JP3859343B2 - シームレス側面膨張式拘束展開システム - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、一般的には自動車用の膨張式拘束装置に関し、更に詳しくは、自動車用シームレス側面膨張式拘束展開システムに関する。
【０００２】
【従来の技術】
自動車の乗員用膨張式拘束装置の特別の形式をエアバッグと称する。このエアバッグは、自動車に膨らまさない状態で保管する。自動車が少なくとも所定の閾値レベルの衝突を示す状態に遭ったとき、ガスがガス発生源からこのエアバッグに流入するように導かれる。このガスがエアバッグを自動車の乗員室の中に伸びる状態に膨らませる。エアバッグが自動車の乗員室の中に膨れ込むとき、それは、乗員の動きを拘束し、衝突の結果として乗員が自動車の部品に激しくぶつかるのを保護する。
【０００３】
エアバッグは、典型的にはエアバッグモジュールの一部として自動車に取付ける。このエアバッグモジュールは、エアバッグの他に、膨張装置および反応キャニスタを含む。この膨張装置は、エアバッグを膨らませるためのガス源である。反応キャニスタは、エアバッグと膨張装置を包含し、エアバッグが膨らまされるとき、それが反応キャニスタから出る展開開口を有する。
【０００４】
典型的には、展開ドアがこの反応キャニスタの展開開口の上に拡がり、エアバッグおよびエアバッグモジュールのその他の部品を乗員室から隠す。この展開ドアは、自動車の計器板の内張りの一部でもよい。
【０００５】
膨張装置が作動するとき、反応キャニスタは、ガスがこの膨張装置からエアバッグの中へ流れるように導く。ガスがエアバッグに入ると、それは、エアバッグを反応キャニスタから展開開口を通しおよび展開ドアに激しく抗して外に押出す。展開ドアの閉鎖部がエアバッグの中の流体圧力によって破断される。エアバッグが展開ドアに抗して外方に動き続けるので、それは、展開ドアのヒンジ部を激しく反らせ、展開ドアを展開開口から旋回して離れるように動かす。この様に、エアバッグが反応キャニスタから展開開口を通って乗員室の中へ外方に膨れるとき、展開ドアが開き、エアバッグの経路外へ旋回して動く。
【０００６】
【発明が解決しようとする課題】
上記のエアバッグおよびエアバッグモジュールは、計器板に取付けたときうまく作動するが、この技術分野では、エアバッグを側面衝突に抗するように乗員室に取付ける必要がある。また、この技術分野では、側面エアバッグを、座席の外観を保持し且つ展開ドアを無くするように、自動車の座席の中に設ける必要がある。
【０００７】
【課題を解決するための手段】
従って、本発明は、座席に着席した乗員用のシームレス側面膨張式拘束展開システムで、座席の側部に設けられ且つ膨張装置によって膨らまされる膨張式拘束装置、およびこの膨張式拘束装置に隣接して配置され、展開開口を有するパッドを含むシステムである。このシームレス側面膨張式拘束展開システムは、この膨張式拘束装置を囲み、上記展開開口を通って伸び、上記膨張式拘束装置の展開力を集中して、この座席のシームレス設計の座席外装に、上記膨張式拘束装置が展開して通るための所望の出口位置を形成する引裂き開始装置外被、および上記膨張装置及び上記膨張式拘束装置を内包する反応キャニスタを有し且つ、上記引裂き開始装置外被に囲まれて配置される側面膨張式拘束モジュールも含み、上記引裂き開始装置外被は、上記展開開口を通って伸びる第１及び第２部材を有しており、上記第１及び第２部材は、該展開開口で互いに縫合されていると共に、該第１及び第２部材の、該展開開口を内方から外方へ通過した端部には、上記パッドと上記シームレス設計の座席外装との間へ屈曲して該パッドと該シームレス設計の座席外装との間を延びるフランジが設けられており、前記フランジはは、上記シームレス設計の座席外装の対応する位置に対して接着又は縫い付けられており、上記反応キャニスタは、上記展開開口に位置する上記第１及び第２部材に向かって上記膨張式拘束装置を展開させるように開口している。
【０００８】
本発明の特徴の一つは、シームレス側面膨張式拘束展開システムを自動車用座席に設けることである。本発明の他の特徴は、この側面膨張式拘束展開システムがシームレス設計（即ち、展開ドアのないこと）を可能にすることである。本発明の更に他の特徴は、この側面膨張式拘束展開システムが、引裂きシーム位置および性能を予測可能／反復可能にするための引裂き開始装置外被を有することである。本発明の更に他の特徴は、この側面膨張式拘束展開システムが発泡材を破砕せず且つ座席の快適性を維持することである。
【０００９】
また、上記側面膨張式拘束モジュールは、上記座席のフレームに取り付けられるものが好ましい。
【００１０】
さらに、上記側面膨張式拘束モジュールを上記フレームに締結する締結機構をさらに含むのが好ましい。
【００１１】
さらにまた、上記締結機構は、少なくとも１つの孔を持ち上記フレームに固定される板と、上記反応キャニスタから上記少なくとも１つの孔を通って伸びる少なくとも１つのねじファスナと、該少なくとも１つのねじファスナと係合する手段とを有するとしてもよい。
【００１２】
また、上記引裂き開始装置外被は、上記反応キャニスタと上記板との間に挟持されるベース部を有するものが好ましい。
【００１３】
添付の図面を参照して以下の説明を読めば、本発明を更に良く理解できるので、本発明の他の特徴および利点が容易に明白となろう。
【００１４】
【発明の実施の形態】
図面、特に図１を参照すると、本発明によるシームレス側面膨張式拘束展開システム１０が、全体を１２で指す、自動車（図示せず）用の座席と作動関係に示されている。座席１２は、全体的に水平な座部１４と全体的に垂直な背もたれ部１６を含む。本発明は、座部１４に使っても、背もたれ部１６に使ってもよいが、背もたれ部１６だけを説明する。
【００１５】
背もたれ部１６は、背もたれフレーム１８を有する。この背もたれフレーム１８は、全体として逆Ｕ字形で、一般的に円形断面の中空部材または管で出来ている。背もたれフレーム１８は、金属材料で出来ている。背もたれ部１６は、背もたれフレーム１８に隣接して配置された背もたれパッド２０およびこの背もたれパッドを覆う座席外装２２を有する。背もたれパッド２０は、発泡材料で出来ている。座席外装２２は、布、ビニール、なめし革等のような柔軟な生地材料で出来ている。説明のこの点までは、座席１２がこの技術分野で普通の知られたものであることを理解すべきである。
【００１６】
図１から図３を参照するに、シームレス側面膨張式拘束展開システム１０は、エアバッグのような側面膨張式拘束装置２４、およびこの側面膨張式拘束装置２４を膨らませるための側面膨張式拘束モジュール２６を含む。この側面膨張式拘束モジュール２６は、膨張装置２８および反応キャニスタ３０を含む。膨張装置２８は、側面膨張式拘束装置２４を膨らませるための膨張流体源またはガス源である。反応キャニスタ３０は、断面が全体としてＵ字形で、垂直に伸びて膨張装置２８および側面膨張式拘束装置２４を内包する。
【００１７】
シームレス側面膨張式拘束展開システム１０は、側面膨張式拘束モジュール２６を背もたれフレーム１８に着脱式に締結するために、全体を３２で示す締結機構を含む。この締結機構３２は、適当な手段、例えば溶接によって、背もたれフレーム１８に固定された板３４を含む。この板を、少なくとも一つ、好ましくは１対の孔３６が貫通する。締結機構３２は、反応キャニスタ３０から板３４の孔３６を通って伸びる、少なくとも１本、好ましくは１対のねじファスナ３８を有する。締結機構３２は、各ファスナ３８と係合するねじナット４０および座金４２を含む。
【００１８】
シームレス側面膨張式拘束展開システム１０は、更に、全体を４４で示す、引裂き開始装置外被を含む。この引裂き開始装置外被４４は、座席外装２２より厚い生地のような、強い材料の外被で、側面膨張式拘束装置２４を展開する力に耐えるに十分強く、座席外装生地２２より強い。引裂き開始装置外被４４は、第１のまたは左手部材４６と第２のまたは右手部材４８を有する。第１部材４６および第２部材４８の各々は、座席外装２２と背もたれパッド２０の間を横に伸びる端またはフランジ５０を有する。このフランジ５０は、座席外装２２の下側に、側面膨張式拘束装置２４に対する所望の出口位置に接着および／または縫付けされている。第１部材４６および第２部材４８の各々は、フランジ５０から一般的に垂直に、背もたれパッド２０の局在スリットまたは展開開口５４を通って伸びる結合部５２を有する。この展開開口５４は、背もたれパッド２０の前面から背もたれパッド２０の背面のくぼみ５６まで一般的に垂直に伸びるスリットである。このくぼみ５６は、側面膨張式拘束モジュール２６を受け、背もたれパッド２０は、背もたれフレーム１８を受けるための大きい空洞５８を有する。
【００１９】
第１部材４６および第２部材４８の各々は、後方に伸びて側面膨張式拘束モジュール２６をしっかりと包むベース部６０を有する。このベース部６０は、少なくとも一つ、好ましくは１対の孔６２を有し、それがファスナ３８を受け、このベース部６０を反応キャニスタ３０と板３４の間にサンドイッチする。このベース部６０は、側面膨張式拘束モジュール２６をできるだけしっかりと包むが、それでも組立ができるようにする、適当などんな形でもよいことを理解すべきである。
【００２０】
シームレス側面膨張式拘束展開システム１０は、引裂き開始装置外被４４の第１部材４６および第２部材４８の結合部５２を最初一緒に保持するために、少なくとも一つ、好ましくは二つ以上の保持縫目６４を含む。これらの保持縫目６４は、普通に座席を使用している間に結合部５２が開くのを防ぐように縫った糸であるのが好ましい。
【００２１】
作動する際、この自動車が少なくとも所定の閾値レベルの衝突を示す状態に遭ったとき、膨張装置２８が作動し、反応キャニスタ３０がガスを膨張装置２８から側面膨張式拘束装置２４の中へ流れるように導く。ガスが膨張式拘束装置２４に入ると、それは、この側面膨張式拘束装置２４を反応キャニスタ３０から外方に動かす。側面膨張式拘束装置２４が展開すると、それは、保持縫目６４を引裂き、引裂き開始装置外被４４および展開開口５４を通り、フランジ５０に座席外装２２を引離させまたは引裂かせて指定出口位置に開口を作る。側面膨張式拘束装置２４は、この座席外装２２の出口位置から外方に膨らんで、図１に仮想線で示すように、この自動車の乗員室の中へ拡がる。側面膨張式拘束装置２４が乗員室内へ膨らんだとき、それは、乗員の運動を拘束し、乗員を衝突の結果としてのこの自動車の側面の激しくぶつかる部分から保護する助けをする。
【００２２】
【発明の効果】
従って、このシームレス側面膨張式拘束展開システム１０は、展開力を所望の座席出口位置に集中し、反復可能な展開出口および性能を提供する。このシームレス側面膨張式拘束展開システム１０は、背もたれ発泡パッド２０が引裂き開始装置外被４４によって側面膨張式拘束装置２４の展開から保護されているので、発泡材の破砕に耐える。このシームレス側面膨張式拘束展開システム１０は、座席外装２２の、収り具合、仕上げまたは外観に影響しないシームレス設計である。このシームレス側面膨張式拘束展開システム１０は、側面膨張式拘束モジュール２６の上に全厚の背もたれ発泡パッド２０を使うことができるようにすることによって座席の快適性を維持する。
【００２３】
本発明を例示的方法で説明した。使用した用語は、限定ではなく説明的性質のある語を意図したことを理解すべきである。
【００２４】
本発明の多くの修正および変形が、上記の教示に照らして可能である。従って、添付の請求の範囲内で、本発明は、特に説明した方法以外で実施することが可能かも知れない。
【図面の簡単な説明】
【図１】 本発明によるシームレス側面膨張式拘束展開システムを、自動車の座席との作動関係で示す、透視図である。
【図２】 図１のシームレス側面膨張式拘束展開システムおよび座席の展開透視図である。
【図３】 図１のシームレス側面膨張式拘束展開システムおよび座席の部分平面図である。
【符号の説明】
１０ シームレス側面膨張式拘束展開システム
１２ 座席
１８ フレーム
２０ パッド
２２ 座席外装
２４ 膨張式拘束装置
２６ 側面膨張式拘束モジュール
４４ 引裂き開始装置外被
５４ 展開開口

Claims (5)

1. 座席に着座した乗員用のシームレス側面膨張式拘束展開システム（１０）であって：
   座席（１２）の側部に設けられ且つ膨張装置（２８）によって膨らまされる膨張式拘束装置（２４）；
   上記膨張式拘束装置（２４）に隣接して配置され、展開開口（５４）を有するパッド（２０）；
   上記膨張式拘束装置（２４）を囲み、上記展開開口（５４）を通って伸び、上記膨張式拘束装置（２４）の展開力を集中して、この座席（１２）のシームレス設計の座席外装（２２）に、上記膨張式拘束装置（２４）が展開して通るための所望の出口位置を形成する引裂き開始装置外被（４４）；および
   上記膨張装置（２８）及び上記膨張式拘束装置（２４）を内包する反応キャニスタ（３０）を有し且つ、上記引裂き開始装置外被（４４）に囲まれて配置される側面膨張式拘束モジュール（２６）；を含み、
   上記引裂き開始装置外被（４４）は、上記展開開口（５４）を通って伸びる第１及び第２部材（４６、４８）を有しており、
   上記第１及び第２部材（４６、４８）は、該展開開口（５４）で互いに縫合されていると共に、
   該第１及び第２部材（４６、４８）の、該展開開口（５４）を内方から外方へ通過した端部には、上記パッド（２０）と上記シームレス設計の座席外装（２２）との間へ屈曲して該パッド（２０）と該シームレス設計の座席外装（２２）との間を延びるフランジ（５０）が設けられており、
   前記フランジは（５０）は、上記シームレス設計の座席外装（２２）の対応する位置に対して接着又は縫い付けられており、
   上記反応キャニスタ（３０）は、上記展開開口（５４）に位置する上記第１及び第２部材（４６、４８）に向かって上記膨張式拘束装置（２４）を展開させるように開口しているシステム。
2. 上記側面膨張式拘束モジュール（２６）は、上記座席（１２）のフレーム（１８）に取り付けられる、請求項１に記載のシステム。
3. 上記側面膨張式拘束モジュール（２６）を上記フレーム（１８）に締結する締結機構（３２）をさらに含む、請求項２に記載のシステム。
4. 上記締結機構（３２）は、少なくとも１つの孔（６２）を持ち上記フレーム（１８）に固定される板（３４）と、上記反応キャニスタ（３０）から上記少なくとも１つの孔（６２）を通って伸びる少なくとも１つのねじファスナ（３８）と、該少なくとも１つのねじファスナ（３８）と係合する手段（４０、４２）とを有する、請求項３に記載のシステム。
5. 上記引裂き開始装置外被（４４）は、上記反応キャニスタ（３０）と上記板（３４）との間に挟持されるベース部（６０）を有する、請求項４に記載のシステム。

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