JP4231158B2 - 湯切り孔付き蓋材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、生麺用容器のように、容器の中で麺をゆがいた後に湯切りを行う用途に使用する湯切り孔付き蓋材に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、カップ入り生麺のように容器の中で麺をゆがいた後に湯切りして使用する容器に関しては、発泡ポリスチレン等からなるプラスチック成形容器に生麺,具,ソース等を収納し、湯切り孔となる切込が形成されたプラスチック成形蓋を嵌合させて封止し、全体を収縮フィルムにて収縮包装した包装形態のものが一般的に使用されている。
しかしながら、上記構成の容器の場合には、湯切り孔となる切込が形成されているため密封性が劣る、湯切り孔の数が制限されるので湯切りに時間がかかる、嵌合蓋であるために湯切りする際に蓋が容器から外れたり蓋と容器の隙間から湯が漏れ出して火傷をするおそれがある等の欠点があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、包装した状態での密封性に優れ、湯が漏れだすことなく簡単な操作で速やかに湯切りを行える湯切り孔付き蓋材を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
外蓋と内蓋が部分的に剥離可能に積層された構成からなり外周縁に外方に突出する摘み部が形成された蓋材であって、内蓋には、摘み部と対向する周縁部に湯切り孔切目が形成され、摘み部と湯切り孔切目が形成された領域を区画するように内蓋切目が形成され、外蓋の内面に湯切り孔切目が形成された領域に対向させて部分的に離型層が形成された構成からなる蓋材である。この蓋材を生麺等を収納した容器に熱接着して取り付けた後に、摘み部を掴んで容器から蓋材を引き剥がしてゆき、剥離が内蓋切目に達すると内蓋切目にて内蓋が切断され、それ以降は内蓋に形成さた湯切り孔切目に囲まれた部分が外蓋に接着した状態で内蓋と外蓋が剥離し、容器の口部には湯切り孔が形成された内蓋のみが接着された状態となる。この状態で内蓋の切り取られた開口部から容器に収納されている生麺、スープ、具等を取り出し、生麺のみを容器に入れて水を注入して電子レンジで加熱するかないしは湯を注いで麺をゆがいた後に、容器に接着された内蓋の湯切り孔から簡単に湯切りをすることができるものである。
【0005】
上記湯切り孔付き蓋材において、外蓋の内面の湯切り孔切目の中央部と対向する領域が離型層非形成部とされている構成とすることにより、蓋材を剥離した際に、内蓋の湯切り孔切目に囲まれた部分が外蓋に接着した状態で除去されるので確実に湯切り孔を形成することができる。
【0006】
上記湯切り孔付き蓋材において、内蓋切目が湯切り孔切目が形成されている側に凸状に湾曲した曲線状とされているので、開口部が広くなり容器に収納さている生麺,具,スープ等が取り出し易い上に、湯切りを行う際に容器の両側から湯が溢れ出すことがないので安全である。
【0007】
上記湯切り孔付き蓋材において、湯切り孔切目および内蓋切目が、内蓋と外蓋が積層された後に、内蓋の内面からのハーフカットにより形成された構成とすることより、蓋材の所定位置に内蓋を貫通する湯切り孔切目および内蓋切目を簡単に形成することができる。
【0008】
上記湯切り孔付き蓋材において、外蓋がプラスチックフィルム層と紙層とからなり、内蓋がプラスチックフィルム層と熱接着性樹脂層からなる構成とすることより、内蓋の熱接着性樹脂層面からハーフカットを設けることにより、内蓋を貫通する湯切り孔切目および内蓋切目を簡単に形成することができる。また、湯切り孔が形成された内蓋が容器に接着した状態で電子レンジ加熱が可能となる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、図面を引用して本発明の実施の形態を説明する。
図1は本発明の第1実施形態を示す底面図、図2は本発明の第1実施形態の積層構成を示す図1のI−I断面図、図3は第1実施形態の蓋材を容器の口部に接着した状態の断面図、図4は容器に接着した第1実施形態の蓋材を剥離した状態の断面図、図5は本発明の第2実施形態を示す底面図であって、1, 1'は蓋材、2,2'は摘み部、3,3'は内蓋切目、4,4'は湯切り孔切目、5は容器、6は熱接着部、7は湯切り孔、10は外蓋、11はプラスチックフィルム層、12は接着剤層、13は紙層、14は印刷層、15は離型層、16は離型層非形成部、20は内蓋、21,23はポリエチレン層、22はプラスチックフィルム層、24は熱接着性樹脂層をそれぞれ表す。
【0010】
本発明の第1実施形態は図1、図2に示すとおりであって、外蓋10と内蓋20が部分的に形成された離型層を介して剥離可能に積層された略円形状の蓋材1である。蓋材1の内面の形状は、図1に示すように、円形状であって周縁に外方に突出する摘み部2が形成された形状であり、摘み部2と対向する周縁部には内蓋20を貫通する複数の湯切り孔切目4が形成されるとともに、摘み部2と湯切り孔切目4が形成された領域を区画するように蓋材1の略中央部に摘み部2側に凹状となる湾曲した内蓋切目3が内蓋20を貫通するように形成された構成である。
【0011】
蓋材1の積層構成は、図2に示すとおり、内面から順に、熱接着性樹脂層24とポリエチレン層23とプラスチックフィルム層22とポリエチレン層21からなる内蓋20と、部分的に形成された離型層15と紙層13と印刷層14とポリエチレン層12とプラスチックフィルム層11からなる外蓋10とが、部分的に形成された離型層15とポリエチレン層21間で剥離可能に積層された構成であり、内蓋20の略中央部には摘み部2側に凹状となるように湾曲する曲線状の内蓋切目3が形成されるとともに、内蓋切目3の摘み部2と反対側の周縁部に複数の湯切り孔切目4が形成され、外蓋10の紙層13面に、湯切り孔切目4の中央部に対向する部分を除いて、内蓋切目3と湯切り孔切目4が形成された領域に対向するように離型層15が形成されている構成である。
【0012】
第1実施形態の蓋材1を容器口部に熱接着して取り付けた状態の断面は、図3に示すとおり、摘み部2が容器5の外方に突出した状態で、容器の口部を覆って蓋材1の内面の熱接着性樹脂層24と容器5のフランジ部とが熱接着部6にて熱接着されている。
【0013】
図3に示す蓋材1が取り付けられた容器5を使用する際には、摘み部2を掴んで蓋材1を容器5から引き剥がすと、蓋材1の内面の熱接着性樹脂層24と容器5のフランジ部との熱接着部6が剥離してくる。蓋材1を容器5から剥離してゆき内蓋切目3に達すると、内蓋切目3の摘み部2と反対側の領域では、外蓋10と内蓋20とが部分的な離型層15を介して積層されており外蓋10と内蓋20の接着が強くないので、外蓋10の離型層15と内蓋20のポリエチレン層21の界面で外蓋10と内蓋20が簡単に剥離してくる。更に、剥離を続けてゆき湯切り孔切目4に達すると、湯切り孔切目4に囲まれた部分の内蓋20が外蓋10に接着した状態で抜き取られて湯切り孔切目4の部分に湯切り孔7が形成される。湯切り孔切目4の中央部に対向する外蓋10の紙層面は離型層15が形成されていない離型層非形成部16とされており、その部分における外蓋10と内蓋20の接着が強いので湯切り孔切目4に囲まれた部分が抜き取られて確実に湯切り孔7を形成することができる。
【0014】
摘み部2を掴んで蓋材1を容器5から完全に剥離した状態では、図4に示すように、図1に示す蓋材1の内蓋切目3より摘み部2と反対側の内蓋20が湯切り孔7が形成された状態で容器5に接着されたまま残り、容器5の開口部の約半分を被覆した状態となる。この状態で、開口部から容器に収納されている生麺,具,スープ等の内容物を取り出し、生麺のみを再び容器に入れて水を注ぎ電子レンジで加熱するかもしくは湯を注いで麺をゆがいた後に、容器を傾けて容器の口部に接着されている内蓋20の湯切り孔7から簡単に湯きりを行うことができる。次いで、容器口部に接着されている内蓋20を剥離して取り除いてから、容器内に具およびスープを入れて、水を加え電子レンジで加熱するかもしくは湯を注ぐことによりカップ入り生麺ができあがる。
【0015】
本発明の第2実施形態の蓋材1'は、基本的な構成は第1実施形態の蓋材1と同じであり、形状が四角形状となっている点で異なるものである。蓋材1'の内面の形状は、図5に示すように、四角形状であって一方の角部に外方に突出する摘み部2'が形成された形状であって、摘み部2'と対向する角部の領域には内蓋20を貫通する複数の湯切り孔切目4'が形成されるとともに、摘み部2'と湯切り孔切目4'が形成された領域を区画するように蓋材1'の略中央部に内蓋20を貫通する摘み部2'側に凹状となった湾曲した直線状の内蓋切目3'が形成された構成である。
【0016】
蓋材1'を開口部が四角形状の容器に取り付けられた生麺等の容器を使用する場合は、第1実施形態の蓋材1と同様であり、摘み部2'を掴んで蓋材1'を容器から剥離させることにより、摘み部2'と反対側の角部に湯切り孔7が形成された内蓋10が容器の開口部の約半分を覆った状態で残るので、第1実施形態の蓋材1の場合と同様にして生麺等をゆがいた後に湯切りを行うことができる。
【0017】
実施形態においては蓋材の形状を円形状、四角形状として説明したが、形状は任意であり容器の開口部の形状にあわせばよい。内蓋に形成する内蓋切目は中心を通る略2等分線の状態に形成するのが好ましい。その場合、蓋材を容器から剥離した状態で、容器の開口部の略半分を湯切り孔が形成された内蓋が覆う状態となるので、その湯切り孔により簡単に湯切りを行うことができるものである。湯切り孔切目の形状,大きさ,数に関しては任意であり、湯切りの際に麺が漏れ出さずかつ速やかに湯切りできるように位置,数を決めればよいものである。
【0018】
離型層を形成するための樹脂としては、硝化綿、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ブチラール樹脂等の単体ないしは混合物が使用できる。必要により少量のシリコーン等を添加してもよい。離型層は上記の樹脂からなるインキを使用して紙面にグラビア印刷等により印刷することにより形成される。離型層はベタ印刷版にて印刷されて形成されるのが普通であるが、網点面積率が50〜80%の網点印刷版を使用して網点状に形成することもできる。離型層が形成された部分における外蓋10と内蓋20の接着強度は、使用する上記樹脂の種類または網点面積率により変えることができる。
【0019】
本発明の湯切り孔付き蓋材における紙層13としては坪量が70〜120gのアート紙等が使用できる。熱接着性樹脂層23としては、熱溶融して押出しラミネーションすることのできるエチレン−酢酸ビニル共重合体を主成分とする樹脂が使用できる。熱接着性樹脂層はプラスチックフィルム層22面にアンカーコートを行って直接押出ラミネーションしてもよいし、実施形態のようにポリエチレン層23を介して積層するようにしてもよい。プラスチックフィルム11,22 としては、2軸延伸ポリエチレンテレフタレート、2軸延伸ナイロン、2軸延伸ポリプロピレン等の2軸延伸フィルムが使用できる。また、プラスチックフィルム22に代えてアルミニウム箔を使用することも可能である。蓋材の積層構成としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)12μ/ドライラミネーション(DL)/印刷層/片アート紙85g/離型層/ポリエチレン(PE)20μ/ポリエチレンテレフタレート(PET)16μ/ポリエチレン(PE)20μ/熱接着性樹脂層20μ、PET12μ/DL/印刷層/片アート紙85g/離型層/DL/PE16μ/PE20μ/熱接着性樹脂層20μ、PET12μ/DL/印刷層/片アート紙85g/離型層/PE20μ/アルミニウム箔17μ/熱接着性樹脂層20μ等である。
【0020】
本発明の実施形態の湯切り孔付き蓋材を製造する方法は下記のとおりである。片アート紙等のロール状の紙の表面に印刷層を形成する印刷工程とインラインで紙の裏面に印刷層と見当を合わせて部分的な離型層を印刷して形成した後に、印刷層と部分的な離型層が形成さた紙の印刷層面にウレタン系接着剤を使用してドライラミネーションにより2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを積層して外蓋用基材を作製する。次いで、上記で作製した外蓋用基材の部分的な離型層が形成された紙面に、ポリエチレンの熱溶融押出ラミネーションにより2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを積層し、更に、その2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム面に熱溶融押出ラミネーションによりポリエチレン層と熱接着性樹脂層を積層してロール状の蓋材用の積層体を作製する。最後に、蓋材用の積層体を所定位置にて裁断し、所定形状に打ち抜くことにより蓋材を作製することができる。
【0021】
【発明の効果】
外蓋と内蓋が部分的に剥離可能に積層された構成からなり外周縁に外方に突出する摘み部が形成された蓋材であって、内蓋には、摘み部と対向する周縁部に湯切り孔切目が形成され、摘み部と湯切り孔切目が形成された領域を区画するように内蓋切目が形成され、外蓋の内面に湯切り孔切目が形成された領域に対向させて部分的に離型層が形成された構成からなる蓋材である。この蓋材を生麺等を収納した容器に熱接着して取り付けた後に、摘み部を掴んで容器から蓋材を引き剥がしてゆき、剥離が内蓋切目に達すると内蓋切目にて内蓋が切断され、それ以降は内蓋に形成さた湯切り孔切目に囲まれた部分が外蓋に接着した状態で内蓋と外蓋が剥離し、容器の口部には湯切り孔が形成された内蓋のみが接着された状態となる。この状態で内蓋の切り取られた開口部から容器に収納されている生麺,具,スープ等を取り出し、生麺のみを容器に入れて水を注入して電子レンジで加熱するかもしくは湯を注いで麺をゆがいた後に、容器に接着された内蓋の湯切り孔から簡単に湯切りをすることができるものである。
上記湯切り孔付き蓋材において、外蓋の内面の湯切り孔切目の中央部と対向する領域が離型層非形成部とされている構成とすることにより、蓋材を剥離した際に、内蓋の湯切り孔切目に囲まれた部分が外蓋に接着した状態で除去されるので確実に湯切り孔を形成することができる。
上記湯切り孔付き蓋材において、内蓋切目が湯切り孔切目が形成されている側に凸状に湾曲した曲線状とされているので、開口部が広くなり容器に収納さている生麺,具,スープ等が取り出し易い上に、湯切りを行う際に容器の両側から湯が溢れ出すことがないので安全である。
上記湯切り孔付き蓋材において、湯切り孔切目および内蓋切目が、内蓋と外蓋が積層された後に、内蓋の内面からのハーフカットにより形成された構成とすることより、蓋材の所定位置に内蓋を貫通する湯切り孔切目および内蓋切目を簡単に形成することができる。
上記湯切り孔付き蓋材において、外蓋がプラスチックフィルム層と紙層とからなり、内蓋がプラスチックフィルム層と熱接着性樹脂層からなる構成とすることより、内蓋の熱接着性樹脂層面からハーフカットを設けることにより、内蓋を貫通する湯切り孔切目および内蓋切目を簡単に形成することができる。湯切り孔が形成された内蓋が容器に接着した状態で電子レンジ加熱が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態を示す底面図。
【図2】本発明の第1実施形態の積層構成を示す図1のI−I断面図。
【図3】第1実施形態の蓋材を容器の口部に接着した状態の断面図。
【図4】容器に接着した第1実施形態の蓋材を剥離した状態の断面図。
【図5】本発明の第2実施形態を示す底面図。
【符号の説明】
1, 1' 蓋材
2,2' 摘み部
3,3' 内蓋切目
4,4' 湯切り孔切目
5 容器
6 熱接着部
7 湯切り孔
10 外蓋
11 プラスチックフィルム層
12 接着剤層
13 紙層
14 印刷層
15 離型層
16 離型層非形成部
20 内蓋
21,23 ポリエチレン層
22 プラスチックフィルム層
24 熱接着性樹脂層
Claims (4)
- 外蓋と内蓋が部分的に剥離可能に積層された構成からなり外周縁に外方に突出する摘み部が形成された蓋材であって、前記内蓋には、前記摘み部と対向する周縁部に湯切り孔切目が形成され、前記摘み部と前記湯切り孔切目が形成された領域を区画するように内蓋切目が形成され、前記外蓋の内面に、前記湯切り孔切目が形成された領域に対向させて部分的に離型層が形成されていて、
前記内蓋切目が前記湯切り孔切目が形成された領域側に凸状に湾曲した曲線状とされていることを特徴とする、湯切り孔付き蓋材。 - 前記外蓋の内面の前記湯切り孔切目の中央部と対向する領域が離型層非形成部とされていることを特徴とする、請求項1記載の湯切り孔付き蓋材。
- 前記湯切り孔切目および前記内蓋切目が、前記内蓋と前記外蓋が積層された後に、前記内蓋の内面からのハーフカットにより形成されたものであることを特徴とする、請求項1または2記載の湯切り孔付き蓋材。
- 前記外蓋がプラスチックフィルム層と紙層とからなり、前記内蓋がプラスチックフィルム層と熱接着性樹脂層からなることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の湯切り孔付き蓋材。
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