JP3838580B2 - イージーオープン性を有する蓋材および該蓋材を用いた容器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、レトルト食品等の包装に用いる容器をイージーオープンとするための技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えばレトルト食品用の容器のように特に開封前の密封性と開封時のイージーオープン性を兼ね備えることが要求される容器の場合、容器本体を頂部開口周縁にフランジ部を有するものとし、蓋材としては基材層の裏面に熱接着性樹脂層を設けた積層フィルムを使用して、その熱接着性樹脂層を容器本体のフランジ部に当てて溶融シールするとともに、蓋材の基材層の裏面のシール部に対応する部分にシール部より幅広の剥離剤層を設け、蓋材周縁部の摘まみ部を持って引き上げたときに熱接着性樹脂層のシール部分が基材層から剥がれ、その部分を残して蓋材が剥がれるようにすることが従来から行われている。
【0003】
また、イージーオープンの方法としては、他に、容器本体およびその開口周縁のフランジ部を、基材層と剥離層とからなる積層シートにより、剥離層がフランジ部の表面側となるよう成形するとともに、フランジ部のシール部より内側に位置する剥離層の部分に全周にわたって切り欠きを設け、あるいは同部分の剥離層を全周にわたって薄肉化することにより、開封時に周縁部分では剥離層が蓋材と共に持ち上がり、切り欠きあるいは薄肉化された部分で剥離層が切れて蓋材が剥がれるようにしたものがある。実公平6−47773号公報にはこのような方法でイージーオープン性を持たせるようにした容器が記載されている。また、実公平6−96263公報にはそのような容器の製造方法が記載されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、蓋材を基材層の裏面のシール部に対応する部分に剥離剤層を設けたものでは、蓋材周縁部の摘まみ部を持って引き上げると、熱接着性樹脂層のシール部分は界面で剥がれるが、その部分の内側で熱接着性樹脂層が斜めに裂けて剥離面が汚くなったり、層間剥離して一部が残ってしまい、開封できないといった不都合が発生しやすい。
【0005】
また、容器本体側に剥離層を設けてその剥離層に切り欠きあるいは薄肉部を設けるものでは、容器本体を基材層と剥離層の積層構造とする必要があり、また、容器成形後にフランジ部の剥離層にリング状に切り欠きや薄肉部を形成する必要があって、それらがコスト高の要因となる。このような切り欠きや薄肉部は、積層シートを容器形状に成形し、更に個々の容器に打ち抜いた後、熱板で押圧することにより別工程で形成しなければならず、工程が煩雑かつ面倒で、コスト高になる。成形後の容器を個々に打ち抜く前の多面付けの状態で切り欠きや薄肉部を形成することも不可能ではないが、そうすると、熱板にて押圧することによりシートの中央と端とで伸縮度合にバラツキが生じ、見当合わせが困難になる。
【0006】
本発明はこのような問題点を解決するものであって、加工が簡単でコストの安い手段によってイージーオープン性を高めることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、容器本体側に加工を施すのではなく、蓋材によってイージーオープン性を高めるようにしたものである。すなわち、本発明の蓋材は、蓋材基材層と該基材層の裏面側に積層された熱接着性樹脂層とからなり熱接着性樹脂層を容器本体のフランジ部に当て所定シール部で溶融シールするものであって、基材層の裏面のシール部に対応する部分にシール部より幅広若しくは同幅の剥離剤層を設けるとともに、熱接着性樹脂層の基材層と接する側の少なくともシール部の内周部に対応する表面部分に多数の微細な凹凸を設け、蓋材周縁部を持って引き上げることにより、熱接着性樹脂層のシール部分が基材側の界面で剥がれ、次いで、接着性樹脂層がシール部分の内側で微細な凹凸が始端となって引き裂けて、シール部分だけを残して容器本体のフランジ部から剥がれるよう構成したものである。また、本発明の容器は、頂部開口周縁にフランジ部を有する容器本体と、基材層と該基材層の裏面側に積層された熱接着性樹脂層とからなり前記熱接着性樹脂層を前記容器本体のフランジ部に当て所定シール部で溶融シールする蓋材とからなる容器であって、前記蓋材の基材層の裏面の前記シール部に対応する部分に前記シール部より幅広若しくは同幅の剥離剤層を設けるとともに、前記熱接着性樹脂層の前記基材層と接する側の少なくとも前記シール部の内周部に対応する表面部分に多数の微細な凹凸を設け、蓋材周縁部を持って引き上げることにより、前記熱接着性樹脂層のシール部分が基材側の界面で剥がれ、次いで、該接着性樹脂層が前記シール部分の内側で前記微細な凹凸が始端となって引き裂けて、シール部分だけを残して前記容器本体のフランジ部から剥がれるよう構成したものである。蓋材をこのような構造とすることにより、蓋材周縁部を持って引き上げたときに、熱接着性樹脂層のシール部分が基材側の界面で剥がれ、次いで、剥離がシール部分を外れたところまで進行すると、熱接着性樹脂層の表面部分にある微細な凹凸が始端となって、熱接着性樹脂層が直線的に確実且つ容易に引き裂ける。そのため、剥離面が汚くなったり層間剥離を起こすことなくシール部分だけを残して奇麗に蓋材が剥がれる。
【0008】
蓋材の容器本体のフランジ部に対するシール強度は、蓋材の熱接着性樹脂層と容器本体の素材により調整できるものであって、それにより開封前の密封性を確保できる。また、この蓋材を用いた容器を電子レンジ等で加熱したときの内圧は、蓋材を引き剥がす方向に作用するが、熱接着性樹脂層の表面の微細な凹凸は基材層と接合する側に設けられたものであって、シーラント面にはそのような凹凸はないため、蓋材が内圧により膨らんでも、開封時のように凹凸が始端となって熱接着性樹脂層が引き裂けて蓋材が容器内側から剥がれてしまうようなことにはならない。
【0009】
容器本体のフランジ部に対する蓋材の溶融シールは、完全シール部の外周に沿ってリングシール部を形成するものとするのがよく、そうすることにより、シールが確実になり、また、開封時に熱接着性樹脂層の上記界面での剥離がスムーズに始まる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0011】
図1は実施の形態の一例の容器の蓋材を容器本体へ取り付けた状態の模式断面図、図2は同容器を開封する時の状態を示す模式断面図、図3は同容器の加熱調理時の状態を示す模式断面図である。
【0012】
図において、1は円形カップ状の容器本体、2はシート状の蓋材である。容器本体1は、ポリプロピレン(PP)の成形品で、頂部開口周縁にフランジ部1aを有する。蓋材2は、内容物充填後、容器本体1の頂部に被せられ、周縁部が容器本体1のフランジ部1aに溶融シールされるものであって、容器本体1のフランジ部1aの外形に対応した形状寸法を有し、また、周縁部一か所に開封用の摘まみ部2aを有する。
【0013】
蓋材2は、例えば厚さ12〜25μのポリエステルフィルム3の片面に印刷層4を施した厚さ7〜9μのアルミニウム箔5をドライラミによって接合し、これを基材層pとして、その基材層のアルミニウム箔5の裏面に接着剤層6を介して厚さ50〜100μの未延伸ポリプロピレンフィルム7を接合した積層シートで構成したものである。そして、その積層シートは、個々の蓋材2に打ち抜いたときに容器本体1のフランジ部1aのシール部に対応する部分に位置する基材層pのアルミニウム箔5の裏面に、フランジ部1aのシール部より幅広となるよう剥離剤のパートコート層8が設けられている。なお、パートコート層8の内端は完全シール部11の内端とできるだけ一致させることが好ましい。そうすることで、蓋材2は開封時に完全シール部を越えた位置で容器1側に引っ張られることがなくなり引き裂き面が直線的となる。また、上記未延伸ポリプロピレンフィルム7には、基材層pのアルミニウム箔5と接合する側の表面全面に多数の微細な凹凸9が設けられている。この凹凸9は、例えば未延伸ポリプロピレンフィルム7が厚さ70μの場合に30μの深さのキズをつけることによって形成するものである。また、内圧があまりかからない用途であれば、微細な凹凸9は未延伸ポリプロピレンフィルム7を貫通するものでもかまわない。なお、図の×印は便宜上のものであって、凹凸9の実際の形状や配置をそのまま示すものではない。
【0014】
蓋材2は、熱接着性樹脂層を構成する上記未延伸ポリプロピレンフィルム7を容器本体1のフランジ部1aに当て、所定シール部においてシールバー10により溶融シールする。図に11で示すダブルハッチングの部分は熱接着性樹脂層の溶融による完全シール部を示している。完全シール部11は、内周が容器本体1のフランジ部内周一杯となる位置までの幅に設定される。それにより、シール面積が十分確保される。また、蓋材2は、完全シール部11が形成された後、その完全シール部11の外周に沿ってリングシールが施される。図1の12はリングシール用のシールバーである。また、13はリングシール部を示す。リングシール部13では、未延伸ポリプロピレンフィルム7の層が図示のようにくびれた形となる。
【0015】
この容器は、蓋材2の摘まみ部2aを持って引き上げることにより容易に開封できるものである。すなわち、摘まみ部2aを引き上げると、蓋材2はリングシール部13より外側の溶融シールされていない部分が持ち上がって容器本体1のフランジ部1aから離れ、次いで、リングシール部13に達すると、リングシール部13および完全シール部11の部分で未延伸ポリプロピレンフィルム7が界面から剥がれ、基材層pだけが開いていく。その際、リングシール部13のくびれによるエッジ効果によって上記界面での剥離がスムーズに始まる。そして、シール部分を外れたところまで剥離が進行すると、それより内側で未延伸ポリプロピレンフィルム7が基材層pに接合したまま持ち上がることによって未延伸ポリプロピレンフィルム7が引き裂ける。その際、基材層pに接合する側の表面に設けられた微細な凹凸9が始端となるため、未延伸ポリプロピレンフィルム7は確実且つ容易に引き裂け、引き裂け面が図2に示すように直線的になり、蓋材2が奇麗に剥がれる。
【0016】
蓋材2の容器本体1のフランジ部1aに対するシール強度は、蓋材の熱接着性樹脂層と容器本体1の素材により調整でき、それにより開封前の密封性を確保できる。また、電子レンジ等で加熱する時の内圧は蓋材を引き剥がす方向に作用するが、熱接着性樹脂層(未延伸ポリプロピレンフィルム7)の表面の微細な凹凸9は基材層のアルミニウム箔5と接合する側にあり、シーラント面にそのような凹凸はないため、蓋材2が内圧により図3に示すように変形したときに、開封時のように凹凸9が始端となって熱接着性樹脂層が引き裂け蓋材2が剥がれてしまうようなことにはならない。また、完全シール部11が容器本体1のフランジ部内周一杯となる幅に設定されることにより、シール面積は十分確保される。したがって、容器内圧に対する耐圧性の確保が容易である。
【0017】
上の例はレトルト食品用の容器の場合であり、この場合、蓋材は、他に、例えば厚さ12μのポリエステルフィルムの片面に印刷層を施した厚さ12μのポリエステルフィルムを積層し、その上に更にドライラミによって厚さ7μのアルミニウム箔を接合したものを基材層として、その基材層のアルミニウム箔の裏面に未延伸ポリプロピレンフィルムを接合した積層シートで構成してもよいものである。また、この場合の蓋材は、ポリエステルフィルムの片面に印刷層を施した2軸延伸エチレン−ビニルアルコール共重合体を積層したものを基材層とするものであってもよく、また、ポリエステルフィルムの片面に印刷層を施したシリカ−アルミナ−ポリエステルを積層したものを基材層とするものであってもよい。
【0018】
また、本発明はボイル食品用の容器にも適用でき、その場合、蓋材は、例えば厚さ25μの延伸ナイロンの裏面に印刷層を設けたものを基材層として、その基材層の裏面に未延伸ポリプロピレンフィルムを接合した積層シートで構成するのがよく、また、その場合の基材層としては、厚さ15μの延伸ナイロンの片面に印刷層を施した厚さ15μの延伸ナイロンを積層したものを用いてもよく、あるいは、厚さ15μの延伸ナイロンの片面に印刷層を施した厚さ15μの延伸ナイロンを積層したものを用いてもよいものである。また、ポリエステルフィルムの片面に印刷層を施した延伸ナイロンを積層したものを蓋材の基材層としてもよい。
【0019】
本発明は、また、レトルト食品用,ボイル食品用の容器以外にも各種用途の蓋材および該蓋材を用いる容器に適用できるものである。
【0020】
【発明の効果】
本発明によれば、蓋材の熱接着性樹脂層を容器本体のシール部の内周縁で直線的に引き裂いて容易且つ奇麗に開封することができ、イージーオープン性が向上する。しかも、容器本体側に加工を施す必要がないため加工が簡単で、コストを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態の一例の容器の蓋材を容器本体へ取り付けた状態の模式断面図である。
【図2】図1の容器を開封する時の状態を示す模式断面図である。
【図3】図1の容器の加熱調理時の状態を示す模式断面図である。
【符号の説明】
1 容器本体
2 蓋材
7 未延伸ポリプロピレンフィルム(熱接着性樹脂層)
8 パートコート層(剥離剤)
9 凹凸
p 基材層
Claims (3)
- 基材層と該基材層の裏面側に積層された熱接着性樹脂層とからなり前記熱接着性樹脂層を容器本体のフランジ部に当て所定シール部で溶融シールする蓋材であって、前記基材層の裏面の前記シール部に対応する部分に前記シール部より幅広若しくは同幅の剥離剤層を設けるとともに、前記熱接着性樹脂層の前記基材層と接する側の少なくとも前記シール部の内周部に対応する表面部分に多数の微細な凹凸を設け、蓋材周縁部を持って引き上げることにより、前記熱接着性樹脂層のシール部分が基材側の界面で剥がれ、次いで、該接着性樹脂層が前記シール部分の内側で前記微細な凹凸が始端となって引き裂けて、シール部分だけを残して前記容器本体のフランジ部から剥がれるよう構成したことを特徴とするイージーオープン性を有する蓋材。
- 頂部開口周縁にフランジ部を有する容器本体と、基材層と該基材層の裏面側に積層された熱接着性樹脂層とからなり前記熱接着性樹脂層を前記容器本体のフランジ部に当て所定シール部で溶融シールする蓋材とからなる容器であって、前記蓋材の基材層の裏面の前記シール部に対応する部分に前記シール部より幅広若しくは同幅の剥離剤層を設けるとともに、前記熱接着性樹脂層の前記基材層と接する側の少なくとも前記シール部の内周部に対応する表面部分に多数の微細な凹凸を設け、蓋材周縁部を持って引き上げることにより、前記熱接着性樹脂層のシール部分が基材側の界面で剥がれ、次いで、該接着性樹脂層が前記シール部分の内側で前記微細な凹凸が始端となって引き裂けて、シール部分だけを残して前記容器本体のフランジ部から剥がれるよう構成したことを特徴とするイージーオープン性を有する蓋材を用いた容器。
- 容器本体のフランジ部に対する蓋材の溶融シールは、完全シール部の外周に沿ってリングシール部を形成するものである請求項2記載のイージーオープン性を有する蓋材を用いた容器。
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