樹脂として慣用される重合性モノマー及び重合性オリゴマーないしはプレポリマーの中から適宜選択して用いることができる。以下に代表例を記載する。
重合性モノマーとしては、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つ(メタ)アクリレート系モノマーが好適であり、中でも多官能性(メタ)アクリレートが好ましい。多官能性(メタ)アクリレートとしては、分子内にエチレン性不飽和結合を2個以上有する(メタ)アクリレートであればよく、特に制限はない。具体的にはエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性リン酸ジ(メタ)アクリレート、アリル化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ビスフェノールAジアクリレートなどが挙げられる。これらの多官能性(メタ)アクリレートは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
次に、重合性オリゴマーとしては、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つオリゴマー、中でもラジカル重合性不飽和基を持つアクリレート系オリゴマーが好ましく、例えばエポキシ(メタ)アクリレート系、ウレタン(メタ)アクリレート系、ポリエステル(メタ)アクリレート系、ポリエーテル(メタ)アクリレート系などが挙げられる。ここで、エポキシ(メタ)アクリレート系オリゴマーは、例えば、比較的低分子量のビスフェノール型エポキシ樹脂やノボラック型エポキシ樹脂のオキシラン環に、(メタ)アクリル酸を反応しエステル化することにより得ることができる。また、このエポキシ(メタ)アクリレート系オリゴマーを部分的に二塩基性カルボン酸無水物で変性したカルボキシル変性型のエポキシ(メタ)アクリレートオリゴマーも用いることができる。ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーは、例えば、ポリエーテルポリオールやポリエステルポリオールとポリイソシアネートの反応によって得られるポリウレタンオリゴマーを、(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。ポリエステル(メタ)アクリレート系オリゴマーとしては、例えば多価カルボン酸と多価アルコールの縮合によって得られる両末端に水酸基を有するポリエステルオリゴマーの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより、あるいは、多価カルボン酸にアルキレンオキシドを付加して得られるオリゴマーの末端の水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。ポリエーテル(メタ)アクリレート系オリゴマーは、ポリエーテルポリオールの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。
さらに、重合性オリゴマーとしては、他にポリブタジエンオリゴマーの側鎖に(メタ)アクリレート基をもつ疎水性の高いポリブタジエン(メタ)アクリレート系オリゴマー、主鎖にポリシロキサン結合をもつシリコーン(メタ)アクリレート系オリゴマー、小さな分子内に多くの反応性基をもつアミノプラスト樹脂を変性したアミノプラスト樹脂(メタ)アクリレート系オリゴマー、あるいはノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、脂肪族ビニルエーテル、芳香族ビニルエーテル等の分子中にカチオン重合性官能基を有するオリゴマーなどがある。
電離放射線硬化性樹脂組成物として紫外線硬化性樹脂組成物を用いる場合には、光重合用開始剤を樹脂組成物100質量部に対して、0.1〜5質量部程度添加することが望ましい。光重合用開始剤としては、従来慣用されているものから適宜選択することができ、特に限定されず、例えば、分子中にラジカル重合性不飽和基を有する重合性モノマーや重合性オリゴマーに対しては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、アセトフェノン、ジメチルアミノアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−2(ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、ベンゾフェノン、p−フェニルベンゾフェノン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン、ジクロロベンゾフェノン、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−ターシャリーブチルアントラキノン、2−アミノアントラキノン、2−メチルチオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、ベンジルジメチルケタール、アセトフェノンジメチルケタールなどが挙げられる。
また、分子中にカチオン重合性官能基を有する重合性オリゴマー等に対しては、芳香族スルホニウム塩、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、メタロセン化合物、ベンゾインスルホン酸エステル等が挙げられる。
また、光増感剤としては、例えばp−ジメチル安息香酸エステル、第三級アミン類、チオール系増感剤などを用いることができる。
本発明においては、電離放射線硬化性樹脂組成物として電子線硬化性樹脂組成物を用いることが好ましい。電子線硬化性樹脂組成物は無溶剤化が可能であって、環境や健康の観点からより好ましく、また光重合用開始剤を必要とせず、安定な硬化特性が得られるからである。
表面保護層6に用いられる電離放射線硬化性樹脂組成物には、シリコーン(メタ)アクリレートを含有することが好ましい。シリコーン(メタ)アクリレートは、電離放射線硬化性樹脂との相乗効果により、主に壁紙に耐汚染性等の表面物性を付与する目的で添加されるものである。シリコーン(メタ)アクリレートは、ポリシロキサンからなるシリコーンオイルのうち、または片方乃至両方の末端に(メタ)アクリル基を導入した変性シリコーンオイルの中の一つである。シリコーン(メタ)アクリレートとしては、従来公知のものが使用でき、有機基が(メタ)アクリル基であれば特に限定されず、該有機基を1〜6つ有する変性シリコーンオイルを好ましく用いることができる。また、変性シリコーンオイルの構造は、置換される有機基の結合位置によって、側鎖型、両末端型、片末端型、側鎖両末端型に大別されるが、有機基の結合位置には、特に制限はない。
上記シリコーン(メタ)アクリレートの含有量は、表面保護層の表面張力が所望の範囲となるように適宜調節すればよいが、耐汚染性の向上とその使用効果を十分に得る観点から、電離放射線硬化性樹脂100質量部に対して0.5〜4質量部が好ましく、1.0〜2.5質量部がより好ましい。また、シリコーン(メタ)アクリレートの官能基当量(分子量/官能基数)としては、例えば1000〜20000の条件を有するものが挙げられる。
また、電離放射線硬化性樹脂組成物には、得られる表面保護層の所望物性に応じて、各種添加剤を配合することができる。この添加剤としては、例えば耐候性改善剤、耐摩耗性向上剤、重合禁止剤、架橋剤、赤外線吸収剤、帯電防止剤、接着性向上剤、レベリング剤、チクソ性付与剤、カップリング剤、可塑剤、消泡剤、充填剤、溶剤、着色剤などが挙げられる。
ここで、耐候性改善剤としては、紫外線吸収剤や光安定剤を用いることができる。紫外線吸収剤は、無機系、有機系のいずれでもよく、無機系紫外線吸収剤としては、平均粒径が5〜120nm程度の二酸化チタン、酸化セリウム、酸化亜鉛などを好ましく用いることができる。また、有機系紫外線吸収剤としては、例えばベンゾトリアゾール系、具体的には、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、ポリエチレングリコールの3−[3−(ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル]プロピオン酸エステルなどが挙げられる。一方、光安定剤としては、例えばヒンダードアミン系、具体的には2−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2’−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレートなどが挙げられる。また、紫外線吸収剤や光安定剤として、分子内に(メタ)アクリロイル基などの重合性基を有する反応性の紫外線吸収剤や光安定剤を用いることもできる。
耐摩耗性向上剤としては、例えば無機物ではα−アルミナ、シリカ、カオリナイト、酸化鉄、ダイヤモンド、炭化ケイ素等の球状粒子が挙げられる。粒子形状は、球、楕円体、多面体、鱗片形等が挙げられ、特に制限はないが、球状が好ましい。有機物では架橋アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂等の合成樹脂ビーズが挙げられる。粒径は、通常膜厚の10〜200%程度とする。これらの中でも球状のα−アルミナは、硬度が高く、耐摩耗性の向上に対する効果が大きいこと、また、球状の粒子を比較的得やすい点で特に好ましいものである。
重合禁止剤としては、例えばハイドロキノン、p−ベンゾキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ピロガロール、t−ブチルカテコールなどが、架橋剤としては、例えばポリイソシアネート化合物、エポキシ化合物、金属キレート化合物、アジリジン化合物、オキサゾリン化合物などが用いられる。
充填剤としては、例えば硫酸バリウム、タルク、クレー、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウムなどが用いられる。
着色剤としては、例えばキナクリドンレッド、イソインドリノンイエロー、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、酸化チタン、カーボンブラックなどの公知の着色用顔料などが用いられる。
赤外線吸収剤としては、例えば、ジチオール系金属錯体、フタロシアニン系化合物、ジインモニウム化合物等が用いられる。
本発明にかかる表面保護層6の形成は、まず、重合性モノマーや重合性オリゴマー等の電離放射線硬化性樹脂、及び各種添加剤を、それぞれ所定の割合で均質に混合して得られる、電離放射線硬化性樹脂組成物を調製する。この電離放射線硬化性樹脂組成物の粘度は、後述の塗工方式により、基材の表面に未硬化樹脂層を形成し得る粘度であればよく、特に制限はないが、必要に応じて溶剤を添加してもよい。
このようにして調製された電離放射線硬化性樹脂組成物を、基材の表面に、硬化後の厚さが1〜20μmになるように、グラビアコート、バーコート、ロールコート、リバースロールコート、コンマコートなどの公知の方式、好ましくはグラビアコートにより塗工し、未硬化樹脂層を形成させる。硬化後の厚さが1μm以上であると所望の機能を有する表面保護層が得られる。硬化後の表面保護層の厚さは、好ましくは2〜20μm程度である。
次いで、上記の未硬化樹脂層に、電子線、紫外線等の電離放射線を照射して該未硬化樹脂層を硬化させる。ここで、電離放射線として電子線を用いる場合、その加速電圧については、用いる樹脂や層の厚みに応じて適宜選定し得るが、通常加速電圧70〜300kV程度で未硬化樹脂層を硬化させることが好ましい。
なお、電子線の照射においては、加速電圧が高いほど透過能力が増加するため、基材として電子線により劣化する基材を使用する場合には、電子線の透過深さと樹脂層の厚みが実質的に等しくなるように、加速電圧を選定することにより、基材への余分の電子線の照射を抑制することができ、過剰電子線による基材の劣化を最小限にとどめることができる。
また、照射線量は、樹脂層の架橋密度が飽和する量が好ましく、通常5〜300kGy(0.5〜30Mrad)、好ましくは10〜50kGy(1〜5Mrad)の範囲で選定される。
さらに、電子線源としては、特に制限はなく、例えばコックロフトワルトン型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、あるいは直線型、ダイナミトロン型、高周波型などの各種電子線加速器を用いることができる。
電離放射線として紫外線を用いる場合には、波長190〜380nmの紫外線を含むものを放射する。紫外線源としては特に制限はなく、例えば高圧水銀燈、低圧水銀燈、メタルハライドランプ、カーボンアーク燈等が用いられる。
このようにして、形成された表面保護層には、各種の添加剤を添加して各種の機能、例えば、高硬度で耐擦傷性を有する、いわゆるハードコート機能、防曇コート機能、防汚コート機能、防眩コート機能、反射防止コート機能、紫外線遮蔽コート機能、赤外線遮蔽コート機能などを付与することもできる。
[プライマ層7]
本発明の壁紙において、所望によって設けられる表面樹脂層6で用いられる電離放射線硬化性樹脂組成物とフィルム層4との密着性を向上させる目的で、これらの層の間に必要に応じてプライマ層7を設けることができる。ここで好ましく用いられる樹脂は、例えばアクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ウレタン−アクリル系樹脂等の絵柄層5で用いられるバインダーと電離放射線硬化性樹脂組成物との密着に良好な樹脂を用いることができる。また、層間接着力の強化の目的で、発泡樹脂層3とフィルム層4との層間に、プライマ層7を設けることもできる。
[凹凸模様8]
本発明の壁紙は、意匠性に優れた壁紙とするために、エンボス加工による凹凸模様が施されることが好ましい。図1に示される凹凸模様8は、製造過程にある壁紙がいずれかの手段によってエンボス可能な温度となっているときに、表面保護層6の上面、すなわち最外層側からエンボス版で加熱加圧することにより形成することができる。エンボス版で加熱加圧することにより形成される凹凸は、その最深部分は、発泡樹脂層3の上面に達するものである。凹凸模様8の形成には、周知の枚葉、もしくは輪転式のエンボス機が用いられ、凹凸模様8の形状としては、木目版導管溝、石板表面凹凸、布表面テクスチュア、梨地、砂目、ヘアライン、万線条溝等がある。
[製造方法]
本発明の壁紙は、例えば以下の製造方法によって製造されるが、これによって制限されるものではない。
図1に示される壁紙は以下のように製造される。熱可塑性樹脂のフィルムからなるフィルム層4の一方の面に電離放射線硬化性樹脂組成物を塗工し、他方の面に必要に応じて接着剤及び/又はプライマ層を構成する樹脂を塗工し、さらに所定の電離放射線を照射して電離放射線硬化性樹脂組成物を架橋硬化させて表面保護シートを得る。また、基材2上に発泡剤、無機充填剤、その他添加剤を必要に応じて含む熱可塑性樹脂からなる発泡樹脂組成物をコンマコーター法にてコーティングし、さらに絵柄層5を形成するインキ組成物をグラビア印刷により塗工した後、加熱発泡炉を用いて250℃程度で前記発泡樹脂組成物を発泡させて発泡樹脂層3を形成して基材シートを得る。次いで、該基材シートを冷却した後、150℃程度まで再加熱してから、前記表面保護層シートの最外層側よりエンボス版が形成された冷却ロール(表面保護シート側)と加圧ロール間を通すことで両シートを熱圧着し、かつ凹凸模様8を形成した後、冷却することで、表面保護層6の最外層側から発泡樹脂層3にかけて凹凸模様8を形成した本発明の壁紙を得ることができる。なお、前記のように、プライマ層7及び接着剤層9は必要に応じて、所望の層間に設けることができる。
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、この例によってなんら限定されるものではない。
(評価方法)
各実施例で得られた壁紙について、以下の方法で評価した。
(1)施工性の評価(カール性)
各実施例及び比較例で製造した壁紙を、壁紙用糊塗工機を用いて、壁紙用施工糊(ヤヨイ化学工業(株)製、商品名「ルーアマイルド」)を塗工量130g/m2で塗工して、20℃(相対湿度:65%)の条件下で、1時間後の壁紙端部のカール性(浮き性)を下記の基準で評価した。
○ :浮き幅 5mm以下
× :浮き幅 5mm未満
(2)施工性の評価(目開き)
各実施例及び比較例で製造した壁紙を、壁紙用糊塗工機を用いて、壁紙用施工糊(ヤヨイ化学工業(株)製、商品名「ルーアマイルド」)を塗工量130g/m2で塗工して、壁紙を幅方向に半裁して、耳部同士が重なるように厚み9mmの準不燃石膏ボード上に貼着した。施工して、20℃(相対湿度:65%)の条件下において1週間放置した後に、マイクロスコープを用いて耳部同士の重なった部分(ジョイント部分)の目開きの幅を測定し、下記の基準で評価した。
○ :目開きの幅 0.08mm未満
× :目開きの幅 0.08mm以上
(3)堰漏れの評価
各実施例及び比較例において、基材上に発泡樹脂組成物をコンマコーター法でコーティングする際の、該発泡樹脂組成物の堰漏れの状態を目視にて確認、下記の基準で評価した。
○ :発泡樹脂組成物は全く堰漏れしなかった
× :発泡樹脂組成物は堰漏れをおこした
(4)静電気の発生
各実施例及び比較例において、発泡樹脂組成物を塗工してからロールで巻き取り後、絵柄層を印刷する際の巻きだし時に、ロールの巻きだし箇所において静電気の発生状態(スパークの発生状態)を目視にて確認し、下記の基準で評価した。
○ :静電気は発生しなかった
× :静電気が発生し、危険な状態であった
実施例1
基材2として、ヤンキードライヤーで妙造を行った米秤量60g/m2の片艶裏打紙(厚み:100μm、表面平滑度:34秒、水中伸度:1.11%)を用い、該基材上に下記の組成で発泡樹脂組成物を作製して、コンマコーター法によりコーティングを行い、さらにアクリル系樹脂をバインダーとし、無機顔料を着色剤とするアクリル系水系インキを用いて、塗工量2.0g/m2のグラビア印刷にて施して絵柄層5を形成した。
加熱発泡炉を用いて230℃で30秒間の条件で発泡樹脂組成物を発泡させて発泡樹脂層3を形成させた後、予め接着剤が塗工されたエチレン−ビニルアルコール系共重合体樹脂((株)クラレ製、エバールフィルムHF−ME(厚み:12μm、エチレン含有量44mol%)と、上記で得られた基材とを、エンボス型が形成された冷却ロールと加圧ロールの間を通し、エンボス賦型しながら熱圧着させることにより、表面に凹凸模様8を有する壁紙を得た。
発泡樹脂組成物 組成
塩ビレジン(東ソー製、商品名:R−720):100質量部
炭酸カルシウム(白石工業製、商品名:ホワイトンH):100質量部
発泡剤(大塚化学製、商品名:ユニフォームAZウルトラ):3質量部
防カビ剤(タイショウテクノス製、商品名:ビオサイト7663DS):0.2質量部
光安定剤(アデカアーガス化学製、商品名:O−1305):5質量部
希釈剤(シェル石油製、商品名:シェルゾールS):20質量部
可塑剤(フタル酸ジイソノニル):38質量部
比較例1
片艶裏打紙の表面平滑度を65秒とし、水中伸度を1.14%とした以外は実施例1と同様にして壁紙を得た。
比較例2
実施例1の片艶裏打紙を、多筒ドライヤーにて妙造を行った米秤量60g/m2壁紙用裏打紙(厚み:100μm、表面平滑度:20秒、水中伸度:1.33%)とした以外は実施例1と同様にして壁紙を得た。
実施例1及び比較例1及び2で得られた壁紙について上記評価を行った結果を第1表に示す。
実施例1で得られた壁紙は、全ての点で総合的に高い性能を示した。一方、表面平滑度が高い比較例1で得られた壁紙は、堰漏れと静電気を生じ、生産安定性及び生産安全性の点で不十分であった。また、比較例2で得られた壁紙は、表面平滑度は低いものの、片艶裏打紙を用いていないため、カール性及び目開きの施工性の評価の点で不十分であった。
Figure 0004793202
本発明によれば、施工性、生産安定性、及び生産安全性に優れた壁紙を得ることができる。
本発明の壁紙の断面を示す模式図である。
符号の説明
1.壁紙
2.基材
3.発泡樹脂層
4.フィルム層
5.絵柄層
6.表面保護層
7.プライマ層
8.凹凸模様
9.接着剤層

Claims (7)

  1. 基材上に少なくとも発泡樹脂層とフィルム層とが順に積層され、該基材のJIS P8119に準拠して測定される表面平滑度が40秒以下であり、その水中伸度が1.2%以下である片艶裏打紙である壁紙。
  2. さらに、フィルム層の上に表面保護層が積層され、該表面保護層が電離放射線硬化性樹脂組成物を架橋硬化してなる請求項1に記載の壁紙。
  3. 前記の発泡樹脂層を構成する樹脂がポリ塩化ビニル系樹脂である請求項1又は2に記載の壁紙。
  4. 前記の発泡樹脂層を構成する樹脂がエチレン−酢酸ビニル系共重合体樹脂である請求項1又は2に記載の壁紙。
  5. 前記のフィルム層を構成する樹脂が、ポリオレフィン系樹脂である請求項1〜4いずれかに記載の壁紙。
  6. 前記のフィルム層を構成する樹脂が、エチレン−ビニルアルコール系共重合体樹脂である請求項1〜4のいずれかに記載の壁紙。
  7. 表面保護層側から機械的にエンボス加工が施される請求項1〜6のいずれかに記載の壁紙。
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