JP3949970B2 - 湯切り孔付き蓋材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、生麺等、麺に熱湯を注いで一定時間放置した後、湯切りを行う容器に使用する湯切り孔付き蓋材に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、カップ入り焼きそば等は、発泡ポリスチレン等からなる容器に収納し、外蓋と内蓋が少なくとも部分的に剥離可能に積層されるとともに内蓋の摘み部の近傍に剥離開始切目が形成され、摘み部を掴んで部分的に外蓋を剥離させることにより内蓋に湯切り孔を形成できるようにした蓋材を熱接着して取り付けた構成のものが知られている。
【0003】
しかしながら、上記のように、外蓋と内蓋が少なくとも部分的に剥離可能に積層されるとともに内蓋の摘み部の近傍に剥離開始切目が形成された蓋材を発泡ポリスチレン製等の容器に熱接着してなる包装体においては、摘み部を掴んで剥離開始切目の箇所から外蓋を内蓋から剥離させて内蓋に湯切り孔を形成するのであるが、内蓋の摘み部の近傍に剥離開始切目を形成した蓋材では、蓋材を製造する工程にて蓋材の打ち抜かれた周縁に対する剥離開始切目の位置に多少のずれが生じるとともに、蓋材を容器に取り付ける際に蓋材と容器の相対的な位置に多少のずれが生じるため、容器に蓋材を熱接着した際に、剥離開始切目の位置が容器の中央方向にずれて、剥離開始切目が熱接着部の外端に位置せず熱接着部内に入ってしまうことがある。その場合には、剥離開始切目より外側の蓋材の熱接着性樹脂層が容器に接着するため、摘み部を掴んで蓋材を剥離させる際に、容器の発泡ポリスチレンの表面層が蓋材の内面に接着した状態で取られ、剥離開始切目の箇所にて蓋材が外蓋と内蓋に分離させることができず、蓋材が容器から剥離してしまうという問題が発生する欠点を有している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、発泡ポリスチレン製の容器に湯切り孔付きの蓋材を取り付けた包装体において、蓋材の外蓋を剥離開始端縁の箇所から剥離させることにより、内蓋に確実に湯切り孔を形成することができるようにした湯切り孔付き蓋材を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
外蓋と内蓋が離型層を介して剥離可能に積層された構成からなり外周縁の少なくとも1か所に外方に突出する摘み部を有する形状の蓋材であって、離型層が摘み部に隣接する領域に形成され、内蓋には離型層に対向する領域に複数の湯切り孔切目が形成され、摘み部が外蓋の周縁が内蓋の周縁から外方に突出するように形成され、摘み部の内側が剥離開始端縁とされた構成とすることにより、摘み部の部分が外蓋のみからなり熱接着性を有しないので、容器に蓋材を熱接着する際に蓋材の剥離開始端縁が容器と蓋材の熱接着部の外端に位置せずに、熱接着部内に入ってしまった場合でも、蓋材の剥離開始端縁より外側の摘み部の部分が容器に接着しないので、摘み部を掴んで蓋材を容器から剥離する際に、剥離開始端縁の内側の内蓋が容器に接着した状態で外蓋のみを内蓋からスムーズに剥離させることができるので、確実に湯切り孔を形成することが可能となる。
【0006】
上記湯切り孔付き蓋材において、離型層が、剥離開始端縁の近傍領域においてベタ離型層とされ且つその他の領域において網点離型層とされている構成とすることにより、摘み部を掴んで蓋材を容器から剥離する際に、ベタ離型層が形成された剥離開始端縁の近傍において、内蓋と外蓋が容易に剥離するので、容器に蓋材を熱接着する際に蓋材の剥離開始端縁が熱接着部より外側にずれた場合でも、摘み部を掴んで蓋材を内蓋が容器に接着された状態で外蓋のみを簡単に内蓋から剥離できる。また、湯切り孔切目が形成された領域は網点離型層とされており、外蓋と内蓋の剥離強度がやや強くなるので、湯切り孔切目に囲まれた部分は外蓋に接着した状態で抜き取られ、内蓋に湯切り孔を形成することができる。
【0007】
【0008】
上記湯切り孔つき蓋材において、内蓋には、摘み部と蓋材の中央を結ぶ線に対称な摘み部の側に突出する円弧状の内蓋切目が形成され、摘み部の周縁と内蓋切目と蓋材の周縁に囲まれた領域に離型層が形成された構成とすることにより、摘み部を掴んで蓋材を容器から剥離すると、離型層が形成された領域では外蓋が内蓋から簡単に剥離して湯切り孔が形成された内蓋が容器に接着した状態となるとともに、離型層が形成されていない領域では外蓋に内蓋が接着した状態で内蓋切目に沿って内蓋が切り取られるので、容器に収納された内容物を取り出すための大きい開口を形成することができる。
【0009】
上記湯切り孔つき蓋材において、前記外蓋が、紙層単体ないしはプラスチックフィルムと紙層の積層体からなり、前記内蓋が、ポリエチレン層とアルミニウム箔と熱接着性樹脂層の積層体からなる構成とすることにより、蓋材の内面からのハーフカットにより内蓋に湯切り孔切目、内蓋切目を形成するのが容易となる。また、アルミニウム箔を積層しているので蓋材のカールが少なくなり容器に蓋を熱接着する際の作業性がよくなる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、図面を引用して本発明の実施の形態を説明する。
図1は本発明の第1実施形態を示す底面図、図2は図1に於けるII − II断面図、図3は第1実施形態の蓋材を容器口部に熱接着した断面図、図4は図3に示す状態から摘み部を掴んで外蓋を剥離した断面図であり、1’は蓋材、2aは摘み部、3は剥離開始端縁、4は湯切り孔切目、6は内蓋切目、7は湯切り孔、8は熱接着部、9は容器、10’は外蓋、11はプラスチックフィルム層、12は接着剤層、13は紙層、14aは網点離型層、14bはベタ離型層、15は印刷層、20’は内蓋、21はポリエチレン層、22はアルミニウム箔層、23は熱接着性樹脂層を表す。
【0011】
【0012】
【0013】
本発明の第1実施形態の蓋材1’の底面図及び断面図は図1及び図2に示すとおりである。蓋材1’の形状は、図1に示すように、略円形状であって周端の1か所に外蓋10’を内蓋20’から剥離させて湯切り孔を形成するとともに蓋材1’を容器から剥離させて大きい開口を形成するための外蓋10’からなる摘み部2aが外方に突出して形成されている。摘み部2aの内側の内蓋20’の周縁が剥離開始端縁3とされ、内蓋20’には剥離開始端縁3より容器の中央側に複数の湯切り孔切目4が形成されるとともに、摘み部2aと蓋材1’の中心を結ぶ線に対称な形状の摘み部2aの側に突出する円弧状の内蓋切目6が形成されている。剥離開始端縁3は摘み部2aを掴んで蓋材1’を剥離することにより内蓋20’から外蓋10’を剥離させて湯切り孔を形成するためのものであり、内蓋切目6は内蓋20’を切り取り容器に収納されている内容物を取り出すための大きい開口を形成するためのものである。
【0014】
蓋材1の断面構成は、図2に示すとおり、外面から順に、プラスチックフィルム層11と接着剤層12と紙層13と網点離型層14a及びベタ離型層14bからなる外蓋10’と、ポリエチレン層21とアルミニウム箔22と熱接着性樹脂層23からなる内蓋20’が積層され、剥離開始端縁3より外側に突出する摘み部2aは外蓋10’により形成されている。熱接着性樹脂層23として易剥離性樹脂が使用されており熱接着された蓋材1が容器から剥離可能にされている。印刷層15は紙層13の外面に形成されている。外蓋10’の内面の紙層13面に形成されている離型層は、外蓋切目5より摘み部2a側の領域では網点離型層14aとされ、剥離開始端縁3より外縁側の領域ではベタ離型層14bとされている。湯切り孔切目4の中央部に対応する領域には網点離型層14aを形成しない構成としてもよい。内蓋20’の周縁の摘み部2aの内側が剥離開始端縁3とされ、内蓋20’の剥離開始端縁3と内蓋切目6間の網点離型層14aが形成された領域に複数の湯切り孔切目4が形成されている。湯切り孔切目4と内蓋切目6は内蓋20’を貫通する状態で形成されている。図1では、湯切り孔切目4を円形としているが、円形に限ることはなく、複数の線状切目を平行もしくは千鳥状に配列したものであってもかまわない。
【0015】
【0016】
【0017】
第1実施形態の蓋材1’を容器9に熱接着した状態の断面は図3に示すとおりである。発泡ポリスチレン等からなる容器9のフランジ部に蓋材1’が内面の熱接着性樹脂層23により熱接着部8にて熱接着されて取り付けられている。容器9に蓋材1’を熱接着する際に、内蓋20’の周縁の剥離開始端縁3が熱接着部8の外端に位置するように取り付けられるのであるが、剥離開始端縁3の位置が熱接着部8の外端より内側にずれた場合でも、摘み部2aが外蓋10’により形成されているので、摘み部2aを掴んで蓋材1’を剥離する際に、発泡ポリスチレン等からなる容器9のフランジ部の表面層が蓋材1’の内面に接着して取られることがなく、剥離開始端縁3の箇所から確実に外蓋10’を内蓋20’から剥離させて湯切り孔7を形成することができる。
【0018】
第1実施形態の蓋材1’を容器9に熱接着して取り付けた図3に示す状態から蓋材1’の摘み部2aを掴んで容器9から剥離した状態は図4に示すとおりである。摘み部2aを掴んで蓋材1’を容器9から剥離することにより、外蓋20’の内面の網点離型層14aが形成された領域にて、外蓋10’が内蓋20’から剥離し外蓋10’が剥離された内蓋20’に複数の湯切り孔7を形成することができるとともに、更に、蓋材1’を剥離させることにより、内蓋切目6の箇所からは内蓋20’か外蓋10’に接着した状態で内蓋切目6に沿って内蓋20’が切り取られて、容器9に収納されている内容物を取り出すための大きい開口を形成することができるものである。第1実施形態の蓋材1’を取り付けた包装体は生めん等の包装に使用されるものであり、使用時には、蓋材1’の摘み部2aを掴んで容器9から剥離させて、内蓋20’に複数の湯切り孔7を形成させるとともに内蓋切目6に沿って内蓋20’を切り取って大きい開口を形成した後に、容器9に収納されている袋入り生めん及び具等を取り出して袋を開封し、包装された中身を容器9に入れて容器9内に熱湯を所定の水位まで注入して一定時間放置し、湯切り孔7から湯を排出して湯切りして使用するものである。
【0019】
第1実施形態の蓋材1’に湯切り孔切目4と内蓋切目6を形成する方法は、外蓋と内蓋を離型層を介して部分的に剥離可能に積層した後に、湯切り孔切目4と内蓋切目6は内面側からのハーフカットにより、内蓋を貫通する状態で形成されるものである。蓋材1’の摘み部2aを外蓋により形成する方法としては、外蓋と内蓋を離型層を介して部分的に剥離可能に積層したロール状の積層体を作製した後に、ハーフカット用のロータリーダイにより積層体の内面から所定位置に内蓋を貫通するように剥離開始端縁3の位置に切目を形成するとともに蓋材1’の周端となる打抜き位置よりもやや外側に周端に沿ってハーフカットを形成し、剥離開始端縁3の位置の切目と周端に沿ったハーフカット間の内蓋を連続的に剥離して除去することにより行うことができる。
【0020】
離型層を形成するための樹脂としては、硝化綿、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ブチラール樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等の単体ないしは混合物が使用できる。必要により少量のシリコーン等を添加してもよい。離型層は上記の樹脂からなるインキを使用して紙面にグラビア印刷等により印刷することにより形成される。ベタ離型層はベタ版を使用した印刷により、網点離型層は網点面積率が10〜40%の網点状にエッチングされた印刷版を使用して印刷することにより形成される。ベタ離型層とポリエチレン層との界面では容易に剥離するが、網点離型層とポリエチレン層との界面ではやや剥離強度が強くなる。ベタ離型層が形成された剥離開始切目の領域では外蓋と内蓋を容易に剥離させることができる。なお、図1においては、網点離型層の形成領域に円形の湯切り孔切目を配置したものとしているが、円形の湯切り孔切目の中央部と対向する領域に網点離型層を形成しないようにしてもよく、その場合は、外蓋を剥がす際に、円形の湯切り孔切目に囲まれた部分の内蓋が外蓋と一体となって剥がし取ることができるので湯切り孔を確実に形成することができる。
【0021】
本発明の実施形態において、外蓋の構成をプラスチックフィルムと紙の積層体としているが、外蓋を紙層の単体としてもよい。実施形態の構成の外蓋の場合の紙の厚さは40〜160g/m2程度であり、外蓋を紙の単体とする場合は、紙の厚さは70〜130g/m2とするのが好ましい。接着剤層としてはウレタン系接着剤ないしは押出ポリエチレンを使用することができる。熱接着性樹脂層としては、熱溶融して押出しラミネーションすることのできるエチレン−酢酸ビニル共重合体を主成分とする易剥離性樹脂が使用できる。外蓋の構成としては、例えば、2軸延伸ポリエチレンテレフタレート12μ/ウレタン系接着剤/印刷層/紙60g/m2/部分離型層、2軸延伸ポリエチレンテレフタレート12μ/ポリエチレン20μ/印刷層/紙60g/m2/部分離型層、印刷層/紙80g/m2/部分離型層等であり、内蓋の構成としては、ポリエチレン20μ/アルミニウム箔7〜15μ/熱接着性樹脂25μ、ポリエチレン20μ/アルミニウム箔7〜15μ/ポリエチレン20μ/熱接着性樹脂20μ等である。
【0022】
【発明の効果】
本発明の蓋材のように、外蓋と内蓋が離型層を介して剥離可能に積層された構成からなり外周縁の少なくとも1か所に外方に突出する摘み部を有する形状であり、離型層が摘み部に隣接する領域の外蓋の内面に形成され、内蓋には離型層に対向する領域に複数の湯切り孔切目が形成され、摘み部が外蓋の周縁が内蓋の周縁から外方に突出するように形成され、摘み部の内側が剥離開始端縁とされた構成とすることにより、蓋材の周縁と剥離開始端縁の位置のずれ及び蓋材と容器の相対的な位置のずれが発生して、容器に蓋材を熱接着した際に、蓋材の剥離開始端縁が容器と蓋材の熱接着部の外端よりも内側の位置にきた場合でも、摘み部を掴んで蓋材を容器から剥離する際に、剥離開始端縁の内側の内蓋が容器に接着した状態で外蓋のみを内蓋からスムーズに剥離させることができるので、確実に湯切り孔を形成することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施形態を示す底面図。
【図2】 図1に於けるII − II断面図。
【図3】 第1実施形態の蓋材を容器口部に熱接着した断面図。
【図4】 図3に示す状態から摘み部を掴んで外蓋を剥離した断面図。
【符号の説明】
1’ 蓋材
2a 摘み部
3 剥離開始切目
4 湯切り孔切目
6 内蓋切目
7 湯切り孔
8 熱接着部
9 容器
10’ 外蓋
11 プラスチックフィルム層
12 接着剤層
13 紙層
14a 網点離型層
14b ベタ離型層
15 印刷層
20’ 内蓋
21 ポリエチレン層
22 アルミニウム箔層
23 熱接着性樹脂層
Claims (3)
- 外蓋と内蓋が離型層を介して剥離可能に積層された構成からなり外周縁から外方に突出する摘み部を有する形状の蓋材であって、前記離型層が前記摘み部に隣接する領域に形成され、前記内蓋には前記離型層に対向する領域に複数の湯切り孔切目が形成され、前記摘み部が前記外蓋の周縁が前記内蓋の周縁から外方に突出するように形成され、前記摘み部の内側が剥離開始端縁とされ、
更に、前記内蓋には、前記摘み部と蓋材の中央を結ぶ線に対称な前記摘み部の側に突出する円弧状の内蓋切目が形成され、前記摘み部の周縁と前記内蓋切目と蓋材の周縁に囲まれた領域に前記離型層が形成され、
当該蓋材を熱接着してカップ状容器を封止した状態において、上記摘み部を掴んで容器から蓋材を引き剥がすと、剥離開始端縁の箇所から外蓋が内蓋から剥離し、容器側に残存する内蓋部分に湯切り孔が形成され、内蓋切目の箇所からは外蓋と内蓋が接着した状態で剥がされて、内容物を取り出すための大きい開口が形成され、
その結果、カップ状容器の口部には、湯切り孔が形成された内蓋部分のみが残ることを特徴とする、湯切り孔付き蓋材。 - 前記離型層が、前記剥離開始端縁の近傍領域においてベタ離型層とされ且つその他の領域において網点離型層とされている構成からなることを特徴とする請求項1記載の湯切り孔付き蓋材。
- 前記外蓋が、紙層単体ないしはプラスチックフィルムと紙層の積層体からなり、前記内蓋が、ポリエチレン層とアルミニウム箔と熱接着性樹脂層の積層体からなることを特徴とする請求項1または2記載の湯切り孔付き蓋材。
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