JP4431764B2 - サイドエアーバッグ装置装備シート - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガス圧により膨張展開可能なエアーバッグを開閉自在なモジュールケースの内部に収容したエアーバッグ装置を備え、そのエアーバッグ装置をシートバックの側部に装備するサイドエアーバッグ装置装備シートの改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、サイドエアーバッグ装置装備シートとしては、トリムカバーを袋状に縫製する前面カバー部と側面カバー部との縫い合わせ目からトリムカバーの破断部を形成すると共に、二枚の力布をトリムカバーの破断部となる縫い合わせ目に片端部で縫い合わせてトリムカバーの内側に備え、その力布によりエアーバッグ装置を包み込んでシートバックフレームのサイドプレートに取付け装備するものが提案されている(特開平11−78762号)。
【0003】
そのサイドエアーバッグ装置装備シートでは、エアーバッグの膨張圧を力布によりトリムカバーの破断部となる縫い合わせ目に集中させ、その縫い合わせ目を容易に切れ出させてエアーバッグを外方に確実に膨張展開できると共に、エアーバッグの膨張バランス,展開方向性も安定よく定められるところから好ましい。
【0004】
そのサイドエアーバッグ装置装備シートにおいて、力布はモジュールケースを含むエアーバッグ装置全体を簡単に包み込めるよう組み付けられ、また、エアーバック装置を直に包み込んでエアーバッグの膨張圧をトリムカバーの破断部となる縫い合わせ目に効率よく集中させ、エアーバッグを確実に膨張展開できるよう備え付ける必要がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、モジュールケースを含むエアーバッグ装置全体を包み込んで力布を簡単に組み付けられ、また、エアーバック装置を直に包み込んでエアーバッグの膨張圧をトリムカバーの破断部となる縫い合わせ目に効率よく集中させ、エアーバッグを速やかに膨張展開できるよう力布を備え付けられるサイドエアーバッグ装置装備シートを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るサイドエアーバッグ装置装備シートにおいては、インフレータをリテーナで保持させてエアーバッグの切り口より内部に組み付け、該インフレータのガス圧により膨張展開可能なエアーバッグを開閉自在なモジュールケースの内部に収容したエアーバッグ装置を備え、該エアーバッグ装置をバックパッドの側部に設けた空洞内に位置させてシートバックフレームのサイドプレートに取り付け、該エアーバッグ装置の装備側を被包するトリムカバーの縫い合わせ目でエアーバッグの膨張展開に伴うトリムカバーの破断部を形成し、該トリムカバーの破断部となる縫い合わせ目と片端部で縫い合わせてエアーバッグ装置を包む二枚の力布をトリムカバーの内側に備えるサイドエアーバッグ装置装備シートにおいて、
前記エアーバッグの切り口を前記リテーナとで押えるブラケットプレートを前記モジュールケースの内部に備え、該ブラケットプレートの片端部を略直角に折り曲げて前記モジュールケースの外側に連続するフランジ部を設け、該ブラケットプレートのフランジ部を前記モジュールケースの開放口側に突出させて配置し、
更に、前記モジュールケースと前記サイドプレートの間に挟込み固定するあてがいプレートを備え、該あてがいプレートの片端部を略直角に折り曲げてフランジ部を設け、前記モジュールケースを介して該あてがいプレートのフランジ部を前記ブラケットプレートのフランジ部と相対側に突出させて配置し、
前記片方の力布をバックパッドの開口縁から空洞内に引き込んで前記ブラケットプレートのフランジ部に連結固定し、前記他方の力布をモジュールケースの前部側からバックパッドの空洞内に引き込んで前記あてがいプレートのフランジ部に連結固定することにより構成されている。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して説明すると、図1はエアーバッグ装置Eを車の前方側から見て右側部に収容装備するアシスタントシートのシートバックBを示す。このシートバックBにおいては、エアーバッグ装置Eがエアーバッグをインフレータから生ずるガス圧で開放可能なモジュールケースの内部に収容すると共に、インフレータを車体側に装備する衝撃センサーと回路接続することにより備え付けられている。
【0008】
エアーバッグ装置Eは、図2で示すようにエアーバッグ1をインフレータ2と共に、モジュールケース3の内部に収容することにより構成されている。そのエアーバッグ1は、図3で示すようにインフレータ2から発生するガス圧で膨張展開可能に折り畳まれるバッグ本体1aと、バッグ本体1aより幅狭な取付け基部1bとから袋状を呈するよう縫製されている。このエアーバッグ1には、インフレータ2を内部に組み付ける切り口1cが取付け基部1bに設けられている。
【0009】
そのエアーバッグ1には、インフレータ2が取付け基部1bの内部に組み付けられる。インフレータ2は、エアーバッグ1の膨張展開に要するガスをインフレータ本体2aから発生するもので、衝撃センサー等の関連機器と回路構成するのに必要なハーネス2b,コネクタ2cを備えて構成されている。
【0010】
そのインフレータ2は、インフレータ本体2aを挿通保持するリテーナ4と共に、エアーバッグ1の内部に組み付けられる。リテーナ4はインフレータ本体2aを嵌込み保持する略円筒状のホルダー4aと、設置板となるベースプレート4bと、ベースプレート4bに植立固定する締付けボルト4c,4dとを備えて構成されている。
【0011】
エアーバッグ1には、バッグ全体を折畳んで外側より包み込む包み布5が備え付けられる。この包み布5は、エアーバッグ1と同材質の布材或いは強度を有する別の布材により形成されている。その包み布5は、片端末をエアーバッグ1の片側面に縫い合わせて止着し、エアーバッグ1を包み込んでから、他端末をエアーバッグ1の外部に突き出るリテーナ4の締付けボルト4c,4dに止め穴5a,5bで掛け止められるよう備え付けられる。この包み布5には、エアーバック1の膨張圧により破断線5cが設けられている。
【0012】
モジュールケース3としては、図2並びに図4で示すようにケース蓋30と、ケース本体31とを一体に樹脂成形したものが備え付けられている。そのケース蓋30は、基部側がケース本体31とフィルムヒンジで開閉自在に連結することにより形成されている。開放口は、ケース本体31の開放縁より立ち上るフック32と、ケース蓋30に設けた掛止め穴33との着脱で開閉可能に形成されている。
【0013】
そのモジュールケース3には、ガス漏れを防ぐようエアーバッグ1の切り口11cをリテーナ4のベースプレート4bとで押えるブラケットプレート6が内部に組み付けられている。このブラケットプレート6は片端部より略直角に折り曲げてモジュールケース3の外側に連続するフランジ部60を有し、掛止めピン61をフランジ部60の突端側に設けた止め輪62で保持することにより構成されている。フランジ部60は、モジュールケース3の開放口側に突出するよう配置されている。
【0014】
そのエアーバッグ装置Eは、図5で示すようにバックパッド7の側部に設けた空洞8に収容位置すると共に、モジュールケース3より突出する締付けボルト4cでシートバックフレーム9のサイドプレート10に取付け固定し、バックパッド7の空洞8を含む全体をトリムカバー11で被包することによりシートバックBの内部に装備されている。
【0015】
それに加えて、あてがいプレート12がモジュールケース3とサイドプレート10の間に挟込み固定することにより備え付けられている。このあてがいプレート12は片端部より略直角に折り曲げてフランジ部12aを設け、掛止めピン12bをフランジ部12aの突端側に設けた止め輪12cで保持することにより構成されている。あてがいプレート12のフランジ部12aは、モジュールケース3を介し、ブラケットプレート6のフランジ部60と相対側に突出するよう配置されている。
【0016】
その構成中、トリムカバー11としては本革,合皮,ファブリック等の単材または表皮材,ワディング材,裏打材を三者一体に積層形成したワディングカバーを用いて形成できる。このトリムカバー11は土手部を有するシートバックBに対応し、図6で示すように座面中央から左右の土手面を被包する前面カバー部11aと周側面から背面に至る側面カバー部11bとを縫い合わせ、更に、背面カバー部11cをスライドファスナー11dで開閉自在に備えることにより袋状に縫製されている。
【0017】
そのトリムカバー11には、座面中央から左右の土手面を被包する前面カバー部11aと周側面から背面に至る側面カバー部11bとの縫い合わせ目から、エアーバッグの膨張展開に伴う破断部13が形成されている。この破断部13となる縫い合わせ目は、8番手程度の糸と20番手程度の糸とを上下の縫い糸として縫い合わせることにより通常の使い勝手に耐えられる強度を保ってエアーバッグの膨張による応力で裂断し易く縫製できる。
【0018】
そのトリムカバー11には、破断部13を形成する縫い合わせ目と片端部を内外に重ねて縫い合わせることにより、二枚の力布14,15が内側に備え付けられている。この力布14,15は、ポリエステル不織布や綿布等のエアーバッグの膨張圧を受けても伸びの少ない材質のものを用いて形成されている。また、自由端側には掛止めフック16a,16b、17a,17bを有するトリムコード16,17が備え付けられている。
【0019】
その力布16,17は、図5で示すようにトリムカバー11の破断部13となる縫い合わせ目から二方向に分け、片方14はバックパッド7の開口縁から空洞8の内側に引き込み、トリムコード16の掛止めフック16a,16bを掛止めピン61に掛け止めてブラケットプレート6のフランジ部60に連結固定する。
【0020】
他方の力布15は、モジュールケース3の前部側からバックパッド7の空洞8に引き込み、トリムコード17の掛止めフック17a,17bを掛止めピン61に掛け止めてあてがいプレート12のフランジ部12aに連結固定することにより組み付けられている。
【0021】
なお、力布16,17の連結固定は、図7で示すように掛止めフック62’をブラケットプレート6(あてがいプレート12も同様)に設け、掛止めピンを力布の端末に備えることによっても行える。
【0022】
【発明の効果】
以上の如く、本発明に係るサイドエアーバッグ装置装備用シートに依れば、フランジ部が開放口側に突出するブラケットプレートをモジュールケースの内部に備えると共に、フランジ部がモジュールケースを介してブラケットプレートのフランジ部と相対側に突出するあてがいプレートをモジュールケースとサイドプレートの間に挟込み固定し、片方の力布をバックパッドの開口縁から空洞内に引き込んでブラケットプレートのフランジ部に連結固定し、他方の力布をモジュールケースの前部側からバックパッドの空洞内に引き込んであてがいプレートのフランジ部に連結することにより、モジュールケースを含むエアーバッグ装置全体を包み込んで力布を簡単に組み付けられ、また、エアーバック装置を直に包み込んでエアーバッグの膨張圧をトリムカバーの破断部となる縫い合わせ目に効率よく集中させ、エアーバッグを速やかに膨張展開できるよう力布を備え付けられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るサイドエアーバッグ装置装備シートのシートバックを示す斜視図である。
【図2】本発明に係るサイドエアーバッグ装置装備シートに備えるエアーバック装置を示す断面図である。
【図3】本発明に係るサイドエアーバッグ装置装備シートに備えるエアーバック装置のエアーバッグ並びにインフレータ,リテーナを示す展開斜視図である。
【図4】本発明に係るサイドエアーバッグ装置装備シートに備えるエアーバック装置のモジュールケースを示す斜視図である。
【図5】本発明に係るサイドエアーバッグ装置装備シートの主要部を示す断面図である。
【図6】本発明に係るサイドエアーバッグ装置装備シートを構成するトリムカバーを示す斜視図である。
【図7】本発明に係るサイドエアーバッグ装置装備シートに備えるエアーバック装置の別のモジュールケースを示す斜視図である。
【符号の説明】
B シートバック
E エアーバッグ装置
3 モジュールケース
6 ブラケットプレート
60 フランジ部
7 バックパッド
8 バックパッドの空洞
9 シートバックフレーム
10 サイドプレート
11 トリムカバー
12 あてがいプレート
12a フランジ部
13 トリムカバーの破断部
14,15 力布
Claims (1)
- インフレータをリテーナで保持させてエアーバッグの切り口より内部に組み付け、該インフレータの発生ガス圧により膨張展開可能なエアーバッグを開閉自在なモジュールケースの内部に収容したエアーバッグ装置を備え、該エアーバッグ装置をバックパッドの側部に設けた空洞内に位置させてシートバックフレームのサイドプレートに取り付け、該エアーバッグ装置の装備側を被包するトリムカバーの縫い合わせ目でエアーバッグの膨張展開に伴うトリムカバーの破断部を形成し、該トリムカバーの破断部となる縫い合わせ目と片端部で縫い合わせてエアーバッグ装置を包む二枚の力布をトリムカバーの内側に備えるサイドエアーバッグ装置装備シートにおいて、
前記エアーバッグの切り口を前記リテーナとで押えるブラケットプレートを前記モジュールケースの内部に備え、該ブラケットプレートの片端部を略直角に折り曲げて前記モジュールケースの外側に連続するフランジ部を設け、該ブラケットプレートのフランジ部を前記モジュールケースの開放口側に突出させて配置し、
更に、前記モジュールケースと前記サイドプレートの間に挟込み固定するあてがいプレートを備え、該あてがいプレートの片端部を略直角に折り曲げてフランジ部を設け、前記モジュールケースを介して該あてがいプレートのフランジ部を前記ブラケットプレートのフランジ部と相対側に突出させて配置し、
前記片方の力布をバックパッドの開口縁から空洞内に引き込んで前記ブラケットプレートのフランジ部に連結固定し、前記他方の力布をモジュールケースの前部側からバックパッドの空洞内に引き込んで前記あてがいプレートのフランジ部に連結固定してなることを特徴とするサイドエアーバッグ装置装備シート。
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