JP4521499B2 - サイドエアーバッグ装置を備える車輌用シート - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、エアーバッグ装置をシートバックフレームのサイドプレートに取り付け、そのエアーバッグ装置の装備側を被包するトリムカバーの前面カバー部と側面カバー部との縫い合わせた縫い目からエアーバッグの膨張展開に伴うトリムカバーの破断部を形成し、このトリムカバーの破断部からインフレータより発生する出力圧で外方に向けて膨張展開可能なエアーバッグを有するサイドエアーバッグ装置を備える車輌用シートの改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
サイドエアーバッグ装置を備える車輌用シートとしては、各端末をトリムカバーの破断部となる縫い合わせ目に共縫い縫いさせて伸びの少ない二枚の力布をトリムカバーの内側に備え、その各力布をトリムカバーの前面カバー部並びに側面カバー部の内側に沿わせて配置すると共に、他端末を別方向からシートバックフレーム側に夫々連結固定することによりエアーバッグ装置の装備領域を力布で覆うものが提案されている(特開平11−78762号)。
【0003】
そのサイドエアーバッグ装置を備える車輌用シートでは、インフレータの出力圧を低く設定しても、エアーバッグの膨張圧を力布でトリムカバーの破断部に瞬時に集中させ、トリムカバーの破断部となる縫い合わせ目を速やかに切れ出せ、トリムカバーの破断部をエアーバッグの膨張圧で確実に裂断可能でエアーバッグの膨張バランス,展開方向性も安定よく定められるところから好ましい。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、部分点数を増やさずに、エアーバッグの膨張展開を力布で確実に保証できるよう二枚備える力布を少ない工数で容易に組付け可能に構成するサイドエアーバッグ装置を備える車輌用シートを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るサイドエアーバッグ装置を備える車輌用シートにおいては、エアーバッグ装置をバックパッドの側部に設けた開口部の内部に組み付けてシートバックフレームのサイドプレートに取り付け、そのエアーバッグ装置の装備側を被包するトリムカバーの前面カバー部と側面カバー部との縫い合わせ目からエアーバッグの膨張展開に伴うトリムカバーの破断部を形成すると共に、片端末をトリムカバーの破断部となる縫い合わせ目に共縫いさせて伸びの少ない二枚の力布をトリムカバーの内側に備え、
前記二枚の力布はトリムカバーの破断部となる縫い合わせ目から二方向に分け、片方の力布はバックパッドの開口部から内側に引き込み、他方の力布はエアーバッグ装置の前面側からバックパッドの後部側に巻き込んで、前記エアーバッグ装置を前記二枚の力布により包み込み、
前記エアーバッグをトリムカバーの破断部からインフレータより発生する出力圧で外方に向けて膨張展開可能に組み付けるもので、
前記片方の力布の引込み側の端末に、前記エアーバッグ装置と前記サイドプレートの間に挟み込んで前記シートバックフレームまで延在し、引掛けフックを該シートバックフレームまで延在する端部縁に設けたあてがいプレートを備え、
前記他方の力布の巻込み側の端末に、トリムワイヤを備え、
前記あてがいプレートは、前記エアーバッグ装置と前記サイドプレートの間に挟み込んで前記エアーバッグ装置の締付けボルトで前記サイドプレートの板面に共締め固定し、
前記片方の力布の引込み側は、前記あてがいプレートで端末止着し、
前記トリムワイヤは、前記あてがいプレートの引掛けフックに掛け止め、
前記他方の力布の巻込み側は、前記トリムワイヤで端末止着することにより構成されている。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して説明すると、図1はエアーバッグ装置1を車の前方側から見てシートバックBの右側部縦方向に収容装備するアシスタントシートを示す。このアシスタントシートでは、シートバックBのトリムカバー2においてエアーバッグの膨張展開に伴う破断部3がエアーバッグ装置1の装備側を被包する前面カバー部2a(バケットシートの場合、バックパッドの土手部を被包するカバー部分)と側面カバー部2bとの端末間を縫い合わせた縫い目で形成されている。
【0007】
エアーバッグ装置1は、特に図示しないインフレータ,エアーバッグをエアーバッグケースの内部に組付け収容し、エアーバッグモジュールとして車体側に装備する衝撃センサーと回路接続することによりシートバックBの内部に備え付けられる。
【0008】
そのエアーバッグ装置1は、図2で示すようにケース蓋をエアーバッグの膨張圧で開放可能にケース本体とヒンジで連結したエアーバッグケースを備え、このエアーバッグケースをバックパッド4の開口部5の内部に組み付けてケース本体より突出する締付けボルト6でシートバックフレーム7のサイドプレート8に取付け固定することによりシートバックBの側部に内蔵されている。
【0009】
トリムカバー2は、本革,合皮,ファブリック等の単材または表皮材,ワディング材,裏打材を三者一体に積層形成したワディングカバーを用いて形成できる。このトリムカバー2は土手部を有するシートバックBに対応し、座面中央から左右の土手面を被包する前面カバー部2aと周側面から背面に至る側面カバー部2bとを縫い合わせ、更に、図3で示すように背面カバー部2cをスライドファスナー2d,2eで開閉自在に備えることにより袋状に縫製されている。
【0010】
そのトリムカバー2は通常の使い勝手に耐えられる8番手程度の糸を上下の縫い糸とし、全体をミシン掛けすることにより所定の袋状に縫製することができる。また、一般部は8番手程度の糸を上下の縫い糸として縫製し、トリムカバー2の破断部3となる縫い目は8番手程度の糸と20番手程度の糸とを上下の縫い糸として縫い合わせることにより通常の使い勝手に耐えられる強度を保ってエアーバッグの膨張による応力で裂断し易く縫製することもできる。
【0011】
そのトリムカバー2には、二枚の力布9,10が破断部3を形成する縫い合わせ目と片端末を共縫いすることにより内側に備え付けられている。この力布9,10としては、ポリエステル不織布や綿布等のエアーバッグの膨張圧を受けても伸びの少ない材質のものが用いられている。また、図2で示すようにトリムカバー2の破断部3を形成する縫い合わせ目から二方向に分けてシートバックフレーム7のサイドプレート8に取付け固定するエアーバッグ装置1を包み込むよう備え付けられている。
【0012】
片方の力布9は、図2で示すようにバックパッド4の開口部5から内側に引き込むと共に、当該力布9の他端末に備え付けたあてがいプレート11で端末止着することにより組み付けられている。このあてがいプレート11としては、エアーバッグ装置1とサイドプレート8の間に挟み込んでエアーバッグ装置1の締付けボルト6で共締め固定し、シートバックフレーム7の背部まで延在すると共に、図3で示すように後述する他方のトリムワイヤを掛け止める引掛けフック11a,11bを端部縁に設けたものが備え付けられている。
【0013】
他方の力布10は、図2で示すようにエアーバッグ装置1の前面側からバックパッド4の後部側に巻き込むと共に、当該力布10の他端末に備え付けたトリムワイヤ12をシートバックフレーム7にまで延在するあてがいプレート11の引掛けフック11a,11bに掛け止めて端末止着されている。そのトリムワイヤ12は、図3で示すように力布10の端末に設けた縁取り袋10aの内部に挿通し、軸線を縁取り袋10aの切欠部10b,10cより一部露出するよう備え付けられている。
【0014】
このように構成するサイドエアーバッグ装置を備える車輌用シートでは、エアーバッグ装置1を力布9,10の内側に包み込んでシートバックフレーム7のサイドプレート8に取付け装備するため、エアーバッグの膨張圧を力布9,10で直に受けてトリムカバー2の破断部3に効率よく集中させ、インフレータの出力圧が低くても、トリムカバー2の破断部3を速やかに切れ出させられるから、トリムカバー2の破断部3をエアーバッグの膨張圧で確実に裂断可能に組み立てられる。
【0015】
その力布9,10は、エアーバッグ装置1とサイドプレート8の間に挟み込んでエアーバッグ装置1の締付けボルト6で共締め固定すると共に、他方10のトリムワイヤ12を掛け止める引掛けフック11a,11bをシートバックフレーム7の背部に延在する端部縁に設けたあてがいプレート11を片方9に備え、一方、トリムワイヤ12を他方に備えてあてがいプレート11の引掛けフック11a,11bに掛け止めることにより端末止着するため、部品点数を少なく容易に組み付けできてエアーバッグ装置1を確実に包込み収容できる。
【0016】
なお、上述した力布9,10としてはトリムカバー2の前面カバー部2aと側面カバー部2bの端末と共縫いする片端末側を短い辺とし、他端末側を長い辺とする略台形乃至は略三角巾状に裁断したものを備え付けるとよい。
【0017】
その力布によると、エアーバッグ装置1の縦方向略中央に相応する位置でトリムカバー2の破断部3を形成する縫い合わせ目の局所と短い辺側で共縫いすることにより、広い面積側で受けたエアーバッグの膨張による応力を力布の相対する斜辺から短い辺側に集中させ、縫い糸を各短い辺の縫い代で強く離間方向に引っ張れるから、当該部分の縫い糸を瞬時に切ってトリムカバー2の破断部3を確実に裂断させられる。
【0018】
【発明の効果】
以上の如く、本発明に係るサイドエアーバッグ装置を備える車輌用シートに依れば、エアーバッグ装置とサイドプレートの間に挟み込んでシートバックフレームまで延在するあてがいプレートをバックパッドの開口部から内側に引き込む片方の力布の端末に備え、トリムワイヤをエアーバッグ装置の前面側からバックパッドの後部側に巻き込む他方の力布の端末に備え、あてがいプレートをエアーバッグ装置とサイドプレートの間に挟み込んでエアーバッグ装置の締付けボルトでサイドプレートの板面に共締め固定することにより、片方の力布の引込み側を端末止着すると共に、トリムワイヤをあてがいプレートの引掛けフックに掛け止めて他方の力布の巻込み側を端末止着するため、エアーバッグの膨張に伴ってトリムカバーの破断部を力布で確実に裂断可能に組み立てられることは勿論、部品点数を少なく容易に組み付けできてエアーバッグ装置を力布で確実に包込み収容することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るサイドエアーバッグ装置を備える車輌用シートを全体的に示す斜視図である。
【図2】 同車輌用シートの片側部を示す部分断面図である。
【図3】 同車輌用シートのトリムカバーを背部の開放状態で示す斜視図である。
【符号の説明】
1 エアーバッグ装置
2 トリムカバー
2a トリムカバーの前面カバー部
2b トリムカバーの側面カバー部
3 トリムカバーの破断部
4 バッグバッド
5 バックパッドの開口部
6 エアーバッグ装置の締付けボルト
7 シートバックフレーム
8 サイドプレート
9,10 力布
11 あてがいプレート
12 トリムワイヤ
Claims (1)
- エアーバッグ装置をバックパッドの側部に設けた開口部の内部に組み付けてシートバックフレームのサイドプレートに取り付け、そのエアーバッグ装置の装備側を被包するトリムカバーの前面カバー部と側面カバー部との縫い合わせ目からエアーバッグの膨張展開に伴うトリムカバーの破断部を形成すると共に、片端末をトリムカバーの破断部となる縫い合わせ目に共縫いさせて伸びの少ない二枚の力布をトリムカバーの内側に備え、
前記二枚の力布はトリムカバーの破断部となる縫い合わせ目から二方向に分け、片方の力布はバックパッドの開口部から内側に引き込み、他方の力布はエアーバッグ装置の前面側からバックパッドの後部側に巻き込んで、前記エアーバッグ装置を前記二枚の力布により包み込み、
前記エアーバッグをトリムカバーの破断部からインフレータより発生する出力圧で外方に向けて膨張展開可能に組み付けるサイドエアーバッグ装置を備える車輌用シートにおいて、
前記片方の力布の引込み側の端末に、前記エアーバッグ装置と前記サイドプレートの間に挟み込んでシートバックフレームまで延在し、引掛けフックを該シートバックフレームまで延在する端部縁に設けたあてがいプレートを備え、
前記他方の力布の巻込み側の端末に、トリムワイヤを備え、
前記あてがいプレートは、前記エアーバッグ装置と前記サイドプレートの間に挟み込んで前記エアーバッグ装置の締付けボルトで前記サイドプレートの板面に共締め固定し、
前記片方の力布の引込み側は、前記あてがいプレートで端末止着し、
前記トリムワイヤは、前記あてがいプレートの引掛けフックに掛け止め、
前記他方の力布の巻込み側は、前記トリムワイヤで端末止着してなることを特徴とするサイドエアーバッグ装置を備える車輌用シート。
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